JP4653153B2 - 電子ビーム調整方法、及び走査型電子顕微鏡 - Google Patents

電子ビーム調整方法、及び走査型電子顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は電子ビーム調整方法、及び走査型電子顕微鏡に関し、走査型顕微鏡を用いて微細パターンを観察し、その寸法を計測する走査型電子顕微鏡に関し、特に電子線を照射することによって形状が変形する試料を測定の対象として観察や測定を行う技術に関する。
半導体素子や薄膜磁気ヘッドなど、表面の微細加工により製作される機能素子製品の製造・検査工程では、加工されたパターン幅の測定や外観検査に、走査型電子顕微鏡(SEM)が広く用いられている。走査型電子顕微鏡は、電子源から放出され、磁場あるいは電場と電子線の相互作用を利用した集束レンズおよび対物レンズにより細かく絞られた電子線を、偏向器を用いて試料上で一次元あるいは二次元的に走査し、電子線照射によって試料から発生する二次信号(二次電子や反射電子、電磁波)を、光電効果等を利用した検出器により検出し、その検出信号を電子線の走査と同期した輝度信号等の可視化可能な信号に変換・処理することで試料像を形成する装置である。走査型電子顕微鏡では、観察・測長する試料表面の形状と高い精度で対応した試料像を得られるように努力が払われており、こうして得た試料像から、試料表面の任意の2点間距離を演算する。この演算は一般に「測長」と呼ばれ、かかる演算機能を持つ走査電子顕微鏡は「測長SEM」と呼ばれている。このような走査型電子顕微鏡では、当然のことながら観察する試料表面に数百エレクトロンボルトの到達エネルギーをもつ電子線を照射することになる。
一方、近年、半導体の表面の微細加工は一層の微細化が進み、フォトリソグラフィーの感光材料として、フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザ光に反応するフォトレジスト(以下「ArFレジスト」と呼ぶ)が使われ始めている。ArFレーザ光は波長が193nmと短いため、より微細な回路パターンの露光に適しているとされる。しかし、最近の検討の結果、ArFレジストは電子線照射に対して大変脆弱で、形成されたパターンを走査型電子顕微鏡で観察あるいは測長すると、集束電子線の走査により基材のアクリル樹脂等が縮合反応を起こし、体積が減少(以下「スリミング」と呼ぶ)して、回路パターンの形状が変化することが知られるようになってきた。
このArFレジストのスリミングを減少させるためには、試料上への電子線の照射密度を下げることが有効であると言われている。しかしながら、電子線の照射密度を下げると、試料から得られる二次電子の量が減少するために画像が暗くなる現象が生じる。そのため、スリミングを抑え、視認性のよい画像を得る方法が必要とされている。
視認性のよい画像を得るためには、試料像に最適な明るさとコントラストを定義する必要がある。従来技術として、検出器、増幅器の条件設定を変えることによって試料像の明るさとコントラストを調整している。また、特開平7−240166号公報には、濃淡レベル変換関数を用いたコントラスト調整方法が記載されている。
特開平7−240166号公報
上記従来技術では、ArFレジスト微細加工パターンにおいて、フレーム積算枚数16、プローブ電流量24pAの条件で2回の測長を行う場合、1回目と2回目の測長の間に1.3nmのスリミング量が発生し、ArFレジスト微細加工パターンの測長において十分なスリミング低減がなされていなかった。そして、スリミング低減の方法として、試料像を作成するのに必要となる電子線の走査回数(以下「フレーム積算枚数」と呼ぶ)とプローブ電流量の関係を考慮した画像制御方法について考慮されておらず、十分なスリミング低減を行い、視認性のよい試料像を得られないことが問題となっていた。
本発明は、ArFレジストのように電子線照射に脆弱でスリミングを生じる試料の観察、測長を行う際に、スリミングの影響を低減して視認性のよい試料像を得ることのできる走査型電子顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明者の実験によれば、ArFレジストのスリミングには、フレーム積算枚数が大きく関係しており、プローブ電流量と加速電圧はスリミングに及ぼす影響が少ないことがわかった。従来は、スリミングには電子線照射密度が影響しているといわれていたが、この実験結果からArFレジストは他のレジストとは異なる性質を持つと言える。その実験結果を図2に示す。
