以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る撮影装置10を背面方向から見た外観図である。
この撮影装置10の上面には、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズボタン(所謂シャッター)32と、電源スイッチ34aとが備えられている。本実施の形態に係る撮影装置10のレリーズボタン32は、中間位置まで押下される状態(以下、半押し状態またはS1という。)、及び当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、全押し状態またはS2という。)の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。レリーズボタン32を半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると撮影が行われる。
また、撮影装置10の背面には、撮影された被写体像やメニュー画面等を表示するためのLCD46と、撮影する被写体の構図を決定するために用いられる光学ファインダ62とが備えられている。
さらにまた、撮影装置10には、雰囲気のある暗所で、周囲に迷惑がかからないように撮影装置10から発する光や音をオフまたは抑制するための暗所モード(以下、雰囲気のある暗所モードと呼称する場合もある)に一発操作で移行するための暗所モードボタン34b、撮影を行うモードである撮影モード及び被写体像をLCD46に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際にスライド操作されるモード切替スイッチ34cと、テレ/ワイド切替スイッチ34dとが備えられている。
さらに、撮影装置10には、十字カーソルボタン34eが備えられている。十字カーソルボタン34eは、LCD46の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キー及び当該4つの矢印キーの中央部に位置された決定キーの合計5つのキーを含んで構成されている。
図2は、本実施の形態に係る撮影装置10の電気系の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、撮影装置10は、レンズ12と、レンズ12の光軸後方に配設されたCCD(Charge Coupled Device)14と、相関二重サンプリング回路(以下、「CDS」という。)16と、入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)18と、撮影装置10全体の動作を司るマイクロ・コンピュータ(以下、「マイコン」という。)20と、所定容量のラインバッファを内蔵すると共に入力されたデジタル画像信号に対して所定のデジタル信号処理を施す一方、撮影によって得られたデジタル画像信号により示される被写体像や各種メニュー画面、メッセージ等を表示するための液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)46に対する表示動作を司るDSP(Digital Signal Processor)で構成された信号処理回路22と、主として撮影により得られたデジタル画像信号を記憶するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)により構成されたメモリ26と、CCD14を駆動させるための駆動信号を生成するCCD駆動部28と、CDS16、信号処理回路22、CCD駆動部28等の各部に対し必要とされるタイミング信号を供給するタイミング信号発生部30と、を含んで構成されている。
ここで、CDS16による相関二重サンプリング処理は、固体撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、固体撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素信号を得る処理である。
CCD14の出力端子はCDS16の入力端子に、CDS16の出力端子はADC18の入力端子に、ADC18の出力端子は信号処理回路22の入力端子に、各々接続されている。また、信号処理回路22はマイコン20及びデータバスBUSの各々と接続されており、メモリ26もデータバスBUSと接続されている。更に、マイコン20はタイミング信号発生部30の入力端子に、タイミング信号発生部30の出力端子はCDS16、信号処理回路22、CCD駆動部28等の入力端子に、CCD駆動部28の出力端子はCCD14の入力端子に、各々接続されている。
