JP4653932B2 - 車両ホイール用リムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は車両ホイールに関し、より詳しくはホイールリムの改善された製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
米国特許第5 579 578号には、車両用ホイールリムの製造方法が開示されており、該方法は次の作業、すなわち、
・金属板のブランクから矩形の形状を切断する作業、
・ブランクを曲げて円筒状フープを得る作業、
・フープの両自由縁部を一体に溶接する作業、
・フープのサイズを所与の直径に定める作業、
・フープに円筒状のフロースピニング作業を施して、軸線方向両端部および薄い中間ゾーンを備えたフープのプロファイルを得る作業、
・一連の圧延作業によりフープをプロファイリングしてリムを得る作業、および
・該リムを較正する作業
を有している。
この米国特許には、圧延作業の前にフロースピニング作業を行なうことにより、適度の製造公差をもつホイールリムが得られることが開示されている。
【0003】
しかしながら、ホイールリムのフープにフロースピニング作業を施すと、フープの軸線方向幅が、フープの円周上で変化する傾向を有する。或る場合には、フープの縁部により形成される平面とフープの軸線により形成される平面との間の直角度の欠陥も観察される。これらの変化および欠陥は、フープの次の圧延作業中に不安定性を引起こすことがあり、かつバランスウェイトをホイールの所定位置に取付けることを困難にする。
【0004】
(発明の開示)
本発明は、ホイールリムの製造変化を大幅に低下させることができるホイールリムの改善された製造方法に関する。本発明の方法はまた、より軽量のホイールを得ることができる。
【0005】
本発明による車両ホイール用金属板リムの製造方法は、次の工程、すなわち、
金属板のブランクから矩形の形状を切出す工程と、
ブランクを曲げて円筒状フープを得る工程と、
フープの両自由縁部を一体に溶接する工程と、
少なくとも1回円筒状フロースピニング作業を行なって、フープの所与の厚さのプロファイルを得る工程とを有し、一定厚さのゾーンが変化する厚さのゾーンに隣接しており、
フープの少なくとも1つの側縁部から、フープの軸線に対して垂直な切断を行なう工程と、
フープを圧延によりプロファイリングしてリムを得る工程と、
リムを較正する工程とを更に有している。
【0006】
円筒状フロースピニング作業後にフープの少なくとも1つの側縁部を、フープの軸線に対して垂直に切断する作業は、完成リムの両端部の過剰厚さの全部または一部を除去でき、従ってリムの最終重量を軽減できるという長所を有する。フロースピニング作業中に厚さを減少させることは、フープの両側縁部に適用することはできないことに留意すべきである。かくして、この厚さは、必然的に金属出発ブランクの厚さに等しくなる。この作業はまた、フープの縁部が適正に平らになること、およびこの平面が同じフープの軸線に対して直角になることを確保する。
【0007】
切断作業はリムの内側(すなわち、車両の内側を向くことを意図した側)から行なわれる。これには、外側フックよりも衝撃に曝されることが少ない内側フックの厚さを減少させるという長所がある。
切断作業は、フープの両側縁部に適用することもできる。この場合の長所は、リムの重量低減を最大限にできること、およびフープの側縁部の優れた平面度およびフープの軸線方向幅の顕著な規則性が得られることである。
【0008】
フープの縁部で、フロースピニングを受けないゾーンの一部のみを切断することができる。この場合には、得られるフープの形状的クオリティに関連するあらゆる長所が得られるが、重量の軽減は制限される。
また、フープの縁部で、フロースピニングを受けるゾーンの少なくとも一部を切断することもできる。この場合、完成リムは重量に関して特に優れた長所を有する。
【0009】
有利な実施形態によれば、フープの一縁部の切断平面は、フロースピニング作業後にフープのプロファイル上の特徴点を基準として定められる。この特徴点は、より詳しくは、一定厚さのゾーンと厚さが変化するゾーンとの間の遷移点である。
かくして、フープのフロースパンゾーンと縁部との間の遷移ゾーンの位置を調節することができる。これにより、完成リムの寸法公差の遵守が改善される。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、添付図面を参照して、本発明の多くの実施形態を説明する。
図1は、鋼板からなる慣用ホイールの部分断面図である。このホイール1は、リム2およびディスク3を有している。この図面は、ホイール1の正中面Pを示している。この正中面Pは,リムの両フックから等距離に位置している。軸線方向内側位置および軸線方向外側位置とは、正中面Pに関して定義される。
【0011】
リム2は、外側フック4、外側シート5、ハンプ6、装着溝7、内側シート9および内側フック10を有している。ディスク3は、ハブ支持面11、遷移ゾーン12および組付縁部13を有している。組付けは、装着溝7の下に組付縁部13を嵌合することにより行なわれる。
この図面には、ホイール1の回転軸線Aも示されている。
以下の説明において、本発明のホイールの同じ部分については同じ参照番号を使用する。
【0012】
