JP4649787B2 - 5’−グアニル酸の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、5’−グアニル酸の製造法に関する。5’−グアニル酸は、調味料、医薬並びにそれらの原料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
グアノシンを酵素的にリン酸化して5’−グアニル酸を製造する方法として、種々の方法が知られている。中でも、副産物が少なく、かつ、効率のよい5’−グアニル酸の製造法として、酸性フォスファターゼをpH3.0〜5.5の条件下でグアノシン等のヌクレオチド、並びにポリリン酸(塩)、フェニルリン酸(塩)及びカルバミルリン酸(塩)から成る群より選択されるリン酸供与体に作用させて5’−グアニル酸等のヌクレオシド−5’−リン酸エステルを製造する方法が開発されている(WO96/37603、特開平10-201481)。また、これらの方法において、好ましい酸性フォスファターゼとして、リン酸エステル加水分解活性が低下した変異型酸性フォスファターゼ(WO96/37603)、あるいは、ヌクレオシドに対する親和性が上昇し及び/又は温度安定性が向上した変異型フォスファターゼ(特開平10-201481)が提案されている。
【0003】
上記の方法においては、グアノシンのような難溶性のヌクレオシドを基質とする際、易溶性のヌクレオシドに比べて反応収率が低下するという問題があった。一方、難溶性のヌクレオシドであっても、有機溶剤、硼酸あるいはジメチルスルホキシドのような界面活性剤を反応系に添加することによって、ヌクレオシド−5’−リン酸エステルの生成収率を向上させることができる場合がある(WO96/37603, 特開平10-201481)。しかし、一般的に有機溶剤や界面活性剤などにより極度の酵素の失活が誘発される恐れがあり、好ましくない場合も少なくないと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、グアノシン及び重合リン酸を用いて5’−グアニル酸を製造する方法を改良し、5’−グアニル酸の生成効率を向上させる手段を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、グアノシン及び重合リン酸を用いて酵素反応により5’−グアニル酸を製造する際に、反応の進行に伴って難溶性であるグアノシンの表面積が低下し、前記酵素による重合リン酸の分解反応が進行するために、反応速度が低下するのではないかと考えた。そして、グアノシンの表面積の低下に合わせて酵素活性を低下させることによって、生成効率を向上させることができると考え、反応中の酵素活性を低下させたところ、5’−グアニル酸の生成効率が向上することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0006】
(1)グアノシンを酵素触媒下で重合リン酸と反応させ、グアノシンをリン酸化して5’−グアニル酸を生成させる、5’−グアニル酸の製造法において、反応中に前記酵素の活性を低下させる処理を行うことを特徴とする5’−グアニル酸の製造法である。
(2)前記酵素が酸性フォスファターゼである(1)の5’−グアニル酸の製造法。
(3)前記酵素の活性を低下させる処理を、反応温度の低下、酵素反応阻害剤の添加、気体バブリングから選ばれる手段によって行うことを特徴とする(1)又は(2)の5’−グアニル酸の製造法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の5’−グアニル酸の製造法においては、グアノシンを酵素触媒下で重合リン酸と反応させ、グアノシンをリン酸化して5’−グアニル酸を生成させる際に、反応中に前記酵素の活性を低下させる処理を行う。
【0008】
本発明に用いる酵素としては、グアノシンへの、重合リン酸からのリン酸基の転移により5’−グアニル酸を生成する反応を触媒するものであれば制限はない。
酵素の由来は特に制限されず、微生物、植物又は動物等に由来する酵素を用いることができるが、微生物に由来するものが好ましい。また、酵素は、微生物の野生株又は変異株から調製したものであってもよく、遺伝子工学的手法を用いて作製された形質転換株から調製したものであってもよい。さらに、酵素を産生する微生物の菌体を含む培養物、該培養物から分離・回収した菌体、該菌体を固定化処理、アセトン処理、凍結乾燥処理等した菌体処理物を使用することもできる。
【0009】
