上述したように、これまで本管と取付管との不良接合部を補修する工法、取付管内を充填材により充填する工法等が提案されてはきたものの、最終的に取付管を撤去する際の作業容易性を考慮した補修工法は存在しなかった。また特に取付管を充填する際において、充填をしやすいように管内の圧縮された気体を効率よく処理する方法及びその充填材に着目した文献は存在していない。
本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、第一に、作業性に優れた取付管充填装置及び方法を提供することをその目的とする。第二に、コストパフォーマンスの高い取付管充填装置及び方法を提供することを目的とする。第三に、管内に注入される充填材料の漏洩を防止し得る取付管充填装置及び方法を提供することを目的とする。第四に、道路陥没を引き起こす原因を除去することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明の請求項1に係る取付管充填装置は、下水道の本管及び/もしくは取付管内の破損、欠損、管路延長を含む管内状況を調査するための調査確認手段と、前記調査確認手段で把握した管内状況に応じて前記本管及び/もしくは前記取付管内を補修するための本管・取付管補修手段と、前記取付管内に堆積した土砂等を本管内より洗浄する取付管内洗浄手段と、充填材により前記取付管内を充填するための取付管内部充填手段と、前記充填の際に、本管と取付管との接続部を塞いで前記取付管内からの前記充填材の漏れを防止するための充填材漏洩防止手段と、前記充填の際に、前記充填材漏洩防止手段から前記取付管内に誘導されて、取付管内部を特殊風船にて封止しつつ前記取付管内の気体を取付管上部側から排気するための取付管内気体排気手段と、前記充填材の充填後、取付管口部を閉塞材により閉塞するための取付管口閉塞手段とを少なくとも具備する。
本管・取付管調査確認手段とは、下水道本管側(以下、「本管」とも呼ぶ。)に送り込んだテレビカメラ(以下、「親子機」とも呼ぶ。)の映像を地上側のモニターに映し出し、地上側の制御装置により子カメラを操作する機能を実現するための機械、器具、装置(以下、「装置等」という。)をいい、具体的には、たとえばかかる機能を有するテレビカメラ機によって実現される。通常、子カメラは本管内を移動するロボットに具備されて構成される。また、子機は取付管内の映像情報を親機に送信する機能を有し、地上側の制御装置はその映像情報を受信してモニターに出力する機能を有する装置等である。またロボット及び子機・親機の材質等に特に限定はなく、その形状、寸法については、下水道本管内に設置して中を移動可能にする程度に十分な形状及び寸法を有するものとする。
取付管補修手段とは、取付管の接合部・継手部の不良箇所にエポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、セメント系樹脂等を注入したりする作業をロボットに行わせて補修する機能を実現するための装置等をいい、具体的にはかかる機能を有する切削及び/もしくは吸引ロボット、注入ロボット等によって実現される。
取付管内洗浄手段とは、取付管内に堆積した土砂を水の圧力により洗い出す機能を実現するための装置等をいい、具体的にはかかる機能を有する高圧洗浄車と、高圧洗浄車より延設するフレキシブルパイプを取り付けた、ロボットによって実現される。ここで、高圧洗浄車とは、タンクに貯水される水をノズルから高圧で放出することで、土砂等を洗い流す(除去する)ものであるが、その形状、寸法、材質に制限はない。また、フレキシブルパイプとは、取付管内を自由自在に移動できる程度の柔軟性を有したパイプであり、その形状、寸法、材質に制限はない。またフレキシブルパイプの先端のノズルには水が放出される孔が数箇所設けられており、たとえばノズルの頂点を正面として捉えた場合、頂点に一つ、背面に円状に四つ、貫設される。
汚水枡及び/もしくは雨水枡がない場合に、取付管内洗浄手段を設けることが好適である。枡がある場合は、枡から切削・補修ロボットにて障害物の除去を行うのが通常である。しかし枡がない場合は、取付管内に堆積した土砂等の除去を切削・補修ロボットでは行えない為、本手段の必要性が出てくる。本手段は本管側からフレキシブルパイプを伸ばし、取付管内の洗浄対象物の場所まで導くことができるので、枡がない場合でも堆積物除去等の対処をすることができる。また、特に取付管内の堆積物除去等の作業をする必要がない場合は、本手段を必ずしも設ける必要はない。正面方向から放出される水圧で、前方にある土砂等の障害物を洗い流し、両左右後方から放出される水圧で左右方向にある障害物を洗い流し、さらにノズルを前進させる推進力としても機能する。
取付管内部充填手段(以下、「充填手段」とも呼ぶ。)とは、本管と取付管の接合不良部や取付管口部内にセメント系充填材等の充填材を充填する機能を実現するための装置等をいい、具体的には、材料圧送手段によって圧送される充填材を所定箇所に向けて打設・注入する注入ロボット等によって実現される。また、セメント系充填材を充填する材料圧送手段とは、地上より本管にて作業をするロボットを介してセメント系充填材を圧送し、取付管内を充填させる機能を実現するための装置等をいい、具体的にはモーターによる動力等によって充填材を圧送する圧送ポンプ等によって実現されるが、その形状、寸法、材質に制限はない。
充填材漏洩防止手段とは、取付管に充填される充填材が取付管と型枠の間から漏れ出すことを防止する機能を実現するための部材をいい、たとえば、水分を膨張させる材質(以下、「吸水膨張素材」と呼ぶ。)を貼付した型枠(以下、「特殊型枠」と呼ぶ。)が含まれる。この特殊型枠を取付管口部に合わせて接合・密着させることで、セメント系充填材の漏れ出しを封止することが可能となる。ここで、従来の型枠とは取付管内を充填材により充填する場合に必要な打設範囲を画定する機能を有するものである。本願ではその充填材に水分を多分に含むセメント系充填材を使用することで、従来の充填材では起こらない“漏れ出し”を防止する必要が出てくるところ、吸水膨張素材を型枠の小口突合面を覆うように取り付けるように特殊型枠を構成することで、通常の型枠の打設範囲画定機能と今回のセメント系充填材のための漏洩防止機能を兼ねることができる。
