JP4658844B2 - レセプタクルおよび該レセプタクルを備える光モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、光通信用に適したレセプタクルおよび該レセプタクルを備える光モジュールに関するものである。
光信号を電気信号に変換するための光モジュールは、半導体レーザやフォトダイオード等の光素子をケース内に収納し、光ファイバを通じて光信号を導入又は導出するような構造となっている。また、光モジュールのうち光コネクタを接続するようにしたレセプタクル型の光モジュールは、レセプタクルの一端に光素子を備えるとともに、他端に石英ガラス等からなる光ファイバを有する光コネクタ用プラグフェルールを接続するものである(特許文献1参照)。
上記光モジュールのうち光コネクタを接続するようにしたレセプタクル型の光モジュールは、図11に示すようなレセプタクル29の一端に光素子30を備えるとともに、他端に石英ガラス等からなる光ファイバ21を有する光コネクタ用プラグフェルール22を接続するものである。
このレセプタクル29は、ジルコニア、アルミナ等のセラミック材料からなるフェルール24と、フェルール24の貫通孔に石英ガラス等からなる光ファイバ23を挿入固定して得られたファイバスタブ25の後端部をホルダ27に圧入により固定し、先端部をスリーブ26の内孔に挿入するとともに、該スリーブ26を覆うようにスリーブケース28をホルダ27に圧入又は接着固定することによって構成されている。
ファイバスタブ25における光ファイバ23の先端面は、当接時の接続損失を減らすために曲率半径5〜30mm程度の曲面に鏡面研磨されており、反対側の後端面は、LD等の光素子30から出射された光信号が該後端面で反射して反射戻り光として光素子に戻るのを防止すべく、フェルール24とともに傾斜させられている。
このとき、フェルール24の外径は、SC光コネクタを接続するタイプのものがφ2.5mm程度、LC光コネクタを接続する小型タイプのものがφ1.25mm程度、外径公差は±1μm以下で、その貫通孔に備えられた光ファイバ23の外径は125μm程度、外径公差は±1μm程度とJIS規格やIEC規格等で規定されているが、従来から、光ファイバ23の中心に形成された光信号を伝搬する直径10μm程度のコア(不図示)同士を損失の少ない接続とするため、それぞれの部品(スリーブ26、フェルール24等)は高精度に加工されており、スリーブ26によってファイバスタブ25及び光コネクタ用プラグフェルール22を安定且つ高精度に保持する構造となっている。
さらに上述のレセプタクル29を用いて光モジュールを構成する場合は、レセプタクル29のファイバスタブ25を備えた後端面側に、光素子30とレンズ31を備えたケース32を溶接により接合し、レセプタクル29のもう一方の端面側よりスリーブ26内に光コネクタ用プラグフェルール22を挿入し、光ファイバ23および光ファイバ21の端面を当接させ、光信号のやりとりを行うことができる。
従来、上述したようなレセプタクルを用いた光モジュールは、LAN等の低速な通信用途にのみ用いられており、幹線系等の高速な通信用途には光ファイバピグテイルを用いた光モジュールが用いられていた。しかしながら近年、LAN等においても通信速度の高速化が求められてきたこと、また光ファイバピグテイルを用いた光モジュールに比べレセプタクルを用いた光モジュールは非常に小型であることから、レセプタクルを用いた光モジュールにおいても通信速度の高速化が求められてきた。かかる通信速度の高速化には、高性能な半導体レーザを使用することにつながり、安定した特性を得るためには反射戻り光を防ぐ必要があるため、光アイソレータを光路に挿入しなければならない。
そこで、図12に示すように、レセプタクルに戻り光防止手段を配置したものを筆者らは考案している(特許文献2参照)。
ここでは、上記戻り光防止手段を備えたレセプタクル45は、石英ガラス等からなる光ファイバ41を有する光コネクタ(SC光コネクタ等)のプラグフェルール42を保持するための精密スリーブ43と、精密スリーブ43を保持するためのスリーブケース44にてレセプタクル45が構成される。また偏光子およびファラデー回転子によってなる光アイソレータ素子46と、光アイソレータ素子46に磁界を印加するためのマグネット47と、光アイソレータ素子46およびマグネット47をスリーブ43の貫通孔内で保持するための光アイソレータホルダ48にて戻り光防止手段49が構成されている。そして前記スリーブケース44のフランジ部44aと半導体レーザ50およびレンズ51を備えたケース52を接合して構成される。
