JP4654475B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物ならびに半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体部材に対して密着性が高く、さらに、保存安定性が良好で、成形時の硬化性、充填性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、および該封止用組成物で封止してなる半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ダイオード、トランジスタ、IC、LSI、超LSIなど半導体装置の封止方法は樹脂封止が主流である。樹脂封止には、一般的にエポキシ樹脂組成物が他の熱硬化性樹脂に比べて成形性、寸法安定性、接着性、電気特性、機械特性に優れているため、広く用いられてきた。
【0003】
しかし、半導体装置の樹脂封止には、半導体装置封止後のエポキシ樹脂組成物が吸湿し、部品電極の腐食や、半田リフロー時の樹脂と半導体部材間での剥離、樹脂部分でのクラックの原因にもなるという問題がある。さらに、近年、環境問題の観点から鉛フリー半田の使用が要求されているが、鉛フリー半田は従来の鉛入り半田に比べ融点が30℃以上高く、そのため半田リフロー温度の上昇(260〜280℃)が必要となり、半田リフロー時の樹脂と半導体部材間での剥離、樹脂部分でのクラックが発生しやすい状況となっている。
【0004】
このような問題の解決策として、エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の配合量を多くし、低吸湿化をはかることが提案されている。しかし、無機充填材の配合量を多くすると、エポキシ樹脂組成物全体での流動性が低下し、エポキシ樹脂組成物が成形機金型内を流動する途中において反応が進行してしまい、パッケージの未充填部分の形成や、ボイド、金線流れ等の成形不良が発生するばかりでなく、樹脂と半導体部材間での密着性の低下が起こり、鉛フリー半田に対応したリフロー条件での耐半田リフロー性の低下という問題を生じていた。このため、エポキシ樹脂組成物中の無機質充填材の配合量を多くした場合であっても、良流動性を確保し、パッケージの成形不良を防ぎ、密着性が高く、耐半田リフロー性に優れる方法が必要とされていた。また、組成物の硬化性に優れることが、成形時間の短縮や、成形終了後、金型からパッケージを取り出す際のゲート部の樹脂残り等による金型クリーニング作業の点から、生産性向上に結びつくため、必要とされていた。さらに、エポキシ樹脂組成物の常温での保存安定性を良好にすることが、冷凍・冷蔵保存に関するコスト削減や、作業性の問題から必要とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、半導体部材に対して密着性が高く、さらに保存安定性が良好で、成形時の硬化性、充填性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、および該封止用組成物で封止してなる半導体装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するため、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は主として次のような構成を有する。すなわち、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、式(I)で示される3価のフェノール化合物(D)を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)が2官能のエポキシ樹脂を含有し、該硬化剤(B)が、テルペンとフェノールの縮合化合物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂およびビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、無機充填材(C)の比表面積が2.5〜5.0m2/gであって、該3価のフェノール化合物(D)の含有量が全樹脂組成物中に対して0.01〜0.5重量%であって、該無機充填材(C)の含有量が全樹脂組成物中に対して90〜95重量%であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0008】
本発明におけるエポキシ樹脂(A)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般である。例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラエチルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラブチルビフェニルなどのビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、1,5−ジ(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、1,6−ジ(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン型エポキシ樹脂、3−t−ブチル−2,4´−ジヒドロキシ−3´,5´,6−トリメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、3−t−ブチル−4,4´−ジヒドロキシ−3´,5,5´−トリメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−t−ブチル−6,6´−ジメチルスチルベンのジグリシジルエーテルなどのスチルベン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、1,4−ビス(3−メチル−4ヒドロキシクミル)ベンゼンのジグリシジルエーテル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルのジグリシジルエーテル2,2−ジメチル−5,5´−ジ−tert−ブチル−4,4´−ジヒドロキシジフェニルスフィドなどのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、鎖状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂およびハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上併用してもかまわない。なかでも、2官能のエポキシ樹脂を配合することが好ましい。
【0009】
本発明において、エポキシ樹脂(A)の配合量としては、エポキシ樹脂組成物全体に対して通常2〜25重量%、特に2〜10重量%が好ましい。
【0010】
本発明において硬化剤(B)は、エポキシ樹脂と反応する化合物であれば任意であるが、硬化物とした場合に吸水率が低い化合物としてフェノール性水酸基を有する硬化剤(b)が好ましく用いられる。フェノール性水酸基を有する硬化剤(b)の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2−トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、テルペンとフェノールの縮合化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても、2種類以上併用して用いてもかまわない。
