従来のこの種の車両用サンバイザは、中空状に形成したサンバイザ本体にホルダを内装設置して、該ホルダ内に略L字状に折曲されたシャフトの一端側における挿入側部を回動可能に挿通し、且つ、前記シャフトの他端側における取付け側部がブラケットを介して車体側に取付けられて、前記シャフトを前記ブラケットに対して回動可能に支承すると共に、前記サンバイザ本体を前記シャフトに対して回動可能に支承するように構成している。
そして、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の前方より齎された場合には、サンバイザ本体を、シャフトを介して運転席或いは助手席に対向するように下方に回動させて、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光を遮光するようにしており、また、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の側方より齎された場合には、サンバイザ本体を、シャフトを介して下方に回動させると共にブラケットに対して車両の側方に回動させることによって、車両の側方に位置させて、車両の側方より照射される照射光を遮光するようになっている(特許文献1参照)。
上記従来の車両用サンバイザは、サンバイザ本体により遮光範囲が固定的となっているのが一般的であるが、最近、例えば日の出から日の入りまでに亘る車両の長時間走行を考慮して、車両の側方から齎される太陽光による照射光が、車両の前後方向において移動してしまうことに鑑み、サンバイザ本体をシャフトに対してスライド可能に構成して、車両の側方における遮光部位を変更可能に構成したスライド式サンバイザが知られている(特許文献2参照)。
この種のスライド式サンバイザは、図10及び図11に示すように、通常の遮光範囲が固定的となったサンバイザと同様に、サンバイザ本体aがシャフトbに回動可能に支承され、シャフトbは、ブラケットcに挿通支持され、ブラケットcが車体パネルの天井部分(不図示)に取付けられている。
シャフトbは、サンバイザ本体aの内部に内装されているサポートアセンブリdに回動自在に軸受けされ、例えば、サンバイザ本体aを天井面に格納した状態から運転席或いは助手席の前方であるフロントウインドウ側の使用位置まで展開するには、シャフトbの軸廻りに沿ってサンバイザ本体aを下方向に展開操作することになり、また、車両の側方すなわちフロントウインドウ側からサイドウインドウ側に遮光範囲を変更するには、サンバイザ本体aをシャフトb廻りに回動させると共にシャフトb自体をブラケットc周りに回動させることにより、車両の左右方向に展開操作することになる。
更に、図10及び図11に示すスライド式サンバイザは、シャフトbの軸方向に沿って、サンバイザ本体aをスライド操作することにより、遮光範囲を随意変更できるように、サポートアセンブリdを有して構成している。
すなわち、サポートアセンブリdは、樹脂成形体からなるサポート本体eとサポート本体eに装着される板バネfとからなり、サポート本体eの軸孔内にシャフトbを挿入することにより、シャフトbが回動可能に軸受けされ、シャフトbの外周面の一部を板バネfに弾接させることにより、サンバイザ本体aをシャフトb廻りに回動操作する際の回動トルクが得られるようになっている。
更に詳しくは、サンバイザ本体aの構造としては、シェル状の分割サンバイザ体a−1、a−2のそれぞれ弯曲外面を外側に向けて両者を接合することにより中空状の樹脂芯材a−3を構成し、樹脂芯材a−3の外表面を織布、不織布或いは合成樹脂シート等から成るサンバイザ表皮a−4により被包して構成されている。
樹脂芯材a−3を構成する各分割サンバイザ体a−1、a−2は、一方側の分割サンバイザ体a−1に設けた係止爪gと他方側の分割サンバイザ体a−2に設けた係止部hとの係着作用により組み付けられており、更に、各分割サンバイザ体a−1、a−2の内面に、サポートアセンブリ(ホルダ)dにおけるサポート本体eの両側面を当接支持するガイドリブi、jを設け、ガイドリブi、jにより、サポートアセンブリdをスライド可能に支持している。
