JP4652658B2 - スクリーン印刷用インク組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンを形成することが可能なスクリーン印刷用インク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばプリント配線板におけるメッキレジストパターンやエッチングレジストパターンあるいはPDP用の隔壁等を形成する方法としてスクリーン印刷法が多用されている。
【0003】
このようなスクリーン印刷法自体はよく知られているように、スクリーン上にスクリーン印刷用インクを盛り、スキージ等で押圧しながらスクリーンの網目を通して印刷材を印刷するというものである。
【0004】
しかしながら、スクリーン印刷法においては、スキージ等で押圧することによってスクリーンが撓んだ状態で印刷される等の種々の要因から、高精細な印刷を行った場合に印刷精度が得られ難いという問題点があった。
【0005】
特に、高精細なパターンを形成するためのスクリーン印刷に用いられるスクリーン印刷用インクとしては、粘度が高すぎるとスキージ等で押圧した際に、インクをスクリーン印刷版に十分に落とし込むことができず、このため精度の高い印刷をすることができず、一方スクリーン印刷用インクの粘度が低い場合は、転写時にインクが印刷版の裏側に回ってしまうといった不具合が生じ、この場合も精度の高い印刷を行うことができないといった問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用インク組成物を提供することを主目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、少なくとも高分子材料を含むバインダ成分と、上記バインダ成分に分散された微粒子とを含有するスクリーン印刷用インク組成物であって、
粘度測定法として回転粘度計測定法において、測定部の形状が円錐−円板型の試料容器を用い、温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート10S−1での測定値が、30,000MPa〜100,000MPaの範囲内であり、かつシェアレート20S−1での測定値が、2,000MPa〜7,000MPaの範囲内であり、下記化学式(3)で示される化合物を固形分重量比で1重量%〜65重量%の範囲内で含有することを特徴とするスクリーン印刷用インク組成物。
【化4】
Figure 0004652658
(ここで、Xはメチル基もしくは水素原子を示し、R はアルキル基もしくはヒ
ドロキシアルキル基を示す。)
【0008】
本発明によれば、スキージによりインクを落とし込む状態、すなわちシェアレート20S−1(高速状態)における粘度が上述したような比較的低い粘度の範囲内であるので、スクリーン印刷用版内に正確にインクを落とし込むことが可能となる。またスクリーン印刷用版から被印刷物へとインクが転写される状態、すなわちシェアレート10S−1(低速状態)における粘度が上述したような比較的高い粘度の範囲であるので、転写時にインクがスクリーン印刷用版の裏に回る等の不具合がなく、正確な転写を行うことが可能となる。したがって、高精細なパターンをスクリーン印刷により形成する際のスクリーン印刷用インク組成物として好適に用いることが可能となる。
また、上記化学式(3)で示される化合物を固形分重量比で1重量%〜65重量%の範囲内で含有するものであるので、被印刷物への密着性が向上する。さらに、後述する光重合開始剤と共に用いることにより、光硬化後の物性を良好なものとすることができる。
【0009】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記微粒子の含有量が、固形分比で25重量%〜95重量%の範囲内であることが好ましい。スクリーン印刷用インク組成物内の微粒子の量をこのような範囲内で含有させることにより、スクリーン印刷用インク組成物に対して、上述したようなチクソトロピー性を付与することが可能となるからである。
【0010】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記バインダ成分が、下記化学式(1)で示されるモノマー成分を5モル%〜95モル%の範囲内で有し、かつ下記化学式(2)で示されるモノマー成分を5モル%〜85モル%の範囲内で有し、さらにポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内であるアクリル共重合体であることが好ましい。
【0011】
【化3】
Figure 0004652658
【0012】
(ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、芳香族もしくは脂環式化合物である。)
バインダとして、このようなアクリル共重合体を用いることにより、より高精細なパターニングが可能となるからである。
【0013】
上記請求項3に記載された発明においては、請求項4に記載するように、エポキシアクリレート樹脂組成物を固形分重量比で3重量%〜55重量%の範囲内で含有することが好ましい。このように、エポキシアクリレート樹脂組成物を含有させることにより、スクリーン印刷用インク組成物の被印刷物に対する密着性が向上するからである。
【0017】
上記請求項3または請求項4に記載された発明においては、請求項5に記載するように、多官能アクリルアクリレートモノマーと光重合開始剤とを含有するものであることが好ましい。このような組成することにより、スクリーン印刷後に露光することで硬化させることが可能となり、工程面で有利となるからである。
【0018】
本発明においては、上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載された発明において、請求項6に記載するように、上記微粒子が顔料であることが好ましい。
【0019】
そして、本発明は、請求項7に記載するように、上記請求項6に記載のスクリーン印刷用インク組成物が、スクリーン印刷法を用いて形成されるカラーフィルタの着色層形成用であることを特徴とする着色層形成用インク組成物を提供する。このような着色層形成用インク組成物を用いれば、スクリーン印刷法を用いても、高精細な着色層のパターンを形成することが可能となることから、スクリーン印刷法によりカラーフィルタを形成することが可能となるからである。
【0020】
さらに、本発明は、請求項8に記載するように、上記請求項7記載の着色層形成用インク組成物を用い、スクリーン印刷法により形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。このように、上述したような着色層形成用インク組成物を用いるものであるので、高精細な着色層のパターンでもスクリーン印刷法により形成することが可能であり、従来の顔料分散法等と比較して、工程上も簡便であり、かつ材料面でも無駄の無い、きわめて低コストである製造方法とすることができる。
【0021】
上記請求項8に記載された発明においては、請求項9に記載するように、可撓性を有する基材上に着色層を印刷するものであることが好ましい。フレキシブルなカラーフィルタを提供することができるからである。
【0022】
さらに、本発明は、請求項10に記載するように、上記請求項8または請求項9に記載のスクリーン印刷法により製造されることを特徴とするカラーフィルタを提供する。このようなからーフィルタは、上述したものと同様の理由により、極めて低コストのカラーフィルタとすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上述したように、スクリーン印刷法において、スキージによりインクを落とし込む際には、インクの粘度が低い方が好ましく、かつ一旦スクリーン印刷版に落とし込まれた後は、インクの粘度が高い方が好ましい点に着目し、スクリーン印刷用インク組成物のレオロジー特性を重視した印刷要因を鋭意検討した結果、本発明を見出すに至ったものである。以下、本発明のスクリーン印刷用インク組成物について詳細に説明し、次いで本発明に含まれる着色層形成用インク組成物、カラーフィルタの製造方法、およびカラーフィルタについて順次説明する。
