JP4650338B2 - 生分解性樹脂部材の補強方法 - Google Patents

生分解性樹脂部材の補強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4650338B2
JP4650338B2 JP2006136215A JP2006136215A JP4650338B2 JP 4650338 B2 JP4650338 B2 JP 4650338B2 JP 2006136215 A JP2006136215 A JP 2006136215A JP 2006136215 A JP2006136215 A JP 2006136215A JP 4650338 B2 JP4650338 B2 JP 4650338B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
poly
resin member
biodegradable
biodegradable resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006136215A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007307718A (ja
Inventor
裕一 三宅
浩茂 米原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006136215A priority Critical patent/JP4650338B2/ja
Publication of JP2007307718A publication Critical patent/JP2007307718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4650338B2 publication Critical patent/JP4650338B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、生分解性樹脂部材の補強方法に関する。
合成樹脂はその優れた特性のため、現在、日用品のみならず機械工業の構造部品、土木建築材料等の様々な分野において広く用いられている。しかしながら、この合成樹脂はその安定性のゆえ、自然環境下においてほとんど分解されないため、その廃棄において問題となっている。
そこで近年、微生物等によって分解され、生態系の循環サイクルに還元することができる、いわゆる生分解性樹脂が注目され、この生分解性樹脂を用いた様々な成形体が製造されている。
このような生分解性樹脂としてはポリ乳酸が知られ、乳酸系ポリマーを各種用途へ適用する研究がなされている。
しかしながら、乳酸系ポリマーは耐熱性が低く、乳酸系ポリマーの成形体について耐熱性を高める方法が望まれていた。
乳酸系ポリマーの耐熱性を向上させる方法として、例えば、乳酸系ポリマー発泡体成形物の表面に、L−乳酸系ポリマーの非発泡層を備える方法や、更に、その非発泡層を結晶化させて、耐熱性を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、乳酸系ポリマー成形体、特に乳酸系ポリマーが発泡体の形態の場合には、強度的に弱く、乳酸系ポリマー成形体の強度を高める方法が望まれていた。
特開平6−287347号公報
本発明は、上記問題点を解決し、廃棄に伴う問題のない、生分解性樹脂部材の補強方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着する工程を含む生分解性樹脂部材の補強方法である。
<2> D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着する工程を含む生分解性樹脂部材の補強方法である。
上記<1>及び<2>の発明では、生分解性樹脂部材及び補強シートにおいて、一方をポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成するならば、他方はポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成される。この場合、生分解性樹脂部材と補強シートとの間では、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のステレオコンプレックスが形成され、部材の強度が高まる。
また、ステレオコンプレックスは、巻き方向が異なる2成分の螺旋構造間で立体特異的な結合を生じることによって形成するので、溶融して分子の配列を再配列して整えることで結晶構造を形成する場合に比べて、結晶化の速度が極めて速い。したがって、ポリ乳酸を溶融して結晶化する方法を採用する場合に比べて、部材の補強時間を短縮することができる。
更に、接合された部材全体が生分解性となっていため、上記<1>及び<2>の発明によれば、構成部材を分別することなく廃棄できる。
ステレオコンプレックスは、ポリ−L−乳酸及びポリ−D−乳酸の分子レベルでの均一な混合によって起こる。
したがって、ポリ−L−乳酸及びポリ−D−乳酸の融点以上となるように加熱して、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合させる。
> 前記生分解性樹脂部材が、発泡体、又はポリ乳酸と生分解性繊維の複合体、であることを特徴とする前記<1>又は2>に記載の生分解性樹脂部材の補強方法である。
生分解性樹脂部材を発泡体とすることで、部材の軽量化を図ることができる。また、生分解性樹脂部材をポリ乳酸と生分解性繊維の複合体とすることで、部材の高強度化を図ることができる。
また、本発明は、
<4> L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着されてなる生分解性樹脂部材である。また、
<5> D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着されてなる生分解性樹脂部材である。
本発明によれば、廃棄に伴う問題のない、生分解性樹脂部材の補強方法を提供することができる。
本発明は、生分解性樹脂部材の表面に補強シートを配置し、生分解性樹脂部材と補強シートとの間でステレオコンプレックスを形成させることで、生分解性樹脂部材の表面を補強する方法である。図1に示すように、生分解性樹脂部材1の両面に補強シート2を配置し、両面を補強してもよいし、いずれかの面のみに補強シート2を配置して補強してもよい。
