JP4653299B2 - ウレタン系ホットメルトフィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明のウレタン系ホットメルトフィルムは、服の芯地等に使用されるように二枚の布地等を貼り合わせたり、発泡ウレタンシートと布地を貼り合わせるのに用いられたり、或は、ワッペン、ユニフォームの背番号等の衣料部品を服地等に貼付する際に用いられる等、種々の分野に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にホットメルトフィルムとしては、アミド系やエステル系、或は、オレフィン系のホットメルトフィルムが知られている。しかし、これらのフィルムは柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性接着性等に劣るため、これらの特性を必要とする用途には不向きであった。
【0003】
一方、ウレタン系のホットメルトフィルムは、柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭性等に優れている。しかしながら、このウレタン系ホットメルトフィルムは、一般に溶融粘度が低いので、布地や発泡シート等の間に挿入して加熱した際に、溶融したホットメルトフィルムの樹脂が布の編み目や発泡シートの空隙に流れ込み、ホットメルトフィルムの厚みが大幅に減少して薄くなったり、或は、ホットメルトフィルムの層を殆ど形成しなくなっていた。そのため、得られた積層体の接着強度、即ち、布地と布地、或は 布地と発泡シート等の層間の接着強度は弱いものとなっていた。また、溶融したホットメルトフィルムの樹脂が布の編み目や発泡シートの空隙等に多量に含浸するために、布地や発泡シートが硬くなったり、変色したり、或は、手ざわりが変化する等、本来それら布地や発泡シートが有している特性を阻害すると云う問題点があった。
【0004】
このような問題を解決する方法として特開平8−20096号公報には、両外層が、流出開始温度150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からなり、芯層が、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃高い流出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)からなることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィルムが提案されている。これは、フィルムを実質的に三層構造とし、布地を貼り合わせる際の温度において、その芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂が流出を開始しない構成となっており、上記問題が解決されたウレタン系ホットメルトフィルムを提供するものであった。
【0005】
しかしながら、濃色の布地や発泡シートにこのウレタン系ホットメルトフィルムを介して別系統の色の布地や衣料部品(以下、これらを衣料部品等と称することがある)を貼り合わせた場合、濃色の布地や発泡シートの色が透け通って衣料部品等の表面にまで達し、衣料部品等の本来の色合いが損なわれてしまうという問題があった。これは最終商品の商品価値を著しく損なうものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ウレタン系ホットメルトフィルムが有している柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭性等を堅持し、しかも、布地や発泡シート等と積層加熱した際に、高い層間接着強度を生じさせ、且つ、布地や発泡シート等が本来有している特性を損なうことがないのみならず、濃色の布地や発泡シートにこれを介して衣料部品等を貼り付けても、濃色の布地や発泡シートの色が透け通って衣料部品等の色合いを損なうことがないウレタン系ホットメルトフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の性状とホットメルトフィルムの構成の両面から鋭意検討した。その結果、特開平8−20096号公報において示された実質的に三層構造のウレタン系ホットメルトフィルムの芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂に可視光線隠蔽性充填剤を配合することにより上記課題を解決できることを見いだし本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、両外層が、流出開始温度150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からなり、芯層が、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃高い流出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と、平均粒径が0.01〜10μmである可視光線隠蔽性充填剤(C)からなることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィルムに関するものである。
【0009】
さらに本発明は、可視光線隠蔽性充填剤(C)が、屈折率1.7以上のものから選ばれるものであることを特徴とする上記のウレタン系ホットメルトフィルムに関するものである。
【0010】
さらに本発明は、可視光線隠蔽性充填剤(C)が酸化チタンであることを特徴とする前記いずれかのウレタン系ホットメルトフィルムに関するものである。
【0011】
さらに本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と可視光線遮蔽用充填剤(C)の合計重量中に占める可視光線遮蔽用充填剤(C)の割合をc(wt%)、芯層の厚みをt(mm)とした場合、cとtが以下の条件を満たすものであることを特徴とする前記のウレタン系ホットメルトフィルムに関するものである。
0.60≦10−ct≦0.97
【0012】
さらに本発明は、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度が両外層で異なることを特徴とする前記いずれかのウレタン系ホットメルトフィルムに関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、二官能性ポリオールとジイソシアネート及びグリコールを主原料としてなる分子構造中にウレタン基を含有するゴム状弾性高分子のうち熱可塑性を有するもので、具体的には、使用される前記ポリオール等の原料の種類によって区別されるポリエステル系やポリエーテル系等の種々の熱可塑性ポリウレタン樹脂が使用される。そして、本発明ではこれらの熱可塑性ポリウレタン樹脂の内で、流出開始温度の異なる2種類、或は、3種類以上のものが用いられる。尚、これら熱可塑性ポリウレタン樹脂には必要に応じて適宜、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することが可能である。
【0014】
