JP4654195B2 - シリコン基板加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン基板を加工する方法に関し、特に、シリコン基板の少なくとも一主面側の一部に多孔質シリコン領域を形成する方法に関するものである。
多孔質シリコンは、ナノサイズの細孔とほぼ同サイズのシリコン細柱とが共存していて、極めて比表面積(数百m/cm)の大きな物質である。多孔質シリコンは、多孔度(単位体積中の細孔容積の割合)、細孔径、多孔度および細孔径の分布幅により特徴付けられる。
シリコン基板を加工して該シリコン基板の少なくとも一主面側の一部に多孔質シリコン領域を形成する方法は、例えば、特許文献1および非特許文献1等に記載されている。これらの文献に記載されたシリコン基板加工方法では、窒化珪素(SiNx)または炭化珪素(SiC)からなる薄膜をシリコン基板の一主面に形成し、その薄膜のうち一主面上の一部領域にある薄膜部分を除去し、弗酸を含有する電解液中で陽極酸化することにより当該薄膜除去領域を含む周囲領域に選択的に多孔質シリコン領域を形成する。その後、薄膜の残存部を除去する。また、多孔質シリコン領域に添加物を含有させたり、多孔質シリコン領域を酸化したり、或いは、多孔質シリコン領域を緻密化したりする。
多孔度や細孔径が厳密に制御されて選択的に形成された多孔質シリコンは優れた性質を有しており、その優れた性質を活用して光導波路や光集積回路デバイス等の開発が行われている。例えば、選択的に陽極酸化した多孔質シリコンを酸化・緻密化してシリカに変換すれば、このシリカを光導波路として用いることができる。この場合、緻密化されたシリカの体積は、酸化前の多孔質シリコンの体積にほぼ等しいことが望ましい。
緻密化後のシリカの密度や体積は製法により異なる。体積変動がゼロとなる多孔度は、形成されるシリカの密度によりやや変化する。特許文献1および非特許文献1には、多孔質シリコンの多孔度を55%近傍に制御することにより、緻密化後のシリカの体積を酸化前の多孔質シリコンの体積に略等しくすることができることが示されている。
また、特許文献1および非特許文献1には、陽極酸化により多孔質シリコンを作成する際のパラメータとして、電解液の弗酸濃度、多孔質シリコンとシリコンとの界面における電流密度、および、シリコン基板のドーピング特性、が挙げられることが示されている。さらに、弗酸濃度と電流密度との組合せを調整することにより、所望の多孔度および細孔径の組合せを有する多孔質シリコンを作成することができること、すなわち、多孔度が55%近傍であって細孔径が所望の任意値である多孔質シリコンを作成することができることが示されている。
上記のように、多孔度や細孔径を精密に制御した多孔質シリコンを作成し、これらの優れた特性を損なうことなく活用することにより、有用な数々の新しいデバイスが作成される。
ところで、多孔質シリコンを選択的に形成する際にマスクとして用いられる薄膜は、高濃度弗酸液への長時間(10分程度以上)の浸漬に耐えること(以下「条件1」という。)、微細なフォトパタニングが可能であること(以下「条件2」という。)、多孔質シリコン形成後に該多孔質シリコンに重大な悪影響を与えることなく残存する薄膜層の除去が可能であること(以下「条件3」という。)、の3条件を兼ね備えることが必要である。
特許文献1および非特許文献1に記載されたシリコン基板加工方法においてマスクとして使用されている窒化珪素膜(SiNx)や炭化珪素膜(SiC)等は、上記条件1,2を満足するが、条件3を満足しない。即ち、これらのマスク層を用いて多孔質シリコンを選択形成することができるものの、多孔質シリコンを選択形成した後に、作成した多孔質シリコンに重大な悪影響を与えることなく、役割を終えたマスク層を除去することができなかった。この点について以下で説明する。
図10は、従来のシリコン基板加工方法の問題点を説明するために多孔質シリコンの断面構造を示す図である。図10(a)に示されるように、多孔質シリコンは、基本的には結晶質シリコンであるナノサイズのシリコン細柱100とほぼ同サイズの細孔110とを混在して含むものである。即ち、多孔質シリコン領域中には、空である細孔110と、シリコン原子が実在するシリコン細柱100とがあり、単位体積をもつ多孔質シリコン中の細孔部110の容積率で多孔度が定義される。このような微細構造を持つ多孔質シリコン中のシリコン細柱100の全表面積を累計すると、数百m/cmに及ぶ膨大な比表面積を有することになる。
窒化珪素膜(SiNx)や炭化珪素膜(SiC)を除去するには、フッ素系のプラズマエッチング手段が用いられる。このフッ素系のエッチャントを用いると、これらの薄膜だけでなく、結晶質シリコンである細柱100もエッチングされる。すなわち、細孔110を通じてフッ素系のエッチャントが多孔質シリコン中に侵入し、シリコン細柱100表面で僅かな原子層程度でもシリコン原子をエッチングすると、図10(b)に示されるように、シリコン細柱100はその減失部130に相当するだけ細くなり、細孔径112は増大する。こうして、多孔質シリコン領域内の全表面では極めて多数のシリコン原子が失われることとなる。これは多孔質シリコンが前記したように比表面積の極めて大きな多孔性物質であり、この細孔中にエッチャントが侵入し大きな表面積から僅か数原子層のみエッチしても、多孔度や細孔径に甚大な影響を及ぼすためである。
ここで、エッチング選択比と言う概念を説明する。エッチング対象材料(SiNxやSiCの薄膜)のエッチ速度をRoとし、エッチング雰囲気中にあるがエッチせずに残したい材料(多孔質シリコン)のその雰囲気中で不可避的にエッチされる速度をRsとするとき、比(Ro/Rs)をエッチング選択比と定義する。上記の場合では、エッチング選択比(Ro/Rs)はほぼ1の程度であるが、多孔質シリコンが多孔性であるため実効的には多孔質シリコンの方が早くエッチされる。従って、多孔質シリコン作成時に前記多孔度や細孔径を精密に制御しても、マスク層除去工程でこれらが乱されてしまうという致命的な悪影響を回避できない。
一方、非特許文献2に記載されたシリコン基板加工方法では、有機物分子に「汚染」された真空中でシリコン基板の主面上の所定パターンに電子線を照射することで当該電子線照射部に炭素膜を堆積させ、この所定パターンに堆積した炭素膜をマスクとして用いて陽極酸化することにより選択的に多孔質シリコン領域を形成する。
特開平11−242125号公報 S. Nagata, et al., "Silica waveguides fabricated by oxidization of selectively anodized porous silicon", Appl. Phys. Lett., Vol.82, No.16, pp.2559-2561 (2003) T. Djenizian, et al., "Electron beam induced carbon deposition used as a negative resist for selective porous silicon formation", Surface Science, 524 (2003) pp.40-48
しかしながら、非特許文献2に記載された方法では、シリコン基板の主面上に電子線を照射することで炭素膜を堆積させることから、マスクとして必要な厚さを有する炭素膜を堆積させるには高い照射密度で電子線を照射する必要があり、シリコン基板の主面上に所定パターンのマスクを形成するのに産業として実用化できないほどの長時間を要する。また、この炭素膜は、レジストとして機能しているが、工業的に再現性・信頼性を厳しく求められる陽極酸化条件に対しては充分な耐性を確保できているとは言えない。このように、非特許文献2に記載された方法は実用性に劣る。また、非特許文献2には、多孔質シリコンを形成した後のマスク残存部の除去については何ら言及がない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、多孔質シリコン選択形成の際にマスクとして用いられる薄膜の形成および除去の各工程が実用性に優れたシリコン基板加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するには、前記条件1,2を満足し更に条件3をも満足することが必要である。すなわち、比表面積の極めて大きい多孔質シリコンの表面からシリコン原子を除去することのないエッチャントにより除去できる材料からなる薄膜を選択形成用マスクとして利用する必要がある。換言すれば、エッチング選択比(Ro/Rs)が1より非常に大きい条件を実現するマスクの形成および除去の方法を提供することが本発明の主題である。
