JP4660652B2 - 血液試料における特定成分の濃度測定方法および濃度測定装置 - Google Patents

血液試料における特定成分の濃度測定方法および濃度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、血球を含む血液試料中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を測定する技術に関する。
血液試料中の特定成分、たとえばグルコースの濃度を測定する方法としては、電極法と呼ばれる方法がある。この方法は、血液試料中のグルコース濃度に相関した情報を、血液試料に接触させた電極に出力させ、この出力に基づいてグルコース濃度を演算する方法である。電極法は、平衡点法(エンドポイント法)および微分法(レート法)に大別することができる。平衡点法は、電極からの出力の経時的変化が一定値に漸近するときの平衡値に基づいて、グルコース濃度を演算する方法である。一方、微分法は、出力をn回微分(nは正の整数)したときの極値に基づいて、グルコース濃度を演算する方法である。
一般的な電極法においては、血液試料として血球を含んだ全血を用いる場合には、血球の影響を受けて測定値が低値化することが知られている。そのため、血液中のグルコース濃度を測定する場合には、全血を遠心分離して血球を除去した血漿(または血清)が血液試料として用いられている。この方法では、血液試料を調製するために遠心分離が必要となって操作が煩雑化するとともに、試料の調製も含めた測定操作の全体に要する時間が長くなるといった問題がある。このような問題を解決しようとするものとして、平衡点法における演算結果と微分法における演算結果とを関連付ける方法が考えられている(たとえば特許文献1−3参照)。
特許文献1に開示された方法は、全血を希釈したものを血液試料として使用する場合において、血球の存在により見かけの希釈率が真の希釈率と異なっていることに着眼したものである。この方法では、微分法においてグルコース濃度を演算する場合には、極大値に対応する出力を得るまでの間に、血球内から血球外に拡散されるグルコースの量は無視できるほど小さいとの前提に立っている。これに対して、特許文献2および特許文献3に開示された方法は、微分法においてグルコース濃度を演算する場合に、極大値に対応する出力を得るまでの間に、血球外に拡散されるグルコースの総量を考慮したものである。血球外に拡散されたグルコースの総量は、ヘマトクリット(赤血球の割合)に関連付けられている。
上述したいずれの方法においても、測定精度を低下させる原因をヘマトクリットに求め、その影響を極力排除した演算方法を確立しようとている。その結果、従来の方法においては、血液中のグルコース濃度が比較的に低い場合(たとえば400mg/dL以下)には、血漿(または血清)を用いてグルコース濃度を測定した場合との相関性が改善されている。その反面、血液中のグルコース濃度が比較的に高い場合(たとえば500mg/dL以上)には、血漿(または血清)を用いてグルコース濃度を測定した場合との相関性が低く、依然として測定値が低値化する傾向にある。そのため、上述した方法では、高濃度域における測定精度、ひいては測定レンジに関して改善の余地があった。
特公平7−37991号公報 特開平9−33533号公報 特開平9−318634号公報
本発明は、遠心分離などの煩雑な操作を行うことなく、血球を含んだ血液試料中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を、高濃度域(たとえばグルコースの場合で500mg/dL程度)において精度良く測定できるようにし、測定レンジを広く確保できるようにすることを目的としている。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、血球を含んだ血液試料(たとえば全血)における特定成分の濃度は、微分法により求めた濃度と平衡点法により求めた濃度とに関連付けて、血液試料における血球成分の割合とは無関係な式として表現できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明では、血球を含む血液試料中の特定成分の濃度を、上記特定成分の濃度に相関させた変数に基づいて演算する演算ステップを含み、上記演算ステップにおいては、上記血液試料から血球成分を除去した状態での血漿での濃度(S)と、上記血液試料を用いて微分法により求めた濃度(DI)と、上記血液試料を用いて平衡点法により求めた濃度(EP)と、を、血液試料に含まれる血球成分の割合を変数として含まない関係式で表現し、その関係式を用いて特定成分の濃度を演算する、血液試料における特定成分の濃度測定方法であって、上記特定成分はグルコースであり、上記関係式は、血漿での濃度(S)を、血漿での濃度(S)と微分法での濃度(DI)との間の差分値(S−DI)と、血漿での濃度(S)と平衡点法での濃度(EP)との間の差分値(S−EP)と、の比((S−DI)/(S−EP))に関連付けた下記数式1を血漿での濃度(S)について解いたものであり、下記数式2によって表現されるものであることを特徴とする、血液試料における特定成分の濃度測定方法が提供される。
