JP4654336B2 - 熱伝導性感圧接着剤組成物並びに熱伝導性シート状成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1.熱伝導性感圧接着剤組成物
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物を有する熱伝導性シート状成形体の実施形態例を図1に示す。図1の電子部品100は、プラズマディスプレイパネル(以後、「PDP」と記述する。)である。PDPは、前面ガラス11と、絶縁体層12と、保護膜13と、背面ガラス14とを有し、前面ガラス11と背面ガラス14とは例えば0.1mm程度の隙間を隔てて重ね合わされているほか、この隙間は、隔壁15によって仕切られている。隔壁15によって仕切られたそれぞれの空間(以後、「セル18、18、18、…」と記載する。)には、ネオン、キセノン等の希ガスが充填されており、電極20、20、20、…相互間に電圧を加えることにより、放電が起こる。当該放電により発生した紫外線は、セル18、18、18、…内部の蛍光体19へと照射され、発光が行われる。一方で、当該放電等に起因して発生する熱は、PDPの性能低下等の原因となり得るため、放熱体17へと効率良く移動させる必要があり、本発明の熱伝導性シート状成形体に代表される放熱シート16は、かかる熱を移動させる役割を担っている。そのため、本発明の熱伝導性シート状成形体には、高い熱伝導性が要求されるとともに、背面ガラス14等に貼り付けた際に気泡等の混入により当該シート状成形体の熱伝導性が低下することを防止するため、シート平滑性に優れることが要求されている。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステルというときは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
本発明において使用する、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の単位(a1)80〜99.9質量%、有機酸基を有する単量体単位(a2)0.1〜20質量%、有機酸基以外の官能基を含有する単量体単位(a3)0〜10質量%及びこれらと共重合可能な単量体由来の単量体単位(a4)0〜10質量%を含有してなる共重合体(A1)100質量部の存在下で、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)40〜100質量%、有機酸基を有する単量体(a6m)60〜0質量%及びこれらと共重合可能な単量体(a7m)0〜20質量%からなる単量体混合物(A2m)5〜70質量部を重合して得られるものが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)には、特に限定はないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸プロピル(同−37℃)、アクリル酸ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(同−22℃)、アクリル酸ペンチル(同−60℃)、アクリル酸ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸オクチル(同−65℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(同−50℃)、アクリル酸2−メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3−メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3−メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸2−エトキシメチル(同−50℃)、メタクリル酸オクチル(同−25℃)、メタクリル酸デシル(同−49℃)を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A1)中、80〜99.9質量%、好ましくは85〜99.5質量%となるような量で重合に使用される。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が、上記範囲下限未満では、これから得られる熱伝導性感圧接着剤組成物の室温付近での感圧接着性が低下する。
さらに、スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のα,β−不飽和スルホン酸及びこれらの塩を挙げることができる。
これらの有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。これらは、工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く生産性の点でも好ましい。
また、これらの有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A1)中、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%となるような量で重合に使用される。20質量%を超えて単量体(a2m)を使用すると、重合時の増粘が著しく固化してポリマーの取り扱いが困難になる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、上述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、共重合体中に導入するのが簡便であるが、共重合体生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基等を挙げることができる。
また、水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等を挙げることができる。
さらに、アミノ基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレン、ピリジン等を挙げることができる。