【0011】
本発明において、硬化剤(B)の配合量はエポキシ樹脂組成物全体に対して通常2〜22重量%であり、好ましくは2〜10重量%である。さらに、硬化剤(B)には、テルペンとフェノールの縮合化合物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂およびビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが、流動性ばかりでなく、密着性、耐半田リフロー性が優れる点から好ましく、さらに硬化剤(B)の全体量のうち50重量%以上含有することがより好ましい。
【0012】
さらには、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配合比は、機械的性質および耐湿信頼性の点から(A)に対する(B)の化学当量比が0.5〜2、特に0.7〜1.5の範囲にあることが好ましい。
【0013】
本発明において、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の硬化反応を促進するために硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としてはエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との反応を促進するものであれば公知のものを任意に使用できる。硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどのイミダゾール類およびそれらの塩、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルアミンなどの3級アミン化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4,4,0)デセン−5などのアミジン化合物およびそれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−アルキルフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィンなどリン化合物およびそれらの塩などが用いられる。これらの硬化促進剤は2種以上を併用しても良く、さらには予め使用する硬化剤(B)またはエポキシ樹脂(A)と溶融混合させた後添加しても良い。
【0014】
本発明における無機充填材(C)としては、非晶性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、窒化珪素、酸化マグネシウムアルミニウム、ジルコニア、ジルコン、クレー、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、アスベスト、ガラス繊維などが挙げられる。形状も球状、破砕状、繊維状など任意のものが使用でき、なかでも球状を配合することが好ましい。
【0015】
無機充填材(C)の配合量としては、通常、樹脂組成物中70重量%以上であり、低吸湿性、成形性の点から、80〜95重量%が特に好ましい。さらに、流動性、成形時のバリの低減、取り扱い易さに優れる点から、平均粒径が5〜30μm、比表面積が2.5〜5.0m2/gであることが好ましい。
【0016】
本発明においては、式(I)で示される3価のフェノール化合物(D)を含有する。
【化2】
(上記式(I)において、6つのRのうち3つは水酸基である。残りの4つは水素原子残りの3つは水素原子である。)
【0017】
本発明における式(I)で示される3価のフェノール化合物(D)の具体例としては、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、3,4,5−トリヒドロキシベンゾイックアシッド、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらを単独で用いても、2種類以上併用しても、2価のフェノール化合物と併用してもかまわない。また、あらかじめ、硬化剤、エポキシ樹脂等の樹脂中に溶融混合させて用いてもかまわない。
【0018】
3価のフェノール化合物(D)の添加量としては、樹脂組成物中0.01〜0.50重量%であり、好ましくは0.03〜0.20重量%である
このように、3価のフェノール化合物(D)を少量、添加剤として用いることで、特に無機充填材(C)の配合量を樹脂組成物中75〜95重量%とした場合に、成形時の充填性が良く、硬化性が良く、半導体部材に対して密着性が高く、鉛フリー半田を用いた耐半田リフロー性も良好で、保存安定性に優れ、さらに、ハロゲン系難燃剤を含まずに難燃化が可能な環境対応型の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。3価のフェノール化合物(D)の添加量が0.01〜0.50重量%の範囲から外れると、上記効果を十分得ることができない。
【0019】
特に、3価のフェノール化合物(D)として、3つの水酸基のうち、2つ以上がそれぞれ隣接する位置にある3価のフェノール化合物を用いることが、上記効果が十分得られることから好ましい。
【0020】
本発明において、エポキシ樹脂組成物にシランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合しておくことが得られる半導体装置の信頼性の点で好ましい。カップリング剤はそのまま配合しても、あらかじめ無機充填材(C)に表面処理しておいても同様の効果が期待できる。
【0021】
カップリング剤としては、好ましくは有機基および加水分解性基が珪素原子に直接結合したシランカップリング剤が使用され、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが好ましく用いられる。
【0022】
また、カップリング剤の添加量は通常、エポキシ樹脂組成物全体に対し、0.1〜2重量%である。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、長鎖脂肪酸の金属塩、長鎖脂肪酸のエステル、パラフィンワックス、シリコーン化合物などの離型剤を2種類以上併用してもかまわない。
【0024】
本発明の組成物では、必須成分ではないがブロム化合物を配合できる。ブロム化合物は、通常半導体封止用エポキシ樹脂組成物に難燃剤として添加されるものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。
【0025】
ブロム化合物の好ましい具体例としては、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂、ブロム化ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド樹脂、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルなどが挙げられ、なかでも、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂が、成形性の点から好ましい。
【0026】
