JP3245368B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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JP3245368B2 JP28797196A JP28797196A JP3245368B2 JP 3245368 B2 JP3245368 B2 JP 3245368B2 JP 28797196 A JP28797196 A JP 28797196A JP 28797196 A JP28797196 A JP 28797196A JP 3245368 B2 JP3245368 B2 JP 3245368B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光導波路の製造方法
に関する。さらに詳しくは結晶質シリコンを基板とし、
屈折率の異なるガラス質材料を用いた平面型光導波路の
新規な製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】高度
情報通信社会のマルチメディア時代を迎えて光情報通信
機器の社会的な需要は益々増加しており、光情報通信機
器の根幹要素である光導波路の経済的で安価な製法が求
められている。このような要請に対し、光導波路の機能
開発は既に数多く検討されているが、工程が簡単で大量
生産が可能な製造方法は未だ実現されておらず、結果と
して安価な機器の提供に至っていないのが現状である。
【0003】以下、従来の技術と本発明が解決しようと
する課題を述べる。各種光導波路のうち最も薄い膜厚で
構成されるシングルモードの光を伝送する平面型光導波
路でも、厚さ20μm程度の下部クラッド層、厚さ10
μmに近いコア層、厚さ20μm程度の上部クラッド層
が基板上に形成される。これは相対的に屈折率の大きい
コア層を伝わる光が屈折率の小さいクラッド層により効
率よく閉じ込められる物理的要請と、コア層とクラッド
層間の屈折率の相違から定められる条件である。これら
の層全体の膜厚を合わせると数十μm程度になり、謂ゆ
る半導体集積回路技術の概念からは極めて「厚い膜」で
ある。
【0004】しかるに、現状の光導波路の製造技術の多
くは、半導体集積回路製造技術に基づいた方法を用いて
製造されている。すなわち、成膜の基礎技術としては、
スパッタリング法、化学的気相堆積(CVD)法などが
主に用いられている。これらの方法は、成膜速度が遅く
製造に長時間を要するために、製造コストの低減が課題
である。
【0005】これを改善した「厚い膜」の高速堆積技術
として、火炎堆積法が提案されている。この方法は酸水
素炎の還元雰囲気下でテトラクロロシラン(SiC
4 )などの金属塩化物から二酸化シリコン(SiO
2 )の粉末を基板上に堆積するものである。この方法
は、粉末堆積であるために特殊なノウハウを要するこ
と、また粉末を緻密化するために1200〜1300℃
の高温熱処理を必要とするなどの問題点が指摘されてい
る。このような特殊なノウハウと高温処理、さらには複
雑な製造工程が安価な製品への障害となっている。
【0006】緻密化に高温を要することは、二酸化シリ
コン膜に対して屈折率を大きくし且つ光伝送の損失が小
さいという好ましい特性を有する一方で蒸気圧が高い酸
化ゲルマニウムなどの材料を高濃度にコア層に導入する
ことを難しくしている。
【0007】さらに、従来法による製品は基板と二酸化
シリコンなどから成るガラス質層間に大きな内部ストレ
スを包含している。つまり、基板上のガラス質を高温で
軟化して緻密化することは、その高温状態で基板上の厚
いガラス質層に流動性を与えて緻密化することであり、
高温状態では基板とガラス質層間の歪を開放し得る。し
かし、基板温度を常温まで低下すると、両者(シリコン
基板とガラス質層)の熱膨張係数の相違により大きな内
部ストレスを内包することになる。したがって、基板は
かなり大きく湾曲し、大規模且つ大面積の光集積回路を
形成する上での障害となっている。すなわち、光回路を
形成するチップは通常数mm×数十mmと大型であり、
この大型チップを安価に大量に生産するには大型シリコ
ン基板を用いれば有利となるが、内部ストレスによる基
板曲がりのために大型基板の使用が困難となり、3”程
度の小型シリコン基板が用いられているのが現状であ
る。
【0008】さらに、厚さ10μm程度のコア層をエッ