またさらに、アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体等を挙げることができる。
さらにまた、エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
ここで、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A1)中に含有される場合には、共重合体(A1)の10質量%以下となるような量で重合に使用される。10質量%を超えて単量体(a3m)を使用すると、重合時の増粘が著しく、固化してポリマーの取り扱いが困難になる。
単量体(a4m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体(a4m)から導かれる単量体単位(a4)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A1)中に含有される場合には、共重合体(A1)の10質量%以下となる量、好ましくは、5質量%以下となる量で重合に使用される。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体等を挙げることができる。
イタコン酸メチル、マレイン酸ブチル、フマル酸プロピル等のα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル等を挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等を挙げることができる。
共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができる。
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等を挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニル等を挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等を挙げることができる。
共重合体(A1)は、−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)及び必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって得ることができる。
重合の方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等のいずれであってもよく、これ以外の方法でもよい。好ましくは、溶液重合であり、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチル等のカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒を用いた溶液重合が好ましい。
重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;等を挙げることができる。
また、これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
重合開始剤(d1)の使用量は、特に限定されないが、通常、共重合体(A1)100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲である。
なお、これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件等々)に、特に制限はない。
共重合体(A1)の存在下で重合されるべき単量体混合物(A2m)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)40〜100質量%、有機酸基を有する単量体(a6m)60〜0質量%及びこれらと共重合可能な単量体(a7m)0〜20質量%からなる単量体混合物(A2m)が好ましい。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、上述のようにして得られた共重合体(A1)100質量部の存在下で、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)40〜100質量%、有機酸基を有する単量体(a6m)60〜0質量%及びこれらと共重合可能な単量体(a7m)0〜20質量%からなる単量体混合物(A2m)5〜70質量部を重合して得ることが好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体混合物(A2m)における、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、40〜100質量%、好ましくは60〜95質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率が、上記範囲より少ないときは、共重合体(A)を用いて得られる熱伝導性感圧接着剤組成物の感圧接着性や柔軟性が不十分となる。
ここで、有機酸基を有する単量体(a6m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、単量体混合物(A2m)における、有機酸基を有する単量体(a6m)の比率は、0〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。
有機酸基を有する単量体(a6m)の比率が、上記範囲より多いときは、共重合体(A)を用いて得られる熱伝導性感圧接着剤組成物の硬度が上昇し、特に高温(100℃)での感圧接着性が低下する。
また、単量体(a7m)として、2以上の重合性不飽和結合を有する、多官能性単量体を併用することもできる。多官能性単量体を共重合させることにより、共重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、感圧接着剤としての凝集力を高めることができる。