取付管内気体排気手段とは、少なくとも二本のチューブを備えた特殊風船と、取付管内充填作業前に特殊風船を取付管内に膨張・装填させる機能を実現するための装置等をいい、具体的にはかかる機能を有する透明チューブによって実現される。ここで特殊風船とは、取付管内の充填時に取付管上部で膨張、又は充填材に浮かせて取付管上部まで運ぶことを目的として使用される特殊な材質の風船である。この用途以外、たとえば、本管・取付管接合部で膨張させて閉塞材の漏れを防ぐことを目的として使用されるものを一般的な「風船」とする。二本のチューブのうち一本は特殊風船を膨らますためのもので、特殊風船に挿入されて連結される。もう一本のチューブは取付管内空間の気体を排気するためのものであり、特殊風船の外周面に貼付される。貼付の仕方としてたとえば特殊接着剤等で貼り付ける方法があるが、これに限定されない。この二本のチューブを装備させた特殊風船を取付管口部内に挿入し、管内の空気を、気体を排気する機能を有するチューブを介して地上の気体排気装置からの動作指示で排気する。また、特殊風船の膨らませ方としては、取付管内壁面を圧迫する程度まで空気を供給する方法と、取付管内を移動できる程度に膨らませる方法とがある。「取付管内を移動できる程度に膨らませる」とは予めある程度膨張させた特殊風船を、泡モルタルの充填によりその充填材に浮かせて取付管上部までその浮力を利用して運ばせる場合に、取付管内径と同等に特殊風船を膨張させるのでは浮力で取付管上部まで移動することはできないことに鑑み、取付管の内径口以下で特殊風船を膨張させ、取付管内を移動できる余裕をもたせることを示す。また、この場合、特殊風船を泡モルタルに浮かせる必要があるので、発泡スチロールやピンポン玉のような部材で浮き上がるようにしてもよい。また特殊風船を膨らませる気体はヘリウム、窒素ガス等でもよい。
取付管口閉塞手段とは、取付管内の充填材充填作業後に、樹脂系の閉塞材を取付管口周辺一帯に注入し、硬化させることによって閉塞する機能を実現するための装置等をいい、具体的にはかかる機能を有するエポキシ樹脂等の注入ロボット等によって実現される。
上記のように構成されることで、不要になった取付管の内部に送り込んだテレビカメラの映像を地上側のモニターに映し出して破損等の現状を把握し、必要に応じて汚水枡及び/もしくは雨水枡から本管と取付管との接合不良部・継手部の切削や樹脂の注入をロボットに行わせることで補修し、また必要に応じて本管側より取付管内の土砂等を洗い出すことができ、取付管内上部に膨張させた特殊風船を封止し、地上からセメント系充填材を充填しつつ、透明チューブで圧縮された気体を排気し、その際取付管口よりセメント系充填材が漏れ出さないよう取付管口を特殊型枠で封止し、樹脂系の閉塞材で取付管口を閉塞して仕上げることができる。こうすることで、本管への土砂等の流入を防止し、道路陥没を未然に防ぐことができる。また取付管の上流部に汚水枡(家屋内の汚水を集めて下水管へ流下させる枡)、雨水枡(雨水・汚水を集めて下水管へ流下させる枡)がある場合は、取付管口を特殊風船にてあらかじめ閉塞しておき、その後、枡より取付管内部にセメント系充填材を充填する。汚水枡及び/もしくは雨水枡が無い場合は、下水道本管内より、上記の方法にて取付管内を充填し、硬化後に管口を一部切削し、樹脂を注入し、硬化させることができる。
上記の構成に取付管充填装置において、請求項2のように、前記充填材はセメント系充填材を採用するようにしてもよい。またセメント系充填材には泡モルタル(「エアーモルタル」とも呼ぶ。)を含む。ここで、泡モルタルとは特殊陰イオン性界面活性剤(主に洗剤に使用される材料でアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、その他スルホン酸塩、反応性界面活性剤、脂肪酸塩、アルケニルコハク酸ジカリウム、高分子界面活性剤等を含む)を使用した、従来使用されているタンパク質系起泡剤(コンクリートに泡を生成させる材料)の欠点(生成する泡が安定しない、臭う等)を補う軽量化用起泡剤である。泡モルタルのスラリー(泥水状のことを指す)中での気泡は極めて細かく、強靭であるため十分な安定性を有する。また、気泡の安定性を増加させるための増粘剤等を一切使用していないため、流動性が非常に良好である。
上記のように構成されることで、充填材をロボットに搭載する必要がなくなり、地上からポンプを用いて供給することができる。従来、充填材に特殊充填材(たとえばアロフィックス(登録商標)等。以下同じ。)を使用していた為、2液混合を注入間際に行う必要から注入口をロボットに搭載させなければならなく、そのため充填材の搭載量には物理的な制限があった。また、仮に圧送ポンプを用いてエポキシ樹脂を充填したとしても、特殊充填材は数秒〜数分で硬化し、さらに粘着性が強いので、圧送ポンプ内に残った樹脂が硬化すれば、そのポンプは今後使用不可となる。これに対して本願では取付管内の充填材に泡モルタルを使用することで、地上より圧送ポンプを用いて、ドラム缶(容積は任意に選択可能)に収められる範囲で制限なくモルタルを供給することができるようになる。泡モルタルは非常に流動性があり、さらに硬化に約1日を要するので、注入後、圧送ポンプを洗浄すれば何度でも使用することができる。また、泡モルタルは非常に軽い材料であるため、運びやすい。また従来の2液混合の特殊充填材に対してモルタルは使用の際に水を加えればよく、且つその水は現地調達できるので、材料の搬送が容易化され、作業の準備も整え易い。