【0024】
A.スクリーン印刷用インク組成物
本発明のスクリーン印刷用インク組成物は、少なくともバインダ成分と、上記バインダ成分に含有された微粒子とを含有するスクリーン印刷用インク組成物であって、
粘度測定法として、回転粘度計測定法において、測定部の形状が円錐−円板型の試料容器を用い、温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート10S−1での測定値およびシェアレート20S−1での測定値を所定の範囲として決定した点に特徴を有するものである。
【0025】
本発明のスクリーン印刷用インク組成物における温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート10S−1での測定値としては、30,000MPa〜100,000MPaの範囲内であり、好ましくは60,000MPa〜80,000MPaの範囲内とする。
【0026】
この温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート10S−1での測定値は、スクリーン印刷時にスクリーン印刷用版内にインクが既に落とし込まれた状態、すなわち低速状態での粘度に相当するものである。したがって、粘度が上記範囲より大きい場合は、スクリーン印刷版内に充填されたスクリーン印刷用インク組成物が転写時に抜け切れない可能性があることから好ましくなく、粘度が上記範囲より小さい場合は、スクリーン印刷版内に充填されたスクリーン印刷用インク組成物がスクリーン印刷用版の裏に回り込む等の不具合が生じる可能性があることから好ましく無い。
【0027】
また、本発明のスクリーン印刷用インク組成物における温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート20S−1での測定値としては、2,000MPa〜7,000MPaの範囲内であり、好ましくは3,000MPa〜5,000MPaの範囲内とする。
【0028】
上記温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート20S−1での測定値は、スクリーン印刷時にスキージによりスクリーン印刷用インク組成物をスクリーン印刷用版内に落とし込む状態、すなわち高速状態での粘度にするものである。したがって、粘度が上記範囲より大きい場合は、スキージによるスクリーン印刷版内のすべての孔へのインクの落とし込みが完全に行われない可能性があるため好ましくなく、粘度が上記範囲より小さい場合は、スクリーン印刷用版とスキージとの間にスクリーン印刷用インク組成物が入り込み、印刷抵抗を増加させる等の不具合が生じることから好ましく無い。
【0029】
本発明は、このように、異なる二つ速度領域、すなわちシェアレート10S−1での粘度およびシェアレート20S−1での粘度のいずれもが本発明で規定する範囲に入っていることが必要であり、スクリーン印刷用インク組成物に対して、所定のチクソトロピー性を要求するものである。
【0030】
上記本発明における粘度の測定法としては、回転粘度計を用いる。回転粘度計は、測定部の形状に従って二重円筒型、円錐−円板型、平行円板型等に分類される。それぞれについて、せん断速度、せん断応力が求められるが、二重円筒型、平行円板型は試料容器内でせん断速度が一義的に求められないといった欠点がある。一方、せん断速度により粘度が異なるようなものの時、中心からの距離によりせん断速度が異なる平行円板型のようなものより、円錐−円板型の方が良い。詳細及び測定方法等に関しては、「化学者のためのレオロジー」(小野木重治著、化学同人、1982年)や、本測定方法は、学会準拠で公知であることから、例えば日本レオロジー学会誌(甘利武司、渡辺鋼市郎、10、147、(1982))を参照されたい。
【0031】
以下、本発明のスクリーン印刷用インク組成物の各組成について説明し、次いで、本発明のスクリーン印刷用インク組成物の用途、製造方法等について説明する。
【0032】
1.組成
本発明のスクリーン印刷用インク組成物は、上述した粘度特性を有し、さらに少なくともバインダ成分とこのバインダ成分に分散された微粒子とを有するものである。
【0033】
a.微粒子
本発明のスクリーン印刷用インク組成物は、上述したように、バインダ成分とバインダ成分に分散された微粒子を有するものであり、上述したような粘度特性を有するものであれば特に限定されるものではない。しかしながら、上述したような粘度特性は、比較的微粒子の含有量が高い場合に生じるものであり、この点から、本発明においては、微粒子の含有量が、固形分比で25重量%〜95重量%の範囲内、特に30重量%〜85重量%のの範囲内で含有されていることが好ましい。
【0034】
本発明に用いられる微粒子としては、スクリーン印刷により得られる印刷物が要求される機能により種々のものが用いられ、特に限定されるものではない。具体的には、銀、亜鉛、金、銅などの金属および金属粉体、γ−Fe23、二酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物およびゾル溶液、有機顔料、無機顔料、表面処理したフィラー、カプセル化処理を施した粉体、メカノケミカル的に粉砕した粉体、触媒、酸化・還元反応により生成した電解物、金属と有機化合物の重合体、ポリマー粉体等を挙げることができる。
【0035】
本発明においては、中でも微粒子として顔料を用いることが好ましい態様であるといえる。このように顔料が多量に含有されたスクリーン印刷用インク組成物を用いて印刷された場合、高着色性を有する層を形成することが可能であり、例えば、カラーフィルタの着色層を形成する場合等において好適だからである。
【0036】
本発明のスクリーン印刷用インク組成物に用いられる顔料としては、特に限定されるものではないが、顔料濃度が高いことから、分散性の良好な顔料が好適に用いられる。具体的には、塩基性処理を施した顔料が用いられ、例えば、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン系顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料等の有機顔料の1種または2種以上を挙げることができる。また、上記の塩基性処理を施した顔料と併用できる無処理あるいは他の処理を施した顔料として、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン系顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料等を挙げることができる。このような顔料を併用する場合、塩基性処理を施した顔料100重量部に対して5〜200重量部の範囲で含有させることができる。
【0037】
b.バインダ成分
本発明のスクリーン印刷用インク組成物の他の必須成分として、バインダ成分を挙げることができる。
【0038】
本発明におけるバインダ成分は、上記微粒子が分散された際に、上述したような粘度特性を有することができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、バインダとして溶剤中に溶解した高分子材料を用い、後工程で溶剤を除去するようにしてもよく、またバインダとしてモノマー成分を用い、後工程で硬化させるようにしてもよく、さらには、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0039】
