JP4658346B2 - 反射板および液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置など表示用に用いる反射板ならびに反射型もしくは半透過型の液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は小型もしくは中型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。さらにバックライトを使用しない反射型液晶表示装置の技術も開発されており、薄型、軽量および低消費電力化に優れている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、後方に配設した基板の内面に対し凹凸形状の光反射層を形成した散乱反射型があるが、バックライトを用いないことで、周囲の光を有効に利用している。
【0004】
また、光反射層に代えて、半透過膜を形成し、バックライトを設け、反射モードや透過モードに使い分ける半透過型液晶表示装置も開発されている。この半透過型液晶表示装置についても、反射モードに使用することで、反射型液晶表示装置であると言える。
【0005】
このような散乱反射型の液晶表示装置1として図40に示す。
液晶表示装置1において、ガラス基板2の上に樹脂からなるほぼ半球状の凸部3を多数配列することで、凸状配列群を形成し、凸状配列群上に金属からなる光反射層4を被覆し、光反射層4上にカラーフィルタ5を形成し、カラーフィルタ5の上にオーバーコート層6を被覆し、オーバーコート層6上にITOなどからなる透明電極7を帯状に複数配列し、さらに配向膜8を被覆する。
【0006】
また、ガラス基板9上にITOなどからなる透明電極10を帯状に複数配列し、さらに配向膜11を被覆する。そして、双方の基板2、9を液晶12を介して対向配設し、液晶12はシール部材13により囲まれた領域内に充填され、ガラス基板9の外面に第1位相差フィルム14と第2位相差フィルム15と偏光板16とを順次形成する。
【0007】
上記構成の液晶表示装置1においては、太陽光や蛍光灯などの外光が偏光板16、第1位相差フィルム14、第2位相差フィルム15、さらにガラス基板9などを通過し、液晶12やカラーフィルタ5などを通して光反射層4に到達し、その反射光が出射される。
【0008】
しかしながら、この液晶表示装置1によれば、ガラス基板2上に形成した凸状配列群は、その凸部3が均等な半球状であることで、その散乱反射板は光学的に等方な凹凸形状となり、これによって、不必要な光散乱が多くなり、人が視認する方向とは別の方向にも散乱されている。
【0009】
この課題を解消するために、上記散乱反射板に対し非対称軸を有する凹部または凸部を形成したり、傾斜角度分布を非対称にする技術が提案されている(特開平10−177106号参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この提案の反射板によれば、ある程度の散乱特性の異方性はだすことはできたが、いまだ液晶表示装置を用いる使用者にとって、その液晶パネルに対する横方向において、その散乱を小さくすることはできず、表示画面の輝度が満足し得る程度にまで至っておらず、さらに優れた視認性が求められる。
【0011】
しかも、この反射板においては、その製法上、大変微細な凹凸形状に対し、さらに複雑に加工しなければならず、そのために散乱特性の制御がむずかしくなり、製造歩留まりが低下する原因になっていた。
【0012】
その上、近年、携帯電話や情報端末などの携帯端末に用いる反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置においては、それを使用する者にとって、その入射光の方角は重要な要件になっており、液晶パネルの小型化に伴って見やすさは、市場の大きな評価基準になっている。
【0013】
しかしながら、表示画面に対し、その斜め上方から光入射することが多い携帯端末用液晶表示装置において、いまだ十分に満足し得る程度にまで改善されていないと言える。
【0014】
したがって本発明の目的は、入射光の反射特性を容易に制御し、所要とおりの散乱特性を達成した高性能な反射板を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、製造上のバラツキがなく、製造歩留まりを高め、一定の優れた品質を達成した低コストの反射板を提供することにある。
【0016】
さらに本発明の他の目的は、かかる本発明の反射板を用いて、入射光に対する反射性能や散乱性能を高めることで、使用性能を高め、これによって、とくに携帯端末などの小型液晶パネルに好適な高性能かつ低コストな液晶表示装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の反射板は、基板と、前記基板上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された複数の蛇行状帯部と、前記基板上に設けられており、かつ隣接する前記蛇行状帯部間が滑らかに連続的に接続された接続部と、前記蛇行状帯部および前記接続部上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された光反射層と、を備え、複数の前記蛇行状帯部の長手方向は同一方向に揃っており、かつ複数の前記蛇行状帯部の蛇行形状は一様に揃っている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面にて詳述する。
【0022】
(例1)
反射板の製造方法
図1は本発明の反射板の製造方法を示し、(a)〜(d)は各工程である。
【0023】
(a)工程
透明なガラス基板17(厚さ0.55mm)上に感光性樹脂18を厚さ1.5±0.5μmで塗布する。次に、105±10℃で3分間プリベークする。この感光性樹脂18には、たとえばJSR株式会社製のPC405Gを使用する。
【0024】
(b)工程
フォトマスク19を用いて波長365nmの紫外線光でもってプロキシミティー露光する。
図2はフォトマスク19の平面図であり、ガラス基板などの透明基板上にCr等で形成された遮光パターンSを形成したものである。
【0025】
この遮光パターンSによれば、多数の蛇行した帯状部をなし、各帯状部の長手方向は同一方向に揃っている。また、その蛇行形状は一様にそろっている。
【0026】
(c)工程
次に現像と露光とベークとを行い、ガラス基板17の上に蛇行状帯部20を形成する。
すなわち、前工程のプロキシミティー露光の光の周り込みを利用して、現像後には、パターンの角がとれて、なめらかな曲面が得られる。現像液には、JSR製のPD523AD(濃度0.25±0.1%)を使用し、50±10秒(20℃)の現像を行った。