泡モルタルは、特殊充填材に比して、硬化後の重量が非常に軽量で強度が少ないので、全体作業や装備が重層化せず、また、仮に後に充填材充填済みの取付管を除去する必要が生じても、作業が容易である。さらに、泡モルタルは、スラリー中での気泡の安定性が大きいためポンプ圧送中に分離したり、打設(打ち込み)後の容積が減少したりすることがない。また、セメントスラリー(セメントと水の混合液)の凝結時間に影響を及ぼさない。さらに、タンパク質系気泡材特有の液の腐敗、あるいは悪臭はない。また、気泡の安定性を増加させるための増粘剤等を一切使用していないため、流動性が非常に良好である。さらに、吸湿したり長時間の放置で変化したり、水に溶解した場合に沈殿分離をおこしたりすることがない。また環境ホルモンに関する化学品類は使用していないため、非常に環境面に好適である。
また、上記の構成に係る取付管充填装置において、請求項3のように、前記充填材漏洩防止手段は、前記取付管口部を塞ぐための面と、この面の外面に、少なくとも該取付管口部の小口突合面全面を覆うように張り付けられた吸水膨張性を有する素材とを備えた型枠としてもよい。
「吸水膨張性を有する素材を張り付けた型枠」とは、従来の型枠(注入されたエポキシ樹脂が固まるまで支持している仮設の部材)に水分を含ませると膨張する性質を有するシート(生地)を備え付けた型枠のことである。このシート(生地)として使用される材料の形状、寸法については管内で使用できる範囲内のものであることが望ましい。また材質については水分を含むと膨張する性質を有したものであるならば、特に限定はない。また、水分を含むと膨張する性質を有した素材以外ならば、スポンジやスポンジゴム等の材質を具備させてもよい。また、このシート(生地)の張り付け方については、型枠全面に張ってもよいし、取付管口小口の形状に合わせてこれを覆う程度の大きさで略円状に切り取ったものを貼り付けてもよい。また特殊型枠自体の形状・寸法については管内で使用されることを考慮し、略円筒状に丸めた際に当該生じた円筒の直径が本管口内経口以下となるように設定する必要がある。またその材質については一定程度の剛性及び柔軟性を有するものであることが好ましい。
上記のように構成されることで、吸水膨張性素材は泡モルタルに包含される水分を吸収して膨張することで取付管口の隙間を完全に埋めるので、泡モルタルの漏れ出しを完全に防ぐことができる。水分を含むと膨張する性質を有する素材として、スポンジやスポンジゴム等を用いることも可能である。スポンジやスポンジゴム等には柔軟性があり、取付管口の形状に合わせて変形することができるので取付管口との密着度を強く保持することができ、泡モルタルの漏れ出しをより効果的に防止することが可能となる。また上記シートを、取付管口形状に合わせて略円状とすることで、管口と強く密着し、更なる漏洩防止効果を奏することができる。
また、上記の構成に係る取付管充填装置において、請求項4のように、前記取付管内気体排気手段が複数のチューブ及び特殊風船を含むように構成してもよい。
或いは、請求項5のように、前記取付管内気体排気手段の特殊風船は、セメント系充填材充填時の圧力に抗し得る程度の剛性を有するゴムからなるとすることもできる。
上記の通り、取付管内気体排気手段は特殊風船と複数(ここではたとえば二本とする)のチューブとを備えて構成される。特殊風船には、空気を特殊風船内に送り込むための孔が設けられている。また、特殊風船の材質は、一定の剛性を有したものが好適である。また気体を供給して膨張させた際の形状は、略円状よりも略楕円状であることが好ましい。取付管は略円柱状であるため、長手方向に膨張したほうがより効果的に封止することができる。また、二本のチューブのうち一本は特殊風船を膨らますためのもの(以下、「チューブAと呼ぶ」。)であり、もう一本は取付管底周辺空間の空気を抜くためのもの(以下、「チューブB」と呼ぶ。)である。チューブの素材としては、一定の剛性を有するものが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリエステル、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、ナイロン、ポリオレフィン、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、FEPフッ素樹脂等を採用することもでき、これら二つ以上組み合わせて合成させたものであってもよい。
このように構成されることで、ロボットによって取付管口部まで運ばれた特殊風船とチューブで取付管内に溜まった気体を排気することができる。すなわち、ロボットによりチューブBを使用して取付管内に溜まった気体を、泡モルタルを十分に充填できるレベルまで(すなわち、それまでに管内に充満している空気が泡モルタルの充填を阻害しない程度まで)排気し、ロボットを使用して特殊風船を取付管上部まで運ばせた後、チューブAを使用して特殊風船を膨らませて取付管上部を封止することができる。代替的に、特殊風船を取付管口部付近で膨らませ、チューブAを特殊風船から取り外し、その浮力を利用して取付管上部まで運ばせてもよい。こうすることで、取付管内に充填材を充填する作業において特殊風船に装備したチューブBの先端口から、充填材充填により風船と充填材との間の圧縮された空気が排気される。また、チューブBの先端口から充填材が流入し、チューブB全体に充填材が流れ渡る様子を子カメラで確認することで、取付管内に充填材の充満を完了したということを確認できる。また、この際に、上記構成によれば、特殊風船は取付管内で破裂することはなくなる上、泡モルタル充填後に仮に何らかの異変によって破裂しても、充填後ゆえ実質的に不具合は生じない。
また、上記の構成に係る取付管充填装置において、請求項6のように、前記取付管口閉塞手段は硬化性を有する樹脂材としてもよい。