生分解性樹脂部材1の材質について説明する。
生分解性樹脂部材1は、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料、又はL−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料、により構成される。ポリ−D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸とは、D−乳酸70〜100モル%とL−乳酸又は乳酸以外の共重合モノマー0〜30モル%とから構成されるものである。一方、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸とは、L−乳酸70〜100モル%とD−乳酸又は乳酸以外の共重合モノマー0〜30モル%とから構成されているものをいう。
乳酸以外の共重合モノマー成分としては、分解性を損なわない範囲で、公知の共重合モノマー(例えば、ポリスチレン、ポリアミドなど)を用いることができるが、共重合モノマー成分も生分解性であることが望ましい。
共重合モノマー成分としては、例えば、ラクチドと共重合が可能なオキシカルボン酸、カルボン酸エステル、ラクトン、ジカルボン酸、多価アルコール等を適用することができ、更にこれら成分から構成され、エステル結合形成性の官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等も適用することができる。なお、共重合モノマー成分も生分解性であることが望ましい。このような共重合モノマー成分としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸などを挙げることができる。
また、ポリ乳酸の成形加工性や成形体の物性を向上させるために、可塑剤、滑剤、充填材、紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。
ポリ−D−乳酸及びポリ−L−乳酸が共重合体(コポリマー)の場合、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーのいずれの形態であってもよい。
ポリ−D−乳酸及びポリ−L−乳酸の重合法としては、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法を用いることができ、例えば、乳酸や他の共重合モノマーを、有機溶媒及び触媒の存在下において脱水縮合し、或いは、乳酸や共重合モノマーを一旦脱水し環状二量体とした後に、開環重合する。
更に、得られるポリ乳酸の分子量を増大させるために鎖延長剤を用いることもできる。
このポリ−D−乳酸及びポリ−L−乳酸の分子量は、目的とする用途において十分な物性を有するものであれば特に制限されないが、一般には重量平均分子量として10万〜30万であることが好ましく、15万〜25万であることがより好ましく、18万〜22万であることが更に好ましい。
ポリ−D−乳酸及びポリ−L−乳酸は、ポリマー鎖が無秩序に配置している非晶質のポリ乳酸であってもよいし、非晶質のポリ乳酸に、温度、圧力、張力等の外的な要因を加えた際にポリマー鎖の一部が配向し、個々のポリマー鎖が形態的に秩序のある状態に置かれた結晶性のポリ乳酸であってもよい。
また、生分解性樹脂部材1は、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸のほかに、生分解性物質を含有してもよい。本発明で適用し得る生分解性物質としては、生分解性を呈するものであって、下記で説明するステレオコンプレックスの形成を阻害するものでなければ特に制限は無いが、生分解性繊維を用いると高強度化を図ることができる点で好ましく、また、生分解性樹脂部材1の表面に凹凸を付することができるので、接合力を強化することができる点からも好ましい。
生分解性繊維を用いる場合には、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸をマトリックスとし、生分解性繊維で強化した複合体とすることが、部材の強度を高める点で好ましい。この場合、生分解性繊維は、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸の軟化又は溶融によって熱融着して一体化し、生分解性樹脂部材1表面の少なくとも1部ではポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸が露出して存在している。
生分解性繊維としては、天然繊維、例えば、麻、綿、ケナフ等、又は生分解性樹脂より形成した繊維を用いることができる。この複合体において、ポリ乳酸と生分解性繊維の比率は7:3〜3:7であることが好ましい。
なお、生分解性樹脂部材1が、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸と生分解性繊維との複合体の場合、接合される面、すなわち補強シート2と接する面において生分解性繊維の一部が露出していると、接合時に補強シートが溶融した際に、生分解性繊維の隙間にこの補強シートの溶融体が入り込んで固化することによって、より強固に部材同士を接合することができる。
これにより、ステレオコンプレックスの形成という化学的な結合に加え、物理的にも結合することになるので、より強固に部材同士を接合することができる。
また、生分解性樹脂部材1は、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸の発泡体であることが、部材の軽量化の観点から好ましい。
発泡体の製造方法は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。なかでも、発泡剤を用いて押出機から押出すと同時に発泡させる押出発泡法を用いることが好ましい。発泡剤としては、蒸発により発泡させる蒸発型発泡剤、例えばブタン、ペンタン、プロパン等の炭化水素や、塩化メチル、クロロジフルオロメタン等のハロゲン化合物や炭酸ガス、窒素ガスが挙げられる。これらの発泡剤の添加量は、樹脂組成物に対して0.1〜30質量%が好ましい。