図2には、本発明によるホイールリムの製造方法が示されている。最初に、鋼、アルミニウムまたは合金からなる金属板ブランク(図示せず)が、両自由縁部をもつほぼ円筒状のフープ形状14になるように曲げられる。次に、フープ14が、フラッシュ溶接、抵抗溶接または他の溶接方法により溶接される。このフープ14は一定厚さを有している(図3)。次に、フープ14は、図4に概略的に示すサイジング工具を用いて所定サイズに拡大するのが好ましい。この拡大は、フープ14に通されるセクタ16を拡離移動させるカム15を変位させることにより行なわれる。図5には、円筒状フロースピニングにより本発明のリムに望まれる平らなプロファイルを得る次の工程が示されている。ここで使用するフロースピニング方法は、リバースフロースピニングである。フープ14はマンドレル17上に取付けられて、フープ14を固定する装置18の壁に当接される。次にマンドレル17が回転され、厚さを薄くすべきゾーンのフープ14の半径方向外面上で少なくとも2つのロール19が転がる。ロール19は、マンドレル17に対して軸線XYのXの方向に沿って軸線方向に変位され、材料がYの方向に流れるように、半径方向かつ接線方向の力を加える。この材料の流れ方向は、ロール19の変位方向とは逆である。図5には、プロファイルが変化されたフープ20が概略的に示されている。
【0013】
このリバースフロースピニング方法では、フープ全体の厚さを減少させることはできない。実際に、フープの両側には、フロースピニングを受けないゾーンが残されてしまう。フープ全体の厚さを減少させることは、ロールが作用する側では、フープを不安定化させかつロールに損傷を与える危険をもたらすことがある。フープを固定しかつストップとして作用する装置を有する側では、装置がフープの縁部をクランプしかつスピニング作業中にフープを回転できるようにするため、軸線方向幅Lminiのゾーンを残しておかなくてはならない。
【0014】
図6には、フープ20がフロースピニング作業後に損害を受け易いという第一の欠陥が示されている。この欠陥は、フープ20の軸線方向幅の局部的変化の形態をなすものである。これらの変化は、特に、ロールが作用する側で観察される。縁部24は完全な円筒状ではなく、その軸線方向位置に局部的変化を有している。これらの変化は、当然に、リムのプロファイルに或る効果を及ぼす。かくして、フックの縁部のプロファイルに変化を生じさせ、このため、所定位置にバランスウェイトを位置決めしまたは固定することが困難になる。
フロースピニング作業後にフープの両縁部の切断作業を遂行することにより、フープ上の全ての位置で、フープに一定幅を確保できる。
【0015】
図7には、観察される第二の欠陥、すなわち、フープ20の縁部24により定められる平面と、フープ20の軸線により定められる平面との直角度の欠陥が示されている。これらの2つの平面間の角度αは、1〜2度に達するであろう。
フロースピニング後にフープの縁部の切断を遂行すると、この縁部により定められる平面がこのフープの軸線に対して直角になることを確保できる。
【0016】
図8には第三の欠陥が示されている。この図面には、2つのフープ25、26の一部のプロファイルが示されている。これらの2つのプロファイルは、マンドレルに当接する側(図面の左側)の、フロースピニングを受けないゾーンの長さが異なる点を除き、実質的に同じである。これらのゾーン(フープ25についてはゾーン27およびフープ26についてはゾーン28)は、長さdだけ異なっている。この偏差は、出発ブランクの厚さの点での両フープ間の差によるものである。フープ26の出発ブランクの厚さは、フープ25の厚さより大きい。初期厚さにこの差があるにもかかわらず、フロースピニング後は、両フープのプロファイルは実質的に同一になる。なぜならば、ロールの相対変位はフロースピニングを受けるゾーンの軸線方向の長さ増大にリンクしているからである。これに対し、同じ軸線方向幅をもつフープについては、フロースピニングを有効に受けるゾーンは、厚いフープほど軸線方向に小さくなる。15インチ(381mm)の直径をもつ乗用車用ホイールリムの場合には、0.05mmの厚さの変化により、当接側のフロースピニングを受けないゾーンに、5mmの軸線方向幅の変化を生じさせる。
【0017】
この問題は、基準として、フロースピニング後のフープのプロファイル上に特徴点Rをとり、フープの縁部を切断するための平面D1、D2の位置を定めることにより除去される。この点Rは、図8に示すように、厚さ変化ゾーンおよび一定厚さゾーンに隣接した位置にとるのが有効である。正確にするため、プロファイルをチェックする装置を使用して、1つまたは2つの切断平面の位置を適宜決定する。基準として、ロールが作用する側のフープの縁部をとることは不可能であることに留意すべきである。なぜならば、この縁部は、前述のように、変化および波形変形を最も受け易い縁部だからである。
【0018】
図9(a)には、フロースピニング作業後のフープ20の一方の端部のプロファイルが概略的に示されている。このプロファイルは、軸線方向幅Lminiおよび出発ブランクの厚さに等しい厚さeをもつ、フロースピニングを受けない外側ゾーン21と、厚さが徐々に減少する遷移ゾーン22と、薄い厚さe1をもつゾーン23とを有している。図9(b)には、ロールプロファイリング作業後に得られたリムの外側縁部のプロファイルを示す。第一ゾーン21はリムフック4の縁部31に一致し、薄い厚さのゾーン23はリムのシート5およびフック開始部29に一致し、かつ遷移ゾーン22は中間ゾーン30に一致する。かくして、リムのフック4は3つの隣接ゾーン、すなわち、シート5の厚さと同じ薄い厚さをもつゾーン29と、厚さが徐々に増大する遷移ゾーン30と、出発ブランクの厚さと同じ厚さeをもつゾーン31とを有する。
