以下、本発明を実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、実施例に係る弾球遊技機の全体構成を図示したブロック図である。図示の弾球遊技機は、遊技動作を中心的に制御する主制御基板1と、液晶ディスプレイDISPに表示されたキャラクタや図柄を変動させる図柄制御基板2と、遊技機の右上部(図13参照)に配置されるスピーカSPを駆動して音声演出を実現する音声制御基板3と、ランプ類LPを点滅動作させてランプ演出を実現するランプ制御基板4と、遊技球を払出す払出制御基板5と、払出制御基板5に接続されて遊技球を発射する発射制御基板7と、AC24Vを受けて装置各部に直流電圧を供給する電源基板6とを中心に構成されている。
主制御基板1、図柄制御基板2、音声制御基板3、ランプ制御基板4、及び払出制御基板5は、それぞれワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路で構成されており、各サブ制御基板2〜5は、主制御基板1からの制御コマンドに基づいて上記した個別的な制御動作を実現している。そこで、以下の説明では、各制御基板1〜5に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、それぞれ主制御部1、図柄制御部2、音声制御部3、ランプ制御部4、払出制御部5と表現する。
図示の通り、各サブ制御部2〜5は、主制御部1から一方向に受ける制御コマンドに基づいて個別的な制御動作を実現している。また、この実施例では、図柄制御部2は、音声制御部3から受けたアナログ信号に基づいて、遊技客がスピーカSPを手で覆ったか否かを認識するようにしている。そして、スピーカSPが手で覆われた遊技機が、遊技動作を終了してから所定時間を経過した待機状態である場合には、液晶ディスプレイDISPに当該遊技機の過去の実績データを表示している。表示される実績データは適宜に選択されるが、ゲーム開始からその時までのリーチ演出の種類別の発生回数、ノーマル大当りの発生回数、ノーマル大当りより高価値の確変大当りの発生回数、及び、それぞれの平均時間間隔(発生頻度)などが表示される。
その遊技機でゲームを開始するか否かを迷っている遊技者は、釘の調整度合いと共に、上記した実績データを知ることによって、その遊技機の状態を詳細にすることができて有効である。なお、図13に示すように、スピーカSPは、遊技機の右上部に配置されているので、迷っている遊技客は、立った状態のままスピーカSPを右手で覆うことができる。また、図15に示すように、スピーカSPに近接して、例えば「優しく触れてくれたら秘密を教えるよ。叩くと教えない。」と操作方法が表記されている。
ところで、遊技者の操作に応答して、全ての情報を何時でもズバリ表示するのではなく、乱数抽選によって表示の有無、及び/又は、表示の内容を決定するようにしても良い。この場合、乱数抽選に一度ハズレると、そのハズレ状態が図柄制御部2に記憶されて、一定時間(例えば5分)は、その後何回操作しても同一内容しか表示されない。その他、本実施例の図柄演出部2では、音声制御部3から受けたアナログ信号に基づいて、各種の演出動作を実行するが、これらの点については後述する。
図2は、音声制御部3の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、音声制御部3は、音声演出を制御するワンチップマイコン10と、スピーカSPを動作させる音声入出力部11とを中心に構成されている。スピーカSPは、一般に、動電形、電磁形、静電形、圧電形などに区分されるが、本実施例では、動電形スピーカ(MC形又はダイナミック形ともいう)を使用している。
図3に示すように、動電形スピーカSPは、振動板12と、ボビン13と、ボイスコイル14とが一体的に振動するよう構成されている。そして、ボイスコイル14は、永久磁石16の設けられたω形の磁気回路15の磁路中に配置されている。そのため、ボイスコイル14に音声電流が流れると、フレミング力によってボイスコイル14が図示の上下方向に振動し、その結果、振動板12が振動して音声を発生することになる。
一方、ボイスコイル14に音声電流を流さない状態で、振動板2が外部音圧によって振動すると、これに連動して振動するボイスコイル14から誘起電圧が発生することになる。したがって、図示のスピーカSPは、感度が低いとは言いながらマイクとしても機能することになる。そこで、本実施例では、遊技ホール内が相当レベルの騒音状態であることに着目して、スピーカSPをマイクとしても機能させている。
このスピーカSPは、遊技機の待機中、遊技ホール内の騒音を連続的に集音するが、もし、遊技客がスピーカを手で覆えば、突然、その時だけ騒音レベルが有意に降下するので、そのことによって遊技者の操作を認識することができる。また、遊技機の待機中、遊技ホール内の騒音を連続的に集音して、その音圧レベルが極端に増加した場合(例えば館内放送があったような場合)には、そのレベルに応じたランダムな図柄演出を行っている。