本発明に用いる好ましい酵素として、酸性フォスファターゼ(EC 3.1.3.2)が挙げられる。酸性ホスファターゼとしては、微生物に由来するものが好ましく、特に好適な例として、モルガネラ属、エシェリヒア属、プロビデンシア属、エンテロバクター属、クレブシエラ属又はセラチア属に属する細菌が、当該酵素活性を有しており、これら細菌に由来する酵素がある。そのような細菌の代表例として以下のような菌株を挙げることができる。
【0010】
モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii) NCIMB 10466
モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii) IFO 3168
モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii) IFO 3848
エシェリヒア・ブラッタエ(Escherichia blattae) JCM 1650
エシェリヒア・ブラッタエ(Escherichia blattae) ATCC 33429
エシェリヒア・ブラッタエ(Escherichia blattae) ATCC 33430
プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii) ATCC 29851
プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii) ATCC 33672
エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes) IFO 12010
エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes) IFO 13534
クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola) IFO 14939
クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola) IAM 1133
セラチア・フィカリア(Serratia ficaria) IAM 13540
セラチア・ マルセセンス(Serratia marcescens) IAM 12143
より好ましくは、ヌクレオシドに対する親和性が上昇した酸性フォスファターゼ(特開平10-201481参照)が挙げられる。このような酸性フォスファターゼとして具体的には、後記参考例1記載のエシェリヒア・ブラッタエ由来変異型酸性フォスファターゼ、エンテロバクター・アエロゲネス由来新規変異型酸性フォスファターゼ、及び、特開平10-201481号公報記載の各種変異型酸性フォスファターゼが挙げられる。
【0011】
また、酸性フォスファターゼは、本来、リン酸エステルを酸性条件下で加水分解する反応を触媒する酵素であり、リン酸転移反応により生成するヌクレオシド−5’−リン酸エステルを分解するヌクレオチダーゼ活性を有しているが、ヌクレオチダーゼ活性(リン酸エステル加水分解活性)が低下した変異型酸性フォスファターゼ(WO96/37603参照)も、本発明に好適に使用することができる。
【0012】
さらに、温度安定性の向上した酸性フォスファターゼ、又は、ヌクレオシドに対する親和性が上昇し、かつ、温度安定性の向上した酸性フォスファターゼ(特開平10-201481)も、本発明に好適に用いることができる。
【0013】
本発明において用いるグアノシンは特に制限されないが、グアノシン結晶を物理的処理により粉砕し、粉砕したグアノシン結晶を用いることが好ましい。グアノシンの結晶の物理的処理による粉砕は、例えば、グアノシンの結晶を水中でスラリーとし、一般的に用いられている粉砕機(例えばスイスWAB社製DYNO-MILL等)を用いて粉砕することによって行うことができる。このような処理によって、微細化された結晶のスラリーが得られる。
【0014】
本発明においては、グアノシンの結晶を粉砕することによって、5’−グアニル酸を生成する反応の効率を高めることができる。したがって、前記反応効率が向上する限り、粉砕の程度は特に問わないが、好ましくは、粉砕後の結晶の比表面積が0.4m2/g以上、より好ましくは0.8m2/g以上となるように粉砕することが望ましい。比表面積の上限は特に制限されないが、5’−グアニル酸の生成効率の向上は結晶の比表面積が一定以上になると頭打ちになるので、通常は1m2/g程度で十分であると考えられる。
しかし、グアノシンの結晶の粉砕は本発明に必須ではなく、5’−グアニル酸を生成する反応の効率が高まるという効果は、反応中に酵素の活性を低下させる処理を行うことによって得られる。
【0015】
