JP4660689B2 - ガリウムの取出し方法,保管,運搬方法及び収納容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ガリウムを容器から取り出す方法と収納容器に関し,更に,収納容器に収納してガリウムを保管及び運搬する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば発行ダイオード,レーザーダイオード,電界効果トランジスタ,集積回路などの材料として,GaAs,GaAlAs,GaPなどといったガリウムを成分とする化合物半導体結晶が利用されている。通常,これら化合物半導体結晶には,純度99.9999%以上(6N以上)の高純度に精製されたガリウムが使用される。
【0003】
このように化合物半導体結晶などの製造に使用される高純度ガリウムは,純度99.99%(4N)程度の原料ガリウムを所定の高純度(たとえば6N以上)に精製し,棒状のインゴットや円盤状のディスクなどに鋳造して顧客に供給される。この場合,雰囲気中からの不純物の混入を防ぐために,精製や鋳造などの各工程は,それぞれクリンルームなどで個別に行われる。
【0004】
精製工程から鋳造工程へガリウムを運搬するに際しては,精製工程を終了した溶融状態のガリウムを配管などを通して鋳造工程に送液することも可能であるが,配管全体をガリウムが固化しない温度状態に保つ必要があることなどから,配管を使って精製工程から鋳造工程にガリウムを搬送することはあまり行われていない。
【0005】
そこで,高純度ガリウムを保管,搬送するためには,前記の配管によらない場合には,容器に一旦収納し,その後,容器から取出すことが行われている。従来,精製された高純度ガリウムを収納するための容器に関し,たとえば特開平9-118569や,特開平9-240745が開示されている。特開平9-118596には,精製された高純度ガリウムを融液のまま保管し,次工程に運ぶ方法と,その方法に用いる容器が開示されている。特開平9-240745には,高純度ガリウムを融液の状態で容器下部から吐出させて秤量するための容器が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,容器内に収納したガリウムを常に溶融状態にしておくためには,容器を保温材などで囲むことが必要であり,また,ヒーターなどによってガリウムを融点以上に加熱し続けなければならないので,設備コストおよびエネルギーコストがかかる。
【0007】
また,溶融状態でガリウムを運搬する場合,運搬中などにガリウムに振動が加わることが避けられないが,溶融状態のガリウムに振動を加えた場合,表面に酸化物からなるドロスを発生し,たとえば特開平9-240745のように容器内のガリウムを全て排出した場合,このドロスがガリウムに混入してしまう問題がある。
【0008】
さらに,これまでの保管,運搬方法では,容器内に収納したガリウムを単に保管,運搬するだけで,この工程を通じてガリウムになんら付加価値を与えるものではなかった。
【0009】
容器からのガリウムの取出し方法については,特開平9-118569や,特開平9-240745のように容器底部に排出口を設け,溶融ガリウムの自重で排出する方法が一般的であるが,この方法の場合,排出の際に溶融ガリウム表面のドロス等を巻き込むことがある上,容器自体を高い場所に設置しなければならず,容器を大きくした場合に,その設置場所に求められる強度や,ガリウムのような比重の重い重量物を高い場所に持ち上げるエネルギー,ひいては作業上の安全面の問題があった。
【0010】
従って本発明の目的は,容器に収納されたガリウムを安定した高純度で保管・運搬し,取出すことのできる手段を提供し,さらに,ガリウム中の不純物をさらに低減させる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために,容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で静置し,容器の底部から上方に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,凝固させた状態で保管,運搬し,その後,加熱してガリウムを再び溶融させ,容器内底部から溶融ガリウムを取出し,取出しにあたっては容器内に一定量のガリウムを残置する。
