本発明による通信システムは、転送元の通信装置と、転送先の通信装置とを備え、転送元の通信装置が2つの異なる通信情報を別個独立して受信し、一方の通信情報について、転送元の通信装置の使用者が転送の必要があると判断した場合、転送先の通信装置に一方の通信情報を転送したときに、他方の通信情報を、一方の通信情報を転送した同一の転送先の通信装置に確実に転送するという特徴を有している。以下、本発明による通信システムの第一実施例について図1乃至図5を用いて具体的に説明する。
図1に示すように、本発明による通信システムは、複数の通信装置を備え、転送元または転送先の通信装置からなっている。通信装置(転送元)10は第1通信経路12を介して音声等の第1通信情報を受信する第1通信情報受信部13と、第1通信情報受信部13により受信した第1通信情報を必要に応じて他の通信装置に転送する第1通信情報転送部14と、第1通信情報転送部14により第1通信情報を転送しない場合、第1通信情報を出力する第1通信情報出力部15と、第2通信経路16を介して画像等の第2通信情報を受信する第2通信情報受信部17と、第2通信情報受信部17により受信した第2通信情報を必要に応じて他の通信装置に転送する第2通信情報転送部18と、第2通信情報転送部18により第2通信情報を転送しない場合、第2通信情報を出力する第2通信情報出力部19とを有している。また、第1通信情報転送部14は第2通信情報転送部18に接続されている。
通信装置(転送先)11は第1通信情報転送部14から転送された第1通信情報を受信する第1通信情報受信部20と、第1通信情報受信部20により受信した第1通信情報を必要に応じて他の通信装置に転送する第1通信情報転送部21と、第1通信情報転送部21により第1通信情報を転送しない場合、第1通信情報を出力する第1通信情報出力部22と、第2通信情報転送部18から転送された第2通信情報を受信する第2通信情報受信部23と、第2通信情報受信部23により受信した第2通信情報を必要に応じて他の通信装置に転送する第2通信情報転送部24と、第2通信情報転送部24により第2通信情報を転送しない場合、第2通信情報を出力する第2通信情報出力部25とを有している。また、第1通信情報転送部21は第2通信情報転送部24に接続されている。なお、第1通信情報と第2通信情報にはそれぞれ発信元識別情報が含まれている。
図1に示す通信装置(転送元)10にて第1通信情報を受信するときの動作は、図2(A)のフローチャートに示すように、まず、第1通信情報受信部13は第1通信情報を受信する(ST1)。第1通信情報転送部14は受信した第1通信情報に含まれる発信元識別情報を抽出する(ST2)。第1通信情報転送部14は抽出した発信元識別情報と第1通信情報とを記憶する(ST3)。通信装置(転送元)10の使用者の操作に基づき、第1通信情報転送部14は、記憶した第1通信情報を、指定した通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に転送するか否かを決定する(ST4)。
第1通信情報を指定した通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に転送しない場合(ST4−NO)、第1通信情報転送部14は記憶した第1通信情報を第1通信情報出力部15に出力する(ST5)。第1通信情報を指定した通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に転送する場合(ST4−YES)、第1通信情報転送部14は、指定した通信装置(転送先)11に対応する予め登録されている転送先識別情報に基づき、記憶した第1通信情報を通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に転送する(ST6)。第1通信情報転送部14は、通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に第1通信情報を転送した後、第2通信情報転送部18に、転送した第1通信情報に含まれていた、ST3のステップにより記憶した発信元識別情報と、ST6のステップにより指定した通信装置(転送先)11に対応する転送先識別情報とを転送する(ST7)。
なお、第1通信情報受信部13により複数の発信元からの複数の異なる通信情報を順次受信する場合、第1通信情報転送部14ではST3のステップによりこれらの通信情報を記憶し、記憶したこれらの通信情報を第1通信情報出力部15へ送出できるようにして、通信装置(転送元)10の使用者が第1通信情報出力部15にてこれらの通信情報のうち、転送する任意の通信情報を指定できるようになっている。