硬化性を有する樹脂材としては、たとえば、エポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂とは末端に反応性のエポキシ基を持つ熱硬化型の合成樹脂(加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂)で、代表的なものとしてはビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応により製造される、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が採用され得る。その他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等を用いることも可能である。エポキシ樹脂の特長としては、耐薬品性、耐水性、耐湿性、耐磨耗性、耐熱性、可撓性に優れていることが挙げられる。
上記のように構成されることで、取付管口を閉塞する作業において、ロボット(たとえばカテシステムロボット等)が地上から充填材圧送装置でエポキシ樹脂を取付管口に注入することにより、取付管閉塞の仕上げとすることができる。エポキシ樹脂注入後、およそ2〜3時間ほどで自然硬化し、取付管口が閉塞される。また、下水管内は硫化水素も多く存在するが、エポキシ樹脂はその耐久性に優れているため、取付管口の劣化を防ぐことができる。
また、上記課題を解決するために、本願の請求項7に係る取付管充填方法は、下水道の本管及び/もしくは取付管内の破損、欠損、管路延長を含む管内状況を調査する調査確認ステップと、前記調査確認ステップで把握した管内状況に応じて前記本管及び/もしくは前記取付管内を補修する本管・取付管補修ステップと、前記取付管内に堆積した土砂等を本管内より洗浄するステップと、取付管の前記本管との取り合い小口に特殊型枠を設置するステップと、前記特殊型枠で前記取り合い小口を塞いだ状態で、前記特殊型枠から前記取付管内に誘導された特殊風船によって取付管内部を封止し、充填材注入により前記取付管内を泡モルタルにて充填しながら前記取付管内の気体を取付管上部側から排気する取付管内部充填ステップと、前記充填材の充填後、養生・硬化させた後、取付管口部を閉塞材により閉塞する取付管口閉塞ステップとを少なくとも具備する。
かかる構成によれば、本管の予備取付管内の現在状況を確認することで、次に行うべき工程をスケジューリングし、その状況に合わせて本管の予備取付管を補修・洗浄することで、土砂等の浸入を防ぎ、本管と取付管の接合口に特殊型枠を設置して密封することで泡モルタルも漏洩を防止し、取付管内の気体を排気しながら泡モルタルを充填することで、取付管内に泡モルタルを十分かつ欠損なく充填することができ、取付管口を閉塞材により閉塞することで、取付管口をより強力にシール(閉止)し、取付管充填作業の仕上げとすることができる。これにより、道路陥没の危険性をコストパフォーマンス高く及び作業効率よく、排除することができる。
本願の請求項1に係る発明によれば、必要に応じて取付管地上からセメント系充填材を圧送することで充填し、その際取付管口よりセメント系充填材が漏れ出さないよう取付管口を特殊型枠で封止し、樹脂系の閉塞材で取付管口を閉塞して仕上げることで、本管への土砂等の流入を防止し、道路陥没を未然に防ぐことができる。従来、取付管内の充填材として特殊充填材が使用されていたが、最終的に取付管の撤去作業に入った場合に、硬化性の強い特殊充填材がたとえば略3〜5m程度に亘り取付管内に充填されていると、非常に破壊しにくく、その作業に手間と時間が多く掛かっていたところ、本発明によれば、セメント系充填材として泡モルタルを使用するため、軽量故の作業容易性、コスト低減を享受でき、さらに撤去の際には、その性質上容易に破壊でき、撤去作業をスムーズに行うことができる。そもそも取付管内を充填するのは土砂等の流入から道路陥没等を防ぐことを企図したものであるが、最終的に取付管を取り払う場合、施工のし易さの観点から、その充填作業はあくまでも仮設的なものとして行うほうが好適である。少なくともこの点において、充填材を従来の特殊充填材から泡モルタルに変えることで、その作業効率性の高さから手間と時間を大幅に省くことができ、また取付管撤去時においても、容易く取付管を撤去することが可能となる。
また、必要に応じて取付管内洗浄手段で取付管内に堆積した土砂等を洗い出すことで、特殊風船を取付管最上部まで運ぶことができる。不要となった取付管内に土砂が堆積しているケースはよくあることである。そういう場合、その土砂が障害物となって、特殊風船を取付管最上部まで運ぶことができない。結果、充填材を十分に充填できず、空洞ができてしまう。そこで、本手段により土砂等を、特殊風船と泡モルタルを通過させることができる程度に十分な管内内径を確保できるように洗い流すことにより、特殊風船をスムーズに運ばせ、取付管最上部で封止させることで、取付管内を十分に充填する前準備を整うことができる。
また本願の請求項2に係る発明によれば、セメント系充填材としてたとえばエアーモルタルを使用すると、一、ポンプ圧送中に分離したりせず、打設(注入・打ち込み)後の容積の減少がない、二、セメントスラリーの凝結時間に影響を及ぼさない、三、タンパク質系気泡材特有の液の腐敗・悪臭がない、四、流動性が非常に良好である、五、吸湿したり長時間の放置で変化したりせず、また水に溶解した場合に沈殿分離をおこさない、六、環境ホルモンに関する化学品類は使用していないため、環境的である、等の点から、本発明は従来の工法と比べて劇的に優れた施工性を発揮することができる。また、エアーモルタルは有害物資を含まないことから、本材料を使用する作業員の安全性を確保することができる。また、作業員自身も毒におかされるのではないかという精神的な不安を抱えなくて済むので、作業に集中することができ、作業中の安全性の向上や工事の経済性・効率性向上に繋がる。