多官能性単量体としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジン等の置換トリアジン;4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトン;等を用いることができる。
本発明において、共重合体(A1)の存在下で単量体混合物(A2m)を重合するための重合開始の方法としては、熱重合開始剤(D1)を用いることが必須である。熱重合開始剤に代えて光重合開始剤を使用すると、得られる熱伝導性感圧接着剤組成物から形成されるシートの接着力が劣る。
熱重合開始剤(D1)としては、共重合体(A1)の合成に使用する重合開始剤(d1)の例として挙げた熱重合開始剤と同種のものを挙げることができるが、1分間半減期温度が100℃以上、160℃以下のものが好ましい。
熱重合開始剤(D1)の使用量は、特に限定されないが、通常、単量体混合物(A2m)100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲である。
なお、単量体混合物(A2m)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。重合転化率が低すぎると、得られる熱伝導性シートに単量体臭が残るので好ましくない。
電子部品等に使用される、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物を有する熱伝導性シート状成形体は、シート平滑性の高いシートを得ることが容易になる、長期使用時に顔料及び充填剤の沈降や分離を防止することが容易になる、等の理由により、低せん断速度域の降伏値が高いことが必要である。かかる降伏値を高くするために、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物には、いわゆる「ゲル化剤」を添加する。
本発明にかかる熱伝導性感圧接着剤組成物においては、熱伝導性シート状成形体のシート平滑性と成型加工性とをともに向上させる目的から、ゲル化剤として特定の性状を有するシリカを使用する。
本発明において使用するシリカ(B)は、一次粒子の平均粒子径が5〜20nmであることを必須とする。一次粒子の平均粒子径が5nm未満となると、熱伝導性感圧接着剤組成物の取扱い性が低下するため適当でなく、また、一次粒子の平均粒子径が20nmを超えると、二次凝集体が生成しやすくなり、好ましくない。
ここで、シリカ(B)における一次粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡により観察した一次平均粒子径の測定結果と、レーザー光線を光源とする光散乱法の測定結果とから作成した粒度分布曲線を用いて求めた。
また、本発明において使用するシリカ(B)は、透過率法による疎水率が50%以下であることを必須とする。シリカ(B)の前記疎水率が50%を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物の加熱流動が起こり、適当でない。
また、シート平滑性の観点から、本発明において使用するシリカ(B)は、透過率法による疎水率が30%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、透過率法による疎水率が10%以下である。
ここで、「透過率法による疎水率」は、以下の方法により測定する。
200mlの分液ロートにシリカ1gを採り、その後、分液ロートに純水100mlを加える。次に、分液ロートをターブラミキサーにセットし、90rpmで10分間分散する。さらに、分液ロートを10分間静置した後、分液ロートの下層20〜30mlをロートから抜き取る。下層から抜き取った分液10mlを石英セルに分取し、純水をブランクとして分光光度計にかける。そして、分光光度計により、波長500nmの透過率を測定し、この透過率を疎水率とする。
さらに、本発明において使用するシリカ(B)は、上記共重合体(A1)と上記単量体混合物(A2m)との合計100質量部に対して、0.1〜5質量部を使用する。好ましくは、0.5〜2質量部である。シリカ(B)の使用量が、上記共重合体(A1)と上記単量体混合物(A2m)との合計100質量部に対して0.1質量部未満の場合には、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物の粘度が低くなり、本発明の熱伝導性シート状成形体におけるシート平滑性が低下するため、好ましくない。これに対し、シリカ(B)の使用量が、上記共重合体(A1)と上記単量体混合物(A2m)との合計100質量部に対して5質量部を超える場合には、本発明にかかる熱伝導性感圧接着剤組成物の粘度が高く、当該組成物の製造工程における取扱いが困難となるため、好ましくない。
ここで、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物において、パラレルプレート型の粘弾性レオメータ(Rheometric Scientific社製)を用いて測定される、60℃における粘度の範囲は、好ましくは、100〜600(Pa・s)であり、より好ましくは、200〜400(Pa・s)である。
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物において、熱伝導性無機化合物(C)は、必須の成分である。
熱伝導性無機化合物(C)としては、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;炭化ケイ素等の金属炭化物;銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル等の金属;ダイヤモンド、カーボン等の炭素化合物;石英、石英ガラス等のシリカ粉末等が挙げられるが、好ましくは、周期律表第2族又は第13族の金属の水酸化物、酸化物又は窒化物である。
第2族の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等を、第13族の金属としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム等を挙げることができる。