【0027】
そして、全面露光を行い、感光性樹脂の未反応成分をなくし、脱色を行い、その後、さらにポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより、樹脂を硬化させる。
【0028】
(d)工程
しかる後に、蛇行状帯部20の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜する。本例では、AgPd膜を150nmの厚みでもってスパッタリング法により成膜し、光反射層21とした。
【0029】
かくして(a)工程〜(d)工程を経て本発明の反射板Pが得られる。
【0030】
反射板Pの構成
反射板Pの構成を図3に示す。同図(a)は反射板の平面図であり、(b)は同図(a)にて切断面線A−Aによる断面図、(c)は同図(a)にて切断面線B−Bによる断面図である。
【0031】
図3の(b)、(c)から明らかなとおり、蛇行状帯部20には平坦部がなく滑らかに連続的な形状となっている。したがって、この蛇行状帯部20上の光反射層21についても、その形状は平坦部がなく滑らかに連続的な構成である。
【0032】
次に、この反射板Pの光学特性評価について説明する。
図4に示すように光反射層21上に液晶層を想定して、アクリル系合成樹脂などからなる屈折率n=1.5程度の樹脂22を塗布し、さらにガラス基板23を貼り合わせることで、仮想の液晶パネル24を構成し、そして、測定は入射光を垂直方向から15°傾けた方向から入射し、360°回転しながら、受光部は垂直方向で反射率測定を行う。
【0033】
ここで、入射光の方向を決めるには、図5に示すように、実際に液晶表示装置の使用者を見る向きを考えて上下方向を設定し、液晶パネル24の右方を0°、上方を90°、左方を180°、下方を270°と規定する。
【0034】
反射板として図3に示す反射板Pと、従来例の2種類の反射板を図6に示すように用意する。なお、反射板の蛇行状帯部20や凸状配列群は連続して滑らかになっているので、同図に示す形状と寸法は、それを作製するために用いるフォトマスクの遮光パターンにて示す。
【0035】
同図(a)は従来例(a)の反射板であって、前述した液晶表示装置1に設けた散乱反射板と同構成であり、反射板Pにおいて蛇行状帯部20に代えて、凸部が均等な半球状(円径:6μm)である凸状配列群を形成したものである。
【0036】
同図(b)は従来例(b)の反射板であって、円形の凸部である従来例(a)の反射板に対し、さらに楕円(長辺:短辺=2:1)の凸部でもって凸状配列群を形成したものである。この楕円の長辺は12μm、短辺は6μmである。
【0037】
そして、同図(c)は本発明の反射板Pにおける蛇行状帯部20(帯幅:6μm)であり、その帯形状を3とおりに変えることで、実施例1‐▲1▼、実施例1‐▲2▼、実施例1‐▲3▼を作製した。
【0038】
これら3種類の実施例1‐▲1▼、‐▲2▼、‐▲3▼については、下記のように区分している。
【0039】
図7に示す蛇行状帯部20(帯幅:6μm)の帯状形状において、x方向(蛇行状帯部20の配列方向)に微小な線分で分割し、その傾き角度θを求める。そして、帯状形状の各部位すべてにおいて、この傾き角度θを求め、分布を求めたものを、帯状形状の傾き角度分布とする。
【0040】
図8〜10は、その傾き角度分布図である。
これらの図の横軸は帯状形状の傾き角(度)であり、縦軸は帯状形状の各部位の存在する頻度(存在比率)である。
【0041】
図8は実施例1‐▲1▼の傾き角度分布を示し、‐45°〜45°まで帯状形状の傾き角度分布が一定である。図9は実施例1‐▲2▼の傾き角度分布を示し、-60°〜60°まで帯状形状の傾き角度分布が一定である。
【0042】
また、図10は実施例1‐▲3▼の傾き角度分布を示し、‐90°〜0°までは帯状形状の傾き角度分布が一定の傾きで増加し、0°〜90°までは帯状形状の傾き角度分布が一定の傾きで減少している。
【0043】
以上のように実施例1‐▲1▼、実施例1‐▲2▼、実施例1‐▲3▼の3種類の本発明の反射板と、従来例(a)の反射板と、従来例(b)の反射板を作製し、これらを図4に示す光学特性評価方法でもって反射特性を測定すると、図11〜図13に示すような結果が得られた。
【0044】
図11は実施例1‐▲1▼の反射板の測定結果であり、比較例として従来例(a)(b)の各反射板の測定結果も示す。
【0045】
同図から明らかなとおり、従来例(a)では入射する方向に依存せず、0°〜360°にわたって一定であり、従来例(b)においては、楕円の長辺方向が、その短辺方向に比べて、反射する面積が大きくなり、その分、明るくなり、これにより、長辺方向付近では、従来例(a)の如き円パターンに比べ明るい反射率となっている。
【0046】
これに対し、実施例1‐▲1▼では、画面に対する視認者における横方向(左右方向)にて不用となるようにしている。
すなわち、反射・半透過型パネルを使用する場合、入射光は横方向に比べて上方向から入射することが多く、そのために上方向からの入射光がより有効に利用されるようにするのがよいが、そこで、横方向の散乱や反射をゼロにして、その分を上方向の散乱や反射に上乗せさせている。
【0047】
さらに詳しく述べると、図7に示す如く傾き角度θ45°以上になるような傾斜部分がないため、0±45°、180±45°の範囲で、反射率が0となっている。この分が、45〜135°、225〜315°の部分にて上乗せとなり、従来例(a)に比べて光利用効率が2倍高まっていることがわかる。
【0048】
図12は実施例1‐▲2▼の反射板の測定結果であり、図13は実施例1‐▲3▼の反射板の測定結果であり、同様に比較例として従来例(a)(b)の各反射板の測定結果も示す。
【0049】
実施例1−▲2▼は、図7に示す如く傾き角度θが60°以上に傾いた部分がないため、0±30°、180±30°の範囲で、反射率が0となっている。この分が、30〜150°、210〜330°の部分にて上乗せとなり、従来例(a)に比べて光利用効率が1.5倍高まっていることがわかる。
【0050】
実施例1−▲3▼の場合は、0°〜90°の範囲では、反射率が従来例(a)に比べ、ゼロから2倍と一定の傾きで大きくなり、90°〜180°の範囲では、反射率が従来例(a)に比べ、2倍からゼロと一定の傾きで小さくなり、180°〜270°の範囲では、反射率が従来例(a)に比べ、ゼロから2倍と一定の傾きで大きくなり、90°〜180°の範囲では、反射率が従来例(a)に比べ、2倍からゼロと一定の傾きで小さくなっている。
【0051】
