JP4649181B2 - 喘息の遺伝的素因検査方法 - Google Patents

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本発明は、ヒトアレルギー疾患に関連する遺伝子の遺伝子多型、特にT-bet遺伝子に存在する遺伝子多型およびその利用に関する。より詳しくは、T-bet遺伝子多型を検出することを含む喘息の遺伝的素因の検査方法、それに利用されるオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを用いるアレルギー疾患の遺伝的素因の検査キット、並びにそれらの利用に関する。
アレルギー疾患に遺伝的素因が強く関与していることが、双生児や家系を対象にした研究でこれまで示されてきた。(例えば、非特許文献1など)単一の責任遺伝子の変異が疾患を引き起こす原因となる単一遺伝病とは異なり、アレルギー疾患を含む糖尿病や高血圧などは「ありふれた疾患(common disease)」と呼ばれている。ありふれた疾患は、遺伝的素因と環境要因との相互作用により疾患が発現すると考えられ、遺伝的素因として多数の遺伝子が疾患に関与しており、その疾患関連遺伝子の多型に起因した量的および質的(機能的)変化が疾患の表現型における多様性に影響していると言われている。
ヒトゲノム中の塩基配列において、各個体間で多くの部位において塩基配列の相違があることが明らかになっており、この塩基配列の相違が遺伝子多型である。この配列の相違は、疾患への罹患しやすさ(罹患性)等各個人の表現型の多様性を生じる一因と考えられており、生活習慣病に罹患する危険性とも関連していることが報告されている(例えば非特許文献2)。
一塩基多型(SNP、SNPs:Single Nucleotide Polymorphism)は、個体間のDNA塩基配列上の1塩基の違いが生じている部位において、人口中1%以上の頻度で存在するものと定義される遺伝子多型であり、ヒトゲノム中に300〜1000万カ所あると言われる。一塩基多型は遺伝子発現の質的・量的変化をもたらす原因となりうるとともに、ゲノム中に高頻度存在することから疾患関連遺伝子同定などの遺伝子解析におけるマーカーとして重要であり、遺伝子機能との関連検討や疾患関連遺伝子の探索において利用が図られている。
一塩基多型を含む遺伝子多型を利用したゲノム解析により、疾患に連関した遺伝子を明らかにする研究が行われている。疾患の原因となる一塩基多型部位や疾患関連遺伝子同定による原因物質の明確化により、遺伝子多型の塩基配列の差異を判定して疾患への罹患リスクの判定への適用、疾患発症の機構解明、疾患に対する予防指針の提示への適用、疾患の発症機構や標的明確化による創薬開発など、多くの技術的展開の可能性があることから遺伝子多型による疾患関連遺伝子探索・同定の研究が注目を集め、研究が進められている。
喘息は様々な刺激に対する気管支系の過剰な反応性亢進によって引き起こされる発作性・可逆性の気管支閉塞を特徴とするアレルギー疾患であり、気道炎症、上皮損傷、気道平滑筋肥厚、および気道過敏症などの症状をもたらす。喘息における遺伝的素因の存在は、分子生物学的手法の確立以前から双生児や家系の研究等により研究が重ねられており、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも表現形の一致率が高いことなど多くの報告において遺伝的素因の関与が示されてきた。喘息患者は世界的に増加傾向にあり、米国立衛生研究所(NIH)によると、世界全体の喘息患者数は1億5000万人以上である。日本における喘息患者は、300万人以上、罹患率は30年前の2倍以上と顕著な増加を示している。喘息治療ガイドライン等の、治療および管理プロトコルの整備により死者数増は抑えられてきたが、発作による呼吸困難などで1年間におよそ4000人が亡くなっている。
アスピリン喘息は、アスピリンに代表される消炎鎮痛剤等により引き起こされる喘息のことであり、成人の喘息の1割程度がアスピリン喘息であるといわれている。アスピリン喘息の原因物質としては、解熱鎮痛剤(アスピリン(バファリン(R))、インドメタシン(インテバン(R)、インダシン(R)、インフリー(R))、イブプロフェン(ブルフェン(R))、ナプロキセン(ナイキサン(R))、ピロキシカム(フェルデン(R)、バキソ(R))、ジクロフェナック(ボルタレン(R))、ロキソプロフェン(ロキソニン(R))、メフェナム酸(ポンタール(R))など)、食品・医薬品添加物(食用黄色4号(タートラジンR)、安息香酸Na・ベンジルアルコール、パラベン類、食用黄色5号など。なお、本括弧内における「(R)」の表示は登録商標であることを示す)、サリチル酸の入った食品(いちご、ブドウ、トマト、きゅうり、かんきつ類など)により誘発される。症状は誘発物質摂取後、数分〜2時間以内に鼻閉、鼻汁が生じ、続いてせき、喘鳴、呼吸困難と続き、重篤な喘息発作に至る。治療にはロイコトリエン受容体拮抗薬が多く使用されるが、処置を施さないと30%の人が命をおとすと言われる。発症機序は、アスピリンなどがアラキドン酸代謝に関係する酵素であるサイクロオキシゲナーゼを阻害する結果、ロイコトリエンが過剰に産生され、喘息発作が起こると考えられている。
T-bet(T-box expressed in T cell,TBX21)は、IL2プロモーターに会合するT-box遺伝子ファミリーに属するとして同定された核に局在する転写因子である。T-bet遺伝子はヒト染色体上17q21に位置している。T-betは、Th1サイトカインの指標であるインターフェロンγの発現を制御するTh1細胞に特異的に発現している転写因子である。例えば、マウスでの実験例においてT-betの発現がないと、ナチュラルキラー細胞とCD4 T細胞によるIFN-γの産生が大きく減少すること、またCD4+ T細胞によるサイトカインの産生がTh2 側にシフトすることが示されている(例えば非特許文献3など)。また、T-bet欠損マウスが、ヒトの急性または慢性喘息と似た自発性気道炎症 を引き起こすことが観察されている(非特許文献4など)。しかし、日本人集団においてT-bet上の遺伝子多型と、喘息と関連する遺伝子多型を示した例はない。
Harris JR et al.,Am J Respir Crit Care Med,156,43-,1997、Manian P,Chest,112,1397-,1997 Risch N,et al.,Science,273,1516-1517,1996、Collins F S,et al.,Science,274,536-539,1996 Science, 295,338-342,2002 Science, 295,336-338,2002
近年、アレルギー疾患の罹患者は急増しており、その予防/治療や発症機序の解明が望まれている。特に喘息は、アレルギー疾患としては重篤な症状を呈し、その予防、発症機序、原因の解明が強く望まれている。患者の発症リスクや重症度の予測可能になれば、個々の体質を考慮した効果的な生活指導や予防対策を行うことが可能となると考えられる。また、喘息に関連する遺伝子の特定は、発症、増悪機序解明の手がかりとなり、より有効な予防/治療方法や治療薬開発の重要な指針となる。