本発明の組成物では、必須成分ではないがアンチモン化合物を配合することもできる。これは通常半導体封止用エポキシ樹脂組成物に難燃助剤として添加されるもので、特に限定されず、公知のものが使用できる。アンチモン化合物の好ましい具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンが挙げられる。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、カーボンブラック、酸化鉄などの着色剤、ハイドロタルサイト類、ビスマス系などのイオン捕捉剤、シリコーンゴム、オレフィン系共重合体、変性ニトリルゴム、変性ポリブタジエンゴム、などのエラストマー、ポリエチレンなどの低応力化剤、シリコーンオイルなどの耐湿性改良剤、および有機過酸化物などの架橋剤を任意に添加することができる。
【0028】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、例えば溶融混練による方法が用いられ、通常は60〜140℃で、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用いた公知の混練方法により製造できる。この樹脂組成物は通常、粉末、タブレットまたは液状の状態から、成形によって半導体封止に供される。半導体素子を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が一般的であるがインジェクション成形法や圧縮成形法も可能である。成形条件としては、例えば樹脂組成物を成形温度150〜200℃、成形圧力5〜15MPa、成形時間30〜300秒で成形し、樹脂組成物の硬化物とすることによって半導体装置が製造される。また、必要に応じて上記成形物を100〜200℃で2〜15時間、追加加熱処理も行われる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、ここに掲げる実施例によって限定されるものではない。
【0030】
[実施例3〜8、17〜27、比較例1〜15、参考例10]表1に示す成分を、表2〜4に示す組成比(重量比)でミキサーにより予備混合した後、バレル温度90℃の二軸押出機を用いて5分間溶融混練後、冷却・粉砕し、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0031】
作製した合計31種類の組成物について、208pinLQFP(外形:28×28×1.4mm、フレーム材料:銅)用金型(ポット径φ18mm)、176pinLQFP(外形:23×23×1.4mm、フレーム材料:銅)用金型(ポット径φ16mm)をそれぞれ用いて、低圧トランスファー成形機で、金型温度175℃、成形時間1分の条件でパッケージを成形した。保存安定性および成形時の充填性の評価として208pinLQFPのパッケージ充填性を、硬化性の評価としてゲート部の樹脂残りを、密着性の評価として176pinLQFPの半田耐熱性(剥離率、外部クラック)を評価し、表2〜4に示す結果を得た。評価方法の詳細を以下に記す。
【0032】
<パッケージ充填性(成型性)の評価>
組成物について、低圧トランスファー成形を用いて208pinLQFPのパッケージを10個成形後、粘度上昇によるチップ変位や流動性の不足等で未充填が発生した不良パッケージを除く、良好に得られたパッケージ数を求めた。
【0033】
<パッケージ充填性(保存安定性)の評価>
組成物を20℃、50%RHの条件で72時間保存し、低圧トランスファー成形を用いて208pinLQFPのパッケージを10個成形後、粘度上昇によるチップ変位や流動性の不足等で未充填が発生した不良パッケージを除く、良好に得られたパッケージ数を求めた。
【0034】
<連続成形性の評価>
組成物について、低圧トランスファー成形を用いて金型温度175℃、成形時間40秒の条件で、208pinLQFPのパッケージを100ショット連続成形し、連続成形中、良好にパッケージが得られた組成物を○、パッケージ表面汚れや、ゲート部への樹脂残りによる次ショット時の未充填を発生した組成物を×とした。
【0035】
<半田耐熱性の評価>
成形により得られた176pinLQFPのパッケージ8個を175℃で4時間硬化させ、85℃、60%RH、168時間の条件で加湿処理後、IRリフロー炉を用いて260℃で10秒間加熱処理した。その後のパッケージを、超音波探傷機を使用してダイパッド裏面を観察し、ダイパッド裏面の全面積に対し剥離が生じている面積から剥離率(%)を求めた。また、目視によりパッケージ外観を観察し、外部クラックの発生しなかった組成物は○、外部クラックの発生した組成物は×とした。
【0036】
【表1】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
表2〜4の実施例に示すように、3価のフェノール化合物の添加量が0.01〜0.50重量%の範囲である半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、従来より高い温度での半田耐熱性の評価において剥離率が小さく、外部クラックの発生もなく、パッケージ充填性の評価において成形性、保存安定性が良く、連続成形性も良好である。すなわち、密着性、成形時の硬化性、充填性、保存安定性に優れることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、特に鉛フリー半田に対応したリフロー条件でも半導体部材に対して密着性が高く、さらに、保存安定性が良好で、成形時の硬化性、充填性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、および該封止用組成物で封止してなる半導体装置を得ることができる。
Claims (5)
- エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、式(I)で示される3価のフェノール化合物(D)を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)が2官能のエポキシ樹脂を含有し、該硬化剤(B)が、テルペンとフェノールの縮合化合物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂およびビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、無機充填材(C)の比表面積が2.5〜5.0m2/gであって、該3価のフェノール化合物(D)の含有量が全樹脂組成物中に対して0.01〜0.5重量%であって、該無機充填材(C)の含有量が全樹脂組成物中に対して90〜95重量%であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 式(I)で示される3価のフェノール化合物(D)の3つの水酸基のうち2つ以上が、それぞれ隣接する位置にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 鉛フリー半田対応半導体装置用であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止されてなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止されてなることを特徴とする鉛フリー半田対応半導体装置。
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