そして、信号処理回路22によるデジタル信号処理の一部はマイコン20による制御に応じて実行され、タイミング信号発生部30による各種タイミング信号の発生も、マイコン20による制御に応じて実行される。
マイコン20は、CCD14から出力される画像信号に基づいて、焦点評価演算やAE演算などの各種演算を行い、その演算に基づいて、レンズ12及び絞り(不図示)の駆動手段(例えば、AFモータやアイリスモータ等)を制御し、フォーカスレンズを合焦位置に移動させるとともに、絞りを適正絞り値に設定する。
例えば、AF制御には、G信号の高周波成分が最大になるようにフォーカスレンズを移動させるコントラストAF方式が採用される。AE制御には、1フレームのR、G、B信号を積算した積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を示す測光値BV(Brightness Value)を求め、ISO感度を加算してEV(Exposure Value、露出値)を求める。そして、この露出値EVに基づいて絞り値とシャッタースピードを決定し、駆動手段を介して絞りを駆動するとともに、決定したシャッタースピードとなるように電子シャッターによってCCD14の電荷の蓄積時間を制御する。したがって、撮影装置10のレンズ12を被写体に向けるだけで、最適な露出調整が行われるとともに、ピント合わせが自動的に行われる。
撮影記録時においては、レリーズボタン32の半押し(S1)時に上述した測光動作を複数回繰り返して正確な露出値EVを求め、この露出値EVに基づいて撮影時の絞り値とシャッタースピードを最終的に決定する。そして、レリーズボタン32の全押し(S2)時に前記最終的に決定した絞り値になるように絞りを駆動し、また、決定したシャッタースピードとなるように電子シャッターによって電荷の蓄積時間を制御する。なお、AE、AFはCCD14から取得される画像信号に基づいて測光して制御する方法の他、周知の測光センサを用いて測光したりAF投光/受光センサからなる測距センサ等を用いて測距して制御してもよい。
なお、マイコン20では、CCD14から出力される画像信号に基づいて、AF制御やAE制御の他、被写体輝度と、R/G、B/Gといった色情報を用いて光源種を判別し、光源の色温度に関わらずに、白い被写体が白く色再現されるようにホワイトバランスを調整するためのデジタルゲインを求めるAWB(Auto White Balance)調整も行われる。
また、撮影装置10には、データバスBUSに接続された外部インタフェース(以下、「外部I/F」という。)24が内蔵されており、外部I/F24は、撮影装置10にスマート・メディア、ICカード、CD−R、CD−RW等の可搬型の記録メディア52が装着された状態において、当該記録メディア52に対するアクセスを司ると共に、その他のデジタル情報の外部との間の入出力を司る。
また、マイコンは、レリーズボタン32、及び操作部34(電源オンオフする電源スイッチ34a、暗所モードボタン34b、モード切替スイッチ34c、テレ/ワイド切替スイッチ34d、及び十字カーソルボタン34eを含む)が接続されている。マイコン20は、これらのボタン類に対する操作状態を常時把握することができる。
また、信号処理回路22は、LCD駆動回路44を介して前述のLCD46と接続されている。マイコン20は、LCD駆動回路44に制御信号を出力すると共に、信号処理回路22を介してLCD駆動回路44に例えば輝度信号及び色差信号からなるYUV信号(あるいはYCrCb信号)を出力することによって、LCD46に画像を表示させる。
LCD駆動回路44は、マイコン20から入力した制御信号に応じ、信号処理回路22から入力した画像信号に基づいて、被写体像やメニュー画面等の画像をLCD46に表示させるための信号を生成してLCD46に供給する。
LCD46は、視認性やコントラストなどに優れた透過タイプであり、それ自体では発光しない受光型の素子により構成されている。そのため、LCD46は、その裏面に、光源としてバックライト50が配置されている。LCD46に表示された画像は、バックライト50がLCD46を照明することにより可視化される。このバックライト50には、電流制限回路48が接続されている。電流制限回路48は、マイコン20に接続され、マイコン20の制御によりバックライト50に流す電流を制限する。
