JP5001220B2 - 基質濃度測定装置と方法およびプログラム - Google Patents

基質濃度測定装置と方法およびプログラム Download PDF

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Description

この発明は、ヘマトクリット値を測定でき、また、グルコース濃度等の基質濃度を測定できる測定装置と方法およびプログラムに関する。
医療分野、医学研究分野において、血糖値の測定が必要とされ、そのために種々の測定方法が提供され、実施されている。第1の方法としては、酵素であるグルコースオキシダーゼを固定化した膜と、2極の酸素電極を組み合わせたセンサを用いた測定方法である酸素電極法が実用化されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。この測定方法で血糖値を測定する場合、血液を遠心分離して得られる血漿または血清を緩衝液により希釈し、その溶液中のグルコース、酸素、および水を、膜に固定化したグルコースオキシダーゼと反応させることにより消費した酸素を酸素電極の出力として検出し、グルコース分解反応加速度(酸素消費加速度)を測定する。
この方法では、グルコースオキシダーゼが固定化してある電極(Sig電極)とグルコースを失活させた電極(Ref電極)によって得られる酸素変化量を比較することにより、グルコースオキシダーゼとグルコースとの反応による酸素量の変化とそれ以外の酸素量の変化を個別に検出し、正確なグルコース濃度を算出する方法を用いている。
第2の方法としては、酵素であるグルコースオキシダーゼを固定化した膜と、過酸化水素電極を用いたアンペロメトリー法がある。この測定方法は、反応で生成する過酸化水素を測定するものであり、全血状態での測定が可能である(たとえば、下記特許文献2参照。)。
特許第3686114号公報 特許第3700140号公報
遠心分離を行うことなく短時間で血糖値を測定するためには、全血状態で測定することが望ましい。上記の第1の方法では全血試料を緩衝液で希釈し、その液体中のグルコースを測定することになるが、全血中の固形成分(主に血球)の量(体積)が未知であるため真のグルコース濃度(血糖値)を求めることができない。また、血球(赤血球)内のヘモグロビンの酸素結合による酸素消費が大きく、Sig電極とRef電極における出力の加速度の差を用いてはいるがこの妨害を回避することができず、正確なグルコース濃度を算出することができない。
また、第2の方法では、電極を構成している膜が過酸化水素の透過に対して特異性がないため、薬剤等の共存物質の影響を受けやすい。また、第1の方法に比して電極の寿命が短い。このように、従来の測定においては、それぞれが課題を有していた。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡単な構成により全血状態でヘマトクリット値および基質濃度を測定できる基質濃度測定装置と方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる基質濃度測定装置は、全血状態の試料溶液を酵素固定化膜が設けられた2つの電極を用い、うち一方の電極側の酵素活性を失活させた酸素電極を有するセンサと、前記センサの2つの電極の出力のそれぞれの加速度の最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から当該2つの電極の出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を検出し、検出された当該時間に基づきヘマトクリット値を得るヘマトクリット測定手段と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、2つの電極を有するセンサを用いた酸素電極法による測定において、それぞれの電極の出力の加速度として最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を計測するだけでヘマトクリット値を容易に得ることができる。
また、前記ヘマトクリット測定手段は、前記検出された時間を予め既知濃度の全血により得た定数、および既知基質濃度溶液を用いたキャリブレーションに基づき補正することを特徴とする。
この発明によれば、得られた時間を補正してより正確なヘマトクリット値を得られるようになる。