粉砕によって微細化された結晶の平均粒径は、例えば、stokesの抵抗則に基づく沈降法に従い、沈降式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所(株)遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3)を用いて測定することができる。また、こうして測定される平均粒径に基づいて、微結晶の比表面積を計算することができる。
【0016】
粉砕するグアノシンの結晶は、精製されたものであってもよく、グアノシンを産生する微生物の培養液中に蓄積する結晶スラリーをそのまま用いてもよい。グアノシンは、例えば特公昭57−14160号公報記載の方法によって取得することができる。また、メルカプトグアノシンのような前駆体を用いることもできる。
【0017】
反応液に添加するグアノシンの濃度は1〜20g/dlが望ましい。グアノシンの結晶を粉砕して微細化することに加えて、硼酸あるいはジメチルスルホキシドのような界面活性剤を反応液に添加すると、さらに反応収率が向上する場合がある。
【0018】
また、本発明に用いる重合リン酸としては、酵素反応によりグアノシンへリン酸基を転移して5’−グアニル酸を生成し得るものであれば特に制限されないが、具体的には、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ペンタポリリン酸、もしくはこれらの塩、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。重合リン酸の使用濃度は、リン酸受容体であるグアノシンの濃度によって決定される。通常、グアノシンの1〜5倍量が望ましい。
【0019】
本発明においては、上記のような酵素を用いてグアノシンに重合リン酸からリン酸基を転移させ、グアノシンをリン酸化する反応において、反応中に酵素活性を低下させる処理を行うことを特徴とする。反応中に酵素活性を低下させる処理を行う以外は、グアノシンを酵素的にリン酸化して5’−グアニル酸を生成せしめる通常の方法と同様にしてリン酸化反応を行うことができる。
【0020】
反応は通常、温度20〜60℃、好ましくは30〜40℃で、pH3.0〜9.0、好ましくはpH3.5〜6.5、さらに好ましくはpH3.5〜5.5の弱酸性側が好結果を与える。反応には静置又は撹はんのいずれの方法も採用し得る。反応時間は、使用する酵素の活性、基質濃度などの条件によって異なるが、1〜100時間である。
【0021】
酵素として酸性フォスファターゼを用いる場合は、リン酸化反応をpH3.0から5.5の範囲の弱酸性に調整することが好ましい。
反応中の酵素活性を低下させる処理を行うことによって、グアノシンの生成速度を向上させることができる。その結果、反応時間を減縮させることができ、グアノシンの生成収率を高めることができる。この理由は、次のように推定される。反応の初期には、グアノシンから5’−グアニル酸が生成する反応が進行するが、5’−グアニル酸の生成に伴って、基質となるグアノシンの表面積が減少する一方、重合リン酸が酵素により分解されるため、5’−グアニル酸の生成効率が低下する。反応中に、グアノシンの表面積の低下に合わせて酵素活性を低下させることによって、重合リン酸の酵素による分解が抑えら、その結果5’−グアニル酸の生成速度の減少が抑制される。酵素活性の低下は、段階的に行ってもよく、連続的に行ってもよい。
【0022】
酵素活性の低下の程度、酵素活性を低下させるタイミングは、用いる酵素の種類及び初発酵素活性、グアノシンの比表面積、グアノシン及び重合リン酸の濃度等によって、適宜設定することができる。具体的には、酵素活性の低下の程度は、反応開始時の酵素活性に対する活性低下処理後の酵素活性として、20〜80%、より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは30〜40%が挙げられる。
【0023】
酵素活性を低下させる方法としては、例えば、▲1▼反応温度の低下、▲2▼酵素反応阻害剤の添加、▲3▼気体バブリング、▲4▼反応液のpHを至適反応pHから遠ざけること、等の手段が挙げられる。これらの手段を組み合わせることによって、酵素活性を低下させてもよい。これらの手段の中では、反応温度の低下、又は気体バブリングが、反応液中の5’−グアニル酸以外の成分を増加させない点で好ましい。気体バブリングに用いる気体に特に制限はなく、空気又は窒素ガス等を好適に用いることができる。
【0024】
尚、反応系に添加する酵素量を減らすことにより、5’−グアニル酸の生成収率を上げることができる場合がある(図2参照)。しかし、酵素量を減らすと反応時間が遅延し、好ましくない場合もある。一方、反応系に適当な量の酵素を加え、その後酵素活性を低下させると、反応時間の遅延が抑制され、生成収率を向上させることができる。