(アクリル共重合体)
本発明において、好適に用いられるバインダ成分としては、アクリル共重合体が好適に用いられる。アクリル共重合体をバインダとして用いれば、後述するように光重合開始剤や多官能アクリレートモノマー等を用いることにより、容易に光重合性を付与することが可能となるからである。
【0040】
本発明においては、中でも、下記化学式(1)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0041】
【化5】
Figure 0004652658
【0042】
ここで、上記化学式(1)におけるR(化学式(2)も同様である。)は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。
【0043】
この化学式(1)で示されるモノマー成分を導入するために使用されるモノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン等が例示される。この化学式(1)で示されるモノマー成分の含有量としては、5モル%〜95モル%の範囲内、特に10モル%〜85モル%の範囲内、中でも15モル%〜70モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0044】
また、本発明に用いられるアクリル共重合体は、少なくとも下記化学式(2)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0045】
【化6】
Figure 0004652658
【0046】
ここで、上記化学式(2)中のRは、フェニル基、ナフチル基等の芳香族および脂環式化合物が例示される。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等であり、また、芳香族環は塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸基等で置換されていてもよい。
【0047】
この化学式(2)で示されるモノマー成分は、本発明に用いられるアクリル共重合体に硬度等の機械的な物性を向上させる成分である。
【0048】
本発明において、化学式(2)で示されるモノマー成分の含有量は、スクリーン印刷により得られる印刷物が要求される物性等に応じて調整され、5モル%〜85モル%の範囲内、特に7モル%〜80モル%の範囲内、中でも10モル%〜75モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0049】
本発明に用いられるアクリル共重合体としては、少なくとも上記化学式(1)および化学式(2)で示されるモノマー成分を有するものであれば、他のモノマー成分が含まれていてもよい。例えばウレタンアクリレートで、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、アルコキシアクリレートが用いられる。
【0050】
上述したようなモノマー成分を重合させて得られるアクリル共重合体の分子量としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)で、10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、特に20,000〜100,000の範囲のものとされることが好ましい。
【0051】
重量平均分子量が上記範囲を外れる場合は、スクリーン印刷用インク組成物とした場合に、粘度を上記範囲内とならない可能性があるからである。
【0052】
(アクリル共重合体の製造方法)
上述した化学式(1)および(2)で示されるモノマー成分は、それぞれ例示したものを単独でも、また混合して使用してもよい。
【0053】
このような化学式(1)および(2)で示されるモノマー成分、および必要に応じて加えられる他のモノマー成分を有する特定の重合体を製造するために用いられる重合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有しない溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いることができる。
【0054】
また、重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものを使用することができ、その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
【0055】
このようなアクリル共重合体の製造方法においては、重量平均分子量を調節するために、分子量調節剤を使用することができ、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0056】
また、得られるアクリル共重合体は、上述した化学式(1)および(2)、さらには必要に応じて添加される他のモノマー成分のランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0057】
ランダム共重合体の場合には、各モノマー成分、触媒からなる配合組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることにより重合させることができる。
【0058】
(他のバインダ成分)
本発明においては、上述したようなアクリル共重合体の他に、熱硬化性樹脂組成物として、硬化後の膜強度が保持できる、例として、ポリカーボネート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリ(−4−メチルペンテン−1)等を挙げることができる。さらに、インキの弾性力や耐衝撃性を改善するために、変性エポキシ樹脂、例えばアクリロニトリル、ブタジエン共重合体(NBR)を結合させた変性エポキシ、クロロプレン系樹脂、接着力を改善するために、シアノアクリレート系樹脂、さらには水系用途の改善をするために、スチレン/ブタジエン乳化共重合体、エチレン/酢酸ビニル乳化共重合体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、ブタジエン乳化共重合体等を使用しても良い。さらには、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂等を添加しても良い。
【0059】
c.その他の成分
本発明のスクリーン印刷用インク組成物の他の成分としては、以下のものを挙げることができる。
【0060】
(多官能アクリルアクリレートモノマー)
バインダ成分として、上記アクリル共重合体を用いた場合は、後述する光重合開始剤と共に多官能アクリレートモノマーを用いることが好ましい。光重合性を付与することができるため、スクリーン印刷後の工程が簡便となるからである。また、このように露光により硬化を完了することができることから、熱硬化の場合等と比較して、スクリーン印刷によりパターンが形成される被印刷物(基材)の熱による劣化を防止することができる。
【0061】
このような2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のエチレンオキシド3モル付加物、エチレンオキシド6モル付加物、プロピレンオキシド3モル付加物、プロピレンオキシド6モル付加物等を挙げることができる。
【0062】
その他、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等も挙げることができる。
【0063】