これらの熱伝導性無機化合物(C)は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
また、熱伝導性無機化合物(C)の形状も特に限定されず、球状、針状、繊維状、鱗片状、樹枝状、平板状及び不定形状のいずれでもよい。
上記熱伝導性無機化合物(C)の中でも、アルミニウム化合物が好ましく、特に水酸化アルミニウムが好ましい。水酸化アルミニウムを用いることにより、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物に高い熱伝導性を与えるとともに、優れた難燃性を付与することができる。
使用量が50質量部未満では、熱伝導率低下等の問題が有り、逆に300質量部を超えると、硬度が増大し、密着性低下の問題が生じるため、適当でない。
顔料としては、カーボンブラックや二酸化チタン等、有機系、無機系を問わず使用できる。
また、その他の充填材としては、無機化合物や有機化合物微粒子が挙げられる。フラーレンやカーボンナノチューブ等のナノ粒子を添加しても良い。
さらに、難燃剤としては、ポリ燐酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫化合物、有機リン系化合物、赤リン系化合物、シリコーン系難燃材を挙げることができる。
さらにまた、酸化防止剤としては、ラジカル重合を阻害する可能性が高いため通常は使用しないが、必要に応じてポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤を使用することができる。
またさらに、増粘剤としては、アクリル系ポリマー粒子等のような無機化合物微粒子、酸化マグネシウム等のような反応性無機化合物を使用することができる。
このほか、粘着性付与剤としては、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール系樹脂、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、キシレン樹脂等を挙げることができる。
外部架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等の多官能性イソシアネート系架橋剤;ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;メラミン樹脂系架橋剤;アミノ樹脂系架橋剤;金属塩系架橋剤;金属キレート系架橋剤;過酸化物系架橋剤;等が挙げられる。
外部架橋剤は、共重合体を得た後、これに添加して、加熱処理や放射線照射処理を行うことにより、共重合体の分子内及び/又は分子間に架橋を形成させるものである。
かかる外部架橋剤の添加量は、好ましくは、共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部であり、より好ましくは、共重合体(A)100質量部に対して0.5〜3質量部である。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)とを有する本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物を製造する方法は、特に限定されず、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)と、別途合成した(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)とを混合する方法でもよいが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)とを均一に混合できる観点から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の合成と、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)との混合を同時に行う方法が好ましい。
シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)と、別途合成した(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)とを混合する方法を採用する場合、混合の方法は、特に限定されず、例えば、乾燥した(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)とをロール、ヘンシェルミキサー、ニーダー等を用いて混合する乾式混合法でもよく、また、攪拌機を備えた容器中で有機溶媒の存在下に混合する湿式混合法でもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の合成と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、シリカ(B)と、熱伝導性無機化合物(C)との混合とを、同時に行う方法を採用する場合は、共重合体(A1)と、単量体混合物(A2m)と、熱重合開始剤(D1)と、シリカ(B)及び熱伝導性無機化合物(C)との混合物を得た後に重合条件下に加熱するのが好ましい。このとき、各成分の混合順序は特に限定されない。また、単量体混合物(A2m)の重合が進行しないような温度で、混合を実施するのが好ましい。
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物は、シート状成形体とすることができる。シート状成形体は、図2(a)に示すように、上記組成物のみからなる層80であってもよいほか、図2(b)に示すように、基材90とその片面に形成された上記組成物からなる層80とからなる複合体でもよく、また、図2(c)に示すように、基材90とその両面に形成された上記組成物からなる層80、80とからなる複合体であってもよい。
本発明のシート状成形体における熱伝導性感圧接着剤組成物層の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜3mmである。50μmより薄いと、発熱体と放熱体に貼付する際に空気を巻き込み易く、結果として充分な熱伝導性を得られないおそれがある一方で、3mmより厚いと、シートの熱抵抗が大きくなり、放熱性が損なわれるおそれがあるためである。