かくして、図9(b)のフック4は過剰の厚さを示すが、この厚さは、対象ホイールの種類に基いて、このようにしてもよいし、必ずしもそうする必要はない。
【0019】
図10および図11には、異なる切断作業から得られる2つの形状が示されている。図10の場合には、切断平面Dは、フロースピニングを受けずかつ厚さeをもつゾーン21と、厚さeと厚さe1との間で変化する厚さをもつ遷移ゾーン22とが出合う位置から軸線方向間隔Lを隔てた位置にある。この結果、切断作業後に、フック4は薄い厚さeをもつゾーン32を有するものとなる。従ってリムは、フックの切断が行なわれないリムに比べて、軽量になる
【0020】
図11では、切断平面は、厚さをeからe1に薄くするためにフロースピニングを受けたゾーン23の内側にある。従って、プロファイリング作業後に得られるフックは、その全長に亘って同一である。このためリムは、フックの切断が行なわれないリムに比べて、軽量になり、かつ図10のリムに比べても軽量になるため、重量が最大限に低減される
図9〜図11をより明瞭にするため、フープの軸線に対して垂直方向の縮尺は、フープの軸線方向の縮尺の5倍になっていることに留意すべきである。
【0021】
フープの縁部の切断は、任意の適当な方法、より詳しくはターニングまたはロールカッティングにより行なうことができる。
フープのロールプロファイリング作業の後で、このようにして得られたリムは較正され、次に適当なディスク上に嵌合される。
【0022】
図2には、リムの嵌合ゾーンの機械加工工程が示されている。この工程は任意のものである。この工程の目的は、精密な組立ての場合に、嵌合ゾーンの円筒状の形状を最適化することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 装着溝の下で組付けられた慣用リムを示す断面図である。
【図2】 本発明によるホイールの製造方法の種々の工程を示す図面である。
【図3】 本発明によるリムの製造方法の種々の工程の1つを示す概略図である。
【図4】 本発明によるリムの製造方法の種々の工程の1つを示す概略図である。
【図5】 本発明によるリムの製造方法の種々の工程の1つを示す概略図である。
【図6】 フロースピニング作業後に遭遇する第一形式の欠陥を示す概略図である。
【図7】 フロースピニング作業後に遭遇する第二形式の欠陥を示す概略図である。
【図8】 フロースピニング作業後に遭遇する第三形式の欠陥を示す概略図である。
【図9(a)】 フロースピニング作業後のリムフックに一致する第一フープの詳細を示す概略図である。
【図9(b)】 図9(a)の第一フープから得られるプロファイリング後のリムの一部を示す概略図である。
【図10(a)】 フロースピニング作業後のリムフックに一致する第二フープの詳細を示す概略図である。
【図10(b)】 図10(a)の第二フープから得られるプロファイリング後のリムの一部を示す概略図である。
【図11(a)】 フロースピニング作業後のリムフックに一致する第三フープの詳細を示す概略図である。
【図11(b)】 図10(a)の第三フープから得られるプロファイリング後のリムの一部を示す概略図である。

Claims (6)

  1. 金属板のブランクから矩形の形状を切出す工程と、
    ブランクを曲げて円筒状フープ(14)を得る工程と、
    フープ(14)の両自由縁部を一体に溶接する工程と、
    少なくとも1回円筒状フロースピニング作業を行なって、フープ(20、25、26)の所与の厚さのプロファイルを得る工程とを有し、一定厚さのゾーンが変化する厚さのゾーンに隣接しており、
    フープ(20、25、26)の少なくとも1つの側縁部から、フープ(20、25、26)の軸線に対して垂直な切断を行なう工程と、
    フープ(20、25、26)を圧延によりプロファイリングしてリム(2)を得る工程と、
    リム(2)を較正する工程とを更に有し、
    前記フープ(20、25、26)の縁部の切断平面を、フロースピニング作業後のフープ(20、25、26)のプロファイル上の特徴点を基準として定め、該特徴点は、一定厚さのゾーンと変化する厚さのゾーンとの間の遷移点に一致することを特徴とする車両ホイール用金属板リムの製造方法。
  2. 前記リム(2)が内側および外側を有し、リム(2)の内側に一致するフープ(20、25、26)の側縁部が切断されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記フープ(20、25、26)の両側縁部が切断されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. フロースピニングを受けないゾーン(21、27、28)の一部がフープ(20、25、26)の縁部で切断されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. フロースピニングを受けるゾーンの少なくとも一部がフープ(20、25、26)の縁部で切断されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記フープ(20、25、26)の両自由縁部が一体に溶接された後に、フープ(20、25、26)が較正されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
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