以下、本発明の実施の形態による往復動圧縮機を、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図6は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、水平対向4気筒型の空気圧縮機を例に挙げて述べる。
1は水平対向4気筒型の空気圧縮機で、該空気圧縮機1は、後述するクランク軸4の直径方向で互いに対向するシリンダ6,18と、同じく直径方向で互いに対向するシリンダ24,30とを有し、これらのシリンダ6,18,24,30は、例えば水平方向に延びる平面上に並んで配置されている。
2は空気圧縮機1の外殻をなすクランクケースで、該クランクケース2は、図2ないし図4に示す如く、例えば内部が中空となった略箱形状の金属ケース等により形成されている。そして、クランクケース2は、例えば垂直方向に離間して配置された上,下の周壁部2A,2Bと、クランク軸4の軸方向に離間して配置された前,後の周壁部2C,2Dと、クランク軸4を挟んで直径方向の両側に配置された左,右の周壁部2E,2Fとによって構成されている。
ここで、例えば上側の周壁部2Aには、後述の流入口38と流出口46,47,48,49とが設けられている。そして、クランクケース2内には、周壁部2A〜2Fによってクランク室3が画成されている。
4はクランクケース2に回転可能に設けられたクランク軸で、該クランク軸4の軸方向両側は、図3に示す如く、クランクケース2の周壁部2C,2Dに設けられた例えば玉軸受等からなる2個の主軸受5によって支持され、一定の軸線を中心として回転可能となっている。
そして、クランク軸4の軸方向中間部には、その回転中心から所定の寸法だけ径方向に離間した例えば2箇所の偏心軸部4A,4Bが設けられ、これらの偏心軸部4A,4Bは、回転中心に対して互いに直径方向の反対側に偏心している。
また、クランク軸4の端部側には、クランクケース2の周壁部2Dから外部に突出したプーリ取付部4Cが設けられ、このプーリ取付部4Cには、後述のプーリ36が取付けられている。そして、クランク軸4は、例えばモータ等の駆動源(図示せず)によりプーリ36を介して回転駆動される。
6は例えばクランクケース2の左側の周壁部2Cに立設された第1のシリンダで、該シリンダ6には、図4に示す如く、弁板7を介してシリンダヘッド8が搭載され、このシリンダヘッド8には、吸込口9と吐出口10とが設けられている。また、弁板7には、シリンダ6の吸込行程でシリンダ6内と吸込口9との間を連通し圧縮行程でこれらの間を遮断する吸込弁11と、吸込行程でシリンダ6内と吐出口10との間を遮断し吐出行程でこれらの間を連通する吐出弁12とが取付けられている。
13はシリンダ6内に往復動可能に設けられたピストンで、該ピストン13は、クランク軸4により後述の連接棒14等を介して駆動され、シリンダ6内で往復動する。これにより、ピストン13は、吸込口9からシリンダ6内に空気を吸込んで圧縮し、吐出口10から圧縮空気を吐出するものである。この場合、吸込口9には、図4中の矢示A,B,Cに示す如く、後述のクランクケース用フィルタ39、クランク室3、吸込管路50等を経由して外部の空気が吸込まれる。
14はピストン13とクランク軸4の偏心軸部4Aとを連結する連接棒で、該連接棒14は、クランク軸4の回転をピストン13の往復動に変換するものである。この場合、連接棒14の一端側には、大径筒状をなす大端部14Aが設けられ、該大端部14Aは、例えば玉軸受等からなる大端部軸受15を介して偏心軸部4Aの外周側に回転可能に取付けられている。
また、連接棒14の他端側には、小径筒状をなす小端部14Bが設けられ、該小端部14Bは、例えばスリーブ軸受等からなる小端部軸受16と、ピストンピン17とを介してピストン13に揺動可能に取付けられている。
次に、18はクランクケース2の右側の周壁部2Dに立設された第2のシリンダで、該シリンダ18に搭載されたシリンダヘッド19には、第1のシリンダ6とほぼ同様に、吸込口20と吐出口21とが設けられている。また、シリンダ18内に挿嵌されたピストン22は、連接棒23によってクランク軸4と連結され、この連接棒23は、大端部23Aが大端部軸受15を介してクランク軸4の偏心軸部4Aに回転可能に取付けられると共に、小端部23Bが小端部軸受16等を介してピストン22に揺動可能に取付けられている。
24は第1のシリンダ6と並んでクランクケース2の左側の周壁部2Cに配置された第3のシリンダで、該シリンダ24に搭載されたシリンダヘッド25には、シリンダ6とほぼ同様に、図1に示す吸込口26と、図3に示す吐出口27とが設けられている。また、シリンダ24内に挿嵌されたピストン28は、大端部29Aと小端部29Bとを有する連接棒29によってクランク軸4の偏心軸部4Bに連結されている。
さらに、30は第3のシリンダ24と対向する位置でクランクケース2の右側の周壁部2Dに配置された第4のシリンダで、該シリンダ30に搭載されたシリンダヘッド31には、シリンダ24とほぼ同様に、吸込口32と吐出口33とが設けられている。また、シリンダ30内に挿嵌されたピストン34は、大端部35Aと小端部35Bとを有する連接棒35によってクランク軸4の偏心軸部4Bに連結されている。
そして、これら4個のシリンダ6,18,24,30では、クランク軸4が回転するときに、ピストン13,28及びピストン22,34がそれぞれ同位相で往復動し、このときにピストン13,28とピストン22,34とは、互いに逆位相で往復動を行う。これにより、空気圧縮機1は、各ピストン13,22,28,34の往復動等により生じる慣性力(慣性モーメント)をバランス良く打消すことができ、振動、騒音等を低減することができる。
36はクランク軸4のプーリ取付部4Cに設けられた環状のプーリで、該プーリ36の内周側には、図1、図3に示す如く、冷却ファン37が一体に設けられている。そして、プーリ36は、例えばベルト等を介してモータ側のプーリ(何れも図示せず)と連結され、このモータによってクランク軸4と冷却ファン37と一緒に回転駆動される。このとき、冷却ファン37は、例えば図1中の矢示Dに示す如く、クランク軸4の軸方向に流れる冷却風を発生し、この冷却風によってクランクケース2、シリンダ6,18,24,30、後述の吸込管路50等を冷却するものである。