また、特許文献2では、図13に示すような構成も開示している。具体的には、本構成のレセプタクル45は、精密スリーブ43の内径に突起部43aを有する。突起部43aは、戻り光防止手段49およびプラグフェルール42をそれぞれ当接させることにより、それぞれの位置決めの役割を果たす。
特開2001−66468号公報 特開2005−070467号公報
一般的にレセプタクルを用いた光モジュールを使用したトランシーバの形状は規格化されているが、半導体レーザに加える変調速度が高速化すると、そのための電気回路に必要なスペースは大きくなる。つまり電気回路のスペースを確保するために、レセプタクルを短くすることが求められている。
図11に示すレセプタクルの場合、ファイバスタブ25の外径は、光ファイバ21の中心に形成された光信号を伝搬する直径10μm程度のコア(不図示)同士を損失の少ない接続とするため、非常に高精度に加工する必要があり、またコア同士直接接合するために、曲面に鏡面研磨を施さなければならないが、全長が短くなると、加工に非常に手間がかかる問題があった。
また、図12の構成の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの場合、プラグフェルール42の先端を光アイソレータ49には当接させず、例えばSC光コネクタやLC光コネクタの場合、スリーブケース44のつばの部分に光コネクタのハウジングを当て付ける構造にすることでプラグフェルール42の位置決めをするという構成であるが、現在主に使用されているSC光コネクタやLC光コネクタのハウジングは樹脂製であり、光軸方向のトレランスは光軸垂直方向と比較して非常に緩いとはいえ、プラグフェルール42の先端を位置決めできるレベルの寸法精度は得られていない。そのため、ハウジングによりプラグフェルール42の位置決めを実現するには、非常に高精度なハウジングもしくは、特別なストッパ構造をもつハウジングを必要とするため、コストアップにつながるという問題があった。
また、図13のように精密スリーブ43の内径に突起部43aを設け、プラグフェルール42の先端をその突起部43aに当接させることで位置決めをし、ハウジングのコストアップを回避する構成も提案しているが、この場合、精密スリーブ43の内径に突起部43aを形成するということは、プラグフェルール42を保持する精密スリーブ43の内径の方が突起部43aの内径よりも大きくなければならない。また精密スリーブ43の外周とホルダ44の内径を圧入により固定する場合はスリーブホルダの締め付けによる応力、接着固定の場合は接着剤の硬化収縮による応力により精密スリーブ3の内径が微小に変形してしまう。プラグフェルール42を保持する部分の精密スリーブ43の内径は、プラグフェルール42の中心に固定されている光ファイバ41の光軸垂直方向のずれにつながるため、微小な変形でも光出力の変動に大きく影響する。そのため、非常に高精度なものを要求されるが、このように精密スリーブ43の貫通孔の最細部ではない部分の内径精度や同心度を高精度に加工するには、非常に高度な精密加工技術が必要となり、コストアップにつながるという問題があった。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、半導体レーザの変調速度の高速化による電気回路のスペースを充分に確保することが可能な長さで、且つ、高精度加工や曲面鏡面研磨加工の手間を省略することが可能なレセプタクル、および、該レセプタクルを備える光モジュールを提供することを、目的とする。
本発明に係るレセプタクルは、スリーブと、戻り光防止手段と、支持部材とを備える。ここで、スリーブは、光ファイバを有するプラグの少なくとも一部を挿入するための貫通孔を有し、該プラグを保持するための部材であり、戻り光防止手段は、スリーブの貫通孔の外側に位置し、自体を透過した光が該光の入射方向側に戻るのを防止するための部材である。また、支持部材は、前記プラグが当接するための当接部を前記支持部材の一方側の面に有し、該一方側の面に対する反対側の面の外周部に光素子を収容するケースに溶接される溶接面が設けられるとともに、前記反対側の面の中央部に前記戻り光防止手段が固定され、前記戻り光防止手段を透過した光がスリーブに保持されたプラグの光ファイバに到達するように構成された、スリーブおよび戻り光防止手段を支持するための部材である。