図2は、ある一定のパターンを有するArFレジストの測長を行い、フレーム積算枚数、プローブ電流量、電圧をそれぞれ変化させた時の測長回数とスリミングの関係を示したものである。図2(A)は、加速電圧500V、プローブ電流量(一次電子線の電流量)24pAの条件において、フレーム積算枚数を変化させた時のスリミングと測長回数の関係を表す。フレーム積算枚数の減少に伴い、スリミングが減少しているのがわかる。フレーム積算枚数を2分の1に減らしていくと、各フレーム積算枚数において2〜2.3nmのスリミングが低減できることがわかった。図2(B)は、フレーム積算枚数8、加速電圧500Vの条件においてプローブ電流量を変化させた時のスリミングと測長回数の関係を表す。プローブ電流量を変化させたが、測長再現性(3σ)を考慮すると、プローブ電流量の変化による影響は少ないと言える。図2(C)は、フレーム積算枚数8、電流24pAの条件において加速電圧を変化させた時のスリミングと測長回数の関係を表す。加速電圧の変化においても測長再現性を考慮すると、プローブ電流量の場合と同様に、加速電圧の変化がスリミングに与える影響は少ないと言える。
これらの結果から、スリミングの低減にはフレーム積算枚数の減少が最も効果的であることが分かった。前述のように、従来は、スリミングを低減させるには、電子線照射密度を低下させること、つまり、この場合ではフレーム積算枚数を減少させること、そして、プローブ電流量を減少させることが有効であると言われていた。しかしながら、ArFレジストにおいては、フレーム積算枚数はスリミングに影響を及ぼすが、プローブ電流量は影響がないという結果となった。この結果は、従来の常識とは異なるものである。
しかし、スリミングを低減させるためにフレーム積算枚数を減少させると、試料像を構成する走査回数が少ないため、2次電子の検出量低下によって、コントラストの低下、S/N比の低下によるノイズ発生という問題が生じる。そこで本発明では、スリミングに対して影響が少ないプローブ電流量を大きくして、試料から発せられる二次電子量を多く検出することにより、フレーム積算枚数を低減しても、従来方法で得た試料像と同等の画質を得られるようにする(以下「低フレームスキャン方式」と呼ぶ)。
従来技術では、得られた試料像のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの平均値を試料像の明るさとして定義し、増幅器のダイナミックレンジの拡大によって明るさの制御を行っていた。そして、ヒストグラムの標準偏差は試料像のコントラストとして定義され、検出器の検出条件によってコントラストの制御を行っていた。この従来の制御方法では、低フレームスキャン方式を行った場合、プローブ電流量が大きく変化することによってヒストグラムが大きくずれるので、ヒストグラムの制御をするために何度も走査を行い、ヒストグラムを再作成する必要がある。フレーム積算枚数を減らすことによってスリミングを低減しても、ヒストグラムを作成するために何度も電子線を走査していては、結果としてスリミング量が増加してしまう。ゆえに、ヒストグラムの作成回数を極力減らして試料像に応じた最適な明るさとコントラストの算出を行うことによって、余分な電子線走査を減らす方法が必要となる。
そこで本発明では、電子線走査によって得られた試料像の各ピクセルの輝度を例えば256階調に分類し、各階調ごとにピクセル数を示した輝度ヒストグラムを作成する。そして、この輝度ヒストグラムをもとに、適切なコントラストと画像の明るさを得ることができるプローブ電流量とフレーム積算枚数とを算出し、それを装置に設定して測定用の試料像を形成する。
すなわち、本発明は、試料に電子ビームを走査し、当該走査によって得られる複数のフレームを積算して画像を形成する際の前記電子ビームの条件を調整する電子ビーム調整方法及び走査型電子顕微鏡を提供する。そして、本発明では、電子ビームを走査して得られた画像の輝度ヒストグラムを形成し、当該検出された輝度ヒストグラムを、画像の視認性が向上する位置に、電子ビームの電流を調整することによって移動させるようにしている。