チングしてリッジ型コア層を形成するためにも、数μm
程度の「厚い」エッチングマスク層を必要とし、そのマ
スク層にエッチング形状を決定するためのマスク層の選
択除去にも多数の製造工程と長時間を必要とする。した
がって、光導波路装置の製造コストの低減を図れない。
【0009】このような問題を回避する製造方法とし
て、シリコン基板を弗酸(HF)溶液中で陽極化成する
ことにより多孔質シリコン領域を作成し、この多孔質シ
リコン領域を酸化することにより光導波路を形成する方
法が提案されている。
【0010】第1は、WO 91/10931 号公報に開示された
技術である。この公報記載の方法は、シリコン基板上に
線状のドープ領域を形成する第1のドーピング工程、ド
ープ領域を多孔質シリコン化する第1の陽極化成工程、
前記多孔質シリコン領域を窒化叉は酸窒化する第1の熱
処理工程、シリコン基板全面にドーピングする第2のド
ーピング工程、第2のドーピング工程でドーピングした
領域を多孔質化する第2の陽極化成工程、第2の陽極化
成工程で作成された多孔質化した領域を酸化し、その後
緻密化のため1150℃、10分間の第2の熱処理を行
なう工程を有する製作法が開示されている。本号公報記
載の方法は上記のように単結晶シリコンへの2度のドー
ピング、2度の陽極化成、酸窒化と酸化工程をあわせた
2度の熱処理工程など複雑で長い工程を必要とする。
【0011】また、学術文献として V.P.Bondarenko な
どによる2編の論文 Tech.Phys.Lett.19(1993)468.およ
び Microelectronic Engineering 28(1995)447. があ
る。これらの論文に開示されている方法は、高濃度にホ
ウ素(B)をドープした単結晶シリコン基板上に窒化シ
リコン膜(SiNx )を形成し、部分的にエッチングし
た窒化シリコン膜をマスクとしてシリコンを直接陽極化
成により多孔質シリコン化する。その後、この多孔質シ
リコン化した領域を酸化して二酸化シリコンとし、さら
にこの酸化温度より高温の1150℃で25分間の緻密
化処理を行うものである。この方法は簡単ではあるが、
光伝搬の更なる低損失化に下記2点の課題を残してい
る。第1はコア層とクラッド層とを構成するそれぞれの
酸化膜の光学的性質と膜厚を自由に選べないことであ
り、第2はシリコン基板と光導波路のコア層との間に介
在すべきクラッド層の光学的特性と膜厚を任意に選択で
きないことである。このクラッド層の実効膜厚を十分に
厚くできない場合、コア層を伝搬する光エネルギーはシ
リコン基板に漏れだし、伝搬損失を低減できないという
問題が発生する。
【0012】他に、多孔質シリコン領域を酸化した膜を
クラッド層として用い、結晶質シリコン自体をコア層と
して用いる光導波路の製造法に関わる2件の特許が開示
されている。その第1は米国特許公報第4,927,781 号公
報であり、第2は前記公報のCIP出願による同第5,05
7,022 号公報である。これらの公報記載の方法では、低
濃度ドープシリコン基板上に、第1の高濃度ドープ層、
第2の低濃度ドープ層をエピタキシャル成長させ、その
後、第2の低濃度ドープ層をエッチングにより部分的に
残存させた後、第1の高濃度ドープ層を陽極化成により
多孔質化し、さらにこの多孔質化層を酸化する工程を有
している。この方法も複雑な工程を必要とする。さらに
この方法では、屈折率が3. 5と大きい結晶質シリコン
自体をコア層とすることから、今後主流となるシングル
モード光導波路形成に対してはコア層の断面寸法を極め
て小さくしなければならず、外部光ファイバーとの接続
に際しては大きなモード変換損失が発生する。
【0013】本発明はこのような従来の技術の問題点に
鑑みて為されたものであり、基本的には受動デバイスで
あるが、さらに工夫次第では能動的光デバイスともな
り、光集積回路や光伝送システムの根幹要素である光導
波路を単純な工程で安価に再現性良く製造できる方法を
提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る光導波路の製造方法では、結晶質シリ
コン基板の一主面上に絶縁膜を形成してその一部を選択
除去する工程、前記絶縁膜が除去された部分を起点とし
て前記結晶質シリコン基板内に選択的に多孔質シリコン
領域を形成する工程、前記結晶質シリコン基板の一主面
上に不純物元素またはその化合物を含有する不純物含有