【0012】
また,本発明にあっては,容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で攪拌し,例えば静置した状態で,容器の底部から上部に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,凝固させた状態で保管,運搬し,その後,加熱してガリウムを再び溶融させ,容器内底部から溶融ガリウムを取出し,取出しにあたっては容器内に一定量のガリウムを残置する。
【0013】
この場合,溶融ガリウムを秤量しながら取出しても良い。また,容器内の溶融ガリウム中に挿入されたパイプの先端開口部を容器内底部に配置した状態で,容器内の上部空間に気体を圧入して溶融ガリウムの液面を押し下げることにより,先端開口部からパイプ内に溶融ガリウムを流入させて,溶融ガリウムを取出すことができる。この際に,容器内の溶融ガリウムを全て取出さず,容器内に一定量のガリウムを残置することにより,先に凝固する際に上方に集めた不純物を容器内に残すことができ,より高純度の品位の優れたガリウムとして取出すことが可能となる。
【0014】
また,このような保管,運搬,取出し方法に用いられる容器であって,少なくとも容器の底面と側面は熱伝導可能な面として構成され,先端開口部が容器内底部近傍に配置され,他端開口部が容器外に配置されたパイプと,容器内の上部空間に気体を圧入する手段を備えることを特徴とする,ガリウムの収納容器が提供される。
【0015】
この収納容器において,容器内部を覗くための窓を備えていても良い。また,容器の側面周囲にヒーターが装着されていても良い。
【0016】
本発明において,容器に収納されるガリウムは,たとえば純度99.9999%以上(6N以上)の高純度に精製されたガリウムであり,液体または固体のいずれであっても良い。本発明にあっては,容器に収納されたガリウムを,まず溶解した状態で静置する。この場合,必要であれば,容器の周囲からヒーター等を用いて加熱し,ガリウムを溶融させても良い。なお,ヒーターには,電気式のバンドヒーター,温水ジャケットなどが適宜使用されるほか,容器に温風をあてる等,ガリウムが溶融するに足る熱量があたえられれば良い。
【0017】
そして,容器の底部から上方にむかって徐々にガリウムを凝固させていく。この場合,たとえば容器の底面をガリウムの融点(約30℃)以下の温度に冷却すると良い。このように,容器内の溶融ガリウムを容器底部から上方に向かって凝固させていくことにより,ガリウム中に含まれている不純物を偏析させ,上方に集めることができる。このとき,不純物は上方のメタルに多く含まれるようになるほか,軽元素不純物などはドロスとなってガリウムの表面に浮き上がる。
【0018】
こうして不純物を上方に集めた状態で凝固させたガリウムを,容器ごと保管し,更に搬送することにより,たとえば精製工程から鋳造工程,または,ある地点からある地点まで,ガリウムを容易に運搬することが可能である。この際に,容器内のガリウムが凝固状態にあることにより,輸送の際に受ける振動によるドロスの発生を避けることができ,ガリウムメタルがドロスとなって減少するのを防ぐことができる。
【0019】
そして,ガリウムを再び溶融させ,容器内底部から溶融状態のガリウムを取出していく。こうして容器内底部から取出されるガリウムは,容器に収納されたガリウムの不純分を平均値(容器に収納された全ガリウムの不純物の含有量の平均値)以上に含有することがなく,純度を低下させることがないばかりか,容器内のガリウムの上方に不純物を偏析させることにより,より純度の優れたガリウムを得ることができる。この際に,不純物の偏析した上部のメタルや,浮き上がったドロスは取出さずに容器内に残置することが望ましい。これらには偏析した不純物が含まれており,別途回収して精製し,再び高純度ガリウムとすることにより,ロスとなるのを防ぐことができる。
【0020】
