JP3398292B2 - 光導波路の形成方法 - Google Patents

光導波路の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は光導波路の形成方法
に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、光ファイバケーブルや光導波路などの光伝送路に
は、ガラスやプラスチックなどの透光性材料が用いられ
ている。 【0003】この光ファイバケーブルはシングルモード
の光を伝送し、8〜10μm程度の径を有するコア部と
これを取り囲む125μm程度の外径を有するクラッド
部により構成される。コア部はクラッド部よりも屈折率
が通常0.5%程度大きく設定される。このような条件
は、相対的に屈折率の小さいクラッド部によって、コア
部を伝わる光がコア部内に効率よく閉じ込められるよう
にするための物理的要請から定められるものである。 【0004】現状の光ファイバケーブルでは、コア部に
用いるガラス材料の純度を向上させることで、導波損失
を0.16dB/km程度まで低くすることができるよ
うになった。しかしながら、光ファイバから他のデバイ
スへの接続点においては、その形状や大きさの違いか
ら、光の損失は0.1〜2.5dB/点と大きい。 【0005】また、平面光導波路においても、導波損失
は0.1dB/cm程度まで低くなったが、接続損失は
0.1〜2.5dB/点と依然として大きい。平面光導
波路においては、光ファイバとの接続損失を考慮して、
通常コア部とクラッド部の屈折率差を0.25%程度に
してコア層の幅を約8μm程度にするが、この条件では
導波路の曲がり部において導波損失が大きくなることか
ら、導波路の曲がり部における曲げ半径は25mm以上
必要であった。 【0006】このような接続損失の問題を回避するため
に、接続点にレンズを設け、一方の光伝送路から出射し
た光を絞って他の光伝送路へ入射させるような工夫もさ
れている。しかしながら、すべての接続点にレンズを設
けることは、その軸合せなどが困難であることや装置の
小型化の要求を満足させることができないという問題を
誘発する。また、コア部とクラッド部の屈折率差を0.
75〜2.0%程度まで大きくして曲がり部の導波損失
を減らす工夫もされている。しかしながら、コア部とク
ラッド部の屈折率差を大きくすると、シングルモードの
光を導波させるためにコア部の径を6〜4μm程度と小
さくしなければならず、接続損失が大きくなるという欠
点があった。 【0007】本発明は、このような従来技術における接
続損失と曲がり部での導波損失が大きいという問題点を
解消した光導波路の形成方法を提供することを目的とす
る。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る光導波路の形成方法では、一端部から
光信号が入力されると共に、他の端部から光信号が出力
されるコア部とクラッド部から成り、前記光信号が入力
される一端部付近のコア部の横断面を前記他の端部付近
のコア部の横断面よりも大きくすると共に、この一端部
付近のコア部とクラッド部の屈折率差を前記他の端部付
近のコア部とクラッド部の屈折率差よりも小さくした光
導波路の形成方法において、前記光導波路のコア部とな
る部分のみ開口したマスク層をシリコン基板上に設けて
陽極化成処理でコア部となる部分を多孔質化し、前記光
信号が入力される一端部付近はドーピングする不純物の
塗布量を少なくすると共に、前記他の端部付近はドーピ
ングする不純物の塗布量を多くして熱酸化処理を行うこ
とを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づき
詳細に説明する。 【0010】図1は、本発明に係る方法によって形成さ
れる光導波路の断面図である。入射端部側1のコア部3
の横断面(径)を大きくすると共に屈折率を低くするこ
とで形状や大きさの違いによる光漏れや光軸のずれによ
って起こる反射による損失を減らし、結果として接続損
失を減少させることができる。 【0011】すなわち、入射側端部1近傍のコア部3の
径(横断面)を出射側端部2の径(横断面)よりも大き
くし、同時に入射側端部1近傍のコア部3とクラッド部
4の屈折率差を出射側端部2近傍のコア部3とクラッド
部4の屈折率差よりも低くする。ちなみに、コア部3と
クラッド部4との屈折率差は、コア部3の径に比例し、
例えばコア部3の径が8μmの場合コア部3とクラッド
部4の屈折率差は0.25%となり、コア部3の径が6
μmの場合コア部3とクラッド部4の屈折率差は0.7
5%となり、コア部3の径が5μmの場合コア部3とク
ラッド部4の屈折率差は1.5%となり、コア部3の径
が4μmの場合コア部3とクラッド部4の屈折率差は