また、前記センサの2つの電極の出力のそれぞれが定常となったときの値を検出し、検出された当該出力値の差分に基づいてグルコース濃度を算出するヘマトクリット含有グルコース濃度測定手段と、前記ヘマトクリット含有グルコース濃度測定手段により得たグルコース濃度と、前記ヘマトクリット測定手段により得られたヘマトクリット値とが入力され、全血中におけるヘマトクリット値とグルコース濃度との関係に基づいて、全血状態におけるグルコース濃度を算出するグルコース濃度算出手段と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、試料が全血状態のままでグルコース濃度を算出できるようになる。特に、2つの電極を用いた方法で全血状態のまま測定が行えるため、GOD電極法(うち酸素電極法)の利点を活かしつつ、簡単な算出処理でグルコース濃度を得ることができる。
また、この発明の基質濃度測定方法は、全血状態の試料溶液を酵素固定化膜が設けられた2つの電極のうち一方の電極側の酵素活性を失活させた酸素電極を有するセンサの出力を受けて、当該2つの電極の出力のそれぞれの加速度の最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から当該2つの電極の出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を検出し、検出された当該時間に基づきヘマトクリット値を得るヘマトクリット測定工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、2つの電極を有するセンサを用いた酸素電極法酸素電極法による測定において、それぞれの電極の出力の加速度として最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を計測するだけでヘマトクリット値を容易に得ることができる。
また、前記ヘマトクリット測定工程は、前記検出された時間を予め既知濃度の全血により得た定数、および既知基質濃度溶液を用いたキャリブレーションに基づき補正することを特徴とする。
この発明によれば、得られた時間を補正してより正確なヘマトクリット値を得られるようになる。
また、前記センサの2つの電極の出力のそれぞれが定常となったときの値を検出し、検出された当該出力値の差分に基づいてグルコース濃度を算出するヘマトクリット含有グルコース濃度測定工程と、前記ヘマトクリット含有グルコース濃度測定工程により得たグルコース濃度と、前記ヘマトクリット測定工程により得られたヘマトクリット値とが入力され、全血中におけるヘマトクリット値とグルコース濃度との関係に基づいて、全血状態におけるグルコース濃度を算出するグルコース濃度算出工程と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、試料が全血状態のままでグルコース濃度を算出できるようになる。特に、2つの電極を用いた方法で全血状態のまま測定が行えるため、GOD電極法(うち酸素電極法)の利点を活かしつつ、簡単な算出処理でグルコース濃度を得ることができる。
また、この発明のプログラムは、上記のいずれか一つに記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、血液等の検体を遠心分離せずに血液中の血球量に関係なく全血状態のままでヘマトクリット値およびグルコース濃度を測定することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる基質濃度測定装置と方法およびプログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。本発明は、グルコースオキシダーゼ(GOD)電極法のうち、酸素電極法に適用されるものである。
(システム構成)
まず、本実施の形態にかかる基質濃度測定装置のシステム構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基質濃度測定装置のシステム構成を示す説明図である。この発明では、基質濃度としてグルコース濃度の測定を例に説明する。
図1において、基質濃度測定装置100は、試料供給手段101と、緩衝液供給手段102と、試料希釈・測定手段103と、緩衝液排液手段104とを備えて構成されている。
試料供給手段101は、図中X,Y方向に移動自在な可動式クレーン111と、試料を分抽する試料分注ノズル112とを備える。
可動式クレーン111の移動方向上には、反応セル130が設けられている。反応セル130には、たとえば血液等の試料が収容される。試料としては血液に限らず、血漿、血清、尿等も扱うことができる。可動式クレーン111を移動させた後、試料分注ノズル112内の試料が反応セル130に所定量供給される。