通信装置(転送元)10にて第2通信情報を受信するときの動作は、図2(B)のフローチャートに示すように、まず、第2通信情報受信部17は第2通信情報を受信する(ST8)。第2通信情報転送部18は受信した第2通信情報に含まれる発信元識別情報を抽出する(ST9)。第2通信情報転送部18は抽出した発信元識別情報と第2通信情報とを記憶する(ST10)。第2通信情報転送部18は、第1通信情報転送部14からの第1通信情報に含まれていた発信元識別情報と、指定した通信装置(転送先)11に対応する転送先識別情報とを受信する(ST11)。第2通信情報転送部18は、受信した第1通信情報転送部14からの第1通信情報に含まれていた発信元識別情報と、指定した通信装置(転送先)11に対応する転送先識別情報とを記憶する(ST12)。第2通信情報転送部18は、ST12のステップにより記憶した第1通信情報転送部14からの第1通信情報に含まれていた発信元識別情報が、抽出した第2通信情報に含まれていた、ST10のステップにより記憶した発信元識別情報と同一であるか否かを判断する(ST13)。
第2通信情報転送部18は、記憶した第1通信情報転送部14からの第1通信情報に含まれていた発信元識別情報が、記憶した第2通信情報に含まれていた発信元識別情報と同一ではないと判断した場合(ST13−NO)、第2通信情報出力部19は記憶した第2通信情報を出力する(ST14)。第2通信情報転送部18は、記憶した第1通信情報転送部14からの第1通信情報に含まれていた発信元識別情報が、記憶した第2通信情報に含まれていた発信元識別情報と同一であると判断した場合(ST13−YES)、ST12のステップにより記憶した、指定した通信装置(転送先)11に対応する転送先識別情報に基づき、記憶した第2通信情報を通信装置(転送先)11の第2通信情報受信部23に転送する(ST15)。
なお、第2通信情報受信部17により複数の発信元からの複数の異なる通信情報を順次受信する場合、第2通信情報転送部18は、ST10のステップによりこれらの通信情報に含まれる発信元識別情報を記憶するので、ST13のステップにより第1通信情報に含まれていた発信元識別情報が、これらの通信情報に含まれていた発信元識別情報と比較され、これらの通信情報に含まれていた発信元識別情報のいずれかと同一であるか否かを判断する。また、第2通信情報転送部18による、これらの通信情報に含まれる発信元識別情報の記憶は、ST13のステップによる判断に必要な所定時間の間保持され、所定時間の経過後に消去される。
次に、通信装置(転送元)10の第1通信情報転送部14と第2通信情報転送部18との構成の一例を説明する。図3に示すように、第1通信情報転送部14は、発信元識別情報抽出部14aと、転送部14bと、第1通信情報記憶部14cと、転送先識別情報登録部14dと、送信部14eとを有している。発信元識別情報抽出部14aは、第1通信情報受信部13により受信した第1通信情報に含まれる発信元識別情報を抽出し、第1通信情報記憶部14cへ抽出した発信元識別情報と第1通信情報とを記憶させるとともに、転送部14bへ第1通信情報の受信記憶について通知する。
ここで、転送部14bは第1通信情報の受信記憶の通知を受けて、図示を省略した通信装置(転送元)10に備えた、転送先を指定するための複数の転送ボタンを点灯させる。通信装置(転送元)10の使用者は他の通信装置へ第1通信情報の転送が必要であると判断した場合、点灯させた複数の転送ボタンのうち、任意の転送先を示す転送ボタンを押下する。図1に示す通信装置(転送先)11や、通信装置(転送先)11と同じ構成の通信装置(転送先)26などの他の通信装置は、点灯させた複数の転送ボタンに対応する複数の転送先であり、任意の転送先を示す転送ボタンの押下により、任意の転送先の通信装置に、第1通信情報が転送されるようになっている。また、転送装置(転送元)10の使用者は第1通信情報の転送が不要であると判断した場合、点灯させた転送ボタンを押下しない限りにおいて、転送部14bは、第1通信情報記憶部14cより第1通信情報を読み出し、第1通信情報出力部15から第1通信情報を出力させる。更に、第1通信情報出力部15には例えば表示部が含まれ、この表示部から第1通信情報に含まれる発信元識別情報を表示できるようになっている。
転送部14bは、複数の転送ボタンのうち、指定の転送先を示す転送ボタンの押下信号によって、転送先識別情報登録部14dに予め登録されている複数の転送先識別情報の中から、指定の転送先を示す転送ボタンの押下信号に対応する転送先固有の転送先識別情報を選択する。そして、指定の転送先を通信装置(転送先)11とした場合、転送部14bは、選択された転送先識別情報に基づき、通信装置(転送先)11の第1通信情報受信部20に、発信元識別情報抽出部14aを介して第1通信情報記憶部14cへ記憶された第1通信情報を、第1通信情報記憶部14cより読み出して第1通信情報を転送する。
また、転送部14bは第1通信情報を転送した後、指定された転送先識別情報と、発信元識別情報抽出部14aから抽出され、第1通信情報記憶部14cへ記憶された発信元識別情報とを、送信部14eに送出する。送信部14eは転送部14bより送出された転送先識別情報と発信元識別情報とを、第2通信情報転送部18に転送する。