必要に応じて、加熱すると分解してガスを発生する分解型発泡剤、例えば重炭酸ソーダ等の無機発泡剤、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の有機発泡剤や発泡剤助剤あるいは核剤、例えばステアリン酸、シュウ酸、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸等の無機酸、前記有機酸または無機酸の塩、炭酸ソーダ等の炭酸塩、酸化亜鉛、酸化カルシュウム、酸化チタン、シリカ、クレイ等の適当量加えてもよい。
発泡成形物の着色その他の変成のために、顔料、難燃剤、充填剤等を加えてもよい。
乳酸系ポリマー発泡シートの押出温度は、樹脂の組成によって異なるが、通常溶融粘度が10,000〜100,000ポイズになる温度で行う。これよりポリマーの粘度が高いと気泡の生成が遅く発泡倍率が上がらない。逆にこれよりポリマーの粘度が小さすぎると、気泡を保持できなくなり、均一な品質の発泡シートが得られない。
発泡倍率は成形する容器によって異なるが、1.5〜20倍が好ましい、さらに好ましくは5〜15倍である。
次に、補強シート2の材質について説明する。
補強シート2は、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料又はD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成される。ここでいう、「L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸」及び「D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸」は、生分解性樹脂部材1で示したものと同義であり、重合方法等も同様である。
なお、本発明では、生分解性樹脂部材1がポリ−D−乳酸を含む生分解性材料によって構成される場合には、補強シート2はポリ−L−乳酸で構成され、生分解性樹脂部材1がポリ−L−乳酸を含む生分解性材料によって構成される場合には、補強シート2はポリ−D−乳酸で構成される。
また、生分解性樹脂部材1と同様に、補強シート2においても、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸のほかに、生分解性物質を含有させることもできる。補強シート2に適用し得る生分解性物質も、生分解性樹脂部材1の場合と同様である。生分解性繊維を補強シート2に含有させる場合には、ポリ乳酸と生分解性繊維の比率は9:1〜6:4程度であることが好ましい。
補強シート2は、上記のポリ乳酸を一般的な射出成形、押出成形等によりフィルムもしくはシートとして成形することにより得られる。補強シートの厚さは特に制限はないが、一般に0.5mm〜5.0mm程度である。
次に、補強シート2による生分解性樹脂部材1の補強方法について説明する。
本発明における接合では、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置するか、あるいはD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置して、加熱圧着する工程を少なくとも含む。
ここで、ステレオコンプレックスについて説明する。
ポリ−L−乳酸は左巻きらせん構造を有するのに対し、ポリ−D−乳酸は右巻きらせん構造を有するため、これらが分子レベルで均一に混合すると、2成分間に立体特異的な結合が生じる。この立体特異的な結合は、ポリ−L−乳酸あるいはポリ−D−乳酸単独の場合に形成される結晶構造よりも、緊密かつ強固な結晶構造を形成する。この立体特異的な結合によって生成した結晶構造をステレオコンプレックスという。ステレオコンプレックスの形成により、生分解性樹脂部材1と補強シート2とが化学的に接合する。
ポリ乳酸系重合体におけるステレオコンプレックスは、上記ポリ−D−乳酸とポリ−L−乳酸とが溶液状態あるいは溶融状態で混合することにより形成することができる。
したがって、補強シート2を生分解性樹脂部材1に接合させ、且つ補強シート2の厚さ方向において充分にステレオコンプレックスを形成させるには、生分解性樹脂部材1に補強シート2を配置した状態で、全体を、ポリ−D−乳酸とポリ−L−乳酸とが均一に混合するように加熱して溶融する。具体的には、ポリ−D−乳酸及びポリ−L−乳酸の融点以上の温度に加熱し、より具体的には、170℃〜220であることがより好ましく、180℃〜210℃であることが更に好ましい。但し、生分解性樹脂部材1や補強シート2が、ポリ−D−乳酸又はポリ−L−乳酸のほかにケナフ繊維を含有する場合、ケナフ繊維の熱劣化を防ぐために、加熱温度は190℃以下とすることが望ましい。
また、補強シート2の厚さ方向においてステレオコンプレックスの形成を促すために、あるいは、生分解性樹脂部材1と補強シート2とを確実に接合するために、上記加熱時には、厚さ方向に加圧する。
このときに加えられる圧力は、生分解性樹脂部材1の強度や補強シート2の強度を勘案して適宜圧力を調節することが好ましく、例えば10MPa〜20MPaの圧力を加えることができる。
なお、加熱時間及び加圧時間は、補強シート2の厚さ等に応じて適宜調整することが好ましい。
ステレオコンプレックスによる結晶構造は、ポリ−L−乳酸あるいはポリ−D−乳酸単独の場合に形成される結晶構造よりも緊密かつ強固な結晶構造を形成するので、ポリ−L−乳酸あるいはポリ−D−乳酸単独の結晶構造を形成してポリ乳酸の成形体の強度を高めるよりも、ステレオコンプレックスによる結晶構造を形成する場合の方が、強度を高めることができる。
また、ステレオコンプレックスによる結晶構造は、巻き方向が異なる2成分の螺旋構造間で立体特異的な結合を生じることによって形成するので、溶融して分子の配列を再配列して整えることで結晶構造を形成する場合に比べて、結晶化の速度が極めて速い。したがって、ポリ乳酸を溶融して結晶化する方法を採用する場合に比べて、部材の補強時間を短縮することができる。
更に、ステレオコンプレックスを形成した結晶構造では融点が上昇するので、本発明の方法で補強された生分解性樹脂部材は、耐熱性が向上する。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明は、下記実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<生分解性樹脂部材−1の作製>
