以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1乃至図8は、本発明の一実施の形態に係り、図1は、本発明によるズームレンズ鏡筒をテレ状態にし、正面から見て光軸を中心に120°の角度位置で切断した断面図、図2は、上記図1のズームレンズ鏡筒の第1カム筒とズーム筒との嵌合部分近傍のみを示す要部縦断面図、図3は、上記図1のズームレンズ鏡筒をワイド状態にし、正面から見て光軸を中心に120°の角度位置で切断した断面図、図4は、上記図1のズームレンズ鏡筒を沈胴状態にし、正面から見て光軸を中心に120°の角度位置で切断した断面図、図5は、上記図1のズームレンズ鏡筒のテレ状態での移動筒と第1カム筒と第2カム筒のカム溝の形状を示す展開図、図6は、上記図1のズームレンズ鏡筒におけるガイド筒の要部の斜視図、図7は、上記ズームレンズ鏡筒のフォーカシングを行う送りねじ機構を示す斜視図、図8は、上記ズームレンズ鏡筒における各筒の回転角と繰り出し量を設計する際のグラフ線図である。
本実施の形態におけるズームレンズは、図1乃至図4に示すように、第1レンズ群120,第2レンズ群130,第3レンズ群140からなる3群ズームレンズからなり、第1及び第3レンズ群は、ズーミング中は一体的に移動するようになっている。これらのレンズ群は、それぞれ第1群筒70,第2群筒90,第3群筒100に保持されている。上記レンズ群130はフォーカスレンズ群で第2群筒90に保持され、この第2群筒90はさらにズーム筒80に支持され、フォーカシングは公知の送りねじによる繰り出しでズーム筒80と第2群筒90が相対移動して行われる。
そして、ズームレンズ鏡筒は、カメラ本体160に対して収納位置である沈胴位置と撮影可能な突出位置とに進退可能な基準筒としての移動筒20と、該移動筒20に対して回転可能なズーミング用の外筒としての回転筒30と、該回転筒30により回動駆動され、上記移動筒20のカムによって進退移動されるガイド筒40と、上記移動筒20にガイドされて回動しない状態で該ガイド筒40と同時に進退駆動される第1カム筒50と、回動方向が上記ガイド筒40にガイドされ、上記第1カム筒50のカムにより進退駆動される第2カム筒60と、上記第1カム筒50にガイドされ、上記第2カム筒60のカムにより進退駆動されるズーム筒80と、該第ズーム筒80にガイドされ、上記第2カム筒60のカムにより進退駆動され、第1レンズ群120を支持する第1群筒70と、上記ズーム筒80に対して進退可能に支持され、第2レンズ群130を支持する第2群筒90と、上記ズーム筒80に支持され、第3レンズ群140を支持する第3群筒100とで、その主要部が構成されている。
上記カメラ本体160の先端側には、沈胴時に上記第3群筒100の基端側が当接する、該第3群筒100と略同径の突部161が形成されている。
上記移動筒20の基端部には、移動板10がビス等によって固設されている。この移動板10はカメラ本体160に軸支され回転止めされて光軸方向に進退可能で回転不能に支持されている。この移動板10には、セットアップモータを有する周知の駆動機構(図示せず)が設けられており、この駆動機構によって上記移動板10が駆動されると、上記移動筒20は、上記移動板と一体的に沈胴位置と突出位置とを進退移動するようになっている
また、上記移動筒20の外周面には、上記回転筒30が回動自在に嵌合されている。この回転筒30の先端側の内周には、スラスト受溝32が形成されており、このスラスト受溝32には上記移動筒20の先端に外方に向けて形成されたスラスト受リブ22が嵌合されていて、上記回転筒30の固定筒20に対するスラスト方向への相対移動が規制されている。
上記回転筒30の基端側の外周面には、図示しないズーム用モータからの動力を伝達してズーミングを行うためのギア部35が形成されている。
さらに、上記回転筒30の基端側の外周面には、スラスト受溝34が上記ギア部35の先端側に隣接して形成されていて、このスラスト受溝34には、上記カメラ本体160に形成された図示しないバヨネット式スラスト受が嵌脱自在となっており、回転筒30が回動することによりバヨネット式に嵌合するようになっている。このバヨネット式スラスト受は、上記ズームレンズ鏡筒が突出位置にあるとき嵌合され、上記ズームレンズ鏡筒が沈胴する際に離脱されるようになっている。