一方、第2通信情報転送部18は、図4に示すように、発信元識別情報抽出部18aと、受信部18bと、制御部18cと、記憶部18dと、転送部18eと、第2通信情報記憶部18fとを有している。発信元識別情報抽出部18aは、第2通信情報受信部17により受信した第2通信情報に含まれる発信元識別情報を抽出し、第2通信情報記憶部18fへ抽出した発信元識別情報と第2通信情報とを記憶させるとともに、転送部18eへ第2通信情報の受信記憶について通知する。転送部18eは第2通信情報の受信記憶の通知を受け、発信元識別情報抽出部18aを介して第2通信情報記憶部18fへ記憶された発信元識別情報を、第2通信情報記憶部18fより読み出して、制御部18cに送出する。また、転送部18eは第2通信情報の受信記憶の通知を受け、第2通信情報記憶部18fより第2通信情報を読み出して第2通信情報出力部19に送出し、第2通信情報出力部19から第2通信情報を出力させる。更に、第2通信情報出力部19には例えば表示部が含まれ、この表示部から第2通信情報とこの第2通信情報に含まれる発信元識別情報とを表示できるようになっている。通信装置(転送元)10の使用者は例えば、第1通信情報の転送を実行しなかった場合、第1通信情報に含まれる発信元識別情報の表示と、第2通信情報に含まれる発信元識別情報の表示とにより、同一の発信元識別情報があるか否かを確認することができる。このことにより、第1通信情報に関係する第2通信情報を知ることができる。
受信部18bは第1通信情報転送部14から転送された発信元識別情報と、転送先識別情報とを受信する。制御部18cは受信部18bにより受信した発信元識別情報を転送先識別情報と対応付けて記憶部18dに記憶させる。また、制御部18cは転送部18eから順次送出された発信元識別情報を記憶部18dに記憶させる。制御部18cはタイマを含み、タイマにより所定時間が設定され、転送部18eから順次送出された発信元識別情報を、所定時間の間、記憶部18dに記憶させる。記憶部18dに記憶させた、転送部18eから順次送出された発信元識別情報は、所定時間の間、受信部18bにより受信した発信元識別情報との比較対象になる。また、制御部18cは、記憶部18dに記憶させた、転送部18eから順次送出された発信元識別情報を、所定時間が経過後、記憶部18dから消去させる。そして、制御部18cは記憶部18dに記憶された、受信部18bにより受信した発信元識別情報が、転送部18eから順次送出された発信元識別情報と関連付けできるか否かを判断する。
この関連付けできるか否かの判断は、記憶部18dに記憶された、受信部18bにより受信した発信元識別情報が、転送部18eから送出された発信元識別情報と同一であるか否かにより判断される。従って、受信部18bにより受信した発信元識別情報が、転送部18eから順次送出された発信元識別情報と同一である場合、通信装置(転送元)10から通信装置(転送先)11に転送された第1通信情報に、通信装置(転送元)10により受信した第2通信情報が関係するものとして扱われ、この第2通信情報が第1通信情報の転送された通信装置(転送先)11に転送する対象となることを意味する。
制御部18cは、記憶部18dに記憶された、受信部18bにより受信した発信元識別情報が、転送部18eから順次送出された発信元識別情報のいずれかと同一であると判断した場合、制御部18cは、記憶部18dに記憶した、同一であると判断された発信元識別情報と対応する転送先識別情報を転送部18eに送出する。このとき、制御部18cは、制御部18cのタイマによる所定時間の経過にかかわらず、記憶部18dに記憶させた発信元識別情報を消去させる。そして、転送部18eは制御部18cから送出された転送先識別情報に基づき、第2通信情報記憶部18fに記憶された第2通信情報を読み出して、第1通信情報が転送された通信装置(転送先)11の第2通信情報受信部23に転送する。一方、制御部18cは、制御部18cのタイマによる所定時間が経過して、記憶部18dに記憶された、受信部18bにより受信した発信元識別情報が、転送部18eから順次送出された発信元識別情報のいずれとも同一でないと判断した場合、制御部18cは、記憶部18dに記憶させた発信元識別情報を消去させる。なお、制御部18cは、転送部18eから順次送出される発信元識別情報が相当な時間が経過しても送出されなかった場合には、第2通信情報記憶部18fに第2通信情報の受信記憶がなかったものと認識し、関連付けできるか否かの判断の動作を完了させる。
これまで説明してきた図1では、通信装置(転送元)10と通信装置(転送先)11とを有する通信システムとなっているが、通信装置(転送元)10を、第1通信情報を受信する第1通信装置(転送元)27と、第2通信情報を受信する第2通信装置(転送元)31に分割し、また、通信装置(転送先)11を、第1通信情報を受信する第1通信装置(転送先)35と、第2通信情報を受信する第2通信装置(転送先)39に分割した通信システムとしてもよい。この場合の通信システムは、図5に示すように、第1通信装置(転送元)27と第2通信装置(転送元)31とを同じ転送元に、第1通信装置(転送先)35と第2通信装置(転送先)39とを同じ転送先に配備する。