すなわち、各分割サンバイザ体a−1、a−2のそれぞれ上下2箇所にガイドリブi、jが対向して形成され、各ガイドリブi、jの離間距離をサポート本体eの厚み寸法より小さく設定しておき、ガイドリブjによりサポート本体eを挟んだとき、ガイドリブi、jからの弾接力がサポート本体eに加わるようになっており、サポートアセンブリ(ホルダ)dを確実に支持でき、しかも、シャフトbの軸方向にスライド操作可能に構成できることになる。
ところで、車両における最近の傾向においては、乗員の安全保護を高めるために、車両には各種エアバッグ装置が装備されており、中でも、車両のフロントピラーからサイドルーフガーニッシュに沿って配設されるカーテン式エアバッグ装置を装備したものがある。
かかるカーテン式エアバッグ装置を装備した車両においては、サンバイザ本体aがサイドウインドウ側を遮光している際に、当該カーテンエアバッグ装置が作動することにより、サンバイザ本体aは大きな負荷が加わることになる。
このように、サンバイザ本体aに大きな負荷が加わった場合、板バネfによるシャフトbへの弾接により発生させた回動トルクによっては、サポート本体eをシャフトbに対して支えきれなくなって、シャフトbからサポート本体eと共にサンバイザ本体aが脱落してしまうおそれがあった。
そこで、サポート本体eにおけるシャフトbに対する抜け止め力を強化すべくなしたシャフトの支承構造が知られている(特許文献3参照)。
かかるシャフトの支承構造は、図12及び図13に示すように、シャフトbにおけるサポ
ート本体eへの挿入端部の一部分に、リブ高さの高い抜け止め
用リブk(抜け止め用当接片部)を形成し、サポート本体eの軸孔m内にシャフトbを挿入させた際
、軸孔mの内周面に設けた凹溝nに抜け止め用リブkを通過させる。さらに、シャフトbの軸廻りに沿ってサンバイザ本体aを回動させて抜け止め用リブkをサポート本体eの端面oに係着させる。これにより、シャフトbからのサポ
ート本体e延いてはサンバイザ本体aを抜け止めして脱落を防止するように構成したものである。
特開平9−254649号公報
特開2004−9883号公報
特開2003−312258号公報。
しかしながら、上記図12及び図13に示す従来の車両用サンバイザにおいては、シャフトbにおけるサポート本体eへの挿入端部の一部分に形成したリブkを、サポート本体eの端面oに係着させて、シャフトbからのサポート本体e延いてはサンバイザ本体aの脱落を防止しているのであるが、カーテンエアバッグ装置は、カーテンエアバッグが車両のフロントピラーからリヤピラーにかけての車両側方の広い範囲に亘って膨張展開することによって車両のフロント側に乗車している運転者或いは助手ばかりでなく後席に乗車している乗員をも拘束保護するように構成されているために、大きな膨張展開力をもってカーテンエアバッグを膨張展開させるように構成されており、結果的に、サンバイザ本体aにはこのような大きな膨張展開力がかかることになって、シャフトbの挿入端部の一部分に形成したリブ高さの高いリブkは、サポート本体eの端面oに点当り或いは小面積で係着しているだけであることから、非常に大きな単位当りの集中荷重がかかってしまい、非常に折損し易い構造であるといえ、一旦シャフトbより折損してしまうと、最早サンバイザ本体aの脱落防止機能を果し得ないことになってしまう。
そこで、本発明は、カーテンエアバッグが膨張展開してサンバイザ本体に大きな膨張展開力がかかったとしても、シャフトに形成した抜け止め用当接片部が折損し難くして、容易にサンバイザ本体がシャフトから脱落しないように構成した車両用サンバイザを提供することを目的としている。
本発明に係る車両用サンバイザは、中空状に形成したサンバイザ本体と、該サンバイザ本体内に設けたホルダと、該ホルダに一端側における挿入側部を回動可能に挿通される略L字状に折曲されたシャフトと、該シャフトの他端側における取付け側部を車体側に取付けるためのブラケットとを有して、前記シャフトを前記ブラケットに対して回動可能に支承すると共に、前記サンバイザ本体を、前記シャフトに対して回動可能に支承して構成した車両用サンバイザであって、前記シャフトの挿入側部の全周に渡って前記シャフトの半径方向に延在突出するように形成した抜け止め用当接片部と、前記サンバイザ本体を前記シャフトに対して抜け止めすべく、前記抜け止め用当接片部が