【0025】
上記のようにして生成した5’−グアニル酸を反応終了混合物より採取分離するには、合成吸着樹脂を用いる方法や沈殿剤を用いる方法、その他通常の採取分離方法が採用できる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0027】
【参考例1】
エシェリヒア・ブラッタエ由来変異型酸性フォスファターゼの取得
エシェリヒア・ブラッタエJCM1650由来野生型酸性フォスファターゼをコードする遺伝子を含むプラスミドpEPI305(WO96/37603参照)を用い、このプラスミドDNAに遺伝子工学的手法により部位特異的変異を導入し、変異型酸性フォスファターゼをコードする遺伝子を作製した(特開平10-201481参照)。
【0028】
pEPI305はエシェリヒア・ブラッタエJCM1650に由来する野生型酸性フォスファターゼをコードする遺伝子を含む、制限酵素ClaIと制限酵素BamHIで切り出される2.4Kbpの大きさのDNA断片を、ClaI及びBamHIで切断したpBluescript KS(+)(ストラタジーン社製)に結合したプラスミドDNAである。pEPI305をエシェリヒア・コリ JM109に保持させた株は、AJ13144と命名され、平成8年2月23日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、郵便番号305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にブタペスト条約に基づき国際寄託され、受託番号FERM BP-5423が付与されている。
【0029】
DNA合成装置(アプライドバイオシステム社製モデル394)を用いてホスホアミダイト法にて配列番号1及び配列番号2に示すオリゴヌクレオチドMUT300及びMUT370をそれぞれ合成した。
【0030】
鋳型としてpEPI305 1ng、プライマーとしてM13プライマーRV(宝酒造社製)およびMUT370オリゴヌクレオチド各2.5μmolおよびタックDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)2.5ユニットをdATP、dCTP、dGTP、dTTP各200μM、塩化カリウム50mMおよび塩化マグネシウム 1.5mMを含む100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.3)100μlに添加し、94℃を30秒、55℃を2分、72℃を3分のサイクルを25回繰り返すPCR反応を行った。PCR反応はサーマルサイクラーPJ2000型(宝酒造社製)を用いて行った。また別に、鋳型としてプラスミドDNA pEPI305 1ng、プライマーとしてM13プライマーM3(宝酒造社製)およびMUT300オリゴヌクレオチド各2.5μmolを用いて同様にPCR反応を行った。それぞれの反応液をマイクロスピンカラムS-400(ファルマシア社製)を用いてゲル濾過により精製し、プライマーを除去した。
【0031】
それぞれのPCR反応液1μlをdATP、dCTP、dGTP、dTTP各200μM、塩化カリウム 50mMおよび塩化マグネシウム 1.5mMを含む100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.3)95μlに添加し、94℃で10分加熱後、60分間かけて37℃まで冷却した後、37℃で15分保温しヘテロ二本鎖を形成させた。これにタックDNAポリメラーゼ2.5ユニットを添加して72℃で3分反応を行い、ヘテロ二本鎖を完成させた。次に、この反応液にM13プライマーRVおよびM13プライマーM3各2.5μmolを添加して、94℃を30秒、55℃を2分、72℃を3分のサイクルを10回繰り返すPCR反応を行った。
【0032】
2回目のPCR反応の生成物をClaIとBamHIで切断後フェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿した。このDNA断片をClaIとBamHIで切断したpBluescript KS(+)に結合し、得られたプラスミドDNAを用いて常法によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換した。これを100μg/mlのアンピシリンを含むL寒天培地上にプレーティングし、形質転換体を得た。 形質転換体よりアルカリ溶菌法によりプラスミドを調製し、塩基配列の決定を行い、目的の塩基が置換されていることを確認した。塩基配列の決定は Taq DyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit (アプライドバイオケミカル社製)を用い、サンガーらの方法(J. Mol. Biol., 143, 161(1980))に従って行った。