一方、遊技動作中であって、音声制御部3の制御に基づいて音声演出が実行されているタイミングでは、スピーSPからの出力音と同じ信号を図柄制御部2に伝送して、液晶表示部DISPではレベルメータ表示などの演出を実行している。
続いて、以上の動作を実現する音声制御部3について、図2に戻って回路構成を説明する。ワンチップマイコン10は、主制御部1から制御コマンドを受ける入力ポート17と、音声入出力部11に制御データD0〜D4を出力する出力ポート18と、音声制御部3の動作全体を制御するCPUコア19と、システムクロックに基づいて各種の信号を出力するTPU(Timer Pulse Unit)20と、TPU20からの内部割込み信号CH0,CH1や主制御基板1からのストローブ信号STBを受ける割込みコントローラ21と、ソフトウェア的に復元されたPCM音声データを受けて音声アナログ信号を出力するD/Aコンバータ22と、制御プログラムやADPCMデータ(adaptive differential pulse code modulation)を固定的に記憶するROM(Read Only Memory)23と、制御プログラムの作業領域(ワークエリア)として使用されるRAM(Random Access Memory)24とを中心に構成されている。
図示の通り、割込みコントローラ21には、TPU20からの内部割込み信号CH0,CH1と、主制御部1からのストローブ信号STBとが供給されている。ストローブ信号STBは、主制御部1から制御コマンドに同期して出力される信号であり、割込みコントローラ21にはIRQ(Interrupt Request)信号として供給され、これを受けた割込みコントローラ21は、CPUコア19に割込み信号INTを供給する共に、割込み処理ルーチンを特定する割込みベクトルを出力している。そして、ワンチップマイコン19では、起動した割込み処理ルーチンにおいて、主制御部1から伝送された制御コマンドを取得している。
TPU20のチャンネル0とチャンネル1からは、それぞれ内部割込み信号が出力されるよう設定されている。チャンネル1からの割込み信号CH1は、4mS毎に発せられるよう設定され、割込み信号CH1に起因して起動したタイマ割込みによって、制御コマンドの受信に起因して開始された音声演出の時間経過が管理され、遊技者を盛り上げる音声演出が円滑に進行するようになっている。
一方、チャンネル0からの割込み信号CH0は、制御プログラムによって個々的に設定されたサンプリング周期(τ)毎に発せられるように設定されている。ここでサンプリング周期とは、D/Aコンバータ22から出力される音声アナログ信号の出力間隔(τ)を意味する。そして、D/Aコンバータ22から出力される個々の音声メッセージに応じて、適宜にサンプリング周期を変更できるよう、サンプリング周期(τ)は制御プログラムによって個々的に設定される。例えば、8KHz、16KHz、32KHzのサンプリング周波数で取得されてROM23に記憶されている音声データ(ADPCMデータ)を再現する場合には、それぞれ125μS、62.5μS、31.25μSの時間間隔(τ)で割込み信号CH0が発せられることにより、そのADPCMデータがPCMデータに変換され、サンプリング周波数に対応するタイミングでD/Aコンバータ22から出力されることになる。
以上のワンチップマイコン10に接続された音声入出力部11は、2つの接点SW1,SW2を有するアナログスイッチ25と、音声信号S1,S2の何れか一方を出力するマルチプレクサ26と、D/Aコンバータ22からの音声信号S1を増幅してアナログスイッチ25の接点SW1に伝える出力アンプ27と、アナログスイッチ25の接点SW2の出力を増幅してマルチプレクサ26に伝える入力アンプ28と、マルチプレクサ26の出力を受けるフィルタ回路29と、アナログスイッチ25の2つの接点SW1,SW2に共通的に接続されるスピーカSPとで構成されている。そして、マルチプレクサ26の出力は、フィルタ回路29を経て、図1に示すアナログ信号として図柄制御部2に伝送される。
図4は、アナログスイッチ25及びマルチプレクサ26の動作内容を示す真理値表であり、図5は、音声入出力部11を詳細に図示したものである。図5に示す通り、この実施例では、フィルタ回路29は、抵抗RとコンデンサCによるローパスフィルタとなっており、高音域の音声信号をカットしたアナログ信号SIGNALを図柄制御部2に伝送している。明らかなように、信号線SIGNALとアナログコモン線A−CMNとが図柄制御部2に接続されている。