次に、各シリンダ6,18,24,30の吸気経路に関連した構造について説明する。まず、38は例えばクランクケース2の上側の周壁部2Aに設けられた流入口で、該流入口38は、各シリンダ6,18,24,30に空気が吸込まれるときの吸込動作(負圧)を利用して、外部の空気をクランクケース2内に流入させるものである。
ここで、流入口38は、図4ないし図6に示す如く、例えばクランクケース2の周壁部2Aのほぼ中央に開口する貫通孔として形成されている。そして、流入口38には、後述のクランクケース用フィルタ39が取付けられている。
39はクランクケース2の流入口38に設けられたクランクケース用フィルタで、該クランクケース用フィルタ39は、外部の空気が流入口38からクランク室3に流入するときに、この空気中に含まれる塵埃等を除去し、空気を清浄化するものである。
ここで、クランクケース用フィルタ39は、図5に示す如く、外側筒部40Aと内側筒部40Bとにより二重の有底筒状に形成されたフィルタケース40と、該フィルタケース40を施蓋する円板状のカバー41と、内側筒部40Bの内周側に設けられた円筒状のフィルタエレメント42と、内側筒部40Bの外周側に位置してカバー41に設けられた複数の吸込孔43と、内側筒部40Bに設けられた多数の通気孔44と、フィルタエレメント42の内周側に位置してフィルタケース40から外側に突出した筒状の取付口45とにより大略構成されている。
この場合、フィルタエレメント42は、例えば濾紙等により形成され、吸込孔43と取付口45との間に介在している。また、取付口45は、クランクケース2の流入口38に挿嵌され、該流入口38と接続されている。
そして、圧縮機の運転時には、外部の空気が吸込孔43から吸込まれるフィルタケース40内に吸込まれ、この空気は、各通気孔44、フィルタエレメント42及び取付口45を通過してクランクケース2の流入口38に達するときに、フィルタエレメント42によって濾過される。
また、クランクケース2内で生じる騒音等が流入口38からクランクケース用フィルタ39内に伝わると、この騒音は、メッシュ状のフィルタエレメント42と、多数の通気孔44とよって拡散、減衰される。これにより、クランクケース用フィルタ39は、ピストンの往復動等によって生じる騒音がクランクケース2の外部に漏れるのを抑えるサイレンサとしての機能も備えている。
46,47,48,49はクランクケース2の周壁部2Aに設けられた例えば4個の流出口で、これらの流出口46,47,48,49は、流入口38からクランクケース2内に流入する空気を、該流入口38と異なる位置でクランクケース2の外部に流出させるものである。
この場合、流出口46〜49は、図6に示す如く、シリンダ6,18,24,30に対応する位置にこれと同じ個数だけ配置され、流入口38を四方から取囲む位置に形成されている。これにより、中央の流入口38からクランクケース2内に流入する空気(外気)は、周囲の流出口46〜49に向けて四方に分散しつつ、クランクケース2内の広い範囲を流通する冷却風となるため、クランクケース2内の軸受5,15,16等を効率よく冷却することができる。
50は空気圧縮機1に設けられた例えば4本の吸込管路で、該各吸込管路50は、例えば金属パイプ、樹脂パイプ等の固定管路、またはホース等の可撓管路等を用いて構成され、クランクケース2の流出口46〜49から流出する空気を各シリンダ6,18,24,30内に吸込むものである。
これらの吸込管路50は、例えば両端側が略L字状に屈曲した細長いパイプ材等からなり、流出口46,47,48,49と、各シリンダの吸込口9,20,26,32との間にそれぞれ個別に取付けられると共に、これらの流出口と吸込口との間をクランクケース2の外部を経由して各シリンダ毎に接続している。
これにより、吸込管路50は、シリンダ6,18,24,30側で吸気時に生じる負圧をクランクケース2内に付加し、この負圧によって外部の空気をクランクケース2内に吸込んでクランク室3に冷却風を発生する。
また、吸込管路50は、各シリンダが取付けられた周壁部2C,2Dと異なる周壁部2Aに取付けられ、水平方向に並んだ各シリンダと垂直方向に重なり合う位置に配設されている。この結果、吸込管路50を冷却ファン37から見通しのよい位置に配置できるので、圧縮機の運転時には、冷却ファン37の冷却風によって各吸込管路50を効率よく冷却でき、これらの吸込管路50を介して各シリンダ6,18,24,30内に吸込まれる空気を低温に保持することができる。
さらに、吸込管路50は、各シリンダ6,18,24,30の外周側、及びシリンダの外周側に設けられた放熱フィン(図示せず)等に対して離れた位置に配設され、シリンダの外部を経由して配設されている。これにより、各シリンダ6,18,24,30の外周側と吸込管路50との間には、図4に示す如く、これらの間の熱伝導を抑える径方向の隙間寸法Sが形成されている。この場合、隙間寸法Sは、シリンダ6,18,24,30から吸込管路50への空気を介した熱伝導や、放射熱の伝導等を防止するのに十分な寸法値として設定されている。
本実施の形態による空気圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、モータ等の駆動源によりプーリ36が回転駆動されると、これに伴ってクランク軸4と冷却ファン37とが回転する。そして、この回転は、各連接棒14,23,29,35によってピストン13,22,28,34の往復動に変換され、各ピストンがシリンダ6,18,24,30内でそれぞれ往復動する。
これにより、各シリンダの吸込行程では、吸込弁11が開弁して吐出弁12が閉弁することにより、空気が吸込口9,20,26,32からシリンダ内に吸込まれる。また、圧縮行程では、吸込弁11が閉弁してシリンダ内の空気が圧縮され、上死点の近傍で吐出弁12が開弁することにより、シリンダ内の圧縮空気が吐出口10から外部のエアタンク(図示せず)等に向けて吐出される。