容器内底部から溶融ガリウムを取出す場合,容器内の溶融ガリウム中にパイプを挿入して,パイプ先端の開口部を容器内底部近傍に配置した状態とし,容器内の上部空間に気体を圧入すると良い。そうすれば,気体の圧入に伴って溶融ガリウムの液面が押し下げられ,溶融ガリウムが先端開口部からパイプ内に流入する。これにより,パイプを通じて溶融ガリウムを容器外へ取出すことが可能となる。
【0021】
また,容器内底部から溶融ガリウムを取出す場合,同時に溶融ガリウムを秤量することもできる。この場合,パイプなどを通じて容器外に取り出される溶融ガリウムの量を測定して秤量しても良いし,容器を含めた重量を測定しながら取り出すことにより,その減量を秤量してもよいし,容器内に圧入した気体の量などに基づいて溶融ガリウムを秤量しても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる収納容器1の構造を説明するための縦断面図である。
【0023】
底面が閉塞し,上面が開口している筒状の容器本体10の内側にはガリウムが収納されている。ガリウムは,たとえば純度99.9999%以上(6N以上)の高純度に精製されたガリウムであり,液体または固体のいずれであっても良い。容器本体10は,たとえばステンレスなどの熱伝導性に優れ,かつ,望ましくはガリウムと反応しない材質で構成されている。容器本体10が熱伝導性に優れた材質で構成されることにより,容器本体10に収納されたガリウムを,容器本体10の外側から加熱および冷却できるようになっている。ガリウムの汚染を防止するために,容器本体10の内面には,必要に応じて,フッ素樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレンなどといった,ガリウムと反応しない物質によるライニング11が施される。但し,容器本体10の材質がガリウムと反応しない材質である場合には,ライニング11は省略することができる。
【0024】
容器本体10の上面は,蓋15でふさがれることにより,容器本体10内は密閉されている。蓋15には,ガリウム取出し用のパイプ16と,給気パイプ17が貫通して設けられている。パイプ16は,フッ素樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレンなど,ガリウムと反応しない物質で構成されている。パイプ16は両端が開口しており,パイプ16の先端(図示の例では下端)の開口部16aは容器本体10の底部近傍(に配置され,容器本体10内に収納されたガリウムの内部にある。図示の形態では,パイプ16先端の開口部16aは,容器本体10の底面から少しだけ上方に離れて配置されている。パイプ16の他端(図示の例では上端)の開口部16bは容器本体10の外部に配置されている。給気パイプ17の下端は,容器本体10内に収納されたガリウム上方の上部空間18にて開口しており,この給気パイプ17を通じて外部から気体を容器本体10内の上部空間18に給気できるようになっている。
【0025】
また,蓋15には,透明な窓19が設けられている。この窓19を通じて容器本体10内を覗き見ることができ,後述するように,溶融ガリウムの液面高さを検知できるようになっている。
【0026】
容器本体10の側面周囲には,ヒーター20が脱着自在に装着されている。図示の形態では,ヒーター20は,容器本体10の側面全周を覆うように装着された複数のバンドヒーター21,22,23で構成されており,これらバンドヒーター21,22,23によって,容器本体10の側面全体を隙間なく加熱できるようになっている。また,加熱の必要のないときは,これらバンドヒーター21,22,23は,容器本体10の側面から取り外すこともできる。
【0027】
容器本体10は,冷却プレート25の上に置かれている。冷却プレート25は,冷水などの冷媒を通液可能な冷却パイプ26を備えており,容器本体10の底面を外部から冷却できるようになっている。
【0028】
その他,容器本体10に収納されて溶融されたガリウムを攪拌させるための,後述する一対の磁石27を備えている。後述するように,容器本体10に収納されたガリウムを溶融させた状態で,バンドヒーター21,22,23を容器本体10の側面から取り外して,磁石27を容器本体10の周りで回転させることにより,溶融ガリウムを攪拌できるようになっている。
【0029】