第1通信装置(転送元)27は第1通信情報受信部28と、第1通信情報転送部29と、第1通信情報出力部30とを有し、第2通信装置(転送元)31は第2通信情報受信部32と、第2通信情報転送部33と、第2通信情報出力部34とを有している。また、第1通信情報転送部29は第2通信情報転送部33に接続されている。第1通信装置(転送先)35は第1通信情報受信部36と、第1通信情報転送部37と、第1通信情報出力部38とを有し、第2通信装置(転送先)39は第2通信情報受信部40と、第2通信情報転送部41と、第2通信情報出力部42とを有している。また、第1通信情報転送部37は第2通信情報転送部41に接続されている。
以上説明してきた第一実施例による本発明の通信システムによれば、通信装置(転送元)10から指定された通信装置(転送先)11に向けて、第1通信情報を転送したときに、第2通信情報を、第1通信情報を転送した通信装置(転送先)11と同一の通信装置(転送先)11へ確実に転送することができる。
次に、本発明による通信システムの第二実施例について図6乃至図8を用いて具体的に説明する。これまで説明してきた転送システムの第一実施例との主な違いは次のようになっている。通信装置(転送元)10が音声と位置情報とを受信する通信装置(転送元)43になっている。通信装置(転送先)11が音声と位置情報とを受信する通信装置(転送先)44、通信装置(転送先)26が通信装置(転送先)59になっている。また、第1通信情報が音声になっており、この音声に含まれる発信元識別情報が発信元電話番号になっている。更に、第2通信情報が位置情報になっており、この位置情報に含まれる発信元識別情報が発信元電話番号になっている。
図6に示すように、本発明による通信システムは、通信装置(転送元)43と、通信装置(転送先)44とを備えている。通信装置(転送元)43は第1通信経路45を介して音声を受信する音声受信部46と、音声受信部46により受信した音声を必要に応じて転送する音声転送部47と、音声転送部47により音声を転送しない場合、音声を出力する音声出力部48と、第2通信経路49を介して位置情報を受信する位置情報受信部50と、位置情報受信部50により受信した位置情報を必要に応じて転送する位置情報転送部51と、位置情報転送部51により位置情報を転送しない場合、位置情報を出力する位置情報出力部52とを有している。また、音声転送部47は位置情報転送部51に接続されている。
通信装置(転送先)44は音声転送部47から転送された音声を受信する音声受信部53と、音声受信部53により受信した音声を必要に応じて転送する音声転送部54と、音声転送部54により音声を転送しない場合、音声を出力する音声出力部55と、位置情報転送部51から転送された位置情報を受信する位置情報受信部56と、位置情報受信部56により受信した位置情報を必要に応じて転送する位置情報転送部57と、位置情報転送部57により位置情報を転送しない場合、位置情報を出力する位置情報出力部58とを有している。また、音声転送部54は位置情報転送部57に接続されている。なお、音声と位置情報にはそれぞれ発信元電話番号が含まれている。
図6に示す通信装置(転送元)43にて音声を受信するときの動作は、図7(A)のフローチャートに示すように、まず、音声受信部46は音声を受信する(ST16)。音声転送部47は受信した音声に含まれる発信元電話番号を抽出する(ST17)。音声転送部47は抽出した発信元電話番号を記憶する(ST18)。このとき、受信した音声は通話音声であるので、第一実施例のように、音声を記憶することなく、音声転送部47を通じて音声出力部48から音声を出力する。音声転送部47は、音声出力部48から出力した音声を、指定した通信装置(転送先)44の音声受信部53に転送するか否かを決定する(ST19)。
音声を指定した通信装置(転送先)44の音声受信部53に転送しない場合(ST19−NO)、音声転送部47を通じて音声出力部48による音声の出力を通話完了まで継続する(ST20)。音声を指定した通信装置(転送先)44の音声受信部53に転送する場合(ST19−YES)、音声転送部47は、指定した通信装置(転送先)44に対応する予め登録されている転送先電話番号に基づき、音声出力部48より出力されていた音声を通信装置(転送先)44の音声受信部53に転送する(ST21)。音声転送部47は、通信装置(転送先)44の音声受信部53に音声を転送した後、位置情報転送部51に、転送した音声に含まれていた、ST18のステップにより記憶した発信元電話番号と、ST19のステップにより指定した通信装置(転送先)44に対応する転送先電話番号とを転送する(ST22)。
通信装置(転送元)43にて位置情報を受信するときの動作は、図7(B)のフローチャートに示すように、まず、位置情報受信部50は位置情報を受信する(ST23)。位置情報転送部51は受信した位置情報に含まれる発信元電話番号を抽出する(ST24)。位置情報転送部51は抽出した発信元電話番号と位置情報とを記憶する(ST25)。位置情報転送部51は、音声転送部47からの音声に含まれていた発信元電話番号と、指定した通信装置(転送先)44に対応する転送先電話番号とを受信する(ST26)。位置情報転送部51は、音声転送部47からの音声に含まれていた発信元電話番号と、指定した通信装置(転送先)44に対応する転送先電話番号とを記憶する(ST27)。位置情報転送部51は、ST27のステップにより記憶した音声転送部47からの音声に含まれていた発信元電話番号が、抽出した位置情報に含まれていた、ST25のステップにより記憶した発信元電話番号と同一であるか否かを判断する(ST28)。