この場合、吸込行程では、クランクケース2内の空気が流出口46〜49と各吸込管路50とを経由して各シリンダ内に吸込まれるので、クランクケース2内には、図4中の矢示Aに示す如く、外部の空気が流入口38からクランクケース用フィルタ39を介して流入する。この空気は、流入口38から周囲の流出口46〜49に向けて分散しつつ、クランクケース2内の広い範囲を流通する冷却風となるので、この冷却風によって各連接棒14,23,29,35の大端部軸受15、小端部軸受16、クランク軸4の主軸受5等を効率よく冷却することができる。
そして、クランクケース2内を冷却した空気は、矢示Bに示す如く、流出口46〜49から吸込管路50に流入する。この場合、仮りにクランクケース2内の空気(冷却風)が軸受5,15,16等の熱により温められたとしても、この空気は、矢示Cに示す如く、吸込管路50内を通過するときに冷却ファン37の冷却風によって冷やされ、空気の温度が低下するので、各シリンダ6,18,24,30には低温の空気を吸込むことができる。
かくして、本実施の形態によれば、クランクケース2には、外部の空気をクランク室3に流入させる流入口38と、各シリンダ6,18,24,30に対応する例えば4個の流出口46とを設け、これらの流入口38とシリンダの各吸込口9,20,26,32との間には、吸込管路50をそれぞれ個別に設ける構成としている。
これにより、圧縮機1の運転時には、各シリンダ内でピストン13,22,28,34が往復動することにより、クランクケース2内の空気を流出口46から各吸込管路50に流入させることができ、この空気を吸込管路50から各シリンダ6,18,24,30に吸込むことができる。
この結果、圧縮機の吸込行程でシリンダ内に生じる負圧を利用して、外部の空気を流入口38からクランクケース2内に安定的に流入させることができる。このため、クランクケース2内には、冷却風の発生源等を特別に設けなくても、流入口38から流出口46に向けて広い範囲に冷却風を流通させることができ、クランク室3の温度上昇を抑えることができる。
従って、例えば水平対向4気筒型の圧縮機1において、主軸受5や各シリンダの大端部軸受15、小端部軸受16等からなる複数の部品がクランクケース2内の各部位に散在している場合でも、これらの部品を流入口38から各流出口46に向けて流れる冷却風によって効率よく冷却でき、部品毎の冷却効率のばらつき等を抑えることができる。これにより、クランクケース2内に配置される部品に必要以上の耐熱性をもたせる必要がなくなり、コストダウンを促進できると共に、圧縮機全体の冷却効率を高め、耐熱性を向上させることができる。
また、クランク室3を冷却した空気は、クランクケース2の外部に配置された吸込管路50を流通することができる。これにより、クランク室3内を流通した空気を吸込管路50の位置で十分に放熱させることができ、このときに冷却ファン37の冷却風によって空気の冷却を促進することができる。従って、クランク室3内を流通した空気を低い温度で各シリンダに吸込ませることができ、シリンダに吸込まれる空気の熱膨張を抑えて圧縮効率を高めることができる。
また、クランクケース2に空気の流入口38を設けることにより、各シリンダ6,18,24,30用の吸込フィルタ等に代えて流入口38にクランクケース用フィルタ39を設けることができ、このフィルタ39によって各シリンダに吸込まれる空気を清浄化することができる。
従って、例えば個々のシリンダの吸込口9,20,26,32に吸込フィルタ等を設ける必要がなくなり、これらの吸込フィルタをクランクケース用フィルタ39によって共通化できるので、圧縮機の部品点数を削減でき、その構造を簡略化して組立作業等を効率よく行うことができる。
また、クランクケース2には、シリンダ6,18,24,30の個数に対応して例えば4個の流出口46を設けたので、中央の流入口38から周囲の各流出口46に向けて冷却風の流れを複数の方向に分散させることができ、クランクケース2内の広い範囲にわたって冷却風を流通させることができる。このため、例えば多気筒型や水平対向型の圧縮機等であっても、クランク室3の各部位に配置された軸受5,15,16等の部品を安定的に冷却することができる。
また、クランクケース2の上側の周壁部2Aに各吸込管路50を配置し、これらの吸込管路50を周壁部2C,2D側の各シリンダ6,18,24,30と垂直方向に重なり合う位置に配設したので、各吸込管路50を冷却ファン37から見通しのよい位置に配置でき、冷却ファン37による吸込管路50の冷却効率を高めることができる。また、吸込管路50が各シリンダから水平方向に食み出すことがないので、圧縮機を水平方向に小型化することができる。
さらに、吸込管路50は、シリンダ6,18,24,30の外部を経由して配設し、吸込管路50と各シリンダとの間に径方向の隙間寸法Sを介在させる構成としたので、シリンダで発生する熱が吸込管路50に伝わるのを防止でき、吸込管路50内を流れる空気を低温に保持することができる。
従って、シリンダに吸込まれる空気の熱膨張を抑えることができ、圧縮効率を高めることができる。また、吸込管路50によってシリンダの放熱性を妨げることがないので、シリンダで発生する熱を安定的に逃すことができ、耐熱性を向上させることができる。
次に、図7及び図8は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、各シリンダ用の吸込管路に通路用フィルタをそれぞれ設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
51は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース2の流出口46,47,48,49と、各シリンダ6,18,24,30の吸込口9,20,26,32との間に後述の吸込管路52がそれぞれ設けられている。
52は空気圧縮機51に設けられた例えば4本の吸込管路で、該各吸込管路52は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース2の流出口46〜49から流出する空気を各シリンダ6,18,24,30内に吸込むものである。しかし、吸込管路52の途中部位には、図8に示す如く、筒状の補助吸込口53が分岐した状態で設けられ、この補助吸込口53には、後述の管路用フィルタ54が接続されている。