ポリ−L−乳酸(トヨタ自動車製、商品名:U’z−B0、融点168℃)300gと、ケナフ繊維200gとを用いて圧縮成形を行い、縦150.0mm×横50.0mm×厚さ2.0mmの生分解性樹脂部材−1を作製した
<補強シートの作製>
前記ポリ−D−乳酸(PURAC社製、商品名:PURASORB PD、融点192℃)の短繊維(1.7T51mm)を用い、目付量を100g/m、300g/m、500g/mとし、厚み2.0mmの不織布を製造し、補強シートを成形した。
<接合>
生分解性樹脂部材−1の表面に補強シートを配置してクリップで圧着しながら、185℃で3分間加熱した。
[比較例1]
<生分解性樹脂部材−2の作製>
ポリ−D−乳酸(PURAC社製、商品名:PURASORB PD、融点192℃)300gと、ケナフ繊維200gとを用いて圧縮成形を行い、縦150.0mm×横50.0mm×厚さ2.0mmの生分解性樹脂部材−2を作製した
<補強シートの作製>
前記ポリ−D−乳酸(PURAC社製、商品名:PURASORB PD、融点192℃)の短繊維(1.7T51mm)を用い、目付量を100g/m、300g/m、500g/mとし、厚み2.0mmの不織布を製造し、補強シートを成形した。
<接合>
生分解性樹脂部材−2の表面に補強シートを配置してクリップで圧着しながら、185℃で3分間加熱した。
[曲げ強度の測定]
得られたサンプルについて、株式会社島津製作所 島津オートグラフ(AG−20KNG)を使用し、クロスヘッド移動度:2.0mm/minで、曲げ試験を行い、曲げ強度を測定した。
得られた測定結果を図2に示す。なお、図2では、実施例1で補強シートを用いない生分解性樹脂部材−1そのもの、及び比較例1で補強シートを用いない生分解性樹脂部材−2そのものも作製し、それぞれを便宜上、目付け量0g/mとしてプロットした。
図2に示すとおり、実施例1では、補強シートを用いない場合(目付け量0g/m)に比べて、補強シートを用いることで曲げ強度が高くなっていた。また、実施例1は、比較例1と比べて曲げ強度が高くなっていた。これは、補強シートのポリ−D−乳酸と生分解性樹脂部材−1のポリ−L−乳酸とがステレオコンプレックスを形成したためと思われる。
補強シートの不織布の目付量を増やすと曲げ強度が向上したが、300g/m以上では殆ど一定の曲げ強度を示した。
また、実施例1において、3分程度の時間で、生分解性樹脂部材−1の表面に補強シートを接合できることが確認された。一方、比較例1では、0.5〜3時間程度要していた。実施例1ではステレオコンプレックスを形成することによって接合しているため、比較例のように、溶融して分子の配列を再配列して整えることで結晶構造を形成して接合するよりも、接合時間が短縮化されたものと思われる。
なお、本発明では、実施例1の結果に示すようにステレオコンプレックスが形成されることにより、生分解性樹脂部材の強度が向上し、且つ補強のための接合時間が短縮しているが、これに加え当然に部材全体が生分解性を有するため、部材全体を微生物等によって分解することができ、構成部材を分別することなく廃棄できる。
本発明の方法を説明する略図である。 実施例における曲げ強度の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 生分解性樹脂部材
2 補強シート

Claims (5)

  1. L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着する工程を含む生分解性樹脂部材の補強方法。
  2. D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着する工程を含む生分解性樹脂部材の補強方法。
  3. 前記生分解性樹脂部材が、発泡体、又はポリ乳酸と生分解性繊維の複合体、であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生分解性樹脂部材の補強方法。
  4. L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着されてなる生分解性樹脂部材。
  5. D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸を含む生分解性材料で構成された生分解性樹脂部材の表面に、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸を含む生分解性材料で構成された補強シートを配置し、前記ポリ−L−乳酸及び前記ポリ−D−乳酸の融点以上の温度で加熱圧着されてなる生分解性樹脂部材。
JP2006136215A 2006-05-16 2006-05-16 生分解性樹脂部材の補強方法 Expired - Fee Related JP4650338B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006136215A JP4650338B2 (ja) 2006-05-16 2006-05-16 生分解性樹脂部材の補強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006136215A JP4650338B2 (ja) 2006-05-16 2006-05-16 生分解性樹脂部材の補強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007307718A JP2007307718A (ja) 2007-11-29
JP4650338B2 true JP4650338B2 (ja) 2011-03-16

Family

ID=38841011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006136215A Expired - Fee Related JP4650338B2 (ja) 2006-05-16 2006-05-16 生分解性樹脂部材の補強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4650338B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4650339B2 (ja) * 2006-05-16 2011-03-16 トヨタ自動車株式会社 生分解性樹脂部材の接合方法