上記移動筒20の内周面には、上記ガイド筒40が嵌合するようになっている。このガイド筒40の基端側の外周には、図6に示すように、カムピン41a,42b,41cが、外方に向けて突出形成されている。これらのカムピン41a,41b,41cは、上記移動筒20の内周面に互いに等間隔隔てて形成された3本の傾斜カム溝孔21a及び傾斜カム溝21b,21c(図5参照)に嵌合されている。尚、上記カム溝21b,21cは有底のカム溝で形成され、カム溝孔21aは貫通孔で形成されている。
さらに、上記カムピン41aの先端部には、回転駆動用ピン43が形成されている(図6参照)。この回転駆動用ピン43は、上記カム溝孔21aから上記移動筒20の外周側に突出され、上記回転筒30の内面に光軸方向に沿って形成された回転駆動用キー溝33に嵌合されている。従って、回転筒30が回動すると、ガイド筒40は同期して回動するとともに、移動筒20のカム溝孔21a,カム溝21b,21cに沿って光軸方向に進退する。
上記ガイド筒40の内周面には上記第1カム筒50が嵌合されている。この第1カム筒50の基端側には、ガイド用キー53が外方に向かって突出形成されており、このガイド用キー53は、上記移動筒20の内面に光軸方向に沿って形成された直進キー溝23に嵌合し、第1カム筒50が直進ガイドされている。
また、上記第1カム筒50の外周の基端部寄りには、スラスト受リブ52が形成されており、このスラスト受リブ52は、上記ガイド筒40の基端側の内周面に形成されたスラスト受溝42にバヨネット式に嵌合されていて、上記カム筒50の上記ガイド筒40に対するスラスト方向への相対移動が規制されている。従って、ガイド筒40と第1カム筒50は、相対回転しながら光軸方向には一体的に進退する。
さらに、カム筒50には、図5に示すように、先端側が該カム筒50の先端部で開口した逃げ溝孔55a,55b,55cが光軸方向に沿って互いに等間隔位置に形成されている。
上記ガイド筒40の内周面であって上記第1カム筒50の外周面には、上記第2カム筒60が嵌合されるようになっている。この第2カム筒60の基端側の外周面には、回転被駆動用ピン61a,61b,61cが光軸を中心に互いに120°の等間隔位置に外方に向けて突出形成されており、これらの回転被駆動用ピン61a,61b,61cは、上記ガイド筒40の内面に光軸方向に沿って形成された回転駆動用キー溝44a,44b,44cにそれぞれ嵌合されている。
また、上記第2カム筒60の内周面の上記回転被駆動用ピン61a,61b,61cにそれぞれ対応する個所には、カムピン62a,62b,62cが内向に突出形成されており、これらのカムピン62a,62b,62cは、上記第1カム筒50の外周面に互いに等間隔隔てて形成された傾斜カム溝51a,51b,51c(図5参照)にそれぞれ嵌合されている。従って、ガイド筒40が回動すると同期して第2カム筒60が回動し、第1カム筒50の傾斜カム溝51a〜51cに沿って光軸方向に進退する。
上記第2カム筒60の内周面には、図5に示すように、複数のなだらかな屈曲部を有する傾斜カム溝63a−1,63a−2,63a−3が互いに等間隔隔てて形成されている。これらの傾斜カム溝63a−1,63a−2,63a−3の基端側は、組立時ガイド用カム溝63b−1,63b−2,63b−3によって互いに連通されており、さらに、同基端側は、第2カム筒60の基端部で開口された組立時挿入用カム溝63c−1,63c−2,63c−3の先端側に連通されている。
上記第2カム筒60の内周面の基端寄りには、上記ズーム筒80が配設されていて、同ズーム筒80は第1カム筒50の内周面に嵌合されるようになっている。このズーム筒80の基端側の外周面には、回転止め用キー84a,84b,84c,84d(上記回転止め用キー84a,84bのみ図2に図示する)が光軸を中心に互いに略90°の等間隔位置に外方に向けて突出形成されており、これらの回転止め用キー84a,84b,84c,84dは、上記第1カム50の内周に光軸方向に沿って形成された直進キー溝54a,54b,54c,54d(図2及び図5参照)にそれぞれ嵌合されている。
