JP4660293B2 - 光ファイバの浸水判定方法、光ファイバの保守方法 - Google Patents

光ファイバの浸水判定方法、光ファイバの保守方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバへの浸水を判定する方法及びこの方法を用いた光ファイバの保守方法に関する。
光ファイバ内蔵型架空地線(以下、OPGW:OPtical Ground Wireという)は、架空送電線の架空地線の中心部にアルミ管を設けてこのアルミ管内に光ファイバを収容したものであり、既存の送電線網を利用して、光ファイバにより長距離かつ広範囲な大容量の通信システムを構築できる。このため、近年、電力会社においてOPGWは広く採用され、重要な通信回線として用いられるようになっている。
上記のOPGWを用いた通信線には冬季に通信障害が発生することがある。その原因は、OPGWに外力が繰り返し作用することによって上記アルミ管に疲労破断が生じ、そこからアルミ管内部に浸入した水が冬季に凍結するためであると考えられる。すなわち、アルミ管内へ浸入した水が凍結することにより膨張し、光ファイバに局部的に圧力がかかることに起因して生じた光ファイバの微小な曲げ(マイクロベンディング)によって通信障害が起きると考えられるのである。したがって、通信障害を未然に防止するには、OPGWへの浸水箇所を特定してケーブル交換などの対応をとることが必要である。
これに関連して、例えば、特許文献1には、光ファイバに光パルスを入射させることにより発生したラマン散乱光のストローク側と反ストローク側の強度比に基づいて光ファイバの浸水部分と非浸水部分の温度差を測定し、その測定結果に基づいて浸水の有無を検知する方法が開示されている。この方法は、非浸水部分と浸水部分とで日中の温度変動が異なるために両者間に温度差が生じることを前提とするものである。しかしながら、光ファイバに必ずしもそのような温度差が生ずるとは限らず、また、温度差の大きさも環境によって大きく変わるため、特許文献1の方法では、浸水の有無を高い信頼性で検知することは難しいと考えられる。
ところで、非特許文献1には、海底光ケーブルの破損時に、光ファイバ内へ水素分子が拡散することにより、特定波長帯域(1.24μm)の光の伝送損失が増大することが示されている。
特開2003−222565号公報 波平宣敬、「H2による損失増加現象と光海底ケーブルの長期信頼性」、NIKKEI ELECTRONICS 1984, 12.3, p.233−248
本発明者は、OPGWに浸水が生じた場合にも、水とアルミ管との反応によって水素が発生し、その水素が光ファイバ内へ拡散することにより、非特許文献1に開示されるように波長帯域1.24μmでの伝送損失が発生すると考え、そのことを実験的に確かめた。本発明はかかる実験により得られた知見に基づいてなされたものであり、光ファイバへの浸水の有無あるいは浸水の度合いを的確に判定できるようにすることを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明は、光ファイバへの浸水の度合いを判定する方法であって、光ファイバに波長帯域1.24μmの光を入射して伝送損失を測定する工程を、時期を変えて複数回行い、それら複数回の測定値に基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することを特徴とする光ファイバの浸水判定方法。なお、「浸水の度合い」とは、浸水が発生している可能性の高さ、あるいは、浸水が発生している場合にその浸水量の大きさを意味している。
この方法において、前記少なくとも2回の測定値の大小関係に基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することとしてもよい。
また、時期の異なる2回の測定値α及びβに基づき、先の測定で得られた測定値αよりも後の測定で得られた測定値βの方が大きい場合に、浸水の度合いが高いと判定し、前記測定値αと前記測定値βとが実質的に等しい場合に浸水の度合いが中程度と判定し、前記測定値αよりも前記測定値βの方が小さい場合に浸水の度合いが低いと判定することとしてもよい。
また、時期の異なる2回の測定値α及びβの少なくとも何れかと一つ又は複数の所定の基準値との大小関係と、前記測定値αと前記測定値βとの大小関係とに基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することとしてもよい。