本発明においては、上記多官能アクリルアクリレートモノマーを添加する場合は、スクリーン印刷用インク組成物中に固形分比3重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲内で含有される。
【0064】
(光重合開始剤)
本発明においては、上記多官能アクリレートモノマーと共に光重合開始剤を用いることが、上記多官能アクリレートモノマーにおいて説明したものと同様の理由により好ましいといえる。
【0065】
具体的には、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、紫外線により光重合性モノマーの重合性基を重合させるラジカルを発生させることができる化合物であり、単独または複数組み合わせて使用される。
【0066】
このような光重合開始剤としては、2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。このような重合開始剤は、スクリーン印刷用インク組成物中に固形分比0.1重量%〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0067】
さらに、上記重合性化合物を光照射により速やかに反応させる為には、別の光重合開始剤や増感剤あるいは色素を添加することが一般的である。この様な光重合開始剤は上記重合性化合物に溶解あるいは相溶し、均一に混合される事が好ましい。この様な光重合性開始剤としてはベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、ミヒラーズケトン、ベンジル、ベンジルジアルキルエーテル、ターシャルブチルアントラキノン等のアントラキノン類、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体等が挙げられる。さらに、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の光重合促進剤を混合しても良い。これらは、ベンゾフェノン系やチオキサントン系を用いた場合の重合硬化速度を速める上で効果的である。上記光重合性開始剤は、エチレン性不飽和基を有する化合物100重量部に対して、一般に1〜10重量部の割合で配合される。
【0068】
(エポキシアクリレート樹脂組成物)
本発明においては、その他に被印刷物との密着性を向上させるためにエポキシアクリレート樹脂組成物を添加してもよい。
【0069】
本発明において用いることができるエポキシアクリレート樹脂組成物としては、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0070】
このようなエポキシアクリレート樹脂組成物は、スクリーン印刷用樹脂組成物中に固形分比1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%で含有されることが好ましい。エポキシアクリレート樹脂組成物の含有量が上記範囲より少ない場合は、得られる印刷物に十分な密着性を付与することができず、一方、エポキシアクリレート樹脂組成物の含有量が上記範囲を越えると、スクリーン印刷用インク組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。
【0071】
また、エポキシアクリレート樹脂組成物は、スクリーン印刷用インク組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で十分な効果が発現する。
【0072】
本発明においては、上記エポキシアクリレート樹脂組成物に替えて、もしくは上記エポキシアクリレート樹脂組成物と共に用いることにより、被印刷物との密着性を向上させ、かつ現像性をも向上させる、下記化学式(3)で示される成分を添加することが好ましい。
【0073】
【化7】
Figure 0004652658
【0074】
(ここで、Xはメチル基もしくは水素原子を示し、Rはアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を示す。)
このような化合物としては、具体的には、カチオン併用可能である部分エポキシ変性アクリレートEB3605(UVAC 1561,ダイセルUCB(株)製)、金属への密着性の向上が可能であるリン酸エポキシアクリレートのRDX63182(ダイセル工業(株)製)、酸含有メタクリル化合物であるEbecryl 168(ダイセル工業(株)製)が挙げられ、ノボラックエポキシアクリレートと多官能アクリレートモノマーの組み合わせの例として、EB629、30%TMPTAおよび5%HEMAによるもの、EB1629、40%TMPTAおよび28%HEMAによるもの、EB3603および20%トリプロピレングリコールジアクリレート(TPRGDA)によるもの等を挙げることができる。
【0075】
上記化学式(3)で示される成分は、スクリーン印刷用インク組成物中に固形分比1重量%〜65重量%、好ましくは5重量%〜55重量%の範囲内で含有されることが好ましい。添加量が上記範囲より少ない場合は、エポキシ基に基づく基板密着性及びインキ弾性力が低く、版離れやインキ転移効率の低下となるからである。また、添加量が上記範囲より多い場合には、インキ膜硬化度が高すぎるため、パターン形成後のUVおよび/または熱による乾燥により、部分的なひび割れや、応力によるそりが生じる結果となる。また、エポキシ含有量が高まると透明性が損なわれ、淡黄色に着色することから、意匠性、クリアー観を損なうからである。
【0076】
(分散剤)
本発明においては、比較的多量の微粒子をバインダ成分に分散させること好ましいことから、分散剤が好適に用いられる。具体的には、スチレン/ブチルスチレン共重合物、長鎖ポリアミノアマイド燐酸塩、ポリアマイド、高分子量ポリカルボン酸塩、酢酸オレイルアミン、テトラアルキルアンモニウム塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸アミノオレエート、リン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。このような分散剤は、微粒子100重量部に対して30〜100重量部の範囲で含有させることができる。
【0077】
(溶剤)
また、上述した粘度範囲とするために用いられる溶剤として、ジイソプロピルエーテル、n−ペンタン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸メチル、ジグライム、ブチルカルビトール等の有機溶剤が挙げられる。
【0078】
(その他)
本発明のスクリーン印刷用インク組成物は、さらにこの種の感光性樹脂組成物に通常含まれる添加剤成分を任意に添加することができる。この様な任意の添加剤成分としては、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0079】
2.用途
本発明のスクリーン印刷用インク組成物は、種々の微細パターンを必要とする機能性素子の形成に用いることができる。具体的には、メッキレジストパターン、エッチングレジストパターン、PDP用の隔壁のパターン、プリント配線板の導線パターン、カラーフィルタの着色層等を挙げることができる。
【0080】
本発明においては、中でもカラーフィルタの着色層形成用インク組成物として用いることが好ましい。
【0081】
3.スクリーン印刷用インク組成物の製造方法
スクリーン印刷用インク組成物の印刷インキ化は、ゴムや樹脂などの固定媒体となる結着用材料に対する微粒子の混合比を変化させ混入し、樹脂、溶剤、分散剤を最適な組み合わせで選択して、これをペイントロールで混合した後、印刷インキとすることができる。
【0082】