また、上記ズーム筒80の外周面には、カムピン81a,81b,81cが光軸を中心に互いに120°の等間隔位置に外方に向けて突出形成されており、これらのカムピン81a,81b,81cは、上記傾斜カム63a−2,63a−3,63a−1にそれぞれ嵌合されている。従って、ズーム筒80は光軸方向に傾斜カム63a−2,63a−3,63a−1に沿って進退する。なお、上記カムピン81a,81b,81cは、図1に示すズームレンズ鏡筒のテレ状態では、図5中の81aT,81bT,81cTに位置する。
上記第2カム筒60の内周面の先端寄りには、先端部に第1レンズ群120を保持した上記第1群筒70が嵌合されるようになっている。この第1群筒70の基端側の外周面には、カムピン71a,71b,71cが光軸を中心に互いに120°の等間隔位置に外方に向けて突出形成されており、これらのカムピン71a,71b,71cは、上記傾斜カム63a−1,63a−2,63a−3にそれぞれ嵌合されている。従って、第1群筒70は光軸方向にカム63a−1〜63a−3に沿って進退する。なお、上記カムピン71a,71b,71cは、図1に示すズームレンズ鏡筒のテレ状態では、図5中の71aT,71bT,71cTに位置する。
また、上記ズームレンズ鏡筒がテレ状態からワイド状態に移行する途中で、上記カムピン71a,b,c及び上記カムピン81b,c,aは、上記逃げ溝孔55a,55b,55cに入り込むようになっている(図3参照)。
上記第1群筒70の内面には、回転止め溝73が光軸方向に沿って形成されており、この回転止め溝73には、上記ズーム筒80の先端に突出形成された回転止め82bがキー嵌合されている。
また、上記第1群筒70の壁内には、ズーム軸72の先端側が嵌着されており、このズーム軸72の基端側は、上記ズーム筒80の先端に形成された内向フランジに穿設された軸受孔82を貫通して上記第3群筒100に係合されている。なお、このズーム軸72については、後に第3群筒100の構成を説明する際に詳述する。
上記ズーム筒80の内部には、第2レンズ群130を保持した第2群筒90が配設されている。この第2レンズ群130の基端側の外周面には、第2群蓋150が嵌着されていて、上記第2群筒90と上記第2群蓋150とで、ガイド軸91が支持されている。このガイド軸91は、上記ズーム筒80に形成された図示しない軸受に嵌合されており、これによって上記第2レンズ群130が上記ズーム筒80に対して光軸方向に相対移動可能に支持されている。
また、上記第2群筒90の外周面には、図示しない回転止めピンが形成されており、この回転止めピンが上記ズーム筒80の内周面に形成された図示しない回転止め溝に嵌合されて、上記第2群筒90の上記ズーム筒80に対する回動が規制されている。
上記第2群筒90の先端面は、セクタ受面93として形成されており、このセクタ受面93にはセクタ96が支持されている。このセクタ96は、上記第2群筒90の外周面上に配設されたセクタ駆動用アクチュエータであるプランジャ110によって駆動されるようになっている。
また、上記第2群筒90には、該第2群筒90を光軸方向に駆動し、上記ズーム筒80に対して相対移動させてフォーカシングを行うためのねじ送り機構が設けられている。
ここで、図7を参照して、このねじ送り機構について少し詳しく説明する。
上記ねじ送り機構170は、光軸方向を回転軸とするねじ軸172を有して構成されている。このねじ軸172の両端には、軸部171a,171bが形成されていて、これらの軸部171a,171bは、上記第2群筒90及び上記第2群蓋150の外向フランジに形成された軸受孔95,155に回転自在に支持されている。
上記ねじ軸172の先端側には、ギアー部173が固設されており、このギアー部173は、図示しないフォーカス用モータの駆動ギアーに噛合されている。
上記ねじ軸172の上記ギアー部173よりも基端側には、雄ねじが形成されており、この雄ねじには、ナット180が螺合されている。このナット180の外周面には回転止めピン181が形成されており、この回転止めピン181は、上記第2群蓋150に形成された図示しない回転止め溝に嵌合されている。