また、本発明において、前記光ファイバは、光ファイバ内蔵型架空地線(OPGW)に内蔵された光ファイバであることとしてもよい。
また、前記伝送損失の測定を、反射型故障点評定装置(OTDR)により行うこととしてもよい。OTDRを用いることにより、伝送損失の分布を測定できるので、浸水発生を区間毎に判定することが可能となる。
また、測定対象である光ファイバの縦断図に、浸水の判定結果を重ねて表示させることで、浸水発生区間を一目で把握できるようにすることができる。
また、本発明は、上記した浸水の度合いの判定結果に基づいて、光ファイバ交換の緊急性を判断する光ファイバの保守方法にも係るものである。
本発明によれば、波長帯域1.24μmの光の伝送損失に基づいて、光ファイバへの浸水の有無あるいは浸水の度合いを的確に判定することが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。先ず、本実施形態における光ファイバの浸水判定方法の原理について説明する。本実施形態の光ファイバの浸水判定方法は、波長帯域1.24μmの光の伝送損失に基づいて、OPGWに内蔵された光ファイバへの浸水の有無を判定するものである。上記したように、OPGWの中心部にはアルミ管が設けられ、このアルミ管の内部に光ファイバが保持されている。本発明者は、冬季に通信障害が発生した区間のOPGWについて、窒素ガス封入試験によりアルミ管の損傷の有無を確認すると共に、反射型故障点評定装置(OTDR)により波長1.24μmにおける光の伝送損失を測定した。なお、OTDRは、周知のとおり、特定波長の光パルスを光ファイバに入射し、後方散乱光の強度と、この後方散乱光が返ってくるまでの時間から光ファイバの伝送損失特性を測定する装置である。
図1は、OTDRによる波長1.24μmにおける伝送損失の測定結果の例を示す。図1において、横軸はOPGWに沿った距離、縦軸は後方散乱光の強度を示しており、グラフの傾きが伝送損失(単位長さ当りの減衰量)を表している。このように、OTDRによれば、その測定結果から、光ファイバの長さ方向に沿った伝送損失の分布を求めることが可能である。本例では、地点Aと地点Bとの間の区間で通信障害が発生しており、図1(a)には地点Aでの測定結果(地点AにOTDRを設置して地点Bに向けて光を入射したときの測定結果)を、また、図1(b)には地点Bでの測定結果(地点BにOTDRを設置して地点Aに向けて光を入射したときの測定結果)を夫々示している。また、本測定は、OTDRの光パルス幅を1000nsと100nsの2通りで行っており、図1(a)及び(b)における上側の曲線が1000nsの測定結果を、下側の曲線が100nsの測定結果を夫々示している。
なお、地点Aと地点Bとの間には、複数のケーブル接続ボックスが設けられており、窒素封入ガス試験及びOTDRによる測定試験は、このケーブル接続ボックスを利用してOPGWへ窒素を封入し、また、OTDRを接続することにより行なった。各ケーブル接続ボックスにはA地点側からB地点側へ昇順に識別番号が付されており、図1には一部のケーブル接続ボックスの識別番号を該当位置に表示している。
図1から分かるように、No.7地点から約0.2kmだけ地点B側の地点Xと、No.16地点との間で測定結果の勾配(つまり伝送損失)が大きくなっており、この区間での伝送損失は約8.9dB/kmであった。正常な光ファイバでの波長1.24μmにおける伝送損失初期値は0.42dB/km程度であるから、8.9dB/kmもの伝送損失は明らかに異常である。一方、窒素ガス封入試験では、No.10地点とNo.16地点との間でアルミ管の損傷が検出された。すなわち、アルミ管の損傷が検出された区間(No.10〜No.16)は、8.9dB/kmの伝送損失が測定された区間(No.7地点〜No.16地点)に含まれている。このような結果から、波長1.24μmにおける8.9dB/kmという大きな伝送損失は、アルミ管の損傷箇所での浸水により発生した水素に起因するものと推測できる。