そして、本発明のウレタン系ホットメルトフィルムは、芯層に両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも高い流出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)を用いることが必要である。尚、本発明における流出開始温度とは、JIS K7210に記載されている高化式フローテスターを用いて、荷重10kgf、ダイ孔径1mm、孔長1mm、昇温速度3℃/分、測定間隔2℃の条件のもとで、昇温法によりフローレート値を測定した際、昇温に伴い試料が膨張してピストンが上昇するためフローレート値が検出できない範囲を過ぎて、ピストンが下降し、フローレート値が初めて検出される時の温度を流出開始温度とした。尚、フローレート値(Q)は次式で表される。
Q=(X/10)×(A/T) (cm3 /sec)
但し、T:計測時間 (sec)
X:計測時間Tに対するピストンの移動量 (mm)
A:ピストンの断面積 (cm2 )
【0015】
即ち、本発明のウレタン系ホットメルトフィルムは、芯層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)の流出開始温度が両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも高いため、布地や発泡シート等の間に挿入して加熱した際、両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)が溶融して流動しても芯層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)は溶融して流動を起こすことはない。その結果、ホットメルトフィルムの大部分、或は、全てが溶融して布の織り目や発泡シートの空隙等に流れ込むようなことはなく、芯層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)は層の形状を維持し、ホットメルトフィルムの両側に積層された布地や発泡シート等の層間接着強度を高めている。又、布の織り目や発泡シートの空隙等に流れ込む樹脂の量が少なくなるので、布地や発泡シート等が本来有している柔軟性や色合い、更には、手ざわり等の特性を損なうことがない。
【0016】
両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度としては、150℃以下、好ましくは140℃以下、であることが必要である。流出開始温度が150℃を越えると、布地や発泡シート等を積層加熱した際に良好なる接着強度が得られるようにするためには、加熱温度を高くすることが必要になり、その結果、高温加熱により布地や発泡シート等が熱劣化を生じるようになるので好ましくない。
【0017】
又、芯層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)の流出開始温度は、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃、好ましくは30〜90℃高いことが必要である。芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度の差が20℃未満では、布地や発泡シート等を積層加熱させる際の加熱温度範囲が狭く、加熱温度が少しでも低過ぎると接着強度が得られ難く、又、加熱温度が少しでも高すぎると芯層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)も布の織り目や発泡シートの空隙等に流れ込んでしまい接着強度等が低下する。又、布地や発泡シート等が有している柔軟性等の特性も失われる。一方、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度の差が100℃を越えると、共押出法等によるフィルムの積層化が困難となる。
【0018】
次いで本発明のウレタン系ホットメルトフィルムの芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)に配合される可視光線遮蔽性充填剤(C)について説明する。
本発明において用いられる可視光線遮蔽性充填剤(C)としては、酸化チタン、鉛白、亜鉛華、塩基性硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、チタン酸鉛、酸化ジルコニウム、バライト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、白亜、セッコウ、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、滑石粉、珪藻土等の白系顔料が使用可能である。
そして、可視光線遮蔽性充填剤(C)の平均粒径は0.01〜20μmである。可視光線遮蔽性充填剤(C)の平均粒径が0.01μm未満であるとかえって隠蔽力が低下し好ましくない。一方、平均粒径が、20μmを超えても隠蔽力が低下するだけでなく、フィルムの強度低下や粒(フィッシュアイ)の発生が見られるようになり好ましくない。
【0019】
なお、顔料の屈折率と隠蔽力は密接な関係があり、一般に屈折率が大きいほど隠蔽力が大きいといわれている。また、顔料の屈折率とマトリクスとなる樹脂の屈折率との差が大きいほど隠蔽力が大きいと云われている(熱可塑性ポリウレタン樹脂の屈折率は1.5〜1.6である)。これらを考慮すると前記した顔料のうちでも屈折率が1.7以上のものを用いることがより好ましく、さらには2.6〜2.9という高い屈折率を有する酸化チタンが好適である。
【0020】
本発明のウレタン系ホットメルトフィルムの芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)に配合される可視光線遮蔽性充填剤(C)の配合量は、可視光線遮蔽性充填剤(C)種類、芯層の厚みにより適宜決定されるものである。なお、可視光線遮蔽用充填剤(C)として酸化チタンを使用する場合においては、熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と可視光線遮蔽用充填剤(C)の合計重量中に占める可視光線遮蔽用充填剤(C)の割合をc(wt%)、芯層の厚みをT(mm)とした場合、cとtが以下の条件を満たすものであることが望ましい。
0.60≦10−ct≦0.97
この値が、0.97を超えると可視光線隠蔽効果が不十分となる傾向がある。また、この値が0.60を下回っても可視光線隠蔽効果はさほど向上しない。
【0021】
更に、両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)は、用途や使用方法等によっては、両外層でそれぞれ流出開始温度の異なる樹脂を用いるようにするのが好ましい。例えば、両外層で積層される布の織り目や発泡シートの空隙等の大きさが異なる場合には、織り目の小さい布地や空隙の小さい発泡シート側には流出開始温度の低い樹脂が、織り目の大きい布地や空隙の大きい発泡シート側には流出開始温度の高い樹脂が接触するようにしたり、或は、布地や発泡シートを積層加熱する際に片面のみから加熱する場合には、加熱する側に流出開始温度の高い樹脂が、加熱しない側には流出開始温度の低い樹脂が接触するようにすること等が好ましい。
【0022】