ここで、フィルタ回路29としてローパスフィルタを採用するのは、この実施例では、スピーカSPから出力される演出音に同期して、液晶ディスプレイDISPにレベルメータを表示することがあるためであり、そのレベルメータの振れを、遊技者の腹部に響く低音レベルに対応させるためである。但し、フィルタ回路29の目的は、その程度のものでしかないから、ローパスフィルタに代えて、帯域フィルタやハイパスフィルタを採用しても良く、更には、フィルタ回路を省略しても良い。この場合、(a)フィルタ回路29に代えて、増幅利得に周波数特性を有する入力アンプ28(アクティブフィルタ)を採用する、(b)図柄制御部2に、音声制御部3の場合と同種のフィルタ回路を設ける、(c)図柄制御部2に、デジタルフィルタ処理を設けるなどの措置をとっても良い。なお、本実施例では、音声制御部3に設けたフィルタ回路29に加えて、図柄制御部2にデジタルフィルタ処理を設けている。
図5に示す通り、アナログスイッチ25の二接点SW1,SW2は、その出力側が共通してスピーカSPに接続されている。そして、アナログスイッチ25は、ワンチップマイコン10の出力ポート18の制御データD3,D4によってON/OFF状態が制御される。具体的には、図4に示すように、D4,D3=0,0の場合には二接点SW1,SW2ともOFF状態であり、D4,D3=0,1となると、接点SW1のみがON状態となって出力アンプ27の出力(演出音)がスピーカSPに供給される。逆に、D4,D3=1,0となると、接点SW2のみがON状態となってスピーカSPで集音された騒音が入力アンプ28に供給される。
マルチプレクサ26は、開閉接点部とデコーダ部とで構成されており、デコーダ部に供給される出力ポート18の制御データD0,D1,D2によって、動作内容が決定される。具体的には、図4に示す通り、制御データD2が「1」であれば動作イネーブル状態(enable)となり、この動作イネーブル状態でD1,D0=0,0となると、D/Aコンバータ22から出力された音声信号S1が選択される。一方、動作イネーブル状態でD1,D0=0,1となると、出力アンプ28の出力S2が選択される。
この実施例では、遊技機の動作開始時には、ワンチップマイコン10は、D4〜D0=00000の制御データを出力するよう動作している(図4の1行目)。そのため、アナログスイッチ25の二接点SW1,SW2は共にOFF状態となり、マルチプレクサ26も非動作状態(disenable)となる。その後、遊技動作が開始されて、主制御部1から音声制御部3に、音声演出を指示する制御コマンドが伝送されると、音声制御部3のワンチップマイコン10では、ROM23に格納されている音声データを読み出してD/Aコンバータ22から出力する。
この音声演出のタイミングでは、ワンチップマイコン10は、D4〜D0=01100制御データを出力するよう動作するので(図4の2行目)、D/Aコンバータ22→出力アンプ27→アナログスイッチSW1の経路を経て、演出音がスピーカSPから出力される。また、D/Aコンバータ22→マルチプレクサ26(S1端子)→フィルタ回路29の経路を経て、演出音が図柄制御部2に出力される。
その後、音声演出が終わると、ワンチップマイコン10は、D4〜D0=10101制御データを出力するようになっている(図4の3行目)。そのため、スピーカSPで集音された騒音は、アナログスイッチSW2→入力アンプ28→マルチプレクサ26(S2端子)→フィルタ回路29の経路を経て、図柄制御部2に出力される。したがって、図柄制御部2では、騒音レベルに応じてランダムな図柄演出をすることが可能となる。
また、スピーカSPが騒音を拾っている状態で、遊技者がスピーカSPを手で覆うと、集音していた騒音のレベルが突然有意に低下するので、図柄制御部2では、この騒音レベルの低下によって遊技者の行為を検知することができる。先に説明した通り、スピーカSPが手で覆われたとき、その遊技機が遊技動作を終了してから所定時間を経過した待機状態である場合には、図柄制御部2は、液晶ディスプレイDISPに過去の実績データを表示する。
このような動作を実現する図柄制御部2の具体的構成は、図6及び図7に図示する通りである。図6に示す通り、図柄制御部2は、音声制御部3から出力されるアナログ信号SIGNALを受けるバッファアンプ30と、図柄制御部の動作全体を制御するワンチップマイコン31と、ワンチップマイコン31の動作内容を規定する制御メモリ32と、ワンチップマイコン31からの指示に基づいて液晶ディスプレイDISPへの描画信号を生成するグラフィックコントローラ(具体的にはVDP:Video Display Processor)33と、液晶ディスプレイDISPに描画されるスプライトのパターンデータなどのCGデータを記憶するCGメモリ34とで構成されている。
