JP6387025B2 - 判定装置、判定方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、判定装置、判定方法、及びプログラムに関する。
鉄塔の間に架設された送電線を落雷等から保護するために、グラウンドワイヤ(架空地線)が送電線の上方を伸びるように鉄塔の間に架設されている。グラウンドワイヤに光ファイバを組み合わせた光ファイバ複合架空地線(OPGW)が知られている。OPGWは、既存の送電網を利用して光通信回線を構築できるため、電力会社の光通信回線として広く採用されている。OPGWの光ファイバは、送配電系統の保守管理システムの通信に用いられているため、ひとたび通信障害が発生すると電力の送配電に重大な影響を及ぼす。
OPGWは、光ファイバの周囲をアルミ管で被覆し、アルミ管の周囲にグラウンドワイヤを巻き付けた構成を備えている。OPGWは、このような構成を備えるため、水がアルミ管の亀裂や端部等から内部に浸入した場合、水とアルミニウムが長時間接触して反応し、水素が発生する。発生した水素はアルミ管内の光ファイバに吸収され、特定波長の伝送損失を増大させる(水素吸収損失)。特許文献1は、光パルス試験器(OTDR)により測定されるOTDR波形に基づいて、光ファイバにおける水素吸収損失の発生を判定する光ファイバの診断方法を開示している。
特開2013−96734号公報
しかしながら、特許文献1の診断方法は、OTDR波形における反射光の強度の微少な変化を特定することができない。伝送損失が発生した初期段階では、反射光の強度がわずかに変化するに過ぎないため、OTDR波形を確認したとしても伝送損失が発生した兆候を把握することは困難であった。このため、特許文献1の診断方法においては、通信障害が発生する前に光ファイバにおける水素吸収損失の発生の兆候を把握することができない、という問題があった。そして、特許文献1の診断方法においては、伝送損失が発生した兆候を把握することが困難である以上、曲げ損失、放射線損失といった他の伝送損失の発生の兆候も把握することができない、という問題もあった。この問題は、OPGWに含まれる光ファイバに限られず、それ以外の光通信回線用の光ファイバにも共通して存在している。
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、光ファイバにおいて伝送損失発生の兆候を容易に判定することができる判定装置、判定方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る判定装置は、
光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形と、前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された基準波形及び測定波形のそれぞれに基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算する単位損失計算手段と、
前記光ファイバの任意の位置毎に、前記単位損失計算手段により計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定する判定手段と、
を備える。
前記比較手段は、測定波形に基づく単位損失と基準波形に基づく単位損失との差分を計算する差分計算手段を備え、
前記判定手段は、前記差分計算手段により計算された差分が閾値よりも大きい場合に伝送損失発生の兆候ありと判定してもよい。
前記比較手段は、測定波形に基づく単位損失を基準波形に基づく単位損失で除した倍率を計算する倍率計算手段を備え、
前記判定手段は、前記倍率計算手段により計算された倍率が閾値よりも大きい場合に伝送損失発生の兆候ありと判定してもよい。
前記判定手段により伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間の距離を計算し、
前記距離が閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて水素吸収損失が発生していると判定し、前記距離が閾値よりも大きくない場合に、前記光ファイバにおいて曲げ損失が発生していると判定する損失区間判定手段をさらに備えていてもよい。
前記比較手段に、第1の波長の光を用いて測定された基準波形に基づく単位損失に対する測定波形に基づく単位損失の変化量である第1の変化量と、第2の波長の光を用いて測定された基準波形に基づく単位損失に対する測定波形に基づく単位損失の変化量である第2の変化量と、を計算させ、
前記第1の変化量が第1の閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて水素吸収損失が発生していると判定し、前記第2の変化量が第2の閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて曲げ損失が発生していると判定する異波長判定手段をさらに備えていてもよい。
前記単位損失計算手段は、基準波形及び測定波形に含まれるノイズが単位損失の計算結果に及ぼす影響を低減するノイズ低減手段を備えていてもよい。
前記ノイズ低減手段は、基準波形及び測定波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に単位損失の複数の候補を計算する候補計算手段と、
前記候補計算手段により前記光ファイバの任意の位置毎に計算された単位損失の複数の候補から、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失として代表値を選択する候補選択手段と、
を備えていてもよい。
前記ノイズ低減手段は、前記光ファイバの任意の位置毎に、当該位置から前記光ファイバに沿って同一距離で互いに反対方向に離れた位置に2つの基準点をそれぞれ設定する基準点設定手段と、
前記基準点から前記光ファイバの入射端側及び出射端側にそれぞれ一定距離ずつ離れた位置に複数の追加点を設定する追加点設定手段と、
を備えており、
前記候補計算手段は、前記基準点設定手段により設定された基準点と、前記追加点設定手段により設定された追加点とに基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失の複数の候補を計算してもよい。
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る判定方法は、
光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形を取得するステップと、
取得された基準波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算するステップと、
前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形を取得するステップと、
取得された測定波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失を計算するステップと、
前記光ファイバの任意の位置毎に、計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較するステップと、
基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失との比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定するステップと、
を含む。
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形と、前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形とを取得する取得手段、
前記取得手段により取得された基準波形及び測定波形のそれぞれに基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算する単位損失計算手段、
前記光ファイバの任意の位置毎に、前記単位損失計算手段により計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定する判定手段、
として機能させる。
本発明によれば、基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較することにより、伝送損失の発生の兆候と関連している単位損失の経時的な変化を把握することができる。このため、光ファイバにおいて伝送損失発生の兆候を容易に判定することができる。