また本願の請求項3に係る発明によれば、従来の型枠に水分を含ませると膨張する性質を有するシート(生地)を具備させることで、エアーモルタルの漏洩を防止でき、非常に効率よく取付管内を充填することができる。上記記載のエアーモルタルは流動性に優れているため、従来の型枠で取付管口を塞いでも少なからず隙間が生じてしまい、そこから漏れ出してしまう。漏れ出してしまえば、その分のエアーモルタルが無駄になってしまうし、機材にかかれば故障させかねない。しかし本発明に係る特殊型枠を使用すれば、エアーモルタル中に含まれる水分を吸収して膨張したシートが上記隙間を埋めることで、エアーモルタルの漏洩を完全に防止することができる。また、こうすることで、無駄なくエアーモルタルを使用することができるので、その分のコストを省くことができる。
また、取付管内に充填材を充填する作業の前段階として、取付管内の空気を抜く必要があるところ、本願の請求項4に係る発明によれば、ロボットによりチューブを使用して取付管内に溜まった気体を、泡モルタルを十分に充填できるレベルまで排気することができる。そもそも、取付管内に圧縮された空気が充満したままでは充填材は充填できない。そこで本発明のようにまず、チューブにて取付管内の空気を十分に抜くことができれば、しかる後、特殊風船を膨らませて取付管上部に封止させることで、充填材を効率よく充填させ、且つ取付管上部まで隙間なく充填させることができる。また、特殊風船を取付管上部にて封止させることで、充填材が取付管上部を越えて、充填する必要がないところまで送り込まれる事態を防止できるので、無駄なく充填材を使用でき、作業の効率性を上げることができる。
また、本願の請求項5に係る発明によれば、特殊風船は一定の剛性・柔軟性を有する材質のものを使用し、たとえば、特殊風船を取付管内にて上昇させる場合、特殊風船の外側に軽量なガイドチューブを設けることで、略円方向に膨らまず、長手方向にのみ膨らませることができる。またその特殊風船の上昇過程においても、途中で管内クラック等による破裂や、エアーモルタル充填の圧迫による破裂にも耐えることができる。こうすることで、特殊風船の破裂を防止できるので、充填材が取付管内をしっかり充填できたことを確認でき、作業の効率性を上げることができる。また、特殊風船を何個も用意する必要がないので、コスト面においても有効である。
また、本願の請求項6に係る発明によれば、取付管口を閉塞する作業において、ロボット(たとえばカテシステムロボット等)充填材圧送装置で特殊充填材を取付管口に注入することにより、取付管閉塞の仕上げとすることができる。従来、取付管内の充填材として特殊充填材が使用されていたが、取付管撤去時の撤去作業がし難いという問題があったところ、本願によれば、特殊充填材を充填材として使用するのではなく、取付管口を閉塞する仕上げ材として使用することで、取付管撤去作業の効率性を劇的に上げることができる。また、重量のある特殊充填材を最小限使用することで作業効率が上がり、材料コストも減少させることができる。
また、本願の請求項7に係る発明によれば、本管と取付管との接合部分が、型枠を設置できないほどの荒れた形状となっていたとしても、不要部分の切削、エポキシ樹脂の注入を行うことで型枠を設置できる状態に補修することで、取付管内を隙間なく充填することができ、土砂等の浸入・道路の陥没を確実に防ぐことができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の主たる概略を示す図である。同図に示すように、取付管充填装置1は、本管及び取付管内の状況を調査するための調査装置80、セメント系充填材等40を注入する注入ロボット10、注入の際に取付管口を塞ぐための特殊型枠20、取付管内の空気を抜き、取付管上部を封止するための特殊風船30、取付管口を閉塞するエポキシ樹脂を注入するための注入用樹脂タンク(図示しない)を具備して構成される。
図2は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の注入ロボットの具体的な構成を示す図である。ここで、注入ロボット10は、電源ケーブル10−1、カメラ部10−2、リヤステップモーター10−3、フロントステップモーター10−4、特殊風船用ピン10−5を備えて構成される。かかる構成を持つ注入ロボット10は、電源ケーブル10−1で電力を供給されることで稼動し、カメラ部10−2で本管内を確認しながら、フロントステップモーター10−4及びリヤステップモーター10−3によって前後へ移動する。また特殊風船用ピン10−5には特殊風船30が取り付けられていて、空気がこれを介して送られるようになっている。注入ロボット10は下水管内で作業できる範囲内ならばその寸法、材質について限定はない。また、電源ケーブル10−1は注入ロボットの動力源となる電力を供給するために繋がれるケーブルである。カメラ部10−2は本管及び取付管内の様子を鮮明に映し出すことができ、1mm〜2mmの欠損箇所も発見することができる。また、リヤステップモーター10−3は、注入ロボット10を後方向に進める。フロントステップモーター10−4は注入ロボット10を前方向に進める。特殊風船用ピン10−5は特殊型枠20に装備された特殊風船30に空気を注入する。これら、カメラ部10−2、リヤステップモーター10−3、フロントステップモーター10−4、特殊風船用ピン10−5については、本管及び取付管内において作業をする範囲内においてその寸法、材質或いは設置場所等に制限はない。