制御メモリ32は、詳細には、図柄制御部2の動作内容を規定する制御プログラムを記憶する制御ROM(Read Only Memory)32aと、液晶ディスプレイDISPの図柄演出を特定する一連のシナリオデータ群などを揮発的に記憶するRAM(Random Access Memory)32bに区分される。また、CGメモリ34は、ROM(Read Only Memory)で構成されており、液晶ディスプレイDISPに描画される各スプライトを特定するCGデータ群が揮発的に記憶されている。
図6に示す通り、ワンチップマイコン31は、A/Dコンバータ31aを内蔵している。そして、音声制御部3から伝送されるアナログ信号SIGNALは、バッファアンプ30からA/Dコンバータ31aに伝えられ、デジタルデータに変換されてワンチップマイコン31に取得される。
また、ワンチップマイコン31は、主制御部1から制御コマンドCMDを入力ポート31bに受けると共に、主制御部1からのストローブ信号STBを割込み端子IRQ1に受けている。そして、ストローブ信号STBがアクティブになると、制御メモリ32aに格納されている割込み処理プログラムが起動して、制御コマンドCMDがワンチップマイコン31に取得されるようになっている。
また、ワンチップマイコン31の割込み端子IRQ0には、グラフィックコントローラ33から出力される割込み信号INTを受けている。そして、液晶ディスプレイDISPの1フレーム分の描画が完了する1/60秒毎に、ワンチップマイコン31の割込み端子IRQ0に割込み信号INTが供給され、描画用の割込み処理プログラムが起動される。そして、この描画割込みに起因して、ワンチップマイコン31が、各スプライトの描画位置などを決定する動作パラメータを指示データテーブルTBLに書込んで、次に描画すべき各スプライトの位置や変形形状を指定するようにしている。以下、この描画処理を動作パラメータ書込み処理ということがある。
図7は、グラフィックコントローラ33を更に詳細に図示している。図示の通り、このグラフィックコントローラ33は、ワンチップマイコン31のデータバスやアドレスバスに接続されたCPUインタフェイス部35と、CGメモリ34からスプライトのパターンデータ(CGデータ)を受けるパターンメモリインタフェイス部36と、制御レジスタ群や指示データテーブルTBLやフレームバッファ(グラフィックイメージデータを保持するメモリ領域)として使用されるSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)37と、グラフィックイメージデータなどを生成するスプライト面生成部38と、CGメモリ34から圧縮データを受けた場合に機能する圧縮データ伸張部39と、圧縮データ伸張部39のワークエリアとして機能するSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)40と、スプライト面生成部38で生成されたグラフィックイメージデータをDA変換するDAC41と、液晶ディスプレイDISPの同期信号などを出力するコントローラ部CTLとで構成されている。
SDRAM37に設けられた指示データテーブルTBLは、ワンチップマイコン31の外部バスに接続可能な周辺デバイス(メモリ)として機能しており、ワンチップマイコン31のメモリマップに位置づけて直接的にアクセスすることが可能になっている。そして、ワンチップマイコン31では、液晶ディスプレイDISPに所望の画像を描画させるべく、指示テーブルTBLに各スプライトの動作パラメータを書き込んでいる。一方、グラフィックコントローラ12は、指示テーブルTBLに格納されている動作パラメータに基づいてCGメモリ34から特定のスプライトのパターンデータを読み出し、指定された位置に、指定された変形形状で、各スプライトを描画するべくデータ演算処理をしている。そして、データ演算の結果をアナログ変換して、R,G,Bの画像信号として液晶ディスプレイDISPに向けて出力している。
先に説明した通り、CGメモリ34には、各スプライトの画像データ(CGデータ)が不揮発的に格納されている。各スプライトは、本実施例では、N×Mドット(画素)によって構成され、各画素毎に規定された色情報が、それぞれ8ビットデータとして記憶されている。CGメモリ34には、このようなスプライトデータが多数記憶されているが、本実施例のスプライトとしては、リーチ演出時などに出現する特別図柄(装飾文字やキャラクタ)やその他の演出図柄の他に、スピーカSPを塞いだ遊技者に報知される実績データに関する文字スプライトも用意されている。
遊技者に報知される実績データとして、例えば、(a)リーチ演出の種類別の発生回数、(b)ノーマル大当りの発生回数、(c)確変大当りの発生回数を表示するのであれば、報知用として、「本日の実績データです」、「リーチ1」、「リーチ2」、・・・「ノーマル大当り」、「確変大当り」などの文字スプライトが用意される。また、発生回数を特定するため「0」〜「9」や「回」の文字スプライトも用意される(図8参照)。