54は各吸込管路52の補助吸込口53にそれぞれ設けられた管路用フィルタ54で、該管路用フィルタ54は、第1の実施の形態のクランクケース用フィルタ39とほぼ同様のフィルタ部品によって構成され、吸込管路52の途中部位に接続されている。
そして、外部の空気がクランクケース用フィルタ39、クランク室3等を経由して吸込管路52に流入するときには、この空気に加えて他の空気が管路用フィルタ54により清浄化されて吸込管路52に流入し、これら2つの流路の空気は一緒になって各シリンダの吸込口9,20,26,32に吸込まれる。
これにより、管路用フィルタ54は、クランクケース2を経由した流路のみで各シリンダ6,18,24,30に空気が吸込まれる場合と比較して、吸込時の空気抵抗を軽減でき、また吸込まれる空気の温度を低く抑えることができる。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、吸込管路52の途中部位等に補助吸込口53を設け、この補助吸込口53に管路用フィルタ54を設ける構成としている。
これにより、吸込管路52には、空気をクランクケース2から流入させる流路と、管路用フィルタ54から流入させる流路とを設けることができる。そして、各シリンダ6,18,24,30には、クランクケース2内を冷却した空気に加えて、外部の低温な空気を管路用フィルタ54によって小さな抵抗で吸込ませることができる。
このため、例えば管路用フィルタ54の吸込抵抗等を調整することにより、クランク室3を経由してシリンダに吸込まれる空気と、管路用フィルタ54を経由してシリンダに吸込まれる空気との流量バランス等を適切に設定することができる。これにより、クランクケース2を経由した流路のみで空気が吸込まれることによって吸込時の空気抵抗が大きくなったり、吸込まれる空気の温度が高くなるのを確実に防止することができる。
従って、クランクケース2内に十分な風量の冷却風を発生して冷却効率を高めつつ、各シリンダ6,18,24,30に吸込まれる空気の温度や吸込時の抵抗等を抑えて圧縮性能を向上させることができる。
次に、図9は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、隣接する吸込管路の間に連通路を設け、この連通路に通路用フィルタを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
61は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機61は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース2の流出口46,47,48,49と、各シリンダ6,18,24,30の吸込口9,20,26,32との間に吸込管路62がそれぞれ設けられている。しかし、互いに隣接する2本の吸込管路62の間には、後述の連通路63が設けられている。
63は例えば2本の配管等からなる連通路で、該各連通路63は、シリンダ6,24に配置された2本の吸込管路62の間、及びシリンダ18,30に配置された2本の吸込管路62の間をそれぞれ接続している。
また、連通路63の途中部位には、筒状の補助吸込口64が分岐した状態で設けられ、この補助吸込口64には、第2の実施の形態とほぼ同様の管路用フィルタ65が接続されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、隣接する2個の吸込管路62の間に連通路63を設け、この連通路63に管路用フィルタ65を取付ける構成としたので、2個のシリンダ6,24の間及びシリンダ18,30の間で管路用フィルタ65をそれぞれ共通化することができる。これにより、圧縮機全体として管路用フィルタ65等の部品点数を削減でき、また設計自由度を高めることができる。
次に、図10は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、プーリの近くにある一部のシリンダのみに吸込管路を設け、他のシリンダには、吸込フィルタを設けたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
71は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機71は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部72A,72B,72C,72D,72E,72F等を有する略箱形状のクランクケース72と、シリンダ6,18,24,30等とを有している。
しかし、クランクケース72の周壁部72Aには、各シリンダ6,18,24,30のうちプーリ36(冷却ファン37)の近くに位置するシリンダ24,30用の流出口48,49のみが設けられ、プーリ36から離れた他のシリンダ6,18用の流出口は廃止されている。
そして、吸込管路50は、これらの流出口48,49と、シリンダ24,30の吸込口26,32との間に設けられ、冷却ファン32の近傍に配置されている。また、他のシリンダ6,18の吸込口9,20には、後述の吸込フィルタ73が設けられている。
73はシリンダ6,18の吸込口9,20にそれぞれ設けられた吸込フィルタで、該各吸込フィルタ73は、第1の実施の形態のクランクケース用フィルタ39とほぼ同様のフィルタ部品によって構成され、シリンダ6,18内に吸込まれる空気を清浄化するものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、プーリ36の近くにある一部のシリンダ24,30のみに吸込管路50を設け、他のシリンダ6,18には、吸込フィルタ73を設ける構成としている。
これにより、プーリ36(冷却ファン37)の近くに位置するシリンダ24,30の吸込管路50には、冷却ファン37によって十分な風量の冷却風を供給することができる。従って、例えばクランクケース2から吸込管路50に温かい空気が流入したとしても、この空気を吸込管路50の位置で効率よく冷却でき、シリンダ24,30内に吸込まれる空気の温度を確実に低下させることができる。