さて,以上のように構成された収納容器1において,冷却プレート25の上に置かれた容器本体10の内部(ライニング11の内部)にガリウムを収納する。この場合,冷却プレート25において冷却パイプ26には冷媒を通液せず,冷却は行わないようにする。容器本体10内に収納するガリウムは,たとえば純度99.9999%以上(6N以上)の高純度に精製したガリウムであり,液体または固体のいずれでも良い。
【0030】
そして,容器本体10内に収納されたガリウムが固体である場合は,まず容器本体10の周囲に装着されたヒーター20で加熱し,容器本体10の側面を通じて,容器本体10内に収納されたガリウムを融点以上の温度に加熱し,ガリウムを溶融させる。ここで,冷却パイプ26を通じて冷却プレート25に温水を通水すると,さらに効率的にガリウムを溶融することができる。また,容器自体をガリウムの融点以上の雰囲気下に置くことにより熱を加えても良い。溶融後,必要に応じてヒーター20による加熱を継続することにより,容器本体10内に収納されたガリウムを溶融した状態に維持する。
【0031】
また,容器本体10内に収納されたガリウムがすでに溶融して液体である場合は,必要に応じてヒーター20による加熱を行うことにより,容器本体10内に収納されたガリウムを溶融した状態に維持する。
【0032】
次に,冷却プレート25に設けられた冷却パイプ26に冷媒を通液し,冷却を行う。これにより,容器本体10の底面をガリウムの融点(約30℃)以下の温度に冷却し,容器本体10内の溶融ガリウムを容器本体10の底部から上方に向かって徐々に凝固させていく。容器本体10の底部の冷却温度は,好ましくは25℃以下であると良い。この操作により,容器本体10内の溶融ガリウムを底部から上方に向かって凝固させ,ガリウム中に含まれている不純物を上方に偏析(偏在)させる。こうして,図2に示すように,容器本体10内においてガリウム(固体ガリウム)の上方に不純物をより多く含んだガリウム(固体ガリウム)や,不純物を多く含んだドロスの部分30(以下,「不純物をより多く含んだ部分30」という)を形成させることができる。なお,このように容器本体10内の溶融ガリウムを底部から上方に向かって凝固させれば,凝固にともなってガリウムは上方に膨張することとなる。このように凝固方向をほぼ一定方向にすることが好ましい。
【0033】
また,このように容器本体10内にてガリウムを凝固させる際に,図3に示すように,磁石27を容器本体10の周りで回転させることにより,容器本体10内の溶融ガリウムを攪拌する。これにより,ガリウム中に含まれている不純物が,より確実に上方に偏析することとなり,偏析の効果を高めることが可能となる。なお,このように磁石27を容器本体10の周りで回転させて溶融ガリウムを攪拌する場合は,バンドヒーター21,22,23は,容器本体10の側面から取り外すと良い。
【0034】
こうして不純物を上方に集めた状態で凝固させたガリウムは,容器本体10ごと搬送等することにより,たとえば精製工程から鋳造工程などといった各工程間や,精製工場から顧客の使用場所など別の場所にガリウムを容易に搬送したり,保管したりすることが可能である。この場合,容器本体をガリウムの融点である約30℃以下,望ましくは25℃以下に保ち,ガリウムを固体の状態に維持することが必要である。搬送や保管にあたっては,容器本体10内部を密閉しておけば,外部からの不純物の混入などの汚染もない。なお,容器本体10内に不活性ガスを封入しておけばガリウムの変質を効果的に防止でき,不活性ガスの代わりにクリンルーム内の空気などを容器本体10内に封入してもよい。その場合,容器本体10内には,クラス1000以上(クラス1000,クラス100など),温度25℃以下,相対湿度50%以下の空気を封入しておくことが望ましい。
【0035】
次に,ガリウムを容器本体10内から取出す場合は,まず,容器本体10の周囲にヒーター20を装着して加熱し,容器本体10内に収納されたガリウムを融点以上の温度に加熱して,ガリウムを再び溶融させる。溶融の熱源としては,電熱,温水または温風など,熱源から伝熱するものが良く,溶融ガリウムを攪拌する効果のある加熱方法,たとえば誘導加熱などは好ましくない。この溶融は,徐々に全体に熱が均一に分布されるようにするのが望ましく,また,静置状態で行うことによって該ガリウム溶融体内に前記で上方に集めた不純物が再び分散しないようにするのか望ましい。これにより,容器本体10内において,溶融したガリウムの上方に不純物をより多く含んだ部分30を,そのまま維持しておくことができる。