試料希釈・測定手段103を構成する反応セル130には、緩衝液供給手段102により試料を希釈する緩衝液が注入可能である。緩衝液は、緩衝液ボトル120に収容されており、緩衝液には、たとえばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液、モノメタノールアミン水溶液、ジエタノールアミン水溶液、トリエタノールアミン水溶液の、硫酸、リン酸、硼酸緩衝液等などや、MOPS、HEPES等のグッド緩衝液が用いられる。緩衝液は、緩衝液ポンプ121により吸引され、給液マニホールド122を介し、気泡検知センサ123にて気泡発生していないか監視されて温度調整機能を有するプレチャンバー105に注入され、同時にプレチャンバー内の緩衝液が緩衝液注入口131を介して反応セル130へ送られる。
反応セル130は、試料が注入される試料注入口132と、緩衝液が注入される緩衝液注入口131と、試料を緩衝液にて希釈するための攪拌空間133と、回転により希釈を行う攪拌子(スターラー)134と、緩衝液で希釈された試料を検出する酸素電極(センサ)135と、排液口136とが設けられている。緩衝液ポンプ121の電磁弁の切り替えにより、検出後の排液は排液口136〜緩衝液ポンプ121〜ウォッシュボトル137の経路を介して排液される。
サンプルポンプ124は洗浄液の供給を行う。洗浄液は、洗浄液ボトル138に収容されている。洗浄液は、給液マニホールド122〜サンプルポンプ124を介して試料分注ノズル112に供給される。
(基質濃度測定装置100のハードウェア構成)
つぎに、基質濃度測定装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施の形態にかかる基質濃度測定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、基質濃度測定装置100は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ディスプレイ204と、ネットワークI/F(インターフェイス)205とを備える。各構成部201〜205のそれぞれは、バス200に接続される。
CPU201は、基質濃度測定装置100の全体の制御を司る。ROM202は、基質濃度測定装置100を起動させるブートプログラムや、測定処理プログラムなどの各種データを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。
ディスプレイ204は、各種データを表示する。ネットワークI/F205は、基質濃度測定装置100と他の情報処理装置とのデータ通信を制御する。
(基質濃度測定装置100の機能構成)
つぎに、基質濃度測定装置100の機能構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる基質濃度測定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、基質濃度測定装置100は、入力部301と、制御部302と、測定処理部303と、タイマ304と、出力部305とを備えている。入力部301には、図1の酸素電極(センサ)135の検出値が入力される。制御部302は、図2に示した各部を所定の手順で動作制御する。測定処理部303は、入力部301に入力された酸素電極135による試料の検出値をタイマ304の計時情報を用いて処理する。この測定処理部303は、ヘマトクリット(Ht)測定部311と、Ht含有グルコース濃度測定部312と、グルコース濃度算出部313とを備えている。
入力部301に入力された試料の検出値は、ヘマトクリット(Ht)測定部311と、Ht含有グルコース濃度測定部312とに出力される。ヘマトクリット(Ht)測定部311は、所定の演算によりヘマトクリット値を測定する。Ht含有グルコース濃度測定部312は、所定の演算によりHt含有グルコース濃度を測定する。測定されたこれらヘマトクリット値と、Ht含有グルコース濃度値は、グルコース濃度算出部313に出力され、グルコース濃度が算出される。算出されたグルコース濃度は、出力部305から出力される。この出力部305は、ヘマトクリット値についても出力する。
上述した各機能部において入力部301および出力部305は、たとえば、ネットワークI/F205によってその機能が実現される。また、制御部302および測定処理部303は、たとえば、CPU201、ROM202およびRAM203によってその機能が実現される。また、出力部305は、たとえば、ディスプレイ204によってその機能が実現される。