本発明の実施の形態1に係る判定システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係るOPGWの断面図である。 本発明の実施の形態1に係るOTDR波形を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る単位損失データのデータテーブルを示す図である。 本発明の実施の形態1に係る判定装置において単位損失の複数の候補を計算する例を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態1に係る準備処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は本発明の実施の形態1に係る判定処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る単位損失計算処理の流れを示すフローチャートである。 (a)はOTDR基準波形及び測定波形を示すグラフであり、(b)は(a)のOTDR波形に基づいて計算された単位損失の差分計算例を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。 (a)はOTDR基準波形及び測定波形を示すグラフであり、(b)は(a)のOTDR波形に基づいて計算された単位損失の倍率計算例を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る損失区間データのデータテーブルを示す図である。 (a)は水素吸収損失が発生しているOTDR基準波形及び測定波形を示す拡大図であり、(b)は(a)のOTDR波形に基づいて計算された単位損失の差分計算例を示す拡大図である。 (a)は曲げ損失が発生しているOTDR基準波形及び測定波形を示す拡大図であり、(b)は(a)のOTDR波形に基づいて計算された単位損失の差分計算例を示す拡大図である。 本発明の実施の形態4に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態4に係る第1の単位損失データのデータテーブルを示す図であり、(b)は本発明の実施の形態4に係る第2の単位損失データのデータテーブルを示す図である。 本発明の実施の形態5に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る判定装置の機能的な構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る判定装置、判定方法、及びプログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る判定システム1について説明する。実施の形態1においては、理解を容易にするために、OPGWの光ファイバを判定装置100の判定対象として例示しているが、その他の光ファイバを判定装置100の判定対象として選択することが可能である。
図1に示されるように、判定システム1は、判定装置100と、光パルス試験器(OTDR(Optical Time Domain Reflectometer))200とを備える。判定装置100は、有線、無線、又はこれらを組み合わせた通信回線を介してOTDR200に通信可能に接続されている。OTDR200は、判定対象の光ファイバ複合架空地線(OPGW(Optical ground wire))300の光ファイバに対して光を送受可能に接続されている。
図2に示されるように、OPGW300は、光ファイバ301、アルミスペ−サ302、アルミ管303、アルミ覆鋼線304を備えている。アルミスペ−サ302は、アルミ管303の内部に配置されている。アルミスペーサ302は、OPGW300の長手方向に沿って複数の溝を有する。溝とアルミ管303で形成された空間には、複数の光ファイバ301が収容されている。アルミ管303の外周には、アルミ覆鋼線304が巻き付けられている。
OTDR200は、光ファイバにおける伝送損失の分布を測定する装置である。OTDR200は、光ファイバの入射端に光パルスを入射し、光ファイバにて反射されて戻ってくる光パルスを受信することにより、光ファイバにおける伝送損失の分布を測定することができる。OTDR200で測定されたOTDR波形を参照することにより、光ファイバのどの部分で伝送損失が発生しているかを把握することができる。
図3は、OTDR200で測定されたOTDR波形を示す。図3のグラフの横軸は、光ファイバの入射端からの距離(km)を、縦軸は反射光の強度(dB)を示す。図3を参照すると、光ファイバの入射端から離れるにつれて、その位置で反射された光の強度が徐々に低下している様子を確認することができる。光ファイバの任意の位置における伝送損失は、単位長さあたりの反射光の強度の損失である単位損失を用いて評価することができる。
判定装置100は、OTDR200で測定されたOTDR波形に基づいて、光ファイバ301における伝送損失発生の兆候の有無を判定する装置である。判定装置100は、OTDR波形におけるノイズの影響を除去しつつ単位損失を計算し、単位損失の経時的な変化量に基づいて伝送損失発生の兆候の有無を判定する。
次に、図4を参照して、判定装置100の機能的な構成について説明する。
判定装置100は、取得部110、記憶部120、単位損失計算部130、差分計算部140、判定部150、表示部160、指示受付部170を備える。
取得部110は、OTDR200にて測定されたOTDR波形を取得する。
記憶部120は、取得部110にて取得されたOTDR波形を記憶する。記憶部120は、単位損失データベース121を備えている。単位損失データベース121は、単位損失計算部130にて計算された単位損失と、差分計算部140で計算された単位損失の差分とを記憶する。
図5は、単位損失データベース121のデータテーブルの形式を示す図である。単位損失データベース121には、光ファイバ301の入射端からの距離L、L、L、・・・、Lに対応付けて、基準波形に基づく単位損失α’、α’、α’、・・・、α’、測定波形に基づく単位損失α、α、α、・・・、α、単位損失の差分Sd、Sd、Sd、・・・、Sdを記憶していく(mは整数)。
ここで、基準波形は、伝送損失発生の兆候を判断するための基準となるOTDR波形である。基準波形としては、伝送損失が発生していないOPGW300における正常なOTDR波形が好ましいが、最も古い測定波形又はある任意の時点での測定波形を選択してもよい。基準波形として最も古い測定波形又はある任意の時点での測定波形を選択した場合、その後に取得する測定波形が、最も古い測定波形を取得した時点又はある任意の時点からどれだけ変化したかを把握することができる。
測定波形は、伝送損失発生の兆候の有無を監視している現時点におけるOTDR波形である。ノイズの影響を最小限にするために、OTDR基準波形及び測定波形は、同じ条件(波長、測定距離、パルス幅、OTDR200のメーカー等)で、かつ表示されるOTDR波形が滑らかになるように測定することが望ましい。OTDR基準波形及びOTDR測定波形が互いに異なる条件で測定された場合、変換率等を用いてOTDR基準波形及びOTDR測定波形のいずれかをコンバートする必要がある。
単位損失の差分Sdは、基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失との差分である。
単位損失計算部130は、光ファイバ301の任意の位置における単位損失を計算する。単位損失は、光ファイバ301の任意の位置における単位長さあたりの反射光の強度の損失(dB/km)である。具体的には、図3に示されるグラフにおいて、光ファイバ301の入射端から距離Lの位置にある任意の点Xから光ファイバ301の長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた基準点A、Bにおける反射光の強度I、Iの差分I−Iを、基準点A、Bの間の距離L−L(計算長)で除した値が単位損失αABである。この計算長L−Lは、初期段階では1000mに設定しておき、波形ノイズ状態や損失種別等に合わせて1000mよりも小さく、250mよりも大きな値に設定することが好ましい。計算長L−Lを1000mとした場合、任意の点Xから基準点A、Bまでの距離L−L、L−Lは、500mに設定する。なお、基準点Aは任意の点Xを基準にして入射端と反対側に、基準点Bは点Xを基準にして入射端側に設定している。
任意の点Xにおける単位損失は、以下の式で表すことができる。なお、任意の点Xにおける単位損失は、図3におけるグラフにおける基準点A、B間の傾きに相当する。