本発明においては、更に、スリーブの少なくとも一部を挿入するための貫通孔を有するスリーブホルダを備えるこの場合、支持部材は、スリーブホルダを介してスリーブを保持する。また、スリーブホルダの貫通孔は、第1内径の第1部位と、該第1内径より大きい第2内径の、第1部位を挟んでプラグ挿入側と反対側に位置する第2部位とを有し、スリーブホルダが第1部位においてスリーブを保持し、支持部材がスリーブホルダのうち第2部位を囲む部分を保持する。
また、本発明においては、前記スリーブは、プラグの挿入側端部に、該プラグの挿入方向に向けて漸次縮径するテーパ部を有するのが好ましい。さらに、前記スリーブは、その内周面に凸部を有するのが好ましい。
本発明において、戻り防止手段は、ファラデー回転子および偏光子を含むのが好ましい。
さらに、本発明においては、前記戻り光防止手段を透過した光が通る開口部を設けるとともに、該開口部の内径が、前記戻り光防止手段側に比し、前記プラグ側が前記光ファイバのコア径と同等の小さい内径とされていることが好ましい。また前記開口部は、前記プラグ側に向かって漸次縮径していることが好ましい。さらに、前記開口部内の内周面に、光の反射防止処理を施すことが好ましい。
また、本発明は、上記本発明に係るレセプタクルと、戻り光防止手段に向けて光を出射するための光素子とを備える光モジュールを提供するものである。本発明に係る光モジュールにおいては、光素子と、戻り光防止手段と光素子との間に、該光素子から出射される光をプラグの光ファイバに集光するための光学系を備えたケースの開口に、前記支持部材を溶接するのが好ましい。
以上のように、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルによると、スリーブおよび戻り光防止手段を支持する支持部材を備え、該支持部材は、プラグが当接するための当接部を備えるため、簡易な構成をもってスリーブに挿入されるプラグを安定化させ、戻り光防止手段を透過した光がスリーブに保持されたプラグの光ファイバに到達する光特性を改善することができる。
また、支持部材に当接部を介して、プラグを当接させるため、ファイバスタブを使用しない部品構成となり、高速変調の電気回路に必要なスペースをより多く確保できるので、高性能な半導体レーザモジュールに適するレセプタクルが提供できるようになる。
さらに、支持部材にプラグフェルールの当接部を有しているため、特殊なハウジングを持つ光コネクタは不要となるため、主に使用されている光コネクタでもプラグフェルールの位置決めが可能となり、部品点数が少なくなったことと相まって、安価な光モジュールを実現できる。
また、本発明のレセプタクルによれば、精密スリーブをスリーブホルダに固定した後、支持部材と固定するという構造をとることができ、精密スリーブをスリーブホルダに固定する際に発生する精密スリーブ内径の変形を、内径研磨等の追加工により修正することが可能となる。よって、プラグフェルールを保持する精密スリーブの内径精度や同心度を容易に高精度に加工することができる。さらにスリーブホルダの貫通孔が第1内径の第1部位と、該第1内径より大きい第2内径の第2部位とを有しており、第1部位で精密スリーブを固定し、第2部位で支持部材を固定する構成をとるようにすると、精密スリーブをスリーブホルダに固定する際に発生するスリーブホルダ外径の変形の影響を支持部材との固定部に与えなくすることができるため、安定した固定が可能となる。
更にまた、好ましい実施形態によれば、プラグフェルール先端のC面だけでなく、精密スリーブのプラグフェルールの挿入側端部に、プラグフェルールの挿入方向に向けて漸次縮径するテーパ部を有することによって、プラグフェルールの挿入がスムーズとなり、挿入時の接触などにより精密スリーブ挿入側端面の変形や欠けを防止することができる。
また更に、好ましい実施形態によれば、支持部材の開口部の内径が、前記戻り光防止手段側に比し、前記プラグ側を小さくすることによって、挿入されたプラグフェルール端面における反射光を減らすことができため、光源(たとえば、半導体レーザ)への戻り光を減らすことができる。
更にまた、好ましい実施形態によれば、前記開口部内の内周面に、光の反射防止部を形成することによって、前記支持部材の内周面で生じる光の反射を防止することができるとともに、プラグフェルールの端面で反射する光が前記支持部材の端面や内周面における反射も防止することができるため、より反射戻り光の量を小さくすることができる。
また、精密スリーブの内周部に凸部を有することにより、精密スリーブとプラグフェルールの間に隙間ができるため、プラグフェルールを挿入した際の圧縮空気やごみをプラグフェルール外周部に逃がすことができ、プラグフェルールの固定を安定化できる。