また、上記ねじ軸172の上記ナット180が螺合された箇所よりも基端側は、上記ズーム筒80の内周面に内向に突出形成された当付突部85の貫通孔に挿通されている。
上記ねじ軸172の外周であって、上記当付突部85と上記第2群蓋150との間には、圧縮バネ190が配設されている。そして、この圧縮バネ190の付勢力によって、上記当付突部85は、上記ナット180の基端面に当接されている。
上記ズーム筒80の内周面の上記第2群筒90よりも基端寄りには、第3レンズ群140を保持した第3群筒100が配設されている。この第3群筒100には、不図示の軸部が設けられており、この軸部が上記ズーム筒80に形成された不図示の軸受に嵌合されて、ズーム筒80に対して光軸方向に相対移動自在に保持されている。
また、上記第3群筒100の先端側には回転止め溝102が形成されており、この回転止め溝102は、上記ズーム筒80の内面に突出形成された回転止めピン83に嵌合されている。
さらに、第3群筒100の先端側には、外向フランジが形成されており、この外向フランジに形成されたスラスト受孔103に上記ズーム軸72が挿通されている。上記ズーム軸72の基端部には、抜止72aが形成されており、該ズーム軸72の上記スラスト受孔103に対する抜け防止が施されている。また、該ズーム軸72の外周であって、上記ズーム筒80の内向フランジと上記第3群筒100の外向フランジとの間には、図示しない圧縮バネが配設されており、この圧縮バネによって上記第3群筒100が上記ズーム軸72の基端側に付勢されている。
そして、このように構成されたズームレンズ鏡筒は、例えば、図9に示す駆動制御装置によって駆動制御される。
この駆動制御装置は、CPU802と、このCPUからの駆動信号を基に複数の駆動用モータに駆動電力を供給するモータドライバ回路803とが信号線により接続され、さらに、これらのCPU802及びモータドライバ回路803に電力を供給するバッテリ801が接続されて主要部が構成されている。
上記CPU802には、カメラのメインスイッチ804をはじめ図示しない複数のスイッチ類,センサ類,フォトインタラプタ及びフォトリフレクタ等が接続されていて、これらから入力される信号を基にシークエンス処理等を行い駆動信号を上記モータドライバ回路に出力するようになっている。
上記モータドライバ回路803には、駆動用モータM1,M2,M3がそれぞれフォーカス用モータ805,ズーム用モータ806,セットアップ用モータ807としてそれぞれ接続されており、上記CPU802から駆動信号が入力されると、この駆動信号に応じて上記各モータに駆動電力が供給されるようになっている。なお、本実施の形態では3個の駆動用モータを用いているが、適用されるズームレンズ鏡筒によっては1個あるいは2個の駆動用モータを機械的に切り替え、その駆動力を各非駆動部に伝達してもよいし、3個以上の駆動用モータを用いてもよい。
次に、ズームレンズ鏡筒の、テレ状態(図1参照)からワイド状態(図3参照)への動作を説明する。
CPU802からモータドライバ回路803に駆動信号が入力され、この駆動信号に基づいてズーム用モータ806が起動される。このズーム用モータ806からの回転駆動力はギアー部35に伝達される。
この回転駆動力により回転筒30がワイド方向に回動する。すると、上記ガイド筒40は、上記回転筒30の回転駆動用キー溝33に嵌合された回転駆動用ピン43を介して上記回転筒30と一体的に回動するとともに、移動筒20の傾斜カム溝(孔)21a,b,cに沿って後退する。このとき、第1カム筒50は、直進キー溝23に嵌合されたガイド用キー53によって回動を規制された状態で、上記ガイド筒40と一体的に後退する。
上記ガイド筒40の回転駆動力は、回転駆動用キー溝44a,b,cに嵌合された回転被駆動用ピン61a,b,cを介して第2カム筒60に伝達され、該第2カム筒60は、上記ガイド筒40と一体的に回動するとともに、傾斜カム51a,b,cに沿って後退する。