CCD18から出力される画像信号に基づいて生成される映像信号(YUV信号)がLCD駆動回路44に供給されることにより、CCD18が捉える画像がリアルタイムに動画像(ライブ画像、スルー画像)として、またはリアルタイムではないが、ほぼ連続した画像としてLCD46に表示される。
LCD46は電子ビューファインダーとして利用でき、撮影者はLCD46の表示画像又は光学ファインダ62によって撮影画角を確認することができる。なお、通常の撮影モード或いは再生モードでは、被写体画像が通常の輝度で表示されるが(通常表示)、暗所モードでは、被写体輝度を抑えた被写体画像と被写体の輪郭画像とが重ね合わされた重畳画像が、周囲にLCD46からの光が抑制されるように表示される。なお、暗所モードでは、バックライト50の輝度も抑えられる。
次に、この撮影装置10に備えられた暗所モードについて詳細に説明する。
図3は、電源スイッチ34aがオン状態とされているときに撮影装置10のマイコン20で実行される暗所モード移行処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ100では、雰囲気のある暗所モードに設定されたか否かを判断する。これは暗所モードボタン34bが押下されたか否かによって判断する。暗所モードボタン34bが押下されたと判断した場合には、ステップ102で、光、音を発する機構をオフまたは抑制する「雰囲気のある暗所モード」に移行する。
具体的には、まず、信号処理回路22で、撮影によって得られた被写体画像(図4参照)を示す画像信号をメモリ26から読み出し、これに基づいて、被写体画像の輪郭画像(図5)を示す画像信号を生成する。輪郭画像を示す画像信号は、元の被写体画像の画像信号から、被写体画像のエッジを検出し、更に検出結果としてのエッジ画像を輪郭部分は白色、それ以外は黒色となるように2値化して生成する。
更に信号処理回路22は、撮影によって得られた被写体画像を示す画像信号に基づいて、元の被写体画像よりも輝度を低下させた被写体画像(不図示)の画像信号を生成する。どの程度輝度を低下させるかは、予め好適な値を設定しておく。
そして、信号処理回路22は、この輪郭画像を示す画像信号と輝度を低下させた被写体画像の画像信号を明部優先で合成した合成信号を生成し、この合成信号から映像信号を生成してLCD駆動回路44に出力する。これにより、LCD46には、図6に示されるように、輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像とを明部優先で重ね合わせた重畳画像が表示される。
このように表示することで、LCD46の光量を抑えながら被写体画像の概要を確認することができる。そして、これにより光量を抑えながら適切にフレーミングを行うことが可能となる。また、撮影時以外、例えば光量を抑制しながら被写体画像を再生したい場合にも暗所モードで再生させれば同様の効果がある。なお、この場合には、記録メディア52に記憶された被写体画像の画像信号に基づいて輪郭画像や輝度を低下させた被写体画像の画像信号を生成して合成し、表示する。
なお、このとき、バックライト50の輝度は通常のままでも上記のように表示すればLCD46から発する光を減少させる効果があるが、マイコン20の制御により電流制限回路48に、バックライト50に流す電流を制限して、被写体画像の印象が判別できる程度にバックライト50の輝度を低下させるようにしてもよい。これにより、LCD46から発する光量を効果的に抑え、雰囲気のある暗所でも周囲にはばかることなくモニタ表示を行うことができる。
更に、マイコン20は、暗所モード状態にあるときには、LCD46の表示を変更するだけでなく、レリーズボタン32やモード切替スイッチ34c、テレ/ワイド切替スイッチ34d、十字カーソルボタン34e等を操作するときに発生させる予め定められた操作音を強制的に発生させないように制御する。このように光及び音の双方を抑制するようにしたため、雰囲気のある暗所でも周囲に迷惑をかけずに撮影装置10を操作することができる。
なお、ここでは、暗所モード状態にあるときに、輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像とを明部優先で重ね合わせた重畳画像を表示するようにしたが、図7に示すように、LCD46の表示面の一部の領域(以下、通常表示領域)には輝度を低下させない通常通りの被写体画像の一部を表示して、残りの領域に輪郭画像を表示するようにしてもよい。