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、戻り光防止手段を備えたレセプタクルの参考例を示す断面図であり、石英ガラス等からなる光ファイバ1を有する光コネクタ用プラグフェルール2を保持するための貫
通孔を有する精密スリーブ3と、精密スリーブ3を固定するための支持部材4とを備え、精密スリーブ3は支持部材4の一方側の内径に固定されている。
そして、2枚の偏光子5a、5bおよびファラデー回転子6によってなる光アイソレータ素子7と、光アイソレータ素子7の周囲に配置されファラデー回転子6に磁力を印加するための円筒型磁石8とで構成される戻り光防止手段とを備え、支持部材4の他方側端面に光アイソレータ素子7と、光アイソレータ素子7の周囲に配置されるように円筒形磁石8とを固定することによって、構成されている。
支持部材4は光コネクタ用プラグフェルール2を当接するための当接部10を有しており、精密スリーブ3に挿入されたプラグフェルール2の先端11は当接部10に当接されることによって位置決めされる。また当接部10の略中央には光が通るための開口部9が設けられており、プラグフェルール2の先端11が当接部10に当接された際に、プラグフェルール2の中央に固定された光ファイバ1に光が結合できるような構造になっている。なお、本実施形態では、光が通るための開口部9が設けられているが、支持部材が透光性を有する部材、たとえば光学ガラス等で構成されていれば、光ファイバ1に光が結合できるため、このような場合は開口部9を設ける必要はない。
光アイソレータ素子7は当接部10に設けられた開口部9を塞ぐように、当接部10の反対側に固定されており、光ファイバ1の端面およびプラグフェルール先端11での反射戻り光や、通信経路から戻ってくる不要光がレーザ素子に戻ることを防いでいる。
精密スリーブ3の材質としてはジルコニア、アルミナ、銅などの材料を用いることができるが、主に耐摩耗性を考慮して、現在ではジルコニアセラミックス材料が用いられる。また、支持部材4は、ステンレス、銅、鉄、ニッケルなどの溶接が可能な材料を用いることができるが、光モジュールとして光素子等を収納するケースと溶接することが多いため、主には耐腐食性と溶接性を考慮して、ステンレスが用いられる。
光アイソレータ素子7に用いられる偏光子5a、5bはガラス基板に誘電体粒子を内包するタイプや誘電体積層タイプ等の透過偏光方向と直交する偏光成分を吸収する偏光子の他に、回折格子等を利用した反射型の偏光子や光路をシフトさせる複屈折結晶でも構成可能である。また、光アイソレータ素子7に用いられるファラデー回転子6はTb、Gd、Hoを添加したBi置換ガーネットやYIGガーネットで構成可能であるが、さらには磁石が不要な自己バイアス型のファラデー回転子でも構成可能である。
以上の構成により、高性能な半導体レーザモジュールに求められる反射戻り光を遮断する戻り光防止手段を備え、かつファイバスタブを使用しない部品構成となるため、高性能な半導体レーザモジュールに使用でき、高速変調の電気回路に必要なスペースをより多く確保できるような短さで、さらに部品点数が少なくなったことによる低価格化を実現した、戻り光防止手段を備えたレセプタクルを提供できる。
さらに、支持部材にプラグフェルールの当接部を有しているため、特殊なハウジングを持つ光コネクタは不要となるため、主に使用されている光コネクタでもプラグフェルールの位置決めが可能となり、安価な光モジュールを実現できる。
図2は戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の参考例を示す断面図であり、精密スリーブ3はスリーブホルダ13の内径に固定されており、さらにスリーブホルダ13と支持部材12が固定されることによって、構成されている。
スリーブホルダ13は、支持部材12との固定の際、圧入固定やYAG固定されることが多く、ステンレス、銅、鉄、ニッケルの金属類が用いられていたが、静電気が電気回路に到達することを防止するためにプラスチックやセラミック、ガラスなどの絶縁材料を使用する場合も増えてきており、その場合は圧入や接着などの方法が用いられている。
精密スリーブ3とスリーブホルダ1の固定には圧入、接着、溶接、ハンダなど、様々な手段が考えられるが、固定により精密スリーブ3の内径が若干変形したとしても、支持部材12に取り付ける前は精密スリーブ3の内径を塞ぐものが存在しないため、ピン等の工具を精密スリーブ3の内径に通すことができ、内径研磨などの追加工を容易に行うことが可能となる。
