JP4653903B2 - サリチリデンアニリン系重合体、その製造方法及びそれを用いたマルチカラー発光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なサリチリデンアニリン系重合体、その製造方法及びそれを用いたマルチカラー発光材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、励起波長の変化に応じて、マルチカラー発光が可能なサリチリデンアニリン系重合体、このものを効率よく製造する方法、及び前記サリチリデンアニリン系重合体を含み、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略記する。)素子などの材料として有用なマルチカラー発光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電界発光を利用したEL素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いてなる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素子とがあり、このうち、特に有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうる上、小型化が容易であって、消費電力が小さく、面発光が可能であり、かつ三原色発光も容易であることから、次世代の発光素子としてその実用化研究が積極的になされている。
この有機EL素子の構成については、陽極/有機発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成のものが知られている。
このような有機EL素子を実用化する場合の最大の課題は、フルカラー化の方法の開発である。有機EL素子を用いてフルカラー表示を行うためには、現時点では以下に示すように、素子の複雑化が要求される。その理由は、マルチカラー発光が可能で、かつ十分な蛍光収率を有する化合物が皆無に等しいからである。
有機EL素子を用いたフルカラーディスプレイの実現には、青・緑・赤色の三原色の発光を二次元方向に微細に配列しなければならず、現在以下のような方法が提案されている。
▲1▼ 三色配列法
▲2▼ カラーフィルター法
▲3▼ 色変換膜法
前記▲1▼の方法は、三原色の発光源を使用した3画素で一つのカラー画素を構成する方法であるが、有機EL素子は湿式のパターニングを行いにくいので、高精細のディスプレイを作製しにくいという欠点がある。
前記▲2▼の方法は白色光源を用い、カラーフィルターによって色変換を行わせ、三原色を得る方法である。この方法は、パターニングは容易であるが、得られる各色の輝度が白色光源輝度よりも著しく減るという欠点がある。
また、前記▲3▼の方法は前記▲2▼の方法と似ているが、光源に青色光を用いているのが特徴である。この方法は、光源である青色光によって励起された色素の蛍光によって緑色・赤色を発光させるため、カラーフィルター法に比べ輝度の損失が少ないが、やはり輝度の損失は免れない。
単一の化合物で複数の蛍光を生み出すためには、複数の励起状態を得る化合物を用いる必要があるが、このような化合物は極めて稀である。また、複数の励起状態を有する場合でも、励起種からの発光は、最もバンドギャップの小さい励起種からのみ起こるため、単一の化合物によるマルチカラー発光は原理的に極めて困難である。したがって、マルチカラー発光可能な化合物を開発することは、学術的に興味深いのみならず、有機EL素子のフルカラー表示用材料などとして期待でき、工業面においても実用的価値が高い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、励起波長の変化に応じて、マルチカラー発光が可能である新規な有機重合体、このものを効率よく製造する方法及び該有機重合体の用途を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するサリチリデンアニリン系重合体は、新規な化合物であって、励起波長の変化に応じて、例えば緑から黄色、そして赤橙色の発光を示し、マルチカラー発光が可能であり、マルチカラー発光材料として、有機EL素子などに有用であること、そして該サリチリデンアニリン系重合体は、2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物と芳香族ジアミン化合物を縮合させることにより、効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【化5】
(式中のR1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、直接に若しくは酸素原子を介してベンゼン環の炭素原子に結合する炭素数1〜20の炭化水素基又はベンゼン環と共に縮合芳香環若しくはヘテロ芳香環を形成する基である。)
で表される構造単位を有するサリチリデンアニリン系重合体、
(2)一般式(II)
【化6】
(式中のR2は前記と同じ意味をもつ。)
で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物と、一般式(III)
【化7】
(式中のR1は前記と同じ意味をもつ。)
で表される芳香族ジアミン化合物を縮合させることを特徴とする、一般式(I)
【化8】
(式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ。)
で表される構造単位を有するサリチリデンアニリン系重合体の製造方法、及び
(3)第1項記載のサリチリデンアニリン系重合体を含むことを特徴とするマルチカラー発光材料、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のサリチリデンアニリン系重合体は、一般式(I)
【化9】
で表される構造単位を有する新規な重合体である。
前記一般式(I)において、R1及びR2は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、直接に若しくは酸素原子を介してベンゼン環の炭素原子に結合する炭素数1〜20の炭化水素基又はベンゼン環と共に縮合芳香環若しくはヘテロ芳香環を形成する基である。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、その中のアルキル基の炭素数1〜10のものが好ましく、また該アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。このアルコキシカルボニル基の例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ヘキソキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0006】