位置情報転送部51は、記憶した音声転送部47からの音声に含まれていた発信元電話番号が、記憶した位置情報に含まれていた発信元電話番号と同一ではないと判断した場合(ST28−NO)、位置情報出力部52は記憶した位置情報を出力する(ST29)。位置情報転送部51は、記憶した音声転送部47からの音声に含まれていた発信元電話番号が、記憶した位置情報に含まれていた発信元電話番号と同一であると判断した場合(ST28−YES)、ST27のステップにより記憶した、指定した通信装置(転送先)44に対応する転送先電話番号に基づき、記憶した位置情報を通信装置(転送先)44の位置情報受信部56に転送する(ST30)。
なお、第一実施例と同様に、位置情報受信部50により複数の発信元からの複数の異なる位置情報を順次受信する場合、位置情報転送部51は、ST25のステップによりこれらの位置情報に含まれる発信元電話番号を記憶するので、ST28のステップにより音声に含まれていた発信元電話番号が、これらの位置情報に含まれていた発信元電話番号と比較され、これらの位置情報に含まれていた発信元電話番号のいずれかと同一であるか否かを判断する。また、位置情報転送部51による、これらの位置情報に含まれる発信元電話番号の記憶は、ST28のステップによる判断に必要な所定時間の間保持され、所定時間の経過後に消去される。
これまで説明してきた図6では、通信装置(転送元)43と通信装置(転送先)44とを有する通信システムとなっているが、通信装置(転送元)43を、音声を受信する第1通信装置(転送元)60と、位置情報を受信する第2通信装置(転送元)64に分割し、また、通信装置(転送先)44を、音声を受信する第1通信装置(転送先)68と、位置情報を受信する第2通信装置(転送先)72に分割した通信システムとしてもよい。この場合の通信システムは、図8に示すように、第1通信装置(転送元)60と第2通信装置(転送元)64とを同じ転送元に、第1通信装置(転送先)68と第2通信装置(転送先)72とを同じ転送先に配備する。
第1通信装置(転送元)60は音声受信部61と、音声転送部62と、音声出力部63とを有し、第2通信装置(転送元)64は位置情報受信部65と、位置情報転送部66と、位置情報出力部67とを有している。また、音声転送部62は位置情報転送部66に接続されている。第1通信装置(転送先)68は音声受信部69と、音声転送部70と、音声出力部71とを有し、第2通信装置(転送先)72は位置情報受信部73と、位置情報転送部74と、位置情報出力部75とを有している。また、音声転送部70は位置情報転送部74に接続されている。
以上説明してきた第二実施例による本発明の通信システムによれば、通信装置(転送元)43から指定された通信装置(転送先)44に向けて、音声を転送したときに、位置情報を、音声を転送した通信装置(転送先)44と同一の通信装置(転送先)44へ確実に転送することができる。また、音声に含まれる発信元電話番号が位置情報に含まれる発信元電話番号と同一であるか否かを判断するようにしたので、通信装置(転送元)43内に、音声と位置情報との関連性を判断するための特別な対応テーブルを備える必要がなく、構成を簡単にすることができる。
次に、本発明の通信システムの第三実施例について図9を用いて説明する。これは、これまで説明してきた通信システムの第一実施例および第二実施例について、2007年4月から運用開始される「携帯電話・IP電話等からの119番緊急通報に係る位置情報通知システム」に応用した変形例である。
図9に示すように、このシステムは、緊急通報者設備76と、携帯電話機/IP電話端末通信取扱事業者設備77と、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78と、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79とを備え、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78と緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の2つの設備が第一実施例および第二実施例の通信システムに相当する。緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78は、接続装置85と、指令制御装置86と、指令台87と、位置情報受信装置89とを有している。また、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79も同様に、接続装置90と、指令制御装置91と、指令台92と、位置情報受信装置89とを有している。なお、携帯電話機/IP電話端末通信取扱事業者設備77と、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78と、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79との間は、ISDN網84やIP−VPN網88に接続されている。