層を形成する工程、前記不純物元素またはその化合物を
前記多孔質シリコン領域内のコア層となる領域に拡散ま
たは固相溶融させるとともに前記多孔質シリコン領域を
酸化する熱処理工程を有する。
【0015】
【作用】本発明で使用する結晶質シリコン基板上に形成
される多孔質シリコン領域は、文字通り「多孔質」であ
り、ナノメータ規模のサイズを有するシリコンの高密度
細線と、細線間の空隙部とから構成されている。この多
孔質シリコン領域は弗酸系の溶液中で陽極化成すること
により、短時間で容易に百μm程度の厚さに形成でき
る。さらに、多孔質化した領域の厚さの均一性は化成条
件に注意すれば百μm程度の厚さに対して、1μm程度
以下のバラツキに制御できる。すなわち、極めて厚い膜
を簡単に短時間で均一に形成できる。また、その多孔度
(多孔質の全体積中で占める空隙の体積率)は、用いる
シリコン基板の電導形とドーピング密度、それに陽極化
成時の溶液組成と電流密度で制御できる。
【0016】多孔質シリコン領域の酸化は、その厚さに
拘らず比較的低温且つ短時間で完了する。例えば100
μm程度の厚みの多孔質シリコン領域でも水蒸気を含む
酸素雰囲気中では850℃、1時間程度で完了する。
【0017】多孔質シリコン領域への深い不純物ドーピ
ングも容易である。不純物元素のイオンを含む溶液への
浸漬、不純物元素を含むガラス質物質を有機質物質に溶
解したスピンオングラス(Spin on Glass) 法、CVD
法、蒸着法などで不純物元素を多孔質化した領域の表面
に付着させ、その後酸化すれば良い。こうして不純物元
素の種類と濃度に依存した屈折率の増加を酸化したシリ
コン層に与えることができる。屈折率増加用の不純物元
素としては各種の金属元素、並びに非金属元素を選択で
きる。また上記方法により多孔質シリコン領域のうちの
必要な厚さまで制御して不純物をドープすることも可能
である。このように多孔質シリコン領域上に選択的に不
純物源を付着させた後に、多孔質シリコン領域を酸化す
れば所望の位置に不純物を高濃度に含有した部分を所望
の厚さで形成できる。
【0018】このような手段を講じることにより、多孔
質シリコン領域には厚さ方向と面内方向共に選択的に制
御された状態で所望の不純物を必要な濃度でドープする
ことができる。厚さと面内位置共に選択的に不純物をド
ープした多孔質シリコン領域を酸化すれば所望の位置に
屈折率の増加したガラス質層を所望の厚さで形成でき
る。この屈折率の増加した部分がコア層となり、不純物
がドープされないまたは、相対的に不純物濃度が小さい
部分は下部クラッド層となって、極めて容易に光導波路
を形成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1に本発明の典型的実施形態の工
程図を示す。まず第1に結晶質シリコン基板1の一主面
上に絶縁膜2を堆積し、その一部を除去したマスクを形
成する(図1(a))。この結晶質シリコン基板1とし
ては、ホウ素(B)が高濃度にドープされた比抵抗約
0. 01Ωcm程度のp+ 型シリコン基板などが用いら
れる。また絶縁膜2としては窒化シリコン膜などが用い
られ、プラズマCVD法などで0.3μm程度の厚みに
形成される。また、この絶縁膜2には3μm幅の開口部
10がフォトエッチングにより直線状に形成される。
【0020】次に、結晶質シリコン基板1の一主面を陽
極として弗酸(HF) 溶液により陽極化成し、マスクの
開口部10を中心としてシリコン基板1内に多孔質シリ
コン領域3を形成する(図1(b))。陽極化成は20
0mA/cm2 程度の電流密度で行われ、多孔質シリコ
ン領域3は約20μm程度の厚みに形成される。
【0021】その後、結晶質シリコン基板1の一主面上
に所望の不純物元素を含んだ不純物含有層4を形成する
(図1(c))。この不純物含有層4の形成法としては
良く知られたスピンオングラス法、CVD法、蒸着法、
スパッタリング法、所望の金属イオンを含有する電解液
中への浸漬法などがある。スピンオングラス法には種々
あるが、金属元素のアルコラートまたは金属のアルコラ
ートを原料とした有機金属材料が通常用いられる。これ
らの方法を用いれば、図1(c)のように、結晶質シリ
コン基板1の一主面上の全面に不純物含有層4を形成で
きる。
【0022】この工程で導入可能な不純物元素として
は、その元素の酸化物が純粋な二酸化シリコン膜の屈折