本発明では、炭素系の材料による薄膜をマスクとして使用する。炭素系の物質は、酸化により、2酸化炭素等の高蒸気圧物質となり揮発する。炭素系物質は、活性化した酸素(紫外線照射の下の酸素、オゾン又は酸素プラズマ等)の雰囲気中では常温でも酸化される。また、炭素系物質は、高温(約500℃程度以上)の酸素雰囲気中でも酸化される。
一方、多孔質シリコンは、常温付近で活性化した酸素雰囲気に曝らされると、図11(b)に示されるように、活性化した酸素が細孔110を通じ多孔質シリコンの内部までほぼ均一に浸透し、シリコン細柱100の最表面を酸化して、薄いSiO層120を形成する。この反応は、室温近傍では、活性化した酸素の供給律速であり、シリコン細柱100の表面のシリコン原子が酸化されると、細柱内部101のシリコン原子の更なる酸化を防止する。また、この酸化層120は、緻密で安定であり、高温でも蒸気圧が低く、シリコン原子の減失を防止する。
表面酸化層120の厚さを増やすには、酸化性雰囲気中で基板温度を上昇し、活性化した酸素が酸化層120中を拡散で内部に浸透する拡散律速の反応過程に移る。こうしてシリコン細柱100表面の熱酸化層120の厚さは、通常の結晶質シリコンの熱酸化における酸化層厚と温度との関係に従う。従って、シリコン細柱100が細い場合、低温でも細柱100内部まで全酸化されるが、細柱100の径が太くなるに従って細柱100を全酸化するに要する温度は高くなる。
炭素の酸化物はCOやCO等の気体であり、シリコンの酸化物SiOは高温でも蒸気圧が極めて低く緻密で安定な固体薄膜を形成する。このことが、前記エッチング選択比を極めて大きくできる根拠である。
そこで、マスク薄膜を炭素系材料で形成し、この薄膜を酸素プラズマ等でパタニングし、多孔質シリコンを選択形成した後に、残存するマスク層をプラズマ酸化または熱酸化により除去する。こうすれば多孔質シリコン領域を形成するシリコン元素を揮発させることなく、マスク層を除去することができる。
すなわち、本発明のシリコン基板加工方法は、(1) シリコン基板の少なくとも一主面上に炭素を主成分とする薄膜を形成する薄膜形成工程と、(2) 薄膜形成工程で形成された薄膜のうち一主面上の一部領域にある薄膜部分を除去する薄膜部分除去工程と、(3) 薄膜部分除去工程を経た後のシリコン基板を、弗酸を含有する電解液中で陽極酸化することにより、一部領域を含む周囲領域に選択的に多孔質シリコン領域を形成する多孔質領域形成工程と、(4) 多孔質領域形成工程を経た後のシリコン基板の一主面上にある薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化する薄膜残存部除去工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のシリコン基板加工方法では、薄膜形成工程において、シリコン基板の少なくとも一主面上に炭素を主成分とする薄膜が形成され、続く薄膜部分除去工程において、その薄膜のうち一主面上の一部領域にある薄膜部分が除去されて、薄膜の残存部が後の多孔質領域形成工程においてマスクとして用いられる。さらに続く多孔質領域形成工程において、弗酸を含有する電解液中でシリコン基板が陽極酸化されることにより、薄膜が除去された一部領域を含む周囲領域に選択的に多孔質シリコン領域が形成される。そして、その後の薄膜残存部除去工程において、シリコン基板の一主面上にある薄膜の残存部が酸化性雰囲気で除去されると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部が酸化される。
薄膜残存部除去工程において、薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に酸化する領域は、多孔質シリコン領域の一部(シリコン細柱の最表面層)であってもよいし、多孔質シリコン領域の全てであってもよい。また、薄膜残存部除去工程において、薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の全てを酸化し更に緻密化するのも好適である。
薄膜形成工程において形成される薄膜が硬質炭素膜であるのが好適である。また、薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気は、酸素を含有する500℃以上の雰囲気、酸素を主成分とするプラズマ雰囲気、オゾン雰囲気、または、強酸化性の液体雰囲気であるのが好適である。
また、本発明に係るシリコン基板加工方法では、薄膜形成工程において、シリコン基板の少なくとも一主面の表面に水素終端化処理を施した後、炭素を主成分とする前記薄膜を形成することが好ましい。
また、多孔質形成工程によって形成された多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程を備え、薄膜残存部除去工程において、添加工程を経た後のシリコン基板の一主面上にある薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化することが好適である。
また、多孔質シリコン領域に添加物を添加する場合には、薄膜残存部除去工程を経た後のシリコン基板が有する多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程を更に備えることも好ましい。
また、本発明に係るシリコン基板加工方法では、多孔質領域形成工程を経た後のシリコン基板の前記一主面上に炭素を主成分とする第2薄膜を形成する第2薄膜形成工程と、第2薄膜のうち多孔質シリコン領域上に位置する部分の一部を除去する第2薄膜部分除去工程と、第2薄膜のうち第2薄膜部分除去工程によって除去された部分を通して多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程と、添加工程を経た後の一主面上にある第2薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化する第2薄膜残存部除去工程と、
を備えることが好ましい。
また、本発明に係るシリコン基板加工方法では、多孔質領域形成工程を経た後のシリコン基板の前記一主面上に炭素を主成分とする第2薄膜を形成する第2薄膜形成工程と、第2薄膜のうち多孔質シリコン領域上に位置する部分の一部を除去する第2薄膜部分除去工程と、第2薄膜のうち第2薄膜部分除去工程によって除去された部分を通して多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程と、を備え、薄膜残存部除去工程では、添加工程を経た後の前記一主面上にある炭素を主成分とする薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化することが好ましい。
従来、多孔質シリコンを選択的に形成する際のマスクに用いる薄膜として窒化珪素や炭化珪素等の珪素化合物が用いられてきた。これらの珪素化合物薄膜の除去にはフッ素系プラズマ等により珪素成分をフッ化物として除去していた。この従来の方法では極めて比表面積の大きな多孔質シリコンの表面からも、珪素原子をフッ化物として減失させるという極めて有害な副作用がつきまとってきた。