Figure 0006387025
ここで、αABは単位損失(dB/km)、Iは基準点Aからの反射光の強度(dB)、Iは基準点Bからの反射光の強度(dB)、Lは入射端から基準点Aまでの距離(km)、Lは入射端から基準点Bまでの距離(km)である。
単位損失計算部130は、機能的には、位置選択部131、基準点設定部132、追加点設定部133、候補計算部134、候補選択部135を備える。基準点設定部132、追加点設定部133、候補計算部134、候補選択部135は、OTDR波形のノイズが単位損失の計算に及ぼす影響を低減するノイズ低減手段を構成している。
位置選択部131は、単位損失の計算対象となる光ファイバ301の位置を選択する。光ファイバ301の位置は、図5に示すように、光ファイバ301の入射端からの距離L、L、L、・・・、Lで表すことができる。
基準点設定部132は、単位損失の計算対象となる光ファイバ301の位置ごとに、単位損失を計算するのに必要な基準点A、Bを設定する。
追加点設定部133は、基準点A、Bの周囲に複数の追加点を設定する。図6を参照して、追加点設定部133が複数の追加点を設定する手順について具体的に説明する。なお、図6は、理解を容易にするために、OTDR波形のノイズを強調して描いている。
図6に示されるように、追加点設定部133は、基準点Aの入射端側及び入射端の反対側のそれぞれに、基準点Aから一定の間隔dごとにn個の追加点を設定する(nは整数)。図6では、理解を容易にするために、基準点Aからndだけ離れた追加点A−n、A、基準点Aから(n−1)dだけ離れた追加点An−1のみを明示しているが、実際には基準点Aの周囲に2n個の追加点が設定される。
同様にして、追加点設定部133は、基準点Bの入射端側及び入射端の反対側のそれぞれに、基準点Aから一定の間隔dごとにn個の追加点を設定する。図6では、理解を容易にするために、基準点Bからndだけ離れた追加点B−n、B、基準点Bから(n−1)dだけ離れた追加点B−n+1のみを明示しているが、実際には基準点Bの周囲に2n個の追加点が設定される。
このようにして、基準点設定部132及び追加点設定部133は、位置選択部131で選択された位置の周囲に基準点A、B、及び追加点を合計4n+2個設定する。
候補計算部134は、位置選択部131で選択された位置における単位損失の複数の候補を計算する。具体的には、候補計算部134は、基準点設定部132により設定された基準点A、Bからの反射光の強度に基づく単位損失を計算する。
また、候補計算部134は、追加点設定部133により設定された合計4n個の追加点に基づいて、合計2n個の単位損失の候補を計算する。追加点に基づく単位損失の候補は、位置選択部131で選択された位置(図6においては、距離Lで表される位置)から同一の距離だけ反対方向に離れた位置にある2つの追加点を選択し、この2つの追加点に基づいて計算される。このようにして、候補計算部134は、合計2n+1個の単位損失の候補を計算する。図6において点線で表される直線の傾きがそれぞれ異なっているように、単位損失の候補は、それぞれノイズの影響を受け、それぞれ異なる値となっている。
候補選択部135は、位置選択部131で選択された位置における単位損失として、候補計算部134で計算された合計2n+1個の単位損失の候補から中央値を選択する。中央値は、有限個のデータを小さいものから大きいものへと順に並べたとき、中央に位置する値である。
差分計算部140は、単位損失計算部130で計算された基準波形の単位損失と、同じく単位損失計算部130で計算された測定波形の単位損失との差分Sdを計算する。単位損失の差分Sdは以下の式で表すことができる。差分計算部140は、基準波形の単位損失と測定波形の単位損失とを比較する比較手段の一例である。
Figure 0006387025
ここで、Sdは単位損失の差分(dB/km)、Iは基準点Aからの測定波形の反射光の強度(dB)、Iは基準点Bからの測定波形の反射光の強度(dB)、I’は基準点Aからの基準波形の反射光の強度(dB)、I’は基準点Bからの基準波形の反射光の強度(dB)、Lは入射端からAまでの距離(km)、Lは入射端からBまでの距離(km)である。
判定部150は、差分計算部140が計算した差分Sdに基づいて、伝送損失発生の兆候の有無を判定する判定手段である。具体的には、判定部150は、ある位置における差分Sdの計算結果が閾値より大きい場合、当該位置において伝送損失発生の兆候があると判定する。
表示部160は、様々な情報をユーザに向けて表示する。例えば、表示部160は、OTDR200で測定されたOTDR波形を表示する。また、表示部160は、伝送損失発生の兆候の有無、伝送損失発生の兆候が見られる光ファイバ301の位置、定期的なメンテナンスにおいて交換すべきOPGW300の区間等を表示する。
指示受付部170は、判定装置100に対するユーザからの指示を受け付ける。例えば、指示受付部170は、単位損失の計算対象となる位置、すなわち光ファイバ301の入射端からの距離Lの選択、当該計算対象となる位置に対する基準点A、B及び追加点の位置の設定、OTDR200の測定波形を取得する日時などについて、ユーザからの指示を受け付ける。
判定装置100は、物理的には、1つ又は複数のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、通信インタフェース、キーボード、マウス、タッチパネル、ディスプレイなどの一部及び全部を組み合わせて構成される装置である。判定装置100は、汎用のコンピュータであっても、専用の装置であってもよい。判定装置100の各機能及び判定装置100が実行する処理は、例えば、上述の物理的構成を備える装置が、予め組み込まれたプログラムを実行することにより実現される。本発明は、プログラムとして実行されてもよく、そのプログラムが記憶された記憶媒体として実現されてもよい。
次に、図7、8を参照して、判定装置100が実行する処理について説明する。
まず、図7(a)を参照して、判定装置100が実行する準備処理について説明する。準備処理は、光ファイバ301が伝送損失の影響を受けていない時点、例えば、OPGW300が送電線に沿って架設された時点で行っておくことが望ましい。
指示受付部170は、ユーザから単位損失の計算対象となる位置L、当該計算対象となる位置に対する基準点A、B及び追加点の位置について指示を受け付ける(ステップS101)。
取得部110は、OTDR200から伝送損失が発生する前の正常な光ファイバ301におけるOTDR基準波形を取得する(ステップS102)。
単位損失計算部130は、取得部110により取得されたOTDR基準波形に基づいて光ファイバ301の単位損失α’を計算する(ステップS103)。
ここで、図8を参照して、単位損失計算処理(ステップS103)の詳細について説明する。
まず、単位損失計算部130は、カウンタをi=1に設定する(ステップS201)。
位置選択部131は、カウンタの設定に基づいて、単位損失の計算対象となる位置を設定する(ステップS202)。光ファイバ301上の位置は、光ファイバ301の入射端からの距離Lで表すことができる。したがって、カウントがi=1に設定されている場合、選択される位置は光ファイバ301の入射端からの距離Lで示される。
基準点設定部132は、位置選択部131で選択された位置を基準にして基準点A、Bを設定する(ステップS203)。位置選択部131で選択された位置から光ファイバ301の入射端と反対側に離れた点が基準点A、光ファイバ301の入射端側に離れた点が基準点Bである。基準点設定部132は、位置選択部131で選択された位置から指示受付部170により設定された同一距離だけ離れた位置L、Lに基準点A、Bを設定する。つまり、L−L=L−Lである。例えば、基準点A、Bは、いずれも計算対象として選択された位置から500mだけ離れた位置に設定することができる。
追加点設定部133は、指示受付部170で受け付けた指示に基づいて、基準点Aの周囲に追加点を設定する(ステップS204)。追加点設定部133は、基準点Aに対して入射側及び入射端の反対側にそれぞれn個の追加点を設定する。追加点は基準点Aから距離dごとに設定する。
同様にして、追加点設定部133は、指示受付部170で受け付けた指示に基づいて、基準点Bの周囲に追加点を設定する(ステップS205)。追加点設定部133は、基準点Bに対して入射側及び入射端の反対側にそれぞれn個の追加点を設定する。追加点は基準点Bから距離dごとに設定する。このようにして、基準点A、Bの周囲には、合計4n個の追加点が設定される。