【0033】
このようにして、成熟蛋白質の63番目のロイシン残基(CTG)がグルタミン残基(C*AG)に、65番目のアラニン残基(GCG)がグルタミン残基(*C*AG)に、66番目のグルタミン酸残基(GAA)がアラニン残基(G*CA)に、69番目のアスパラギン残基(AAC)がアスパラギン酸残基(*GAC)に、71番目のセリン残基(AGC)がアラニン残基(*G*CC)に、72番目のセリン残基(AGT)がアラニン残基(*G*CT)に、74番目のグリシン残基(GGG)がアスパラギン酸残基(*G*A*T)に、135番目のスレオニン残基(ACC)がリジン残基(*A*A*A)に、136番目のグルタミン酸残基(GAG)がアスパラギン酸残基(GA*C)に、153番目のイソロイシン残基(ATC)がスレオニン残基(A*CC)にそれぞれ置換した、変異型フォスファターゼをコードする変異型遺伝子を作製した。この変異型遺伝子を含むプラスミドをpEPI370と命名した。
【0034】
上記プラスミドpEPI370を保持するエシェリヒア・コリJM109/pEPI370をL培地50mlに接種し、37℃で16時間培養後、培養液から遠心分離により集菌し、酸性フォスファターゼを含む菌体を取得した。
【0035】
【参考例2】
グアノシン結晶の粉砕
グアノシン結晶を水中でスラリーとし、粉砕機(スイスWAB社製DYNO-MILL)により結晶の粉砕処理を行った。この際、粉砕時間などの条件を変更して様々な粒経の結晶を取得した。グアノシン結晶は単位重量あたりの比表面積は0.2m2/gであったものが、粉砕後0.4〜0.8m2/g以上に増加し、結晶の微細化が可能であった。なお、グアノシン結晶の比表面積はstokesの抵抗則に基づく沈降法に従い、沈降式粒度分布測定装置(島津製作所(株)遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3)で測
【参考例3】
温度変化による酵素活性の変化
参考例2と同様にして粉砕したグアノシン粉砕結晶(比表面積0.8m2/g)0.5g/dl、酸性ピロリン酸100mM、酢酸100mMを含む溶液(苛性ソーダにてpH5.0に調整)1mlを、恒温槽にて各種温度(25〜50℃)で10分間、加温した。これらの溶液に、参考例1で得た酸性フォスファターゼを含む菌体(100mg/dl)を100μl添加し、各温度で5分間反応させた。その後、2N 塩酸200μlを添加し、反応を停止させた。各反応液中の5’−グアニル酸の量を測定した。その結果、反応温度を上げるに従い、5’−グアニル酸の生成量が上昇し(図1)、酸性フォスファターゼの比活性が上昇することが示された。
【0036】
【実施例1】
5’−グアニル酸の製造(I)(反応温度低下による酸性フォスファターゼ活性の低下)
酸性ピロリン酸29.3g、グアノシンの粉砕結晶(比表面積0.6m2/g)のスラリー12.5g(グアノシン含量として)を水溶液中で混合して苛性ソーダでpH4.5付近に調整後、前記菌体を400mg又は300mg添加して最終液量が100mlになるように調整し、表1に示す反応温度で14時間反応を行い、0.5時間毎に生成した5’−グアニル酸の量を測定した。反応は水浴中で行い、反応温度のコントロールは水浴の温度をコントロールすることにより行い、反応温度は直接反応液の温度を測定することにより確認した。表中、「→」は反応温度の変化を表し、温度変更時間は反応開始から反応温度をシフトさせるまでの時間を表す。
【0037】
反応条件(酵素量、反応温度、温度変更時間)と、5’−グアニル酸最大蓄積時点での反応時間、蓄積、収率を表1に、経時的な収率変化を図2に示した。その結果、反応途中で温度を低下させた条件(実験区1-2、1-3)では、反応温度一定の条件(実験区1-1)に比較して、最大蓄積時点までの反応時間の遅延が少なく、5’−グアニル酸生成収率で2〜3%、対リン酸収率で0.3〜0.5%、生成効率が向上した。
【0038】
【表1】
Figure 0004649787
【0039】
【実施例2】
5’−グアニル酸の製造(II)(反応温度低下による酸性フォスファターゼ活性の低下)
酸性ピロリン酸29.3g、及びグアノシン結晶の7.5g(グアノシン含量として)を水溶液中で混合して苛性ソーダでpH4.5付近に調整後、上記菌体を100〜1500mg添加して最終液量が100mlになるように調整し、表2に示す反応温度で30時間反応を行い、適宜サンプリングし、生成した5’−グアニル酸の量を測定した。反応は水浴中で行った。反応温度の測定及びコントロールは、実施例1と同様にして行った。