当接係合するように前記サンバイザ本体側に形成した被当接片部とを有して構成し、かつ、前記サンバイザ本体は、共にシェル状に形成した一対の分割サンバイザ体を接合することによって中空状に構成されており、前記一対の分割サンバイザ体のうち、一方の分割サンバイザ体の内壁にその長手方向に互いに対向延在する一対の起立壁部を形成し、前記両起立壁部に橋渡すように前記被当接片部を形成するとともに、前記他方の分割サンバイザ体の内壁に、前記被当接片部の外方側に対向する補助被当接片部を形成し、さらに、前記シャフトの軸方向に摺動可能に前記ホルダを設置し、前記ホルダを介してサンバイザ本体が前記シャフトに対してスライド可能に支持することによって、前記サンバイザ本体の遮光範囲を変更可能に構成したことを特徴とする。
ここで、サンバイザ本体は、射出成形体やビーズ発泡成形体等からなる樹脂芯材の外表面に、織布、不織布或いはPVCシート等のサンバイザ表皮を被包することにより構成している。
サンバイザ本体に内装されたホルダは、PP等の合成樹脂成形体からなり、軸孔が設けられていて、この軸孔内にシャフトの挿入側部が回動可能に軸受けされることによって、シャフトの軸周りに沿ってサンバイザ本体を回動操作するように構成するとよい。
そして、前記抜け止め用当接片部は、前記ホルダより外側に位置するように、シャフトの挿入側部に形成されるものである。
また、サンバイザ本体1内に別体のホルダ2を設置する場合もあるが、これに限定されるものではなく、サンバイザ本体と一体にホルダを形成するようにしてもよい。
また、本発明に係る車両用サンバイザは、シャフトの軸方向に対してホルダが不動状態で装着されて、サンバイザ本体がシャフトに対してスライドしないタイプのサンバイザに構成するばかりでなく、シャフトに対してサンバイザ本体を移動可能に構成して、サンバイザ本体をスライドさせることによって、遮光範囲を変更可能に構成したスライド式サンバイザに構成することもできる。
かかる構成により、本発明は、サンバイザ本体をシャフトに対して抜け止めする抜け止め用当接片部を、シャフトの挿入側部に形成するようになして、サンバイザ本体側の被当接片部に当接係合するように構成したことから、抜け止め用当接片部の被当接片部への当接面積を大きく確保することができる。
この結果、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体が受けたとしても、被当接片部から受ける抜け止め用当接片部の反力は、広い面積に分散されることになって、単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部が折損されることを抑制でき、シャフトからのサンバイザ本体の脱落を確実に防止することができる。
尚、抜け止め用当接片部は、シャフトの挿入側部の全周に亘って形成されているのが好ましいが、ここで全周とは、シャフトの挿入側部の外周全体に渡って配置されているということであり、シャフトの挿入側部の外周の全周に隈なく連続的に形成する場合の他、シャフトの挿入側部の外周の全周に亘って間欠的に形成する場合も含むものである。
要するに、カーテンエアバッグにおける膨張展開力によって、サンバイザ本体がシャフトより脱落するといっても、車両によって或いは車種によって、当該膨張展開力の大きさが異なり、また、サンバイザ本体及びシャフトを含むサンバイザ全体の剛性構造等によっても、サンバイザ本体のシャフトからの脱落現象は異なってくるものであり、このために、抜け止め用当接片部は、シャフトの挿入側部の外周に隈なく連続的に形成するか間欠的に形成するかが設計開発段階で選択されることになる。
また、本発明は、前記サンバイザ本体の内壁に、その長手方向に互いに対向延在する一対の起立壁部を形成し、該両起立壁部間内に前記シャフトの軸方向に摺動可能に前記ホルダを設置し、前記ホルダを介してサンバイザ本体が前記シャフトに対してスライド可能に支持することによって、前記サンバイザ本体の遮光範囲を変更可能に構成することによって、スライド式の車両用サンバイザとしても構成することができる。この場合、前記被当接片部は、前記両起立壁部に橋渡すように形成するのがよい。