本発明は、喘息に関連する遺伝子多型およびハプロタイプを明らかにし、喘息の遺伝的素因の検査方法等を提供することを主な目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく喘息の罹患と関連する遺伝子を探索し、T-bet遺伝子を見出した。更にT-bet遺伝子における喘息に関連の強いSNPsを探索し、関連の強い遺伝子多型およびハプロタイプを同定した。本発明は係る知見に基づいて完成されたものである。したがって、上記の課題は以下に述べる本発明によって解決される。すなわち、本発明は、喘息の遺伝的素因マーカー(発症危険因子)としてのT-bet遺伝子多型および喘息の罹患性検査等を提供するものであり、特定的には下記の〔1〕〜〔15〕である。
〔1〕被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程を含む喘息の遺伝的素因検査方法。
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
(ii)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
〔2〕さらに、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する工程を含む、上記〔1〕に記載の遺伝的素因検査方法。
〔3〕下記(i)および(ii)のいずれかと連鎖不平衡関係にある遺伝子多型部位を検出する工程を含む、上記〔1〕または〔2〕に記載の喘息の遺伝的素因検査方法。
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
(ii)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
〔4〕下記(a)および(b)の工程を含む喘息の罹患性検査方法。
(a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
(ii)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
(b)被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から喘息に罹る遺伝的危険性を判定する工程
〔5〕前記(b)において、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する、上記〔4〕に記載の気管支喘息の罹患性検査方法。
〔6〕前記(b)において、
(i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがCのホモ接合体またはCとTのヘテロ接合体である場合、および
(ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがGのホモ接合体またはGとAのヘテロ接合体である場合、
のうち少なくとも一方に該当する場合は、喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定する、上記〔4〕に記載の罹患性検査方法。
〔7〕前記(b)において、
(i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがTのホモ接合体である場合、および
(ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがAのホモ接合体である場合、
のうち少なくとも一方に該当する場合は、喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に低いと判定する、上記〔4〕に記載の罹患性検査方法。
〔8〕下記(i)および(ii)のいずれかと連鎖不平衡関係にある遺伝子多型部位を検出する工程を含む、上記〔4〕から〔7〕のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
(ii)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
〔9〕アスピリン喘息の罹患性を検査する、請求項4から8のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
〔10〕鼻ポリプを伴う喘息の罹患性を検査する、上記〔4〕から〔8〕のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
〔11〕下記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がCである場合に、T-bet遺伝子の発現量が相対的に高いと推定し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がTである場合に、T-bet遺伝子の発現量が相対的に低いと推定する、T-bet遺伝子の発現状態分析方法。
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
〔12〕下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸である遺伝的素因マーカー。
(I)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
〔13〕下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種と特異的にハイブリダイズする、塩基長が10以上の核酸。
(I)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
〔14〕喘息の遺伝的素因マーカーを検出するプライマーおよび/またはプローブである、上記〔13〕に記載の核酸。
〔15〕上記〔14〕のプライマーおよび/またはプローブを備える喘息の遺伝的素因検出キット。
〔16〕喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法であって、ヒトT-bet遺伝子の発現調節領域と、前記発現調節領域により発現が制御される検出可能な発現産物をコードする塩基配列とを備えた組換え核酸を含む発現細胞系に候補薬剤を投与し、前記発現産物の発現を直接または間接的に検出することを特徴とするスクリーニング方法。
〔17〕前記発現調節領域にはプロモーター領域が含まれており、プロモーター領域内の遺伝子多型部位の塩基形態が(iv)または(v)のいずれかである、上記〔16〕に記載のスクリーニング方法。
(iv)T
(v)C
本発明に従えば、喘息の遺伝的素因を検査することが可能になる。本発明の検査方法を利用すると、被験者の喘息に対する罹患性(易罹患性)を予測できるので、喘息の予防医学的な指導が可能となる。さらに、喘息発症の遅延、早期発見をも可能とする。また、本発明で得られた知見は、喘息の発症機序の解明および治療薬の開発にも応用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において使用する、「ポリヌクレオチド」とは、2個以上のヌクレオチドがホスホジエステル結合で結合されてなる物質を意味する。「ポリヌクレオチド」には、「リボヌクレオチド(RNA)」と、「デオキシリボヌクレオチド(DNA)」がある。ここでDNAはcDNAおよびゲノムDNAを含む。また、「ポリヌクレオチド」は、これらに限定されず、ペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸、S−オリゴ核酸などの人工合成核酸をも包含する。本明細書で使用する「核酸」という用語は、前記「ポリヌクレオチド」と、同義的若しくは、交換的に使用し、DNAまたはRNAを意味する。さらに、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、特に断らない限り単離された核酸およびポリヌクレオチドを指し、これは組換えDNA技術などにより調製された場合は細胞物質、培養培地を実質的に含有せず、化学合成された場合には前駆体化学物質またはその他の化学物質を実質的に含まない、核酸またはポリヌクレオチドを指す。