Figure 0004660652
Figure 0004660652
演算ステップは、たとえば上記特定成分と電子授受を行う検知媒体から、電子授受量に相関した出力値を得る一方で、この出力値の経時的変化が一定値に漸近するときの平衡値に基づいて、平衡点法により特定成分の濃度(EP)を演算する第1演算ステップと、上記出力値が上記平衡値に達するまでの間において、上記出力値の経時的変化を示す曲線のn回微分値(nは正の整数(好ましくはnは1または2))における極大値に基づいて、微分法により上記特定成分の濃度(DI)を演算する第2演算ステップと、を含んでいる。
検知媒体には、たとえば電極法においては電極自体または電極を含むバイオセンサが該当し、比色法においては色素などの発色剤が該当する。ここで、電極法においては、たとえば検知媒体からの出力は、検知媒体に対して刺激(たとえば電気的物理量(電圧など))を与えたときの応答(たとえば電気的物理量(電流値など))として取得することができる。一方、比色法においては、検知媒体(発色剤)に対して光を照射したときの反射光または透過光の光量として検知媒体(発色剤)からの出力を得ることができる。
本発明の第2の側面においては、血球を含む血液試料中の特定成分の濃度を測定するための装置であって、上記特定成分の濃度を反映した応答値を測定するための測定手段と、上記応答値に基づいて上記特定成分の濃度を演算するための演算手段と、を備えた濃度測定装置において、上記演算手段は、上記血液試料から血球成分を除去した状態での血漿での濃度(S)と、上記血液試料を用いて微分法により求めた濃度(DI)と、上記血液試料を用いて平衡点法により求めた濃度(EP)と、の関係式であって、上記血液試料に含まれる血球成分の割合を変数として含まない関係式を用いて特定成分の濃度を演算するように構成されており、上記特定成分はグルコースであり、上記関係式は、血漿での濃度(S)を、血漿での濃度(S)と微分法での第1濃度(DI)との間の差分値(S−DI)と、血漿での濃度(S)と平衡点法での第2濃度(EP)との間の差分値(S−EP)と、の比((S−DI)/(S−EP))に関連付けた下記数式1を血漿での濃度(S)について解いたものであり、下記数式2によって表現されるものであることを特徴とする、濃度測定装置が提供される。
Figure 0004660652
Figure 0004660652
より具体的には、上記演算手段は、たとえば上記応答値が一定値に漸近するときの平衡値に基づいて第1濃度(EP)を演算するとともに、上記応答値の経時的変化の曲線をn
回微分(nは正の整数)したときの極大値に基づいて第2濃度(DI)を演算し、かつ下
記数式1を血漿での濃度(S)について解いた下記数式2にしたがって最終的な濃度(S)を演算するように構成される。
測定手段は、たとえば特定成分と検知媒体との間の電子授受量として測定するように構成される。測定手段は、検知媒体に対して刺激(たとえば電位差)を与えたときの応答(電流値)を測定するように構成される。より具体的には、測定手段は、たとえば検知媒体としてのセンサ部と、応答を電流値として測定するための電流値測定部と、を有するものとされる。
本発明の濃度測定装置は、たとえば全血を希釈して血液試料を調製するための調製槽をさらに備えたものとして構成される。その一方で、センサ部を酸化還元酵素が固定化されたものとして構成する場合には、センサ部は、少なくとも一部が調製槽の内部に臨むように配置される。
なお、本発明においては、特段の制限がない限りは、血液試料という場合には、少なくとも全血、全血の希釈液、全血を遠心分離したときの上澄み、この上澄みの希釈液を含んでいる。
図1に示したグルコース濃度測定装置1は、全血を用いてグルコース濃度を測定するものであり、測定ユニット2において血球を含む血液試料(全血の希釈液)中のグルコース濃度に応じた情報を得るように構成されている。測定ユニット2は、反応槽20、センサ部21、電源22および電流値測定部23を有している。