具体的には、前述したように、撮影によって得られた被写体画像を示す画像信号に基づいて被写体画像の輪郭画像を示す画像信号を生成し、該輪郭画像の画像信号と、撮影によって得られた被写体画像を示す元々の画像信号の中のLCD46の表示面の通常表示領域(ここでは中央の領域)に相当する部分の画像信号とを、該通常表示領域に相当する部分の画像信号を優先させて合成する。そして、この合成信号から映像信号を生成してLCD駆動回路44に出力する。これにより、図7に示されるように、LCD46の表示面の一部の領域には被写体画像の一部を通常表示すると共に、それ以外の領域には輪郭画像を表示することができる。
なお、ここでは通常表示領域以外の領域に輪郭画像を表示するようにしたが、この輪郭画像に代えて、輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像とを明部優先で重ね合わせた重畳画像を表示するようにしてもよい。
このように、一部の領域のみを通常表示とすることで、光量を抑えながら画像を表示でき、かつその一部の領域に表示された被写体画像により、被写体画像の雰囲気や色味、雰囲気などが確認できるようになる。そして、これにより光量を抑えながら適切にフレーミングを行うことが可能となる。また、撮影時以外、例えば光量を抑制しながら被写体画像を再生したい場合にも暗所モードで再生させれば同様の効果がある。なお、この場合には、記録メディア52に記憶された被写体画像の画像信号に基づいて輪郭画像を生成して合成し、表示する。なお、輪郭画像に代えて重畳画像を表示する場合には、記録メディア52に記憶された被写体画像の画像信号に基づいて輝度を低下させた被写体画像の画像信号を生成して合成する。
なお、通常表示領域は1つとは限らず、複数あってもよい。また、通常表示領域の大きさは、予め設定しておいてもよいが、撮影装置10の周辺環境の明るさに応じて決定し、変更してもよい。例えば、周辺環境の明るさが暗いほど通常表示領域の大きさを小さくするようにすることができる。これにより、LCD46から発する光量を雰囲気のある暗所でも周囲に迷惑をかけない程度に好適に抑えることができる。なお、周辺環境の明るさを測定するには、周辺環境の明るさを測光する測光手段を別途撮影装置10に設けてもよいが、前述したようにCCD18から出力される画像信号によって求められる被写体輝度(BV値)を周辺環境の明るさとして用いてもよい。
また、上記では、通常表示領域には輝度を低下させない被写体画像の一部を表示して、残りの領域に輪郭画像または輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像とを重ね合わせた重畳画像を表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、LCD46の表示面の全体に輪郭画像または重畳画像を表示し、LCD46の左下の領域などに、輝度を低下させない被写体画像全体を縮小した縮小画像を表示することもできる。
具体的には、前述したように、撮影によって得られた被写体画像を示す画像信号に基づいて被写体画像の輪郭画像を示す画像信号を生成すると共に、撮影によって得られた被写体画像を示す元々の画像信号を縮小処理して、縮小画像の画像信号を生成する。そして、該輪郭画像の画像信号に縮小画像の画像信号を(縮小画像の画像信号優先で)重ね合わせて合成し、該合成信号から映像信号を生成してLCD駆動回路44に出力する。これにより、図8に示されるように、LCD46の表示面の一部の領域には被写体画像の縮小画像を通常表示すると共に、それ以外の領域には輪郭画像を表示することができる。
このように、全体に輪郭画像を表示し、左下等に被写体画像の縮小画像を通常表示するようにしたため、輪郭画像から大まかな構図を確認でき、縮小画像から画像全体の印象や色味を確認でき、有益である。
なお、縮小画像の位置は、図8のようにLCD46の表示面の左下に限定されない。主要被写体の輪郭画像が表示される領域以外の領域とすれば好ましいが、縮小画像によって主要被写体の輪郭画像が一部隠れてしまうような位置に表示してもかまわない。
また、上記では通常表示領域の位置が固定である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、ユーザが通常表示領域の位置を移動できるように構成してもよい。
図9は、通常表示領域を移動する移動処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。ステップ200では、スルー画像として、LCD46の表示面の一部の領域(通常表示領域)に被写体画像の一部を表示し、残りの領域に輪郭画像を表示する。ステップ202では、通常表示領域を移動させるための移動ボタンが操作されたか否かを判断する。移動ボタンは、十字カーソルボタン34eとすることができる。ここでは、十字カーソルボタン34eの上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キーのいずれかが押下されたか否かを判断する。