基材の具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ベリリウム銅等の熱伝導性に優れる金属及び合金の箔状物;熱伝導性シリコーン等のそれ自体熱伝導性に優れるポリマーからなるシート状物;熱伝導性フィラーを含有させた熱伝導性プラスチックフィルム;等を用いることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、芳香族ポリアミド等の耐熱性ポリマーからなるフィルムを使用することができる。
また、例えば、熱伝導性感圧接着剤組成物又はその溶液を基材の片面又は両面に塗布し、必要ならば溶剤を除去した後、熱風、電気ヒーター、赤外線等により加熱することによって、基材とその片面又は両面に形成された熱伝導性感圧接着剤組成物層とからなる熱伝導性シート状複合成形体を得ることができる。
また、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物は、放熱体のような基材上に直接的に形成して、電子部品の一部として提供することもできる。
本発明の熱伝導性シート状成形体は、その原料となる共重合体(A1)100質量部と、単量体混合物(A2m)5〜70質量部と、単量体混合物(A2m)100質量部に対して0.1〜50質量部の熱重合開始剤(D1)と、共重合体(A1)と単量体混合物(A2m)との合計100質量部に対して、一次粒子の平均粒子径が5〜20nmであり、かつ、透過率法による疎水率が50%以下であるシリカ(B)0.1〜5質量部と、シリカ(B)以外の熱伝導性無機化合物(C)50〜300質量部とを、原料供給容器へ投入することにより、上記熱伝導シート状成形体の製造が開始される。原料供給容器へと投入された各種原料は、モーターにより駆動される二軸のスクリューを有する押出機の内部において、分散・混合される。押出機により分散・混合された混合物は、混合物内の余分な気泡が取り除かれた後、シロップコンパウンドの形態でシート状に成形され、引き続き、加熱工程へと移行する。その後、熟成炉を通過する過程において、原料が重合することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物からなる熱伝導性シート状成形体が形成される。
混合物調製のための混合機としては、次に述べるものが挙げられる。
バッチ式混合機としては、擂潰機、ニーダー、インターナルミキサー、プラネタリーミキサー等の高粘度原料用混練機や攪拌機が挙げられる。連続式混合機としては、ローターとスクリューを組み合わせたファレル型連続混練機等やスクリュー式の特殊な構造の混練機が挙げられる。また、押出し加工に使用されている単軸押出機や二軸押出機が挙げられる。これらの押出機や混練機は、二種類以上組み合わせてもよいし、同型の機械を複数連結して使用してもよい。なかでも、連続性及び剪断速度の観点から二軸押出機が好ましい。
また、各成分の混合の順序は、特に限定されない。
各成分を混合する際の温度は、60℃以下とする。60℃より高い温度で混合を行うと、混合中に単量体混合物(A2m)が重合を開始して粘度が上昇してしまい、その後の操作が困難となる。
次に、各成分の混合物を加熱下にシート化する。加熱により、共重合体(A1)と単量体混合物(A2m)との重合が進行し、同時にシート化を行うことにより、熱伝導性シート状成形体が形成される。
加熱温度は、120℃から160℃、好ましくは140℃から150℃の範囲である。120℃未満では単量体混合物(A2m)の重合反応が十分進行せず、得られるシート状成形体の高温保持力が低下し、未反応単量体による臭気が発生する等の問題が生じるおそれがある。160℃を超えると得られる熱伝導性シート状成形体に発泡等の外観不良等が生じるおそれがある。
本発明の実施例及び比較例において使用した各熱伝導性シート状成形体における配合物を、それぞれ表1に示す。
ここで、表2における「シート平滑性」と「製品幅」とは、それぞれ以下の方法により特定した。
(1)シート平滑性(μm)
ダイヤルゲージを用いて、各実施例及び各比較例において使用した熱伝導性シート状成形体におけるシートの厚さを、シート1枚につき10箇所測定し、測定結果の最大値と最小値との差を算出することにより、シート平滑性の値を特定した。表2におけるシート平滑性の値が小さいほど、シート平滑性は高いといえる。
(2)製品幅(mm)
鋼尺(メジャー)を用いて、各実施例及び各比較例において使用した熱伝導性シート状成形体の幅を、シート1枚につき2箇所測定し、測定結果の平均値を各シートの幅とした。各実施例及び各比較例において使用した熱伝導性シート状成形体における幅の規定値は、250mmとし、表2には、当該規定値との差を記載した。したがって、表2における製品幅の値が小さいほど、シートの成形性が高いといえる。
本発明の実施例及び比較例において原料として使用したシリカの特性を、表3に示す。
内部の温度を50℃に制御したL/D=48(同方向)の二軸押出機に、ポリマーと、モノマーと、水酸化アルミニウムと、シリカと、重合開始剤と、外部架橋剤とを順次投入し、スクリュー回転数を200回転/分の条件に設定して、二軸押出機を運転した。二軸押出機の運転に際しては、二軸押出機のベント孔の圧力が1013hPaとなるように二軸押出機内を真空状態にして原料の分散・混合を行うことにより、熱伝導性感圧接着剤組成物を得た。得られた熱伝導性感圧接着剤組成物は、次に、片面シリコーン離型延伸ポリエステルフィルム上に流し込み、片面シリコーン離型延伸ポリエステルフィルムで熱伝導性感圧接着剤組成物を覆った後、当該熱伝導性感圧接着剤組成物の厚みと幅をそれぞれ1.0mmと250mmに調整した。その後、厚みと幅を調整された熱伝導性感圧接着剤組成物を、内部温度が150℃に制御されたマチスオーブン(Mathis LABCOATER Type LET−S:(Werner Mathis AG社製))内に30分間保持することにより、本発明の実施例及び比較例において使用する熱伝導性シート状成形体を得た。