かくして本発明の反射板Pによれば、蛇行状帯部20の帯状形状の傾き角度分布を制御することによって、容易に入射方向の反射特性を制御することができる。また、この帯状形状の傾き角度分布は、フォトマスクの設計により決定されることで、その分布には製造上のバラツキがなく、一定の優れた品質が達成できた。
【0052】
反射板の他の製造方法
反射板の他の2つの製造方法をそれぞれ図14と図15により説明する。
図14に示す反射板の製造方法において、(a)〜(e)は各工程である。
【0053】
(a)工程
透明なガラス基板25(厚さ0.55mm)上にJSR製の感光性樹脂26(PC405G)を厚さ0.5±0.2μmで塗布する。次にこの樹脂を105±10℃で3分間プリベークする。
【0054】
(b)工程
フォトマスクを用いてステッパ−にて露光する。一例として図2に示しているようにCr等で形成された遮光パターンSを形成したフォトマスク19を使用してもよい。この遮光パターンSは、多数の蛇行した帯状部により構成され、各帯状部の長手方向は同一方向をそろっている。
【0055】
(c)工程
次に現像によりガラス基板25の上に断面が矩形型のパターンの蛇行状帯部27を形成する。
【0056】
現像液には、JSR製のPD523AD(濃度0.25±0.1%)を使用し、現像時間は50±10秒(25℃)である。
【0057】
(d)工程
次に、基板全面に透明樹脂28(JSR製NN525)を1μmの膜厚で塗布を行い、100±10℃でプリベークを行い、これにより、蛇行状帯部27の矩形型パターンが滑らかに連続的となった。さらに、ポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより、透明樹脂28が硬化する。
【0058】
(e)工程
前工程により得られた蛇行状帯部27の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーからなる光反射層29を成膜する。本例では、AgPd膜を150nmの膜厚にてスパッタにより成膜した。
【0059】
かくして(a)工程〜(e)工程を経て得られた本発明の反射板においては、蛇行状帯部27には平坦部がなく滑らかに連続的な形状となり、これによって透明樹脂28の表面も平坦部がなく連続的に滑らかになっており、その上の光反射層29についても、同様に滑らかに連続的な構成になっている。
【0060】
また、図15に示す反射板の製造方法においては、(a)〜(d)は各工程からなる。
【0061】
(a)工程
透明なガラス基板30(厚さ0.55mm)上にUV硬化樹脂31を厚さ0.5±0.2μmで塗布する。この樹脂31に対し所望な帯状形状が形成された型32でもって押圧する。
【0062】
(b)工程
次に紫外線光(UV光)をガラス基板30を通して露光量1000±300mJ/cm2でもって照射し、これにより、UV硬化樹脂31を硬化させる。
【0063】
(c)工程
型32をガラス基板30より剥がし双方を分離することで、所望な帯状形状の蛇行状帯部33が得られる。
【0064】
(d)工程
そして、蛇行状帯部33の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜し光反射層34とする。本例では、AgPd膜を150nmの厚みでもってスパッタリングにより成膜した。
【0065】
かくして(a)工程〜(d)工程を経て得られた本発明の反射板においては、蛇行状帯部33は型32の構成にしたがって、平坦部がなく滑らかに連続的な形状となり、その上の光反射層34についても、同様に滑らかに連続的な構成になっている。
【0066】
(例2)
(例1)に示す反射板は、蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対しほぼ対称になっているが、これに代えて、そのような蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心させている。
【0067】
この反射板の製造方法は、前述した図1に示す工程と基本的には同じであり、以下、図1を引用して各工程を述べる。
【0068】
(a)工程
透明なガラス基板17(厚さ0.55mm)上に感光性樹脂18を厚さ1.5±0.5μmで塗布する。次に、105±10℃で3分間プリベークする。この感光性樹脂18には、たとえばJSR製のPC405Gを使用する。
【0069】
(b)工程
図2に示すフォトマスクとは遮光パターンが異なるフォトマスク19を用いて波長365nmの紫外線光でもってプロキシミティー露光する。
【0070】
図16はこのフォトマスク19の平面図であり、ガラス基板などの透明基板上にCr等で形成された遮光パターンSを形成したものである。
【0071】
この遮光パターンSによれば、多数の蛇行した帯状部をなし、各帯状部の長手方向は同一方向に揃っている。また、各帯状部の片側には、多数の短冊状部が付与されている。これを図17に示す。
【0072】
同図(a)は遮光パターンSの要部拡大図であり、(b)は図17(a)のフォトマスクを用いて作製した蛇行状帯部を示す概要平面図である。また、(c)は図17(b)に示す切断面線▲3▼―▲4▼による断面図である。
【0073】
図17(a)に示す遮光パターンSにおいては、その帯状の片側の辺▲1▼には、多数の短冊状の形状が付与され、これにより、▲1▼側辺の解像度を落とし、他方の▲2▼側辺に対し、その解像度に差をつけている。
【0074】
図17(c)の断面▲3▼−▲4▼における断面図から明かなとおり、蛇行状帯部20のピークの位置を▲4▼側に近づけている。多数の短冊状部を帯状パターンの▲1▼側辺に形成することにより、▲1▼側辺の反射に寄与する面積が増加し、これにより、▲1▼側辺の反射率が向上する。
【0075】
なお、このように反射率を向上させる遮光パターンは短冊状に限定されるものではなく、その他の様々な形状にしてもよい。たとえば、図18に示すように、(a)帯状部の片側に無数の三角形を配置したり、(b)三角形状体を帯状に配置して、帯状部をなくしたものであってもよい。
【0076】
(c)工程
次に現像と露光とベークとを行い、ガラス基板17の上に蛇行状帯部20を形成する。
【0077】
すなわち、前工程のプロキシミティー露光の光の周り込みを利用して、現像後には、パターンの角がとれて、なめらかな曲面が得られる。現像液には、JSR製のPD523AD(0.25±0.1%)を使用し、50±10秒(20℃)の現像を行った。
【0078】
そして、全面露光を行い、感光性樹脂の未反応成分をなくし、脱色を行い、その後、さらにポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより、樹脂を硬化させる。
【0079】
(d)工程