候補計算部134は、位置選択部131で選択された位置における単位損失の複数の候補を計算する(ステップS206)。図6に示されるように、基準点A、Bからの反射光の強度に基づく単位損失の候補のみならず、基準点A、Bの周囲にそれぞれ設定した追加点に基づく単位損失の候補も計算する。追加点は全部で4n個であるから、追加点に基づく単位損失の候補は2n個である。候補計算部134は、基準点設定部132及び追加点設定部133により設定された基準点A、B及び追加点に基づき、合計2n+1個の単位損失の候補を計算する。
ステップS206の具体的な処理について説明する。まず、図6に示されるように、候補計算部134は、基準点A、Bからの反射光の強度に基づいて単位損失の候補αAB1を計算する。
次に、候補計算部134は、基準点Bから入射端側にndだけ離れた追加点B−nからの反射光の強度と、基準点Aから入射端と反対側にndだけ離れた追加点Aからの反射光の強度に基づいて、単位損失の候補αAB2を計算する。同様にして、基準点Bから入射端側に(n−1)dだけ離れた追加点B−n+1からの反射光の強度と、基準点Aから入射端と反対側に(n−1)dだけ離れた追加点An−1からの反射光の強度に基づいて、単位損失の候補αAB3を計算する。
このような計算を繰り返して、基準点Bから入射端側に離れた追加点からの反射光の強度と、基準点Aから入射端と反対側に離れた追加点からの反射光の強度に基づいて、合計n個の単位損失の候補を計算することができる。
また、候補計算部134は、基準点Bから入射端と反対側にndだけ離れた追加点Bからの反射光の強度と、基準点Aから入射端側にndだけ離れた追加点A−nからの反射光の強度に基づいて、単位損失の候補αABn+2を計算する。また、図6には図示されていないが、基準点Bから入射端と反対側に(n−1)dだけ離れた追加点Bn−1からの反射光の強度と、基準点Aから入射端側に(n−1)dだけ離れた点A−n+1からの反射光の強度に基づいて、単位損失の候補αABn+3を計算する。
このような計算を繰り返して、基準点Bから入射端と反対側に離れた追加点からの反射光の強度と、基準点Aから入射端側に離れた追加点からの反射光の強度に基づいて、合計n個の単位損失の候補を計算することができる。
なお、単位損失計算処理(ステップS103)において、nをいかなる値にするかは任意であるが、OTDR波形のノイズによる単位損失の計算結果への影響を効果的に除去するためには、nは10以上の適度にノイズが抑えられる値が好ましい。
候補選択部135は、候補計算部134によって計算された2n+1個の単位損失の候補から中央値を位置選択部131で選択された位置における単位損失として選択する(ステップS207)。
次に、単位損失計算部130は、カウンタの設定がi=mであるかどうかを判定する(ステップS208)。カウンタの設定がi=mである場合(ステップS208:YES)、処理をリターンする。一方、カウンタの設定がi=mでない場合(ステップS208:NO)、iに1を足し合わせる(ステップS209)。その後、処理は再びステップS202に戻る。このような処理を繰り返して単位損失計算処理(ステップS103)が終了する。
記憶部120は、図5に示すように、単位損失計算処理(ステップS103)において計算された単位損失α’、α’、α’、・・・、α’を単位損失データベース121に記憶する(ステップS104)。単位損失データベース121には、入射端からの距離Lに対応付けて基準波形の単位損失α’、α’、α’、・・・、α’が記憶される。このようにして、準備処理が終了する。
次に、図7(b)を参照して、判定装置100がOPGW300の運用中に実行する判定処理について説明する。
現在日時が指示受付部170にて設定された測定対象日時かどうかを判定する(ステップS105)。例えば、OTDR200の測定波形を取得する測定対象日時は、毎日午前2:00等に設定される。
現在日時が測定対象日時である場合(ステップS105:YES)、取得部110は、OTDR200を制御し、測定波形を取得する(ステップS106)。ノイズの影響を最小限にするために、OTDR基準及び測定波形は、同じ条件(波長、測定距離、パルス幅、OTDR200のメーカー等)で、表示されるOTDR波形が滑らかになるように測定することが望ましい。一方、現在時刻が測定対象日時でない場合(ステップS105:NO)、再びステップS105に戻る。
単位損失計算部130は、ステップS106で取得されたOTDR200の測定波形に基づいて、指示受付部170にて設定された複数の位置における光ファイバ301の単位損失α、α、α、・・・、αを計算する(ステップS107)。単位損失の計算処理については、ステップS103において詳述した処理と同様である。
その後、記憶部120は、図5に示される単位損失データベース121に測定波形の単位損失α、α、α、・・・、αを光ファイバ301の入射端からの距離L、L、L、・・・、Lに対応付けて記憶する(ステップS108)。
差分計算部140は、数式2を用いて、指示受付部170にて設定された位置Lごとに、OTDR200の基準波形の単位損失α’と、OTDR200の測定波形の単位損失αとの差分Sdを計算する(ステップS109)。
判定部150は、指示受付部170にて設定された位置ごとに、差分Sdの計算結果が閾値より大きいものがあるかどうか判定する(ステップS110)。
差分Sdの計算結果に閾値よりも大きなものがない場合(ステップS110:NO)、再びステップS105に移る。一方、差分Sdの計算結果に閾値よりも大きなものがある場合(ステップS110:YES)、表示部160は、閾値よりも大きな差分Sdに対応する位置に伝送損失の発生の兆候がある旨を表示する(ステップS111)。具体的には、表示部160は、閾値よりも大きな差分Sdに対応する位置において伝送損失発生の兆候があること、当該位置を含むOPGW300の区間を定期的なメンテナンス時に交換すべきことを表示する。
ステップS111において表示部160が、伝送損失発生の兆候がある旨を表示した後、再びステップS105に戻り、判定装置100は継続的にOPGW300への監視を実行し続ける。
図9は、実際に測定されたOTDR波形と、このOTDR波形に基づいて計算された単位損失の差分計算結果を示す。図9(a)に示すように、基準波形及び測定波形は、わずかな差しかないため、このままでは反射率の強度の変動を捉えることができない。このため、図9(b)に示すように、基準波形及び測定波形に基づいて、基準波形に基づく単位損失と基準波形に基づく単位損失との差分である単位損失の差分Sdを計算する。これにより、光ファイバの入射端から31000m〜32000m付近で単位損失の変動が生じていることを把握できる。なお、36000m付近は、終端反射のノイズである。
基準波形及び測定波形に含まれるノイズにより、一部の区間に誤った差分Sdの計算結果が出てしまう可能性がある。この場合には、計算区間を絞り込むか、基準波形及び測定波形のノイズが少なくなるように測定をやり直す必要がある。また、差分計算においては、基準波形は非正常な波形であってもよいが、差分Sdの計算結果にノイズが多く含まれることに留意すべきである。
以上説明したように、実施の形態1においては、OTDR基準波形に基づく単位損失α’と、現時点で得られたOTDR測定波形に基づく単位損失αとを比較することにより、光ファイバ301のどの位置で単位損失の経時的な変化が発生しているかを把握することができる。このため、伝送損失が光ファイバ301に通信障害を引き起こす前に、光ファイバのどの位置で伝送損失発生の兆候が発生しているかを容易に判定することができる。
伝送損失の発生の兆候が見られる時点では、OTDR波形の反射光の強度の変化は微小であるとともに、OTDR波形にノイズが存在しているため、伝送損失発生の兆候の有無を判定することが困難であった。しかしながら、実施の形態1においては、OTDR波形からノイズの影響を除去しつつ単位損失を計算しているため、微少な反射光の強度の変化を把握することができ、伝送損失発生の兆候の有無を正確に判定することができる。
図6に示されるようなOTDR波形が測定された場合、基準点A、Bのみに基づいて単位損失を計算した場合、特異的な値を選択することになってしまい、伝送損失発生の兆候の有無を誤って判定してしまうおそれがある。しかしながら、実施の形態1においては、単位損失の複数の候補から中央値を選択しているため、基準点A、Bのみに基づいて単位損失を計算する場合と比べて、単位損失として特異的な値を計算することを防止できる。
本発明の実施の形態1においては、OTDR測定波形に基づく単位損失αと、OTDR基準波形に基づく単位損失α’との差分Sdを計算し、単位損失の差分Sdに基づいて伝送損失発生の兆候の有無を判定しているため、伝送損失の発生を示すわずかな兆候も逃さずに把握することができる。