ここで、フレームの積算枚数は、調整された電子ビームの電流値に基づいて決定され、より具体的には、フレーム積算枚数と前記調整された電子ビームの電流の乗算結果が、予め定められた定数となるように決定される。なお、この定数は試料の種類によって異なっている。
試料像のヒストグラムを作成し、対象物と背景の境界付近の階調値を基準にして算出したプローブ電流量から最小フレーム積算枚数を求めることができる。このプローブ電流量と最小フレーム積算枚数の条件で観察を行うことによって、試料のスリミングを抑えながら視認性の良い画像を表示することができる。また、最小フレーム積算枚数による低フレームスキャン方式と本発明のヒストグラム制御方法によって、スループットの向上が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本発明による走査型顕微鏡の概略図を示す。陰極101と第一陽極102の間には、制御演算部119で制御される高電圧制御電源104により電圧が印加され、所定のエミッション電流が陰極101から引き出される。陰極101と第二陽極103の間には制御演算部119で制御される高電圧制御電源104により加速電圧が印加されるため、陰極101から放出された一次電子線110は加速されて後段のレンズ系に進行する。一次電子線110は、集束レンズ制御電源106で制御された集束レンズ105で集束され、絞り板107で一次電子線110の不要な領域が除去される。その後、対物レンズ制御電源112で制御された対物レンズ111により試料113に微小スポットとして集束され、偏向コイル108で試料上を二次元的に走査される。偏向コイル108の走査信号は、観察倍率に応じて偏向コイル制御電源109により制御される。また、試料113は二次元的に移動可能で、試料ステージ114に固定されている。試料ステージ114はステージ制御部115により移動される。一次電子線110の照射によって試料113から発生した二次電子116は二次電子検出器117により検出され、増幅器118によって増幅される。描画部120は検出された二次信号を可視信号に変換して別の平面上に適宜配列するように制御を行うことで、試料表示部121に試料の表面形状に適応した画像を試料像として表示する。入力部122はオペレーターと制御演算部119のインターフェイスを行うもので、オペレーターはこの入力部122を介して上記の各ユニットの制御や測定点の指定や寸法測定の指令を行う。
次に、試料像の輝度ヒストグラムに基づく電子顕微鏡の制御方法について説明する。図3(A)は、試料像の輝度ヒストグラムの例を示す図である。横軸は階調、縦軸はピクセル数である。この輝度ヒストグラムを微分すると図3(B)に示す1次微分グラフ302、図3(C)に示す2次微分グラフ303のようになる。2次微分グラフ303が極大となる階調値a,bは、ヒストグラム301における試料像と背景の境界近辺(以下、「境界点」と呼ぶ)を表すと考えられる。本例では、階調値は0〜255の256階調としているので、ヒストグラムの制御では、両端の境界点を階調値255以内に収める制御が必要である。
図4は、試料像表示部によって作成された試料像の輝度ヒストグラムの例を示す図である。輝度ヒストグラムの両端の曲線部分には、図4(A)に示すように2つの境界点a,bが存在する。aは背景の最も暗い部分との境界、bは試料の最も明るい部分(試料のエッジ部分)との境界を表している。図4(A)に図示した境界点a,bは、図3で説明した輝度ヒストグラムの2次微分グラフ303が極大となる階調値a,bと同じである。
ヒストグラムの制御では、両端の境界点a,bの存在を考慮すればよいので、ヒストグラム401の両端の領域において2次微分を行い、境界点a,bを求める。この2ヶ所の境界点がヒストグラム上に存在し、ヒストグラムの幅が256階調に収まっていれば、視認性のよい画像と考えられる。従って、試料画像の明るさをヒストグラムの平均値で調整し、コントラストは最両端に存在する2つの境界点が256階調に収まるように、主に二次電子検出器117の増幅器118のダイナミックレンジで調整する。
図4(A)のように、境界点がヒストグラムの両端に存在する場合、この画像の明るさ(ヒストグラム平均値)Bは、ヒストグラムを積分したときの面積をS、全ピクセル数をNとすれば、式(1)のようになる。
B=S/N …(1)
この明るさBが階調幅256のほぼ中央の階調値X、例えば階調値130の位置に来るようにプローブ電流量を制御する。制御を行う前のプローブ電流をI、明るさBが階調値Xとなるプローブ電流をIすると、一般的に明るさはプローブ電流に比例するので次式(2)が成り立ち、プローブ電流量Iは式(3)のようになる。
S/N:I=X:I …(2)
=X・I・N/S …(3)
次に、このプローブ電流量に基づいて、走査可能なフレーム積算枚数の最小枚数を算出する。プローブ電流Iと必要なフレーム積算枚数FにはI×F=A(定数)の関係があるため、この式に従いフレーム積算枚数の算出を行う。定数Aは試料によって異なる。コントラストの制御は、2次微分で得られた境界点の階調値a,bの階調幅(b−a)が256階調の中に入るように増幅器118のダイナミックレンジを調節することによって行う。
試料像が暗すぎる場合、ヒストグラムは図4(B)のように左側(低階調値側)に移動し、階調値0を含む低階調値端領域においてピクセル数が多くなり低階調値端にピークが生じる。逆に試料像が明るすぎる場合は、図4(C)のようにヒストグラムが右側(高階調値側)に移動し、階調値255を含む高階調値端領域においてピクセル数が多くなり高階調値端にピークが生じる。図4(B)の場合には輝度ヒストグラムに低階調値側の境界点aが存在せず、図4(C)の場合には輝度ヒストグラムに高階調値側の境界点bが存在しない。このように試料像の明るさが偏り、一方の境界点が存在しない場合のヒストグラム制御方法を以下に示す。
図4(B)に示したヒストグラム402は、試料像の明るさが不足しているために境界点aが存在しない場合である。この場合には、ヒストグラム関数を算出し、低階調値側の領域においてヒストグラムの曲線に接線403を引き、この接線403と階調軸との交点a′を求める。境界点aは、階調値a′から階調値1の範囲に存在するので、a′を仮想的な境界点と考え、その階調値をa′(<0)とする。この低輝度側に接線403が接続された仮想的なヒストグラムの明るさB=S/Nが階調値Xとなるプローブ電流量を算出し、そのプローブ電流量に制御する。制御前後のプローブ電流をそれぞれI,Iとおくと、上式(2)が成り立つので、制御後のプローブ電流値は上式(3)となる。
最小フレーム積算枚数Fは、図4(A)の場合と同様に、関係式I×F=A(定数)に基づいて算出する。そして、ヒストグラムの階調幅(b−a′)が256階調に含まれるように増幅器118のダイナミックレンジを調節し、コントラストの制御を行う。この制御によって、ヒストグラム402は、404のように移動し、移動後のヒストグラム404には、2つの境界点が含まれるため、試料像は視認性のよい画像となる。
図4(C)に示したヒストグラム405は、試料像の明るさが大きいために境界点bが存在しない場合である。この場合には、高階調値側の領域においてヒストグラムの曲線に接線406を引き、この接線406と階調軸との交点b′を求める。境界点bは階調値254から階調値b′の範囲に存在するので、b′を仮想的な境界点と考える。あとは図4(B)の場合と同様の方法で、高輝度側に接線406が接続された仮想的なヒストグラムの明るさB=S/Nが階調値Xとなるプローブ電流量を上式(3)によって算出し、プローブ電流量の制御を行う。そして、このヒストグラムの階調幅(b′−a)が256階調に含まれるように増幅器118のダイナミックレンジを調節し、コントラストの制御を行う。この制御によって、ヒストグラム405は、407のように移動し、移動後のヒストグラム407には、2つの境界点が含まれるため、試料像は視認性のよい画像となる。
図4(B)、図4(C)のような低輝度側あるいは高輝度側に偏ったヒストグラムが得られた場合、プローブ電流量の制御とダイナミックレンジの調節を行った後に、取得した画像からヒストグラムを再作成して所望の形状になっているかどうかを確認する。確認は、作成されたヒストグラムにおける境界点の有無と明るさから判断する。所望の形状でなかった場合、ヒストグラムの再作成を行う。
以上、輝度ヒストグラムが1つのピークを有する場合について説明したが、輝度ヒストグラムが2つ以上のピークを有する場合も同様の方法でヒストグラム制御を行うことができる。図5を用いて、輝度ヒストグラムが2つのピークを有する場合について説明する。
図5(A)は、2つのピークp1,p2を有する輝度ヒストグラム501の例を示す図である。このような輝度ヒストグラムは、例えば試料像を高倍率にしたために試料領域(高輝度領域)のピクセル数が増加した場合に得られ、背景領域と試料領域のそれぞれのピークp1,p2に対応する2つの輝度ヒストグラムを重ね合わせたものと考えることができる。そしてピークp1に対応する輝度ヒストグラムの境界点a,b、及びピークp2に対応する輝度ヒストグラムの境界点c,dを想定することができる。境界点a,bは、輝度ヒストグラム501を2つの輝度ヒストグラムに分解したとき、ピークp1に対応する輝度ヒストグラムの2次微分グラフが極大を示す階調値であり、境界点c,dはピークp2に対応する輝度ヒストグラムの2次微分グラフが極大を示す階調値である。観察を行う上で、輝度ヒストグラムの両端に存在する境界点の階調範囲が重要であるから、ピークp1の背景領域では階調幅abの範囲が重要であり、ピークp2の試料領域では、階調幅cdの範囲が重要となる。以上のことから、2つのピークp1,p2を有する輝度ヒストグラムの場合、観察に必要となる階調幅は両端の境界点a,dの範囲と言える。
結局、2つのピークを有する輝度ヒストグラムにおいても、ヒストグラムの制御では、ヒストグラムの両端領域における境界点a,dの存在だけを考慮すればよいので、ヒストグラム501の両端の領域において2次微分を行い、境界点a,dを求める。そして、この2ヶ所の境界点がヒストグラム上に存在し、ヒストグラムの幅が256階調に収まるように、図4で説明したのと同じ方法でヒストグラムの制御を行う。
図5(A)のように、境界点がヒストグラムの両端に存在する場合、この画像の明るさ(ヒストグラム平均値)Bは、ヒストグラムを積分したときの面積をS、全ピクセル数をNとすれば、上式(1)のようになる。この明るさBが階調幅256のほぼ中央の階調値X、例えば階調値130の位置に来るようにプローブ電流量を制御する。制御を行う前のプローブ電流をI、明るさBが階調値Xとなるプローブ電流をIすると、一般的に明るさはプローブ電流に比例するので上式(2)が成り立ち、プローブ電流量Iは上式(3)のようになる。プローブ電流量に基づいたフレーム積算枚数Fの算出も、上記と同様に関係式I×F=A(定数)を用いて行う。定数Aは試料によって異なる。コントラストの制御は、2次微分で得られた境界点の階調値a,dの階調幅(d−a)が256階調の中に入るように増幅器118のダイナミックレンジを調節することによって行う。
試料像が暗すぎる場合、ヒストグラムは図5(B)のように左側(低階調値側)に移動し、低階調値端領域におけるピクセル数が多くなり、低階調値端にピークが生じる。逆に試料像が明るすぎる場合は、図5(C)のようにヒストグラムが右側(高階調値側)に移動し、高階調値端領域においてピクセル数が多くなりピークが生じる。図5(B)の場合には輝度ヒストグラムに低階調値側の境界点aが存在せず、図5(C)の場合には輝度ヒストグラムに高階調値側の境界点dが存在しない。このように試料像の明るさが偏り、一方の境界点が存在しない場合のヒストグラム制御方法も、ピークが1つの輝度ヒストグラムの場合と同様である。
すなわち、図5(B)に示したヒストグラム502の場合には、ヒストグラム関数を算出し、低階調値側の領域においてヒストグラムの曲線に接線503を引き、この接線503と階調軸との交点a′を求める。a′を仮想的な境界点と考え、その階調値をa′(<0)とする。この低輝度側に接線503が接続された仮想的なヒストグラムの明るさB=S/Nが階調値Xとなるプローブ電流量を算出し、そのプローブ電流量に制御する。制御前後のプローブ電流をそれぞれI,Iとおくと、上式(2)が成り立つので、制御後のプローブ電流値は上式(3)となる。
最小フレーム積算枚数Fは、関係式I×F=A(定数)に基づいて算出する。そして、ヒストグラムの階調幅(d−a′)が256階調に含まれるように増幅器118のダイナミックレンジを調節し、コントラストの制御を行う。この制御によって、ヒストグラム502は、504のように移動し、移動後のヒストグラム504には、2つの境界点が含まれるため、試料像は視認性のよい画像となる。