本発明のウレタン系ホットメルトフィルムの厚みとしては、特に限定されるものではないが、製膜性、接着作業性、接着強度、価格等の面から、15〜150μmが好ましい。又、各層の厚みとしても、特に限定されるものではないが、芯層の厚みは5〜100μm、両外層の厚みはそれぞれ5〜100μmが好ましい。尚、両外層の厚みは必ずしも同じ厚みである必要はない。
【0023】
本発明のウレタン系ホットメルトフィルムを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、インフレーション共押出法、或は、Tダイ共押出法によって好適に製膜することができる。尚、本発明のウレタン系ホットメルトフィルムを製造する際、製膜性や二次加工適性を付与させる目的で他の樹脂と共押出してキャリヤー層を形成することも可能である。又、予め準備されたフィルムや紙等からなるキャリヤーの上にフィルム状に押出成形することも可能である。そして、これらキャリヤー層やキャリヤーフィルム等は、該ホットメルトフィルムを布地や発泡シートの間に挿入させる際に取り除けばよい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例、及び、比較例を示し、本発明の内容をより詳しく説明する。尚、本発明は、これら実施例によってのみ限定されるものではないことは当然である。
【0025】
〔実施例1〕
口径50mmの押出機4台と4種5層のサーキュラーダイを用いたインフレーション法の製膜装置を用い、芯層となる層の押出機には流出開始温度が187℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)98重量%と酸化チタン(平均粒径:0.2μm、屈折率:2.7)2重量%からなる組成物を供給し、両外層となる層の押出機には流出開始温度が103℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を供給し、そして、キャリヤー層となる両最外層の押出機には低密度ポリエチレン樹脂を供給した。そして、それぞれ溶融混練した樹脂を温度が200℃に設定されたダイスに導いて押出し、ブローアップ比が2.3で、芯層が20μm厚みのポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂層、両外層が15μm厚みのポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂層、そして、両最外層が30μm厚みの低密度ポリエチレン樹脂層からなる全体厚みが110μmの5層フィルムを製膜した。その後、両最外層のキャリヤー層である低密度ポリエチレン樹脂層を取り除いてウレタン系ホットメルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は84℃であった。また、10−ctの値は0.91であった。
【0026】
得られたウレタン系ホットメルトフィルムを厚み0.8mmの濃赤色のポリエステル繊維からなる布地と、厚み0.8mmの白色のポリエステル繊維からなる布地の間に挟み、面圧5Kg/cm2 、温度140℃、時間10secの条件で加熱プレスを施して、二枚の布地の貼り合わせを行った。貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂のしみ込みが少なく、貼り合わされる前の布地の風合いを保持していた。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなかった。
【0027】
〔比較例1〕
芯層に酸化チタンを配合しない以外は実施例1と全く同様にして、ウレタン系ホットメルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は84℃であった。
【0028】
得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の張り合せを行った。貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離させることができなかった。また、貼り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂のしみ込みが少なかった。しかしながら、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けがあり、風合いに劣るものであった。
【0029】
〔比較例2〕
実施例1における芯層の流出開始温度が187℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂の代わりに、流出開始温度が120℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用い、ダイスの温度を150℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法によって、芯層と両外層が共にポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるウレタン系ホットメルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は17℃であった。
。
【0030】
得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の張り合せを行った。、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなかったものの、貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させると容易に剥離してしまった。又、貼り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂が多量にしみ込んでいた。
【0031】
〔比較例3〕
実施例1における両外層の流出開始温度が103℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂の代わりに、流出開始温度が160℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、芯層と両外層が共にポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるウレタン系ホットメルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は27℃と20〜100℃の範囲内であったが、両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度が160℃であり150℃を越えていた。
【0032】
得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の張り合せを行ったが、二枚の布地は全く接着していなかった。
【0033】
〔比較例4〕
比較例3で得られたウレタン系ホットメルトフィルムを、実施例1で用いたポリエステル繊維からなる二枚の布地の間に挟み、面圧5Kg/cm2 、温度190℃、時間10secの条件で加熱プレスを施して、二枚の布地の貼り合わせを行った。、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなく、貼り合わされた二枚の布地は接着していたが、著しい変色を生じていた。