本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基形態、核酸などの略号による表示は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)またはIUBMB(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)による規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。本明細書において「塩基形態」とは、塩基の種類または配列のことである。また、ポリヌクレオチドがDNAの場合のチミン(t)はRNAについてはウラシル(u)であり、特に断らない限り、相互に読み替え可能とする。また、塩基形態やアミノ酸配列などの情報は、電子化してコンピューター上で扱うことができる。
本明細書において使用する、「遺伝子多型」とは、ヒトゲノム上の塩基配列が各個体間において異なること又は異なる配列の型を意味するものである。「一塩基多型(SNP)」とは、このような遺伝子多型の中で、一塩基の核酸の変異として現れるものを指す。さらに、「核酸断片」とは、核酸の部分配列および/または全長配列を有するものを指す。「遺伝子領域」とは、タンパク質をコードする翻訳領域および/またはタンパク質コード領域以外の転写領域、プロモーター、イントロン領域、該遺伝子近傍の機能未同定領域などの非翻訳領域を含む。
本明細書において「遺伝子多型部位」とは、上記遺伝子多型として検出される塩基形態の違いが存在する部位のことをいう。多型は、1つの基準となる塩基配列に対し、塩基の置換、欠失、付加などの変異として特定することができる。欠失、付加などにより、配列の塩基数に相違を生じる場合があるが、この場合、基準とする配列に対応する部位として配列相互のアライメントを行うことにより特定し得る。アライメントをとる一形態として、コンピューター上で塩基配列を電子情報として処理し、配列のアライメントをとることが可能である。例えば、FASTA、BLASTなどのホモロジー検索で用いられる各種のアルゴリズムおよびソフトウエアを利用することにより、2種の配列をアライメントし、相互に対応する部位を特定することができる。また、Sequencherプログラムにより各個体の塩基配列を比較することによっても特定できる。
本明細書において使用する、「特異的にハイブリダイズする」とは、当業者に認識されている、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語と同義であり、2つの核酸(または断片)が、サムブルックら(Sambrook, J.)の「大腸菌におけるクローン遺伝子の発現(Expression of cloned genes in E. coli)」,モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory manual),米国,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),1989年,pp. 9.47-9.62,pp. 11.45-11.61に記載されたハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する。
より具体的には、前記「ストリンジェントな条件」とは、約45℃において6.6×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃で2.0×SSCで洗浄することを指す。ストリンジェンシーの選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば低ストリンジェンシーとしての約2.0×SSC、50℃から、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSC、50℃まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェエンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで高くすることができる。
本発明において使用する核酸被検試料(検体ともいう)の起源は、任意の生物学的試料例えば血液、骨髄液、精液、腹腔液、尿等の体液、組織細胞、毛髪等の体毛等が挙げられる。遺伝子多型の検出の試料は、ゲノムDNAが好ましいが、多型部位およびその隣接領域の配列がゲノムと同一または完全相補的になっている場合にはcDNAまたはmRNAを使用できる。また、試料はゲノムDNAのほかにも、ゲノムDNAの一部塩基配列を含むものでもよい。すなわち、一塩基多型部位の分析前に、試料核酸中の目的に合致する全部または一部塩基配列(DNA断片)を任意の好適な方法、例えばPCRなどで増幅した試料を核酸被検試料として使用してもよい。なお、DNAの抽出は、公知の方法、例えば、「QIAamp mono kit」(QIAGEN社製)などの市販の抽出キットを用いて行うことができる。
増幅方法は例えばPCR法によって行われるが、他の公知の増幅方法例えばNASBA法、LCR法、SDA法、LAMP法等で行ってもよい。プライマーの選択は、例えば一塩基多型部位を含む連続する少なくとも10塩基以上、好ましくは10〜100塩基、より好ましくは10〜50塩基の配列、およびその相補配列を増幅するように行う。プライマーは前記の一塩基多型部位を含む所定の塩基配列を増幅するプライマーとして機能し得る限り、その配列において1またはそれ以上の置換、欠失、付加を含んでいてもよい。また、プライマーは、試料が一方の対立遺伝子型の場合にのみ増幅するように、フォワードまたはリバースプライマーの一方が一塩基多型部位にハイブリダイズするように選択してもよい。
本発明において使用するプライマーは、化学合成法など任意の好適な作製方法で調製できる。プライマーには、T-bet遺伝子領域上の遺伝子多型がプライマー内に含まれるもの、およびプライマー内に遺伝子多型部位を含まないが、PCR産物の塩基配列中に遺伝子多型部位を含むように設計したプライマーが好ましい。プライマーは、使用する検出方法等に合致した任意の好適な長さでよいが、連続する10ヌクレオチド以上、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは15〜30ヌクレオチドである。具体的には、このようなプライマーは、一塩基多型部位および/またはその近傍の塩基配列情報に基づいてフォワード・プライマーおよびリバース・プライマーとして、例えば自動合成装置を用いて、合成できる。
プライマーは、必要ならば1個以上の標識を保有してもよい。好ましい標識としては、酵素、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、色素、放射性物質および発光団などが挙げられる。プライマーは、鋳型となる核酸と相補的な配列を有することが望ましいが、必要ならば望ましくない影響が生じない限り、そのプライマー内に1箇所以上の相補的でない配列(ミスマッチ、フラップ配列など)を導入してもよい。