2.0%となる。このように光導波路の入射側端部1近
傍のコア部3の径を出射側端部2の径よりも大きくする
と、入出力部の大きさの違いによる光漏れや光軸のずれ
によって起こる反射損失を低減でき、結果として接続損
失を低減できる。つまり、出射部2の径が入射部3の径
よりも1μm小さい場合は1μmの位置ずれが許容でき
ることになり、位置合わせが容易になる。 【0012】図2〜図4は、多孔質シリコン酸化法によ
る光導波路の作製方法を示す図である。図2は光導波路
の入力端部側の断面工程図、図3は光導波路の中央部の
断面工程図、図4は光導波路の出力端部側の断面工程図
である。図2(a)に示すように、シリコン基板上に、
光導波路のコア部となる部分のみ開口したマスク層10
を設ける。このマスク層10は、陽極化成処理で高濃度
のフッ酸溶液を用いるため、耐フッ酸性が必要である。
耐フッ酸性の層としては、Au、Pt、a−Si、Si
Nなどの他、レジストなどの有機膜でも可能である。ま
たp型基板を用いる場合には、基板表面に不純物をドー
ピングすることでn型にすればマスクとなる。さらにこ
れらの膜を多層構造にして耐性を増すことが可能であ
る。 【0013】シリコン基板10aとしては、p型、n型
いずれでも可能である。次に、図25(b)に示すよう
に、陽極化成処理法でコア部となる部分11を多孔質化
する。陽極化成処理で用いるフッ酸溶液はフッ化水素酸
/エタノール/水の混合液であり、フッ化水素酸濃度は
15〜50%である。シリコン基板10aを陽極として
化成処理をする。この時の電流密度は、10〜250m
A/cm2である。n型のシリコン基板10aを用いる
場合は化成中にタングステンランプなどにより光を照射
する必要があるが、p型シリコン基板10aを用いる場
合は光照射の必要はない。多孔質シリコン11が15〜
20μmの深さまで達すれば化成処理を終える。この厚
みがコア部とクラッド部の径となるので、導波する光が
シングルモードとなるように、下記に述べるドープ量と
コア部の径を調整する必要がある。多孔質シリコン11
の酸化による体積膨張を考慮して、多孔度を45〜60
%に調整する。 【0014】次に、図2(c)(d)に示すように、不
純物12のドーピングを行う。不純物12としては、B
e、Mg、Al、Cd、Y、Zr、Pb、Ti、La、
Nb、S、B、Sr、Geやそれらの酸化物、それらを
含む化合物があり、基板上に蒸着法、スピンコート法、
電着法などの方法で成膜する。ドーピング量は、ドープ
材料によって異なる。通常はコア部とクラッド部(Si
2)の比屈折率差(△n(%))が0.25〜2.0
程度になるように、不純物12のドーピングを行う。図
1における光導波路の入射端部側1は屈折率が低くなる
ように、図6(c)に示すようにドーピングする不純物
12の塗布量を減らし、逆に出射端部側2では、図4
(c)に示すように不純物12の塗布量を増やす。 【0015】熱酸化処理を行うことによって多孔質シリ
コン11を石英ガラスにする。酸化温度は通常1050
〜950℃であり、酸素又は水蒸気雰囲気中で0.5〜
2時間程度行う。熱処理により多孔質シリコン11が酸
化された時に、塗布した不純物12が内部に拡散してコ
ア部の屈折率を制御することができる。上部クラッド層
9を設ける必要がある場合は、スピンオングラス法、C
VD法、或いはFHD法などの方法で設けることが可能
である。 【0016】 【実施例1】抵抗0.01Ω・cm以下のn+型シリコ
ン基板を用いて、導波路を作製した。シリコン基板の面
方位は<100>である。基板表面に、MOCVDによ
り、SiN膜を2000Åとa−Si膜を1000Åの
厚みまで成膜した。 【0017】コアとなる部分のマスクをフォトリソグラ
フィ技術を用いて開口した。コア部の目標断面形状は、
光導波路の直線部では幅*深さ=8*8〜10*10
(μm)であるが、入射部では、12*12(μm)、
出射部では6*6(μm)、また曲がり部では4*4
(μm)である。この形状を得るために、マスクの開口
部の幅は直線部で2μm、入射部で4μm、出射部で1
μm、曲がり部で0.6μmとした。これはマスク開口
部から、基板内部に下方向のみならず横方向にも多孔質
化が進むために、開口部を十分に細くする必要があるた
めである。a−Siのエッチングマスクとして、レジス
ト材料を用いた。エッチングは、フッ硝酸溶液(フッ
酸:硝酸:水=1:20:5)を用いて行った。 【0018】a−Siのエッチング後、陽極化成処理を
行った。陽極化成は、図5に示す治具を用いて行った。
図5中、16は電極、17は電解液、18は電源、19
は陽極化成治具である。この治具19を用いれば、陰極
側と陽極側の電解液17は、シリコン基板10aを介し
て分離されている。陰極電極が入った電解液17がシリ