かかる構成により、本発明に係る車両用サンバイザは、シャフトに対してサンバイザ本体がスライド移動可能に装着されサンバイザ本体がスライドすることによって、遮光範囲を変更可能に構成して、しかも、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体が受けたとしても、両起立壁部に橋渡すように形成した被当接片部から受ける抜け止め用当接片部の反力は、抜け止め用当接片部が前記シャフトの挿入側部の全周に渡って前記シャフトの半径方向に延在突出するように形成されているために、広い面積で被当接片部に当接した抜け止め用当接片部全体に分散されることになると共に、被当接片部が両起立壁部を橋渡すように形成したことによって被当接片部の剛性を高めることができて、抜け止め用当接片部にかかる単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部が折損されてしまうことを抑制でき、シャフトからのサンバイザ本体の脱落を確実に防止することができる。
そして、一対の起立壁部に橋渡すように形成した被当接片部は、両起立壁部の中間部に形成してもよいが、両起立壁部の端部側に形成することによって、シャフトに対するサンバイザ本体のスライド量を広範囲に設定することができる。
更にまた、本発明における前記サンバイザ本体は、シェル状に形成した一対の分割サンバイザ体を中空状に接合することによって構成することができる。
この場合、前記一対の起立壁部は、前記一対の分割サンバイザ体のうち、一方の分割サンバイザ体の内壁に形成することになる。
かかる構成により、本発明に係る車両用サンバイザは、サンバイザ本体を一対の分割サンバイザ体を接合することによって構成したために、製品組立作業工数を低減することと相俟って、シャフトに対してサンバイザ本体がスライド移動可能に装着されサンバイザ本体がスライドすることによって、遮光範囲を変更可能に構成して、しかも、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体が受けたとしても、両起立壁部に橋渡すように形成した被当接片部から受ける抜け止め用当接片部の反力は、抜け止め用当接片部が前記シャフトの挿入側部に前記シャフトの半径方向に延在突出するように形成されているために、広い面積で被当接片部に当接した抜け止め用当接片部全体に分散されることになると共に、被当接片部が両起立壁部を橋渡すように形成したことによって被当接片部の剛性を両起立壁によって高めることができて、抜け止め用当接片部が折損されてしまうことを抑制でき、シャフトからのサンバイザ本体の脱落を確実に防止することができる。
更に、本発明は、サンバイザ本体を一対の分割サンバイザ体を接合することによって構成し、一方の分割サンバイザ体の内壁に形成した一対の起立壁を橋渡すように被当接片部を形成した上で、前記他方の分割サンバイザ体の内壁に、前記両起立壁部に橋渡すように形成した前記被当接片部の外方側に対向する補助被当接片部を形成して構成することができる。
かかる構成により、サンバイザ本体を一対の分割サンバイザ体を接合することによって構成した場合には、サンバイザ本体にカーテンエアバッグの膨張展開荷重がかかった場合、組み付けられた両分割サンバイザ体の接合部が口開きしてしまうことがあるが、この場合、もしも、一方の分割サンバイザ体側に形成した被当接片部のみでは、当該被当接片部とシャフト側の抜け止め用当接片部が対向しなくなって、シャフトに対してサンバイザ本体が抜けてしまうこともありえるが、上記のように、もう一方の分割サンバイザ体側に補助被当接片部を形成しているために、たとえ、両分割サンバイザ体同士が口開きしたとしても、被当接片部又は補助被当接片部のうちどちらか一方が、少なくとも抜け止め用当接片部に対向していることになって、シャフトに対してサンバイザ本体を抜け止めすることができる。
しかも、被当接片部と補助被当接片部とを互いに対向させた二重構造にしているために、抜け止め用当接片部は、被当接片部とともに間接的に補助被当接片部にも支持されることになって、サンバイザ本体のシャフトからの脱落を更に確実に防止することができるともいえる。