しかる後に、蛇行状帯部20の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜する。本例では、AgPd膜を150nmの厚みでもってスパッタリング法により成膜し、光反射層21とした。
【0080】
かくして(a)工程〜(d)工程を経て本発明の反射板Pが得られる。
【0081】
次に、このようにして作製した反射板Pの光学特性評価を(例1)にて図4と図5に示す方法でもって行った。
【0082】
この反射板には、図19に示すように3種類の反射板における各フォトマスクの遮光パターンである。
【0083】
同図(a)は図6(a)に示す従来例(a)の反射板のパターンであり、図19の(c)は図6(c)の反射板であって、(例1)の反射板Pにおける蛇行状帯部20であり、図19の(d)は本例の反射板Pにおける蛇行状帯部20である。なお、反射板の蛇行状帯部20や凸状配列群は連続して滑らかになっているので、同図に示す形状と寸法は、それを作製するために用いるフォトマスクの遮光パターンにて示す。
【0084】
図19(d)は本発明の反射板Pにおける蛇行状帯部20(帯幅:6μm)であり、その短冊状形状を3とおりに変えることで、図20に示すように実施例2‐▲1▼、実施例2‐▲2▼、実施例2‐▲3▼を作製した。これら各例とも帯状部の傾き角度分布が‐60°〜60°にわたって一定である実施例1―▲2▼と同じものを用いた。
【0085】
図20(a)に示す実施例2―▲1▼においては、実施例1−▲2▼の帯状部に対し、長さ3μm、幅4μmの多数の短冊状部が4μm間隔で配置されている。
【0086】
同図(b)に示す実施例2―▲2▼では、実施例1−▲2▼の帯状部に、長さ6μm、幅4μmの多数の短冊状部が4μm間隔で配置されている。
【0087】
同図(c)に示す実施例2―▲3▼では、実施例1−▲2▼の帯状部に、長さ9μm、幅4μmの多数の短冊状部が4μm間隔で配置されている。
【0088】
以上のように実施例2‐▲1▼、実施例2‐▲2▼、実施例2‐▲3▼の3種類の本発明の反射板と、前述した実施例1‐▲2▼と、従来例(a)の反射板とを作製し、これらを図4に示す光学特性評価方法でもって反射特性を測定すると、図21〜図23に示すような結果が得られた。
【0089】
図21は実施例2‐▲1▼の反射板の測定結果であり、比較例の従来例(a)と参考例の実施例1‐▲2▼の各反射板の測定結果も示す。
【0090】
図22は実施例2‐▲2▼の反射板の測定結果を、図23は実施例2‐▲3▼の反射板の測定結果を示す。
【0091】
これらの各図から明らかなとおり、従来例(a)においては、入射する方向に依存せず、0°〜360°にわたって一定であるが、これに対し、実施例1‐▲2▼、ならびに実施例2‐▲1▼、実施例2‐▲2▼、実施例2‐▲3▼は、ともに図7に示す如く傾き角度θが60°以上に傾いた部分がないため、0±30°、180±30°の範囲で、反射率が0となっていて、30〜150°、210〜330°の部分のみが存在することがわかる。
【0092】
また、図21によれば、実施例2‐▲1▼と実施例1‐▲2▼とを対比するに、実施例1−▲2▼では30〜150°と210〜330°の各範囲において、双方とも反射率が同じ大きさである。しかしながら、実施例2‐▲1▼においては、210〜330°の範囲に比べ30〜150°の範囲の方が反射率が大きくなっている。
【0093】
図22においても、実施例1−▲2▼では30〜150°と210〜330°の各範囲において、双方とも反射率が同じ大きさであるが、実施例2‐▲2▼においては、210〜330°の範囲に比べ30〜150°の範囲の方が反射率が大きくなっている。
【0094】
図23においても、実施例1−▲2▼では30〜150°と210〜330°の各範囲において、双方とも反射率が同じ大きさであるが、実施例2‐▲3▼においては、210〜330°の範囲に比べ30〜150°の範囲の方が反射率が大きくなっている。
【0095】
さらにまた、30〜150°の反射率については、実施例2‐▲1▼、実施例2‐▲2▼、実施例2‐▲3▼との間で比べても、実施例2‐▲1▼<実施例2‐▲2▼<実施例2‐▲3▼の順で大きくなる。すなわち、帯状部に付加した多数の短冊状部の長さが大きくなるにしたがって、30〜150°の範囲での反射率が大きくなる。
【0096】
かくして本発明の反射板Pによれば、帯状部に付加する形状によって、0°〜180°の範囲と180°〜360°の範囲とに対し、双方の間にて反射率の比率を変えることができ、加えて反射率の程度も変えることができる。
【0097】
反射板の他の製造方法
反射板の他の2つの製造方法をそれぞれ図24・図25と図26により説明する。
【0098】
図24・図25に示す反射板の製造方法によれば、(a)〜(h)は各工程からなる。
【0099】
(a)工程
透明なガラス基板35(厚さ0.55mm)上に感光性樹脂36(JSR製PC405G)を厚さ0.5±0.2μmで塗布する。
【0100】
(b)工程
次に、105±10℃で3分間プリベークし、フォトマスク37を用いてステッパ−にて露光する。
【0101】
図26(a)はフォトマスク37の平面図であり、そのガラス基板上にCr等で形成された遮光パターン38が形成されたものを使用する。
【0102】
この遮光パターン38によれば、多数の蛇行した帯状部をなし、各帯状部の長手方向は同一方向に揃っている。
【0103】
(c)工程
次に現像を行い、断面が矩形型の帯状パターンが得られる。そのために現像液には、JSR製のPD523AD(0.25±0.1%)を使用し、50±10秒(25℃)の現像を行った。さらに、ポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより樹脂を硬化させ、帯状部39を形成した。
【0104】
(d)工程
そして、前記の感光性樹脂36の厚みに比べて、薄くして感光性樹脂40(JSR製のPC405G)を厚さ0.25±0.1μmで塗布し、105±10℃で3分間プリベークした。
【0105】
(e)工程
フォトマスク37を用いてステッパ−にて露光する。
【0106】
このフォトマスク37は図26(a)に示すような遮光パターン38が形成されたものを使用し、図26(b)は、このフォトマスク37を用いて、2回露光した場合の露光部位を示す。2回目の露光位置は、1回目の露光位置から上方向にずらしている。
【0107】
(f)工程
現像を行い、断面が矩形型の帯状パターンが得られる。現像液には、JSR製のPD523AD(0.25±0.1%)を使用し、50±10秒(25℃)の現像を行った。さらに、ポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより、樹脂が硬化し、これにより、帯状部39にそった第2の帯状部41を形成した。
