JP4658261B2 - 織機における耳糸開口方法及び装置 - Google Patents
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特許文献1の耳織成装置は制御装置18、19によって駆動モータ12を制御することにより、緯入れ1回毎に耳糸を相反する方向に駆動する耳糸開口パターン(以下1×1織りという)、緯入れ1回で耳糸を相反する方向に駆動し、続く2回の緯入れ期間の間開口状態を維持する耳糸開口パターン(以下1×2織りという)、緯入れ2回毎に耳糸を相反する方向に駆動し、2回の緯入れ期間の間は耳糸の開口を維持する耳糸開口パターン(以下2×2織りという)等の種々の織耳組織を形成できることが記載されている。
さらに、耳糸は自身の過大な張力により伸張したり、筬との間で強くこすられ、糸切れを発生する恐れ等が増大する。
従って、インチング運転中に加えて、停止中においても耳糸張力の増大を抑えることができ、耳糸開口装置の駆動モータへの負荷を軽減し、また織耳組織の損傷を解消することができる。
請求項3に記載した本願発明は、前記第2耳糸開口パターンは前記第1耳糸群及び第2耳糸群の開口方向を織機運転中のの前記第1耳糸開口パターンの耳糸開口方向と同一にし、かつ1回の緯入れ期間毎に閉口状態を形成するパターンであることを特徴とする。
従って、インチング中の耳糸開口方向は織機運転中の第1耳糸開口パターンと同一方向であるため、緯糸端は各緯入れ期間毎に開放され、インチング運転に伴う緯糸除去が順次行われる。
従って、簡素な構成により、織機停止中の耳糸張力の増大を抑えることができ、耳糸開口装置の駆動モータへの負荷を軽減し、また織耳組織の損傷を解消することができる。
請求項6に記載した本願発明は、前記第2耳糸開口パターンは前記第1耳糸群及び第2耳糸群の開口方向を織機運転中のの前記第1耳糸開口パターンの耳糸開口方向と同一にし、かつ1回の緯入れ期間毎に閉口状態を形成するパターンであることを特徴とする。
従って、インチング中の耳糸開口方向は織機運転中の第1耳糸開口パターンと同一方向であるため、緯糸端は各緯入れ期間毎に開放され、インチング運転に伴う緯糸除去が順次行われる。
以下、第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1及び図2は、図示しない経糸開口用綜絖枠の端部側に位置し、かつ綜絖枠の織機前方側に配置された耳糸開口装置を示す。
織機のフレームの一部を形成するトップレール1にコの字状に形成された取付板2及び平板上の取付板3が織機後方側(図1の左側)に向けて重ねられ、上下に垂立した状態でボルト4により固定される。取付板3の前面(図1の右側に向く面)にはL字型の取付ブラケット5がボルト6によって固定されている。
取付板3の上部には大径のギヤ13を備えた軸11が取付板3の前面に固定された軸受12によって回転可能に支持されている。大径ギヤ13はモータ軸9に備えた小径ギヤ10と噛合し、減速ギヤ列を構成する。
また、回転体15の端面には磁石又は磁性体51(以下、単に磁性体51と呼称する)が埋設され、回転体15の回転軌跡の外方に磁性体51に対応して耳糸開口角度検出センサーとしての近接スイッチ50が配設されている。近接スイッチ50の配設位置は、図2(a)のように、回転体15が後述する第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2(図1参照)を閉口状態の位置に駆動した時に磁性体51を検出する位置である。
揺動部材21の配設位置は回転体15と同一平面上となるように設定されている。この設定は例えば、スリーブ14の長さを選択することにより適正に行うことができる。
第1摺動体32及び第2摺動体33は共にカーボンテープで構成され、高強度及び無潤滑性能により高い耐久性を有する。
なお、図2では綜絖42を便宜上3本のみ示したが、実際には80本程度まで使用されており、多くは40本以上の綜絖が使用されている。
制御装置52は、演算処理部53、読み出し専用の記憶部54、書き込み可能な記憶部55、入力インターフェース56、出力インターフェース57及びデータ入力装置62を備えたコンピュータである。
なお、本願発明の説明では、1×2織り、2×2織り等の第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2が2回以上の緯入れ期間の間開口状態を継続する耳糸開口パターンを第1耳糸開口パターンと総称し、1×1織りのように第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2が緯入れ毎に相反する方向に駆動されて開口する耳糸開口パターンを第2耳糸開口パターンと呼称する。
耳糸開口装置の制御装置52には、織耳組織の仕様として第1耳糸開口パターンである2×2織りが設定されているものとする。
織機の運転中は、織機の回転角度検出センサー61からの信号に基づき経糸開口運動との同期が取られ、演算処理部53から2×2織りの駆動指令信号が出力される。モータ駆動回路63は駆動指令信号を受けてサーボモータ7に、正転方向に所定量回転した後、2回の緯入れ期間の間その回転位置を維持し、次に逆転方向に所定量回転した後、続く2回の緯入れ期間の間その回転位置を維持するサイクルを繰り返すように回転指令信号を出力する。
回転体15の回動は、リンク17を介して揺動部材21を軸19を揺動支点として揺動する。揺動部材21の図2(a)における反時計回りの揺動は第1ロッド24を介して第1摺動体32を下方に押し下げ、綜絖42とともに糸通し孔43に保持された第1耳糸群Y1を下方に駆動する。
一方、第2ロッド25を介して第2摺動体33が上方に引き上げられ、図示しない綜絖とともに第2耳糸群Y2を上方に駆動する。
第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2の開口位置は、サーボモータ7が前記したように正転方向の位置に維持されるため、2回の緯入れ期間N+1、N+2の間維持される(図3の運転中のN+1及びN+2参照)。