【0036】
例えば鋳造工程など,ガリウムを使用する場所においてガリウムを容器本体10から取出す場合は,前記のヒーター20等の熱源によって100℃以下30℃以上,望ましくは60℃以下30℃以上で加熱する。この加熱時には,徐々に全体に熱が均一に分布されるようにし,溶融ガリウム内に,前述のように上方に集めた不純物が再び分散しないようにするのが望ましい。このため,容器本体10の加熱は静置状態で行い,加熱方法は電熱,温水または温風など,熱源から伝熱するものが良く,溶融ガリウムを攪拌する効果のある加熱方法,たとえば誘導加熱などは好ましくない。
【0037】
そして,不純物をより多く含んだ部分30を維持させたまま,容器本体10の底部から溶融ガリウムを取出していく。この場合,給気パイプ17を通じて外部から気体を容器本体10内の上部空間18に給気する。すると,気体の圧入に伴って,容器本体10内において溶融ガリウムの液面が押し下げられ,容器本体10内の底部に配置された開口部16aから溶融ガリウムがパイプ16内に流れ込むこととなる。こうして,パイプ16を通じて送液された溶融ガリウムが,パイプ16の開口部16bから吐出され,溶融ガリウムが容器本体10外に取り出される。
【0038】
こうして容器本体10から取出される溶融ガリウムは,容器本体10に収納されたガリウムの不純物を平均値(容器本体10に収納された全ガリウムの不純物の含有量の平均値)以上に含有することがなく,純度を低下させることがないばかりか,容器内のガリウムの上方に不純物を偏析させることにより,より純度の優れたガリウムを得ることができる。
【0039】
また,このように容器本体10から溶融ガリウムを取出す場合,同時に溶融ガリウムを秤量することができる。この場合,パイプなどを通じて容器外に取り出される溶融ガリウムの量を測定して秤量しても良いし,容器を含めた重量を測定しながら取り出すことにより,その減量を秤量してもよいし,容器内に圧入した気体の量などに基づいて溶融ガリウムを秤量しても良い。こうして,容器本体10内から秤量されて取出された溶融ガリウムは,鋳造,固化させてインゴットの状態で顧客に供給され,化合物半導体結晶などの製造に使用されるほか,この容器本体10の状態で顧客に供給され,そこで前記の溶解を行い,鋳造工程を経ることなく直接使用する方法も考えられる。
【0040】
なお,このように容器本体10から溶融ガリウムを取出す場合,上方に集められた不純物をより多く含んだ部分30は,そのまま次の工程に供給せずに,容器内に残置する。これらには偏析した不純物が含まれており,別途回収して精製し,再び高純度ガリウムとすることにより,ロスとなるのを防ぐことができる。この場合,不純物をより多く含んだ部分30がパイプ16a内に流れ込まないように,容器の蓋に設けた窓19を介して容器本体10内部を覗くことにより,容器内の溶融ガリウムの液面高さを監視しながら気体の圧入量を制御し,図4に示すように,不純物をより多く含んだ部分30が容器本体10の底部に移動した時点で,給気パイプ17からの気体の圧入を停止させると良い。このような窓19からの目視によるほか,溶融ガリウムの取出しの際に容器本体10を含めた重量を測定,監視しながら取出すことにより,一定重量のガリウムを容器本体10内に残置することも可能である。これらの方法により,不純物を負多く含んだ部分30を次の工程に供給することを防止できる。
【0041】
この,不純物を多く含むガリウム(不純物を負多く含んだ部分30)やドロスを確実に容器本体10内に残置し,そのまま次の工程などに供給しないためには,容器本体10内の残置量を確認することが肝要である。そのためには,例えば容器本体10の蓋15に設けた窓19を介して容器本体10内部を覗くことにより,容器本体10内の溶融ガリウムの液面高さを監視でき,不純物を多く含んだ部分30やドロスが,そのまま次の工程に供給される前に,溶融ガリウムの取出しを停止させることが可能である。もちろん,窓19を設けて監視するほか,溶融ガリウムの取出しの際に容器本体10を含めた重量を測定,監視しながら取出すことにより,一定重量の溶融ガリウムを残置することも可能である。