図5(C)に示したヒストグラム505は、試料像の明るさが大きいために境界点dが存在しない場合である。この場合には、高階調値側の領域においてヒストグラムの曲線に接線506を引き、この接線506と階調軸との交点d′を求める。d′を仮想的な境界点と考える。あとは図5(B)の場合と同様の方法で、高輝度側に接線506が接続された仮想的なヒストグラムの明るさB=S/Nが階調値Xとなるプローブ電流量を上式(3)によって算出し、プローブ電流量の制御を行う。そして、このヒストグラムの階調幅(d′−a)が256階調に含まれるように増幅器118のダイナミックレンジを調節し、コントラストの制御を行う。この制御によって、ヒストグラム505は、507のように移動し、移動後のヒストグラム507には、2つの境界点が含まれるため、試料像は視認性のよい画像となる。
図5(B)、図5(C)のような低輝度側あるいは高輝度側に偏ったヒストグラムが得られた場合、プローブ電流量の制御とダイナミックレンジの調節を行った後に、取得した画像からヒストグラムを再作成して所望の形状になっているかどうかを確認する。確認は、作成されたヒストグラムにおける境界点の有無と明るさから判断する。所望の形状でなかった場合、ヒストグラムの再作成を行う。
図6は、以上に述べたヒストグラム制御による画像取得と、その画像を用いた測定(測長)の手順を示すフローチャートである。最初、試料像を観察する(S11)。次に、その試料像から輝度ヒストグラムを作成する(S12)。輝度ヒストグラムから2次微分グラフを作成し(S13)、低輝度側と高輝度側に背景と試料の境界点が存在するか否かを判定する(S14)。いずれかの境界点が存在しない場合には、図4(B)、図4(C)あるいは図5(B)、図5(C)にて説明したように、仮想的な境界点を算出する(S15)。その後、画像の明るさがほぼ階調の中央値となるようなプローブ電流量を算出するとともに、そのプローブ電流値に対応するフレーム積算枚数を算出する(S16)。算出されたプローブ電流量、フレーム積算枚数はモニター画面上に表示されるようにしてもよい。次に、適切なコントラストを実現するように増幅器118のダイナミックレンジを調節する(S17)。最後に、ステップ16で算出したプローブ電流量、積算フレーム数で試料画像を形成し、測長を行う(S18)。
図7は、試料像表示部121の表示画面例を示す図である。この例によると、ユーザは表示画面上で、プローブ電流量701、積算フレーム数702、及び再作成されたヒストグラム703を確認することができる。ヒストグラム703には境界点と明るさが表示され、ヒストグラムの確認をすることができる。測長のための試料像はウィンドウ704に表示される。
上記のヒストグラム調整方法により、階調値0〜255の階調範囲に背景と試料の境界点が存在するヒストグラムを得ることができる。そして、境界点に基づき試料像に最適な明るさを与えるプローブ電流量と、そのプローブ電流量に応じた最小フレーム積算枚数の算出が可能となり、視認性のよい試料像を制御することができる。
本発明の低フレームスキャン方式により、フレーム数を従来の16枚から4枚に変更し、プローブ電流量を8pAから25pAに変更して10回の測長を行った結果、スリミング量は6.7nmから3.0nmに減少することができた。2回の測長を行った場合では、1.3nmから0.3nmのスリミングに低減することが可能になった。その測長再現精度(3σ)は0.7nmであり、許容範囲を満たす。
本発明の低フレーム測長機能を備えた電子顕微鏡の概略図。 (A)はフレーム積算枚数を変化させた時の測長回数とスリミングの関係を示す図、(B)はプローブ電流量を変化させた時の測長回数とスリミングの関係を示す図、(C)は加速電圧を変化させた時の測長回数とスリミングの関係を示す図。 試料像の輝度ヒストグラムと、その1次微分グラフ及び2次微分グラフの例を示す図。 ヒストグラム制御方法の一例を示す概要図。 ヒストグラム制御方法の他の例を示す概要図。 ヒストグラム制御による画像取得と、その画像を用いた測長の手順を示すフローチャート。 試料像表示部の表示画面例を示す図。
符号の説明
101…陰極、102…第一陽極、103…第二陽極、104…高電圧制御電源、105…集束レンズ、106…集束レンズ制御電源、107…絞り板、108…偏向コイル、109…偏向コイル制御電源、110…二次電子、111…対物レンズ、112…対物レンズ制御電源、113…試料、114…試料ステージ、115…ステージ制御部、116…二次電子、117…二次電子検出器、118…二次電子信号増幅器、119…制御演算部、120…描画部、121…試料像表示部、122…入力部