また、ベンゼン環の炭素原子に直接に若しくは酸素原子を介して結合する炭素数1〜20の炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、環上に適当な置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基又は環上に適当な置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基などを挙げることができる。このような炭化水素基の具体例としては、メチル基やエチル基、各種のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、さらにはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、メチルベンジル基などが挙げられる。
さらに、ベンゼン環とR1又はR2とで形成される縮合芳香環としては、例えばインデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどの環構造が挙げられ、ベンゼン環とR1又はR2とで形成されるヘテロ芳香環としては、例えばインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、クロマンなどの環構造が挙げられる。このR1とR2は、たがいに同一であっても、異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表される構造単位の例としては、
【化10】
【化11】
で表される構造のものなどが挙げられる。
本発明のサリチリデンアニリン系重合体の分子量は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定されるポリスチレン換算の数平均分子量で、通常500〜50,000、好ましくは700〜10,000の範囲である。
【0007】
前記一般式(I)で表される構造単位を有するサリチリデンアニリン系重合体は、励起波長の変化に応じて、複数の蛍光色を発する性質を有している。例えば数平均分子量1,000〜2,000の前記化合物(1)の場合、溶液中において、励起波長の変化に応じて緑から黄色、そして赤橙色の発光を示す。このマルチカラー発光の原因については、必ずしも明らかではないが、以下に示すことが考えられる。
蛍光スペクトル及び励起スペクトルから推察すると、励起状態は少なくとも三つあるといえる。一つは370〜470nmに明確な基準振動に基づくものである。この発光領域は、通常肉眼では観測しにくいため、発光色への影響は少ない。残りは530nm及び580nm付近に観測される第二及び第三の励起状態である。360nmで励起した場合、まず第一の励起状態から第二の及び第三の励起状態へエネルギー移動が生じ、第二の励起状態からの発光が主となり、緑色の発光が観測される。この際、第三の励起状態へのエネルギー移動は比較的遅いものと思われる。同様に390nmで励起した場合、第一の励起状態から第二の励起状態へエネルギー移動が生じるが、この励起光によって第三の励起状態が作られるものと思われる。したがって、390nmで励起した場合、長波長領域の蛍光に肩が観測される。これが黄色発光の原因と思われる。420nmで励起した場合には、第三の励起種のみが発生し、その結果赤橙色の発光が観測される。なお、500nm以降の可視光領域の発光は、主鎖に存在するサリチリデンアニリンユニットの励起状態プロトン移動反応に基づくものと思われる。
このように、複数のバンドが存在する一つの理由として、主鎖の構造が規制されていない(Head−to−Head、Head−to−Tail)ことが考えられる。すなわち、一つのサリチリデンアニリンユニットに着目した場合、隣接するユニットの構造に基づいて3種類の構造が可能である。このため、励起状態プロトン移動反応は、原理的に3種類存在し得る。これが複数バンド、すなわちマルチカラー発光の原因となるものと思われる。
【0008】
次に、本発明のサリチリデンアニリン系重合体の製造方法について説明する。本発明方法においては、一般式(II)
【化12】
(式中のR2は前記と同じ意味をもつ。)
で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物と、一般式(III)
【化13】
(式中のR1は前記と同じ意味をもつ。)
で表される芳香族ジアミン化合物を縮合させることにより、前記一般式(I)で表される構造単位を有する、本発明のサリチリデンアニリン系重合体が得られる。
この際、適当な溶媒中において、リチウム塩などの触媒の存在下、前記一般式(II)で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物と一般式(III)で表される芳香族ジアミン化合物を、実質上化学量論的量の割合で、0〜100℃程度の温度にて反応させる方法を用いることができる。
このようにして反応を行ったのち、反応液を貧溶媒、例えば水−メタノール混合液中に投入し、生成した沈殿をろ過などの手段により取り出して洗浄、乾燥処理することにより、目的のサリチリデンアニリン系重合体が得られる。
【0009】
上記反応に用いられる溶媒としては、例えばヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料の一般式(II)で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物は、例えば以下に示す反応式
【化14】
(式中のR2は前記と同じ意味をもち、その結合位置は、メトキシ基又はヒドロキシ基に対して3位、4位又は6位である。)
に従って製造することができる。
まず、アニソール化合物(IV)をジヨード化して、2,5−ジヨードアニソール化合物(V)を得る。次いで、これにアルキルリチウムを反応させてリチオ化したのち、ジメチルホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド類を反応させて2−メトキシテレフタルアルデヒド化合物(VI)を得、さらにメトキシ基をヒドロキシル基に変換することにより、一般式(II)で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物が得られる。
本発明のマルチカラー発光材料は、前述の一般式(I)で表される構造単位を有するサリチリデンアニリン系重合体を含むものであって、特にフルカラー表示用の有機EL素子の発光材料として有用である。