そこで本実施形態では、OPGWの伝送損失をOTDRで測定し、その伝送損失が所定の基準値以上である区間において浸水が発生していると判定する。ここで、基準値としては、例えば、上記測定結果で得られた8.9dB/kmを上限とし、正常な光ファイバにおける1.24μm帯域における伝送損失初期値を下限として、これらの間の値(0.42dB/kmより大きく、8.9dB/km以下の値)を適宜選択して用いる。なお、伝送損失初期値は、例えば、竣工時測定データなどから得られるが、竣工時測定データがない場合は、伝送損失初期値として、各ファイバの波長特性から算出できる伝送損失値を採用することが望ましい。本実施形態では、伝送損失初期値として0.42dB/kmを用いることとした。
ところで、OPGWに浸水が発生した場合には、アルミ管を構成するアルミニウムと水との反応により水素が発生し、この水素が光ファイバ内へ拡散して波長1.24μmにおける伝送損失が増大するという過程を経る。このため、浸水が発生してから波長1.24μmにおける伝送損失が増大し始めるまでには、ある程度の期間がかかる。
図2は、このことを説明するための図であり、OPGWへの浸水量と波長1.24μmにおける伝送損失の時間変化を模式的に示している。同図に示すように、アルミ管の損傷等により浸水が始まった後、浸水量は次第に増加し、ある期間が経過すると、浸水箇所から外部へ水が抜けることなどにより浸水量は減少する。伝送損失は、このような浸水量の変化に対して遅れた変化を示し、OPGWへの浸水が起きてから、ある程度の日数経過した時点で伝送損失が増加し始める。
したがって、OPGWへの浸水発生直後に伝送損失を測定した場合には、浸水しているにもかかわらず伝送損失が小さく、伝送損失の絶対値のみでは浸水の発生を検知できないことがある。そこで、本実施形態では、以下に述べるように、伝送損失の絶対値を用いるだけでなく、伝送損失の測定値が基準値に達しない場合にも、浸水発生からの経過日数と伝送損失との関係を推測し、伝送損失が増加し始めると予測される時間が経過した後に再測定することにより、浸水発生をより正確に判定できるようにしている。ここで、浸水発生からの経過日数と伝送損失との関係を推測するために本発明者が行った手法について説明する。
先ず、実験用のアルミ管(OPGWのアルミ管から光ファイバユニットを撤去したもの)に水を入れ、ガスクロマトグラフ分析により発生水素量を測定し、アルミ管寸法等に基づいて、アルミ管内面からの発生水素量を求めた。
この値を、水素発生量を示す式
Figure 0004660293
(ただし、C:定数,E:活性化エネルギー,R:気体定数:T:絶対温度,
t:時間,β:時定数である。)
に当てはめることにより、この式(1)における時定数β及び速度定数
Figure 0004660293
を決定した。これらを式(1)に代入することにより、本試験において水素発生量を表す次式(2)を得た。
Figure 0004660293
一方、波長1.24μmにおける伝送損失を表す理論式は次式(3)の通りである。
Figure 0004660293
(ただし、R:気体定数,T:絶対温度,p:水素分圧(atm)である。)
式(3)における水素分圧pは、式(2)で求められる水素発生量λに比例し、その拡散状態に反比例するので、水素発生箇所、アルミ管への浸水量、及び水素の拡散長さについて幾つかのケースを仮定し、各ケースについて、式(3)に基づいて浸水発生からの経過日数と波長1.24μmにおける伝送損失との関係を、各種温度ごとに計算で求めた。例えば23℃についての結果を図3に示す。
図3に示すように、仮定したケースによって伝送損失特性は大きく異なるが、最も損失増加の度合いが大きいケースVの場合で、浸水から約30日で4dB/km、約50日で8dB/km程度に達している。したがって、現時点で浸水が起きているとすれば、例えば現時点から30〜50日後には、伝送損失は確実に増大していることになる。したがって、現時点で伝送損失の測定値が小さい場合にも、例えば30〜50日後に再測定することにより、浸水発生をより正確に検知できることになる。
なお、上記のように、波長1.24μmでの伝送損失は理論的には式(3)で計算できる。したがって、時期が異なる複数回の伝送損失の測定値が得られていれば、それらの測定値を式(3)に当てはめることにより、式(3)における各係数の値を算定し、将来の伝送損失の時間変化を推定できる。そこで、このように複数回の測定値が得られる場合には、それら測定値と理論式とに基づいて推測される伝送損失が所定値(例えば8dB/km)に達する時期を求めて、その時期に再測定を行うようにしてもよい。
以下、本実施形態におけるOPGWの浸水発生検知方法の具体的な内容を説明する。