Claims (10)

  1. 試料に電子ビームを走査し、前記試料から発生する電子を検出器により検出し、当該検出信号を増幅器によって増幅し、当該走査によって得られる複数のフレームを積算して画像を形成する際の前記電子ビームの条件を調整する電子ビーム調整方法であって、
    電子ビームを走査して得られた画像の輝度ヒストグラムを形成するステップと、
    当該形成された輝度ヒストグラムを、前記画像の視認性が向上する位置に、前記電子ビームの電流及び前記増幅器のダイナミックレンジを調整することによって移動させるステップと、
    を備えることを特徴とする電子ビーム調整方法。
  2. 前記調整された電子ビームの電流値に基づいて、フレーム積算枚数を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム調整方法。
  3. 前記フレーム積算枚数は、当該フレーム積算枚数と前記調整された電子ビームの電流の乗算結果が、予め定められた定数となるように決定されることを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム調整方法。
  4. 前記定数は、前記試料の種類によって異なることを特徴とする請求項3に記載の電子ビーム調整方法。
  5. 電子源と、
    当該電子源より放出された電子ビームを試料上に集束するレンズと、
    前記集束された電子ビームを、設定されたフレーム積算枚数に基づいて、前記試料上で走査する走査偏向器と、
    前記試料より放出される電子を検出する検出器と、
    前記検出器の検出信号を増幅する増幅器と、
    当該増幅器によって増幅された信号に基づいて画像を形成する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記電子ビームを走査して得られた画像の輝度ヒストグラムを形成し、前記電子ビームの電流及び前記増幅器のダイナミックレンジを調整することによって、前記輝度ヒストグラムを前記画像の視認性が向上する位置に移動させることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  6. 前記制御装置は、前記調整された電子ビームの電流値に基づいて、フレーム積算枚数を決定することを特徴とする請求項5に記載の走査型電子顕微鏡。
  7. 前記制御装置は、当該フレーム積算枚数と前記調整された電流の乗算結果が予め定められた定数となるように、前記フレーム積算枚数を決定することを特徴とする請求項6に記載の走査型電子顕微鏡。
  8. 前記制御装置は、前記試料の種類ごとに異なる前記定数を用いることを特徴とする請求項7に記載の走査電子顕微鏡。
  9. 電子源と
    当該電子源より放出された電子ビームを試料上に集束するレンズと、
    前記集束された電子ビームを、設定されたフレーム積算枚数に基づいて、前記試料上で走査する走査偏向器と、
    前記試料より放出される電子を検出する検出器と、
    前記検出器の検出信号を増幅する増幅器と、
    当該増幅器によって増幅された信号に基づいて画像を形成する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記電子ビームを走査して得られた画像の輝度ヒストグラムを形成し、前記電子ビームの電流及び前記増幅器のダイナミックレンジを調整することによって、前記輝度ヒストグラムを前記画像の視認性が向上する位置に移動させ、前記調整された電子ビームの電流と、当該電子ビームの電流と前記フレーム積算枚数との関係を示す定数であって、前記試料の種類ごとに異なる定数から前記フレーム積算枚数を決定することを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  10. 前記定数は、前記電子ビームの電流と前記フレーム積算枚数の乗数であることを特徴とする請求項9に記載の走査型電子顕微鏡。
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