また、例えばプーリ36から離れた他のシリンダ6,18は、吸込フィルタ73を介して低い温度の空気を直接的に吸込むことができ、吸込時の抵抗を小さくすることができるので、十分な量の空気を吸込んでこれを円滑に圧縮することができる。従って、シリンダ6,18,24,30の配置等に応じて各シリンダ毎に適切な吸気経路を実現でき、圧縮機全体としてクランクケース2内の冷却効率を高めつつ、圧縮性能を向上させることができる。
次に、図11及び図12は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、吸込管路を複数の部品によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
81は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機81は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース2の流出口46,47,48,49と、各シリンダ6,18,24,30の吸込口9,20,26,32との間に後述の吸込管路82がそれぞれ設けられている。
82は空気圧縮機81に設けられた例えば4本の吸込管路で、該各吸込管路82は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば両端側が略L字状に屈曲した細長い筒状体として形成されているものの、図12に示す如く、複数の部品によって構成されている。
ここで、吸込管路82は、クランクケース2の流出口46〜49に取付けられ吸込口9,20,26,32に向けて略L字状に屈曲したケース側継手(エルボ)82Aと、一端側が該ケース側継手82Aに接続され、シリンダ6,18,24,30の外周側に沿って軸方向に延びた通気パイプ82Bと、例えばケース側継手82Aとほぼ同様の継手部品により形成され、該通気パイプ82Bの他端側に接続されると共に吸込口9,20,26,32に取付けられた略L字状のシリンダ側継手82Cとにより構成されている。
この場合、通気パイプ82Bは、その内部を流通する空気の冷却効率を高めるために、例えば高い熱伝導率をもつ金属材料等を用いて直線状に形成されている。また、継手82A,82Cと通気パイプ82Bとは、例えばゴム等の弾性材料からなるシールリング(Oリング)83を介してそれぞれ接続されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、吸込管路82を、ケース側継手82A、通気パイプ82B及びシリンダ側継手82Cにより分割可能な配管として構成したので、例えば複雑な形状の吸込管路が必要な場合でも、その加工、組立等を容易に行うことができる。
また、例えば両側の継手82A,82Cを高い強度の材料等により形成して吸込管路82の耐久性を確保しつつ、通気パイプ82Bは、熱伝導性が良好な材料等により形成して吸込管路82の放熱性を高めることができ、設計自由度を向上させることができる。
次に、図13は本発明による第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリンダと流出口とをクランクケースの同じ周壁部に配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
91は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機91は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部92A,92B,92C,92D,92E,92F等を有する略箱形状のクランクケース92を有している。
しかし、本実施の形態では、クランクケース92の上側の周壁部92Aに流出口が設けられておらず、左側の周壁部92Cに流出口93,95が設けられ、右側の周壁部92Dに流出口94,96が設けられている。即ち、各シリンダ6,18,24,30と、個々のシリンダに対応する流出口93〜96とは同じ周壁部に設けられている。
そして、例えば図13中で左側の周壁部92Cにはシリンダ6,24が設けられ、右側の周壁部92Dにはシリンダ18,30が設けられると共に、これらの吸込口9,20,26,32は、吸込管路97を介してクランクケース92の流出口93,94,95,96にそれぞれ個別に接続されている。
このため、吸込管路97は、前記第5の実施の形態の吸込管路82に対してケース側継手82Aが省略されている。そして、吸込管路97は、一端側がシールリング98を介して流出口93〜96に取付けられ各シリンダの外周側に沿って直線状に延びた通気パイプ97Aと、該通気パイプ97Aの他端側に他のシールリング98を介して接続され、各シリンダの吸込口9,20,26,32に取付けられる略L字状のシリンダ側継手97Bとにより構成されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、シリンダ6,24と流出口93,95とをクランクケース92の同じ周壁部92Cに配置し、シリンダ18,30と流出口94,96とをクランクケース92の同じ周壁部92Dに配置する構成としている。これにより、吸込管路97の屈曲部位を減らして配管の形状をより簡略化でき、その加工、組立等を容易に行うことができる。
次に、図14及び図15は本発明による第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、吸込管路を各シリンダと同じ平面上に並べて配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
101は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機101は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部102A,102B,102C,102D,102E,102F等を有する略箱形状のクランクケース102と、シリンダ6,18,24,30とを有している。