上記のように構成する本発明によれば、サンバイザ本体をシャフトに対して抜け止めする抜け止め用当接片部が、シャフトの挿入側部に形成するようになして、サンバイザ本体側の被当接片部に当接するように構成したことから、抜け止め用当接片部の被当接片部への当接面積を大きく確保することができる。
この結果、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体が受けたとしても、被当接片部から受ける抜け止め用当接片部の反力は、広い面積に分散されることになって、単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部が折損されてしまうことを抑制でき、シャフトからのサンバイザ本体の脱落を確実に防止することができる。
次に、図1を用いて、本発明に係る一の実施例について説明する。
図1は本発明に係る第1の実施例を採用した車両用サンバイザにおけるサンバイザ本体の一部を破断して描画した要部正面図である。
図1に示す車両用サンバイザは、車両の運転席或いは助手席の前方または側方に齎された照射光を遮光すべく矩形を呈するプレート状で中空状に形成されたサンバイザ本体1と、サンバイザ本体1内に内装設置されたホルダ2と、ホルダ2に一端側における挿入側部3aを回動可能に挿通される略L字状に折曲形成されたシャフト3と、シャフト3の他端側における取付け側部3bを車体(不図示)側に取付けるためのブラケット4とを有して構成され、ブラケット4は、シャフト3を回動可能に支承すると共に、シャフト3は、サンバイザ本体1を回動可能に支承している。
ここで、サンバイザ本体1は、射出成形体やビーズ発泡成形体等からなる樹脂芯材1aの外表面に、織布、不織布或いはPVCシート等のサンバイザ表皮1bを被包することにより構成している。
樹脂芯材1aは、後に詳細に説明するように、一対の分割サンバイザ体1a−1、1a−2を接合することにより構成している。
サンバイザ本体1に内装設置されたホルダ2は、PP等の合成樹脂を射出成形等により成形した樹脂成形体から構成され、円筒状の軸受け部2aとプレート状の取付け部2bとからなり、軸受け部2aは、シャフト3の挿入側部3aを回動可能に挿通軸受けする軸孔2a−1が設けられていると共に、板バネ5を挿入するための開口2cを境にして、前後2列に分割されている。
板バネ5は、軸孔2a−1に軸受けされたシャフト3の挿入側部3aの外周面の一部に弾接することにより、サンバイザ本体1をシャフト3廻りに回動操作する際の回動トルクが得られるようになっている。
シャフト3の挿入側部3aは、取付け側部3b側がホルダ2の一方側端面2dより突出し、さらに、サンバイザ本体1の側壁部1cより突出して、取付け側部3bに連続している。
また、シャフト3の挿入側部3aには、その外周全周に渡って連続してシャフト3の半径方向に延在突出するように抜け止め用当接片部6が形成されている。
抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aにおけるホルダ2より外側(取付け側部3b側)に表出している位置になるようにシャフト3の挿入側部3aのほぼ中間部に形成されている。
サンバイザ本体1の側壁部1cには、サンバイザ本体1内において抜け止め用当接片部6に対向して当接係合するように、被当接片部7が一体に形成されている。
被当接片部7は、リブ状を呈しており、その一端側がサンバイザ本体1の側壁部1cに植設されると共に、他端側が補強リブ7aを介してサンバイザ本体1の側壁部1cに連設されている。
以上のように構成する本発明に係る一の実施例においては、サンバイザ本体1は、シャフト3の取付け側部3bをブラケット4を介して車体の天井部(不図示)側に取付けることによって、車両の運転席或いは助手席に対向する位置に設置されることになる。
この結果、車両のフロントウインドウ側より、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の前方より齎された場合には、サンバイザ本体1は、シャフト3を介して運転席或いは助手席に対向するように下方に回動させて、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光を遮光することができることになり、また、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の側方におけるサイドウインドウより齎された場合には、サンバイザ本体1は、シャフト3を介して下方に回動させると共にブラケット4に対して車両の側方に回動させることによって、車両の側方に位置させて、車両の側方におけるサイドウインドウより照射される照射光を遮光するようにできることになる。