(実施の形態2)
図9を参照して、本発明の実施の形態2に係る判定装置100について説明する。実施の形態1においては、初期状態を示すOTDR基準波形と現在時のOTDR測定波形とを比較するための指標として単位損失の差分Sdを例示しているが、両者を比較するための指標はこれに限られない。実施の形態2に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態1に係る判定装置100と同一であるが、差分計算部140の代わりに倍率計算部180を備える点で、実施の形態1とは異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
倍率計算部180は、単位損失計算部130で計算されたOTDR測定波形に基づく単位損失αを、同じく単位損失計算部130で計算されたOTDR基準波形に基づく単位損失α’で除した倍率Smを計算する。単位損失の倍率Smは以下の式で表すことができる。
Figure 0006387025
ここで、Smは単位損失の倍率、Iは基準点Aからの測定波形の反射光の強度(dB)、Iは基準点Bからの測定波形の反射光の強度(dB)、I’は基準点Aからの基準波形の反射光の強度(dB)、I’は基準点Bからの基準波形の反射光の強度(dB)である。
判定部150は、倍率計算部180による単位損失の倍率Smの計算結果が閾値よりも大きいかどうかを判定する。単位損失の倍率の計算結果が閾値よりも大きい場合、伝送損失が発生していると判断する。一方、単位損失の倍率Smの計算結果が閾値よりも小さい場合、伝送損失が発生していないと判断する。
図11は、実際に測定されたOTDR波形と、このOTDR波形に基づいて計算された単位損失の倍率計算結果を示す。図11(a)に示すように、基準波形及び測定波形は、わずかな差しかないため、このままでは反射率の強度の変動を捉えることができない。このため、図11(b)に示すように、基準波形及び測定波形に基づいて、基準波形に基づく単位損失に対する基準波形に基づく単位損失の倍率である単位損失の倍率Smを計算する。これにより、光ファイバの入射端から6000m付近で単位損失の変動が生じていることを把握できる。
基準波形及び測定波形に含まれるノイズにより、一部の区間に誤った計算結果が出てしまう可能性がある。この場合には、計算区間を絞り込むか、基準波形及び測定波形のノイズが少なくなるように測定をやり直す必要がある。また、倍率計算においては、倍率Smの計算結果におけるノイズが少なくなるように、基準波形が正常なOTDR波形、例えば初期状態のOPGWを測定したOTDR波形であることが好ましい。
以上のとおり、実施の形態2においては、倍率計算部180により現在時の測定波形に基づく単位損失αを、基準時の基準波形に基づく単位損失α’で除して単位損失の倍率Smを計算し、判定部150により単位損失の倍率Smが閾値よりも大きいかどうかを判定して、伝送損失発生の兆候の有無を判定している。このため、基準波形に基づく単位損失α’に対する測定波形に基づく単位損失αの増加の程度をより直感的に把握することができる。
(実施の形態3)
図12、13を参照して、実施の形態3に係る判定装置100について説明する。実施の形態1、2においては、伝送損失発生の兆候の有無を判定可能であるが、いかなる種類の伝送損失が発生しているかを特定することができない。実施の形態3に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態1に係る判定装置100と同一であるが、水素吸収損失と曲げ損失を判別する損失区間判定部191をさらに備える点で、実施の形態1と異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
損失区間判定部191は、判定部150により伝送損失発生の兆候ありと判定されたOPGW300について、水素吸収損失と曲げ損失のいずれが発生しているかを判定する。損失区間判定部191は、判定部150により伝送損失発生の兆候があると判定された位置が連続して存在する区間の距離を計算し、当該区間の距離が閾値よりも大きいかどうかを判定し、その判定結果に基づいて水素吸収損失と曲げ損失とを判別する。
水素吸収損失は、OPGW300のアルミ管303内で広がる水素が原因で発生するため、伝送損失が発生する区間の距離が長くなる傾向がある。例えば、水素吸収損失は、アルミ管303の管長にほぼ等しい程度に広がることがある。一方、曲げ損失は、局所的な曲げにより引き起こされるため、伝送損失が発生する区間は水素吸収損失に比べて短い。このため、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間の距離に基づいて、水素吸収損失と曲げ損失を判別することができる。
記憶部120は、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が光ファイバ301に沿って連続して存在する区間Z、Z、Z・・・と、当該区間に対応する距離D、D、D、・・・とを記憶する損失区間データベース122を備える。損失区間データベース122は、図13に示されるデータテーブルの形式で損失区間データを記憶していく。
具体的には、OTDR200が測定に用いる光の波長を1625nmとし、計算長を500m以下とした場合、損失区間が1000m以下のとき、曲げ損失であると判定する。一方、損失区間が1000mよりも大きいとき、水素吸収損失であると判定する。この判定方法は、差分計算、倍率計算のいずれにおいても適用可能である。
次に、損失区間判定部191が水素吸収損失と曲げ損失を判別する処理について説明する。
損失区間判定部191は、判定部150の判別結果に基づいて、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間Z、Z、Z、・・・を抽出する。そして、損失区間判定部191は、当該区間の距離D、D、D、・・・を計算する。例えば、光ファイバ301の入射端からの距離L、L、Lで表される位置において伝送損失発生の兆候ありと判定されている場合、距離L〜Lで示される区間は互いに連続していることから、当該区間をZとし、距離L〜Lで示される区間の距離L−L=Dとする。このような処理を繰り返して、図13に示されるようなデータテーブルの形式で損失区間データベース122に損失区間データを記憶していく。
損失区間データが損失区間データベース122に記憶された後、区間Z、Z、Z、・・・に対応付けられた距離D、D、D、・・・のうち、閾値よりも大きいものがあるかどうかを判定する。ある区間の距離が閾値よりも大きい場合、損失区間判定部191は当該区間においては水素吸収損失が発生していると判定する。一方、ある区間の距離が閾値よりも大きくない場合、損失区間判定部191は当該区間においては曲げ損失が発生していると判定する。
表示部160は、損失区間判定部191の判定結果を表示する。具体的には、表示部160は、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失が発生しているか、曲げ損失が発生しているかを表示する。
以下に具体的な例を示す。図14(a)は、水素吸収損失が発生している光ファイバを波長λが1625nmの光により測定したOTDR測定波形を示すグラフである。距離5000〜7000m付近に水素吸収損失が発生しており、時間の経過とともに伝送損失が徐々に大きくなっている様子が見て取れる。図14(b)は、単位損失の差分を示すグラフである。距離5000〜7000m付近の単位損失の差分Sdが、時間の経過とともに徐々に増大し、最終的には差分Sdが約1dB/kmまで増加している。このように、水素吸収損失が発生している場合、比較的広い範囲にわたって単位損失の増大が発生する。
図15(a)は、曲げ損失が発生している光ファイバを波長λが1310nmの光により測定したOTDR測定波形を示すグラフである。距離31200m付近に曲げ損失が発生しており、時間の経過とともに伝送損失が徐々に拡大している様子が見て取れる。時間の経過とともに伝送損失が拡大しているのは、曲げ損失が徐々に成長する腐食生成物によるためである。図15(b)は、単位損失の差分Sdを示すグラフである。距離30900〜31500m付近の単位損失の差分Sdが、時間の経過とともに徐々に増大し、0.8dB/kmまで増加している。このように、曲げ損失が発生している場合、比較的狭い範囲で単位損失の増大が発生する。