本発明において使用するポリヌクレオチドプローブは、任意の好適な合成方法で調製できる。ポリヌクレオチドプローブは、検出方法等に合致した任意の好適な長さでよいが、連続する10ヌクレオチド以上、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは15〜30ヌクレオチドである。プローブは、T-bet遺伝子領域中の遺伝子多型部位を含むアレル(allele、対立遺伝子)に相補的な塩基配列を含む。プローブは、T-bet遺伝子をコードする遺伝子のコード鎖およびアンチセンス鎖のいずれかに相補的な塩基配列を含むものであればよく、また、一対のアレルにおけるいずれか一方のアレルについて相補的な塩基配列を含むものであればよい。また、必要ならば、そのポリヌクレオチドプローブに望ましくない影響が生じない限り、1箇所以上の相補的でない塩基対を導入してもよい。また、プローブは、プライマーと同様に、1個以上の標識を保有してもよい。
本発明には、遺伝子多型部位1箇所以上を含む核酸断片も包含される。例えば、遺伝子多型部位を含まないその近傍の配列を有するプライマーを用いて、PCRなどにより該遺伝子多型部位を含むように増幅した核酸などである。1箇所以上の遺伝子多型部位を含む核酸は、マルチプライマーPCR増幅産物のように各遺伝子多型が別個の核酸断片上にあっても、または連続した核酸断片上に複数の遺伝子多型が存在してもよい。PCRにおける試料の増幅可能な長さの限界、伸長反応での塩基の相補性の正確さ、解析の容易さなどの条件から、核酸断片の長さは15b〜1kbが望ましい。このような核酸断片は、例えば塩基配列解析(シークエンス)やSSCPなどの試料として遺伝子多型部位の判定のための試料、チップ・マイクロアレイ用のプローブ等に使用できる。核酸断片は、必要ならば1個以上の標識を保有してもよい。
遺伝子多型の検出は、各遺伝子型の塩基の差異が判定可能であれば特に方法は限定しない。例えば、増幅産物を直接塩基配列決定する(ダイレクトシークエンシング)により行ってもよい。塩基配列決定は、例えばジデオキシ法、Maxam-Gilbert法等公知の方法により行うことができる。遺伝子多型の検出は、また制限酵素断片長多型分析法(RFLP:Restriction Flagment Length Polymorphisms)によっても行うことができる。RFLPは、一塩基多型部位がとる遺伝子型により切断の可否が異なるような制限酵素を用い、試料を制限酵素で消化後に消化断片の大きさを測定し試料核酸の切断の有無を調べて遺伝子型を分析する方法である。その他遺伝子多型の検出方法として例えば、SSCP(Single Strand Conformation Polymorphism;)、インベーダー法、対立遺伝子特異的PCR(allele-specific PCR)、ASO(allele-specific oligonucleotide)によるハイブリダイゼーション法、Taqmanアッセイ法、ミスマッチ部位の化学的切断、HET(hetero duplex method)法、MS(Mass Spectrometer)による塩基判定、パイロシークエンシング、SnaPshot、アレル特異的プライマー法、DNAマイクロアレイ等ハイブリダイゼーションによる遺伝子多型検出、SPR(表面プラズモン共鳴)、WAVEシステム(クロマトグラフィーによる塩基の相違検出)および分子ビーコン(Sniper法など)等を用いることができる。このような公知であるいずれかの検出方法において、本発明のプローブ、および/またはプライマー、および/またはポリヌクレオチドなどを用いて、本発明の検査方法に従い所望の遺伝子多型部位を検出することができる。
1つの実施の形態として喘息の発症と関連する遺伝子多型は、例えば以下のようにして検出できる。
喘息患者(例えば、アレルギー性喘息患者)群からの検体を用いて、遺伝子多型を決定し、その中から、1次候補多型を選抜する(1次スクリーニング)。さらに、検体数を増やして候補多型を絞り込む(2次スクリーニング)。一方、健常者の対照群からの検体も同様に候補多型部位の遺伝子多型を決定する。これら遺伝子多型の高密度遺伝子多型マップの作成、患者対照研究等の関連解析による疾患関連遺伝子多型探索結果から、喘息と関連する遺伝子多型を特定する。すなわち、これらの解析により疾患と関連がある遺伝子多型は、喘息患者群と対照群の間のアレル出現頻度に有意差が生じる。
このようにして、本発明に係る遺伝子多型すなわち、以下の(i)および(ii)に示すT-bet遺伝子のプロモーター領域およびエキソンにそれぞれ遺伝的な多型が特定された。
(i)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の塩基
(ii)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
配列番号1の配列はT-bet遺伝子を含むヒトゲノムの塩基配列である。配列番号1の配列は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)などのデータベースにおいてアクセッション番号:NT_010783、Version:NT_010783.14、GI:37544107(以下、単に「NT_010783配列」ともいう)としてアクセス可能である。但し、配列番号1の配列は、NCBIに記録されたNT_010783配列における第43,163,609番目から第43,178,584番目までの領域を示したものである。NT_010783配列はゲノム配列であり、イントロンおよびエキソンを含む。配列番号1における塩基番号第1番目の塩基「a」は、NT_010783配列における第43,163,609番目であり、T-bet遺伝子第1エクソンの5'-末端に該当する。T-bet遺伝子の翻訳開始コドンは、配列番号1における塩基番号第2212番目から始まる「atg」であり、NT_010783配列においては第43,165,820番目から第43,165,822番目に位置する。T-bet遺伝子の停止コドンは配列番号1における塩基番号第14121番目から始まる「tga」であり、NT_010783配列においては塩基番号第43,177,729番目から第43,177,731番目までに位置する。
本明細書においては、配列番号1の配列における塩基番号第2212番目の塩基「a」、すなわちT-bet遺伝子の翻訳開始点であるメチオニンをコードするatgのa(アデニン)を第1位(起点)として遺伝子多型の位置を表記した。したがって、上記起点から第-1993部位は配列番号1の塩基番号第219番目に該当し、上記起点から第99部位は配列番号1の塩基番号第2309番目に、上記起点から第390部位は配列番号1の塩基番号第2601番目に、上記起点から第1298部位は配列番号1の塩基番号第3509番目に、上記起点から第7725部位は配列番号1の塩基番号第9936番目にそれぞれ該当する。
配列番号1に示されるT-bet遺伝子において、上記起点から第-1993部位の遺伝子多型部位はT-bet遺伝子のプロモーター領域内に存在する。また、起点から第390部位の遺伝子多型部位はT-bet遺伝子のエキソン1に含まれる。エキソン1とは、コード鎖の5'末端側から1つ目に現れるエキソンのことを指す。
本発明の方法は、喘息と関連を示す特定遺伝子に存在する遺伝子多型、特には一塩基多型を検出することによって、遺伝的な素因を明らかにし、喘息の発症の可能性などを判定する方法である。
上記の特定遺伝子とは、ヒト染色体17q21上に存在するT-bet遺伝子であり、遺伝子多型は当該遺伝子を含むゲノムDNAのエキソン、イントロン、プロモーター領域に存在する。