図4は、本実施形態におけるOPGWの浸水発生検知方法のフローチャートである。また、図5は、本実施形態においてOPGWの浸水発生方法を実施している様子を示す図である。
先ず、図5に示すように、測定対象区間のOPGW50の光ファイバに、鉄塔52に設置された接続ボックス54から、延長用ファイバ56を介してOTDR58を接続し、このOTDR58により波長帯域1.24μmの光をOPGW50の光ファイバへ入射することにより伝送損失の測定を行う(図4のS100)。なお、電気所に設置された光ファイバ接続箇所から延長用ファイバを介してOTDRを接続してもよい。また、OTDR58はその測定距離範囲を選択できるようになっており、測定対象区間の長さに応じて測定範囲を適宜選択しておくものとする。次に、S100で得られた測定結果に基づいて、伝送損失が第1の所定の基準値S(例えば、正常な光ファイバの伝送損失初期値0.42dB/km)より大きい区間が存在するか否かを判定する(S102)。その結果、伝送損失が基準値Sよりも大きい区間が存在しなければ浸水は起きていないと判断する(S104)。一方、伝送損失が基準値Sよりも大きい区間が存在する場合は、その区間の伝送損失が第2の所定の基準値S(第1の基準値Sよりも大きく、かつ、上記測定試験で得られた8.9dB/km以下の値)よりも大きいか否かを判定する(S106)。その結果、伝送損失が基準値Sより大きければ、当該区間において浸水が発生していると判断する(S108)。
また、上記S106において、伝送損失が第2の基準値Sより大きい区間が存在しない場合は、伝送損失の測定データを蓄積管理するデータベースを参照するなどにより、過去の測定データを取得し(S110)、測定対象区間についての過去の測定データが存在するかどうかを判定する(S112)。その結果、過去の測定データが存在すれば、過去の測定データと今回の測定データとを上記式(3)に当てはめることより将来の伝送損失の変化を推測し、その伝送損失が所定値(例えば8dB/kmなど)に達する時期を求めて、その時期に伝送損失を再測定する(S114)。一方、過去の測定データが存在しなければ、上記図3のように予測される各ケースについての伝送損失の時間変化のうち、伝送損失の上昇が最も速いケース(図3ではケースV)について伝送損失が所定値(例えば8dB/kmなど)に達する日数(図3の例では50日)を求め、この日数経過後に再測定を行う(S116)。そして、S100における最初の測定により得られた伝送損失と、S114又はS116における再測定により得られた伝送損失とを比較し(S118)、再測定時に伝送損失が増加している区間があれば、その区間に浸水が発生していると判定し(S120)、増加している区間がなければ測定対象区間において浸水は発生していないと判定する(S122)。
以上説明したように、本実施形態では、通信障害が発生したOPGWを用いた試験により、浸水が発生したOPGWにおいて波長1.24μmにおける光の伝送損失の増加が顕著であることを確認し、その知見に基づいて、この伝送損失の測定値が所定の基準値以上であるかどうかに基づいて、浸水発生の有無を判定することができる。さらに、本実施形態では、浸水発生から上記伝送損失の増加までに時間遅れがあることを考慮して、伝送損失の測定値が基準値より小さい場合にも、伝送損失が所定値に達すると予測される時点で再測定を行い、伝送損失が増加しているかどうかを判定することにより、浸水発生の有無をより的確に判断することができる。また、その際、伝送損失の過去の測定データが得られる場合には、式(3)を用いることにより、将来の伝送損失の変化予測をより正確に行うことができる。
図6は、本発明に係るOPGWの浸水判定方法の別の実施形態を示すフローチャートである。本実施形態では、伝送損失の測定を異なる時期に2回行い、それら測定値の増減によりOPGWへの浸水の度合いを判定し、それに基づいて、OPGWの取替の緊急度を判定する。
図6に示すように、先ず、ある時点で波長1.24μmにおけるOTDR測定を行ってその測定から得られた伝送損失をαとする(S200)。次に、一定日数が経過した所定の時期に2度目のOTDR測定を行い、その測定から得られた伝送損失をβとする(S202)。ここで、上記所定の時期は、例えば、図4の測定フローのS114,S116と同様に、式(3)あるいは図3のような予測曲線に基づき、伝送損失が所定値に達する時期として決定できる。