図4は、基質濃度測定装置に用いられる酸素電極を示す図である。同図に示す酸素電極135は、金陰極(Ref電極)401および金陰極(Sig電極)402からなる2極電極を備え、金陰極(Ref電極)401および金陰極(Sig電極)402の先端に酸素透過膜403を介してGOD固定化酵素膜404を備えた構造である。たとえば、酸素透過膜403の膜厚は10[μm]、GOD固定化酵素膜404の膜厚は15〜30[μm]である。そして、GOD固定化酵素膜404のうち、金陰極(Ref電極)401側は、失活された失活領域404aとされている。測定に際しては、これら一対の金陰極であるRef電極401とSig電極402との出力の差である差動出力を計測する。
失活領域404aは、GOD固定化酵素膜404に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液にその粘性を増加させるための水溶性高分子物質を添加してなる失活剤を塗布することにより、この部分の酵素を不活性化させる。
このような酸素電極135により、検体(血液)中のグルコースの量を測定する場合には、Sig電極402により、グルコースによる酸素減少と検体中の溶存酸素による酸素濃度変化が検出される。また、Ref電極401により検体中の溶存酸素による酸素濃度変化が検出され、これらの差分をとることにより、検体中の溶存酸素による影響を受けることなく、また被測定物質以外の他の要因による影響もキャンセルされ、検体中のグルコースの量を測定することができる。
(測定処理の手順)
つぎに、基質濃度測定装置100による測定処理の手順について説明する。上述の2極の酸素電極135を用いた測定結果の波形解析により、全血試料中の固形成分の量(ヘマトクリット値)を求め、測定されたグルコース濃度から真の濃度を換算する。また、グルコース濃度測定は、従来のような酸素消費量の加速度ではなく、平衡点に達したときに得られる酸素変化量を直接検出することで求める。
図5は、基質濃度測定装置による測定処理の手順を示すフローチャートである。まず、1.血球量(ヘマトクリット値)の測定を行い、その後、2.試料中のグルコース濃度測定を行う。
1.血球量(ヘマトクリット値)の測定
はじめに、緩衝液を反応セル130に入れ(ステップS501)、攪拌子134を回転させ攪拌させる(ステップS502)。この後、試料である全血(血液)を注入して緩衝液により希釈させ、攪拌子134を回転させて攪拌する(ステップS503)。この後、試料溶液の反応状態(反応の開始−終了)を酸素電極135により検出し、演算を行う(ステップS504)。この演算内容としては、ヘマトクリット値(Ht)の測定(ステップS505)と、ヘマトクリット値(Ht)含有グルコース濃度(EP)の測定(ステップS506)とをそれぞれ行う。
2.試料中のグルコース濃度測定
この後、ステップS505により得られたヘマトクリット値(Ht)と、ステップS506により得られたヘマトクリット値(Ht)含有グルコース濃度(EP)とに基づき、グルコース濃度(Glu)を算出する(ステップS507)。この後、反応セル130内の希釈した試料を排液し(ステップS508)、一連の処理を終了する。ステップS505,S506,S507の各処理の詳細は以下に説明する。
図6は、ヘマトクリット値の測定処理の手順を示すフローチャートである。図5のステップS505の処理の詳細を示す。また、図7は、酸素電極の出力変化を示す図である。図中横軸は時間、縦軸は各電極の出力である。まず、反応セル130内の試料(全血)の測定により、酸素電極135のSig電極402とRef電極401から得られる値をそれぞれ2次微分して、酸素量変化の加速度を求める。この際、Sig電極402とRef電極401の出力値の加速度の最大値(最大加速度)のときの出力の値を求める(ステップS601)。図7に示すように、Sig電極402の加速度の最大値はS、Ref電極401の加速度の最大値はRである。
つぎに、Sig電極402とRef電極401から得られる加速度の値が等しくなる時間tを求める(ステップS602)。開始の時期は、Sig電極402あるいはRef電極401の加速度の最大値S,Rのいずれかを基点としてタイマ304の計測を開始させる。そして、Sig電極402とRef電極401の加速度の値が等しくなるまでの時間tを計測する。この時間tは、血液中の血球成分量に依存する。
つぎに、得られた時間tを下記式(1)を用いて補正した時間Tを求める(ステップS603)。
T=t−a×log{S/(S−R)}+b …(1)
得られた時間tは、加速度の最大値SおよびRの出力により誤差が生じるため、所定の関数で補正する。これにより、ヘマトクリット値をより正確に得ることができるようになる。aおよびbは、予め既知濃度の試料(全血)により得た定数、および測定前に行った既知グルコース濃度溶液の測定(キャリブレーション)により決定される。