EP2380731B1 (en) * 2010-02-26 2018-01-03 Korea Institute of Energy Research Eco-friendly incombustible biocomposite and method for preparing the same
JP6721887B2 (ja) * 2016-03-02 2020-07-15 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 接合構造体及び接合方法
KR101637932B1 (ko) * 2016-04-04 2016-07-11 김성수 폴리락트산 발포체 및 그 제조방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000141955A (ja) * 1998-06-03 2000-05-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 生分解性カード
JP2004189863A (ja) * 2002-12-11 2004-07-08 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 印刷層を有する成形体、および、その製造方法
JP2007307719A (ja) * 2006-05-16 2007-11-29 Toyota Motor Corp 生分解性樹脂部材の接合方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000141955A (ja) * 1998-06-03 2000-05-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 生分解性カード
JP2004189863A (ja) * 2002-12-11 2004-07-08 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 印刷層を有する成形体、および、その製造方法
JP2007307719A (ja) * 2006-05-16 2007-11-29 Toyota Motor Corp 生分解性樹脂部材の接合方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007307718A (ja) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100584054B1 (ko) 폴리락트산계 수지 2축 연신 필름
DK2978801T3 (en) PROCEDURE FOR MANUFACTURING FOAM TYPES WITH PLA Beads
JP4650338B2 (ja) 生分解性樹脂部材の補強方法
JP2010526163A (ja) ポリ乳酸および60℃超のtgを有するポリマーを含むポリマー混合物
US10167372B2 (en) Manufacture of polylactic acid foams using liquid carbon dioxide
TWI520995B (zh) 聚乳酸系樹脂發泡粒子及聚乳酸系樹脂發泡粒子成型體
JP5941052B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法、およびその成形体の製造方法
CA2722437C (en) Extruded foams made with polylactides that have high molecular weights and high intrinsic viscosities
JP4820641B2 (ja) 型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法
JP2010260923A (ja) 発泡性樹脂組成物および発泡体
KR101954607B1 (ko) 폴리에스테르계 수지 발포체 및 수지 복합체의 제조 방법
JP4820623B2 (ja) 発泡性ポリ乳酸系樹脂の製造方法
Shi et al. Comparison of precipitated calcium carbonate/polylactic acid and halloysite/polylactic acid nanocomposites
WO2017196176A1 (en) A composition based on polyactic acid
KR20190025352A (ko) 열성형성이 우수한 발포시트 및 이의 제조방법
Ren et al. Fundamental influences of induced crystallization and phase separation on the foaming behavior of poly (lactic acid)/polyethylene glycol blends blown with compressed CO2
JP2008297479A (ja) セルロース繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP4219207B2 (ja) 生分解性複合体
JP4650339B2 (ja) 生分解性樹脂部材の接合方法
JP2007091790A (ja) 有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物および成形品
JP4582871B2 (ja) 無架橋の樹脂発泡性粒子
JP2003292925A (ja) 生分解性樹脂部材の接合方法
JP2009241266A (ja) 自動車内装材用積層シート、自動車内装材及びその製造方法
JP4157482B2 (ja) 生分解性フラットヤーン、布状体、及び、シート
JP5728322B2 (ja) 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081001

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101116

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101129

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees