JP2002161249A - ウレタン系ホットメルトフィルム - Google Patents

ウレタン系ホットメルトフィルム

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JP2002161249A JP2000362373A JP2000362373A JP2002161249A JP 2002161249 A JP2002161249 A JP 2002161249A JP 2000362373 A JP2000362373 A JP 2000362373A JP 2000362373 A JP2000362373 A JP 2000362373A JP 2002161249 A JP2002161249 A JP 2002161249A
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祐司 平田
Hideyuki Akagi
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Hiromi Miyoshi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウレタン系ホットメルトフィルムが有してい
る柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭性
等を堅持し、しかも、布地や発泡シート等と積層加熱し
た際に、高い層間接着強度を生じさせ、且つ、布地や発
泡シート等が本来有している特性を損なうことがないの
みならず、濃色の布地や発泡シートにこれを介して衣料
部品等を貼り付けても濃色の布地や発泡シートの色が透
け通って衣料部品等の色合いを損なうことがないウレタ
ン系ホットメルトフィルムを提供すること。 【解決手段】両外層が、流出開始温度150℃以下の熱
可塑性ポリウレタン樹脂(A)からなり、芯層が、両外
層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出
開始温度よりも20〜100℃高い流出開始温度を有す
る熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と、平均粒径が0.
01〜10μmである可視光線隠蔽性充填剤(C)から
なることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明のウレタン系ホットメルト
フィルムは、服の芯地等に使用されるように二枚の布地
等を貼り合わせたり、発泡ウレタンシートと布地を貼り
合わせるのに用いられたり、或は、ワッペン、ユニフォ
ームの背番号等の衣料部品を服地等に貼付する際に用い
られる等、種々の分野に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】一般にホットメルトフィルムとしては、
アミド系やエステル系、或は、オレフィン系のホットメ
ルトフィルムが知られている。しかし、これらのフィル
ムは柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性接着性等に劣るた
め、これらの特性を必要とする用途には不向きであっ
た。
【0003】一方、ウレタン系のホットメルトフィルム
は、柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭
性等に優れている。しかしながら、このウレタン系ホッ
トメルトフィルムは、一般に溶融粘度が低いので、布地
や発泡シート等の間に挿入して加熱した際に、溶融した
ホットメルトフィルムの樹脂が布の編み目や発泡シート
の空隙に流れ込み、ホットメルトフィルムの厚みが大幅
に減少して薄くなったり、或は、ホットメルトフィルム
の層を殆ど形成しなくなっていた。そのため、得られた
積層体の接着強度、即ち、布地と布地、或は 布地と発
泡シート等の層間の接着強度は弱いものとなっていた。
また、溶融したホットメルトフィルムの樹脂が布の編み
目や発泡シートの空隙等に多量に含浸するために、布地
や発泡シートが硬くなったり、変色したり、或は、手ざ
わりが変化する等、本来それら布地や発泡シートが有し
ている特性を阻害すると云う問題点があった。
【0004】このような問題を解決する方法として特開
平8−20096号公報には、両外層が、流出開始温度
150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からな
り、芯層が、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン
樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃高い流
出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)か
らなることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィル
ムが提案されている。これは、フィルムを実質的に三層
構造とし、布地を貼り合わせる際の温度において、その
芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂が流出を開始
しない構成となっており、上記問題が解決されたウレタ
ン系ホットメルトフィルムを提供するものであった。
【0005】しかしながら、濃色の布地や発泡シートに
このウレタン系ホットメルトフィルムを介して別系統の
色の布地や衣料部品(以下、これらを衣料部品等と称す
ることがある)を貼り合わせた場合、濃色の布地や発泡