ステップ202で、移動ボタン(十字カーソルボタン34eの矢印キー)が押下されなかったと判断した場合には、ステップ200に戻り、通常表示領域の位置は移動せずにそのままの表示状態を維持する。
ステップ202で、移動ボタン(十字カーソルボタン34eの矢印キー)が押下されたと判断した場合には、ステップ204に移行し、押下された十字カーソルボタン34eの矢印キーが示す移動方向に、押下時間に比例した移動距離だけ通常表示領域を移動させる。
図10は、図7に示す通常表示領域を中央付近から向かって右側に移動させた状態を示した図である。同図に示すように、通常表示領域には、撮影によって得られた被写体画像を示す元々の画像信号のうち移動後の通常表示領域に相当する部分の画像信号に基づいた被写体画像を表示する。このように、通常表示領域に表示される被写体画像が移動位置に合わせて変更されるため、輪郭画像のうち所望の一部分を被写体画像として確認できる。
通常表示領域の移動後は、ステップ200に戻る。
このように、通常表示領域を移動させることによって、フレーミングの幅がより広がり、ユーザの使い勝手が大幅に向上する。
また、上記では通常表示領域の大きさが固定である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、ユーザが通常表示領域の大きさを自由に変更できるように構成してもよい。
図11は、通常表示領域の大きさを変更する変更処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。ステップ300では、スルー画像として、LCD46の表示面の一部の領域(通常表示領域)に被写体画像の一部を表示し、残りの領域に輪郭画像を表示する。ステップ302では、通常表示領域の大きさを変更するための変更ボタンが操作されたか否かを判断する。変更ボタンは、十字カーソルボタン34eの4つの矢印キーの中央部に位置された決定キーとすることができる。ここでは、十字カーソルボタン34eの決定キーが押下されたか否かを判断する。
ステップ302で、変更ボタン(十字カーソルボタン34eの決定キー)が押下されなかったと判断した場合には、ステップ300に戻り、通常表示領域の大きさは変更せずにそのままの表示状態を維持する。
ステップ302で、変更ボタン(十字カーソルボタン34eの決定キー)が押下されたと判断した場合には、ステップ304に移行する。
ステップ304では、決定キーの押下の後、十字カーソルボタン34eの上方向の矢印キーが押下された場合には、押下時間に比例した大きさに拡大し、十字カーソルボタン34eの下方向の矢印キーが押下された場合には、押下時間に比例した大きさに縮小する。
通常表示領域のサイズの変更後は、ステップ300に戻る。
図12は、図7に示す通常表示領域の大きさを縮小した状態を示した図である。同図に示すように、通常表示領域には、撮影によって得られた被写体画像を示す元々の画像信号のうち縮小後の通常表示領域に相当する部分の画像信号が示す被写体画像を表示する。
このように、通常表示領域の大きさを変更することによって、フレーミングの幅がより広がり、ユーザの使い勝手が大幅に向上する。
なお、通常表示領域の位置を移動したり大きさを変更する場合に、十字カーソルボタン34eを操作する例について説明したが、本発明はボタン操作に限定されず、例えば、LCD46をタッチパネルディスプレイで構成した場合には、タッチパネルディスプレイに対してタッチ操作することにより、通常表示領域を移動させたり、大きさを変更させたりするように構成することができる。
また、通常表示領域を、主要被写体の輪郭より内側の領域としてもよい。また、通常表示領域を、被写体のフォーカスポイントを含む領域としてもよい。これにより撮影時にフレーミングの基準とすべき主要被写体の雰囲気や色味などを把握することができる。
また、撮影によってCCD18から出力された被写体画像を示す画像信号のうち、通常表示領域部分の画像信号に重点をおいて、AF制御、AE制御、AWB制御の少なくとも1つを行うようにしてもよい。
図13は、通常表示領域を基準としてAF制御やAE制御、AWB制御を行う場合の処理ルーチンの流れを示したフローチャートである。
ステップ400では、スルー画像として、LCD46の表示面の一部の領域(通常表示領域)に被写体画像の一部を表示し、残りの領域に輪郭画像(または重畳画像)を表示する。ステップ402では、レリーズボタン32が半押しされたか否かを判断する。