ここで、共重合体(A1)は、アクリル酸2−エチルヘキシル94質量%とアクリル酸6質量%との共重合体からなり、
単量体混合物(A2m)は、アクリル酸n−ブチル単量体(a5m)22.5質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル単量体(a6m)15.0質量部と、メタクリル酸(a7m)5.0質量部からなり、
熱重合開始剤(D1)は、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンであり、
シリカ1(B)は、表3に示すAEROSIL200(AEROSILは、デグサ社の登録商標。以下同様。)であり、
外部架橋剤は、ペンタエリスリトールトリアクリレートである。
以上の原料を用いて製造した本実施例における熱伝導性シート状成形体のシート特性は、表2に示すように、シート平滑性の値が13μm、製品幅の値が+4mmであった。したがって、本実施例において使用した熱伝導性シート状成形体は、シート平滑性の値が20μm未満であり、かつ、製品幅の値が+10mm未満であったため、高いシート平滑性と高い成形性とを有していた。
また、表3に示すように、本実施例において使用したシリカ1(B)の透過率法による疎水率は、8%であり、一次平均粒子径も12nmであるため、実施例中最高のシート平滑性を有した。したがって、高いシート平滑性を得るためには、透過率法による疎水率が10%以下のシリカ(B)を用いることが有効であることが分かった。
本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、シリカ1(B)を用いなかったほかは、実施例1と同種類かつ同量の原料を用いて製造した。
本比較例においてはシリカ1(B)に限らず、シリカ自体を用いなかったため、表2に示すように、熱伝導性シート状成形体のシート特性は、シート平滑性の値が95μm、製品幅の値が+20mmであった。すなわち、シート平滑性の値と製品幅の値とが共に実施例1の値よりも大きくなり、シート平滑性の値は20μmを超えるとともに、製品幅の値は+10mmを超え、シート平滑性と成形性とが共に低下した。したがって、高いシート平滑性と、高い成形性とを得るためには、シリカ(B)の使用が有効である。
本実施例においては、0.5質量部のシリカ1(B)を使用し、実施例1におけるシリカ(B)の使用量の半分であったため、シート平滑性の値が15μm、製品幅の値が+6mmとなり、シート平滑性及び製品幅の値が、共に、実施例1の値よりも大きくなった。しかし、本実施例におけるシート平滑性の値は20μm未満であり、かつ、製品幅の値は+10mm未満であるため、シリカ1(B)の使用量が0.5質量部であっても、シート平滑性と成形性との双方において適度な品質を有することが可能であった。
本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、実施例1において使用したシリカ1(B)1.0質量部に代えて、1.0質量部のシリカ3(B)を使用したほかは、実施例1と同種類かつ同量の原料を用いて製造した。
表3に示すように、本比較例において使用したシリカ3(B)は、AEROSILR972であり、当該シリカ3(B)の透過率法による疎水率は、50%を超える55%であった。本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、透過率法による疎水率が50%を超えるシリカ3(B)を使用したため、そのシート特性は、シート平滑性の値が98μm、製品幅の値が+20mmとなった。すなわち、シート平滑性の値と製品幅の値とが共に実施例1の値よりも大きくなり、シート平滑性の値は20μmを超えるとともに、製品幅の値は+10mmを超え、シート平滑性と成形性とが共に低下した。したがって、高いシート平滑性と、高い成形性とを得るためには、透過率法による疎水率が50%以下であるシリカ(B)の使用が有効である。
表3に示すように、本実施例において使用したシリカ2(B)は、AEROSIL200Vであり、当該シリカ2(B)の透過率法による疎水率は、10%以下の8%であった。本実施例において使用した熱伝導性シート状成形体は、透過率法による疎水率が50%以下のシリカ2(B)を使用したため、そのシート特性は、表2に示すように、シート平滑性が13μm、製品幅が+3mmとなった。すなわち、シート平滑性の値が20μm未満であるとともに、製品幅の値が+10mm未満となったため、本実施例において使用した熱伝導性シート状成形体は、高いシート平滑性と高い成形性とを有した。
本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、実施例1において使用したシリカ1(B)1.0質量部に代えて、1.0質量部のシリカ4(B)を使用したほかは、実施例1と同種類かつ同量の原料を用いて製造した。
表3に示すように、本比較例において使用したシリカ4(B)は、AEROSILR805であり、当該シリカ4(B)の透過率法による疎水率は、50%を超える60%であった。本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、透過率法による疎水率が50%を超えるシリカ4(B)を使用したため、そのシート特性は、シート平滑性が100μm、製品幅が+20mmとなり、透過率法による疎水率が50%を超えるシリカ3(B)を使用した比較例2の場合と同様に、シート平滑性の値は20μmを超えるとともに、製品幅の値は+10mmを超え、シート平滑性と成形性とが共に低下した。したがって、高いシート平滑性と、高い成形性とを得るためには、透過率法による疎水率が50%以下であるシリカ(B)の使用が有効である。
表3に示すように、本実施例においては、実施例3と同様のシリカ2(B)を使用したため、そのシート特性は、表2に示すように、シート平滑性が19μm、製品幅が+3mmとなり、製品幅の値は実施例3の値と同様であったが、シート平滑性の値は実施例3の値よりも大きくなった。しかし、本実施例におけるシート平滑性の値は20μm未満であり、かつ、製品幅の値は+10mm未満であるため、シリカ2(B)の使用量が0.5質量部であっても、シート平滑性と成形性との双方において、適度な品質を有することが可能であった。