シートの色が透け通って衣料部品等の表面にまで達し、
衣料部品等の本来の色合いが損なわれてしまうという問
題があった。これは最終商品の商品価値を著しく損なう
ものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、
ウレタン系ホットメルトフィルムが有している柔軟性、
弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭性等を堅持
し、しかも、布地や発泡シート等と積層加熱した際に、
高い層間接着強度を生じさせ、且つ、布地や発泡シート
等が本来有している特性を損なうことがないのみなら
ず、濃色の布地や発泡シートにこれを介して衣料部品等
を貼り付けても、濃色の布地や発泡シートの色が透け通
って衣料部品等の色合いを損なうことがないウレタン系
ホットメルトフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱可塑性
ポリウレタン樹脂の性状とホットメルトフィルムの構成
の両面から鋭意検討した。その結果、特開平8−200
96号公報において示された実質的に三層構造のウレタ
ン系ホットメルトフィルムの芯層を構成する熱可塑性ポ
リウレタン樹脂に可視光線隠蔽性充填剤を配合すること
により上記課題を解決できることを見いだし本発明に到
達した。
【0008】即ち、本発明は、両外層が、流出開始温度
150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からな
り、芯層が、両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン
樹脂(A)の流出開始温度よりも20〜100℃高い流
出開始温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)
と、平均粒径が0.01〜10μmである可視光線隠蔽
性充填剤(C)からなることを特徴とするウレタン系ホ
ットメルトフィルムに関するものである。
【0009】さらに本発明は、可視光線隠蔽性充填剤
(C)が、屈折率1.7以上のものから選ばれるもので
あることを特徴とする上記のウレタン系ホットメルトフ
ィルムに関するものである。
【0010】さらに本発明は、可視光線隠蔽性充填剤
(C)が酸化チタンであることを特徴とする前記いずれ
かのウレタン系ホットメルトフィルムに関するものであ
る。
【0011】さらに本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹
脂(B)と可視光線遮蔽用充填剤(C)の合計重量中に
占める可視光線遮蔽用充填剤(C)の割合をc(wt
%)、芯層の厚みをt(mm)とした場合、cとtが以
下の条件を満たすものであることを特徴とする前記のウ
レタン系ホットメルトフィルムに関するものである。 0.60≦10−ct≦0.97
【0012】さらに本発明は、両外層に用いられる熱可
塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度が両外層で
異なることを特徴とする前記いずれかのウレタン系ホッ
トメルトフィルムに関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂とは、二官能性ポリオールとジイソシアネ
ート及びグリコールを主原料としてなる分子構造中にウ
レタン基を含有するゴム状弾性高分子のうち熱可塑性を
有するもので、具体的には、使用される前記ポリオール
等の原料の種類によって区別されるポリエステル系やポ
リエーテル系等の種々の熱可塑性ポリウレタン樹脂が使
用される。そして、本発明ではこれらの熱可塑性ポリウ
レタン樹脂の内で、流出開始温度の異なる2種類、或
は、3種類以上のものが用いられる。尚、これら熱可塑
性ポリウレタン樹脂には必要に応じて適宜、熱安定剤、
滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合
することが可能である。
【0014】そして、本発明のウレタン系ホットメルト
フィルムは、芯層に両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂
(A)の流出開始温度よりも高い流出開始温度を有する
熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)を用いることが必要で
ある。尚、本発明における流出開始温度とは、JIS
K7210に記載されている高化式フローテスターを用
いて、荷重10kgf、ダイ孔径1mm、孔長1mm、
昇温速度3℃/分、測定間隔2℃の条件のもとで、昇温
法によりフローレート値を測定した際、昇温に伴い試料
が膨張してピストンが上昇するためフローレート値が検
出できない範囲を過ぎて、ピストンが下降し、フローレ
ート値が初めて検出される時の温度を流出開始温度とし
た。尚、フローレート値(Q)は次式で表される。 Q=(X/10)×(A/T) (cm3 /sec) 但し、T:計測時間 (sec) X:計測時間Tに対するピストンの移動量 (mm) A:ピストンの断面積 (cm2
【0015】即ち、本発明のウレタン系ホットメルトフ
ィルムは、芯層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂
(B)の流出開始温度が両外層に用いられる熱可塑性ポ
リウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも高いため、
布地や発泡シート等の間に挿入して加熱した際、両外層