率に比べて大きいものか、二酸化シリコン膜に溶融して
屈折率を増加させるもので有ればよい。このような元素
として、以下の元素物質の酸化物の単独または複合導入
が可能である。すなわち、二酸化シリコン膜の屈折率を
増加するための金属元素として、アルミニウム(A
l)、バリウム(Ba)、ビスマス(Bi)、カルシウ
ム(Ca)、カドミウム(Cd)、セリウム(Ce)、
セシウム(Cs)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウ
ム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ゲルマニウム(G
e)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、ラン
タン(La)、ルテチウム(Lu)、マグネシウム(M
g)、ニオブ(Nb)、隣(P)、ルビジウム(R
b)、アンチモン(Sb)、サマリウム(Sm)、錫
(Sn)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(T
a)、チタン(Ti)、タリウム(Tl)、イットリウ
ム(Y)、イッテルビウム(Yb)、タングステン
(W)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)の群の一
種または複数の元素の複合導入が可能である。
【0023】また、二酸化シリコン膜の屈折率を小さく
する不純物を多孔質シリコン領域3の全域にドープし、
さらに屈折率を増加させる不純物を多孔質シリコン領域
3のうちの特定の領域に添加することもできる。屈折率
を減少させる不純物としては、ホウ素(B)やフッ素
(F)などが有効である。その後、酸素を含有する雰囲
気中で熱処理を施し、多孔質シリコン領域3を酸化して
二酸化シリコン膜に変換すると共に、不純物含有層4よ
り不純物元素の酸化物を固相拡散または固相溶融させ
て、二酸化シリコン化した領域の一部に導入する(図1
(d))。不純物が導入された領域5は、当該不純物の
酸化物の屈折率と不純物濃度に依存して屈折率が増加す
る。この屈折率が増加した領域5が光導波路のコア層と
なり、不純物が導入されていないか、または導入濃度が
小さい領域6が光導波路のクラッド層となる。上記熱処
理工程で多孔質シリコン領域3の外は単結晶シリコンで
あり、多孔質シリコン領域3ほど大きな化学的及び物理
的影響を受けない。これは第1に多孔質シリコン領域3
の外は多孔質シリコン領域3に比べて極めて酸化されに
くいからであり、第2に絶縁膜2が酸化、固相拡散、固
相溶融のバリヤーとして機能するからである。
【0024】単結晶シリコンを酸化して二酸化シリコン
(SiO2 )化すると、体積が約1. 88倍増加する。
したがって、結晶質シリコン基板1とこの結晶質シリコ
ン基板1を酸化した二酸化シリコン膜との間では大きな
ストレスが存在し、二酸化シリコン膜には大きな圧縮応
力が働く。このため、本発明では多孔質シリコン領域3
の多孔度を50〜60%程度に制御することが望まし
い。
【0025】続いて不純物含有層4とマスク層2を除去
し、必要に応じて上部クラッド層7を形成すれば光導波
路が完成する(図1(e))。上部クラッド層7は必ず
しも必要ではなく、無くて良い場合もある。
【0026】図1(a)〜(e)の工程図が示すよう
に、コア層5とクラッド層6の一方の面は結晶質シリコ
ン基板1の一主面11そのものに接している。一主面1
1上には絶縁膜2が一旦形成されるが、図1(e)では
除去されている。すなわち、一主面11は重大な加工を
受けることなくその位置を保存し、その一主面11にコ
ア層5と上部クラッド層6が接している。このことは光
集積回路構成に於いて、また光ファイバーと精密な位置
合わせを要する光ファイバーとの接続に於いて、一主面
11を基準面として常に活用できる有利性を持つことに
なる。
【0027】
【実施例】
−実施例1− 高濃度にホウ素(B)がドープされた比抵抗約0. 01
Ωcmのp+ シリコン1の(100)基板の一主面上の
全面を、エタノールを添加した弗酸溶液を用い暗中で2
00mA/cm2 の電流密度で陽極化成し、多孔質シリ
コン領域を厚み約20μmに形成した。次に、この多孔
質シリコン領域上にスピンオングラス法によりチタンの
有機化合物層を形成した。その後、有機化合物層内の溶
剤と有機物を除去するために熱処理を行った後、水蒸気