この有機EL素子は、一対の電極の間に有機発光層を必須構成層として含む有機機能層を挟持するものである。この有機機能層は、有機発光層のみからなる層であってもよく、また有機発光層と共に正孔注入輸送層や電子注入層などを積層した多層構造のものであってもよい。
【0010】
このような有機EL素子の構成としては、例えば
▲1▼陽極/有機発光層/陰極
▲2▼陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/陰極
▲3▼陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
▲4▼陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
などを挙げることができる。
これらは、通常基板上に積層されるが、基板への積層順序については特に制限はなく、陽極から積層しても陰極から積層してもよい。基板としては、例えばガラス、石英、高分子化合物などが用いられるが、基板から光を取り出す場合は、効率をよくするために、光透過率が10%以上であるのが有利である。特に好ましい基板はガラス製及び石英製のものである。基板の厚さについては、基板そりや歪みが生じない程度であればよく、特に制限はないが、好ましくは1mmより厚く、2mm以下であり、さらに好ましくは1mmより厚く、1.5mm以下である。
上記陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とする透明電極が好ましく用いられる。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/cm2以下のものが好ましい。このようなものとしては、ITO(インジウムチンオキシド)、SnO2、ZnO、In−Zn−Oなどの導電性材料を電極物質とするものを挙げることができる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させればよい。陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0011】
有機発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入輸送層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料としては、通常ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリジン化合物などが用いられる。
本発明においては、この発光材料として、前述の本発明のマルチカラー発光材料を用いることができる。
正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。その上、発光層に陰極又は電子注入層により注入された電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面付近に蓄積されEL素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子とすることができる。この正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系化合物、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーなどの特定の導電性高分子オリゴマーなどが用いられる。
【0012】
電子注入層は、陰極により注入される電子を有機発光層に伝達する機能を有している。この電子注入層に用いられる電子伝達化合物としては、例えばニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、さらには8−キノリノール又はその誘導体の金属錯体、具体的にはトリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)カリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリノール)ベリリウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノール)亜鉛、ビス(8−キノリノール)スズ、トリス(7−プロピル−8−キノリノール)アルミニウムなどが用いられる。
なお、上記有機発光層、正孔注入輸送層及び電子注入層は、それぞれの材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されていてもよく、あるいは異なる材料からなる層を二層以上積層したものであってもよい。
また、上記の正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層は、それらを構成する材料の薄膜を形成させることにより、作製される。その方法としては、例えばスピンコート法、キャスト法、真空蒸着法などがある。各層の膜厚は、一般に5nm〜1μmの範囲で適宜選ばれる。
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物などを電極物質とする金属電極が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、Al/酸化アルミニウム、インジウム、希土類金属などが挙げられる。該陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、特に50〜200nmの範囲が好ましい。
【0013】
次に、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず前記基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入層の材料からなる薄膜を形成させる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。なお、このEL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、発光層、正孔注入輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
この有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、3〜40V程度の電圧を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には、陽極が+、陰極が−の極性になった時のみ均一な発光が観測される。この場合、印加する交流の波形は任意でよい。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1 化合物(1)の製造