の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)が溶融して流動して
も芯層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)は溶融して流
動を起こすことはない。その結果、ホットメルトフィル
ムの大部分、或は、全てが溶融して布の織り目や発泡シ
ートの空隙等に流れ込むようなことはなく、芯層の熱可
塑性ポリウレタン樹脂(B)は層の形状を維持し、ホッ
トメルトフィルムの両側に積層された布地や発泡シート
等の層間接着強度を高めている。又、布の織り目や発泡
シートの空隙等に流れ込む樹脂の量が少なくなるので、
布地や発泡シート等が本来有している柔軟性や色合い、
更には、手ざわり等の特性を損なうことがない。
【0016】両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)
の流出開始温度としては、150℃以下、好ましくは1
40℃以下、であることが必要である。流出開始温度が
150℃を越えると、布地や発泡シート等を積層加熱し
た際に良好なる接着強度が得られるようにするために
は、加熱温度を高くすることが必要になり、その結果、
高温加熱により布地や発泡シート等が熱劣化を生じるよ
うになるので好ましくない。
【0017】又、芯層に用いられる熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂(B)の流出開始温度は、両外層に用いられる熱
可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流出開始温度よりも2
0〜100℃、好ましくは30〜90℃高いことが必要
である。芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流
出開始温度の差が20℃未満では、布地や発泡シート等
を積層加熱させる際の加熱温度範囲が狭く、加熱温度が
少しでも低過ぎると接着強度が得られ難く、又、加熱温
度が少しでも高すぎると芯層の熱可塑性ポリウレタン樹
脂(B)も布の織り目や発泡シートの空隙等に流れ込ん
でしまい接着強度等が低下する。又、布地や発泡シート
等が有している柔軟性等の特性も失われる。一方、芯層
と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度の
差が100℃を越えると、共押出法等によるフィルムの
積層化が困難となる。
【0018】次いで本発明のウレタン系ホットメルトフ
ィルムの芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂
(B)に配合される可視光線遮蔽性充填剤(C)につい
て説明する。本発明において用いられる可視光線遮蔽性
充填剤(C)としては、酸化チタン、鉛白、亜鉛華、塩
基性硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、チタン酸鉛、酸化ジ
ルコニウム、バライト、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、白亜、セッコウ、炭酸マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、クレー、滑石粉、珪藻土等の
白系顔料が使用可能である。そして、可視光線遮蔽性充
填剤(C)の平均粒径は0.01〜20μmである。可
視光線遮蔽性充填剤(C)の平均粒径が0.01μm未
満であるとかえって隠蔽力が低下し好ましくない。一
方、平均粒径が、20μmを超えても隠蔽力が低下する
だけでなく、フィルムの強度低下や粒(フィッシュア
イ)の発生が見られるようになり好ましくない。
【0019】なお、顔料の屈折率と隠蔽力は密接な関係
があり、一般に屈折率が大きいほど隠蔽力が大きいとい
われている。また、顔料の屈折率とマトリクスとなる樹
脂の屈折率との差が大きいほど隠蔽力が大きいと云われ
ている(熱可塑性ポリウレタン樹脂の屈折率は1.5〜
1.6である)。これらを考慮すると前記した顔料のう
ちでも屈折率が1.7以上のものを用いることがより好
ましく、さらには2.6〜2.9という高い屈折率を有
する酸化チタンが好適である。
【0020】本発明のウレタン系ホットメルトフィルム
の芯層を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)に配
合される可視光線遮蔽性充填剤(C)の配合量は、可視
光線遮蔽性充填剤(C)種類、芯層の厚みにより適宜決
定されるものである。なお、可視光線遮蔽用充填剤
(C)として酸化チタンを使用する場合においては、熱
可塑性ポリウレタン樹脂(B)と可視光線遮蔽用充填剤
(C)の合計重量中に占める可視光線遮蔽用充填剤
(C)の割合をc(wt%)、芯層の厚みをT(mm)
とした場合、cとtが以下の条件を満たすものであるこ
とが望ましい。 0.60≦10−ct≦0.97 この値が、0.97を超えると可視光線隠蔽効果が不十
分となる傾向がある。また、この値が0.60を下回っ
ても可視光線隠蔽効果はさほど向上しない。
【0021】更に、両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂
(A)は、用途や使用方法等によっては、両外層でそれ
ぞれ流出開始温度の異なる樹脂を用いるようにするのが
好ましい。例えば、両外層で積層される布の織り目や発
泡シートの空隙等の大きさが異なる場合には、織り目の
小さい布地や空隙の小さい発泡シート側には流出開始温
度の低い樹脂が、織り目の大きい布地や空隙の大きい発
泡シート側には流出開始温度の高い樹脂が接触するよう
にしたり、或は、布地や発泡シートを積層加熱する際に
片面のみから加熱する場合には、加熱する側に流出開始
温度の高い樹脂が、加熱しない側には流出開始温度の低
い樹脂が接触するようにすること等が好ましい。
【0022】本発明のウレタン系ホットメルトフィルム
の厚みとしては、特に限定されるものではないが、製膜
性、接着作業性、接着強度、価格等の面から、15〜1
50μmが好ましい。又、各層の厚みとしても、特に限
定されるものではないが、芯層の厚みは5〜100μ
m、両外層の厚みはそれぞれ5〜100μmが好まし
い。尚、両外層の厚みは必ずしも同じ厚みである必要は
ない。
【0023】本発明のウレタン系ホットメルトフィルム
を製造する方法としては、特に限定されるものではない
が、インフレーション共押出法、或は、Tダイ共押出法
によって好適に製膜することができる。尚、本発明のウ
レタン系ホットメルトフィルムを製造する際、製膜性や
二次加工適性を付与させる目的で他の樹脂と共押出して
キャリヤー層を形成することも可能である。又、予め準
備されたフィルムや紙等からなるキャリヤーの上にフィ
ルム状に押出成形することも可能である。そして、これ
らキャリヤー層やキャリヤーフィルム等は、該ホットメ
ルトフィルムを布地や発泡シートの間に挿入させる際に
取り除けばよい。
【0024】
【実施例】以下、実施例、及び、比較例を示し、本発明
の内容をより詳しく説明する。尚、本発明は、これら実
施例によってのみ限定されるものではないことは当然で
ある。
【0025】〔実施例1〕口径50mmの押出機4台と
4種5層のサーキュラーダイを用いたインフレーション
法の製膜装置を用い、芯層となる層の押出機には流出開
始温度が187℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂(B)98重量%と酸化チタン(平均粒径:0.
2μm、屈折率:2.7)2重量%からなる組成物を供
給し、両外層となる層の押出機には流出開始温度が10
3℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)
を供給し、そして、キャリヤー層となる両最外層の押出
機には低密度ポリエチレン樹脂を供給した。そして、そ
れぞれ溶融混練した樹脂を温度が200℃に設定された
ダイスに導いて押出し、ブローアップ比が2.3で、芯
層が20μm厚みのポリエステル系熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂層、両外層が15μm厚みのポリエーテル系熱可
塑性ポリウレタン樹脂層、そして、両最外層が30μm
厚みの低密度ポリエチレン樹脂層からなる全体厚みが1
10μmの5層フィルムを製膜した。その後、両最外層
のキャリヤー層である低密度ポリエチレン樹脂層を取り
除いてウレタン系ホットメルトフィルムを製造した。
尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開
始温度差は84℃であった。また、10−ctの値は
0.91であった。
【0026】得られたウレタン系ホットメルトフィルム
を厚み0.8mmの濃赤色のポリエステル繊維からなる
布地と、厚み0.8mmの白色のポリエステル繊維から
なる布地の間に挟み、面圧5Kg/cm2 、温度140
℃、時間10secの条件で加熱プレスを施して、二枚
の布地の貼り合わせを行った。貼り合わされた二枚の布
地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、接
着強度が強く、剥離させることができなかった。尚、貼
り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂のしみ込みが
少なく、貼り合わされる前の布地の風合いを保持してい
た。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリ
エステル繊維からの色透けはなかった。
【0027】〔比較例1〕芯層に酸化チタンを配合しな
い以外は実施例1と全く同様にして、ウレタン系ホット
メルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑
性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は84℃であっ
た。
【0028】得られたウレタン系ホットメルトフィルム
を用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる
二枚の布地の張り合せを行った。貼り合わされた二枚の
布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みたが、
接着強度が強く、剥離させることができなかった。ま
た、貼り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂のしみ
込みが少なかった。しかしながら、白色のポリエステル
繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けがあ
り、風合いに劣るものであった。
【0029】〔比較例2〕実施例1における芯層の流出
開始温度が187℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレ
タン樹脂の代わりに、流出開始温度が120℃のポリエ
ーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用い、ダイスの温
度を150℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法
によって、芯層と両外層が共にポリエーテル系熱可塑性
ポリウレタン樹脂からなるウレタン系ホットメルトフィ
ルムを製造した。尚、芯層と両外層の熱可塑性ポリウレ
タン樹脂の流出開始温度差は17℃であった。。
【0030】得られたウレタン系ホットメルトフィルム
を用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる
二枚の布地の張り合せを行った。、白色のポリエステル
繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けはな
かったものの、貼り合わされた二枚の布地は、人の手で
引っ張って剥離させると容易に剥離してしまった。又、
貼り合わされた二枚の布地は、織り目に樹脂が多量にし
み込んでいた。
【0031】〔比較例3〕実施例1における両外層の流
出開始温度が103℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウ
レタン樹脂の代わりに、流出開始温度が160℃のポリ
エステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いた以外は、
実施例1と同様の方法によって、芯層と両外層が共にポ
リエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるウレタ
ン系ホットメルトフィルムを製造した。尚、芯層と両外
層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は27
℃と20〜100℃の範囲内であったが、両外層の熱可
塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度が160℃であり
150℃を越えていた。
【0032】得られたウレタン系ホットメルトフィルム
を用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる
二枚の布地の張り合せを行ったが、二枚の布地は全く接
着していなかった。
【0033】〔比較例4〕比較例3で得られたウレタン
系ホットメルトフィルムを、実施例1で用いたポリエス
テル繊維からなる二枚の布地の間に挟み、面圧5Kg/
cm2 、温度190℃、時間10secの条件で加熱プ
レスを施して、二枚の布地の貼り合わせを行った。、白
色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維
からの色透けはなく、貼り合わされた二枚の布地は接着
していたが、著しい変色を生じていた。
【0034】〔実施例2〕芯層に流出開始温度が140
℃のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂98重量
%と酸化チタン(平均粒径:0.2μm、屈折率:2.
7)2重量%からなる組成物を用い、ダイスの温度を1
60℃に設定した以外は、実施例1と同様な方法によっ
て、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層
と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差
は37℃であったまた、10−ctの値は0.91であ
った。
【0035】得られたウレタン系ホットメルトフィルム
を用いて、実施例1と同様、ポリエステル繊維からなる
二枚の布地の貼り合わせを行った。貼り合わされた二枚
の布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みた
が、接着強度が強く、剥離させることができなかった。
尚、貼り合わされた二枚の布地は、貼り合わされる前の
布地の風合いを保持していた。また、白色のポリエステ
ル繊維側には濃赤色のポリエステル繊維からの色透けは
なかった。
【0036】〔実施例3〕両外層に流出開始温度が13
0℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を用い
る以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系
ホットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可
塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は57℃であっ
た。また、10−ctの値は0.91であった。得られ
たウレタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1
と同様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の貼り合
わせを行った。貼り合わされた二枚の布地は、人の手で
引っ張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、
剥離させることができなかった。尚、貼り合わされた二
枚の布地は、貼り合わされる前の布地の風合いを保持し
ていた。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色の
ポリエステル繊維からの色透けはなかった。
【0037】〔実施例4〕芯層の厚みを30μmとし、
芯層中の酸化チタンの割合が1重量%となるようにする
以外は、実施例1と同様な方法によって、ウレタン系ホ
ットメルトフィルムを得た。尚、芯層と両外層の熱可塑
性ポリウレタン樹脂の流出開始温度差は37℃であった
また、10−ctの値は0.93であった。得られたウ
レタン系ホットメルトフィルムを用いて、実施例1と同