図3は、本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の特殊型枠と、特殊型枠に装備された特殊風船を示す図である。特殊型枠20は、水分吸収膨張シート20−1、特殊風船用ピン20−2、テープ20−3を具備し、たとえば、特殊型枠20の表面(取付管との突合側)に水分吸収膨張シート20−1が剥がれ落ちないように張り付けられて構成される。ここで、水分吸収膨張シート20−1とは、水分を含ませると膨張する綿、或いは化学繊維、たとえば、吸水膨張性ポリマーを用いて形成される。シート20−1の材質としては、取付管口を塞ぎ、セメント系樹脂材が漏れ出さない程度の吸水膨張性を有する生地であれば良い。また特殊風船用ピン孔20−2とは特殊風船内に空気を送り込む特殊風船用ピン10−5が貫通できる程度の寸法に貫設された孔である。この孔を通して特殊風船30に空気が送り込まれる。また、テープ20−3とは特殊風船30を型枠20に固定するテープである。特殊風船30を型枠20に固定・緊着させる手段としてはテープに限られることはなく、特殊風船30が型枠20から容易に剥がれない程度の吸着性・保持性を発揮できる素材や仕組みであればよく、その材質、材料、貼付位置、貼付方法等に制限はない。また、透明チューブ30−2とは取付管内空間の空気を排気する機能を有するものである。
図3−1は、本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の特殊型枠の裏側を示す図である。特殊型枠20(図示しない)は、シャッター20−2Aを備えて構成される。ここでシャッター20−2Aとは特殊型枠20と注入ロボット10(図示しない)を繋ぎ止める器具である。このように構成することで、特殊型枠20を注入ロボット10に取り付ける場合に、水分吸収膨張シート20−1がある面を外側にして略円筒状に丸めた際にシャッター20−2Aが注入ロボット10に固定される。
また図4は、本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の特殊風船と特殊風船に具備された透明チューブを示す図である。特殊風船30は、取付管内上部50−3(図示しない)で封止し、エアモルタルが上部を越えて流れ出ないようにする機能を有する。また、特殊風船30は取付管内で破裂しない程度の剛性を有することが好ましい。また、透明チューブ30−2は、一定の剛性を有する材料、たとえばポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリエステル、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、ナイロン、ポリオレフィン、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、FEPフッ素樹脂等によることが好ましい。或いは、これら二つ以上組み合わせて合成させたものでもよい。
また図4−1は、本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の特殊風船と特殊風船に具備された透明チューブを示す写真図である。同図中で、細長い、略楕円状のものが特殊風船30であり、その特殊風船30には特殊風船に直接空気を供給する特殊風船用チューブ30−3と、取付管内の空気を排気する透明チューブ30−2とが具備される。
図4−2は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の特殊風船を取付管上部で封止させたことを示す拡大図である。同図に示すように透明チューブ30−2は、ヘソ部30−2Bに軸にぐるぐる巻きにされ、特殊風船30の外面に周回するようにして備え付けられ、透明チューブ口30−2Aを下向きに垂れ下げるようにする。ここで、ヘソ部30−2Bは接着剤やビニールテープ等で固定する。また、透明チューブ30−2は特殊風船30の外面に周回するようにして備え付ける際に接着剤やビニールテープ等で点付けする。こうすることで、特殊風船30が膨張しても、透明チューブ30−2は剥がれない。
こうした構成をとることにより、特殊風船30と泡モルタル40との間で圧縮された空気93を、透明チューブ口30−2Aから吸気し、透明チューブ30−2内を通過して取付管外に排気することができる。
図4−3は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内を充填材で充満させたことを示す拡大図である。同図に示すように、取付管50内は泡モルタル40で充満している。また、泡モルタル40は透明チューブ30−2内にも入り、作業員81(図示しない)は透明チューブ30−2全体の色が変化したことを小型カメラ10−10B(図示しない)で確認することにより、取付管50内に泡モルタル40が充満されたことを知ることができる。
こうした構成をとることにより、本管と取付管との接合不良部・継手部の切削又はモルタル除去、又は木の根除去等や樹脂の注入を注入ロボット10に行わせることで補修し、予め透明チューブ30−2により空気を抜いた取付管内上部50−3に膨張させた特殊風船30を封止させ、地上からセメント系充填材を圧送することで充填し、その際取付管口よりセメント系充填材が漏れ出さないよう取付管口を特殊型枠20で封止し、樹脂系の閉塞材で取付管口を閉塞して仕上げることができる。
以下に、上記のように構成される取付管充填装置の作用・動作について詳細に説明する。
まず、図5を用いながら本管内の調査方法について説明する。図5は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内の調査方法を説明するための図である。テレビカメラ機器80により本管60の現在状況を確認するために、作業員90によってテレビカメラ車80−1から小型カメラ80−2が用意され、本管60内に小型カメラ80−2が案内される。作業員90は上流から下流に向けて小型カメラ80−2を移動させながら管内状況を地上にあるテレビカメラ車80−1のモニター80−1Aに表示させ、その状況を(図示しない)情報処理装置によって記録する。本管60の調査に関しては、管の破損、クラック、継目部の不良、取付管口50−1等に十分注意しながらチェックが行われる。主に本管60の状況(亀裂、破損、たるみ、管の腐食等)、目地の状況(接合不良、脱却、ずれ、段差等)、取付管口状況(ソケット、閉塞状況等)、堆積物状況(管内モルタル、コンクリート等の有無、ラードの付着、木の根進入等)、進入水状況(にじみ、進入水の状況等)が調査された後、各工事に係る全体的なスパンが判断される。