反応槽20は、全血と緩衝液を混合して血液試料を調製する場を提供するとともに、センサ部21に対して血液試料に含まれるグルコースを接触させる場を提供するためのものである。グルコース濃度測定装置1においては、反応槽20に対して全血および緩衝液が自動的に供給され、反応槽20からは測定終了後の血液試料(廃液)が排出されるように構成されている。反応槽20に対しては、先に緩衝液が供給され、その後に全血が供給される。反応槽20に対する全血の供給は、サンプラー(図示略)のノズル30を介して行われる。全血の供給量は、たとえば4〜20μLに設定される。反応槽20に対する緩衝液の供給はポンプ31の動力を利用して行われ、反応槽20からの廃液の排出はポンプ32の動力を利用して行われる。反応槽20に対して緩衝液を供給し得る状態と供給し得ない状態とはバルブ33の開閉によって選択され、反応槽20から廃液を排出し得る状態と排出し得ない状態とはバルブ34の開閉によって選択される。
反応槽20には、攪拌子35が収容されている。この攪拌子35は、反応槽20に緩衝液と全血とを供給したときに、それらを攪拌・混合するためのものであり、スターラ36によって回転させられるものである。
センサ部21は、血液試料におけるグルコースとの電子授受量に応じた電気的物理量を出力するものであり、繰り返し使用可能なように構成されている。このセンサ部21は、図面上には表れていないが、電極を有している。この電極は、反応槽20の内部に臨むものであり、たとえば酵素固定化層および電極を有している。酵素固定化層は、たとえばグルコースオキシダーゼ(GOD)またはグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を含んだものとして構成される。一方、電極の構成は、酵素固定化層に含まれる酵素の種類に応じて選択される。たとえば、酵素としてGODを用いる場合には、電極として過酸化水素電極が使用される。
電源22は、センサ部21の電極に対して電圧を印加するためのものである。電源22としては、たとえば直流電源が使用され、電極に対する印加電圧は、たとえば100〜500mVに設定される。
電流値測定部23は、センサ部21の電極とグルコースとの間の電子授受量を電流値として測定するためのものである。ここで、酵素としてGODが使用され、電極として過酸化水素電極が使用される場合を考えると、センサ部21の酵素固定化層においては、GODの作用によってグルコースがグルコン酸と過酸化水素に分解される。過酸化水素は、センサ部21の電極に対する電圧の印加によって還元され、陽極に電子を供与して酸素と水素イオンに分解される。このとき、陽極に供与された電子量は、電流値測定部23において電流値として測定される。電流値測定部23では、反応槽20に全血が供給された時点を0とすれば、図3に例示したようなタイムコースとして電流が測定される。
図2に示したように、グルコース濃度測定装置1は、制御部4および演算部5をさらに備えている。
制御部4は、各部の動作を制御するためのものである。より具体的には、制御部4は、ノズル30の移動および全血の吸引・吐出動作、ポンプ31,32の動作、バルブ33,34の開閉動作、スターラ36(攪拌子35(図1参照)の回転あるいは非回転)を制御する。この制御部4はさらに、測定ユニット2の動作をも制御する。より具体的には、制御部4は、図1に示した電源22を制御してセンサ部21の電極に電圧が印加される状態と印加されない状態とを選択し、電流値測定部23を制御して、電流値を測定するタイミングを制御する。電流値測定部23は、たとえば50〜200μsecの間隔で繰り返し電流値を測定するように制御部4によって測定動作が制御される。
一方、図2に示した演算部5は、電流値測定部23(図1参照)における測定結果に基づいて、全血中のグルコース濃度を演算するためのものである。この演算部5は、演算に必要なプログラムを記憶したものであり、その動作は制御部4によって制御される。本実施の形態においては、演算部5は、下記数式2として示した演算式に基づいて全血中のグルコース濃度(S)の演算を行うように構成されている。
Figure 0004660652
数式2において、aおよびbは定数、EPは平衡点法において演算したグルコース濃度、DIは微分法において演算したグルコース濃度である。
数式2は、血球を含んだ血液試料(たとえば全血)におけるグルコースの濃度を、微分法により求めた濃度(DI)と、平衡点法により求めた濃度(EP)に関連付けて、血液試料における血球の割合(Hct(%))とは無関係な式として表現したものである。ここで、平衡点法および微分法について簡単に説明し、併せて数式2を算出する根拠について説明しておく。