を含む酸素気流中で1050℃の熱処理を1時間行な
い、多孔質シリコン領域を酸化して二酸化シリコン化す
るとともに、二酸化シリコンの中に酸化チタンの固溶を
行った。
【0028】このチタンの濃度分布をX線マイクロ分析
した。結果を図3に示す。図3の横軸は二酸化シリコン
膜表面からの深さであり、縦軸はチタン特性X線強度を
任意単位で示す。図3のカーブのピークにおいてチタン
濃度は約2mol%と判定された。図3から明らかなよ
うに、チタン濃度は表面で高く、二酸化シリコン膜の内
部になるに従ってその濃度が減少している。
【0029】本実験では、極めて短時間の熱処理で多孔
質シリコン領域を酸化して二酸化シリコン化するととも
に、典型的な屈折率増加用の不純物であるチタンを二酸
化シリコン膜の中に濃度分布に傾斜を持たせながら有効
に添加させうることが判明した。また、このチタンの濃
度分布の結果は表面で屈折率が高く、内部になるに従っ
て屈折率が減少することを如実に示している。
【0030】−実施例2− ホウ素(B)がドープされたp型シリコン基板の(10
0)面を陽極化成して多孔質化し、この多孔質化した一
主面側を酸化してシリコン基板の曲がりを調べた。シリ
コン基板へのドーピング濃度と陽極化成条件とは種々に
変化させた。
【0031】約1Ωcmのp型シリコン基板1を用いた
場合、陽極化成の電流密度と弗酸濃度とを如何に変えて
も、一主面側を酸化した後のシリコン基板は、図4
(b)に示すように、酸化膜31側が凹状となった。
【0032】他方、不純物を高濃度にドープした約0.
01Ωcmのシリコン基板1を用いた場合、一主面側を
酸化した後のシリコン基板1は、陽極化成条件により大
きく変化した。高弗酸濃度で低電流密度で陽極化成した
ものは、一主面側を酸化した後のシリコン基板1は、図
4(c)に示すように、酸化膜32が形成された一主面
側が凸状となった。逆に低弗酸濃度と高電流密度で陽極
化成したものは、一主面側を酸化した後のシリコン基板
1は、図4(b)のように、酸化膜31側が凹状となっ
た。
【0033】上記ようなシリコン基板における一主面側
の多孔質シリコン領域の多孔度を不活性ガスの吸着と脱
着法により調査した。酸化した後のシリコン基板1が凹
状となるものは、多孔度が60%以上のものであった。
逆に酸化した後にシリコン基板1が凸状となるものは多
孔度が50%以下のものであった。多孔度が55%近傍
では図4(a)のように、シリコン基板1の反りは非常
に小さく、酸化膜30とシリコン基板1との間の内部ス
トレスが小さいことを示していた。
【0034】−実施例3− ホウ素(B)のドープ密度が異なるp型シリコン基板の
(100)主面上にプラズマCVD法により窒化シリコ
ン膜を0.3μm堆積し、図1(a)と同様にフォトエ
ッチングにより3μm幅の開口部10を直線状に形成し
た。この窒化シリコン膜は、陽極化成時に化成電流を阻
止するための選択化成用マスクとして機能する。これら
マスクを形成したシリコン基板を、エタノールを添加し
た濃度の異なる弗酸電解液を用いて暗中で電流密度を変
えて陽極化成した。次に、選択陽極化成後の多孔質シリ
コン領域を酸化して二酸化シリコン膜の領域50を形成
した。
【0035】多孔質シリコン領域を酸化した後の試料の
断面形状を観察した。化成条件として多孔度が60%を
越えるものは二酸化シリコン膜の体積が収縮し、断面は
図5(b)のような様相を呈し、二酸化シリコン膜部の
上面はシリコン基板の最初の表面よりかなり陥没してい
た。逆に、多孔度が50%未満に対応するものは、図5
(c)に示すように、体積膨張が明らかに認められ、二
酸化シリコン膜の上面はシリコンの最初の表面11より
かなり盛り上がっていた。多孔度が55%近傍のもので
は、断面形状は図5(a)に示すように表面は平坦で体
積の収縮も膨張も認められなかった。すなわち二酸化シ
リコン膜の表面は、シリコン基板の最初の表面と実質上
同一面上にあった。この状態も二酸化シリコン膜の領域
と基板シリコンとの間の歪みが小さいことを示してい
る。
【0036】本実験では多孔質シリコン領域の多孔度に
よって酸化後の体積が顕著に変動することが判明した。
光集積回路においては光導波路と光ファイバーを極めて
精度良く接続することが要請される。その際の位置合わ
せの誤差は±約1μm程度である。シリコン基板1の最
初の表面11をその位置合わせの基準面に使用するため