緊急通報者設備76は、119番緊急通報を発信する携帯電話機80、または、119番緊急通報を発信するIP電話端末81である。携帯電話機/IP電話端末通信取扱事業者設備77は、携帯電話機80またはIP電話端末81と接続される交換機82を有し、携帯電話機80による119番緊急通報の発信の場合、音声と、この音声に含まれる発信元携帯電話番号とをISDN網84に送出する。また、IP電話端末81による119番緊急通報の発信の場合、音声と、この音声に含まれる発信元IP電話番号とをISDN網84に送出する。
また、携帯電話機/IP電話端末通信取扱事業者設備77は、携帯電話機80を介して受信した経度/緯度の位置情報を交換機82から抽出して通報サーバ83に記憶させる。また、IP電話端末81を介して受信した発信元IP電話番号を交換機82から抽出して、予め登録しているIP電話端末81の契約者の住所の位置情報を照会させる通報サーバ83を有している。なお、通報サーバ83に記憶させる、または、予め登録している位置情報には、発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号が含まれている。
通報サーバ83は携帯電話機80による119番緊急通報の発信の場合、経度/緯度の位置情報と、この位置情報に含まれる発信元携帯電話番号をIP−VPN網88に送出する。また、通報サーバ83はIP電話端末81による119番緊急通報の発信の場合、契約者の住所の位置情報と、この位置情報に含まれる発信元IP電話番号をIP−VPN網88に送出する。
次に、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78において、音声をISDN網84を介して受信し、位置情報をIP−VPN網88を介して受信し、これらの音声と位置情報とを他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79に転送するまでの動作を説明する。まず、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78は、ISDN網84を介して携帯電話機80またはIP電話端末81からの119番緊急通報の音声を、接続装置85および指令制御装置86を介して指令台87で受信する(1)。
このとき、指令台87のオペレータが受付ボタン等の押下により119番緊急通報の音声の通話を可能にする。そして、指令台87には図示を省略した自動出動指定装置が含まれ、この自動出動指定装置において、受信した音声に含まれる発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号を抽出して自動出動指定装置内の第1記憶部に記憶させる。また、自動出動指定装置内の登録部には、他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」に関する複数の指令台に対応する複数の転送先電話番号が予め登録されている。更に、第1記憶部に記憶させた発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号は、指令台87のオペレータが119番緊急通報の音声の通話中に、自動出動指定装置内の表示部により表示可能である。そして、指令台87のオペレータが119番緊急通報の音声の通話内容から他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79へ転送が不要であると判断した場合、指令台87のオペレータが119番緊急通報の受付が完了するまで音声の通話を継続でき、受付ボタン等の再度の押下により音声の通話を切断できる。
一方、指令台87のオペレータが119番緊急通報の音声の通話内容から他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79へ転送する必要があると判断した場合、指令台87のオペレータが転送ボタン等の押下により他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の指令台92を指定する。この転送ボタン等の押下による指令台92の指定により、自動出動指定装置内に予め登録された指令台92に対応する転送先電話番号に基づき、指令制御装置86、接続装置85、ISDN網84、接続装置90および指令制御装置91を介して指令台92を発呼する(2)。