様、ポリエステル繊維からなる二枚の布地の貼り合わせ
を行った。貼り合わされた二枚の布地は、人の手で引っ
張って剥離させようと試みたが、接着強度が強く、剥離
させることができなかった。尚、貼り合わされた二枚の
布地は、貼り合わされる前の布地の風合いを保持してい
た。また、白色のポリエステル繊維側には濃赤色のポリ
エステル繊維からの色透けはなかった。
【0038】〔実施例5〕各外層に流出開始温度が10
3℃と130℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン
樹脂をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様な方法に
よって、ウレタン系ホットメルトフィルムを得た。尚、
芯層と両外層の熱可塑性ポリウレタン樹脂の流出開始温
度差は84℃と57℃であった。また、10−ctの値
は0.91であった。得られたウレタン系ホットメルト
フィルムを厚さ3mmの黒色に着色された軟質ポリウレ
タンフォームと厚さ0.8mmの白色のポリエステル繊
維からなる布地の間に挟み、面圧5Kg/cm2 、温度
140℃、時間10secの条件で加熱プレスを施し軟
質ポリウレタンフォームと布地の貼り合わせを行った。
尚、ホットメルトフィルムの挿入は、流出開始温度が1
30℃のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂面が
軟質ポリウレタンフォームと、流出開始温度が103℃
のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂面が布地と
接するようにした。又、軟質ポリウレタンフォームの厚
みが布地よりも厚くても、両面のプレス温度は同じ温度
で行った。
【0039】貼り合わされた軟質ポリウレタンフォーム
と布地は、人の手で引っ張って剥離させようと試みた
が、軟質ポリウレタンフォームと布地は強固に接着して
おり、剥離させることができなかった。尚、貼り合わさ
れた軟質ポリウレタンフォームと布地は共に貼り合わさ
れる前の風合いを保持していた。また、白色のポリエス
テル繊維側には黒色の軟質ポリウレタンフォームからの
色透けはなかった。
【0040】
【発明の効果】以上の如く、本発明のウレタン系ホット
メルトフィルムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂の特徴で
ある柔軟性、弾力性、透湿性、耐寒性、耐屈曲性、強靭
性等に優れ、しかも布地や発泡シート等の間に挿入して
積層加熱した際、高強度の層間接着力が得られ、また、
布地や発泡シート等が本来有しているの特性を損なうこ
ともなかった。さらに、濃色の布地や発泡シートにこれ
を介して衣料部品等を貼り付けても濃色の布地や発泡シ
ートの色が透け通って衣料部品等の色合いを損なうこと
がない。そのため、本発明のウレタン系ホットメルトフ
ィルムは、二枚の布地を貼り合わせて服の芯地を作成し
たり、ワッペン、ユニフォームの背番号等の衣料部品を
服地に貼付する際に用いると有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 博己 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA14 AA18 AB03 BA03 EA05 FA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両外層が、流出開始温度150℃以下の
    熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)からなり、芯層が、両
    外層に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の流
    出開始温度よりも20〜100℃高い流出開始温度を有
    する熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と、平均粒径が
    0.01〜10μmである可視光線隠蔽性充填剤(C)
    からなることを特徴とするウレタン系ホットメルトフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 可視光線隠蔽性充填剤(C)が、屈折率
    1.7以上のものから選ばれるものであることを特徴と
    する請求項1に記載のウレタン系ホットメルトフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 可視光線隠蔽性充填剤(C)が酸化チタ
    ンであることを特徴とする請求項1または2に記載のウ
    レタン系ホットメルトフィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と可視
    光線遮蔽用充填剤(C)の合計重量中に占める可視光線
    遮蔽用充填剤(C)の割合をc(wt%)、芯層の厚み
    をt(mm)とした場合、cとtが以下の条件を満たす
    ものであることを特徴とする請求項3に記載のウレタン
    系ホットメルトフィルム。 0.60≦10−ct≦0.97
  5. 【請求項5】 両外層に用いられる熱可塑性ポリウレタ
    ン樹脂(A)の流出開始温度が両外層で異なることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウレタン系
    ホットメルトフィルム。
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