図8は、SDRAM37に設けられた指示テーブルTBLと、指示テーブルTBLの格納データ(動作パラメータ)に基づいて描かれるスプライトの関係を図示したものである。指示テーブルTBLには、各スプライト(#1〜#m)毎に16バイト程度の動作パラメータの書込み領域が設けられており、書込まれた動作パラメータによって各スプライトの表示位置や拡大/縮小率などが特定されるようになっている。例えば、各スプライトの表示位置は、左上端ドットの座標位置(DOx,DOy)を特定する動作パラメータによって規定され、スプライトサイズがN×Mドットである場合には、当該スプライトは、スプライト面生成部38の動作によって、スプライト面の左上端(DOx,DOy)から右下端(DOx+N,DOy+M)で囲まれる矩形範囲内に描画される。
したがって、ワンチップマイコン31が指示テーブルTBLの書込み動作を行うとき、スプライト#nの左上端ドットの座標位置を(DOx,DOy)から(DOx+A,DOy+B)に変更すれば、液晶ディスプレイDISP上では、当該スプライト#nがX方向に+A、Y方向に+Bだけ移動することになる。もっとも、液晶ディスプレイDISPの解像度に応じて、実際に表示されるのは水平表示ドット数HDW×垂直表示ライン数VDWの矩形範囲(表示領域)に限られるので、図示例の場合には、移動したスプライトの一部は消滅し、また、下部に仮想的に表示されている実績データも、実際には、液晶ディスプレイDISPには表示されないことになる。
このように、各スプライトの左上端ドットの座標位置を変更するだけで、各スプライトを液晶ディスプレイDISP上で自由に移動させることが可能となる。したがって、図8に示す定常動作状態では表示されない実績データも、必要時に、各文字スプライトの左上端ドットの座標位置を一斉にY方向に減少させることで、液晶ディスプレイDISPに実績データを出現させることができる。なお、HDW×VDWの矩形表示領域を下方に移動させることで対処しても良い。
ところで、図柄表示部2のワンチップマイコン31は、主制御部1から制御コマンドを受ける毎に、リーチ演出や大当り状態の種類毎に、その出現回数の累積値を更新して記憶しているので、実績データを出現させるべきタイミングになると「0」〜「9」の文字スプライトを適宜に組合せて、必要な情報を遊技者に報知することになる。
以上の通り、ワンチップマイコン31は、1/60秒毎の描画割込み信号INTによって指示データテーブルTBLの内容を書換えることによって、リーチ演出を含む各種の図柄演出が可能となる。
図9は、図柄制御部2における、アナログ信号たる音声信号SIGNALの処理方法を説明するフローチャートである。図柄制御部2では、一定時間毎のタイマ割込みによって図9の処理を開始しており、音声信号SIGNALをA/Dコンバータ31aを通して取得すると(ST1)、デジタルフィルタ処理によって、その信号を平滑化している(ST2)。平滑化のレベルは特に限定されないが、この実施例では、音声信号の包絡線が得られる程度のローパスフィルタ処理を施している。図10は、原波形とフィルタ処理後の波形を対比して図示したものである。なお、作図の便宜上、折れ線グラフのような包絡線になっているが、実際には、滑らかな波形となることは勿論である。
以上のデジタルフィルタ処理が終われば、今現在が、遊技機の待機中か否かが判定される(ST3)。ここで、待機状態とは、遊技客が遊技動作を終了してから(席を離れてから)所定時間以上経過した状態をいうが、図柄制御部2では、主制御部1から最後に制御コマンドを受けてから、相当の時間が経過したことで待機状態と擬制している。但し、このような判定法に限定されるものではなく、例えば、発射制御部7から発射モータの動作信号MTを受けて、動作信号MTのレベルと経過時間から待機状態を検出しても良い。
いま、遊技機の待機状態ではないとして説明を続けると、次に、図柄制御部2において図柄変動動作中であるか否かが判定される(ST4)。そして、変動動作中でない場合には、取得した音声信号SIGNALが極端に高レベルか否かが判定される(ST5)。本実施例では、図柄変動動作中でない状態では、音声制御部3では音声演出を行っていない。そして、図5に関連して説明したように、音声演出を行っていない音声制御部3では、スピーカSPの拾った騒音を音声信号SIGNALとして図柄制御部2に伝送している。
したがって、取得した音声信号SIGNALが極端に高レベルになった場合とは、例えば、大音量の館内放送が行われたとか、或いは、すぐ隣の遊技機で大当たりゲームが開始されたような場合である。以上の点を踏まえて図11及び図12について説明する。図11は、スピーカSPが拾った騒音を平均化した音声信号の包絡線データと、包絡線データが上位基準値TH1を超えた場合に出現するキャラクタの関係を図示したものである。図示の場合、時刻t1,t2,t3のタイミングで、包絡線データが基準値TH1を超えるので、それに合わせて液晶ディスプレイDISPの所定位置L1,L2,L3に、演出キャラクタを出現させている(図12参照)。