【0042】
この実施の形態で説明した収納容器10を用いて以上の工程に従ってGaを搬送,保管,取出すことにより,容器本体10に収納されたガリウムを安定した高純度で取出すことが可能となる。なお,パイプ16の先端開口部16aに,容器本体10内のガリウムの液面は達するまでに取出しを停止することが望ましいが,パイプ16の先端開口部16aの高さ(容器本体10の底面からの高さ)を調整することにより,万一取出し停止のタイミングを逸しても不純物をより多く含んだ部分30がパイプ16内に流入することを防止することが可能である。また,このようなパイプ16内への不純物をより多く含んだ部分30の流入を防止するために,パイプ16の先端16aを斜めにカットしたり,あるいは,パイプ16の先端16aよりも上方に切り欠きを設けるなどしても良い。
【0043】
また,容器本体10内でガリウムを凝固させる場合,下部から上部に限るものではなく,何らかの方法で一方向に凝固させることにより,同様の効果を得ることができる。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の実施例を説明する。外径約270mm,容量25リットルのステンレスからなる容器本体の外周面に,図1と同様にバンドヒータを1周ずつ3段にとりつけて本発明の実施例にかかる収納容器を構成した。容器本体の内部に5mm厚のフッ素樹脂からなるライニングを形成した。この収納容器に10kgの6N(純度99.9999%)の溶融Gaを計50kg入れ,蓋をした。なお,収納容器内への溶融Gaの充填は,クリーンルーム内にて25℃,クラス1000の雰囲気中で行い,以降も同様な雰囲気下に保った。
【0045】
先ず,ヒータの温度設定を35℃とし,12時間静置して収納容器内のGaを溶融させた。次に,冷却プレートの冷却パイプに水温15℃の冷却水を通液し,12時間かけて溶融Gaを容器本体の底部から上方に向かって徐々に凝固させた。凝固確認後,ヒータの温度設定を50℃とし,12時間静置し,再融解を行った。その後,給気パイプを通じて窒素高圧ガスを容器本体内の上部空間に給気し,パイプ16を通じて100gずつ秤量してGaを450個に分けて得た。またこのとき約5kgのガリウムを残置し残液の液面がパイプ16の排出導入口16aより上に位置するようにした。このときの秤量後のGaの不純物濃度を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
(実施例2)
上記実施例1の操作と同様に,冷却プレートの冷却パイプに水温15℃の冷却水を通液し,12時間かけて溶融Gaを容器本体の底部から上方に向かって徐々に凝固させた。汚染防止に吸気パイプを閉管後,クリーンルーム室外の倉庫へ10m程運搬し,半日保管し,再びクリーンルーム内に運搬した後,ヒータの温度設定を50℃とし,12時間静置し,再融解を行った。その後,給気パイプを通じて窒素高圧ガスを容器本体内の上部空間に給気し,パイプを通じて100gずつ秤量してGaを400個に分けて得た。またこのとき約1kgのガリウムを残置した。このときの秤量後のGaの不純物濃度を表1に示す10回行った。秤量して得たガリウムは,表1のものと同等であった。この操作を同一容器にて10回繰り返したが,秤量して得たガリウムは,表1のものと同等であった。同じ操作を繰り返し行っても,常に汚染が防止できた。
【0048】
(実施例3)
実施例1のように溶融ガリウムを容器本体に入れた。容器本体の側面に磁気攪拌機を配設して攪拌しながら,冷却プレートの冷却パイプに水温15℃の冷却水を通液し,12時間かけて溶融ガリウムを容器本体の底部から上方に向かって徐々に凝固させた。凝固を確認後,ヒータの温度設定を50℃とし,12時間静置し,再融解を行った。その後,給気パイプを通じて窒素高圧ガスを容器本体内の上部空間に給気し,パイプを通じて100gずつ秤量してガリウムを450個に分けて得た。またこのとき約5kgのガリウムを残置した。このときの秤量後のガリウムの不純物濃度,残置ガリウムの不純物濃度を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば,容器に収納されたGaを安定した高純度で取り出すことができ,高純度で精製されたガリウムを各工程間などで汚染することなく保管,搬送等することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる収納容器の構造を説明するための縦断面図である。