つぎに、補正した時間Tを下記式(2)に代入してヘマトクリット値を推定する(ステップS604)。以上の処理により、ヘマトクリット値(Ht)が求められる。
Ht=a’×T2 +b’×T+c’ …(2)
図8は、ヘマトクリット値の対時間変化状態を示す図である。縦軸はヘマトクリット値、横軸は補正後の時間Tである。得られた補正後の時間Tと、ヘマトクリット値との関係は、図8の検量線に示されるように関数となる。a’,b’,c’は、予め既知濃度の試料(全血)より得た定数、および測定前に行った既知グルコース濃度溶液の測定(キャリブレーション)により決定される。
図9は、ヘマトクリット含有グルコース濃度測定の処理手順を示すフローチャートである。図5のステップS506の処理の詳細を示す。また、図10は、酸素電極の出力変化を示す図である(波形は図7と同様である)。はじめに、試料(全血)の測定により、反応(酸素電極135の出力)が定常となったときの出力(sおよびr)を求める(ステップS901)。これらの出力s,rを図10に示す。
つぎに、下記式(3)に、測定で得られた(s−r)を代入してグルコース濃度(EP)を求める(ステップS902)。
EP=c×(s−r)+d …(3)
c,dは、キャリブレーションによって得られる定数である。これにより、ヘモグロビンの酸素吸収による影響(妨害)を回避することができる。
図11は、全血中におけるグルコース濃度を算出する処理内容を示すフローチャートである。図5のステップS507の処理の詳細を示す。また、図12は、全血中におけるヘマトクリットとグルコース濃度との関係を示す図である。横軸はヘマトクリット値、縦軸は全血におけるグルコース濃度である。試料が全血の場合、測定によって得られるグルコース濃度は、ヘマトクリット値(Ht)の増大にしたがい比例的に減少する。これは、ヘマトクリット値に比例して固形成分が増えるためである。
このため、種々のヘマトクリット値(Ht)の試料(全血)の測定により下記式(4)が得られた(ステップS1101)。全血中におけるヘマトクリット値と、グルコース濃度との関係は、図12に示されるように一次関数で示される直線状になる。
Glu=EP/(e×Ht+f) …(4)
eおよびfは、予め既知濃度の試料(全血)より得た定数により決定される。上記式(4)に、前記(2),(3)式で得たヘマトクリット値(Ht)およびグルコース濃度(EP)を代入することにより、ヘマトクリット値に依存を受けない全血状態におけるグルコース濃度(Glu)を求めることができる(ステップS1102)。
以上説明したように、本実施の形態にかかる基質濃度測定装置によれば、血液中の血球量に関係なく全血状態のままでグルコース濃度を測定することができる。これにより、血漿または血清の分離操作を省くことができ、GOD電極法(うち酸素電極法)が有する共存物質の影響を受けにくい利点と、より簡便なグルコース濃度の測定を可能とする。また、本方法は既存の装置、すなわち、酸素電極法による構成を変更することなく測定部の内部演算処理を一部変更するだけで全血状態の試料測定を実施することができる。
なお、上述の実施の形態では、基質濃度として血液中のグルコース濃度の測定について説明したが、これに限らず酸素電極135の膜を変更することにより、他の基質、たとえば乳酸、BUNなどの測定も可能である。
なお、本実施の形態で説明した測定方法は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、RAM、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録され、コンピュータによって記憶媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
以上のように、本発明にかかる基質濃度測定装置と方法およびプログラムは、病院や臨床検査機関などで行われる臨床検査などに利用可能であり、特に、分析前処理にかかる処理時間の短時間化およびコストの低コスト化が要求される臨床検査などへの利用に適している。
本実施の形態にかかる基質濃度測定装置のシステム構成を示す説明図である。 本実施の形態にかかる基質濃度測定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本実施の形態にかかる基質濃度測定装置の機能構成を示すブロック図である。 基質濃度測定装置に用いられる酸素電極を示す図である。 基質濃度測定装置による測定処理の手順を示すフローチャートである。 ヘマトクリット値の測定処理の手順を示すフローチャートである。 酸素電極の出力変化を示す図である。 ヘマトクリット値の対時間変化状態を示す図である。 ヘマトクリット含有グルコース濃度測定の処理手順を示すフローチャートである。 酸素電極の出力変化を示す図である。 全血中におけるグルコース濃度を算出する処理内容を示すフローチャートである。 全血中におけるヘマトクリットとグルコース濃度との関係を示す図である。