以上の動作を図9に戻って説明すると、包絡線データが基準値TH1を超えると(ST5がYes)、先ず、その瞬間のデータの増加率を算出し、その増加率に基づいて波形ピーク値を推定する(ST6)。次に、前記の増加率に基づいて、演出キャラクタの拡大率を決定し、発生時刻(t1,t2,t3)に対応した液晶ディスプレイ上の位置(右隅の上からL1,L2,L3の位置)に演出キャラクタを出現させるべく、指示テーブルTBLに動作パラメータを書込む(ST7)。以上の動作を行うと、グラフィックコントローラ33では、動作パラメータに基づいて液晶ディスプレイDISP上に、図12のようが画像を出現させることになる。
なお、動作パラメータの決定では、液晶ディスプレイDISPの描画周期T(=1/60)と、描画開始からの経過時間(t1、t2、t3)との比(t/T)から、液晶ディスプレイ上の描画位置(Li=t/T×L)を決定している。ここで、Lは、液晶ディスプレイの垂直方向の距離である。
以上、図柄制御部2が図柄変動動作中でない場合について説明したが、もし図柄変動中であれば(ST4)、包絡線データのレベルに応じて、レベルメータ用の演出スプライトの動作パラメータを指示テーブルTBLに書込む(ST8)。なお、レベルメータとしては、単純に伸縮する棒グラフでも良いが、例えば、ハートマークなどの膨らみ度合いを、音圧に応じて変化させるような演出が考えられる。何れにしても、本実施例では、音声演出に正確に同期した画像を出現させることができる。
一方、ステップST3の判定によって、遊技機が待機状態であると判断されると、次に、包絡線データのレベルが極端に低いか否かが判定される(ST9)。そして、音圧レベルが下位基準値TH2を下回っていない場合にはステップST5〜ST7の処理が実行される。逆に、音圧レベルが下位基準値TH2を下回ると、その時までの当該遊技機の実績データを液晶ディスプレイに表示するべく、指示テーブルTBLに必要な動作パラメータを書込む(ST10)。すると、液晶ディスプレイDISPには、図8に示すような実績データが表示されることになる。
最後に本発明が好適に適用される弾球遊技機について確認的に説明する。図13は、本実施例のパチンコ機51を示す斜視図であり、図14は、同パチンコ機51の側面図である。なお、パチンコ機51は、カード式球貸し機52に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
図示のパチンコ機51は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠53と、外枠53に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠54とで構成されている。この前枠54には、遊技盤55が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉56と前面板57とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板57には発射用の遊技球を貯留する上皿58が装着され、前枠54の下部には、上皿58から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿59と、発射ハンドル60とが設けられている。発射ハンドル60は発射モータと連動しており、発射ハンドルの回動角度に応じて動作する打撃槌71(図16参照)によって遊技球が発射される。
上皿58の右部には、カード式球貸し機52に対する球貸し操作用の操作パネル62が設けられ、この操作パネル62には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部62aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ62bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ62cとが設けられている。
ガラス扉66の右上部には、マイクとしても機能するスピーカSPが配置されている。この遊技機では、スピーカSPがこのような位置に配置されているので、釘の調整具合を検討して当該遊技機でゲームをするか否かを迷っている遊技者がスピーカSPに触れるのは容易である。また、スピーカSPの左には、大当り状態を示す大当りLEDランプP1が配置され、この大当りLEDランプP1に近接して、補給切れ状態や下皿の満杯状態を示す異常報知LEDランプP2,P3が設けられている。