そして、サンバイザ本体1が車両の側方に位置してサイドウインドウから照射される照射光を遮光している際に、車両が例えば側突事故に遭遇して車両のフロントピラーからサイドレールガーニッシュに沿って配設されたカーテン式エアバッグ装置(不図示)が作動して、カーテンエアバッグの膨張展開力をサンバイザ本体1が受けてしまった場合、サンバイザ本体1には、シャフト3から脱落させようとする力が働くことになる。
このように、サンバイザ本体1に、シャフト3から脱落させるような衝撃力が加わった場合、シャフト3の挿入側部3aに形成した抜け止め用当接片部6が、サンバイザ本体1の側壁部1cに形成した被当接片部7に当接係合することになり、サンバイザ本体1のシャフト3からの脱落が阻止されることになる。
そして、抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aの全周に亘って連続的に形成して、サンバイザ本体側の被当接片部に面当りで当接係合することから、抜け止め用当接片部6の被当接片部7への当接面積を大きく確保することができる。
この結果、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体1が受けたとしても、被当接片部7から受ける抜け止め用当接片部6の反力は、広い面積に分散されることになって、単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部6が折損されることを抑制でき、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落を確実に防止することができる。
尚、上記実施例においては、抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aの全周に亘って形成されているとしたが、ここで全周とは、シャフト3の挿入側部3aの外周全体に渡って配置されているということであり、シャフト3の挿入側部3aの外周の全周に隈なく連続的に形成する場合の他、シャフト3の挿入側部3aの外周の全周に亘って間欠的に形成する場合も含むものである。
要するに、カーテンエアバッグにおける膨張展開力によって、サンバイザ本体1がシャフト3より脱落するといっても、車両によって或いは車種によって、当該膨張展開力の大きさが異なり、また、サンバイザ本体1及びシャフト3を含むサンバイザ全体の剛性構造等によっても、サンバイザ本体1のシャフト3からの脱落現象は異なってくるものであり、このために、抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部の外周に隈なく連続的に形成するか間欠的に形成するかは選択できるものである。
また、上記実施例では、サンバイザ本体1の側壁部1cに連設するように、被当接片部7を形成しているが、サンバイザ本体1の側壁部1cを被当接片部7として抜け止め用当接片部6を当接させてもよい。
また、上記実施例においては、ホルダ2がシャフト3の軸方向に対して不動状態となって装着されて、サンバイザ本体1がシャフト3に対してスライドしないタイプのサンバイザに構成する場合に適しているが、これに限るものではなく、シャフト3の軸方向に対してホルダを可動するように構成して、サンバイザ本体1をシャフト3に対してスライドさせるようにして、遮光範囲を変更可能に構成したスライド式サンバイザに構成することもできる。
次に、本発明をスライド式車両用サンバイザに採用した場合の他の実施例ついて、図2乃至図8を用いて説明する。