分散剤としては、高分子型湿潤・分散剤を用いる。分散剤は微粒子が樹脂中で均一に分散するために用いる、あるいは、インキ化の均質性を保持や改善以外に、形成膜質を良好としたり、基板密着性を阻害しないようなものを注意して厳選しなければならない。
【0083】
この分散剤の材料として例えば、楠本化成(株)製ディスパロンシリーズ、アビシア(株)製ソルスパースシリーズなどがある。この中で、好適には、酸価8−20、アミン価20−32の高分子型湿潤・分散剤を用いる。具体的には、ディスパロンの商品番号DA−703−50,DA−705,DA−725,DA−234,DA−325,DA−375、ソルスパース24000、12000、5000などである。
【0084】
さらに、これと組み合わせて使用可能な分散剤として、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系、ポリエチレングリコールジエステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、脂肪酸変性ポリエステル系、3級アミン変性ポリウレタン系などが用いられる。
【0085】
さらには、スクリーン印刷用インク組成物として着色する場合には、微粒子として用いられる顔料と組み合わせて、有機色素誘導体等を使用できる。有機色素誘導体としては、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の有機色素(顔料、染料など)の骨格にカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基等を付加したもの、および、その塩等をあげることができる。
【0086】
4.スクリーン印刷方法
本発明のスクリーン印刷用インク組成物を用いて印刷を行う印刷方法について、具体的説明する。
【0087】
印刷に際しては市販のスクリーン印刷機、例えばマイクロテック(株)で製造される高精度低圧スクリーン印刷機を使用することができる。スクリーンのメッシュ数は約100から約500線/cmである。この時のスクリーンの開放面積は約20から約50%である。スクリーン紗を構成する糸(鋼線の場合もある)の直径は約30から約70μmである。使用し得る市販のスクリーンは村上スクリーン株式会社、ソノコム株式会社、または東京プロセスサービス株式会社製のポリエステルスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーンが含まれる。さらに高精細を要求される場合は、線径の細いもので高密度メッシュな紗を選択するのが好ましい。さらに、高粘度なペースト状態のものを、低い粘度で印刷したい場合には、高張力ステンレススクリーン紗を選択することが好ましい。
【0088】
スクリーン印刷のスキージは丸型、長方形、正方形のいずれの形状であってもよく、これはスクリーン版上で前進運動において用いられる。
【0089】
B.着色層形成用インク組成物
次に、本発明の着色層形成用インク組成物について説明する。上記スクリーン印刷用インク組成物の用途としては、上述したようにカラーフィルタの着色層形成用インク組成物として用いることが好ましい。これは、以下の理由によるものである。
【0090】
すなわち、上述したスクリーン印刷用インク組成物には、チクソトロピー性を付与するために、比較的多量の微粒子を含有させることが好ましい。したがって、このようなスクリーン印刷用インク組成物を着色層形成用インク組成物として用いた場合は、高着色性を有する着色層を形成することができるからである。
【0091】
また、カラーフィルタの着色層は、従来顔料分散法等の方法により行われてきたが、顔料分散法を用いた場合は、通常3回のフォトリソグラフィ工程を行う必要があるため工程上問題があり、また原料を多量に消費しかつ廃液の処理等を必要とするといった課題を有するものであった。
【0092】
本発明の着色層形成用インク組成物を用いてスクリーン印刷法により着色層を形成することにより、上述したような問題を考慮することなく、低コストで着色層を形成することが可能となる。
【0093】
このようなカラーフィルタ用の着色層形成用インク組成物の各組成について説明する。
【0094】
1.バインダ成分
本発明においては、上述した上記「A.スクリーン印刷用インク組成物」の欄で説明したもの以外に、着色層形成用インク組成物のバインダ成分として、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアニリン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどの導電性樹脂、特にポリアニリン樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリフェニレンビニレン樹脂などを挙げることができる。
【0095】
また、アルキッド樹脂、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂、エポキシ変性ウレタンゴム等の各種ゴム類、シリコーン、各種の合成樹脂が用いられる。例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合樹脂等のアクリル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシフェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシウレタン変性樹脂、又はフェノール樹脂あるいはこれらの共重合体や混合物等である。これらは誘電率も考慮して選択するのが望ましい。
【0096】
上記の内、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアニリン樹脂、アルキッド樹脂、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂、エポキシ変性ウレタンゴム、シリコーン、エポキシフェノール樹脂、エポキシウレタン変性樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、あるいはこれらの共重合体や混合物などを用いるのが特に好ましい。
【0097】
カラーフィルタの着色層のバインダ成分(固定媒体となる結着用材料)は、さらには、上述の樹脂のオリゴマー(共重合体を含む)にグリシジル基または水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマーなども挙げることができる。
【0098】
なお、他の必須成分である顔料については、上記「A.スクリーン印刷用インク組成物」の欄で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0099】
2.その他の成分
その他の添加可能な成分としては、まず、エポキシ樹脂を挙げることができる。特に好ましいエポキシ樹脂としては、三菱油化シェル(株)製エピコートシリーズ、ダイセル(株)製セロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールグリシジルエステル、脂肪酸または脂環式エポキシ樹脂、アミノエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートとラジカル重合可能なモノマーとの共重合エポキシ化合物を挙げることができる。
【0100】
また、上記の固定媒体となるバインダ成分以外にも、次のものが好ましく使用される。一例としてアルキッド樹脂をベース成分とする樹脂成分と可塑剤とから成っており、この樹脂成分は、短油性アルキッド樹脂2〜15重量%にセルロースアセトブチレート3〜20重量%を添加して構成され、可塑剤は、0.01〜4重量%の含有量を有するものを好ましく用いる。