図1に示した電流値測定部23においては、図3に示したようなタイムコースの電流が観測されるのは上述した通りである。より具体的には、電流値(I)は、図1に示した反応槽20において全血を供給した時点から上昇し、一定時間の経過後に平衡値(IEP)に漸近する。平衡値(IEP)の大きさは、検体中のグルコース濃度に相関している。したがって、平衡値(IEP)とグルコース濃度との関係を示す検量線を予め調べておくことで、平衡値(IEP)に基づいてグルコース濃度を演算(EP)することができる。これが平衡点法である。一方、微分法は、電流値のタイムコースをn回微分したときの極大値に基づいてグルコース濃度を演算する方法である。たとえば、図3に電流値の一次微分値(dI/dt)のタイムコースを示したが、このタイムコースの極大値(IDI)は、電流値(I)の変化速度の最大値、すなわち反応初速度の最大値に対応している。この最大値はグルコース濃度に相関しているため、一次微分法では一次微分値(dI/dt)の極大値(IDI)に基づいてグルコース濃度(DI)を演算することができる。
ここで、図4として、血漿状態(ヘマトクリット(Hct)=0(%))でのグルコース濃度(CGL)が同一で、Hct(%)が異なる複数の血液サンプルについて、平衡点法により求めたグルコース濃度(CEP)および微分法により求めたグルコース濃度(CDI)を、ヘマトクリット(Hct(%))との関係としてその一例を示した(特許文献1,2参照)。図4においては、血漿状態(Hct=0(%))でのグルコース濃度(CGL)を同時に示してある。
図4から分かるように、微分法により求めたグルコース濃度(CDI)および平衡点法により求めたグルコース濃度(CEP)は、Hct(%)の値が大きくなるにしたがって比例的に小さくなり、血漿でのグルコース濃度(CGL)(Hct=0(%))からのずれ((CGL−CDI)、(CGL−CEP))が比例的に大きくなる。そのため、血漿でのグルコース濃度(CGL)からの微分法により求めたグルコース濃度(CDI)のずれ量(CGL DI )と、血漿でのグルコース濃度(CGL)からの平衡点法により求めたグルコース濃度(CEP)のずれ量(CGL−CEP)と、の比((CGL−CDI)/(CGL−CEP))は、一定となり、血漿でのグルコース濃度(CGL)が同一である場合にはHct(%)とは無関係となる。
図4に示した例は、同一のグルコース濃度(CGL(=定数))を有する血液サンプルについてグルコース濃度を測定した結果であるが、上述のずれ量の比((CGL−CDI)/(CGL−CEP))の関係は、血液サンプル中の(血漿での)グルコース濃度(CGL)が同一である限りは、そのグルコース濃度(CGL)において、グルコース濃度の大小を問わず成立するものである。
その一方で、本発明者らは、血漿でのグルコース濃度を変化させた場合において、そのときのずれ量の比が、血漿でのグルコース濃度と、どのような関係があるかを検討した。より具体的には、グルコース濃度が異なる複数の全血について、(一次)微分法および平衡点法によりグルコース濃度(DI,EP)の測定する一方で、上記複数の全血について、遠心分離により得られる血漿のグルコース濃度(S)を測定した。そして、各々のグルコース濃度の測定から上述のずれ量の比((S−DI)/(S−EP))を演算した。その結果については、図5に示した。
なお、微分法によるグルコース濃度(DI)、平衡点法によるグルコース濃度(EP)、および血漿でのグルコース濃度(S)の演算に必要な電流値については、全自動グルコース濃度測定装置「GA−1160」(アークレイ株式会社製)において得られる電流値に基づいて把握した。
図5から分かるように、上述のずれ量の比((S−DI)/(S−EP))は、測定した範囲において、1以上の値で推移し、かつ血漿でのグルコース濃度(S)が大きくなるにしたがって略比例的に小さくなっている。このことは同時に、血漿でのグルコース濃度(S)が大きくなるにしたがって、微分法によるグルコース濃度(DI)のほうが、平衡点法によるグルコース濃度(EP)に比べて、血漿でのグルコース濃度(S)からのずれ量が小さく、かつ、その変化割合が大きくなることを意味している。これと同時に、ずれ量の比((S−DI)/(S−EP))は、下記数式1として示したように、血漿でのグルコース濃度(S)の1次関数として近似できることを意味している。
Figure 0004660652
ここで、図5のプロット点を最小2乗法により直線近似した場合には、a=−0.00037、b=1.83130となる。
そして、上記数式1を血漿でのグルコース濃度(S)について解くと、上記数式2を得ることができる。