テレビカメラ機器80は、テレビカメラ車80−1、モニター80−1A、小型カメラ80−2を具備して構成される、取付管50及び本管60内の状況を調査するための機器であり、本管及び取付管内において作業をする範囲内においてその寸法、材質或いは作業場所等に制限はない。また、取付管50及び本管60とは、飲料水や洗濯、入浴、炊事などに必要な水を家庭、学校、企業など人々が生活・活動する場所に送り、こうした場所から出た使用済みの水(汚水)を下水処理場に送るための配管である。
次に、図5−1を用いながら取付管内の調査方法について説明する。図5−1は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内の調査方法を説明するための図である。作業員90は枡55側から小型カメラ80−2を挿入し、本管は本管口まで、民地側は公私境界まで直視にて撮影する。取付管50の調査は本管60と同様に、管の破損、クラック、継目部及び曲部の不良等に十分注意を払いながら、これを行う。そして、今後の工事のスケジュールを決定する。
次に、図6、図6−1、図6−1A、図6−1A1、図6−1A2、図6−1B、図6−2、図6−3を用いながら本管及び取付管内の切削・除去・洗浄の動作について説明する。
図6は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の本管及び取付管内の補修方法を説明するための図、図6−1はかかる取付管充填装置の取付管内継手部補修方法を説明するための図、図6−2はかかる取付管充填装置の取付管内のモルタル除去方法を説明するための図、図6−3はかかる取付管充填装置の取付管内の木の根除去方法を説明するための図である。
まず、汚水枡及び/もしくは雨水枡55がある場合は、切削用ロボット10−10を管内に入れ、小型カメラ10−10Bにて管内状況をモニター80−1Aで確認しながら、破損・欠損・障害物のある箇所まで導く。そして切削用ビット10−10Aにより図6−1に示すように本管60の継手部60−1の切削、また図6−2に示すようにモルタル91の除去、また図6−3に示すように木の根92Aの除去を行う。ここで、切削用ロボット10−10とは、主に切削用ビット10−10A(たとえばRSカッター等)、小型カメラ10−10Bを具備して構成される。これらの各装置・器具については、本管60及び取付管50内の障害物を切削し、本管及び取付管内において作業をする範囲内においてその寸法、材質或いは作業場所等に制限はない。また切削用ビット10−10Aとは障害物を取り除けるだけの強靭性、硬性を有した器具であり、その材料、材質に特に限定はない。
図6−1Aは本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の切削ロボットにフレキシブルパイプを装備させたことを示す図、図6−1A1は当該取付管充填装置のフレキシブルパイプ先端のノズルの拡大図、図6−1A2は当該取付管充填装置のノズルの断面図、図6−1Bは当該取付管充填装置の取付管内の土砂を洗い流す様子を説明するための図である。汚水枡及び/もしくは雨水枡55がない場合は、図6−1Aのようにフレキシブルパイプ11を装備させた切削ロボット10−10を、図6−1Bのように、本管60の中に送り込む。そして本管60側より小型カメラ10−10Bで確認しながら取付管50内にフレキシブルパイプ11を挿入し、取付管50内に堆積した土砂92をノズル12から放出される水圧で本管60側に洗い流す。また洗い流した土砂92はバキューム機(図示しない)等を用いて吸い出す。ここで、放出される水圧は略5〜10Mpaであるが、特にこれに制限されない。
ここで、水がノズルから放出される仕組みをさらに詳細に説明する。フレキシブルパイプ11を介して送られる水は、図6−1A2が示すように、溝部12−3を介して貫設される先端孔部12−1と後方孔部12−2から放出される。そして図6−1A1が示すように、水は、一箇所の先端孔部12−1と五箇所の後方孔部12−2から放出される仕組みである。また後方孔部12−2から放出される水はノズル12を前進させる推力ともなる。
次に、図6−4、図6−5、図6−6を用いながら本管及び取付管内の補修の動作・作用について説明する。
図6−4は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内継手部補修の方法の説明図であり、図6−5は上記取付管充填装置の取付管内のクラック部の補修方法の説明図であり、図6−6は上記取付管充填装置の取付管口部の補修方法の説明図である。図6−4に示すとおり、注入ロボット10は継手部60−1をエポキシ樹脂で充填し補修する。こうすることで、隙間の開いた継手部60−1から本管60に土砂等の浸入を防止できる。また図6−5が示すとおり、注入ロボット10はクラック50−2にエポキシ樹脂を注入することで補修する。また図6−6が示すとおり、注入ロボット10は取付管口(取付管接合不良部)50−1に、特殊風船30を封止させ、エポキシ樹脂を注入することで、シール(閉止)する。このように、取付管接合不良部の亀裂を補修することにより、取付管口50−1より本管60に土砂等の浸入を防ぐことができる。
図7は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の本管及び取付管内の補修方法を説明するための別角度からの斜視図である。すなわち、注入用ロボット10に特殊型枠20を装備させ本管の中に入れ、カメラ部10−2にて管内状況をモニター80−1Aで確認しながら図5において切削・撤去した箇所まで導く。次に、特殊型枠20を取付管口50−1に合わせるようにして設置する。次に型枠20を回転させ、注入孔20−2が取付管口50−1と略対向する位置に合わせる。次に特殊風船30を取付管口50−1より取付管内50に挿入させ、実質的に透明チューブ30−2(図7には図示しない)を介して特殊風船内に空気を送り込み、膨張させ、封止させる。次に、樹脂を切削した箇所へ注入する。最後に設置した型枠20を撤去する。こうすることにより、正確で無駄のない補修が実現する。