には二酸化シリコン膜50a〜50cの体積膨張や体積
収縮による表面位置の変化を1μm以内に抑える必要が
ある。すなわちシリコン基板1の最初の表面位置から±
1μmが許容される二酸化シリコン膜50a〜50cの
体積変動の範囲である。
【0037】−実施例4− 第4の実施例を図1を参照しながら説明する。まず高濃
度にホウ素(B)がドープされた比抵抗0. 01Ωcm
のp+ シリコン基板1の(100)面11上にプラズマ
CVD法により窒化シリコン膜2を0.3μm堆積して
フォトエッチングにより3μm幅の開口部10を直線状
に形成した(図1(a))。次に、エタノールを添加し
た弗酸電解液を用い暗中で200mA/cm2 の電流密
度で陽極化成して多孔質シリコン領域3を形成した(図
1(b))。多孔質シリコン領域3の幅Wは約40μ
m、厚さDは約20μmであった。また多孔度は約55
%であった。
【0038】続いて、この主面上にチタンの有機金属塗
布材料をスピンオングラス法で形成して不純物含有層4
を形成した。その後、酸素雰囲気にて室温より順次昇温
して熱処理を行った。600℃までは乾燥酸素雰囲気
で、900℃以上では水蒸気を含有する酸素雰囲気で、
酸化処理と拡散又は固相溶融処理を行った。
【0039】続いて、上記基板上の光導波路長が20m
mとなるように基板を切断後に端面を研磨した。端面の
一端から1. 4μmの固体レーザー光を照射すると、他
端よりコア層にそって光が伝搬されたことを確認でき
た。
【0040】上記他端から測定された出射レーザー光の
強度分布を図2に示す。図2(a)は測定した導波路の
断面構造を示す。基本的には図1(d)と同一である。
図2(b)の曲線20は断面図(a)の上下方向に対す
る出射光の強度分布を、また図2(c)の曲線21は左
右方向の強度分布をそれぞれ示す。
【0041】図2(b)の強度分布は、図2(a)の導
波路の非対称構成を反映して僅かに非対称性を示してい
る。図2(c)に示す左右方向の分布は、上記領域3の
幅と厚さを反映し、光がマルチモードで伝搬しているこ
とを示している。しかし、光は明らかに本実施例の導波
路に沿って伝搬していることが判る。
【0042】マルチモード伝搬をシングルモード化する
ことは、導波路の寸法と屈折率を光の伝搬モードに合わ
せて制御すれば良く、単なる設計事項である。
【0043】他方、上記酸化工程の後に基板のソリを測
定した。有意なソリは観察されずほぼ平坦か酸化膜面が
僅かに凸状であり、全体としての基板のソリが極めて小
さいことを示していた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
結晶質シリコン基板の一主面上に絶縁膜を形成してその
一部を選択除去する工程、前記絶縁膜が除去された部分
を起点として前記結晶質シリコン基板内に選択的に多孔
質シリコン領域を形成する工程、前記結晶質シリコン基
板の一主面上に不純物元素またはその化合物を含有する
不純物含有層を形成する工程、前記不純物元素またはそ
の化合物を前記多孔質シリコン領域内のコア層となる領
域に拡散または固相溶融させるとともに前記多孔質シリ
コン領域を酸化する熱処理工程を有することから、従来
法に比べ以下の効果を有する。第1に工程が単純で短
い。第2に真に必要な部分のみを直接加工し、他の部分
を加工しない。従って、コア層の表面は基板の最初の表
面にあり、光集積回路・シリコンプラットフォームとし
て、ファイバーとの接続を考えたとき、接続基準面をシ
リコン基板の最初の表面に規定できる有利さを持つ。第
3に基板のソリ・曲りが小さいため大型のシリコン基板
を使用できる。第1〜第3の特長は光集積回路を安価且
つ大量に供給できる。また、第3の特長は簡易に高精度
の光ファイバーとの接続法を提供し、光通信網確立に資
するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光導波路の製造方法の一実施形態
を示す工程図である。
【図2】本発明の実施例4に係る光導波路から射出する
光の強度分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るチタンの濃度分布を示
す図である。
【図4】本発明の実施例2に係る多孔質シリコン領域の
多孔度と酸化後の基板曲がりとの関係を示す図であり、
(a)は多孔度が50〜60%の場合、(b)は多孔度
が60%を越える場合、(c)は多孔度が50%未満の