本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、実施例1において使用したシリカ1(B)1.0質量部に代えて、0.5質量部のシリカ3(B)と0.5質量部のシリカ4(B)とを使用したほかは、実施例1と同種類かつ同量の原料を用いて製造した。
表3に示すように、本比較例において使用したシリカ3(B)とシリカ4(B)の透過率法による疎水率は、それぞれ、55%と60%であり、共に50%を超えていた。そのため、表2に示すように、本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体のシート特性は、シート平滑性が102μm、製品幅が+21mmとなり、シート平滑性の値が20μmを超えるとともに、製品幅の値が+10mmを超え、シート平滑性と成形性とが共に低下した。したがって、透過率法による疎水率が50%を超えるシリカは、たとえ、比較例2や比較例3における使用量の半分ずつを混ぜて使用したとしても、やはり、高いシート平滑性や高い成形性は得られないということが分かった。
本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、実施例1において使用したシリカ1(B)1.0質量部に代えて、1.0質量部のシリカ5(B)を使用したほかは、実施例1と同種類かつ同量の原料を用いて製造した。
表3に示すように、本比較例において使用したシリカ5(B)は、AEROSIL50であり、当該シリカ5(B)における一次粒子の平均粒子径は、約30nmであった。本比較例において使用した熱伝導性シート状成形体は、かかる平均粒子径を有するシリカ5(B)を使用したため、そのシート特性は、表2に示すように、シート平滑性の値が19μmであり、20μm未満である一方、製品幅の値が+19mmであり、+10mmを超えていた。すなわち、一次粒子の平均粒子径が20nmを超える約30nmのシリカ5(B)を使用した本比較例における熱伝導性シート状成形体は、高いシート平滑性を備える一方で、シート状成形体における流動性抑制機能が低下し、成形性が劣った。高いシート平滑性と、高い成形性との双方を同時に得るためには、一次粒子の平均粒子径が20nm以下である必要がある。したがって、かかる条件を満足させるために、本発明において使用するシリカ(B)は、一次粒子の平均粒子径が20nm以下であることが必須である。
12 絶縁体層
13 保護膜
14 背面ガラス
15 隔壁
16 放熱シート
17 放熱体
18 セル
19 蛍光体
20 電極
80 熱伝導性感圧接着剤層
90 基材
100 電子部品
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、
一次粒子の平均粒子径が5〜20nmであり、かつ、透過率法による疎水率が50% 以下であるシリカ(B)0.1〜5質量部と、
周期律表第2族又は第13族の金属の水酸化物、酸化物又は窒化物50〜300質量部と、
を含有し、
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、
共重合体(A1)100質量部の存在下で、単量体混合物(A2m)5〜70質量部を重合して得られる共重合体であり、
前記共重合体(A1)は、
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の単位(a1)80〜99.9質量%と、
有機酸基を含有する単量体単位(a2)0.1〜20質量%と、
有機酸基以外の官能基を含有する単量体単位(a3)0〜10質量%と、
前記a1〜a3と共重合可能な単量体由来の単量体単位(a4)0〜10質量%とを含有してなり、
前記単量体混合物(A2m)は、
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)40〜100質量%と、
有機酸基を有する単量体(a6m)0〜60質量%と、
前記a5mおよび前記a6mと共重合可能な単量体(a7m)0〜20質量%とからなる、
熱伝導性感圧接着剤組成物。 - 前記周期律表第2族又は第13族の金属の水酸化物、酸化物又は窒化物における金属が、アルミニウムである、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物からなる、熱伝導性シート状成形体。
- 熱伝導性シート状成形体の製造方法であって、
共重合体(A1)100質量部に対して、
単量体混合物(A2m)5〜70質量部と、
前記単量体混合物(A2m)100質量部に対して0.1〜50質量部の熱重合開始剤(D1)と、
前記共重合体(A1)と前記単量体混合物(A2m)との合計100質量部に対して、一次粒子の平均粒子径が5〜20nmであり、かつ、透過率法による疎水率が50%以下であるシリカ(B)0.1〜5質量部と、
周期律表第2族又は第13族の金属の水酸化物、酸化物又は窒化物50〜300質量部とを、
混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を加熱下にシート化する工程とを有し、
前記共重合体(A1)は、
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の単位(a1)80〜99.9質量%と、
有機酸基を有する単量体単位(a2)0.1〜20質量%と、
有機酸基以外の官能基を含有する単量体単位(a3)0〜10質量%と、
前記a1、a2及びa3と共重合可能な単量体由来の単量体単位(a4)0〜10質量% とを含有してなり、
前記単量体混合物(A2m)は、
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)40〜100質量%と、
有機酸基を有する単量体(a6m)0〜60質量%と、
前記a5m及び前記a6mと共重合可能な単量体(a7m)0〜20質量%とからなることを特徴とする、熱伝導性シート状成形体の製造方法。
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