【0108】
(g)工程
基板全面に透明樹脂42(JSR製NN525)を1μmの膜厚で塗布を行い、100±10℃でプリベークを行った。これにより、矩形型のパターンが滑らかに連続的となった。さらに、ポストベーク220±10℃(15分)を行うことにより、透明樹脂42を硬化させる。
【0109】
(h)工程
透明樹脂42の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜する。本例では、AgPdを150nmの厚みでもってスパッタリングにより成膜し、光反射層43とした。
【0110】
かくして(a)工程〜(h)工程を経て得られた本発明の反射板Pについても、透明樹脂42には平坦部がなく滑らかに連続的な形状となり、これによって、その上の光反射層43についても、同様に滑らかに連続的な構成になっている。
【0111】
そして、この構成において、さらに蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心させているので、帯状部の形状によって、0°〜180°の範囲と180°〜360°の範囲とに対し、双方の間にて反射率の比率を変えることができる。
【0112】
また、図27に示す反射板の製造方法においては、(a)〜(d)は各工程からなる。
【0113】
(a)工程
透明なガラス基板44(厚さ0.55mm)上にUV硬化樹脂45を厚さ0.5±0.2μmで塗布し、所望な帯状形状が形成された型46にて押圧する。
【0114】
(b)工程
紫外線光でもって露光量1000±300mJ/cm2にて光照射することにより、UV硬化樹脂45が硬化する。
【0115】
(c)工程
ガラス基板44から型46を剥がすことで、所望な蛇行状帯部47が形成された基板が得られれる。
【0116】
(d)工程
そして、蛇行状帯部47の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜し光反射層48とする。本例では、AgPdを150nmの厚みでもってスパッタリングにより成膜した。
【0117】
かくして(a)工程〜(d)工程を経て得られた本発明の反射板Pにおいては、蛇行状帯部47は型46の構成にしたがって、平坦部がなく滑らかに連続的な形状となり、その上の光反射層48についても、同様に滑らかに連続的な構成になっている。
【0118】
そして、この構成において、さらに蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心させているので、蛇行状帯部47の形状によって、0°〜180°の範囲と180°〜360°の範囲とに対し、双方の間にて反射率の比率を変えることができる。
【0119】
(例3)
(例1)と(例2)における反射板を作製するには、双方とも現像工程を経ているが、本例では現像工程を経ないで作製する方法を図28〜図31により説明する。
【0120】
図28に示す反射板Pの製造方法においては、(a)〜(d)は各工程からなる。
【0121】
(a)工程
透明なガラス基板49(厚さ0.55mm)上に新日本製鉄化学製の感光性樹脂50(V-259PR)を厚さ5.0±0.5μmにて塗布し、100±10℃で3分間プリベークする。
【0122】
(b)工程
フォトマスク51を用いてプロキシミティー露光する。
【0123】
このフォトマスク51の例を図29と図30により示す。
【0124】
図29に示すフォトマスク51においては、Cr等の遮光パターンが形成されたものを使用し、その遮光パターンは、多数の蛇行した帯状形状であり、非成膜部分である各帯状部の長手方向は同一方向を向くように配置されている。
【0125】
また、図30に示す他のフォトマスク51においては、図29に示す遮光パターンの各帯状部の片側辺に対し、多数の短冊状の形状が付与され、これにより、片側辺部の解像度を低下させ、その反対側の辺側部との間にて解像度差をつけ、蛇行状帯部のピークの位置を、その反対側の辺側部に近づけている。
【0126】
このように多数の短冊状形状を帯状部の片側辺部に形成することで、その部分での光反射に寄与する面積が増加し、反射率が上がる。
【0127】
かかる帯状形状に付与するパターンは短冊状以外に、図31に示すように、帯状部の片側に多数の三角形を配置したり、帯状部でなくても三角形を帯状に配置しても同様な効果が得られる。
【0128】
(c)工程
ポストベークを220±10℃の温度でもって15分間を行うことで、樹脂の感光された部分と感光されていない部分で、膜の硬化後の膜厚が異なることから、凹凸が形成され、所望な蛇行状帯部52が形成された基板が得られれる。
【0129】
(d)工程
そして、蛇行状帯部52の上にAl,Al合金(たとえば、AlCMg,AlTi,AlNd)、Ag合金(たとえば、AgPd,AgPdCu,AgRuCu)などから金属光反射層もしくは誘電体ミラーを成膜し光反射層53とする。本例では、AgPdを150nmの厚みでもってスパッタリングにより成膜した。
【0130】
かくして(a)工程〜(d)工程を経て得られた本発明の反射板Pにおいては、蛇行状帯部52は平坦部がなく滑らかに連続的な形状となり、その上の光反射層53についても、同様に滑らかに連続的な構成になっている。
【0131】
そして、この構成において、さらに蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心させているので、蛇行状帯部52の形状によって、0°〜180°の範囲と180°〜360°の範囲とに対し、双方の間にて反射率の比率を変えることができる。
【0132】
(例4)
(例1)〜(例3)の各反射板Pを液晶表示装置に使用する場合を説明する。
【0133】
図32はこの液晶表示装置54の断面図である。
この液晶表示装置54はカラー表示用の反射型であり、55はコモン側のガラス基板(0.55mm厚)、56はセグメント側のガラス基板(0.55mm厚)であって、ガラス基板55の一主面上にアクリル系樹脂材などからなる樹脂でもって前記蛇行状帯部である帯状凸部57を多数配列し、この帯状凸状配列群上に銀合金AgxPdy(x=99.0 y=1.0)からなる膜でもって厚み150nmの光反射層58を被覆している。
【0134】
そして、光反射層58上にアクリル系樹脂材などからなる樹脂のカラーフィルタ59を形成している。さらにアクリル系樹脂からなるオーバーコート層60と、多数平行に配列したITOからなる透明電極61を形成している。この透明電極61上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜62を形成している。