【0101】
また別の例としては弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとするもので、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂が、これらの両者の合計を100重量部にしたときに、弗素系樹脂45〜85重量部、アクリル系樹脂55〜15重量部からなるものを好ましく用いる。
【0102】
カラーフィルタの着色層を形成するための本発明の着色層形成用インク組成物には、0.5〜10重量%程度の紫外線吸収剤や、同じく0.5〜10重量%程度の光安定剤を添加することにより、耐候性を更に高めることができる。
【0103】
なお、上記の紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機系化合物や、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機質系化合物を、又、光安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を使用することができる。
【0104】
本発明の着色層形成用インク組成物としては、オリゴマーと、反応性モノマーと、光重合開始剤と、染料および/または顔料と、分散剤と、溶剤からなり、必要であれば樹脂と、粘度調整剤などの添加物とから構成される組成物とすることもできる。
【0105】
反応性モノマーとしては、後述する光重合開始剤が光を吸収することにより発生するラジカルによって重合が誘発されるモノマーのことをいい、本発明においては、当該性質を有するモノマーであればいかなるモノマーも使用可能であり、少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を用いることができる。さらに好適には、エチレン性不飽和基を有する化合物 この様なエチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等のエチレン性不飽和基を1個以上有するもので、水に不溶性或いは難溶性のものが好ましく、特に好ましくはアクリロイル基、メタアクリロイル基を1個以上有する化合物である。
【0106】
この様な化合物としては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブロムヘオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,8ジブロムネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロプレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタアクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアクリレート、3−ブタンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレートなどのアクリレートモノマー、およびこれらのアクリレート基をメタアクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合したポリウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合したポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合したエポキシアクリレートオリゴマー、あるいは、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。
【0107】
これらは使用できるモノマーの一例であり、これらに限定されるものではない。また、このようなモノマーの含有量は、インキ中の樹脂組成物の不揮発成分の10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲が望ましい。
【0108】
上記、モノマー類等は単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。中でも、3官能以上の多官能アクリレートモノマーは、特に好適に用いることが可能である。
【0109】
本発明の着色層形成用インク組成物に含有される光重合開始剤とは、光を吸収することによりラジカルを発生し、上記の反応性モノマーの重合を開始させるためのものである。
【0110】
例えば、インキ層生物に含有せしめる光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾイン類、イミダゾール2量体類、ハロメチルチアゾール化合物、ハロメチル−S−トリアジン系化合物、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メチルベンゾインホルメート、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル))プロパノン、2−[(2−ジメチルアミノエチル)アミノ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン−ジメチル硫酸塩、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、Octel Chemicals製QUANTACURE ITX,ABQ,CPTX,BMS,EPD,DMB,MCA,EHA、みどり化学製TAZ−100,101,102,104,106,107,108、などを用いることが可能である。
【0111】
また、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドやビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド、Octel Chemicals製QUANTACURE QTX、みどり化学製TAZ−110,113,118,120,121,122,123、Lamberti製ESACURE KTO46などを用いることが可能である。
【0112】
さらには、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムやη−シクロペンタジエニル−η−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)等のメタロセン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、みどり化学製TAZ−114などを用いることが可能である。
【0113】
また、本発明では、これらの光重合開始剤を単独で、または、2種以上を混合して使用できる。
【0114】
このような光重合開始剤の添加量は、着色層形成用インク組成物中の樹脂組成物の不揮発成分100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲で設定することができる。
【0115】
本発明の着色層形成用インク組成物に用いられる溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α―もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。
【0116】
ただし、これらに限定されるものではないし、モノマーが溶剤の代わりとして使用されてもよい。
【0117】