よって、精密スリーブ3をスリーブホルダ13に固定した後、支持部材12と固定するという構造をとることにより、精密スリーブ3をスリーブホルダ13に固定する際に発生する精密スリーブ3内径の変形を、内径研磨等の追加工により修正することが可能となり、プラグフェルール2を保持する精密スリーブ3の内径精度や同心度を容易に高精度に加工することができる。
図3は、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの実施形態を示す断面図であり、スリーブホルダ13に第1内径の第1部位14aと、該第1内径より大きい第2内径の第2部位14bとを有し、第1部位と精密スリーブ外径を固定し、第2部位と支持部材12とを固定することによって、構成されている。
精密スリーブ3とスリーブホルダ13とを固定する際、精密スリーブ3への応力と同時に、スリーブホルダ13にも応力が発生する。特にこれらを圧入固定する際は、スリーブホルダ13の外径が若干太くなってしまう。特にスリーブホルダ13と支持部材12とを圧入により固定する場合、スリーブホルダ13の外径精度を厳しく管理することが必要となる。このような固定による変形量を一定にコントロールするには、精密スリーブ3の外径精度およびスリーブホルダ13の内径精度を非常に厳しくコントロールしなければならない。
本構造ではこのような厳しい管理を不要とするために、スリーブホルダ13の貫通孔は第1内径の第1部位14aと、該第1内径より大きい第2内径の第2部位14bとを有しており、第1部位14aで精密スリーブ3を固定し、第2部位14bで支持部材12を固定する構成をとる。これにより、精密スリーブ3をスリーブホルダ13に固定する際に発生するスリーブホルダ13外径が変形したとしても、支持部材1との固定部の外径は変形しないため、支持部材1と安定した固定が可能となる。
図4は、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図であり、精密スリーブ3のプラグフェルール2の挿入側端部に、プラグフェルール2の挿入方向に向けて漸次縮径するテーパ部15を有する構成となっている。
レセプタクルはプラグフェルール2を着脱される環境で使用されるが、精密スリーブ3の端部がシャープエッジになっていた場合、プラグフェルール2の先端がそのエッジにぶつかると、エッジが変形したり欠けたりする可能性があり、プラグフェルール2が挿入できなくなったり、破片が光ファイバ1を傷つけたりすることにつながってしまう。
よって、プラグフェルール2先端のC面だけでなく、精密スリーブ3のプラグフェルール2の挿入側端部に、プラグフェルール2の挿入方向に向けて漸次縮径するテーパ部15を有することによって、プラグフェルール2の挿入がスムーズとなり、挿入時の接触などにより精密スリーブ挿入側端面の変形や欠けを防止することができる。
図5は、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの精密スリーブに多点支持精密スリーブを用い一実施形態を示す側面図であり、光コネクタ用プラグフェルールの挿入側から見た側面図を示している。
図5において、精密スリーブ3の内周面に複数の凸部3bを備えた多点支持スリーブにすることにより各凸部3bの間を空気孔としている。精密スリーブ3は光コネクタ用プラグフェルール2との嵌合において、非常に精度良く嵌合するため、光コネクタ用プラグフェルール2を挿入した際、圧縮された空気やごみの逃げる場所がなくなる恐れがある。よって精密スリーブ3の内周部に凸部3bを有することにより、精密スリーブ3とプラグフェルール2の間に隙間ができるため、プラグフェルール2を挿入した際の圧縮空気やごみをプラグフェルール2の外周部に逃がすことができ、プラグフェルール2の固定を安定化できる。
図6は、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。本実施形態においては、支持部材12の開口部9の内径が、光アイソレータ素子7側の内径9aに比し、プラグ2側の内径9bが小さくなるように形成されている。ここで、一般的に光ファイバ1の端面付近のスポットサイズは光ファイバ1のコア径10μmよりも大きくなるように組み立てられているため、光ファイバ1のコアに結合する10μm径よりも外側の光は、光ファイバ1のクラッド部端面やプラグフェルール2の端面に当たり、反射されることになる。このような不要反射光を無くすためには、プラグ側内径102はできるだけ小さくしたほうが好ましい。しかし、開口部9の全体の内径を小さくすると、光アイソレータ素子7を出射した光が支持部材12の光アイソレータ素子7側の端面で反射する場合がある。