本発明ではマスクに用いる薄膜として炭素薄膜を用いる。炭素は酸化性雰囲気により酸化され、炭素の酸化物は常温でも気体となって消失する。一方、シリコンは酸化されると蒸気圧の極めて低い緻密で安定な酸化珪素膜を形成する。従って、先ず第1の効果として、マスク層として用いた後の炭素薄膜除去のための酸化性雰囲気暴露により、比表面積の大きな多孔質シリコンの最表面原子は酸化されても、多孔質シリコン領域から珪素原子が減失する重大な悪影響は無い。この長所により、更に以下のような効果が発生する。
第2の効果として、薄膜残存部除去工程で炭素薄膜を除去した後に、添加物の選択ドープが可能となる。第3の効果として、添加物選択ドープのために、更にマスク層としての炭素薄膜の使用が可能となる。第4の効果として、例えば、シリコン基板を酸化性高温熱処理することによって、多孔質シリコン領域の全てを酸化することにより、マスク層としての炭素薄膜も自動的に消失させることができる。このため、炭素薄膜を除去するための特別の工程が不要となる。また、このように、酸化性高温熱処理によって炭素薄膜を自動的に消失させた場合には、後述の第2比較例に示すように有害な周期的凹凸の発生がない。以上のように、本発明は産業上多大な効果を有する。
図1は本実施形態のシリコン基板加工方法を説明するフローチャートである。 図2は第1実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図3は第2実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図4は第3実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図5は第4実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図6は第5実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図7は第5実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図8は第1比較例のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図9は第2比較例のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図10は従来のシリコン基板加工方法の問題点を説明するために多孔質シリコンの断面構造を示す模式図である。 図11は本発明のシリコン基板加工方法を説明するために多孔質シリコンの断面構造を示す模式図である。 図12は本発明に係るシリコン基板加工方法の更に他の実施形態の工程を説明する断面図である。 図13は第6実施形態の本発明に係るシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図14は第6実施形態の本発明に係るシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。 図15は本発明に係るシリコン基板加工方法の更に他の実施形態の工程を説明する断面図である。
符号の説明
10…シリコン基板、11…炭素薄膜による第1マスク層、12…開口部、13…第2炭素薄膜による第2マスク層、14…第3炭素薄膜による第3マスク層、17…窒化珪素膜による第1マスク層、20〜22…多孔質シリコン領域、30〜32…添加物がドープされた多孔質シリコン領域、40〜43…シリカ領域、50〜52…シリカ領域、70〜71…周期的凹凸、80…上部クラッド。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態のシリコン基板加工方法を説明するフローチャートである。この図に示されたフローチャートは、本実施形態のシリコン基板加工方法の最も基本的なフローを示すものである。
初めに、薄膜形成工程S1において、シリコン基板の少なくとも一主面上に、炭素を主成分とする薄膜を形成する。ここで形成される薄膜は、硬質炭素膜であるのが好適であり、例えばダイアモンドライクカーボンや窒化炭素であるのが好適である。また、シリコン基板の主面上に炭素膜を形成するに際しては、例えば、ベンゼン等の炭素化合物を熱解離して炭素イオンを発生させ、その炭素イオンを電界によりシリコン基板上に堆積させることで行われる。
続く薄膜部分除去工程S2において、その薄膜のうち一主面上の一部領域にある薄膜部分を除去する。より具体的には、炭素薄膜上にレジストを塗布し、フォトマスクを用いて該レジストを露光してレジストパターンを作成し、酸素を主体としたリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)により炭素薄膜に所定パターンの開口を形成し、その後、残余のレジストを除去する。
さらに続く多孔質領域形成工程S3において、前の薄膜部分除去工程S2で一部領域の薄膜部分が除去された後の炭素薄膜の残存部がマスクとして用いられて、弗酸を含有する電解液中でシリコン基板を陽極酸化することにより、薄膜が除去された一部領域を含む周囲領域に選択的に多孔質シリコン領域を形成する。このとき、多孔度および細孔径が均一に制御された多孔質シリコンを選択的に形成するために、陽極酸化に用いる弗酸濃度および電流密度を一定に保持することが重要である。
そして、その後の薄膜残存部除去工程S4において、シリコン基板の一主面上にある薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化する。この工程において、薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に酸化する領域は、多孔質シリコン領域の一部(シリコン細柱の最表面層)であってもよいし、多孔質シリコン領域の全てであってもよい。また、この工程において、薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、多孔質シリコン領域の全てを酸化し更に緻密化するのも好適である。薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気は、酸素を含有する500℃以上の雰囲気、酸素を主成分とするプラズマ雰囲気、オゾン雰囲気、または、強酸化性の液体(例えば、硝酸、熱硫酸、過酸化水素水と硫酸との混合、等)の雰囲気であるのが好適である。
なお、本実施形態のシリコン基板加工方法は、図1に示されたフローを基本として、種々の変形が可能である。例えば、緻密化前の多孔質シリコン領域に添加物(例えば、Ge,Ti,Zr,Hf,Ta,Nb等シリカと混合してシリカの屈折率を増加する元素、あるいはPr,Nd,Er,Tm等に代表される光学的に活性な希土類元素やCr等の遷移金属元素)を含有させてもよい。また、多孔質領域形成工程S3においてシリコン基板の主面上に多孔度が互いに異なる複数層の多孔質シリコン領域を形成して、それら複数層の多孔質シリコン領域のうちの何れかの層に選択的に前記した群に属する添加物の一種あるいは複数種を含有させてもよい。また、薄膜残存部除去工程S4において薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に多孔質シリコン領域の一部(シリコン細柱の表面層)を酸化し、その後に再び薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2を経て、シリコン基板の主面上に既に形成されている複数の多孔質シリコン領域のうちの何れかの領域に選択的に添加物を含有させてもよい。
以下では、本発明のシリコン基板加工方法のより具体的な第1〜第5の実施形態について説明するとともに、実施形態と対比するために第1比較例および第2比較例についても説明する。第1比較例及び第3比較例は第1実施形態と対比されるべきものであり、第2比較例は第4実施形態と対比されるべきものである。
(第1実施形態)
次に、本発明のシリコン基板加工方法の第1実施形態を説明する。図2は、第1実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、薄膜残存部除去工程S4の酸化後のシリコン基板断面を示している。また、同図(d)は、薄膜残存部除去工程S4の緻密化後のシリコン基板断面を示している。