さらに、粘度改質剤、流動性改質剤、レオロジーコントロール剤などを添加して印刷適性を向上させてもよい。具体的な例として、タルク、酸化チタンなどの金属酸化物微粒子、シリカ、シリカゾル(あるいはゲル)、多糖類例えば信越化学製セルロースシリーズ(MC系、アルカリ可溶性セルロース)、シリコーンオイルなどを数%程度添加すればよい。
【0118】
3.着色層形成用インク組成物の製造装置
このような着色層形成用インク組成物を混合、分散するための装置として、分散機は、ペイントロール、スタティックミキサー、回転式ラインミキサー、ホモミキサー、マイクロフルダイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、さらには、上記したペイントロール以外にもペイントシェーカ、ビーズミル、アトライターなどを用いることができる。
【0119】
ビーズミルを用いる場合、回転式の混合ピン等を持ち、ボール状充填物を入れて、連続的に被混練分散液を通過させる。例えば次ぎのような条件で行うことができる。
1)ボール(材質:ジルコニア)2mm径で30分分散(初期分散)
2)周速 13.5m/s
3)ベッセル容量22リットル(仕込み比10.5リットル)
4)ジルコニアビーズ0.6−0.8mm径2.1Kg(85%充填)
5)吐出量 100kg/h (本分散)
初期分散粒子径(d50)で40μmが、本分散(5パス後、d50)で5.2μmであった。最終分散(10パス後、d50)で0.27μmであった。粒子径および粒度分布の測定は、日機装株式会社製レーザ粒度分析計によって行った。
【0120】
3.その他
このような着色層形成用インク組成物における上述した以外の粘度等の記載に関しては、「A.スクリーン印刷用インク組成物」の欄に記載されたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0121】
C.カラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタ
最後に、本発明のカラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタについて説明する。
【0122】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述した本発明の着色層形成用インク組成物を用い、スクリーン印刷法により形成することを特徴とするものであり、また本発明のカラーフィルタは、このようなカラーフィルタの製造方法により得られたものである。
【0123】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、まず基材を準備する。本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる基材としては、透明な基材であれば特に限定されるものではなく、ガラス等の可撓性を有さない基材であっても、透明樹脂製フィルム等の可撓性を有する基材であっても用いることができる。しかしながら、今後の用途展開の広さ等の観点から、可撓性を有する透明な基材を用いることが好ましい。
【0124】
具体的には、熱可塑性エラストマー、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、無延伸ナイロンフィルム(CNY)などが好適に用いられ、そのほか、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリスルホンフィルム、セルロース系フィルムをはじめとする種々の透明なフィルムが用いられる。なお、ガラス板やプラスチック板などを用いてもよい。
【0125】
基材フィルムは、通常は単層とするが、複層であっても差し支えない。また、基材フィルムの厚みに特に制限はないが、通常は6〜300μm 程度、一般には12〜160μm のものを用いることが多い。
【0126】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上述したような基材上にスクリーン印刷法を用いて上述したような着色層形成用インク組成物をパターン状に印刷する。通常カラーフィルタは赤、緑および青の三原色から構成されるものであり、本発明においても上記三色の着色層形成用インク組成物を用いて3回スクリーン印刷を行なうことにより、カラーフィルタを形成する。
【0127】
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法に好適に用いられるスクリーン印刷用版について説明する。本発明においては、カラーフィルタの着色層をスクリーン印刷法により形成するものであることから、好ましくは高精細なパターニングを可能とするスクリーン印刷用版が用いられる。このようなスクリーン印刷用版を図面を用いて説明する。
【0128】
図1は、このようなスクリーン印刷用版の一例を示すものである。メタル製の紗1の周囲にはこのメタル紗1の隙間を充填する平坦化層2が形成されている。この平坦化層2の被印刷物側の表面には、第1接着層3を介して針侵入硬度で30以上の硬度のバッククッション層4が形成されている。一方、上記平坦化層2の被印刷物と反対側の表面には、第2接着層5を介して感光性高分子層6が形成されている。
【0129】
上記平坦化層2、第1接着層3、バッククッション層4、第2接着層5、および感光性高分子層6のいずれもが、同一のパターンでパターニングされ、貫通孔7が形成されており、印刷時にはこの貫通孔7にインクが充填されて被印刷物に転写されることにより、スクリーン印刷がなされる。
【0130】
図1に示すように、本発明に好適に用いられるスクリーン印刷版は、針侵入硬度で30以上の硬度のバッククッション層4が平坦化層2の被印刷物側に形成されていることから、版離れがこのバッククッション層の弾性を利用したものとなる。このため、極めて短時間で版離れが行われることから、インクaが裏回りする可能性が少ない。さらに、バッククッション層4は平坦化層2上に第1接着層3を介して、かつ所定の膜厚で形成されたものであるので、転写時に紗1の凹凸に影響されることなく平坦性を維持することができる。また、バッククッション層4は転写時に被印刷物表面と平行となるように形成されている。したがって、転写時にインクが裏回りする可能性を極めて小さくすることが可能であり、その結果高精細なパターンを形成することが可能となるのである。
【0131】
さらに、被印刷物と反対側の表面に感光性高分子層6を有するものであるので、露光によるパターン形成を精度良く行うことが可能となる。
【0132】
本発明においては、上述したようなスクリーン印刷用版を用い、かつ上述したような着色層形成用インク組成物を用いるものであるので、スクリーン印刷であっても極めて高精細なパターンを形成することができる。したがって、カラーフィルタの着色層を精度良く形成することができる。
【0133】
また、カラーフィルタのブラックマトリックスに関しても、例えば樹脂製のブラックマトリックスを形成する場合は、必要に応じて上述したスクリーン印刷による方法により形成してもよい。この場合は、上記着色層形成用インク組成物としては、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることになる。
【0134】
このようにしてパターン状に印刷された着色層は、例えば紫外線露光等の硬化工程を経てカラーフィルタとされる。
【0135】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0136】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0137】
まず、下記に示される組成からなる3種のスクリーン印刷用インク組成物としての着色感光性インキ組成物を調製した。
【0138】
Figure 0004652658