本発明において、少なくとも1種の一塩基多型を検出するとは、遺伝子側(すなわちコード鎖側)の遺伝子多型を直接検出すること、および遺伝子の相補配列側に存在する遺伝子多型を検出しその結果から遺伝子側の多型を推定すること、の両方をさす。ただし、遺伝子多型部位における遺伝子側の塩基と相補配列側の塩基とが相補的関係にない場合もあるため、遺伝子側に存在する多型を直接検出することがより好ましい。
本発明において検出対象となる遺伝子多型としては、T-bet遺伝子の配列に存在する遺伝子多型があげられる。より具体的には、下記の部位に現れる遺伝子多型が挙げられる
(i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれる-1993番目の塩基
(ii)配列番号1に記載の配列の第390番目の塩基
配列番号1はT-bet遺伝子のゲノム塩基配列を含む。すなわち、配列番号1の塩基配列には、T-bet遺伝子のプロモーター領域、エキソン、イントロンを含む。また、上記(i)および(ii)の部位に現れる遺伝子多型は連鎖不平衡の関係が認められる(下記実施例参照)。
本明細書において、遺伝子におけるX番目の塩基をその塩基の位置を示す数字Xと塩基を表す記号との組み合わせにより示す場合がある。例えば「390A」とは、390番目の位置にある塩基Aを示し、「390T/C」とは390番目にあるTまたはCを示す。さらに、「390A>G」の表記はAのほうが野生型であり、多数を占めることを示す。また、連鎖不平衡に関し、例えば「-1993C/390G」の表記は、第-1993部位がCであり第390部位がGである組み合わせを示す。
本発明の検査方法では、被験者などから核酸を採取し、その核酸における上記(i)および/または(ii)に対応するIL12B遺伝子多型部位について塩基形態を検出する。なお、被験者の核酸として既にデータベースなどに登録された電子情報としての核酸を用いてもよい。
上記(i)および(ii)の遺伝子多型部位についての記載は、T-bet遺伝子における遺伝子多型の現れる場所を特定したものである。上記(i)および(ii)に対応する部位の特定は、配列アライメントを行うことにより可能である。配列アライメントについては上記で説明の通りである。また、(i)および(ii)は部位を特定するものであり、配列番号1の配列全体を用いて部位を特定してもよいし、配列番号1の塩基配列において、当該部位を含む10から30塩基程度からなる配列、より具体的には、当該部位を挟む前後約5から15塩基、より好ましくは前後約10塩基からなる塩基配列を抜き出し核酸断片として特定することも可能である。具体的には、例えば(i)の遺伝子多型部位は配列表の配列番号4または配列番号5などの配列によっても特定できる。配列番号4および配列番号5の配列において、第-1993部位は、それぞれ5'末端から8番目のTまたはCが該当する。
被験者に由来する核酸配列について上記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位を特定することにより、その被験者の喘息に関する遺伝的素因を判別することができる。具体的には、(i)の場合には、TまたはCであるか、(ii)の場合には、AまたはGであるか、さらに双方の場合、(i)のTと(ii)のAの連鎖不平衡、あるいは(i)のCと(ii)のGの連鎖不平衡が認められるかなどが判別される。さらに他の好ましい形態として、一対のアレルの組み合わせとして判別する形態が挙げられる。
また、他の好ましい実施形態としては、上記(i)および(ii)のいずれかと連鎖不平衡関係にある遺伝子多型部位を検出する。関連のある他の多型の情報を得ることにより、より詳細な喘息に関する遺伝的素因を解明することができる。
下記実施例にて詳説するが、本発明者らは上記の遺伝的素因と喘息に対する罹患性との関係を明らかにした。すなわち、上記被験者の遺伝的素因マーカーを特定することにより、遺伝学的な見地から被験者の喘息に対する罹患性を検査することができる。
喘息の罹患性を検査する方法の場合、上記のように被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から喘息に罹る遺伝的危険性を判定する。本明細書において疾患の罹患性検査とは、疾患発症の有無の判断、疾患発症の可能性の判断(罹患危険性・易罹患性の予測)、疾患の遺伝的要因の解明など遺伝的要因と疾患との関係を検査することを意味する。また疾患の判定は、上記の一塩基多型の検出による結果と、他の遺伝子多型分析および他の検査結果と合わせて行うこともできる。
上記に列挙した塩基形態からなる、或いはそれを含むポリヌクレオチドは、喘息の遺伝的素因マーカーであり、各マーカーを本発明の検査方法において、検出することにより気管支喘息、より好適な対象としてはアスピリン喘息および鼻ポリプを伴う喘息などについての遺伝的素因を検査することが可能となる。マーカーとしてのポリヌクレオチドの長さは、遺伝子多型部位、特に好ましくは一塩基多型を特定できに足る長さに適宜調整してよい。
喘息の罹患性を検査する場合、罹患性の判定としては好ましくは次のような形態が採用される。
上記(i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがTのホモ接合体である場合、これは健常者に多く見られる。これに対して、(i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがCのホモ接合体またはCとTのヘテロ接合体である場合、これは喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定できる。
また、(ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがAのホモ接合体である場合、これは健常者に多く見られる。これに対して、(ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがGのホモ接合体またはGとAのヘテロ接合体である場合、のうち少なくとも一方に該当する場合は、喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定することができる。
上記(i)および(ii)の多型については、いずれか一方についてのみ検査してもよいし、より好ましくは(i)および(ii)の双方について検査してもよい。
本発明の別の実施の形態に従えば、前記検査は以下のように行うことができる。
被験者から核酸試料(例えば、組織、細胞、血液など)を採取し、常法に従いDNAまたはゲノムDNAを抽出する。得られたDNAサンプルをPCR法により増幅し(遺伝的素因マーカーを含む領域)、各種の一塩基多型の検出方法を用いて、T-bet遺伝子領域の各多型部位(i)および(ii)のうち、1箇所以上における遺伝子多型の塩基の種類を決定する。上記のようにして、関連解析から得られたSNPsと気管支喘息の病態(重症度を含む)との相関関係から、決定したT-bet遺伝子多型を参照してその個体の状態を判定する。
より具体的には、前記DNAサンプルの遺伝的素因マーカーを含む領域で、PCRを行い、1)SSCP法で塩基の種類を決定する、または2)該PCR増幅産物を直接シークエンス(Sanger法やMaxam-Gilbert法)する。或いは、遺伝的素因マーカーを含む領域に特異的にハイブリダイズするプローブを使用して、前記DNAサンプルまたはそのPCR増幅産物から多型部位を直接検出する(インベーダーアッセイなど)。さらに、遺伝的素因マーカー近傍(直前)までの配列を有するプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行い、伸長した塩基をMS(質量分析器)で解析する。