第1実施形態における薄膜形成工程S1では、先ず、高ドープしたp-タイプ(100)で3インチ径のシリコン基板10の表面処理を行う。更に詳しくは、前記シリコン基板10の表面に付着した有機物汚染やシリコンの酸化物を除去し、シリコン基板10の表面を水素で終端化する水素終端化処理を行う。次いで、シリコン基板10を製膜用真空装置内の基板ホルダに搭載する。真空装置内では、加熱フィラメントを持つ陰極と陽極を有するイオン源にベンゼン蒸気を流し、フィラメントでベンゼンを熱解離して一部イオン化したカーボンを発生させ、そのカーボンを陽極側に引き出し、基板を照射し、シリコン基板10の主面上に炭素薄膜11を形成する。この方法により約100nm厚の炭素薄膜層11をシリコン基板10上に形成することができる。
第1実施形態における薄膜部分除去工程S2では、上記炭素薄膜11が形成されたシリコン基板10上にレジストを約1.5μm厚に塗布し、フォトマスクによる露光により、レジストパターンを形成し、酸素を主体としたリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)により炭素薄膜11に所望の開口部12を形成し、その後にレジストを除去する。この場合、酸素プラズマによるエッチングの速度はレジストの方が炭素膜より大きいが、炭素膜とレジストの膜厚比が非常に小さいため、炭素膜を支障なくパタニングすることができる(図2(a))。
第1実施形態における多孔質領域形成工程S3では、多孔度および細孔径それぞれが均一に制御された多孔質シリコンを選択的に形成するために、陽極酸化に用いる弗酸濃度と、多孔質シリコンとシリコンとの界面の電流密度とを一定に保持する。特許文献1および非特許文献1に記載されているように、多孔質シリコン領域の成長とともに、多孔質シリコンとシリコンとの間の界面面積に比例して化成電流を増加させるパルス電流化成法を用いる。薄膜部分除去工程S2で炭素膜にパタニングが施されたシリコン基板10を陽極とし、対向する白金電極を陰極として、両極間に所定濃度の弗酸溶液を保持し、前記シリコン基板10を陽極酸化(化成)して、多孔質シリコン領域20を形成する(図2(b))。なお、化成パラメータである弗酸濃度および界面電流密度は、多孔質シリコン領域20の多孔度を約56%とすべく調整される。
第1実施形態における薄膜残存部除去工程S4では、炭素膜11と開口12とにより多孔質シリコン領域20が選択形成されたシリコン基板10を、酸素プラズマを用いた通常のRIE装置またはレジスト灰化装置内に保持する。そして、酸素プラズマにより炭素膜11を酸化除去すると同時に、多孔質シリコン領域20内のシリコン細柱100の表面を酸化する(図2(c)、図11(b))。また、酸化後に更に加熱して、多孔質シリコン領域20を緻密化してシリカ領域40とする(図2(d))。
以上に説明した第1実施形態のシリコン基板加工方法で実際にシリコン基板10に多孔質シリコン領域20を形成し、続く薄膜残存部除去工程S4の前後のシリコン基板の全質量には0.1mg単位での極く僅かな誤差範囲での質量変化しか認められなかった。これは、炭素膜11の酸化消失に伴う質量減と、図11(b)の概念図に示す多孔質シリコン領域20内のシリコン細柱100の表面酸化に伴い表面酸化層120が形成されたことによる質量増とが、ほぼ相殺したからであると考えられる。
(第2実施形態)
次に、本発明のシリコン基板加工方法の第2実施形態を説明する。図3は、第2実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、多孔質領域形成工程S3の後に多孔質シリコン領域に添加物をドープしたシリコン基板断面を示している。また、同図(d)は、薄膜残存部除去工程S4の後のシリコン基板断面を示している。
第2実施形態における薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2それぞれは、第1実施形態における各工程と同様である(図3(a))。
第2実施形態における多孔質領域形成工程S3は、第1実施形態における同工程と略同様である。ただし、第2実施形態では、特許文献1および非特許文献1に記載されているように、第1多孔質シリコン領域21および第2多孔質シリコン領域22を連続して作成する(図3(b))。領域21,22それぞれの多孔度は約56%である。内側にある領域21の細孔径は、外側にある領域22の細孔径と比べて大きい。このようになるように、化成に用いる弗酸濃度と界面電流密度との組合せを調整する。
第2実施形態では、多孔質領域形成工程S3の後に、図3(c)に示すように、多孔質シリコン領域20に添加物をドープする(添加工程)。より具体的には、上記で多孔質シリコン領域21,22が形成されたシリコン基板10を洗浄し乾燥した後に、常温の窒素雰囲気中で、チタンの有機金属化合物溶液にシリコン基板10を一定時間浸漬する。この操作により第1多孔質シリコン領域21にチタン有機金属化合物分子を選択的にドープする。基板10表面に付着した有機金属化合物やその溶剤等を除去し、多孔質シリコン領域21,22内の溶剤や有機成分を除去する。こうして、多孔質シリコン領域21をチタンの酸化物が選択的にドープされた多孔質の領域30に変換することができる。
第2実施形態における薄膜残存部除去工程S4では、前記の処理を終えたシリコン基板10について、第1実施形態の場合と同様に酸素プラズマ処理により、炭素膜のマスク層11を除去すると同時に、多孔質シリコン領域30,22内のシリコン細柱100の表面を酸化する(図3(d))。また、酸化後に更に加熱して、多孔質シリコン領域30,22を緻密化して各々シリカ領域としてもよい。
以上に説明した第2実施形態のシリコン基板加工方法で、実際に、シリコン基板10に多孔質シリコン領域21,22を形成し、多孔質シリコン領域21にチタン酸化物を選択的にドープして多孔質領域30に変換した。この場合にも、薄膜残存部除去工程S4の前後のシリコン基板の全質量の変化は極めて僅かであった。
(第3実施形態)
次に、本発明のシリコン基板加工方法の第3実施形態を説明する。図4は、第3実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、薄膜残存部除去工程S4の酸化後のシリコン基板断面を示している。また、同図(d)は、薄膜残存部除去工程S4の後に多孔質シリコン領域に添加物をドープしたシリコン基板断面を示している。
第3実施形態における薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2それぞれは、第1実施形態および第2実施形態それぞれにおける各工程と同様である(図4(a))。第3実施形態における多孔質領域形成工程S3は、第2実施形態における同工程と同様である(図4(b))。また、第3実施形態における薄膜残存部除去工程S4は、第1実施形態における同工程と同様である(図4(c))。
第3実施形態では、薄膜残存部除去工程S4(図4(c))の後に、図4(d)に示すように、多孔質シリコン領域21に添加物をドープする(添加工程)。より具体的には、薄膜残存部が除去されたシリコン基板10(図4(c))を洗浄し乾燥した後に、常温の窒素雰囲気中で、チタンの有機金属化合物溶液にシリコン基板10を一定時間浸漬する。この操作により第1多孔質シリコン領域21にチタン有機金属化合物分子を選択的にドープする。基板10表面に付着した有機金属化合物やその溶剤等を除去し、多孔質シリコン領域21,22内の溶剤や有機成分を除去する。こうして、多孔質シリコン領域21を、チタンの酸化物が選択的にドープされた多孔質の領域30に変換することができる。