しかし、クランクケース102の手前側の周壁部102Eには、図15に示す如く、シリンダ6,18に対応する流出口103,104が設けられ、後側の周壁部102Fには、シリンダ24,30に対応する流出口(図示せず)が設けられると共に、これら4個の流出口103,104等は,水平方向に開口している。また、シリンダヘッド8,19,25,31は、それぞれの吸込口105,106(2個のみ図示)等が水平方向に開口するように配置されている。
そして、シリンダ6,18用の流出口103,104と吸込口105,106との間には、吸込管路107がそれぞれ個別に設けられ、シリンダ24,30用の流出口と吸込口との間にも、他の吸込管路107がそれぞれ設けられている。この場合、4本の吸込管路107は、水平方向に並んで配置されたシリンダ6,18,24,30と同一の平面上に配置されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、吸込管路107と各シリンダ6,18,24,30とを水平方向の同じ平面上に並べて配置する構成としたので、吸込管路107がクランクケース102から垂直方向に突出することがないので、圧縮機を垂直方向に小型化することができる。
次に、図16及び図17は本発明による第8の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、プーリに近いシリンダの吸込管路を短尺に形成し、プーリから離れたシリンダの吸込管路を長尺に形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
111は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機111は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部112A〜112F等を有する略箱形状のクランクケース112と、シリンダ6,18,24,30とを有している。しかし、上側の周壁部112Aには、後述の短尺な吸込管路117が接続される流出口113,114と、後述の長尺な吸込管路118が接続される流出口115,116とが設けられている。
また、クランクケース用フィルタ39′は、第1の実施の形態とほぼ同様の構造と機能を有しているものの、冷却ファン37による冷却風の流れ方向(矢示D方向)に対して吸込管路117,118よりも下流側に配置されている。これにより、冷却風をクランクケース用フィルタ39′によって遮ることなく、これを吸込管路117,118に効率よく接触させることができる。
117は例えば略コ字状のパイプ材、ホース等によって形成された2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路117は、各シリンダ6,18,24,30のうちプーリ36(冷却ファン37)の近くに位置するシリンダ24,30に設けられ、冷却ファン37からみて吸込管路118よりも手前側に配置されている。また、吸込管路117は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース112の流出口113,114と、シリンダヘッド25,31の吸込口26,32との間に接続されている。
ここで、吸込管路117の長さ寸法L1は、図17に示す如く、後述する吸込管路118の長さ寸法L2よりも短尺に形成されている(L2>L1)。そして、左,右の吸込管路117の間には水平方向の隙間が形成され、この隙間は、冷却ファン37によって矢示D方向に発生する冷却風が吸込管路118に向けて流通する通路となっている。
118は手前側の吸込管路117よりも長尺に形成された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路118は、各シリンダ6,18,24,30のうちプーリ36から離れた他のシリンダ6,18に設けられ、プーリ36からみて吸込管路117よりも奥所側に配置されている。そして、吸込管路118は、手前側の吸込管路117とほぼ同様に、クランクケース112の流出口115,116と、シリンダヘッド8,19の吸込口9,20との間に接続されている。
また、吸込管路118の長さ寸法L2は、吸込管路117の長さ寸法L1よりも大きく形成されているため、吸込管路118の端部側は各吸込管路117の間で冷却ファン37と対面し、この対面部位には、矢示D方向に流れる冷却風が直接的に接触する。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、冷却ファン37からみて奥所側に位置する吸込管路118を、手前側の吸込管路117よりも長尺にする構成としている。
このため、吸込管路117,118が冷却ファン37からみて重なり合うように配置されている場合でも、各吸込管路117の間に冷却風の通路を形成でき、この通路の位置で奥所側の吸込管路118と冷却ファン37とを対面させることができる。そして、冷却ファン37の作動時には、矢示D方向に流通する冷却風の流れが手前側の吸込管路117によって遮られるのを抑制でき、この冷却風を奥所側の吸込管路118に十分に接触させることができる。
従って、手前側の吸込管路117だけでなく、プーリ36から離れた吸込管路118も冷却ファン37によって効率よく冷却でき、吸込空気を低温に保持して圧縮性能を向上させることができる。また、吸込管路118を長くすることによって当該管路の表面積を増大させることができ、放熱性を高めることができる。
次に、図18は本発明による第9の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、プーリに近いシリンダの吸込管路を大径に形成し、プーリから離れたシリンダの吸込管路を小径に形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
121は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機121は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部122A〜122F等を有する略箱形状のクランクケース122と、シリンダ6,18,24,30とを有している。しかし、上側の周壁部122Aには、後述の小径な吸込管路127が接続される流出口123,124と、後述の大径な吸込管路128が接続される流出口125,126とが設けられている。