【0135】
また、ガラス基板56上に多数平行に配列したITOからなる透明電極63と、一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜64とを順次形成している。透明電極63と配向膜64との間にSiO2からなる絶縁層を介在させてもよい。
【0136】
そして、双方の基板をSTNなどの液晶65を介してシール部材66により貼り合わせる。さらにガラス基板56の外側にポリカーボネイトなどからなる第1位相差フィルム67と第2位相差フィルム68とヨウ素系の偏光板69とを順次形成する。
【0137】
上記構成の反射型の液晶表示装置54において、太陽光、蛍光灯などの外部照明による入射光はガラス基板56を通過し、液晶65、カラーフィルタ59などを通して光反射層58に到達し、光反射層58にて光反射され、その反射光が出射される。
【0138】
また、本例の反射型液晶表示装置54の使用者は、その装置と対面しながら用いるに当り、通常、上下方向の視野角、とくに上方向の視野角でもって使用している。よって、蛇行状帯部である帯状凸部57の帯状部は、パネルに対し横方向に配列する。
【0139】
すなわち、携帯情報端末等で用いられる反射型液晶表示装置54では、入射光はパネルの横方向から入射されることに比べ、上方から入射されることが多く、そのために蛇行状帯部(帯状凸部57)の長手方向をパネル横方向に設置することで、上方からの入射光を有効に利用することができる。
【0140】
加えて、実施例2―▲1▼、実施例2―▲2▼、実施例2―▲3▼ならびに(例3)に示す如く、蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心している場合には、そのピークの位置を、反射型液晶表示装置54の下側にして、上方からの入射光を実施例1に比べ有効に利用している。
【0141】
本発明者は従来例(a)、実施例1―▲2▼および実施例2―▲2▼を用意し、その光学特性を評価実験したところ、表1に示すような結果が得られた。
【0142】
評価測定については、それぞれの反射板を用いた反射型液晶表示装置を作製し、蛍光灯が2m間隔に15本配列されたオフィスの中央付近に、その装置を配して表示性能を調べている。
【0143】
一般的な人が反射型液晶表示装置を使用する状況において、その人が見る角度を上方向・下方向にずらし、これによって画面の明暗状態を調べている。
【0144】
その評価を◎、○、△、×の4通りに判定基準を定め、◎印はたいへん明るい場合であり、○印はやや明るい場合、△印はやや暗い場合、×印は顕著に暗い場合である。
【0145】
【表1】
Figure 0004658346
【0146】
この表から明かなとおり、実施例1―▲2▼の反射板を搭載した反射型液晶表示装置では上下方向ともに明るかった。また、実施例2―▲2▼の反射板を搭載した反射型液晶表示装置では上方向のみが従来より明るい特性をもった反射型液晶表示装置が得られた。
【0147】
(例5)
(例1)〜(例3)の各反射板Pを他の液晶表示装置に使用する場合を説明する。
【0148】
図33はこの液晶表示装置70の断面図である。
このカラー表示用の反射型の液晶表示装置70において、71はコモン側のガラス基板(0.55mm厚)、72はセグメント側のガラス基板(0.55mm厚)であって、ガラス基板71の一主面上にアクリル系樹脂材などからなる樹脂でもって前記蛇行状帯部である帯状凸部73を多数配列し、この帯状凸状配列群上に銀合金AgxPdy(x=99.0 y=1.0)からなる膜でもって厚み150nmの光反射電極74を被覆している。この光反射電極74はストライプ状に多数個配列されている。
【0149】
この光反射電極74の上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜75を形成している。
【0150】
一方のガラス基板72の上にはアクリル系樹脂材などからなる樹脂のカラーフィルタ76を形成し、さらにアクリル系樹脂からなるオーバーコート層77と、多数平行に配列したITOからなる透明電極78と、一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜79とを順次形成している。透明電極78と配向膜79との間にSiO2からなる絶縁層を介在させてもよい。
【0151】
そして、両基板71、72をSTNなどの液晶80を介してシール部材81により貼り合わせる。その際、光反射電極74と透明電極78とを交差させる。
【0152】
さらにガラス基板72の外側にポリカーボネイトなどからなる第1位相差フィルム82と第2位相差フィルム83とヨウ素系の偏光板84とを順次形成する。
【0153】
上記構成の反射型の液晶表示装置70において、太陽光、蛍光灯などの外部照明による入射光はガラス基板72を通過し、カラーフィルタ76、液晶80などを通して光反射電極74に到達し、光反射電極74にて光反射され、その反射光が出射される。
【0154】
また、本例の反射型液晶表示装置70についても、使用者はその装置と対面しながら用いるに当り、通常、上下方向の視野角、とくに上方向の視野角でもって使用している。よって、蛇行状帯部である帯状凸部73の帯状部は、パネルに対し横方向に配列する。
【0155】
加えて、実施例2―▲1▼、実施例2―▲2▼、実施例2―▲3▼ならびに(例3)に示す如く、蛇行状帯部の横断面形状が、その帯部の中心線に対し非対称に偏心している場合には、そのピークの位置を、反射型液晶表示装置70の下側にして、上方からの入射光を実施例1に比べ有効に利用している。
【0156】
本発明者は従来例(a)、実施例1―▲2▼および実施例2―▲2▼を用意し、その光学特性を評価実験したところ、表2に示すような結果が得られた。
【0157】
評価測定については、それぞれの反射板を用いた反射型液晶表示装置70を作製し、(例4)に記載されているように表示性能を調べている。
【0158】
【表2】
Figure 0004658346
【0159】
この表から明かなとおり、実施例1―▲2▼の反射板を搭載した反射型液晶表示装置では上下方向ともに明るかった。また、実施例2―▲2▼の反射板を搭載した反射型液晶表示装置では上方向のみが従来より明るい特性をもった反射型液晶表示装置が得られた。
【0160】
(例6)
(例4)および(例5)に示す液晶表示装置54、70によれば、各画素がマトリックス状に配列されているので、それらに用いる反射板構造において、蛇行状帯部を形成した一矩形状の領域でもってブロックと成すとともに、各ブロックをマトリックス状に配列するに当り、所定の構成にすることで、画素との間にて表示上干渉しなくなる。なお、各ブロックをマトリックス状に配列する理由は、これによってマスクの関係で、現実的に実効があるためである。