以上に説明した第3実施形態のシリコン基板加工方法で、実際に、シリコン基板10に多孔質シリコン領域21,22を形成し、領域21にチタンを選択的にドープして多孔質領域30に変換した。この場合にも、薄膜残存部除去工程S4の前後のシリコン基板の全質量の変化は極めて僅かであった。ただし、第2実施形態と比較すると、第3実施形態では、領域21に対しては不純物の供給量が増加した。また、領域22ではシリコン基板10の主面と接する表面層のみにチタンのド−ピングが認められた。
(第4実施形態)
次に、本発明のシリコン基板加工方法の第4実施形態を説明する。図5は、第4実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、多孔質領域形成工程S3の後に多孔質シリコン領域に添加物をドープしたシリコン基板断面を示している。同図(d)は、薄膜残存部除去工程S4の酸化および緻密化の後のシリコン基板断面を示している。また、同図(e)は、薄膜残存部除去工程S4の後に上部クラッドを形成したシリコン基板断面を示している。
第4実施形態における薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2それぞれは、第2実施形態における各工程と同様である(図5(a))。第4実施形態における多孔質領域形成工程S3は、第2実施形態における同工程と同様である(図5(b))。また、第4実施形態における不純物添加工程は、第2実施形態における同工程と同様である(図5(c))。
第4実施形態では、薄膜残存部除去工程S4において多孔質シリコン領域を酸化し更に緻密化する(図5(d))。
より具体的には、前記でドーピング処理された基板10を、乾燥した酸素ガスを流した電気炉中で、温度850℃で酸化処理する。この処理により、多孔質シリコン領域30,22中のシリコン細柱は、その中心部まで完全酸化され、多孔質シリカと化す。同時に、炭素膜11は酸化され完全に消失する。
更に、この基板10を1200℃で湿った酸素気流中で処理し、多孔質シリカを緻密なシリカ領域40,50に変える。領域40は、チタンがドープされており、屈折率が増加したコアとしての性質を示す。領域50は、ノンドープシリカであり、屈折率が小さいクラッドとしての性質を示す。なお、温度1200℃での熱処理により、シリカが粘性流動性を示す溶融状態になるので、シリカの緻密化が起こる。この際、領域40,50の基板主面側の表面60は、何らの固体状物質と接触していない自由表面の状態であるので、自由表面として溶融・流動した際の履歴を保存し、表面60は極めて平滑となる。
第4実施形態では、薄膜残存部除去工程S4の後に、シリコン基板10の主面上に上部クラッド80を形成する(図5(e))。この上部クラッド80は例えばシリカからなる。以上の工程で、領域40,50が一方向(図面に垂直な方向)に長いものであれば、領域50および上部クラッド80をクラッドとし領域40をコアとする光導波路が作成される。
(第5実施形態)
次に、本発明のシリコン基板加工方法の第5実施形態を説明する。図6および図7は、第5実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。図6(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。図6(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。図6(c)は、薄膜残存部除去工程S4後のシリコン基板断面を示している。図6(d)は、図6(c)の工程後に第2マスクを形成した後のシリコン基板断面を示している。図7(a)は、第2マスクを形成した(図6(d))後、第1添加物を添加した後のシリコン基板断面を示している。図7(b)は、更に、第3マスクを形成した後、第2添加物を添加した後のシリコン基板断面を示している。また、図7(c)は、上記工程を終えた基板を酸素気流中での熱処理により第3マスクを自動的に消失させ、更に多孔質シリコン領域を緻密化した後のシリコン基板断面を示している。
第5実施形態における薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2それぞれは、第3実施形態における各工程と略同様である(図6(a))。第5実施形態における多孔質領域形成工程S3は、第3実施形態における同工程と略同様である(図6(b))。また、第5実施形態における薄膜残存部除去工程S4は、第3実施形態における同工程と略同様である(図6(c))。ただし、第5実施形態では、多孔質シリコン領域21A,22A、および、多孔質シリコン領域21B,22Bを形成する。より具体的には、炭素薄膜11に2つの開口12,12を形成し、一方の開口12の下方に多孔質シリコン領域21A,22Aを形成し、他方の開口12の下方に多孔質シリコン領域21B,22Bを形成する。
第5実施形態では、薄膜残存部除去工程S4で薄膜残存部(第1マスク)を除去した(図6(c))後に、第2マスクを形成(図6(d))して一方の多孔質シリコン領域21Aに第1添加物をドープし(図7(a))、さらに、第3マスクを形成して他方の多孔質シリコン領域21Bに第2添加物をドープし(図7(b))、その後に、多孔質シリコン領域を緻密化する(図7(c))。より具体的には、以下のとおりである。
薄膜残存部除去工程S4後の第2マスク形成工程では、図6(d)に示すように、薄膜残存部(第1マスク)を除去したシリコン基板10上に、薄膜形成工程S1と同様にして、新しく第2の炭素膜(第2薄膜)を形成する(第2薄膜形成工程)。次に、薄膜部分除去工程S2と同様にして、図6(d)に示すように、この炭素膜に新しく開口15をフォトエッチング手法と前記した酸素プラズマ処理により形成して、これにより第2マスク13を形成する(第2薄膜部分除去工程)。開口15は、一方の多孔質シリコン領域21A上に位置する。
第2マスク形成工程後の第1添加工程では、前記処理を行った基板10に第2実施形態の場合と同様の工程により、第1添加物としてチタンの金属有機物をドープし、開口15の下方に位置する多孔質シリコン領域21Aを、チタンをドープした多孔質シリコン領域31に変える(図7(a))。その後、薄膜残存部除去工程S4と同様にして、第2マスク層13を酸素プラズマにより酸化除去する(第2薄膜残存部除去工程)。
第1添加工程後の第3マスク形成工程では、先ず、薄膜形成工程S1と同様にして、更に新しく第3の炭素膜(第3薄膜)を形成する(第3薄膜形成工程)。次いで、薄膜部分除去工程S2と同様にして、この炭素膜に新しく開口16をフォトエッチング手法と前記した酸素プラズマ処理により形成して、これにより第3マスク14を形成する(第3薄膜部分除去工程)。開口16は、他方の多孔質シリコン領域21B上に位置する。続く第2添加工程では、希土類金属であるエルビウム(Er)の有機金属化合物を、開口16の下部に位置する多孔質シリコン領域21Bに選択ドープして、これにより、この領域21Bを、第2添加物としてのエルビウムをドープした多孔質シリコン領域32に変える(図7(b))。
第2添加工程後の緻密化工程では、第4実施形態の場合と同様に、シリコン基板10を乾燥酸素気流中で850℃の熱処理を行う。この処理により、各々の多孔質シリコン領域は多孔質シリカと化す。また、第3の炭素膜によるマスク層14は酸化により消失する(第3薄膜残存部除去工程)。更に、この基板10を湿った酸素気流中で1200℃の熱処理を行い、各々の多孔質シリカを緻密化する。以上の工程により、チタンがドープされた緻密なシリカ領域41と、エルビウムがドープされた緻密なシリカ領域42とを、同一シリコン基板上にモノリシックに集積することができる(図7(c))。
ドープシリカ領域41,42は非ドープシリカ領域51,52より高屈折率であるので、ドープシリカ領域41,42はコアとしての性質を有し、非ドープシリカ領域51,52はクラッドとしての性質を有している。また、領域41,51及び領域42,52のシリコン基板主面側の表面60は、シリカが溶融・緻密化した際の表面であり極めて平滑な面となる。
(第1比較例)