ステップ402で、レリーズボタン32が半押しされなかったと判断したときには、ステップ400に戻る。また、ステップ402でレリーズボタン32が半押しされたと判断したときには、ステップ404に移行し、通常表示領域を基準としてAF制御やAE制御、AWB制御を行う。
ステップ406では、ステップ408でレリーズボタン32が全押しされたと判断するまでステップ400と同様の表示を継続する。
ステップ408で、レリーズボタン32が全押しされたと判断したときには、ステップ410で撮影を行う。すなわち、CCD18から出力された被写体画像の画像信号に信号処理回路22で圧縮などの所定の画像処理を施した後に、外部I/F24を介して記録メディア52に記録する。
なお、一般的な撮影装置では、AF制御やAE制御、AWB制御を行う際の基準とする範囲はモード等に応じて予め定められている。例えば、AF制御などでは、一般的に測光エリアを小分割したときの中央付近或いは予め定められた範囲に重点をおいて測光し制御する。この基準とする範囲、重点をおく範囲を上述したように通常表示領域とすることで、通常表示領域を確認しながらオートフォーカスでき、フォーカス状態の確認を適切かつ迅速に行うことが可能となる。また、AE制御、AWB制御でも同様に、通常表示領域の画像信号に重点をおいて制御することにより、通常表示を確認しながらAE/AWB制御でき、露出、ホワイトバランスを容易に確認できる。
また、前述したように、通常表示領域の位置や大きさを変更した場合でも、該変更した位置及び大きさの通常表示領域を重点としてAF制御やAE制御、AWB制御を行うようにしてもよい。これにより、任意の位置及び表示範囲でAF/AE/AWB制御を行うことが可能となり、利便性が向上する。
なお、上記では、暗所モード状態にあるときは、常に通常表示領域に被写体画像の一部(または縮小画像)を通常表示して、残りの領域に輪郭画像または輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像を重ね合わせた重畳画像を表示する例について説明したが、これに限定されず、例えば、暗所モードの初期状態では、輪郭画像または重畳画像のみを表示し、所定の指示入力があったときに、一部の領域に被写体画像を通常表示するようにしてもよい。
図14は、所定の指示入力(ここではレリーズボタン32の半押し)があったときに、一部の領域に被写体画像を通常表示する場合の処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
ステップ500では、スルー画像として、LCD46の表示面全体に輪郭画像(または重畳画像)を表示する。ステップ502では、レリーズボタン32が半押しされたか否かを判断する。
ステップ502で、レリーズボタン32が半押しされなかったと判断したときには、ステップ500に戻り、前述の表示を継続する。また、ステップ502でレリーズボタン32が半押しされたと判断したときには、ステップ504に移行し、一般的な処理手順でAF制御やAE制御、AWB制御を行う。
ステップ506では、レリーズボタン32の半押しを契機として、LCD46の表示面の一部に被写体画像の一部を通常表示する。
ステップ508では、レリーズボタン32が全押しされたか否かを判断する。ここでレリーズボタン32が全押しされたと判断したときには、ステップ510で撮影を行う。すなわち、CCD18から出力された被写体画像の画像信号に信号処理回路22で圧縮などの所定の画像処理を施した後に、外部I/F24を介して記録メディア52に記録する。
このように、ボタン操作等によって、任意のタイミングで被写体画像の一部を通常表示することができる。
特に、半押し(S1)時に、被写体画像の一部を通常表示することで、S1より前には極力光量を抑えてフレーミングを行い、S1後は光量を抑えながらフォーカスや明るさ、ホワイトバランスなどを確認する、といったことが可能となり、有益である。
なお、ここでは被写体画像の一部を通常表示するようにしたが、被写体画像の縮小画像を通常表示するようにしてもよい。また、ここでは、レリーズボタン32の操作によって表示を切替える例について説明したが、本発明は、ボタン操作に限定されず、例えば、タッチパネルのタッチ操作によって、タッチ操作で指定された位置及びその周辺を通常表示するようにしてもよい。