【0161】
この点を図34と表3でもって説明する。
同図(a)は1画素のピッチが80μm×240μmの液晶表示装置に対し、それに使用する反射板における各ブロックのマトリックス状配列を示す。一ブロック(サイズa×bの矩形状)を取りだし、その拡大図として同図(b)も示す。
【0162】
なお、図34(a)(b)は、双方とも反射板を作製するのに使用するフォトマスクでもって図示する。
【0163】
また、1画素の一方向では80μmのピッチであることに対し、他方向では、その3倍の240μmピッチになっているが、各画素にはそれぞれ赤のカラーフィルター、青のカラーフィルターおよび緑のカラーフィルターを一列に配列することから、それら一連の配列を含むためである。
【0164】
そして、各ブロックのサイズa、bをそれぞれ変えることで、表示特性を測定したところ、すなわち反射型液晶表示装置の表示を目視観察して評価すると、表3に示すような結果が得られた。
【0165】
この評価には、蛍光灯が2m間隔に15本配列されたオフィスの中央付近にて、反射型液晶表示装置の表示性能を調べている。
【0166】
一般的な人が液晶表示装置を使用する際に、その人の見る角度を疲れにくい通常の状態にして、干渉の発生具合を目視にて確認した。
【0167】
その評価を○、△、×の3通りの判定基準を定め、○印は干渉がない場合、△印はやや干渉が見られた場合、×印は顕著に干渉が見られた場合である。
【0168】
【表3】
Figure 0004658346
【0169】
かくして、この表から明らかなとおり、表示の干渉をなくすためには、縦方向、横方向ともブロックサイズの縦サイズ、横サイズの約数の大きさにすればよいことが分かる。
【0170】
以下、このようにブロックサイズを画素の送りピッチの公約数の大きさにする理由を図35〜図39に示す液晶表示装置でもって説明する。これら各図は主要部材の模式図であり、図35は液晶表示装置89の要部斜視図であり、図37は液晶表示装置89に対する入射光と反射光の光路を示す。
【0171】
また、図36は液晶表示装置90の要部斜視図であり、図38と図39は液晶表示装置90に対する入射光と反射光の光路を示す。
【0172】
双方の液晶表示装置89、90とも、85は信号側ITO電極、86は走査側ITO電極、87はカラーフィルター、88は反射板である。
【0173】
図35と図37に示す液晶表示装置89によれば、蛇行状帯部(帯状凸部)を形成した反射板88の各ブロックのサイズが100μm×100μmの矩形状であり、そのようなブロックがマトリックス状に配列されている。そして、信号側ITO電極85とカラーフィルター87の配列ピッチが80μmである場合には、隣接するITO電極の隙間、隣接するカラーフィルターの隙間が、双方の配置関係上対応しなくなり、これにより、図37に示すように各ITO電極間での反射光量はA・B・C・Dのように変わってくる。
【0174】
そして、ブロックサイズとITO電極ピッチの最小公倍数である400μmピッチで周期的に反射光量A・B・C・Dが生じ、これに伴って干渉縞が発生する。
【0175】
このような干渉縞は、信号側ITO電極85やカラーフィルター87以外に、走査側ITO電極86についても同様に発生する。
【0176】
すなわち、マトリックス状に配列されている各ブロックのサイズが100μm×100μmの矩形状である反射板88に対し、走査側ITO電極86のピッチが240μmであれば、最小公倍数である1200μmのピッチでもって周期的に各電極間に、干渉縞が見える。
【0177】
かかる課題を解消するために、図36と図38と図39に示す液晶表示装置90を用いるとよい。
【0178】
蛇行状帯部(帯状凸部)を形成した反射板88の各ブロックのサイズが80μm×80μmの矩形状であり、そのようなブロックがマトリックス状に配列されている。そして、信号側ITO電極85とカラーフィルター87の配列ピッチが80μmである場合には、隣接するITO電極の隙間、隣接するカラーフィルターの隙間が、双方の配置関係上対応し、これにより、図38に示すように各ITO電極間での反射光量は一定のEになり、その結果、干渉縞が生じなくなる。
【0179】
そして、走査側ITO電極86についても、そのピッチは240μmになることで、隣接するITO電極の隙間が、ブロックの配置関係上対応し、これにより、図39に示すように各ITO電極間での反射光量は一定のFになり、その結果、干渉縞が生じなくなる。
【0180】
以上のとおり、蛇行状帯部を形成した反射板88の各ブロックのピッチP1と、ITO電極やカラーフィルターの配列ピッチP2との間にて、
P1/P2=n又はP2/P1=n(n=1、2、3・・・整数)に設定することで、干渉縞が発生しなくなった。
【0181】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。
【0182】
たとえば、本例では単純マトリクス構造のSTNタイプでもって述べ、このタイプではITOストライプ電極構造を形成しているが、これに代えて、この構成を変えることで、TFT、MIM構造などのアクティブマトリクス構造にしてもよい。
【0183】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の反射板によれば、基板と、前記基板上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された複数の蛇行状帯部と、前記基板上に設けられており、かつ隣接する前記蛇行状帯部間が滑らかに連続的に接続された接続部と、前記蛇行状帯部および前記接続部上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された光反射層と、を備え、複数の前記蛇行状帯部の長手方向は同一方向に揃っており、かつ複数の前記蛇行状帯部の蛇行形状は一様に揃っているので、その蛇行状帯部の形状や構成を設計するだけで、入射光の反射特性を容易に制御し、所要のとおりの錯乱特性を達成し、さまざまな表示に使用することができた。
【0184】
また、本発明の反射板においては、現像や露光などのフォトリソの技術やプリント技術を用いていることで、製造上のバラツキがなく、製造歩留まりを高め、一定の優れた品質を達成した低コストの反射板が提供できた。
【0185】
さらに本発明の液晶表示装置によれば、本発明の反射板を用いることで、入射光に対する反射性能や散乱性能が高められ、その使用性能を高め、これによって、とくに携帯端末などの小型液晶パネルに好適な高性能かつ低コストな液晶表示装置が提供できた。
【0186】