次に、第1実施形態と対比されるべき第1比較例について説明する。図8は、第1比較例のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程および薄膜部分除去工程の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、薄膜残存部除去工程の後のシリコン基板断面を示している。また、同図(d)は、緻密化工程の後のシリコン基板断面を示している。
第1比較例における薄膜形成工程では、シラン(SiH)、アンモニア(NH)および水素(H)を主原料とするプラズマCVD法により、高ドープしたp-タイプ(100)で3インチ径のシリコン基板10上に、約100nm厚の窒化珪素(SiN)からなる薄膜17を堆積する。
第1比較例における薄膜部分除去工程では、上記薄膜17が形成されたシリコン基板10上にレジストを約1.5μm厚に塗布し、フォトマスクによる露光により、レジストパターンを形成し、この基板をCFおよび酸素(O)を主体とした通常のリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)により薄膜17に所望の開口部18を形成し、その後レジストを除去する(図8(a))。
第1比較例における多孔質領域形成工程は、第1実施形態における同工程と同様である(図8(b))。
第1比較例における薄膜残存部除去工程では、前記工程により多孔質シリコン領域20が形成された基板10に対し、本比較例のマスク層のパタニングに使用したCFおよび酸素(O)を主体としたガスの放電を利用したRIE法を用いて、基板10上の窒化珪素マスク層17を除去する(図8(c))。その理由は、窒化珪素マスク層17は、第1実施形態で示した酸素プラズマでは有効に除去することができないためである。
前記の方法により、図8(c)に示すように窒化珪素マスク層17を除去することはできる。しかしながら、フッ素系のプラズマは、窒化珪素層のみでなく、シリコン結晶表面をもエッチングする。このシリコン原子がエッチングされることの影響は、微細なナノサイズの細孔がその領域の全てに分布し比表面積の極めて大きい多孔質シリコン20にとっては特に甚大である。プラズマ励起されたフッ素系の活性種は、図10の概念図に示すごとく、多孔質シリコンのナノ細孔110にも侵入し、シリコン細柱100の表面を侵す。こうしてシリコン細柱100の表面が僅かでもエッチングされた場合、比表面積の極めて大きい多孔質シリコン領域全体では、シリコン原子の損失割合は大きなものとなる。
ここでマスク層除去工程の前後でシリコン基板の全質量を測定すると、除去前の状態(図8(b))に較べ、除去後の状態(図8(c))では、ミリグラム(mg)単位での質量損失が明らかに認められた。窒化珪素のエッチングによる質量減のみではこの質量減は説明できず、図10に示すように多孔質シリコン領域内部において、フッ素系活性種によりエッチングされたシリコン細柱減失部130の質量減も加算されたものと思われる。多孔度や細孔径を制御して作成された多孔質シリコン20(図8(b))は、窒化珪素膜マスク層除去工程により、多孔度(即ち空孔部)が増加した多孔質シリコン28(図8(c))に変化したと解される。
前記でマスク層が除去されたシリコン基板を、第4実施形態の場合と同様に、乾燥酸素雰囲気中で850℃による酸化をし、続いて湿った酸素雰囲気中で1200℃による緻密化を行う。その結果、多孔質シリコン28が変化したシリカガラス53の表面は大きく窪む(図8(d))。これは、図8(c)の多孔質シリコン28の多孔度が増加し、多孔質シリコン領域のシリコン原子数が減少したためである。
(第1実施形態等と第1比較例との対比)
ここで、第1実施形態と第1比較例とを対比すると以下のとおりである。窒化珪素膜をマスクとして用いる第1比較例では、マスク層除去工程の前後のシリコン基板の全質量には、除去後においてミリグラム(mg)単位での質量損失が明らかに認められた。また、緻密化することにより、多孔質シリコン領域28の体積に比べて、シリカ領域53の体積は減少した。これは、フッ素系活性種により、多孔質シリコン領域内部のシリコン細柱100の表面において質量減が生じたからであると考えられる。
これに対して、炭素膜をマスクとして用いる第1実施形態では、薄膜残存部除去工程S4の前後のシリコン基板の全質量には0.1mg単位での極く僅かな誤差範囲での質量変化しか認められなかった。これは、炭素膜11の酸化消失に伴う質量減と、図11(b)の概念図に示す多孔質シリコン領域20内のシリコン細柱100の表面酸化に伴い表面酸化層120が形成されたことによる質量増とが、ほぼ相殺したからであると考えられる。
このように、比較例と対比して明らかなように、実施形態のシリコン基板加工方法では、炭素薄膜をマスク層に用いるため、マスク層のパタニングに酸素系プラズマを用いることができ、シリコン基板のエッチングが実質上ゼロの極めて選択比の大きいパタニングが可能となる。そして、炭素薄膜マスク層を酸素系プラズマで除去できるため、選択形成した多孔質シリコン領域のシリコン細柱の表面層を酸化することにより、多孔質シリコン領域内のシリコン原子数の減少を防ぎ、多孔度・細孔径を実質上保持した状態で、該領域の表面よりマスク層を除去することが可能となる。
さらに、このことから、第5実施形態で説明したように、複数回のマスクプロセスの実施が可能となる。このため、一工程で作成した多孔質シリコンの異なった領域に異なった種類の不純物(添加物)をドープすることが可能となる。こうして、パッシブな光導波路と、例えば希土類元素の一種であるEr等をドープしたアクティブな光増幅導波路とを、同一シリコン基板上にモノリシックに集積した光集積回路を作成することが可能となる。
(第2比較例)
次に、第4実施形態と対比されるべき第2比較例について説明する。図9は、第2比較例のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。同図(a)は、薄膜形成工程および薄膜部分除去工程の後のシリコン基板断面を示している。同図(b)は、多孔質領域形成工程の後のシリコン基板断面を示している。同図(c)は、多孔質領域形成工程の後に多孔質シリコン領域に添加物をドープしたシリコン基板断面を示している。同図(d)は、酸化および緻密化の後のシリコン基板断面を示している。同図(e)は、薄膜残存部除去工程の後のシリコン基板断面を示している。また、同図(f)は、薄膜残存部除去工程の後に上部クラッドを形成したシリコン基板断面を示している。
第2比較例における薄膜形成工程および薄膜部分除去工程それぞれは、第1比較例における各工程と同様であり、窒化珪素(SiN)からなる薄膜17を堆積する(図9(a))。第2比較例における多孔質領域形成工程は、第4実施形態における同工程と同様である(図9(b))。また、第2比較例における不純物添加工程は、第4実施形態における同工程と同様である(図9(c))。
第2比較例における酸化および緻密化の工程では、第4実施形態の場合と同様に、シリコン基板10に対し、乾燥酸素雰囲気中で850℃による酸化をし、続いて湿った酸素雰囲気中で1200℃による緻密化を行う。これにより、ドープされたシリカのコア領域40と、非ドープシリカのクラッド領域50とが、形成される(図9(d))。
但し、窒化珪素のマスク層17は、前記酸化工程では完全には酸化されず、明らかにその形態が残存していることが認められる。特に緻密化されたシリカ領域40,50と接している部分70では、不規則ではあるが周期性を持つ凹凸が認められる表面形状を示す。一方、マスク層の開口部分18に相当する表面60は、溶融したシリカの平滑な表面となる。
第2比較例における薄膜残存部除去工程では、前記工程を経たシリコン基板10の表面に残存するマスク層17を除去するため、フッ素系プラズマによるエッチング処理を行う(図9(e))。図9(d)で周期的凹凸部70が認められた部分には、このエッチング処理後にも、同様な周期的凹凸部71が認められる。シリカの緻密化を行う熱処理工程でマスク層とシリカ領域との界面に発生した前記周期的凹凸構造は、シリカ領域40,50の表面近傍にもインプリントとされており、表面のエッチングのみでは取り去ることができない。