【図2】Gaの上方に不純物をより多く含んだGaの層が形成された状態の説明図である。
【図3】容器本体内の溶融ガリウムを攪拌する磁石の説明図である。
【図4】不純物をより多く含んだGaの層が容器本体の底部に移動した状態の説明図である。
【符号の説明】
1 収納容器
10 容器本体
11 ライニング
15 蓋
16 Ga取り出し用のパイプ
17 給気パイプ
18 上部空間
19 窓
20 ヒータ
21,22,23 バンドヒータ
25 冷却プレート
26 冷却パイプ
27 磁石
Claims (12)
- 容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で静置し,容器の底部から上部に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,その後,静置した状態で加熱してガリウムを再び溶融させ,容器内底部から溶融ガリウムを取出すことを特徴とする,ガリウムの取り出し方法。
- 容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で攪拌し,容器の底部から上部に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,その後,静置した状態で加熱してガリウムを再び溶融させ,容器内底部から溶融ガリウムを取出すことを特徴とする,ガリウムの取り出し方法。
- 溶融ガリウムを秤量しながら容器から取出すことを特徴とする,請求項1又は2のガリウムの取出し方法。
- 容器内の溶融ガリウム中に挿入されたパイプの先端開口部を容器内部に配置した状態で,容器内の上部空間に気体を圧入して溶融ガリウムの液面を押し下げることにより,先端開口部からパイプ内に溶融ガリウムを流入させて,溶融ガリウムを取出すことを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかのガリウムの取り出し方法。
- 容器内の溶融ガリウムを全て取出さず,容器内に一定量のガリウムを残置することを特徴とする,請求項1,2,3又は4のいずれかのガリウムの取出し方法。
- 請求項1,2,3,4又は5のいずれかのガリウムの取出し方法に用いられる容器であって,少なくとも容器の底面または側面は熱伝導可能な面に構成され,ガリウム取出し用のパイプの先端開口部が容器内底部近傍に配置され,他端開口部が容器外に配置されたパイプと,容器内の上部空間に気体を圧入する手段を備えることを特徴とする,ガリウムの収納容器。
- 容器内部を覗くための窓を備えることを特徴とする,請求項6のガリウムの収納容器。
- 容器の側面周囲にヒーターが装着されていることを特徴とする,請求項6又は7のガリウムの収納容器。
- 容器内に収容された溶融ガリウムを攪拌する攪拌機構を有することを特徴とする,請求項6,7又は8のいずれかのガリウムの収納容器。
- 容器は,伝熱性が良く,ガリウムと反応しない材質で構成されることを特徴とする,請求項6,7,8又は9のいずれかのガリウムの収納容器
- 請求項6,7,8,9又は10のいずれかのガリウムの収納容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で静置し,容器の底部から上方に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,凝固させた状態で保管する,ガリウムの保管方法。
- 請求項6,7,8,9又は10のいずれかのガリウムの収納容器に収納されたガリウムを,溶融した状態で静置し,容器の底部から上方に向かって徐々に凝固させていくことにより不純物を上方に集め,凝固させた状態で運搬する,ガリウムの運搬方法。
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