図15に示すように、遊技盤55には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール63が環状に設けられ、その内側の遊技領域55aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域55aの適所には、図柄始動口65、大入賞口66、複数個の普通入賞口67(大入賞口66の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート68が配設されている。これらの入賞口65〜68は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部69を有している。普通図柄表示部69は普通図柄を表示するものであり、ゲート68を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート68の通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口65は、左右1対の開閉爪65aを備えた電動式チューリップで開閉され、普通図柄表示部69の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪65aが所定時間だけ開放されるようになっている。図柄始動口65に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口65への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄パターンで停止する。
大入賞口66は、前方に開放可能な開閉板66aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板66aが開放されるようになっている。大入賞口66の内部に特定領域66bがあり、この特定領域66bを入賞球が通過すると、遊技者に有利な特別遊技が継続される。
大入賞口66の開閉板66aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板66aが閉じる。このとき、遊技球が特定領域66bを通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域66bを通過していれば、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。さらに、変動後の停止図柄が特別図柄のうちの一定図柄(以下、特定図柄)であった場合には、特別遊技の終了後に高確率状態に移行するという特典が付与される。
図16に示すように、前枠54の裏側には、遊技盤55を裏側から押さえる裏機構板70が着脱自在に装着されている。この裏機構板70には開口部70aが形成され、その上側に賞球タンク71と、これから延びるタンクレール72とが設けられている。裏機構板70の側部には、タンクレール72に接続された払出装置73が設けられ、裏機構板70の下側には払出装置73に接続された通路ユニット74が設けられている。払出装置73から払出された遊技球は、通路ユニット74を経由して上皿排出口58a(図13)から上皿58に払出されることになる。
裏機構板70の開口部70aには、遊技盤55の裏側に装着された裏カバー75と、入賞口65〜67に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが嵌合されている。この裏カバー75に装着されたケースCA1の内部に主制御基板1が配設され、その前側に図柄制御基板2が配設されている(図14参照)。主制御基板1の下側で、裏カバー75に装着されたケースCA2の内部にランプ制御基板4が設けられ、隣接するケースCA3の内部に音声制御基板3が設けられている。
これらケースCA2,CA3の下側で、裏機構板70に装着されたケースCA4の内部には、電源基板6と払出制御基板5が設けられている。この電源基板6には、電源スイッチ83と初期化スイッチ84とが配置されている。これら両スイッチ83,84に対応する部位は切欠かれ、両スイッチを指で同時に操作可能になっている。発射ハンドル60の後側に装着されたケースCA5の内部には、発射制御基板7が設けられている。そして、これらの回路基板1〜7は夫々独立して構成され、電源基板6と発射制御基板7を除く制御基板2〜6には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されている。
以上、本発明の一実施例について具体的に説明したが、本発明の遊技機は、上記した各実施例の構成に限らず適宜変更可能である。例えば、上記の実施例では、スピーカを単一としたが、2個のスピーカを設け、それぞれマイクと兼用しても良い。この場合でも、遊技者の触れるスピーカは通常1個であるから、2つのスピーカから得られる音声信号に、極端にレベル差があることによって遊技者のタッチ操作を確実に把握することができる。また、スピーカは、動電形スピーカである必要はなく、集音機能を発揮できるものであれば、他の形式のスピーカでも良い。