薄膜残存部除去工程の後に、シリコン基板10の主面上に上部クラッド80を形成する(図9(f))。この上部クラッド80は例えばシリカからなる。以上の工程で、領域40,50が一方向(図面に垂直な方向)に長いものであれば、領域50および上部クラッド80をクラッドとし領域40をコアとする光導波路が作成される。
前記周期的凹凸構造の周期は、不規則ではあるが、サブミクロンから数ミクロンの程度である。このように不規則な周期構造が光導波路の特にコア表面に存在すると、光散乱損失の原因になることは明らかである。
なお、この第2比較例では、多孔質シリコンを酸化・緻密化した後に薄膜残存部を除去するので、マスク層除去工程の前後のシリコン基板の全質量の変化は窒化珪素マスク層の質量分のみである。
(第4実施形態と第2比較例との対比)
ここで、第4実施形態と第2比較例とを対比すると以下のとおりである。第2比較例では、1200℃での熱処理中に、シリカは、流動性を示して溶融化し、残存する窒化珪素のマスク層17と接している。溶融しているシリカは、表面の性質が異なる固体状のマスク層17に接していることから、シリカ表面に周期的凹凸形状が発生したものと考えられる。一方、マスク17の開口部18に相当する表面部は、溶融時に自由表面であるから、平坦なものとなる。
これに対して、第4実施形態では、温度1200℃での熱処理により、シリカが粘性流動性を示す溶融状態になるので、シリカの緻密化が起こる。この際、領域40,50の基板主面側の表面60は、何らの固体状物質と接触していない自由表面の状態であるので、自由表面として溶融・流動した際の履歴を保存し、極めて平滑な表面となる。
(第3比較例)
次に、第1実施形態と対比されるべき第3比較例について説明する。本比較例では、薄膜形成工程S1に供給するシリコン基板の表面処理として、表面の有機物汚染を除去する処理を行った。このシリコン基板表面に第1実施形態で行ったのと同一の条件で炭素薄膜層11を形成した。その後、薄膜部分除去工程S2を経て多孔質領域形成工程S4を実施するためシリコン基板10を弗酸溶液に浸漬した。
弗酸溶液に浸漬することのみで、炭素薄膜層11はマスクの開口部12や炭素薄膜層のピンホールを起点にして剥離する現象が生じ、シリコンの陽極酸化用マスクとしての機能を果たさない場合もあった。このことは炭素薄膜層の下地であるシリコン基板表面の極めて薄いシリコン酸化膜層が弗酸に侵されることにより、炭素薄膜層がリフトオフされ剥離したと解釈される。
これに対して、炭素薄膜11を形成する前に、シリコン基板表面を水素終端化処理することにより、上述した各実施形態に示した弗酸溶液中での陽極酸化による多孔質領域形成工程に耐える密着性の良い炭素薄膜形成が可能となる。なお、第5実施形態で示した第2マスク層13及び第3マスク層14等に用いる炭素薄膜の形成に当たっては前記シリコン基板表面の水素終端化処理は不要である。
このように、比較例と対比して明らかなように、実施形態のシリコン基板加工方法では、薄膜残存部を除去すると同時に多孔質シリコンを酸化し更に緻密化するので、シリカ40,50の基板の一主面側の表面60が平滑なものとなり、光導波路等を作成する上で好適である。
なお、第5実施形態では、多孔質シリコン領域21Aにチタン(第1添加物)を添加した後に、更に第3マスク層14を形成して多孔質シリコン領域21Bにエルビウム(第2添加物)を添加しているが、第3マスク層14を形成せずに、酸化処理してもよい。この場合における第2マスク形成工程(図6(d))後の工程について説明する。
図12(a)に示すように、第2マスク形成工程後の第1添加工程では、第5実施形態の場合と同様の工程により、開口15の下方に位置する多孔質シリコン領域(第1の領域)21Aを、チタンがドープされた多孔質シリコン領域31に変える。次いで、薄膜残存部除去工程S4と同様にして、第2マスク層13を除去する。これにより、図12(b)に示すように、第1添加物が添加された多孔質シリコン領域31と、添加物が添加されていない多孔質シリコン領域21Bを備えたシリコン基板10を得ることができる。
また、酸化後に更に加熱し多孔質シリコン領域31,21Bをそれぞれ緻密化することで、図12(c)に示すように、チタンがドープされた緻密なシリカ領域41と、不純物が添加されていない緻密なシリカ領域43とを、同一シリコン基板10上に集積するようにしてもよい。
このように、第2薄膜をマスク層とした場合には、多孔質シリコン領域21A,21B,22A,22Bのうちの所望の領域に添加物をより確実に添加できる。
更にまた、次のような実施形態も可能である。本発明のシリコン基板加工方法の第6実施形態を説明する。
(第6実施形態)
第6実施形態では、多孔質領域形成工程S3と薄膜残存部除去工程S4との間において、マスク層13上に更に炭素膜を形成する工程、その炭素膜に開口を形成する工程、及び、多孔質シリコン領域に不純物としての添加物をドープする工程を更に有する。
図13および図14は、第6実施形態のシリコン基板加工方法の工程を説明する断面図である。図13(a)は、薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2の後のシリコン基板断面を示している。図13(b)は、多孔質領域形成工程S3の後のシリコン基板断面を示している。図13(c)は、図13(b)の工程後に第2マスクを形成した後のシリコン基板断面を示している。図14(a)は、第2マスクを形成した(図13(c))後、添加物を添加した後のシリコン基板断面を示している。図14(b)は、多孔質シリコン領域を緻密化した後のシリコン基板断面を示している。
第6実施形態における薄膜形成工程S1および薄膜部分除去工程S2それぞれは、第5実施形態における各工程と略同様である(図13(a))。第6実施形態における多孔質領域形成工程S3は、第5実施形態における同工程と略同様である(図13(b))。また、第6実施形態における薄膜残存部除去工程S4は、第5実施形態における同工程と略同様である(図14(b))。ただし、第6実施形態では、薄膜残存部除去工程S4において、第1マスク及び第2マスクを一緒に除去する。
第6実施形態では、多孔質領域形成工程S3の後に、更に第2マスク13を形成(図13(c))して、一方の多孔質シリコン領域21Aに添加物をドープする(図14(a))。その後に、第1マスク11及び第2マスク13を一括して除去してから、多孔質シリコン領域を緻密化する(図14(b))。より具体的には、以下のとおりである。
多孔質領域形成工程S3後の第2マスク形成工程では、図13(c)に示すように、薄膜残存部(第1マスク)上に、薄膜形成工程S1と同様にして、新しく第2の炭素膜(第2薄膜)を形成する(第2薄膜形成工程)。次に、薄膜部分除去工程S2と同様にして、図13(c)に示すように、この炭素膜(第2薄膜)及び第1マスク11に新しく開口15をフォトエッチング手法と前記した酸素プラズマ処理により形成して、これにより第2マスク13を形成する(第2薄膜部分除去工程)。開口15は、一方の多孔質シリコン領域21A上に位置する。
第2マスク形成工程後の添加工程では、前記処理を行った基板10に第5実施形態の場合と同様の工程により、添加物としてチタンの金属有機物を開口15を通してドープし、多孔質シリコン領域21Aを、チタンをドープした多孔質シリコン領域31に変える(図14(a))。その後、第5実施形態の場合と同様に、シリコン基板10を乾燥酸素気流中で850℃の熱処理を行う。この処理により、各々の多孔質シリコン領域は多孔質シリカと化す。また、主面上の炭素を主成分とする薄膜であるマスク層11,13は酸化により消失する(薄膜残存部除去工程S4)。更に、この基板10を湿った酸素気流中で1200℃の熱処理を行い、各々の多孔質シリカを緻密化する。
以上の工程により、チタンがドープされた緻密なシリカ領域41と、不純物としての添加物がドープされていない緻密なシリカ領域43とを、同一シリコン基板上にモノリシックに集積することができる(図14(b))。