そのため、開口部9の光アイソレータ素子7側の内径9aは、光アイソレータ素子7を出射した光の広がりを考慮し、大きく設定すると良い。よって、本実施形態では、支持部材12の開口部9の内径を光アイソレータ素子7側の内径9aに比し、プラグ2側の内径9bが小さくなるようにすることによって、不要反射光を防止すると同時に、光の結合効率を向上させることができる。さらに、本実施形態においては、光アイソレータ素子7自体からの反射戻り光が直接半導体レーザに戻らないようにするために、光アイソレータ素子の光入射面を光軸に対して傾斜させると、より効果的に反射戻り光の発生を抑制することができる。
図7は、本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。本実施形態においては、支持部材12の開口部9がプラグ2側に向かって漸次縮径するテーパ形状で構成されている。この開口部9のテーパ角度は、開口部9の内周面で光が反射しないような角度に設定するとともに、開口部9のプラグ側の内径が光ファイバ1のコア径と同等もしくはコア径よりも少し大きくなるように設定すればよい。また、本実施形態では、上述した図6に示した実施形態のように、開口部9内に光軸に対して垂直な支持部材12の段差部が存在しなくなるため、該段差部における光の反射を防止することができる。その結果、本実施形態では、半導体レーザへの反射戻り光をさらに低減させることができる。
図8は、図6および図7に示した光アイソレータ素子7が支持された支持部材12の他の形態を示す断面図であり、図8(a)は図6の支持部材12を示し、一方で、図8(b)は図7の支持部材12を示す。図8(a)、(b)に示すように、本実施形態では、支持部材12の開口部9の内周面に反射防止部60を設けている。このように、支持部材12の開口部9の内周面に、光の反射防止部60を形成すれば、開口部9における光の反射を抑制することができるため、より反射戻り光の量を小さくすることができる。この反射防止部60は、支持部材12の表面を、たとえば黒クロムメッキや黒ニッケルメッキ等の黒色メッキ処理、又は黒色アルマイト等の表面酸化処理することによって形成することができる。また、反射防止部60は、ガラス基板上にTiOやSiO、Ta等を用いた多層膜による反射防止膜を形成したガラス板や、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)等のプラスチック基板上に上記した反射防止膜を成膜したプラスチック板、あるいは植毛紙等を貼り付けることによって形成することができる。さらに、この反射防止部60は、支持部材12の表面にブラスト処理あるいはシリカなどの粉末をコーティングすることによって、凹凸面を形成することによって、設けることができる。
図9は本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルを用いて光モジュールを構成した実施形態を示す断面図であり、支持部材12のフランジ部と半導体レーザ16およびレンズ17を備えたケース18を接合して構成される。
図9において、支持部材4は光コネクタ用プラグフェルール2を当接するための当接部10を有しており、精密スリーブ3に挿入されたプラグフェルール2の先端11は当接部10に当接されることによって位置決めされる。光コネクタは一般的にばね構造を利用し、光ファイバ1および光コネクタ用プラグフェルール2の先端に一定荷重を加え続けるような構造になっているため、プラグフェルール2を安定的に固定することが可能となる。
また、図9に示す光モジュールは、半導体レーザ16から出射された光信号がレンズ17および光アイソレータ素子7を通過した後、プラグフェルール2の光ファイバ1のコアに結合されるように支持部材12とケース18を調整して組み立てられている。
ファイバスタブを有する場合、光コネクタ用プラグフェルール2の中心に位置する光ファイバ1のコアは、ファイバスタブの光ファイバのコアと直接接続されているため、反射による損失は非常に小さいが、本発明の構成によると、光コネクタ用プラグフェルール2の光ファイバ1の端面にて約4%の反射が発生してしまう。しかし、このような戻り光については光アイソレータ素子7を有する戻り光防止手段によって遮断されるため、半導体レーザ16に戻ることはなく、光出力の変動には影響しない。また、光アイソレータ素子7の先端面には対空気のARコートを施して端面での反射を低減したり、図6に示すように光アイソレータ素子7を光軸に対して傾けて固定することによって、端面での反射光が直接半導体レーザ16に戻ることを防いでいる。