前記の多型部位の検出、解析には、本発明のポリヌクレオチドが好適である。すなわち、プローブまたはプライマーとしては、下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種と特異的にハイブリダイズするもの、および下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種を増幅産物中に含むことができるプライマーである。プロモーターおよびプライマーの塩基長など具体的な形態については上記での説明のと同様である。
(I)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第-1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載のT-bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
本発明において、本発明のプローブおよびプライマーは、それらの各々を有効成分とする検査用キットとして好ましくは提供される。特に、プライマーを含んでなる本発明の検査用キットは、DNAポリメラーゼ、4種類のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)およびサイズマーカー等を含んでよい。さらに、適当な緩衝剤、洗浄剤、反応停止液などが含まれてもよい。くわえて、T-bet遺伝子の遺伝子多型に特異的な抗体を検出に使用することもできる。
本発明の検査用キットは、気管支喘息の遺伝的素因マーカーの検出を企図するものであるが、必要ならば他の疾患関連因子(マーカー)の検査用キットと組み合わせて、その検査結果から被験者の複合的な状態を判定することができる。
上記(i)の多型は、T-bet遺伝子のプロモーター領域に含まれており、T-betの転写活性発現量と関連があることが明らかとなった。具体的には、(i)の塩基が「T」の場合よりも、「C」の場合のほうが転写活性発現量が増加することが確認された(下記実施例2参照)。さらに、核抽出物が第-1993部位を含むオリゴヌクレオチドと結合すること、さらに第-1993部位の塩基の種類によってその親和性に差が生じることが見出された(下記実施例3参照)。
かかる知見に基づき、本発明は、T-bet遺伝子の発現状態分析方法および喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法をも提供する。
本発明のT-bet遺伝子発現状態分析方法は、上記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がCである場合に、T-bet遺伝子の発現量が相対的に高いと推定し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がTである場合に、T-bet遺伝子の発現量が相対的に低いと推定するものである。本発明の分析方法は、T-bet遺伝子が関連する様々な生物化学的な反応、疾患などについての分析に役立てるすることができる。
本発明の喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法は、ヒトT-bet遺伝子の発現調節領域と前記発現領域により発現が調節される検出可能なタンパク質をコードする塩基配列とを備えた組換え核酸を含む細胞系に候補薬剤を投与し、前記タンパク質の発現を検出することを特徴とする。好ましい実施形態としては、前記ヒトT-bet遺伝子のプロモーター領域に(iv)または(v)のいずれかの塩基配列を含む。創薬過程においては何重にもスクリーニングが繰り返されるが、本発明は比較的初期段階のスクリーニング方法の1つとして好適である。
(iv)T
(v)C
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、検出可能な発現産物を組み込んだ形質転換体を作製し、そのタンパク質の発現量を測定することにより、候補化合物の効果等を推定するための情報を得るものである。プロモーター領域の第-1993部位には、上記(iv)または(v)の配列を組み込む。また、検出可能な発現産物は、その発現が検出可能なものであれば特に限定はなく、例えば、各種の蛍光タンパク質、発光タンパク質、生成酵素、分解酵素、耐性遺伝子などが例示される。より具体的には、例えばレポータ遺伝子として、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ等を用い得る。発現ベクター、形質転換体の作製など、タンパク質等の発現細胞系の構築は、Molecular Cloning(3rd.ed, Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の定法に従って行うことができる。
一つの好ましい形態としては、例えば、(v)の「C」の塩基を有する遺伝子を発現させる場合において、候補薬剤の存在により、発現量が低下した場合には、T-betの過剰発現が関連する疾患の予防/治療薬候補となり得る。また、他の実施形態として、(iv)および(v)のそれぞれの発現系について候補薬剤の投与による発現量の差異を検定することにより、個人差による薬剤の効果の違いを検定することも可能である。
また、他の実施形態として、T-bet遺伝子の転写活性測定も行う形態も例示される。前記(i)の一塩基多型を含むT-bet遺伝子断片を細胞に導入し、該細胞を培養し、該遺伝子の発現を分析することにより、転写活性を測定できる。好ましい様態によれば、前記T-bet遺伝子断片の下流にレポーター遺伝子を結合した転写ユニットを細胞に導入し、該細胞を培養した後リポーター活性を測定することにより遺伝子の転写活性を測定する。例えば、一塩基多型がプロモーター部位に存在する場合は、その一塩基多型を含む遺伝子断片の下流にレポーター遺伝子を挿入した転写活性測定用コンストラクトを導入した細胞を培養し、レポーター活性を測定することにより、一塩基多型による転写活性への影響を測定することができる。ここでのレポータ遺伝子としては、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ等が用いられる。
実施例1 関連性研究
1.被験者
喘息の診断はNational Institutes of Health, with minor modifications (National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, 1997)によった。アトピー性喘息の診断はアレルゲン特異的IgEのイムノアッセイ試験において1項目以上陽性であるか、または総IgE値が400kU/Lの場合とした。非アトピー性喘息の診断は、総IgE値が400kU/L以下でアレルゲン特異的IgEが陰性(0.35kU/L以下)とした。アスピリン喘息患者は、2種類以上の異なるNSAIDsにより喘息発作の履歴があるか、またはアスピリンチャレンジ試験で陽性反応となった者である。鼻ポリプの診断は、鼻、臨床試験、内視鏡検査、コンピューター断層撮影等をもとに判断した。被験者は376名の小児のアトピー性喘息患者(Child patients with atopic asthma、平均年齢9.3歳、年齢範囲1-15歳、総IgE値の平均1084U/mL)、313名の成人のアトピー性喘息患者(平均年齢49歳、年齢範囲20-81歳、総IgE値の平均775.7U/mL)、88名の成人の非アトピー性喘息患者(平均年齢59歳、年齢範囲42-75歳、総IgE値の平均174.8U/mL)、アスピリン喘息患者(平均年齢53歳)、42名の鼻ポリプが発生した喘息患者(平均年齢54歳、年齢範囲23-75歳、総IgE値の平均1084U/mL)を被験者とした。