本発明では、血漿でのグルコース濃度(S)を、微分法により求めた濃度と平衡点法により求めた濃度とに関連付けることにより、演算部5において採用される演算式(上記数式2)がヘマトクリットとは無関係な式として表現されている。そのため、本発明では、ヘマトクリット(Hct(%))の大きさに関係なく、比較的に高濃度(500〜10000mg/dL)な血液試料であっても、精度良く濃度測定を行うことができ、ひいては測定レンジを大きく確保することが可能となる。この点については、後述する実施例においても明らかとなる。
[実施例]
以下においては、数式2により演算したグルコース濃度が、比較的高濃度域(500〜12000mg/dL)においても、血漿中のグルコース濃度に良好に相関し、数式2を利用した演算手法によれば測定レンジを大きく確保できることを実証する。
本実施例においては、グルコース濃度が異なる複数の全血について、数式2(本案演算式)、下記数式3(従来演算式)、および平衡点法にしたがってグルコース濃度を測定した。ただし、上記数式2においては、aおよびbについては、図5に示した測定結果から得られる値(a=−0.00037、b=1.831309)を用い、下記数式3においては、K1=0.68、K2=5.07とした。
Figure 0004660652
一方、リファレンスとして、上記複数の全血について、遠心分離により得られた複数の血漿についてグルコース濃度を測定した。また、血漿のグルコース濃度については、全自動グルコース濃度測定装置「GA-1160」(アークレイ株式会社製)を用いて測定した。上記数式2(本案演算式)、上記数式3(従来演算式)、および平衡点法による演算に必要な測定電流値の平衡値(IEP)、測定電流値を1回微分したときの極大値(IDI)については、上記複数の全血に関して「GA-1160」を用いて測定される電流値に基づいて把握した。
各々の測定手法における測定結果については、図6に示した。この図から分かるように、平衡点法により演算したグルコース濃度は、血漿グルコース濃度から大きく乖離している。数式3(従来演算式)に基づいて演算したグルコース濃度は、平衡点法に比べて、血漿グルコース濃度との相関性が良いものの、高濃度域(400mg/dL以上)において血漿グルコース濃度から乖離し、その乖離の程度はグルコース濃度が大きくなるほど大きくなっている。
これに対して、数式2(本案演算式)に基づいて演算したグルコース濃度は、高濃度域(500〜12000mg/dL)も含めて血漿グルコース濃度との相関性が高い。したがって、数式2(本案演算式)に基づいてグルコース濃度を演算すれば、高濃度域での測定精度が向上し、測定レンジを大きく確保できることが分かる。
本発明は、上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、本実施の形態では、上述のずれ量の比(S−DI)/(S−EP)を、血漿でのグルコース濃度(S)に1次関数として相関させていたが、それ以外の関数として相関させてもよい。
また、先に説明したグルコース濃度測定装置1においては、測定ユニット2のセンサ部21が電極法を利用して繰り替し使用可能なように構成されているが、血液試料中のグルコース濃度に相関させた出力を得るための構成は、先に説明した測定ユニット2の構成には限定されない。たとえば、本発明は使い捨てのグルコースセンサを使用してグルコース濃度を測定する場合、あるいは比色によりグルコース濃度を測定する場合にも適用することができる
本発明に係るグルコース濃度測定装置を、一部を断面として示した概略構成図である。 図1に示したグルコース濃度測定装置のブロック図である。 図1および図2に示した測定ユニットにおいて測定される電流値の経時的変化および電流値の一次微分値の経時的変化の一例を示すグラフである。 血漿グルコース濃度(CGL)、平衡点法により演算したグルコース濃度(CEP)および(一次)微分法により演算したグルコース濃度(CDI)と、ヘマトクリット(Hct)との関係を示すグラフである。 血漿でのグルコース濃度と、血漿でのグルコース濃度からの一次微分法および平衡点法でのグルコース濃度のずれ量の比と、の関係を調べた結果を示すグラフである。 血漿グルコース濃度に対する、各種演算式によって演算したグルコース濃度との相関性を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 血球を含む血液試料中の特定成分の濃度を、上記特定成分の濃度に相関させた変数に基づいて演算する演算ステップを含み、上記演算ステップにおいては、上記血液試料から血球成分を除去した状態での血漿での濃度(S)と、上記血液試料を用いて微分法により求めた濃度(DI)と、上記血液試料を用いて平衡点法により求めた濃度(EP)と、を、血液試料に含まれる血球成分の割合を変数として含まない関係式で表現し、その関係式を用いて特定成分の濃度を演算する、血液試料における特定成分の濃度測定方法であって、