また、反射によって生じる損失は、上記光モジュールは最大結合するような位置で組み立てた場合、レンズ17および光アイソレータ素子7を通過した光信号は、光ファイバ1の端面付近では約10μmのスポットサイズまで絞られていることになり、わずか数μmの位置変動が生じるだけで光出力の変動につながってしまう。そのため、一般的に40〜60%の結合で所望の出力を満たすことができるような半導体レーザ16が使用され、組み立ての際には光軸方向にわざとずらし、光ファイバ1の端面付近のスポットサイズを大きくすることで、位置変動に対する光出力の変動を減らすように組み立てられており、反射による損失は充分吸収可能である。
また、本発明の構成では、ファイバスタブを使っていないため光ファイバのクラッド部に入射した光の広がりや光ファイバを固定している接着剤に反射した光の影響が無いため、光ファイバ1の端面付近のスポットサイズをわざと大きくしても、ファイバスタブを使用した場合のスポットよりも乱れが抑えられた形状ができるため、結合効率の低下や、スポットの乱れによる不均一な出力変動を減らすことができる。
以上により、本発明の光アイソレータ付きレセプタクルによれば、高性能な半導体レーザに求められる反射戻り光を遮断するための光アイソレータを備え、かつ高速変調のための電気回路に必要なスペースを確保できる、全長の短い光アイソレータ付きレセプタクルを実現可能とする。
以下で、図9に示す本発明の実施の形態に基づいて試作した戻り光防止手段を備えたレセプタクルを用いた光モジュールと、図11に示す従来の形態に基づいて試作したレセプタクルを用いた光モジュールにおいて、それぞれの光コネクタ用プラグフェルール2から出力される光出力の差について検証した。
図9に示す本発明の実施の形態に基づいたレセプタクルにおいて、光コネクタ用プラグフェルール2を保持するためのスリーブ3にはジルコニア製の精密スリーブ、スリーブホルダ13にはステンレスを用いた。またスリーブホルダ13は第1内径の第1部位14aと、該第1内径より大きい第2内径の第2部位14bとを有しており、第1部位に精密スリーブ外径を圧入により固定した。さらに支持部材12にもステンレスを用い、スリーブホルダ13の第2部位14bの外径と支持部材12の内径も圧入により固定した。
また、偏光子5a、5bおよびファラデー回転子6によってなる光アイソレータ素子7と、光アイソレータ素子7に磁界を印加するための円筒型磁石8にて戻り光防止手段を構成した。光アイソレータ素子7は偏光依存型のラミネート構造とし長方形に切り出したもの、円筒型磁石8はリング状のサマリウムコバルト磁石を使用し、いずれも接着剤により支持部材12に固定した。
さらにケース18に半導体レーザ16とレンズ17を固定し、ケース18の端面に大口径の光検出器を配置して、約1mWの光強度となるように半導体レーザ16を発光させた。そして、精密スリーブ3に光コネクタ用プラグフェルール2を挿入した状態にした後、半導体レーザ16からの光をレンズ17にて集光させ、光コネクタ用プラグフェルール2の光ファイバ1に結合するように、支持部材12とケース18をYAGレーザにより、溶接固定した。
以上により組み立てた光モジュールの光ファイバ1の端面に入射した光が光ファイバ1を通り、他方の光ファイバ1の端面から出射される光強度を測定した。その結果を図10に示す。また比較例として、図11に示す従来の光アイソレータ付きレセプタクルを試作し、同様の方法で結合効率を求めた結果を図10に示す。
測定したサンプルはそれぞれ20サンプルだが、本発明の簡易な形態に基づくレセプタクルを用いた光モジュールにおいても全て500μW程度の光出力を得ることができ、従来のレセプタクルを用いた光モジュールと同等の光出力が得られていることが確認できた。
り光防止手段を備えたレセプタクルの参考例を示す断面図である。 り光防止手段を備えたレセプタクルの他の参考例を示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの実施形態を示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明のレセプタクルの戻り光防止手段を支持する支持部材を示すものであり、(a)は図6に示された支持部材の部分拡大断面図であり、(b)は図7に示された支持部材の部分拡大断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルを用いた光モジュールを示す断面図である。 本発明の戻り光防止手段を備えたレセプタクルおよび従来のレセプタクルを用いた光モジュールの光コネクタ用プラグフェルールからの光出力を測定した結果を示す図である。 従来のレセプタクルを用いた光モジュールを示す断面図である。 従来の戻り光防止手段を備えたレセプタクルを用いた光モジュールを示す断面図である。 従来の戻り光防止手段を備えたレセプタクルを示す断面図である。