この場合、領域41,51及び領域43,52のシリコン基板主面側の表面60は、シリカが溶融・緻密化した際の表面であり極めて平滑な面となる。また、マスク層11上に更にマスク層13を積層し、薄膜残存部除去工程S4でマスク層11,13を一緒に除去しているので、マスク層11,13を別々に除去する場合に比べて、シリコン基板10の加工に要する時間を短縮できる傾向にある。
第6実施形態の説明では、第1マスク層11上に第2マスク層13を形成してチタンがドープされたシリカ領域41を形成しているが、これに限定されない。例えば、第2マスク層13上に更に新しいマスク層を形成することによって、第5実施形態の場合と同様に、多孔質シリコン領域21Bに他の添加物をドープすることも好適である。図15は、多孔質シリコン領域21Bに添加物を添加する場合における図14(a)の後に続く工程を説明する断面図である。
多孔質シリコン領域21Bに添加物を添加する場合には、多孔質シリコン領域21Aにチタンをドープした添加工程(図14(a))の後に、薄膜形成工程S1と同様にして、図15(a)に示すように、第2マスク13上に更に新しく第3の炭素膜(第3薄膜)を形成する(第3薄膜形成工程)。次いで、薄膜部分除去工程S2と同様にして、この炭素膜(第3薄膜)、第2マスク13及び第1マスク11に開口16を、フォトエッチング手法と前記した酸素プラズマ処理により新しく形成して、第3マスク14を形成する(第3薄膜部分除去工程)。開口16は、他方の多孔質シリコン領域21B上に位置する。
続いて、図15(b)に示すように、希土類金属であるエルビウム(Er)の有機金属化合物を、開口16の下部に位置する多孔質シリコン領域21Bに選択ドープして(第2添加工程)、これにより、この領域21Bを、第2添加物としてのエルビウムをドープした多孔質シリコン領域32に変える。
その後、上記第6実施形態でマスク層を除去したのと同様にして、図15(c)に示すように、薄膜部分除去工程S4において、主面上の炭素を主成分とする薄膜であるマスク層11,13,14を一括して除去し、更に、多孔質シリカ各々を緻密化する。以上の工程により、チタンがドープされた緻密なシリカ領域41と、エルビウムがドープされた緻密なシリカ領域42とを、同一シリコン基板上にモノリシックに集積することができる(図15(c))。

Claims (12)

  1. シリコン基板の少なくとも一主面上に炭素を主成分とする薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記薄膜形成工程で形成された薄膜のうち前記一主面上の一部領域にある薄膜部分を除去する薄膜部分除去工程と、
    前記薄膜部分除去工程を経た後の前記シリコン基板を、弗酸を含有する電解液中で陽極酸化することにより、前記一部領域を含む周囲領域に選択的に多孔質シリコン領域を形成する多孔質領域形成工程と、
    前記多孔質領域形成工程を経た後の前記シリコン基板の前記一主面上にある前記薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、前記多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化する薄膜残存部除去工程と、
    を備えることを特徴とするシリコン基板加工方法。
  2. 前記薄膜形成工程において形成される薄膜が硬質炭素膜であることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  3. 前記薄膜形成工程において、前記シリコン基板の少なくとも一主面の表面に水素終端化処理を施した後、炭素を主成分とする前記薄膜を形成することを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  4. 前記薄膜残存部除去工程において、前記薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、前記多孔質シリコン領域の全てを酸化する、ことを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  5. 前記薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気が酸素を含有する500℃以上の雰囲気であることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  6. 前記薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気が酸素を主成分とするプラズマ雰囲気であることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  7. 前記薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気がオゾン雰囲気であることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  8. 前記薄膜残存部除去工程における酸化性雰囲気が強酸化性の液体雰囲気であることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  9. 前記多孔質領域形成工程によって形成された前記多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程を備え、
    前記薄膜残存部除去工程において、前記添加工程を経た後の前記シリコン基板の前記一主面上にある前記薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、前記多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化することを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  10. 前記薄膜残存部除去工程を経た後の前記シリコン基板が有する前記多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  11. 前記多孔質領域形成工程を経た後の前記シリコン基板の前記一主面上に炭素を主成分とする第2薄膜を形成する第2薄膜形成工程と、
    前記第2薄膜のうち前記多孔質シリコン領域上に位置する部分の一部を除去する第2薄膜部分除去工程と、
    前記第2薄膜のうち前記第2薄膜部分除去工程によって除去された部分を通して前記多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程と、
    前記添加工程を経た後の前記一主面上にある前記第2薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、前記多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化する第2薄膜残存部除去工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
  12. 前記多孔質領域形成工程を経た後の前記シリコン基板の前記一主面上に炭素を主成分とする第2薄膜を形成する第2薄膜形成工程と、
    前記第2薄膜のうち前記多孔質シリコン領域上に位置する部分の一部を除去する第2薄膜部分除去工程と、
    前記第2薄膜のうち前記第2薄膜部分除去工程によって除去された部分を通して前記多孔質シリコン領域に添加物を添加する添加工程と、
    を備え、
    前記薄膜残存部除去工程では、前記添加工程を経た後の前記一主面上にある炭素を主成分とする薄膜の残存部を酸化性雰囲気で除去すると同時に、前記多孔質シリコン領域の少なくとも一部を酸化することを特徴とする請求項1記載のシリコン基板加工方法。
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