ジメチルホルムアミド(DMF)200ミリリットルにp−メトキシフェノール8.00g、NaOH3.6g及び1−ブロモドデカン20gを加え、170℃で15時間加熱した。冷却後、反応液に水を加えたのち、エーテルを用いて抽出した。エーテル層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄したのち、硫酸マグネシウムにより乾燥し、次いで濃縮した。この残留物をエタノールによって再結晶し、1−(4−メトキシ)フェノキシドデカン12.6g(収率67%)を得た。
次に、上記1−(4−メトキシ)フェノキシドデカン10.0gを、酢酸62ミリリットル中において、ヨウ素10.5g、過ヨウ素酸カリウム9.44g、硫酸2.1ミリリットル及び水4.79ミリリットルと共に、80℃で17時間処理した。この処理液をトルエンで抽出し、トルエン層を水酸化ナトリウム水溶液を用いてヨウ素が消失するまで洗浄した。次いで、このトルエン層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムによって乾燥したのち、濃縮した。生成物をエタノールから再結晶することにより、1−(2,5−ジヨード−4−メトキシ)フェノキシドデカン13.0g(収率70%)を得た。
【0015】
次に、n−ブチルリチウム1.6モル/リットル濃度のヘキサン溶液70ミリリットルにN,N,N',N'−テトラエチレンジアミン17ミリリットルを加え、これに上記1−(2,5−ジヨード−4−メトキシ)フェノキシドデカン11gのエーテル溶液を−78℃で滴下した。30分後、室温まで昇温させ、これにDMF17.5ミリリットルを加えた。30分後、塩酸を用いて酸性にしたのち、エーテル抽出を行った。生成物はヘキサン/エーテルによって再結晶し、1−(2,5−ジホルミル−4−メトキシ)フェノキシドデカン4.10g(収率58%)を得た。
DMF16ミリリットルに上記1−(2,5−ジホルミル−4−メトキシ)フェノキシドデカン3.5g及び塩化リチウム1.28gを溶解し、160℃で20時間反応させたのち、0.5モル/リットル濃度の塩酸を加え、次いでエーテルによる抽出によって粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製したのち、ヘキサンによる再結晶によって、1−(4−ヒドロキシ−2,5−ジホルミル)フェノキシドデカン2.05g(収率61%)を得た。
次に、N−メチルピロリドン(NMP)0.30ミリリットルとヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)0.30ミリリットルとの混合溶媒に、上記1−(4−ヒドロキシ−2,5−ジホルミル)フェノキシドデカン120mgと同モル数のo−フェニレンジアミン及び塩化リチウム25mgを加えて溶解させ、80℃で72時間撹拌を行い、反応を行った。反応終了後、反応液を水−メタノール混合液中に投入し、沈殿物をろ過、乾燥することにより、重合体0.0715g(収率49%)を得た。
この重合体について、赤外吸収スペクトル及び1H−NMRスペクトルの測定を行い、下記の結果を得た。
IR(KBr):3415、2910、2850、1200、1160cm-1
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ0.92(br、s)、1.18(br)、6.4〜7.8(br)、10.35(br、s)(brはbroad、sはsinglet)
IRにおいて、モノマーに見られるカルボニルのピークが見られないことから、モノマーは完全に消費されていることが確認できる。
【0016】
これより、該重合体は化合物(1)であることが同定された。
この化合物を溶媒テトラヒドロフランに溶解して濃度0.005重量%の溶液を調製し、この溶液について、UVスペクトルと、励起波長360、390及び420nmにおける蛍光スペクトルを測定した。その結果を図1〜図3に示す。
また、図4に蛍光スペクトルのみをまとめて示す。
この化合物(1)は、溶液中、励起波長の変化に応じ、緑から黄色、そして赤橙色の発光を示すことが確認された。また、緑、黄色及び赤橙色の発光の量子収率は、それぞれ8.5%、7.9%及び2.1%であり、その発光を肉眼で明瞭に観測することができた。
また、この化合物(1)について、GPC測定を行った結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は1690であり、重量平均分子量/数平均分子量の比Mw/Mn(分子量分布)は1.6であった。
実施例2 化合物(2)の製造
実施例1において、o−フェニレンジアミンの代わりに、2,3−ナフタレンジアミンを用い、実施例1の方法に準拠して、化合物(2)を製造した。
この化合物(2)の赤外吸収スペクトルは、IR(KBr):3420、2920、2860、1635、1490、1200cm-1であり、また、GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は1520で、Mw/Mn(分子量分布)は1.2であった。
この化合物(2)は、テトラヒドロフラン溶液において、380nmで励起することによって黄色に、420nmあるいは430nmで励起することによって橙色に発光することが確認された。
【0017】
【発明の効果】
本発明のサリチリデンアニリン系重合体は、励起波長の変化に応じて、マルチカラー発光が可能であり、有機EL素子の発光材料などとして有用なマルチカラー発光材料用として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られたサリチリデンアニリン系重合体のUVスペクトルと励起波長360nmにおける蛍光スペクトルである。
【図2】図2は、実施例1で得られたサリチリデンアニリン系重合体のUVスペクトルと励起波長390nmにおける蛍光スペクトルである。
【図3】図3は、実施例1で得られたサリチリデンアニリン系重合体のUVスペクトルと励起波長420nmにおける蛍光スペクトルである。
【図4】図4は、実施例1で得られたサリチリデンアニリン系重合体の各励起波長における蛍光スペクトルである。
Claims (3)
- 一般式(II)
で表される2−ヒドロキシテレフタルアルデヒド化合物と、一般式(III)
で表される芳香族ジアミン化合物を縮合させることを特徴とする、一般式(I)
で表される構造単位を有するサリチリデンアニリン系重合体の製造方法。 - 請求項1記載のサリチリデンアニリン系重合体を含むことを特徴とするマルチカラー発光材料。
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