コン基板10aの表面から多孔質化することができる。
電解液17として、フッ酸30%(フッ酸:エタノー
ル:水=6:7:7)溶液を用いた。陽極化成処理時の
電流密度は、30mA・cmで、5分間の処理を行っ
た。シリコン基板10aの多孔質化は、a−Siのマス
ク開口部から、シリコン基板10a内に深さ方向約9μ
mまで進んだ。 【0019】単金属酸化物薄膜用塗布材料をドーピング
材料としてシリコン基板10aの表面にスピンコート法
で塗布した。このドーピング材料は焼成後に溶剤などが
蒸発して酸化チタン(TiO2)の膜がシリコン基板1
0a上に残る。ドーピング材料を塗布した後、120℃
のクリンオ−ブンで10分間仮焼成し、さらに600℃
で30分間本焼成した。 【0020】レジスト材料をマスクとして硫酸でTiO
2膜の不要な部分をエッチング除去した後に、酸化処理
を行った。酸素雰囲気中300℃で1時間、水蒸気雰囲
気中900℃で1時間、水蒸気雰囲気中1050℃で1
時間行った。この後室温まで自然冷却した。上部クラッ
ド層はスピンオングラス法により成膜した。上記熱処理
によって多孔質シリコンが酸化されて石英ガラスになっ
た。同時に先に塗布したTiO2が石英ガラス中に拡散
し、図6に示すように適度な濃度勾配を持つ光導波路と
なった。なお、図6は、光導波27におけるTi不純物
の拡散深さと拡散濃度との関係を示す図である。 【0021】 【発明の効果】以上のように、本発明に係る光導波路の
形成方法によれば、光導波路のコア部となる部分のみ開
口したマスク層をシリコン基板上に設けて陽極化成処理
でコア部となる部分を多孔質化し、前記光信号が入力さ
れる一端部付近はドーピングする不純物の塗布量を少な
くすると共に、前記他の端部付近はドーピングする不純
物の塗布量を多くして熱酸化処理を行うことによって、
光信号が入力される一端部付近のコア部の横断面を他の
端部付近のコア部の横断面よりも大きくすると共に、こ
の一端部付近のコア部とクラッド部の屈折率差を他の端
部付近のコア部とクラッド部の屈折率差よりも小さくす
ることから、光入出力部の位置ずれによって起こる光漏
れや光軸のずれによって起こる反射損失を低減でき、結
果として接続損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る方法によって形成される光導波路
の断面図と屈折率分布を示す図である。 【図2】本発明に係る光導波路の形成方法による入力端
部側の製造工程を示す図である。 【図3】本発明に係る光導波路の形成方法による中央部
の製造工程を示す図である。 【図4】本発明に係る光導波路の形成方法による出力端
部側の製造工程を示す図である。 【図5】本発明に係る光導波路の形成方法に用いられる
製造装置を示す図である。 【図6】本発明に係る光導波路の形成方法における不純
物の拡散深さと拡散濃度との関係を示す図である。 【符号の説明】 1・・・入力側端部、2・・・出力側端部、3・・・コ
ア部、4・・・クラッド部、10a・・・シリコン基板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−10204(JP,A) 特開 平4−220609(JP,A) 特開 平4−43306(JP,A) 特開 昭58−120208(JP,A) 特開 平10−133048(JP,A) 特開 平10−133047(JP,A) 実開 平3−98403(JP,U) 国際公開91/10931(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/02 G02B 6/10 - 6/22 G02B 6/44

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一端部から光信号が入力されると共に、
    他の端部から光信号が出力されるコア部とクラッド部か
    ら成り、前記光信号が入力される一端部付近のコア部の
    横断面を前記他の端部付近のコア部の横断面よりも大き
    くすると共に、この一端部付近のコア部とクラッド部の
    屈折率差を前記他の端部付近のコア部とクラッド部の屈
    折率差よりも小さくした光導波路の形成方法において、
    前記光導波路のコア部となる部分のみ開口したマスク層
    をシリコン基板上に設けて陽極化成処理でコア部となる
    部分を多孔質化し、前記光信号が入力される一端部付近
    はドーピングする不純物の塗布量を少なくすると共に、
    前記他の端部付近はドーピングする不純物の塗布量を多
    くして熱酸化処理を行うことを特徴とする光導波路の形
    成方法。
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