また、上記第2カム筒60が回動されると、上記ズーム筒80が上記カム筒50の直進キー溝54a,b,c,dによって回動を規制された状態で、傾斜カム溝63a−1,63a−2,63a−3に嵌合されたカムピン81c,b,aによって後退するとともに、上記第1群筒70が、上記ズーム筒80の回転止め82bによって回動を規制された状態で、傾斜カム63a−1,63b−2,63a−3に嵌合されたカムピン71a,b,cによって後退する。
このとき、第2群筒90は、上記ズーム筒80と一体的に後退する。また、第3群筒100は、上記ズーム筒80の内向フランジと上記第3群筒100の外向フランジとの間に配設された図示しない圧縮バネによって常にズーム軸72の基端側に付勢されているので、上記ズーム軸72を保持する上記第1群筒70と一体的に後退する。
このようにして、上記各レンズ群が光軸方向に移動し、ズーミングが行われる。尚、上記ズームレンズ鏡筒には、図示しないワイド位置検出センサが設けられており、該センサによりワイド手前位置を検出すると、この検出信号は、上記CPU802に送られ、上記検出信号を基にズーム用モータ806を制御して鏡筒がワイド位置となるタイミングで上記回転筒30の回動を停止する。
ここで、上記ズームレンズ鏡筒が、テレ位置からワイド位置に移動すると、カムピン71a,b,c及びカムピン81a,b,cは、図5中、71aT,71bT,71cT及び81aT,81bT,81cTに示す位置から,71aW,71bW,71cW及び81aW,81bW,81cWに示す位置まで移動する。
次に、上記ズームレンズ鏡筒のフォーカシングについて説明する。
CPU802からモータドライバ回路803に駆動信号が入力され、この駆動信号に基づいてフォーカス用モータ805が起動すると、このフォーカス用モータ805からの回転駆動力は、ギアー部173(図7参照)に伝達され、ねじ軸172が回転する。
このとき、ナット180は第2群蓋150によって回転止めされているので、上記ナット180は、ねじ軸172の雄ねじのリードに従って光軸方向に進退する。
上記当付突部85は、圧縮バネ190によって上記ナット180に圧接されているので、結果的に上記ナット180の進退移動に伴って上記第2群筒90とズーム筒80とが相対移動し、フォーカシングが行われる。
次に、上記ズームレンズ鏡筒の沈胴動作について説明する。
まず、フォーカス用モータ805に通電し、第2群筒90をズーム筒80に対して相対移動させて前方の至近位置まで繰り出す。すなわち、第1レンズ群120と第2レンズ群130とのスペースを限界位置まで詰め、該第2レンズ群130の基端側に第3レンズ群140を収納するためのスペースを形成する。
次いで、ズーム用モータ806に通電し、鏡筒をワイド状態とした後、さらに上記ズーム用モータ806をワイド方向に駆動し続ける。すると回転筒30のスラスト受溝34とカメラ本体160のバヨネット式スラスト受の嵌合が外れる。
次に、セットアップ用モータ807に通電し、移動板10と共に各鏡筒を沈胴方向へ移動する。すると第3群筒100の基端側が上記カメラ本体160の突部161に当接され、該第3群筒100のスラスト受孔103とズーム軸72の抜け止め72aとの当付が離れ、上記第3群筒100は、ズーム軸72に配設された圧縮バネを圧縮チャージしながら移動し、上記第2レンズ群130の基端側に形成された収納スペースに収納されると共に、ズームレンズ鏡筒が最も全長の短い沈胴状態となる。
このように沈胴前に、フォーカスレンズ群である第2レンズ群130を前方に繰り出して該第2レンズ群130の基端側に収納スペースをつくることにより、沈胴時のレンズ鏡筒の全長を短縮することができる。
次に、上記ズームレンズ鏡筒が沈胴動作を制御する駆動制御装置の電気的シークエンスについて説明する。
図10は、上記ズームレンズ鏡筒が沈胴する際の上記駆動制御装置の電気的シークエンスを示すフローチャートである。
本実施の形態において、上記ズームレンズ鏡筒は、上記駆動制御装置のCPU802に接続されたカメラ本体のメインスイッチ804がオフされたとき沈胴動作が開始するようになっており、ステップS901で上記メインスイッチ804がオフされると、ステップS902に進み、駆動用モータM1(フォーカス用モータ805)に通電し、第2群筒90を至近位置に向かって稼動させる。