対照の被験者(Healthy controls)は、呼吸器系の疾患と喘息様の疾患の罹患履歴のない同地域の健常人とし、そのなかからランダムに選定した。(640名、年齢範囲18-83歳)被験者は全て日本人であり、本研究の内容を説明し被験者の同意を得た上で(被験者が16歳以下の場合は親の同意の上で)実施された。
2.遺伝子多型の探索と関連性研究
24名の喘息患者(12名の小児と12名の成人)について、T-bet遺伝子上の遺伝子多型の探索を行った結果、24個に一塩基多型を同定しアレル頻度を出した。この中から、アレル頻度、連鎖不平衡関係、SNPsの位置等から4箇所の一塩基多型(-1993T/C、99C/G、298T/C、7725T/C)を選定した。さらに、被験者数を増やして遺伝子型判定(ゲノタイピング:genotyping)を行い、アレル頻度を対照と比較して、カイ二乗検定などにより統計学的に関連性研究を行った(表1)。なお、ゲノタイピングは、TaqMan system(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用い、具体的な手法は添付のマニュアルに従った。また、遺伝子多型の特定にはSEQENCHER program(Gene Code Corporation)を用いた。
Figure 0004649181
対照と患者4集団(成人のアスピリン喘息(aspirin-induced asthma:AIA)患者、小児のアトピー性喘息(Atopic asthma)患者、成人のアトピー性喘息患者、成人の非アトピー喘息患者)間における各遺伝子多型の出現頻度を統計的解析により比較した結果、成人のアスピリン喘息患者の場合プロモーター部位の第-1993部位においてp値=0.004(Tアレル対Cアレル)と強い関連性を示す結果を得た。
また、鼻ポリプ(nasal polyps:NP)を持つ成人喘息患者について-1993T/Cおよび連鎖不平衡関係にある390A/Gの2箇所のアレル頻度を対照と比較して関連性研究を行った(表2)。その結果、第-1993部位においてp値=0.008、オッズ比(Odds ratio)2.38((Cアレルのホモ接合体+CアレルとTアレルのヘテロ接合体)対(Tアレルのホモ接合体))、第390部位においてp値=0.019、オッズ比2.23((Gアレルのホモ接合体+GアレルとAアレルのヘテロ接合体)対(Aアレルのホモ接合体))と強い関連性を示す結果を得た。また、表2に示されるオッズ比等から、第-1993部位のCアレル、TアレルとCアレルのヘテロ接合体、およびCアレルのホモ接合体は、アスピリン喘息および鼻ポリプを伴う喘息と強い関連性があることが示された。さらに、第390部位のGアレル、AアレルとGアレルのヘテロ接合体、およびGアレルのホモ接合体は、アスピリン喘息および鼻ポリプを伴う喘息と強い関連性があることが示された。
Figure 0004649181
実施例2 プロモーター内のSNPsの転写活性への影響
1.実験方法
T-bet遺伝子上の一塩基多型-1993T(下記、配列番号2)または-1993C(下記、配列番号3)のオリゴヌクレオチドおよびその相補鎖からなる2本鎖DNA断片をそれぞれ作製した。
配列番号2の配列において、5'末端から16番目の塩基Tが第-1993部位に該当する。また、配列番号3の配列において、5'末端から16番目の塩基Cが第-1993部位に該当する。なお、下記配列番号2および3の配列において示す下線部は制限酵素認識部位(XheI site)を付加した部位を示す。
(1)5'-CTAGCGGAGAAATGGTGGGTAAGGTT-3(配列番号2)
(2)5'-CTAGCGGAGAAATGGCGGGTAAGGTT-3'(配列番号3)
得られた2本鎖をpGL3-Basic Vector(Promega社, Madison, WI)に導入し、各アレルのDNA断片をルシフェラーゼ遺伝子転写ユニットの上流に含む2種類の転写活性測定用のベクターを作製した。HEK293細胞およびHeLa細胞に、上記転写活性測定用ベクターとpRL-TKベクター(Promega社)(形質転換効率測定のための内部標準用)をFugene 6 transfection reagent (Roche Diagnostics社, Basel, Switzerland)により細胞にトランスフェクトした。24時間後、細胞を集めルシフェラーゼ活性をDual-Luciferase Reporter Assay System (Promega社)により測定した。
2.実験結果
図1に示すように、2種類の細胞(HEK293、HeLa)のいずれにおいても、-1993Cのベクターを導入した細胞は、高いルシフェラーゼ活性を示した。すなわち喘息に関連を示したT-bet遺伝子における、このプロモーターの第-1993部位の遺伝子多型は、T-betの転写活性に影響を与えていることがわかった。
実施例3 プロモーター内のSNPsに対する未知核内因子の結合
実験方法
HEK293細胞の核抽出物のSNPsを含むプロモーター部位-1993T(下記配列番号4)または-1993C(下記、配列番号5)のオリゴヌクレオチドおよびその相補鎖からなる2本鎖DNAに結合するかを検討した。配列番号4および5のそれぞれにおいて、5'末端側から8番目の部位が第-1993部位に該当する。配列番号4の配列ではT、配列番号5の配列ではCである。
(3)5'-GAAATGGTGGGTAAG-3’(配列番号4)
(4)5'-GAAATGGCGGGTAAG-3’(配列番号5)
核抽出物の調製方法はDignamJ,Dら、Nucleic Acid Res.11,1475-1489(1983)の方法に依った。EMSA(Electrophoretic mobility shift assays)はDIG Gel Shift Kit(Roche社)を用い製造者の指示に従った。HEK293細胞から得た核抽出物に、DIG標識した上記(3)または(4)の2本鎖DNA、×1 Binding Buffer、Poly(dI:dC)を混合し、30分間氷中で静置した。競合検討の試料として、未標識の上記(3)または(4)の2本鎖DNAと反応させた(前培養)後、DIG標識した上記(3)または(4)の2本鎖DNAと反応させたものを用いた。反応物は、0.3×濃度のTris-ホウ酸-EDTA緩衝液中、6%非変性ポリアクリルアミドゲルで分離した。ゲルにより分離した試料はニトロセルロース膜に転写し、化学発光検出システム(Roche社)によりシグナルを検出した。
2.実験結果
図2に結果を示す。レーン2およびレーン5には2種の複合体が検出された。レーン2およびレーン5に現れているように、-1993Cアレルに対応するオリゴヌクレオチドは-1993Tアレルに対応するオリゴヌクレオチドよりも現れるバンドが強い(-1993Tアレルの約1.2倍)。これは、核抽出物中に存在する未知の物質が-1993Cアレルに対応するオリゴヌクレオチドに対してより強固に結合したことを示す。この結果はこのオリゴヌクレオチド領域に結合することによりT-bet遺伝子の転写活性を制御する1またはそれ以上の核抽出物中の未同定の物質が存在し、これが喘息に関連している可能性を示す。また、このヌクレオチドと未同定物質との結合の測定は、T-betの転写を制御することによる喘息の標的物質探索の指標となる可能性があると考えられる。