以上説明したように、実施の形態3においては、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間の距離に基づいて、当該位置において水素吸収損失が発生しているか、曲げ損失が発生しているかを判別できる。
(実施の形態4)
図16、17を参照して、実施の形態4に係る判定装置100について説明する。実施の形態3においては、水素吸収損失の発生を判定するために、伝送損失発生の兆候あり判定された位置が連続して存在する区間の距離を指標として用いているが、両者を判別するための指標はこれに限られない。実施の形態4に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態1に係る判定装置100と同一であるが、異波長判定部192をさらに備える点で、実施の形態1と異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
異波長判定部192は、第1の波長λの光による単位損失の変化量である第1の変化量が第1の閾値よりも大きい場合に、水素吸収損失が発生していると判定し、第2の波長λの光による単位損失の変化量である第2の変化量が第2の閾値よりも大きい場合に、曲げ損失が発生していると判定する。ここで、単位損失の変化量は、単位損失の差分Sd、単位損失の倍率Smのいずれも含んでいる。異波長判定部192は、OTDR200に第1の波長λ及び第2の波長λの光によるOTDR波形を測定させ、差分計算部140、倍率計算部180といった比較手段に、第1の変化量及び第2の変化量を計算するように指示を出す。
第1の波長λは、水素吸収損失が発生している場合に顕著な伝送損失を発生させる波長である。第2の波長λは、曲げ損失が発生している場合に顕著な伝送損失を発生させる波長である。例えば、第1の波長λは、1240nmであり、第2の波長λは、1550nmである。
記憶部120は、第1の波長λの光による単位損失データを記憶する第1の単位損失データベース123と、第2の波長λの光による単位損失データを記憶する第2の単位損失データベース124とを備える。第1の単位損失データベース123及び第2の単位損失データベース124は、それぞれ図17(a)、(b)に示されるデータテーブルの形式で第1及び第2の単位損失データを記憶する。
次に、図7を参照しながら、異波長判定部192が水素吸収損失と曲げ損失を判別する処理について説明する。以下、理解を容易にするために、単位損失の変化量として単位損失の差分Sdを用いて行う判別処理について例示する。
まず、図7(a)に示される処理で、異波長判定部192は、OTDR200に第1の波長λを用いたOTDR波形の測定を行うように指示する。取得部110は、OTDR200により第1の波長λを用いて測定されたOTDR基準波形を取得する(ステップS102)。
次に、異波長判定部192は、OTDR200に第2の波長λを用いたOTDR波形の測定を行うように指示する。取得部110は、OTDR200により第2の波長λを用いて測定されたOTDR基準波形を取得する(ステップS102)。
単位損失計算部130は、第1の波長λを用いて測定されたOTDR基準波形に基づく単位損失α’、α’、α’、・・・、α’を計算する(ステップS103)。また、単位損失計算部130は、第2の波長λを用いて測定されたOTDR基準波形に基づく単位損失β’、β’、β’、・・・、β’を計算する(ステップS103)。
記憶部120は、図17(a)に示されるようなデータテーブルの形式で、単位損失計算部130により計算された基準波形に基づく単位損失α’、α’、α’、・・・α’を第1の単位損失データベース123に記憶する(ステップS104)。また、同様にして、記憶部120は、図17(b)に示されるようなデータテーブルの形式で、単位損失計算部130により計算された基準波形に基づく単位損失β’、β’、β’、・・・β’を第2の単位損失データベース124に記憶する(ステップS104)。
次に、図7(b)に示される処理で、異波長判定部192は、OTDR200に第1の波長λを用いた現在時のOTDR測定波形の測定を行うように指示する。取得部110は、OTDR200により第1の波長λを用いて測定された測定波形を取得する(ステップS106)。
次に、異波長判定部192は、OTDR200に第2の波長λを用いた現在時のOTDR測定波形の測定を行うように指示する。取得部110は、OTDR200により第2の波長λを用いて測定された測定波形を取得する(ステップS106)。
単位損失計算部130は、第1の波長λを用いて測定された測定波形に基づく単位損失α、α、α、・・・、αを計算する(ステップS107)。また、単位損失計算部130は、第2の波長λを用いて測定された測定波形に基づく単位損失β、β、β、・・・、βを計算する(ステップS107)。
記憶部120は、図17(a)に示されるようなデータテーブルの形式で、単位損失計算部130により計算された測定波形に基づく単位損失α、α、α、・・・、αを第1の単位損失データベース123に記憶する(ステップS108)。また、同様にして、記憶部120は、図17(b)に示されるようなデータテーブルの形式で、単位損失計算部130により計算された測定波形に基づく単位損失β、β、β、・・・、βを第2の単位損失データベース124に記憶する(ステップS108)。
差分計算部140は、第1の波長λを用いて測定された基準波形に基づく単位損失α’と、第1の波長λを用いて測定された測定波形に基づく単位損失αとの差分Sdを計算する(ステップS109)。また、同様にして、第2の波長λを用いて測定された基準波形に基づく単位損失β’と、第2の波長λを用いて測定された測定波形に基づく単位損失βとの差分Tdを計算する(ステップS109)。
異波長判定部192は、伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、第1の波長λを用いて測定されたOTDR波形に基づく単位損失の差分Sdが第1の閾値よりも大きい場合、当該位置においては水素吸収損失が発生していると判定する。
また、異波長判定部192は、伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、第2の波長λを用いて測定されたOTDR波形に基づく単位損失の差分Tdが第2の閾値よりも大きい場合、当該位置においては曲げ損失が発生していると判定する。
さらに、単位損失の差分Sdが第1の閾値よりも大きく、かつ、単位損失の差分Tdが第2の閾値よりも大きい場合、異波長判定部192は、当該位置においては水素吸収損失と曲げ損失の両方が発生していると判定する。
表示部160は、損失区間判定部191の判定結果を表示する。具体的には、表示部160は、伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、水素吸収損失、曲げ損失、又はその両方のいずれが発生しているかを表示する。
以上のとおり、実施の形態4においては、第1の波長λ及び第2の波長λの光により測定されたOTDR波形に基づく単位損失の差分Sd、Tdを、第1及び第2の閾値とそれぞれ比較することにより、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失、曲げ損失、又はその両方のいずれが発生しているかを判定できる。
(実施の形態5)
図18を参照して、実施の形態5に係る判定装置100について説明する。異波長を用いて水素吸収損失、曲げ損失を区別するための手法は、実施の形態4に開示された手法に限られない。実施の形態5に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態4に係る判定装置100と同一であるが、異波長判定部192、第1及び第2の単位データベース123、124に代えて、差分比判定部193、第3及び第4の単位データベース125、126を備える点で、実施の形態1と異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
差分比判定部193は、第3の波長λの光による単位損失の差分Udと、第4の波長λの光による単位損失の差分Vdとの比率を計算し、時間経過に伴い当該比率がどのように変化するかに基づいて、伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、水素吸収損失、曲げ損失のいずれが発生しているかを判別する。なお、差分比判定部193は、OTDR測定波形がOTDR基準波形に対して増加傾向にある場合に、水素吸収損失、曲げ損失のいずれが発生しているかを判別することができる。
具体的には、差分比判定部193は、OTDR200に第3の波長λ及び第4の波長λの光によるOTDR波形を測定させる。次いで、差分比判定部193は、測定されたOTDR波形に基づいて、第3の波長λの光による単位損失の差分Udと、第4の波長λの光による単位損失の差分Vdを計算させる。計算された単位損失の差分Ud、Vdは、それぞれ第3及び第4のデータベース125、126に記憶される。その後、差分比判定部193は、第3の波長λの光による単位損失の差分Udと、第4の波長λの光による単位損失の差分Vdとの比である差分比Ud/Vdを計算する。ここで、例えば、第3の波長λは1625nm、第4の波長λは1310nmである。
差分比判定部193は、差分比Ud/Vdが時間経過とともに増加している場合、判定部150により伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、水素吸収損失が発生していると判定する。一方、差分比Ud/Vdが時間経過とともに減少している場合、判定部150により伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、曲げ損失が発生していると判定する。
以上説明したように、実施の形態5においては、第3の波長λ及び第4の波長λの光により測定されたOTDR波形に基づき計算された単位損失の差分比Ud/Vdの経時的な変化に基づいて、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失、曲げ損失のいずれが発生しているかを判定できる。
(実施の形態6)
図19を参照して、実施の形態6に係る判定装置100について説明する。水素吸収損失の発生を判定するための手法は、実施の形態3〜5に開示された手法に限られない。実施の形態6に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態1に係る判定装置100と同一であるが、最大値判定部194をさらに備える点で、実施の形態1と異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
最大値判定部194は、判定部150により伝送損失発生の兆候ありとされた位置において、OTDR測定波形ごとに計算された単位損失の変化量(差分、倍率を含む)のうち、その最大値が閾値よりも大きい場合に、水素吸収損失が発生していると判定し、単位損失の変化量(差分、倍率を含む)の最大値が閾値以下の場合に、曲げ損失が発生していると判定する。
曲げ損失においては、OPGW300のアルミ管303内に発生する氷、腐食物の成長により、伝送損失は徐々に増加していく。一方、水素吸収損失においては、光ファイバにおける水素の吸収は最終的に飽和状態に達するため、それ以上、伝送損失が増加することはない。このため、水素吸収損失においては、単位損失の変化量が一定値以上になることはない。したがって、経時的に変化する単位損失の変化量の最大値が閾値よりも大きいかどうかを判断することにより、水素吸収損失と曲げ損失とを判別することができる。
具体的には、OTDR200が測定に用いる光の波長を1625nmとし、計算長を250m以下としたときに、差分Sdが4dB/km以下の場合、水素吸収損失であると判定する。一方、差分Sdが4dB/kmよりも大きい場合、曲げ損失であると判定する。ここで、計算長とは、実施の形態1における基準点A、Bの間の距離L−Lのことである。
以上説明したように、実施の形態6においては、OTDR測定波形ごとに計算された単位損失の変化量の最大値に基づいて、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失、曲げ損失のいずれが発生しているかを判定できる。
(実施の形態7)
実施の形態7に係る判定装置100について説明する。実施の形態7に係る判定装置100の基本的な構成は、実施の形態1に係る判定装置100と同一であるが、水素吸収損失と曲げ損失を判別するために、損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194を備えた点で、実施の形態1と異なる。以下、両者の異なる部分を中心に説明する。
実施の形態7においては、損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194は、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失と曲げ損失のいずれが発生しているかをそれぞれ判定する。
損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194のうち少なくとも3つが、ある位置において水素吸収損失が発生していると判定する場合、判定装置100は当該位置において水素吸収損失が発生していると判定する。その後、表示部160は、当該位置において水素吸収損失が発生している旨を表示する。
一方、損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194のうち少なくとも3つが、ある位置において曲げ損失が発生していると判定する場合、判定装置100は当該位置において曲げ損失が発生していると判定する。その後、表示部160は、当該位置において曲げ損失が発生している旨を表示する。
一方、損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194のうち2つが、ある位置において水素吸収損失が発生していると判定し、もう2つが曲げ損失が発生していると判定する場合、判定装置100は当該位置において水素吸収損失及び曲げ損失がいずれも発生していると判定する。その後、表示部160は、当該位置において水素吸収損失及び曲げ損失がいずれも発生している旨を表示する。
以上のとおり、実施の形態7においては、損失区間判定部191、異波長判定部192、差分比判定部193、最大値判定部194をすべて備えており、これらの判定部の判定結果に基づいて、水素吸収損失と曲げ損失とを判別している。このため、実施の形態7においては、実施の形態3〜6に比べて、より正確に水素吸収損失と曲げ損失とを判別することができる。
なお、上記の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
(変形例)
上記実施の形態においては、光ファイバ301の伝送損失の分布を測定する測定装置としてOTDR200を用いる例を示したが、これに限られない。光によって伝送損失の分布を測定し得る測定装置であれば、いかなる測定装置を用いてもよい。
上記実施の形態においては、同一のOTDRを用いてOTDR基準波形とOTDR測定波形とを測定していたが、これに限られない。OTDR基準波形とOTDR測定波形とを異なるOTDRを用いて測定してもよい。この場合、OTDR基準波形とOTDR測定波形の一方をコンバートして他方に合わせる必要がある。
上記実施の形態においては、OTDR基準波形をOPGW300に接続されたOTDR200から直接取得していたが、これに限られない。例えば、OTDR200にて測定された基準波形を予め内部又は外部のメモリ(HDD、フラッシュ、CDROM、DVD等)に記憶しておき、内部又は外部メモリから基準波形を取得するようにしてもよいし、外部サーバに基準波形を記憶しておき、ネットワークを介して外部サーバから基準波形を取得するようにしてもよい。
上記実施の形態においては、OTDR基準波形に基づく単位損失と、OTDR測定波形に基づく単位損失とを比較するために、単位損失の差分Sd又は単位損失の倍率Smを用いる例を示したが、これに限られない。OTDR基準波形に基づく単位損失と、OTDR測定波形に基づく単位損失とを比較するのに適した指標であれば、いかなる指標を用いてもよい。
上記実施の形態においては、単位損失計算時のノイズ低減手法として複数の単位損失の候補を計算し、その中から中央値を選択する例を示したが、これに限られない。例えば、中央値ではなく、平均値、最頻値等の他の代表値を選択してもよい。さらに、複数の候補から1つの代表値を選択する手法に限られず、異なるノイズ低減手法を採用してもよい。
上記実施の形態においては、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間の距離に基づいて、水素吸収損失が発生しているかどうかを判定していたが、これに限られない。例えば、判定部150により伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間がOPGW300の全長に占める割合に基づいて、水素吸収損失が発生しているかどうかを判定してもよい。