【0034】
〔実施例2〕
芯層に流出開始温度が140℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂98重量%と酸化チタン(平均粒径:0.2μm、屈折率:2.7)2重量%からなる組成物を用い、ダイスの温度を160℃に設定した以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は37℃であったまた、10−ctの値は0.91であった。
【0035】
得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の貼り合わせを行った。貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた二枚の布地は、貼り合わされる前の布地の風合いを保持していた。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなかった。
【0036】
〔実施例3〕
両外層に流出開始温度が130℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いる以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は57℃であった。また、10−ctの値は0.91であった。得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の貼り合わせを行った。
貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた二枚の布地は、貼り合わされる前の布地の風合いを保持していた。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなかった。
【0037】
〔実施例4〕
芯層の厚みを30μmとし、芯層中の酸化チタンの割合が1重量%となるようにする以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は37℃であったまた、10−ctの値は0.93であった。得られたウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の貼り合わせを行った。
貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた二枚の布地は、貼り合わされる前の布地の風合いを保持していた。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはなかった。
【0038】
〔実施例5〕
各外層に流出開始温度が103℃と130℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は84℃と57℃であった。また、10−ctの値は0.91であった。得られたウレタン系ホットメルトフィルムを厚さ3mmの黒色に着色された軟質ポリウレタンフォームと厚さ0.8mmの白色のポリエステル繊維からなる布地の間に挟み、面圧5Kg/cm2 、温度140℃、時間10secの条件で加熱プレスを施し軟質ポリウレタンフォームと布地の貼り合わせを行った。尚、ホットメルトフィルムの挿入は、流出開始温度が130℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂面が軟質ポリウレタンフォームと、流出開始温度が103℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂面が布地と接するようにした。又、軟質ポリウレタンフォームの厚みが布地よりも厚くても、両面のプレス温度は同じ温度で行った。
【0039】
貼り合わされた軟質ポリウレタンフォームと布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、軟質ポリウレタンフォームと布地は強固に接着しており、剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた軟質ポリウレタンフォームと布地は共に貼り合わされる前の風合いを保持していた。また、白色のポリエステル繊維側には黒色の軟質ポリウレタンフォームからの色透けはなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上の如く、本発明のウレタン系ホットメルトフィルムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂の特徴である柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭性等に優れ、しかも布地や発泡シート等の間に挿入して積層加熱した際、高強度の層間接着力が得られ、また、布地や発泡シート等が本来有しているの特性を損なうこともなかった。さらに、濃色の布地や発泡シートにこれを介して衣料部品等を貼り付けても濃色の布地や発泡シートの色が透け通って衣料部品等の色合いを損なうことがない。そのため、本発明のウレタン系ホットメルトフィルムは、二枚の布地を貼り合わせて服の芯地を作成したり、ワッペン、ユニフォームの背番号等の衣料部品を服地に貼付する際に用いると有効である。
Claims (5)
- 両外層が、流出開始温度150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からなり、芯層が、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃高い流出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と、平均粒径が0.01〜10μmである可視光線隠蔽性充填剤(C)からなることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィルム。
- 可視光線隠蔽性充填剤(C)が、屈折率1.7以上のものから選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載のウレタン系ホットメルトフィルム。
- 可視光線隠蔽性充填剤(C)が酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載のウレタン系ホットメルトフィルム。
- 熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と可視光線遮蔽用充填剤(C)の合計重量中に占める可視光線遮蔽用充填剤(C)の割合をc(wt%)、芯層の厚みをt(mm)とした場合、cとtが以下の条件を満たすものであることを特徴とする請求項3に記載のウレタン系ホットメルトフィルム。
0.60≦10−ct≦0.97 - 両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度が両外層で異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウレタン系ホットメルトフィルム。
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