図2は、本発明に係る他の実施例を採用した車両用サンバイザの分解斜視図、図3は、同じく、サンバイザ本体を構成する一対の分割サンバイザ体を見開きにして描画した正面図、図4は、同じく、サンバイザ本体を構成する一対の分割サンバイザ体を接合して組付けた状態における部分的に破断して描画した正面図、図5は、同じく、サンバイザ本体をシャフトに対してスライドさせて遮光部位を変更した状態における部分的に破断して描画した正面図、図6は、図5の要部の拡大図、図7は、図6のA−A断面図、図8は、同じく、補助被当接部を設けた場合の作用説明図である。
先ず、図2及び図3において、本実施例における車両用サンバイザは、上記実施例と同様に、車両の運転席或いは助手席の前方または側方に齎された照射光を遮光すべく矩形を呈するプレート状でしかも中空状に形成されたサンバイザ本体1と、サンバイザ本体1内に内装設置されたホルダ2と、ホルダ2に一端側における挿入側部3aを回動可能に挿通される略L字状に折曲形成されたシャフト3と、シャフト3の他端側における取付け側部3bを車体(不図示)側に取付けるためのブラケット4とを有して、ブラケット4は、シャフト3を回動可能に支承すると共に、シャフト3は、サンバイザ本体1を回動可能に支承している。
ここで、サンバイザ本体1は、射出成形体やビーズ発泡成形体等からなる樹脂芯材1aの外表面に、図4に明確に示すように、織布、不織布或いはPVCシート等のサンバイザ表皮1bを被包することにより構成しており、後で詳細に説明するように、樹脂芯材1aは、一対の分割サンバイザ体1a−1、1a−2を中空状に接合することによって構成されている。
サンバイザ本体1に内装設置されたホルダ2は、PP等の合成樹脂を射出成形等により成形した樹脂成形体から構成され、円筒状の軸受け部2aとプレート状の取付け部2bとからなり、軸受け部2aは、シャフト3の挿入側部3aを回動可能に挿通軸受けする軸孔2a−1が設けられていると共に、板バネ5を挿入するための開口2cを境にして、前後2列に分割されている。
板バネ5は、軸孔2a−1に軸受けされたシャフト3の挿入側部3aの外周面の一部に弾接することにより、サンバイザ本体1をシャフト3廻りに回動操作する際の回動トルクが得られるようになっている。
シャフト3の挿入側部3aは、取付け側部3b側がホルダ2の一方側端面2dより突出し、さらに、サンバイザ本体1の側壁部1cより突出して、取付け側部3bに連続している。
更に、シャフト3の挿入側部3aには、その外周全周に渡って連続してシャフト3の半径方向に延在突出するように抜け止め用当接片部6が形成されている。
抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aにおけるホルダ2より外側(取付け側部3b側)に表出している位置になるようにシャフト3の挿入側部3aのホルダ2寄りに形成されている。
そして、サンバイザ本体1の樹脂芯材1aは、シェル状の分割サンバイザ体1a−1、1a−2のそれぞれ弯曲外面を外側に向けて両者を接合することにより中空状に構成している。
そして、各分割サンバイザ体1a−1、1a−2は、互いに一体形成されたヒンジ部1dを介して連結するように成形されており、従来と同様に、一方の分割サンバイザ体1a−1に設けた係止爪(不図示)と他方の分割サンバイザ体1a−2に設けた係止部(不図示)との係着作用により組み付けられている。
一方の分割サンバイザ体1a−1の内壁には、その長手方向に延在するように、互いに離間対向する一対の起立壁部8、9がサンバイザ本体1の成形時に一体に形成されており、起立壁部8、9間内には、ホルダ2がサンバイザ本体1の長手方向にスライド可能となるように収容されており、ホルダ2は、両分割サンバイザ体1a−1、1a−2を接合した際に、両分割サンバイザ体1a−1、1a−2間で挟合され、サンバイザ本体1から脱落しないようになっている。
更に、両起立壁部8、9の両端部は、側壁によって閉成されているが、特に、両側壁のうち、シャフト3の取付け側部3b側に存する側壁は、サンバイザ本体1内において抜け止め用当接片部6に対向して当接係合する被当接片部7を構成している。
被当接片部7は、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部7bが形成されている。
また、他方の分割サンバイザ体1a−2の内壁には、図6に示すように両分割サンバイザ体1a−1、1a−2が接合した状態で、他方の分割サンバイザ体1a−2の側壁部1a−21と被当接片部7との間に存するように、補助被当接片部10が起立形成されている。