上記実施の形態においては、伝送損失発生の兆候ありと判定された位置において、水素吸収損失と曲げ損失のいずれが発生しているかを判定するようにしているが、これに限られない。例えば、光ファイバにおける伝送損失発生の兆候の有無を事前に判定することなく、水素吸収損失と曲げ損失のいずれが発生しているかを判定するようにしてもよい。
上記実施の形態においては、4つの判定部を用いて水素吸収損失と曲げ損失とを区別していたが、これに限られない。任意の3つの判定部を用いて水素吸収損失と曲げ損失とを区別してもよいし、任意の2つの判定部を用いて水素吸収損失と曲げ損失とを区別してもよい。任意の3つの判定部を用いて水素吸収損失と曲げ損失とを区別する場合、少なくとも2つの判定部が共通の判定を行うことになるため、水素吸収損失と曲げ損失とを切り分けて判断することができる。
上記実施の形態においては、OPGW300の光ファイバ301に適用する例を示したが、本発明に係る判定装置、判定方法、及びプログラムは、このような用途に限定されず、あらゆる光通信回線用の光ファイバに適用することができる。
1 判定システム
100 判定装置
110 取得部
120 記憶部
121 単位損失データベース
122 損失区間データベース
123 第1の単位損失データベース
124 第2の単位損失データベース
125 第3の単位損失データベース
126 第4の単位損失データベース
130 単位損失計算部
131 位置選択部
132 基準点設定部
133 追加点設定部
134 候補計算部
135 候補選択部
140 差分計算部
150 判定部
160 表示部
170 指示受付部
180 倍率計算部
191 損失区間判定部
192 異波長判定部
193 差分比判定部
194 最大値判定部
200 OTDR(光パルス試験器)
300 OPGW(光ファイバ複合架空地線)

Claims (10)

  1. 光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形と、前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形とを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された基準波形及び測定波形のそれぞれに基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算する単位損失計算手段と、
    前記光ファイバの任意の位置毎に、前記単位損失計算手段により計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定する判定手段と、
    を備える判定装置。
  2. 前記比較手段は、測定波形に基づく単位損失と基準波形に基づく単位損失との差分を計算する差分計算手段を備え、
    前記判定手段は、前記差分計算手段により計算された差分が閾値よりも大きい場合に伝送損失発生の兆候ありと判定する、
    請求項1に記載の判定装置。
  3. 前記比較手段は、測定波形に基づく単位損失を基準波形に基づく単位損失で除した倍率を計算する倍率計算手段を備え、
    前記判定手段は、前記倍率計算手段により計算された倍率が閾値よりも大きい場合に伝送損失発生の兆候ありと判定する、
    請求項1に記載の判定装置。
  4. 前記判定手段により伝送損失発生の兆候ありと判定された位置が連続して存在する区間の距離を計算し、
    前記距離が閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて水素吸収損失が発生していると判定し、前記距離が閾値よりも大きくない場合に、前記光ファイバにおいて曲げ損失が発生していると判定する損失区間判定手段をさらに備える、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の判定装置。
  5. 前記比較手段に、第1の波長の光を用いて測定された基準波形に基づく単位損失に対する測定波形に基づく単位損失の変化量である第1の変化量と、第2の波長の光を用いて測定された基準波形に基づく単位損失に対する測定波形に基づく単位損失の変化量である第2の変化量と、を計算させ、
    前記第1の変化量が第1の閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて水素吸収損失が発生していると判定し、前記第2の変化量が第2の閾値よりも大きい場合に、前記光ファイバにおいて曲げ損失が発生していると判定する異波長判定手段をさらに備える、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の判定装置。
  6. 前記単位損失計算手段は、基準波形及び測定波形に含まれるノイズが単位損失の計算結果に及ぼす影響を低減するノイズ低減手段を備える、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の判定装置。
  7. 前記ノイズ低減手段は、基準波形及び測定波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に単位損失の複数の候補を計算する候補計算手段と、
    前記候補計算手段により前記光ファイバの任意の位置毎に計算された単位損失の複数の候補から、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失として代表値を選択する候補選択手段と、
    を備える
    求項6に記載の判定装置。
  8. 前記ノイズ低減手段は、前記光ファイバの任意の位置毎に、当該位置から前記光ファイバに沿って同一距離で互いに反対方向に離れた位置に2つの基準点をそれぞれ設定する基準点設定手段と、
    前記基準点から前記光ファイバの入射端側及び出射端側にそれぞれ一定距離ずつ離れた位置に複数の追加点を設定する追加点設定手段と、
    を備えており、
    前記候補計算手段は、前記基準点設定手段により設定された基準点と、前記追加点設定手段により設定された追加点とに基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失の複数の候補を計算する、
    請求項7に記載の判定装置。
  9. 光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形を取得するステップと、
    取得された基準波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算するステップと、
    前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形を取得するステップと、
    取得された測定波形に基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位損失を計算するステップと、
    前記光ファイバの任意の位置毎に、計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較するステップと、
    基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失との比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定するステップと、
    を含む判定方法。
  10. コンピュータを、
    光ファイバに接続された光パルス試験器により測定された基準時の基準波形と、前記光ファイバに接続され、前記光パルス試験器と同一の又は異なる光パルス試験器により測定された現時点の測定波形とを取得する取得手段、
    前記取得手段により取得された基準波形及び測定波形のそれぞれに基づいて、前記光ファイバの任意の位置から前記光ファイバの長手方向に沿って互いに反対方向に同一距離だけ離れた2つの基準点における反射光の強度の差分を、当該基準点の間の距離で除算することにより、前記光ファイバの任意の位置毎における単位長さあたりの反射光の強度の損失を示す単位損失を計算する単位損失計算手段、
    前記光ファイバの任意の位置毎に、前記単位損失計算手段により計算された基準波形に基づく単位損失と測定波形に基づく単位損失とを比較する比較手段、
    前記比較手段による比較結果に基づいて、前記光ファイバの任意の位置毎に、伝送損失発生の兆候の有無を判定する判定手段、
    として機能させるためのプログラム。
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