本発明は、喘息に関連する検査、予防、治療、創薬等の分野において有用である。
転写活性測定の結果を示す図である。 電気泳動の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 下記(a)および(b)の工程を含む、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の罹患性検査方法であって、
    (a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程
    (i)配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の塩基
    (ii)配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
    (b)被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息に罹る遺伝的危険性を判定する工程であって、
    前記(b)において、
    (i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがCのホモ接合体またはCとTのヘテロ接合体である場合、および
    (ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがGのホモ接合体またはGとAのヘテロ接合体である場合、
    のうち少なくとも一方に該当する場合は、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定する、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の罹患性検査方法。
  2. 下記(a)および(b)の工程を含む、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の罹患性検査方法であって、
    (a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程
    (i)配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の塩基
    (ii)配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の塩基
    (b)被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息に罹る遺伝的危険性を判定する工程であって、
    前記(b)において、
    (i)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがTのホモ接合体である場合、および
    (ii)に対応する遺伝子多型部位における対立遺伝子同士の塩基形態の組み合わせがAのホモ接合体である場合、
    のうち少なくとも一方に該当する場合は、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に低いと判定する、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の罹患性検査方法。
  3. 前記(b)において、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する、請求項1または2に記載の罹患性検査方法。
  4. アスピリン喘息の罹患性を検査する、請求項1〜のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
  5. 鼻ポリプを伴う喘息の罹患性を検査する、請求項1〜のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
  6. 下記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がCである場合に、T−bet遺伝子の発現量が相対的に高いと推定し、前記(i)に対応する遺伝子多型部位の塩基がTである場合に、T−bet遺伝子の発現量が相対的に低いと推定する、T−bet遺伝子の発現状態分析方法。
    (i)配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の塩基
  7. 下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の遺伝的素因マーカーとしての使用。
    (I)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がC又はTである、塩基長が15ヌクレオチド以上の核酸
    (II)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がG又はAである、塩基長が15ヌクレオチド以上の核酸
    (III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列からなる核酸
  8. 下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の断片からなり、PCR産物の塩基配列中に遺伝子多型を含むように設計した、塩基長が15ヌクレオチド以上の、請求項1〜5のいずれか一項に記載の罹患性検査方法に用いるプライマー対
    (I)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がC又はTである核酸
    (II)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がG又はAである核酸
    (III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列からなる核酸
  9. 下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の断片からなり、下記(I)又は(II)に記載された多型部位を含み、塩基長が15ヌクレオチド以上の、請求項1〜5のいずれか一項に記載の罹患性検査方法に用いるプローブ
    (I)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のプロモーター領域に含まれる第−1993部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がC又はTである核酸
    (II)配列番号1の塩基配列の断片からなる核酸であり、かつ配列番号1に記載のT−bet遺伝子上のエキソン1に含まれる第390部位の遺伝子多型部位を含む核酸において、当該多型部位がG又はAである核酸
    (III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列からなる核酸
  10. 請求項8に記載のプライマーおよび/または請求項9に記載のプローブを備える、アスピリン喘息又は鼻ポリプを伴う喘息の遺伝的素因検出キット。
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