【0040】
反応条件(酵素量、反応温度、温度変更時間)と、5’−グアニル酸最大蓄積時点での反応時間、蓄積、収率を表2及び図3に示した。その結果、温度変更を実施した実験区では、温度変更を実施しない実験区に比べて、反応時間の増加が少なく、生成収率の向上が認められた。
【0041】
【表2】
Figure 0004649787
【0042】
【実施例3】
5’−グアニル酸の製造(III)(バブリングによる酸性フォスファターゼ活性の低下)
酸性ピロリン酸29.3g、及びグアノシン結晶の7.5g(グアノシン含量として)を水溶液中で混合して苛性ソーダでpH4.5付近に調整後、上記菌体を100〜1500mg添加して最終液量が100mlになるように調整し、反応温度35℃で30時間反応を行った。反応中、反応液はマグネチックスターラーにて攪拌した。実験区5,6,7に関しては、表3に示した通り反応中に1hr、空気をバブリング(口径2mmのチューブから100ml/分)し、酵素を一部失活させた。適宜サンプリングし、生成した5’−グアニル酸の量を測定した。表3中、「〜」はバブリングを実施した時間帯を表し、例えば「6〜7」は、反応開始後6時間〜7時間の間にバブリングを行ったことを表す。
【0043】
反応条件(酵素量、反応温度、バブリング時間)と、最大蓄積時点での反応時間、蓄積、収率を表3及び図4に示した。その結果、バブリングにより酵素失活を実施した実験区では、酵素失活を実施しない実験区に比べ、反応時間の増加が少なく、生成収率の向上が認められた。
【0044】
【表3】
Figure 0004649787
【0045】
【参考例4】
実施例3の実験区1と同様の組成の反応液を2反応分、作製し、35℃で反応させた。それらの一方については、反応開始時から空気をバブリング(口径2mmのチューブから100ml/分)した。反応液を適宜サンプリングし、下記に示す方法で反応液中の酵素活性を測定した。
【0046】
100mM MES、5mM PNPP(p-nitrophenyl phosphate)を含む測定液(苛性ソーダにてpH6.0に調整)1mlを、恒温槽にて30℃で10分間、加温した。この測定液に、前記のリン酸化反応液サンプルの10倍希釈液を80μl添加し、30℃で1分間、反応させた後、10N 苛性ソーダ80μl添加し、反応を停止した。各サンプルの410nmの吸光度を測定し、以下の式に従ってリン酸化反応中の酵素活性の経時変化を算出した。
【0047】
その結果、図5に示す通り、バブリングを行うことにより、酵素活性が低下した。空気の代わりに窒素ガスをバブリングした場合も、同様に酵素活性が低下した。
【0048】
【数1】
各反応時間における相対酵素活性=(反応時間経過後の酵素活性)/(反応開始時の酵素活性)
【数2】
反応開始時の酵素活性=(反応開始時の吸光度)−(ブランクの吸光度)
ブランク:反応液の代わりに水を加えたもの)の吸光度
【数3】
反応時間経過後の酵素活性=(反応時間経過後の酵素活性)−(ブランクの吸光度)
【0049】
【発明の効果】
本発明により、難溶性のグアノシン、及び重合リン酸を用いて、酵素反応により効率よく5’−グアニル酸を製造することができる。
【0050】
【配列表】
Figure 0004649787
Figure 0004649787

【図面の簡単な説明】
【図1】 グアノシンと酸性ピロリン酸から酸性フォスファターゼによる反応によって5’−グアニル酸を生成させる反応において、反応温度と5’−グアニル酸の生成量との関係を示す図。
【図2】 5’−グアニル酸収率の経時的変化を示す図。
【図3】 5’−グアニル酸収率の経時的変化を示す図。
【図4】 5’−グアニル酸収率の経時的変化を示す図。
【図5】 反応液のバブリング実施下、不実施下における、反応液中の酵素活性の経時的変化を示す図。

Claims (2)

  1. グアノシンを酸性フォスファターゼ触媒下で重合リン酸と反応させ、グアノシンをリン酸化して5’−グアニル酸を生成させる、5’−グアニル酸の製造法において、反応中に前記酸性フォスファターゼの活性を低下させる処理を行うことを特徴とする5’−グアニル酸の製造法。
  2. 前記酸性フォスファターゼの活性を低下させる処理を、反応温度の低下、酸性フォスファターゼの反応阻害剤の添加、気体バブリングから選ばれる手段によって行うことを特徴とする請求項1に記載の5’−グアニル酸の製造法。
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