場合をそれぞれ示す。
【図5】本発明の実施例3に係る多孔質シリコン領域の
多孔度と酸化後の体積変化との関係を示す図であり、
(a)は多孔度が50〜60%の場合、(b)は多孔度
が60%を越える場合、(c)は多孔度が50%未満の
場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1:結晶質シリコン基板、2:絶縁膜、3:多孔質シリ
コン領域、4:不純物含有層、5:不純物を含有する領
域(コア層)、6:不純物を含有しないか相対的に濃度
が低い領域(下部クラッド層)10:絶縁膜の開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−211103(JP,A) 特開 平10−101321(JP,A) 特開 平8−335713(JP,A) 特開 平7−199243(JP,A) 特開 平7−104328(JP,A) 特開 昭60−119501(JP,A) 特開 昭59−45405(JP,A) 特開 平6−72729(JP,A) 特開 昭62−23006(JP,A) 特表 平6−501570(JP,A) 国際公開91/10931(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/10 - 6/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶質シリコン基板の一主面上に絶縁膜
    を形成してその一部を選択除去する工程、前記絶縁膜が
    除去された部分を起点として前記結晶質シリコン基板内
    に選択的に多孔質シリコン領域を形成する工程、前記結
    晶質シリコン基板の一主面上に不純物元素またはその化
    合物を含有する不純物含有層を形成する工程、前記不純
    物元素またはその化合物を前記多孔質シリコン領域内の
    コア層となる領域に拡散または固相溶融させるとともに
    前記多孔質シリコン領域を酸化する熱処理工程を有する
    ことを特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔質シリコン領域の多孔度が50
    〜60%であることを特徴とする請求項1に記載の光導
    波路の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記不純物含有層が金属元素のアルコラ
    ートまたは金属のアルコラートを原料とした有機金属材
    料を用いて形成されることを特徴をする請求項1又は請
    求項2に記載の光導波路の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多孔質シリコンが酸化された領域
    に、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、バリウム
    (Ba)、ビスマス(Bi)、カルシウム(Ca)、カ
    ドミウム(Cd)、セリウム(Ce)、セシウム(C
    s)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、
    ユウロピウム(Eu)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニ
    ウム(Hf)、インジウム(In)、ランタン(L
    a)、ルテチウム(Lu)、マグネシウム(Mg)、ニ
    オブ(Nb)、隣(P)、ルビジウム(Rb)、アンチ
    モン(Sb)、サマリウム(Sm)、錫(Sn)、スト
    ロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、チタン(T
    i)、タリウム(Tl)、イットリウム(Y)、イッテ
    ルビウム(Yb)、タングステン(W)、亜鉛(Z
    n)、ジルコニウム(Zr)の群の一種または複数の元
    素を含有させることを特徴とする請求項1乃至請求項3
    に記載の光導波路の製造方法。
  5. 【請求項5】 多孔質シリコンを形成するシリコン基板
    が比抵抗0.1Ωcm以下のp型伝導性を示すことを特
    徴とする請求項1に記載の光導波路の製造方法。
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