127は例えば略コ字状のパイプ材、ホース等によって形成された2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路127は、各シリンダ6,18,24,30のうちプーリ36(冷却ファン37)の近くに位置するシリンダ24,30に設けられ、冷却ファン37からみて吸込管路128よりも手前側に配置されている。
そして、吸込管路127は、クランクケース122の流出口123,124と、シリンダヘッド25,31の吸込口26,32との間に接続されている。また、吸込管路127の外径寸法d1は、後述する吸込管路128の外径寸法d2よりも小径に形成されている(d2>d1)。
128は手前側の吸込管路127よりも大径に形成された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路128は、プーリ36からみて吸込管路127よりも奥所側に配置され、プーリ36から離れた2つのシリンダ6,18(シリンダヘッド8,19)の吸込口9′,20′と、クランクケース122の流出口125,126との間に接続されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、冷却ファン37からみて奥所側に位置する吸込管路128を、手前側の吸込管路127よりも大径にする構成としている。
このため、吸込管路127,128が冷却ファン37からみて重なり合うように配置されている場合でも、奥所側の吸込管路128の表面積、即ち外気への放熱面積や冷却風との接触面積を増大させることができる。これにより、冷却ファン37から離れた奥所側の吸込管路128の放熱性を高めることができ、吸込空気を低温に保持して圧縮性能を向上させることができる。
次に、図19は本発明による第10の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第8,第9の実施の形態を組合わせる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
131は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機131は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部132A〜132F等を有する略箱形状のクランクケース132と、シリンダ6,18,24,30とを有している。しかし、上側の周壁部132Aには、後述の短尺で小径な吸込管路137が接続される流出口133,134と、後述の長尺で大径な吸込管路138が接続される流出口135,136とが設けられている。
137は冷却ファン37からみて吸込管路138よりも手前側に配置された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路137は、第8の実施の形態の吸込管路117とほぼ同様に、クランクケース132の流出口133,134と、シリンダヘッド25,31の吸込口26,32との間に接続されている。
ここで、吸込管路137は、その長さ寸法L3が吸込管路138の長さ寸法L4よりも短尺に形成されている(L4>L3)。また、吸込管路137の外径寸法d3は、吸込管路138の外径寸法d4よりも小径に形成されている(d4>d3)。
138は手前側の吸込管路137よりも長尺で大径に形成された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路138は、プーリ36からみて吸込管路137よりも奥所側に配置され、プーリ36から離れた2つのシリンダ6,18(シリンダヘッド8,19)の吸込口9′,20′と、クランクケース122の流出口135,136との間に接続されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第8,第9の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、奥所側の吸込管路138を手前側の手前側の吸込管路137よりも長尺で大径にする構成としている。
これにより、奥所側の吸込管路138では、これを長尺に形成した状態でも、当該管路内を流れる空気の抵抗を減少させることができる。従って、太くて長い吸込管路138を用いることにより、吸込管路138内を流れる空気を十分に冷却しつつ、この空気を小さな吸気抵抗でシリンダ6,18内に効率よく吸込むことができる。
次に、図20及び図21は本発明による第11の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、吸込管路の継手に冷却フィンを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
141は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機141は、前記第5の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース2と各シリンダ6,18,24,30との間にそれぞれ接続される例えば4本の吸込管路142を有している。そして、これらの吸込管路142は、図21に示す如く、ケース側継手142A、通気パイプ142B及びシリンダ側継手142Cによってそれぞれ構成されている。
しかし、各吸込管路142のケース側継手142Aとシリンダ側継手142Cには、吸込管路142を経由して各シリンダ6,18,24,30内に吸込まれる空気を冷却する複数の冷却フィン143が設けられている。