次に、2回の測定値α,βの大小関係を判定し(S204)、α<βであれば、光ファイバ中の水素量が増加中であると判断できる。この場合、光ファイバ中に水が残っている可能性が高いため、取替えの緊急度を「高」と判定する(S206)。また、測定値αとβが実質的に等しい場合は、水素の量が一定であると判断できる。この場合、光ファイバ中に水が残っている可能性があるが、水が抜けはじめている可能性もあるため、取替えの緊急度を「中」と判定する(S208)。また、α>βの場合は、現在水素が減少中であると判断できる。この場合は、光ファイバ中から水が抜けている途中であるか、あるいは、水が完全に抜け切った後である可能性が大きいため、取替えの緊急度を「低」と判定する(S210)。ここで、伝送損失の測定値はある程度の誤差を含んでいるため、測定値αとβの比較にあたっては測定誤差に応じて適宜な基準値を設定し、αとβとの差がこの基準値以下である場合にはαとβは実質的に等しいと判断するものとする。
なお、上記の通り、OTDRによれば伝送損失の分布を測定できるから、例えば測定対象区間を複数の区間に区切り、各区間についての先の測定値をα、後の測定値をβとして図6の処理を実行することで、区間毎に浸水度合いを判定することができる。
本実施形態によれば、伝送損失の測定を2回行い、それら測定値の増減を判別することにより、OPGWへの浸水の度合いをより詳細に判断することができ、その判断結果に応じて、OPGW取替の緊急度を判定することができる。そして、この判定結果に基づいてOPGWの交換等の保守運用を行うことで、通信障害発生のおそれが大きいOPGWから優先的に交換することが可能となり、より最適な保守運用を行うことができる。
ところで、上記図6のフローチャートでは、αとβの大小関係のみに基づいてOPGWの取替の緊急度を判断するものとしたが、測定された伝送損失の値αあるいはβの値に応じて、更に詳細に緊急度を判断することもできる。すなわち、伝送損失の測定値が増加していても、値が小さければ、浸水量は小さいと予想できるため、取替の緊急度を低めに設定するのである。例えば、表1に示すように、測定値βと、αとβとの大小関係との組み合わせに応じて表1に示すように浸水発生の度合い(つまりOPGW取替の緊急度)を判定する。
Figure 0004660293
表1において、T1〜T4は、T1<T2<T3<T4となるように設定された基準値であり、例えば、T1=0.5dB/km、T2=2.0dB/km、T3=4.0dB/km、T4=8.9dB/kmのように設定される。
このように、伝送損失の増減のみならず、絶対値をも考慮することにより、浸水に起因するOPGWの取替緊急度を更に的確に判定することが可能となる。
なお、表1の例では、浸水発生の度合いを高、中、低の3段階で判定するものとしたが、これに限らず、4段階以上で判定することとしてもよい。また、表1の例では、4つの基準値T1〜T4を用いて5つの場合に分けているが、これに限らず、3つ以下あるいは5つ以上の基準値を用いて場合分けしてもよい。さらに、表1の例では、2回目の測定値βと、α、βの大小関係とに基づいて浸水の度合いを判定するものとしたが、これに限らず、1回目の測定値αとα、βの大小関係とに基づいて判断してもよく、さらに、両測定値α,βと、α,βの大小関係とに基づいて判定してもよい。
図7は、本発明による浸水判定結果の表示方法の一例を示す。同図に示す例では、表示の都合上、OPGWの縦断図に重畳して、判定された浸水発生度合いを文字で示しているが、実際には、浸水発生度合いに応じた色で見易く表示できる。OTDRによれば、光ファイバに沿った伝送損失の分布を測定できるので、上記した浸水判定手法により、OPGWの浸水発生度合いを区間ごとに判定できる。したがって、図7に示すように、OPGWの縦断図に浸水発生度合いを重畳させて表示することにより、どの区間の浸水の度合いが高いかを一目で把握することができる。
なお、上記式(3)の右辺に絶対温度Tが含まれていることから分かるように、波長1.24μmにおける伝送損失は光ファイバの温度に依存して変化する。したがって、OTDRとして光ファイバの温度を測定可能なラマンOTDR(R−OTDR)を用い、光ファイバ温度に基づいて伝送損失の測定値を修正することにより、温度の影響を受けずにより正確に浸水を判定することが可能となる。