さらにまた、本発明の液晶表示装置においては、反射板をマトリックス状にブロック化し、各ブロックの配列ピッチP1と画素ピッチP2とが、P1/P2=n又はP2/P1=n(n=1、2、3・・・整数)にしたことで、干渉縞がなくなり、優れた表示品質が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射板の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d)は各工程の説明図である。
【図2】本発明の反射板の製造に使用するフォトマスクの平面図ある。
【図3】(a)は本発明の反射板の平面図であり、(b)は(a)の反射板における切断面線A−Aの断面図、(c)は(a)の反射板における切断面線B−Bの断面図である。
【図4】反射板の光学特性評価方法を示す説明図である。
【図5】液晶表示装置の向きと光学特性評価の方位角との位置関係を示す説明図である。
【図6】(a),(b),(c)はそれぞれフォトマスクパターンの拡大図である。
【図7】蛇行状帯部の蛇行形状の傾き角度を示す説明図である。
【図8】蛇行状帯部の蛇行形状の傾き角度と、その頻度(比率)との関係を示すデータ図である。
【図9】他の蛇行状帯部の蛇行形状の傾き角度と、その頻度(比率)との関係を示すデータ図である。
【図10】さらに他の蛇行状帯部の蛇行形状の傾き角度と、その頻度(比率)との関係を示すデータ図である。
【図11】反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図12】他の反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図13】さらに他の反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図14】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d),(e)は各工程の説明図である。
【図15】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d)は各工程の説明図である。
【図16】本発明の反射板の製造に使用する他のフォトマスクの平面図ある。
【図17】他のフォトマスクパターンの拡大図であり、(a)は遮光パターンの要部拡大図、(b)は(a)のフォトマスクを用いて作製した蛇行状帯部を示す概要平面図、(c)は(b)に示す切断面線▲3▼―▲4▼による断面図である。
【図18】(a)(b)はそれぞれフォトマスクの遮光パターンの要部拡大図である。
【図19】(a)(b)(c)はそれぞれフォトマスクの遮光パターンの要部拡大図である。
【図20】(a)(b)(c)はそれぞれフォトマスクの遮光パターンの要部拡大図である。
【図21】反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図22】他の反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図23】さらに他の反射板に対する光入射の方位角と、その反射率との関係を示す線図である。
【図24】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d)は各工程の説明図である。
【図25】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(e),(f),(g),(h)は各工程の説明図である。
【図26】(a)はフォトマスクの平面図であり、(b)はこのフォトマスクを用いた場合の露光部位を示す基板側の平面図である。
【図27】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d)は各工程の説明図である。
【図28】本発明の反射板の他の製造工程図であって、(a),(b),(c),(d)は各工程の説明図である。
【図29】本発明の反射板の製造に使用する他のフォトマスクの平面図ある。
【図30】本発明の反射板の製造に使用する他のフォトマスクの平面図ある。
【図31】他のフォトマスクの遮光パターンの要部拡大図である。
【図32】本発明の液晶表示装置の断面図である。
【図33】本発明の他の液晶表示装置の断面図である。
【図34】(a)は反射板を作製するのに使用するフォトマスクの平面図であり、(b)は反射板の各ブロックに対応するフォトマスクの要部拡大図である。
【図35】反射型液晶表示装置の模式図である。
【図36】他の反射型液晶表示装置の模式図である。
【図37】反射型液晶表示装置の要部構成を示す説明図である。
【図38】他の反射型液晶表示装置の要部構成を示す説明図である。
【図39】他の反射型液晶表示装置の要部構成を示す説明図である。
【図40】従来の反射型液晶表示装置の断面図である。
【符号の説明】
P・・・反射板
17、25、30、35、44、49・・・ガラス基板
18、26、36、40、50・・・感光性樹脂
19、37、51・・・フォトマスク
20、47、52・・・蛇行状帯部
21、27、29、34、43、48、53、58・・・光反射層
24・・・液晶パネル
28・・・透明樹脂
38、S・・・遮光パターン
39、41・・・帯状部
54・・・液晶表示装置

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された複数の蛇行状帯部と、
    前記基板上に設けられており、かつ隣接する前記蛇行状帯部間が滑らかに連続的に接続された接続部と、
    前記蛇行状帯部および前記接続部上に設けられており、かつ滑らかに連続的に形成された光反射層と、を備え、
    複数の前記蛇行状帯部の長手方向は同一方向に揃っており、かつ複数の前記蛇行状帯部の蛇行形状は一様に揃っている、反射板。
  2. 前記蛇行状帯部は、片側に複数の短冊状部が設けられている、請求項1に記載の反射板。
  3. 一方基板と、
    前記一方基板に対向して配置された他方基板と、
    前記一方基板と前記他方基板との間に介在した液晶層と、
    前記一方基板または前記他方基板に設けられた、請求項1または2に記載の反射板と、を備えた液晶表示装置。
  4. 前記液晶表示装置は、マトリックス状に複数の画素が配列形成されており、
    前記反射板をマトリックス状にブロック化し、各ブロックの配列ピッチP1と画素ピッチP2とが下記の関係にある、請求項3に記載の液晶表示装置。
    P1/P2=n、又は、P2/P1=n
    (n=1、2、3・・・整数)
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