この発呼に応答した指令台92のオペレータが119番緊急通報の音声の転送の旨を受付けた場合、指令台87のオペレータが受付ボタン等の再度の押下により音声の通話を切断し、119番緊急通報の音声の転送が成立する。指令台87のオペレータの音声の通話の切断した後は、指令台92のオペレータと携帯電話機80またはIP電話端末81との間で音声の通話がなされる。このとき、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の接続装置85および指令制御装置86が中継して音声の通話がなされる。
一方、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78は、IP−VPN網88を介して位置情報受信装置89により、携帯電話機/IP電話端末通信取扱事業者設備77の通報サーバ83からの位置情報を受信する(3)。位置情報受信装置89は受信した位置情報を指令台87に転送する(4)。指令台87は転送された位置情報に含まれる発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号を抽出するとともに、抽出した発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号と、転送された位置情報とを、指令台87内の第2記憶部に記憶させる。
次に、指令台87では、第1記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号が、第2記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号と同一であるか否かを判断する。指令台87には図示を省略した地図検索装置が含まれ、第1記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号が、第2記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号と同一ではない場合、第2記憶部内の位置情報を地図検索装置に送出することにより、この位置情報に基づき地図を検索し地図表示による位置確認などの利用を可能にしている。
一方、指令台87では、第1記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号が、第2記憶部内の発信元携帯電話番号または発信元IP電話番号と同一である場合、他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の指令台92に対応する、音声を転送した時と同一の転送先電話番号に基づき、指令台87から位置情報受信装置89に対して、受信された位置情報の転送を指示する。この転送指示により、位置情報受信装置89は、接続装置85、ISDN網84および接続装置90を介して他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の位置情報受信装置93に、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の位置情報受信装置89により受信された位置情報を転送する(5)。
他の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79は、接続装置90を介して転送された位置情報を位置情報受信装置93により受信し、位置情報受信装置93は受信した位置情報を指令台92に転送する。指令台92では、位置情報受信装置93から転送された位置情報を、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の指令台87の地図検索装置と同様に、図示を省略した地図検索装置が指令台92に含まれているので、この地図検索装置に位置情報を送出することにより、この位置情報に基づき地図を検索し地図表示による位置確認などの利用を可能にしている(6)。
これまで説明してきた第三実施例による本発明の転送システムによれば、第一実施例および第二実施例による本発明の転送システムと同様に、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の指令台87から指定された緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の指令台92に向けて、音声を転送したときに、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の位置情報受信装置89にて受信した位置情報を、音声を転送した緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79と同一の緊急通報受理機関設備「通信装置(転送先)」79の位置情報受信装置93に転送することができる。
また、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の指令台87において、音声に含まれる発信元電話番号が位置情報に含まれる発信元電話番号と同一であるか否かを判断するようにしたので、緊急通報受理機関設備「通信装置(転送元)」78の指令台87内に、音声と位置情報との関連性を判断するための特別な対応テーブルを備える必要がなく、構成を簡単にすることができる。