    上記特定成分はグルコースであり、
    上記関係式は、
    血漿での濃度(S)を、血漿での濃度(S)と微分法での濃度(DI)との間の差分値(S−DI)と、血漿での濃度(S)と平衡点法での濃度(EP)との間の差分値(S−EP)と、の比((S−DI)/(S−EP))に関連付けた下記数式1を血漿での濃度(S)について解いたものであり、下記数式2によって表現されるものであることを特徴とする、血液試料における特定成分の濃度測定方法
    Figure 0004660652
    Figure 0004660652
  2. 上記演算ステップは、
    上記特定成分と電子授受を行う検知媒体から、電子授受量に相関した出力値を得る一方で、この出力値の経時的変化が一定値に漸近するときの平衡値に基づいて、平衡点法により特定成分の濃度(EP)を演算する第1演算ステップと、
    上記出力値が上記平衡値に達するまでの間において、上記出力値の経時的変化を示す曲線のn回微分値(nは正の整数)における極大値に基づいて、微分法により上記特定成分の濃度(DI)を演算する第2演算ステップと、
    を含んでいる、請求項1に記載の濃度測定方法。
  3. 上記第2演算ステップにおけるn回微分値として、微分回数が1回または2回のものを使用する、請求項2に記載の濃度測定方法。
  4. 上記検知媒体からの出力値は、上記検知媒体に対して刺激を与えたときに応答として取得する、請求項に記載の濃度測定方法。
  5. 上記刺激を電位差として与える一方で、上記応答を電流値として得る、請求項4に記載の濃度測定方法。
  6. 上記血液試料は、全血を希釈したものである、請求項に記載の濃度測定方法。
  7. 血球を含む血液試料中の特定成分の濃度を測定するための装置であって、
    上記特定成分の濃度を反映した応答値を測定するための測定手段と、上記応答値に基づいて上記特定成分の濃度を演算するための演算手段と、を備えた濃度測定装置において、
    上記演算手段は、上記血液試料から血球成分を除去した状態での血漿での濃度(S)と、上記血液試料を用いて微分法により求めた濃度(DI)と、上記血液試料を用いて平衡点法により求めた濃度(EP)と、の関係式であって、上記血液試料に含まれる血球成分の割合を変数として含まない関係式を用いて特定成分の濃度を演算するように構成されており、
    上記特定成分はグルコースであり、
    上記関係式は、
    血漿での濃度(S)を、血漿での濃度(S)と微分法での第1濃度(DI)との間の差分値(S−DI)と、血漿での濃度(S)と平衡点法での第2濃度(EP)との間の差分値(S−EP)と、の比((S−DI)/(S−EP))に関連付けた下記数式1を血漿での濃度(S)について解いたものであり、下記数式2によって表現されるものであることを特徴とする、濃度測定装置
    Figure 0004660652
    Figure 0004660652
  8. 上記演算手段は、上記応答値が一定値に漸近するときの平衡値に基づいて第2濃度(EP)を演算するとともに、上記応答値の経時的変化の曲線をn回微分(nは正の整数)したときの極大値に基づいて第1濃度(DI)を演算する、請求項に記載の濃度測定装置。
  9. 上記測定手段は、上記応答値を上記特定成分と検知媒体との間の電子授受量として測定するように構成されている、請求項に記載の濃度測定装置
  10. 上記測定手段は、上記応答値を、上記検知媒体に対して刺激を与えたときに測定するように構成されている、請求項9に記載の濃度測定装置。
  11. 上記測定手段は、上記刺激を電位差として与える一方で、上記応答を電流値として測定するように構成されている、請求項10に記載の濃度測定装置。
  12. 上記測定手段は、上記特定成分との間で電子授受を行う上記検知媒体としてのセンサ部と、電流値を測定するための電流値測定部と、を有している、請求項11に記載の濃度測定装置。
  13. 上記センサ部は、酸化還元酵素が固定化されたものである、請求項12に記載の濃度測定装置。
  14. 全血を希釈して血液試料を調製するための調製槽をさらに備えており、
    上記センサ部は、少なくとも一部が上記調製槽の内部を臨むように配置される、請求項12に記載の濃度測定装置。
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