符号の説明
1:光ファイバ
2:光コネクタ用プラグフェルール
3:精密スリーブ
3b:凸部
4:支持部材
5a、5b:偏光子
6:ファラデー回転子
7:光アイソレータ素子
8:円筒型磁石
9:開口部
9a:光アイソレータ素子側の内径
9b:プラグ側の内径
10:当接部
11:光コネクタ用プラグフェルールの先端部
12:支持部材
13:スリーブホルダ
14a:スリーブホルダの第1部位
14b:スリーブホルダの第2部位
15:テーパ
16:半導体レーザ
17:レンズ
18:ケース
21:光ファイバ
22:光コネクタ用プラグフェルール
23:光ファイバ
24:フェルール
25:ファイバスタブ
26:スリーブ
27:スタブホルダ
28:スリーブケース
29:レセプタクル
30:半導体レーザ
31:レンズ
32:ケース
41:光ファイバ
42:光コネクタ用プラグフェルール
43:スリーブ
44:スリーブケース
45:レセプタクル
46:光アイソレータ素子
47:円筒型磁石
48:光アイソレータホルダ
49:戻り光防止手段
50:半導体レーザ
51:レンズ
52:ケース
60:反射防止部

Claims (9)

  1. 光素子を収容するケースに溶接される溶接面を有したレセプタクルであって、光ファイバを有するプラグの少なくとも一部を挿入するための貫通孔を有し、該プラグを保持するためのスリーブと、該スリーブの少なくとも一部を挿入するための貫通孔を有するスリーブホルダと、前記スリーブの前記貫通孔のプラグ挿入側と反対の外側に位置し、自体を透過した光が該光の入射方向側に戻るのを防止するための戻り光防止手段と、該戻り光防止手段を支持し、前記スリーブホルダを介して前記スリーブを保持するための支持部材と、を備え、
    支持部材は、前記プラグが当接するための当接部を前記支持部材の一方側の面に有し、該一方側の面に対する反対側の面の外周部に前記溶接面が設けられるとともに、前記反対側の面の中央部に前記戻り光防止手段が固定され、前記戻り光防止手段を透過した光が前記スリーブに保持された前記プラグの前記光ファイバに到達するように構成されており、
    前記スリーブホルダの前記貫通孔は、第1内径の第1部位と、該第1内径より大きい第2内径の、前記第1部位を挟んで前記プラグ挿入側と反対側に位置する第2部位とを有し、
    前記スリーブホルダが前記第1部位において前記スリーブを保持するとともに、前記支持部材が前記スリーブホルダのうち前記第2部位を囲む部分を保持していることを特徴とするレセプタクル。
  2. 前記スリーブは、前記プラグの挿入側端部に、該プラグの挿入方向に向けて漸次縮径するテーパ部を有する、請求項1に記載のレセプタクル。
  3. 前記スリーブは、その内周面に凸部を有する、請求項1または2に記載のレセプタクル。
  4. 前記支持部材に、前記戻り光防止手段を透過した光が通る開口部を設けるとともに、該開口部の内径が、前記戻り光防止手段側に比し、前記プラグ側が前記光ファイバのコア径と同等の小さい内径とされていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のレセプタクル。
  5. 前記開口部は、前記プラグ側に向かって漸次縮径することを特徴とする請求項に記載のレセプタクル。
  6. 前記開口部の内周面に、光の反射防止部を形成したことを特徴とする請求項または請求項に記載のレセプタクル。
  7. 前記戻り光防止手段は、ファラデー回転子および偏光子を含む、請求項1〜のいずれか一つに記載のレセプタクル。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載のレセプタクルと、前記戻り光防止手段に向けて光を出射するための光素子とを備えることを特徴とする、光モジュール。
  9. 前記光素子と、前記戻り光防止手段と前記光素子との間に配置された、該光素子から出射される光を前記プラグの前記光ファイバに集光するための光学系とを備えたケースの開口に、前記支持部材を溶接したことを特徴とする、請求項に記載の光モジュール。
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