次に、ステップS903に進み、上記第2群筒90が至近位置に到達したか否かを判断し、上記第2群筒90が至近位置に到達したと判断するとステップS904に進み、上記駆動用モータM1の通電をオフした後、ステップS905に進む。
上記ステップS905では、駆動用モータM2(ズーム用モータ806)に通電し、上記ズームレンズ鏡筒をワイド方向に起動させた後、ステップS906に進む。
上記ステップS906では、上記ズームレンズ鏡筒がワイド状態となり、さらに回転筒30のスラスト受溝34からカメラ本体160のバヨネット式スラスト受が脱離されたか否かを判断し、上記スラスト受溝34から上記バヨネット式スラスト受が脱離されたと判断すると、ステップS907に進み、上記駆動用モータM2への通電をオフする。
次に、ステップS908に進み、駆動用モータM3(セットアップ用モータ807)に通電し、移動板10を沈胴方向に起動させた後、ステップS909に進む。
上記ステップS909では、移動板10が沈胴位置への移動を完了したか否かを判断し、上記移動板10の沈胴位置への移動を完了されたと判断するとステップS910に進み上記駆動用モータM3への通電をオフし、ルーチンを抜ける。すなわち、カメラ動作を停止するためにメインルーチンに戻る。
以上のようにして、上記駆動制御装置の沈胴制御が行われる。
また、この駆動制御装置の沈胴制御は、図11に示すルーチンに従うようプログラムされていてもよい。
図11は、上記ズームレンズ鏡筒が沈胴する際の上記駆動制御装置の電気的シークエンスを示すフローチャートである。
本制御は、第2群筒90を至近位置まで動作させる前に、先ず、上記ズームレンズ鏡筒をワイド状態とする点が上記図10に示した制御手段と異なる。
ステップS920で、上記駆動制御装置に接続されたカメラ本体のメインスイッチ804がオフされると、ステップS921に進み、駆動用モータM2に通電し、上記ズームレンズ鏡筒をワイド方向に起動させた後、ステップ922に進む。
上記ステップS922では、上記ズームレンズ鏡筒がワイド位置まで移動したか否かを判断し、上記ズームレンズ鏡筒がワイド位置まで移動したと判断すると、ステップS923に進み上記駆動用モータM2への通電をオフする。
次に、ステップS924に進み、駆動用モータM1(フォーカス用モータ805)に通電し、第2群筒90を至近位置に向かって駆動させた後、ステップS925に進む。
上記ステップS925では、、上記第2群筒90が至近位置に到達したか否かを判断し、上記第2群筒90が至近位置に到達したと判断すると、ステップS926に進み、上記駆動用モータM1の通電をオフした後、ステップS927に進む。
以下、ステップS927以降の制御は、上記図10に示したステップS910以降の制御と同様なので、その説明を省略する。
このように、上記ズームレンズ鏡筒を、一旦、ワイド位置とした後、第2群筒90を至近位置まで移動させ、再度、駆動用モータM2を駆動させることも可能である。
尚、上記図10,11に示す制御手段では、沈胴の際に第2レンズ群130を支持した第2群筒90を前方へ繰り出す際、最前方の至近位置へ繰り出し移動させているが、必ずしも至近位置まで移動させずに繰り込み位置から至近方向側へ所定量繰り出しても良い。
次に図5のカム展開図をもとに、第2カム筒60の傾斜カム溝63aの特徴について説明する。
上記第2カム筒60の傾斜カム溝63a−1は、第1群筒70のカムピン71aがワイド位置71aWとテレ位置71aTの間で使用するカム溝部分とズーム筒80のカムピン81cがワイド位置81cWとテレ位置81cTの間で使用するカム部分とからなっている。
上記傾斜カム溝63aにおいて、上記ワイド位置71aWと上記テレ位置81cTとの間のカム溝は、上記第1群筒70のワイド位置付近のカム溝であると同時に上記ズーム筒80のテレ位置付近のカム溝でもある。つまり、1本のカム溝を2つの異なる筒駆動用カム溝として共用重畳していることになる。
このように1本のカム溝を共用することにより、カム溝のレイアウトの自由度が増し、筒の全長を短縮したり、筒径が小さくても圧力角が小さくなるよう回動角を大きく設定できる。
このようなカム溝の共通使用は、ズーム移動が2つ以上のカム溝の合成で行われている構成の場合に可能となる。