この場合、各冷却フィン143は、例えば鍔状の金属板等によって形成され、吸込管路142の長さ方向に間隔をもって配置されると共に、冷却ファン37による冷却風の流通方向(図20中の矢示D方向)に沿ってほぼ平行に延びている。また、各側継手142A,142Cは、シールリング144を介して通気パイプ142Bの両端側に連結されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、吸込管路142のケース側継手142Aとシリンダ側継手142Cに冷却フィン143を設ける構成としている。
これにより、圧縮機の運転時には、冷却ファン37から発生する冷却風を吸込管路142の冷却フィン143に接触させることができ、吸込管路142の放熱性を高めて内部の吸込空気を確実に冷却することができる。特に、冷却フィン143をシリンダ側継手142Cに設けることにより、シリンダ6,18,24,30側で生じる圧縮熱等を冷却フィン143によって効率よく逃すことができ、吸込空気の温度上昇をより確実に抑えることができる。
次に、図22は本発明による第12の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、吸込管路の全長にわたって冷却フィンを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
151は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機151は、前記第11の実施の形態とほぼ同様に、ケース側継手152A、通気パイプ152B及びシリンダ側継手152Cからなる例えば4本の吸込管路152(1本のみ図示)を有している。
しかし、各吸込管路152には、継手152A,152Cだけでなく、通気パイプ152Bにも複数の冷却フィン153が設けられている。また、各側継手152A,152Cは、シールリング154を介して通気パイプ152Bの両端側に連結されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第11の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、吸込管路152のほぼ全長にわたって複数の冷却フィン153を設ける構成としたので、冷却効率をより一層高めることができる。
次に、図23は本発明による第13の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第10,第12の実施の形態を組合わせる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
161は水平対向型の空気圧縮機で、該空気圧縮機161は、前記第10の実施の形態とほぼ同様に、例えば周壁部162A〜162F等を有する略箱形状のクランクケース162と、シリンダ6,18,24,30とを有している。しかし、上側の周壁部162Aには、後述の短尺で小径な吸込管路167が接続される流出口163,164と、後述の長尺で大径な吸込管路170が接続される流出口165,166とが設けられている。
167は冷却ファン37からみて吸込管路170よりも手前側に配置された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路167は、第10の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース162の流出口163,164と、シリンダヘッド25,31の吸込口26,32との間に接続されている。
そして、吸込管路167は、その長さ寸法L5が吸込管路170の長さ寸法L6よりも短尺に形成されている(L6>L5)。また、吸込管路167の外径寸法d5は、吸込管路170の外径寸法d6よりも小径に形成されている(d6>d5)。
さらに、吸込管路167は、第12の実施の形態とほぼ同様に、例えばケース側継手167A、通気パイプ167B及びシリンダ側継手167Cによって形成され、これらの部材には、吸込管路167のほぼ全長にわたって複数の冷却フィン168が設けられている。そして、各側継手167A,167Cは、シールリング169を介して通気パイプ167Bの両端側に連結されている。
170は手前側の吸込管路167よりも長尺で大径に形成された例えば2本の吸込管路を示し、これらの吸込管路170は、プーリ36からみて吸込管路167よりも奥所側に配置され、プーリ36から離れた2つのシリンダ6,18(シリンダヘッド8,19)の吸込口9′,20′と、クランクケース162の流出口165,166との間に接続されている。
また、吸込管路170は、吸込管路167とほぼ同様に、ケース側継手170A、通気パイプ170B及びシリンダ側継手170Cによって形成され、冷却フィン171が設けられると共に、シールリング172によって連結されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第10及び第12の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記各実施の形態では、ピストン13,22,28,34と連接棒14,23,29,35とを別部品として構成した。しかし、本発明は、ピストンと連接棒とが一体に形成されたり、これらが固定的に連結された揺動型のピストン(ロッキングピストン)を有する圧縮機に適用してもよい。
また、本発明では、例えば第10の実施の形態で第8,第9の実施の形態を組合わせる構成とし、第13の実施の形態では、第10,第12の実施の形態を組合わせる構成とした。しかし、本発明はこれらの実施の形態に限らず、例えば第1ないし第13の実施の形態のうち組合わせが可能な一部または全部の実施の形態を組合わせて圧縮機を構成することができる。
また、実施の形態では、往復動圧縮機として水平対向4気筒型の空気圧縮機1,51,61,71,81,91,101,111,121,131,141,151,161を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2気筒、3気筒、または5気筒以上の圧縮機や、各シリンダがクランク軸の直径方向一側に直列に並んだ直列型の圧縮機、または各シリンダがクランク軸を挟んでV字型に配置されたV型の圧縮機等に適用してもよい。さらに、冷媒等を含めて空気以外の気体を圧縮する各種の圧縮機にも適用できるものである。