これを、ニーダならびにビーズミルを併用し、機械分散してスクリーン印刷用インクに調合した。
【0139】
インキ粘度測定は、BH型25℃、No.7号使用、MPa単位で、10s−1で41000、かつ20s−1で5000のチクソトロピー性の高いレオロジー特性を示した。
【0140】
このインキで185μmPETフィルム上に印刷し、50μm独立細線を形成できた。さらに、印刷条件を次のように微調整し、15μm独立細線を形成することができた。すなわち、スキージ速度を250mm/s、クリアランスを1.0mm、スキージ圧を20kgとし、印刷機は日本ニューロング(株)製DNP改造機(CCD位置読み取り及び版OFF制御技術改良機)を使用した。さらに、連続印刷の結果、スクリーン紗の目ズマリもなく3000枚連続印刷を可能とした。
【0141】
Figure 0004652658
これらを上記青色着色感光性インキ組成物と同様にして、スクリーン印刷用インクに調合した。
【0142】
インキ粘度測定は、BH型25℃、No.4号使用、MPa単位で、10s−1で38000、かつ20s−1で6800の比較的チクソトロピー性の高いレオロジー特性を示した。
このインキで40μm独立細線を形成できた。さらに、連続印刷の結果、スクリーン紗の目ズマリもなく3000枚連続印刷を可能とした。
【0143】
Figure 0004652658
これらを上記青色着色感光性インキ組成物と同様にして、スクリーン印刷用インクに調合した。
インキ粘度測定は、BH型25℃、No.4号使用、MPa単位で、10s−1で49000、かつ20s−1で6900のチクソトロピー性の高いレオロジー特性を示した。
【0144】
このインキで35μm独立細線を形成できた。さらに、連続印刷の結果、スクリーン紗の目ズマリもなく3000枚連続印刷を可能とした。
【0145】
以上のようにRGB(赤、緑、および青)独立細線(ストレート線)50μm以下、膜厚4μmで高透明、高着色力のカラーフィルターを実現した。
【0146】
[比較例1]
市販スクリーンインキ赤185(太陽インキ製造(株)製)を使用し、上述したものと同様に印刷した。インキ粘度測定は、23℃、MPa単位で、10s−1で2800であり、かつ20s−1で2000のニュートン流体に近い粘弾性特性であった。
【0147】
このインキの場合に、パターン形成は100μm付近までの独立細線しか断線せずにできなかった。さらに、ラインストレート性が劣り、サイド部にひだ状の微小うねり(ライン幅の約15〜20%)が周期的に生じた。さらには、連続印刷は300枚までしかできず、インキの部分的な版づまりによるインキ再付着が見られ、画像品質の低下となった。
【0148】
[比較例2]
市販UV印刷用インキ12紅UVカルトン(インテック(株)製)を使用し、上述したものと同様に印刷した。インキ粘度測定は、23℃、MPa単位で、10s−1で7500であり、かつ20s−1で6000であった。
【0149】
このインキの場合にパターン形成は、90μm付近までの独立細線ができた。
ただ、ラインストレート性は劣り、ライン両サイドにひだ状の微小うねり(ライン幅の約10%)が周期的に生じた。さらに連続印刷は、2000枚可能であったが、インキの部分的な版づまりによるラインのパターン部分断線(欠損)を生じ、画像品質の低下となった。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、スキージによりインクを落とし込む状態、すなわちシェアレート20S−1(高速状態)における粘度が上述したような比較的低い粘度の範囲内であるので、スクリーン印刷用版内に正確にインクを落とし込むことが可能となる。またスクリーン印刷用版から被印刷物へとインクが転写される状態、すなわちシェアレート10S−1(低速状態)における粘度が上述したような比較的高い粘度の範囲であるので、転写時にインクがスクリーン印刷用版の裏に回る等の不具合がなく、正確な転写を行うことが可能となる。したがって、高精細なパターンをスクリーン印刷により形成する際のスクリーン印刷用インクとして好適に用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるスクリーン印刷版の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 …… 紗
2 …… 平坦化層
3 …… 第1接着層
4 …… バッククッション層
5 …… 第2接着層
6 …… 感光性高分子層

Claims (10)

  1. 少なくとも高分子材料を含むバインダ成分と、前記バインダ成分に分散された微粒子とを含有するスクリーン印刷用インク組成物であって、粘度測定法として、回転粘度計測定法において、測定部の形状が円錐−円板型の試料容器を用い、温度条件23℃で測定した粘度のシェアレート10S−1での測定値が、30,000MPa〜100,000MPaの範囲内であり、かつシェアレート20S−1での測定値が、2,000MPa〜7,000MPaの範囲内であり、下記化学式(3)で示される化合物を固形分重量比で1重量%〜65重量%の範囲内で含有することを特徴とするスクリーン印刷用インク組成物。
    Figure 0004652658
    (ここで、Xはメチル基もしくは水素原子を示し、R はアルキル基もしくはヒ
    ドロキシアルキル基を示す。)
  2. 前記微粒子の含有量が、固形分比で25重量%〜95重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用インク組成物。
  3. 前記バインダ成分が、下記化学式(1)で示されるモノマー成分を5モル%〜95モル%の範囲内で有し、かつ下記化学式(2)で示されるモノマー成分を5モル%〜85モル%の範囲内で有し、さらにポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内であるアクリル共重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷用インク組成物。
    Figure 0004652658
    (ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、芳香族もしくは脂環式化合物である。)
  4. エポキシアクリレート樹脂組成物を固形分重量比で3重量%〜55重量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項3に記載のスクリーン印刷用インク組成物。
  5. 多官能アクリルアクリレートモノマーと光重合開始剤とを含有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスクリーン印刷用組成物。
  6. 前記微粒子が顔料であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用インク組成物。
  7. 請求項6に記載のスクリーン印刷用インク組成物が、スクリーン印刷法を用いて形成されるカラーフィルタの着色層形成用であることを特徴とする着色層形成用インク組成物。
  8. 請求項7記載の着色層形成用インク組成物を用い、スクリーン印刷法により形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  9. 可撓性を有する基材上に着色層を印刷することを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
  10. 前記請求項8または請求項9に記載のスクリーン印刷法により製造されることを特徴とするカラーフィルタ。
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