回転体15の逆転は揺動部材21を反転し、第1耳糸群Y1を上方に駆動するとともに第2耳糸群Y2を下方に駆動する。この第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2の開口位置は、サーボモータ7が逆転方向の位置に維持されるため、続く2回の緯入れ期間N+3、N+4の間維持される(図3の運転中のN+3及びN+4参照)。
耳糸開口装置は以上の耳糸開口運動のサイクルを継続することにより、図示しない緯糸と共に2×2織りの織耳組織Wを織製する。
図4は、第1の実施形態で説明した第2耳糸開口パターンの変形例を示す。
緯入れミスの発生や緯糸のループあるいは縮み等の発生により織布中に不良緯糸が織り込まれてしまった場合、不良緯糸が存在する位置まで織機を逆転方向にインチング運転しながら順次緯糸を除去する作業が行われる。この作業では、前記第1の実施形態に示した第2耳糸開口パターンでは第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2の開口方向が織機運転中の耳糸開口方向と異なる状態が発生するため、緯糸端が耳糸群から開放されず、緯糸の除去を行うことができない。
第2の実施形態における第2耳糸開口パターンは、耳糸張力の増大を最小限に抑えながら緯糸の除去も行えるように、第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2の開口方向を織機運転中の耳糸開口方向と同一にし、かつ1回の緯入れ期間毎に閉口状態を形成するパターンである。
従って、モータ駆動回路63は、逆転方向のインチング運転時の最初の緯入れ期間では第1耳糸群Y1を上方に駆動し、第2耳糸群Y2を下方に駆動するようサーボモータ7に指令を出す(図4の停止・逆転後のN+4参照)。最初の緯入れ期間が終了すると、第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2は閉口位置まで駆動される。しかし、第2回目の緯入れ期間では再び第1耳糸群Y1を上方に駆動し、第2耳糸群Y2を下方に駆動するようサーボモータ7に指令が出される(図4の停止・逆転後のN+3参照)。第2回目の緯入れ期間が終了すると、第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2は再び閉口位置まで駆動される。
第3回目の緯入れ期間が終了すると、第1耳糸群Y1及び第2耳糸群Y2は閉口状態に駆動されるが、第4回目の緯入れ期間では第3回目の緯入れ期間と同方向に駆動される(図4の停止・逆転後のN+1参照)。
なお、再起動時の制御は第1の実施形態の場合と同じであるので、説明を省略する。
(2)駆動モータは、サーボモータ7に代えて、ステッピングモータや回転制御可能な他のモータを使用することができる。
15 回転体
21 揺動部材
42 綜絖
50 近接スイッチ
51 磁性体
52 制御装置
53 演算処理部
54、55 記憶部
56 入力インターフェース
57 出力インターフェース
58 起動信号発生部
59 インチング信号発生部
60 停止信号発生部
61 織機の回転角度検出センサー
62 データ入力装置
63 モータ駆動回路
Claims (6)
- 専用の駆動モータに連結され、織機の運転中、織端に配置された第1耳糸群と第2耳糸群が2回以上の緯入れ期間の間開口位置に維持される第1耳糸開口パターンによって駆動される耳糸開口装置において、
織機停止後に所定の作業を行うための正転方向又は逆転方向のインチング運転時に、織機の経糸開口運動と同期して1回の緯入れ期間毎に前記第1耳糸群と第2耳糸群の閉口状態を形成する第2耳糸開口パターンに変更して耳糸開口運動を行い、織機の再起動時には前記第1耳糸開口パターンに復元して耳糸開口運動を行うことを特徴とする織機における耳糸開口方法。 - 前記織機停止後、インチング運転時以外は前記第1耳糸群と第2耳糸群を閉口位置に維持することを特徴とする請求項1に記載の織機における耳糸開口方法。
- 前記第2耳糸開口パターンは前記第1耳糸群及び第2耳糸群の開口方向を織機運転中の前記第1耳糸開口パターンの耳糸開口方向と同一にし、かつ1回の緯入れ期間毎に閉口状態を形成するパターンであることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の織機における耳糸開口方法。
- 専用の駆動モータに連結され、織機の運転中、織端に配置された第1耳糸群と第2耳糸群が2回以上の緯入れ期間の間開口位置に維持される第1耳糸開口パターンによって駆動される耳糸開口装置において、
前記専用の駆動モータに備えたモータ駆動回路と、
前記第1耳糸開口パターン及び1回の緯入れ期間毎に第1耳糸群と第2耳糸群の閉口状態を形成する第2耳糸開口パターンを記憶する記憶部、織機の起動時に前記第1耳糸開口パターンを選択し、織機停止後に所定の作業を行うための正転方向又は逆転方向のインチング運転時に前記第2耳糸開口パターンを選択するプログラムを記憶した記憶部及び選択された前記第1耳糸開口パターンあるいは第2耳糸開口パターンに基づく耳糸開口運動を指令する演算処理部を備えた制御装置とを設け、
前記制御装置を前記モータ駆動回路に接続したことを特徴とする織機における耳糸開口
装置。 - 前記制御装置に、織機の停止中は前記第1耳糸群と第2耳糸群を閉口位置に維持する第3耳糸開口パターンを記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の織機における耳糸開口装置。
- 前記第2耳糸開口パターンは前記第1耳糸群及び第2耳糸群の開口方向を織機運転中の前記第1耳糸開口パターンの耳糸開口方向と同一にし、かつ1回の緯入れ期間毎に閉口状態を形成するパターンであることを特徴とする請求項4及び5のいずれかに記載の織機における耳糸開口装置。
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