次に、上記図5に示す傾斜カム溝63aの設計方法について、図8(a)、(b)のグラフ線図を用いて説明する。
このグラフ線図は、第1群筒70、及びズーム筒80(第2群筒90)の2つのレンズ筒の回転角に対しての繰り出し量が、図8(a)に1Z,2Zで示す繰り出し特性を有するズームレンズ鏡筒となるための傾斜カム溝63aを設計する場合である。なお、このズームレンズ鏡筒の第2カム筒60の回転角に対する移動量は、同図8(a)に示すとおり、線形変化するものであるとする。
この場合、上記繰り出し特性1Z,2Zを得るために、上記第2カム筒60に必要な、上記第1群筒70及び上記ズーム筒80を個々に駆動するためのカム溝は、上記繰り出し特性1Z,2Zから第2カム筒60の移動量を差し引いた、図8(a)に1Z’,2Z’で示す形状のカムとなる。
次に、上記カム溝2Z’の一端であるテレ側と上記カム溝1Z’のワイド側とを一部共用するために、図8(b)に示すように、1Z’の一端であるワイド位置を2Z’カム上にもってくる。
するとカム溝1Z’,2Z’の合成カム溝として2Z’W〜1Z’W〜1Z’Tという経路のカム溝が出来る。このカム溝に沿って、第1群筒70、ズーム筒80が移動することを考えると、回転角2Z’W〜1Z’Wまでは各筒共に図8(a)に1Z,2Zで示す繰り出し特性に沿って移動する。
しかし、回転角が1Z’Wを越えると、ズーム筒80は、第1群筒70用のカム溝に沿って移動する為、繰り出し過ぎとなる。そこで、これを、第2カム筒60の繰り出し量で補正する(補正カム1)。すると、第1群筒70は第2カム筒60の補正カム1の分だけ繰り出し不足となるため、第1群筒70用の他端であるテレ側のカム溝部分を補正カム1の分だけ補正する(補正カム2)。つまり、補正カム2は、第1群レンズ120と第2群レンズ130との群間隔を補正し、この補正によってズレた量、即ち、第1群レンズと第2群レンズとを含めたレンズ全体とフィルム面との間のズレを補正カム1によって補正するものである。このようにして、2本のカム溝を連結し、一部共用することができる合成カム溝を設計することができる。
また、この合成カム溝の設計時の各カム溝の補正方法として、カム溝2Z’の一端であるテレ位置をそのままカム溝1Z’(の一端)上にもってきて(重畳して)、第2カム筒60のワイド側の繰り出しと、カム溝2Z’の(他端である)ワイド側の繰り出しで補正する方法もある。さらに、第2カム筒60のワイド側とテレ側の両方(の補正)と、カム溝1Z’、カム溝2Z’のワイド側とテレ側の両方(の補正と)で補正する方法など様々な組み合わせ方法がある。
図5に示した第2カム筒60のカム溝63bは、ズーム筒80のカムピン81a,81b,81cを該第2カム筒60に嵌合する際の組立用のガイド用カムである。
上記各カムピンの組立方法を上記カムピン71a,81aを例にとって説明すると、上記カムピン71a,81aは、第2カム筒60のカム溝63c−1から嵌入した後、上記カムピン71aをカム溝63a−1に沿って移動すると共に、上記カムピン81aをカム溝63b−1に沿って移動し、上記カムピン71aは上記カム溝63a−1上の71awの位置まで移動し、上記カムピン81aはカム溝63b−1からカム溝63a−2に乗り替えて81aw位置に移動して、使用状態ワイド位置に組み立てられる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、異なる複数のカム溝を連結して複数のレンズ群を動作させるためのカム溝を共用することができるので、たとえ同一カム筒上に複数のカム溝を形成する必要がある場合であっても、カム筒を大型化することなく、且つ各レンズ群の可動範囲を充分に確保することのでき、また、カムのレイアウトの自由度が増し、鏡筒全体を短く細くすることができる。
また、ズームレンズ鏡筒の沈胴時には、フォーカスレンズ群を至近位置側に繰り出して各レンズ群間の余分なスペースを縮小することができるので、特別の部材や機構を設けることなく、沈胴の際の全長を短縮することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。