また、上記実施形態では、OTDRを用いることで、OPGWに沿った伝送損失の分布を測定し、これに基づいて、浸水発生区間を特定することが可能となっている。これにより、ケーブル接続ボックスで区切られた区間の複数に亘って一度に測定した場合にも浸水区間を特定できるので、効率的な測定が可能である。しかしながら、本発明はOTDRを用いた測定に限らず、透過光の減衰量を測定することにより浸水発生を検知することも可能である。すなわち、測定対象区間のOPGWの一端から1.24μm波長帯域の光を入射し、測定対象区間の他端で光強度を検出することにより減衰量を測定し、その減衰量を測定対象区間長で割ることにより伝送損失を求めて、この伝送損失に基づき上記実施形態と同様にして浸水の有無を判定するのである。この方式であっても、測定対象区間を短く区切り、各区間について測定を行うことで、各位置での浸水発生の有無や浸水の度合いをより正確に特定することが可能である。
OTDRによる波長1.24μmにおける伝送損失の測定結果の例を示す図である。 OPGWへの浸水量と波長1.24μmにおける伝送損失の時間変化を模式的に示す図である。 浸水発生からの経過日数と波長1.24μmにおける伝送損失との関係の例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるOPGWの浸水判定方法のフローチャートである。 本実施形態においてOPGWの浸水発生方法を実施している様子を示す図である。 本発明に係るOPGWの浸水判定方法の別の実施形態を示すフローチャートである。 本発明による浸水判定結果の表示方法の一例を示す図である。
符号の説明
50 OPGW
58 OTDR

Claims (8)

  1. 光ファイバへの浸水の度合いを判定する方法であって、光ファイバに波長帯域1.24μmの光を入射して伝送損失を測定する工程を、時期を変えて複数回行い、それら複数回の測定値に基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することを特徴とする光ファイバの浸水判定方法。
  2. 前記複数回の測定で得られた測定値の大小関係に基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することを特徴とする請求項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  3. 測定時期の異なる2つの測定値α及びβに基づき、先の測定で得られた測定値αよりも後の測定で得られた測定値βの方が大きい場合に、浸水の度合いが高いと判定し、前記測定値αと前記測定値βとが実質的に等しい場合に浸水の度合いが中程度と判定し、前記測定値αよりも前記測定値βの方が小さい場合に浸水の度合いが低いと判定することを特徴とする請求項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  4. 時期の異なる2回の測定値α及びβの少なくとも何れかと一つ又は複数の所定の基準値との大小関係と、前記測定値αと前記測定値βとの大小関係とに基づいて、前記光ファイバへの浸水の度合いを判定することを特徴とする請求項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  5. 前記光ファイバは、光ファイバ内蔵型架空地線(OPGW)に内蔵された光ファイバであることを特徴とする請求項1〜のうち何れか1項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  6. 前記伝送損失の測定を、波長帯域1.24μmの光源を有する反射型故障点評定装置(OTDR)により行い、このOTDRにより測定される伝送損失に基づいて、浸水の度合いを区間ごとに判定することを特徴とする請求項のうち何れか1項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  7. 測定対象である光ファイバの縦断図に、各区間での浸水の度合いを重ねて表示させることを特徴とする請求項記載の光ファイバの浸水判定方法。
  8. 請求項1〜7のうち何れか1項記載の方法による浸水の度合いの判定結果に基づいて、光ファイバ交換の緊急性を判断することを特徴とする光ファイバの保守方法。
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