符号の説明
100 基質濃度測定装置
101 試料供給手段
102 緩衝液供給手段
103 試料希釈・測定手段
104 緩衝液排液手段
105 プレチャンバー
111 可動式クレーン
112 試料分注ノズル
121 緩衝液ポンプ
122 給液マニホールド
123 気泡検知センサ
124 サンプルポンプ
130 反応セル
131 緩衝液注入口
132 試料注入口
133 攪拌空間
134 攪拌子
135 酸素電極
136 排液口
137 ウォッシュボトル
138 洗浄液ボトル
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 ディスプレイ
205 ネットワークI/F
301 入力部
302 制御部
303 測定処理部
304 タイマ
305 出力部
311 ヘマトクリット(Ht)測定部
312 Ht含有グルコース濃度測定部
313 グルコース濃度算出部
401 Ref電極
402 Sig電極
403 酸素透過膜
404 GOD固定化酵素膜
404a 失活領域

Claims (7)

  1. 全血状態の試料溶液を酵素固定化膜が設けられた2つの電極を用い、うち一方の電極側の酵素活性を失活させた酸素電極を有するセンサと、
    前記センサの2つの電極の出力のそれぞれの加速度の最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から当該2つの電極の出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を検出し、検出された当該時間に基づきヘマトクリット値を得るヘマトクリット測定手段と、
    を備えたことを特徴とする基質濃度測定装置。
  2. 前記ヘマトクリット測定手段は、前記検出された時間を予め既知濃度の全血により得た定数、および既知基質濃度溶液を用いたキャリブレーションに基づき補正することを特徴とする請求項1に記載の基質濃度測定装置。
  3. 前記センサの2つの電極の出力のそれぞれが定常となったときの値を検出し、検出された当該出力値の差分に基づいてグルコース濃度を算出するヘマトクリット含有グルコース濃度測定手段と、
    前記ヘマトクリット含有グルコース濃度測定手段により得たグルコース濃度と、前記ヘマトクリット測定手段により得られたヘマトクリット値とが入力され、全血中におけるヘマトクリット値とグルコース濃度との関係に基づいて、全血状態におけるグルコース濃度を算出するグルコース濃度算出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基質濃度測定装置。
  4. 全血状態の試料溶液を酵素固定化膜が設けられた2つの電極のうち一方の電極側の酵素活性を失活させた酸素電極を有するセンサの出力を受けて、当該2つの電極の出力のそれぞれの加速度の最大値、またはどちらか一方の加速度の最大値が得られた時点から当該2つの電極の出力の加速度の値が等しくなるまでの時間を検出し、検出された当該時間に基づきヘマトクリット値を得るヘマトクリット測定工程を含むことを特徴とする基質濃度測定方法。
  5. 前記ヘマトクリット測定工程は、前記検出された時間を予め既知濃度の全血により得た定数、および既知基質濃度溶液を用いたキャリブレーションに基づき補正することを特徴とする請求項4に記載の基質濃度測定方法。
  6. 前記センサの2つの電極の出力のそれぞれが定常となったときの値を検出し、検出された当該出力値の差分に基づいてグルコース濃度を算出するヘマトクリット含有グルコース濃度測定工程と、
    前記ヘマトクリット含有グルコース濃度測定工程により得たグルコース濃度と、前記ヘマトクリット測定工程により得られたヘマトクリット値とが入力され、全血中におけるヘマトクリット値とグルコース濃度との関係に基づいて、全血状態におけるグルコース濃度を算出するグルコース濃度算出工程と、
    を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の基質濃度測定方法。
  7. 請求項4〜6のいずれか一つに記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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