次に、図8、図9を用いて取付管内にセメント系充填材を充填する工法について説明する。
図8は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内充填工法を説明するための図である。手順としては、まず注入ロボット10を本管60内の取付管口50−1付近まで導く。次に特殊型枠20を回転させ最適な位置に配置し、押し上げて取付管口に密着する。次に、透明チューブ30−2を装備した特殊風船30を取付管内に誘導し、取付管最上部で特殊風船30を膨張させ、封止させた後、特殊風船用チューブ30−3は引き抜く。ここで、特殊風船30は逆止弁になっているので、特殊風船用チューブ30−3を引き抜いても、特殊風船30内の空気は抜けない。取付管内に充満した空気を抜く。十分に取付管内の圧縮された空気を抜くことができたら、特殊型枠20にさらに装備させた特殊風船30を、特殊風船用チューブ30−3を使用して取付管の最上部50−3(図示しない)まで移動させる。そして取付管の最上部50−3で特殊風船用チューブ30−3を介して空気(ヘリウム等を含む)を送り込み、膨張させ、封止させる。
次に同図を用いながら圧送装置80(80は調査確認装置と圧送装置を兼ねる)により泡モルタル40を取付管内に充填させる動作について説明する。取付管50が長さ略4m、経口の直径略15cmのものであると仮定すると、その内部を十分に充填するには略70リットルの泡モルタル40で十分であると考えられる。この泡モルタル40を注入用ロボット10を介して圧送装置80で充填させる。この充填時において、取付管内に充満した圧縮された空気を抜いておかないと泡モルタル40を十分に充填できないので注意が要する。この充填時においては、特殊風船30が取付管最上部50−3を封止していることで、泡モルタル40が取付管最上部50−3を越えて外部に漏れ出さない仕組となっている。また特殊型枠20は、その水分吸収膨張シート20−1部分が泡モルタル40の水分を含んで膨張するため取付管口50−1は閉塞され、漏れ出しを防ぐことができる。
ここで略70リットルの量とは、一般的な家庭用のポリバケツのおよそ一杯分の量であるため、その供給に大型の圧送装置を要しない。従来の充填材はエポキシ樹脂その他の材料で構成される2液混合材であったため、大型の圧送装置、大量の2液混合材料を必要とし、その分の輸送用・搬送用コストも掛かっていた。しかし本発明によれば充填材を泡モルタル40としたことで、泡モルタルの特性上、水は現地調達が可能であり、モルタル自体は硬化する際には多分の気泡を含むため、その容積を嵩ませることができる。このため大型の圧送装置を要せず、且つ少量の材料で済むことからコストを省くことができ、作業効率性を高める効果を奏するものである。
また、取付管50内を充填する別の方法として、まず初めに特殊風船30を膨らませておいてもよい。すなわち、取付管口50−1を特殊型枠20で塞いだ後、特殊風船30を膨張させる。次に、特殊風船30が取付管口50−1付近にある状態で、泡モルタル40を注入し、泡モルタル40が特殊風船30を押し上げるようにして、取付管最上部50−3まで導く(ここで空気を入れた特殊風船30がその浮力により、取付管50内を上昇して最上部に到達してもよい)。最上部50−3に特殊風船30が導かれたことを小型カメラ80−2にて確認できれば、泡モルタル40が取付管50内を十分に充填できたことを示す印になる。
図9は本発明の一実施形態に係る取付管充填装置の取付管内にセメント系充填材を充填させた状態を示す図である。充填後は、取付管口50−1をエポキシ樹脂で閉塞して仕上げとする。充填させた泡モルタル40が硬化するまでにおよそ24時間掛かる。硬化後、注入用ロボット10で特殊型枠20を取り外す。この取り外しについては従来の方法を用いる。仕上げ材としてエポキシ樹脂を使用することで、後に取付管50を撤去する場合に、エポキシ樹脂で閉塞されているのは取付管口50−1付近一帯であるため、取付管50内部を簡単に破壊することができ、作業効率を妨げない。
上述したように、本発明の一実施形態によれば、取付管口よりセメント系充填材が漏れ出さないよう取付管口を特殊型枠で封止した上で、取付管内に充満した空気を排気しつつ、地上からセメント系充填材を圧送することで充填し、樹脂系の閉塞材で取付管口を閉塞して仕上げることで、本管への土砂等の流入を防止し、道路陥没を未然に防ぐことができる。従来、取付管内の充填材としてエポキシ樹脂が使用されていたが、最終的に取付管の撤去作業に入った場合に、硬化性のあるエポキシ樹脂が略3〜5m程ある取付管内に充填されていると、非常に破壊しにくく、作業に手間と時間が多く掛かったところ、本発明によれば、セメント系充填材としてたとえば泡モルタルを使用するため、その性質上破壊しやすく、撤去作業をスムーズに行うことができる。そもそも取付管内を充填する目的は土砂等の流入から道路陥没等を防ぐことであるが、最終的に取付管を撤去する必要がある場合、施行のし易さから言えば、その充填作業はあくまでも仮設的なものとして行うほうが好適である。以上の背景から充填材を従来のエポキシ樹脂から泡モルタルに変えることで、その施行のし易さから手間と時間を省くことができ、また取付管撤去時においても、容易に取付管を撤去することが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
また、上述した実施例は、本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。