補助被当接片部10は、図6に詳細に示すように、両分割サンバイザ体1a−1、1a−2を接合した際に、被当接片部7に対して、近接するか当接するように形成されている。
そして、補助被当接片部10にも、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部10aが形成されていて、切欠き軸受け部10aと切欠き軸受け部7bとは側面視略円孔を形成するようになっている。
更には、両分割サンバイザ体1a−1および1a−2の各側壁部1a−11、1a−21には、やはり両者で側面視円孔を構成する切欠き軸受け部1a−12、1a−22がそれぞれ形成されており、切欠き軸受け部1a−12、1a−22は、やはり、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするように構成されている。
かかる構成により、本実施例においては、シャフト3に対してサンバイザ本体1がスライド移動可能に装着され、サンバイザ本体1をシャフト3の軸線方向にスライドすることによって、サンバイザ本体1の遮光範囲を変更可能に構成しており、当該スライド位置において、板バネ5の回転トルクによりシャフト3上に保持されていることになる。
しかも、カーテンエアバッグにおける大きな膨張展開力をサンバイザ本体1が受けたとしても、図5又は図6に示すように、シャフト3側の抜け止め用当接片部6がサンバイザ本体1側の両起立壁部8、9に橋渡すように形成した被当接片部7に当接係合することによって、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落が防止され、しかも、被当接片部7から受ける抜け止め用当接片部6の反力は、抜け止め用当接片部6がシャフト3の挿入側部3aの全周に渡ってシャフト3の半径方向に延在突出するように形成されているために、広い面積で被当接片部7に当接した抜け止め用当接片部6全体に分散されることになって、抜け止め用当接片部6にかかる単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部6が折損されてしまうことを抑制でき、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落を確実に防止することができる。
そして、一対の起立壁部8、9に橋渡すように形成した被当接片部7は、両起立壁部8、9の中間部に形成してもよいが、両起立壁部8、9の端部側に形成していることから、シャフト3に対するサンバイザ本体1のスライド量を広範囲に設定することができる。
更にまた、他方の分割サンバイザ体1aー2の内壁には、他方の分割サンバイザ体1a−2の側壁部1a−21と被当接片部7との間に存するように、補助被当接片部10が起立形成されており、補助被当接片部10が、両分割サンバイザ体1a−1、1a−2を接合した際に、被当接片部7に対して、近接するかまたは図示するように当接するように対向形成されていることから、サンバイザ本体1にカーテンエアバッグの膨張展開荷重がかかって組み付けられた両分割サンバイザ体1a−1、1a−2の接合部が口開きしてしまった場合、一方の分割サンバイザ体側に形成した被当接片部7のみでは、被当接片部7とシャフト3側の抜け止め用当接片部6とが当接係合し得ず(図9参照)、シャフト3に対してサンバイザ本体1が抜けてしまうおそれもあるが、上記実施例においては、図8に示すように、被当接片部7又は補助被当接片部10のうちどちらか一方が、少なくとも抜け止め用当接片部6に対向して係合することができることになって、シャフト3に対してサンバイザ本体1の抜け止めを常に防止することができる。
しかも、被当接片部7と補助被当接片部10とを互いに対向させた二重構造にしているために、抜け止め用当接片部6は、被当接片部7とともに間接的に補助被当接片部10にも支持されることになって、サンバイザ本体1のシャフト3からの脱落が更に確実に防止することができることになる。
なお、上記実施例では、サンバイザ本体1内に別体のホルダ2を設置しているが、これに限定されるものではなく、サンバイザ本体1と一体にホルダ2を形成するようにしてもよい。