また、暗所モードにおいて、LCD46で設定条件を入力したりするメニュー画像のように文字や図形、絵などを表示する際にも光量を抑えられるように、メニュー画像の背景となる画像(被写体画像)を、輪郭画像あるいは重畳画像で表示するとともに、その上に重ねて表示するメニュー画像の文字や図形などの色を、全体として暗くなるように(所定明度以下となるように)変更して表示するようにしてもよい。これにより、雰囲気のある暗所でのメニュー操作も光量を抑えて行うことができる。
図15は、光量抑制前のメニュー表示状態を示した図であり、図16は、光量抑制後のメニュー表示状態を示した図である。図16では、メニュー画像のうち、文字の色は明るく、背景部分の色は暗くなるように表示されている。これにより、図15のメニュー表示に比べて、メニュー画像全体の平均明度が所定明度より低くなり、暗くなる。従って、周囲に迷惑をかけずに、メニュー操作を行うことができるようになる。
なお、雰囲気のある暗所モードの詳細な機能を設定できるように構成することもできる。図17は、十字カーソルボタン34e等の操作により、LCD46に表示された暗所モードの設定画面の一例である。同図に示すように、左側のメニュー項目から、暗所モードの機能を設定する「暗所設定」を選択すると、右側に「OFF」、「光量抑制」、「音声OFF」、「光量抑制、音声OFF」の4つの選択項目が表示される。
「OFF」を選択すると、暗所モード時でも、光量抑制や音声OFFは行わない設定となる。「光量抑制」を選択すると、音声はOFFしないが、LCD46の光量だけは抑制する設定となる。具体的には、上記実施の形態で説明したようにLCD46の表示面の一部は通常表示し、残りは輪郭画像を表示するか、輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像の重畳画像を表示することにより、光量を抑制する。「音声OFF」を選択すると、光量抑制は行わないが、音声だけはOFFする設定となる。「光量抑制、音声OFF」を選択すると、光量抑制を行うと共に音声もOFFする設定となる。
このように選択項目を選択して設定することによって、暗所モードでは、ユーザの所望の状態で撮影装置10を操作できるようになる。
また、暗所モード時のLCD46の表示方法を予め任意に設定できるようにしてもよい。図18は、暗所モード時のLCD46の表示設定画面の一例である。同図に示すように、左側のメニュー項目から、暗所モードの表示方法を設定する「モニタ」を選択すると、右側に「通常」、「輪郭」、「輪郭+暗画像」、「輪郭+一部通常」、「輪郭+AF時のみ一部通常」の5つの選択項目が表示される。
「通常」を選択すると、暗所モード時でも、LCD46の表示面全体に通常通りのスルー画像(輝度を低下させない被写体画像)を表示する。「輪郭」を選択すると、被写体画像の輪郭部分は白色、それ以外は黒色となるような輪郭画像を表示する。「輪郭+暗画像」を選択すると、輪郭画像と輝度を低下させた被写体画像の重畳画像を表示する。「輪郭+一部通常」を選択すると、一部の領域(通常表示領域)に輝度を低下させない通常通りの被写体画像の一部、または縮小画像を表示して、残りの領域に輪郭画像を表示する。「輪郭+AF時のみ一部通常」を選択すると、初期状態では輪郭画像を全面に表示し、半押し(S1)したとき、すなわちAF制御を行うときに、表示面の一部に被写体画像の一部または縮小画像を通常表示する。
このように、表示方法を予め設定しておくことにより、ユーザの所望の方法で表示させることができるようになる。
なお、輪郭画像の表示を含む表示方法が設定されている場合には、輪郭画像を生成するときに、輪郭部分の画像信号は、画像の概要をつかむためだけに用いられ、解像度、色情報は不要となる。従って、輪郭部分の画像信号は間引いて読み出しても、或いは輝度情報のみを読み出して、LCD46に表示するための画像信号を生成しても、見た目にはあまり影響しない。
そこで、再生モードで記録メディア52から被写体画像の画像信号を読み出すとき、および撮影モードでメモリ26から被写体画像の画像信号を読み出すときに、間引いて読み出すか輝度信号のみを読み出すことによって、読み出しを高速化する。
図19は、輪郭部分については間引いて読み出す読み出し処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。ステップ600では、現在設定されている表示モードをチェックする。ステップ602で、現在設定されている表示モードが、輪郭画像の表示を含む表示モードであると判断した場合には、ステップ604で、再生モードであれば記録メディア52から、撮影モードであればメモリ26から、輪郭部分の画像信号を間引き読み出しする。ステップ606では、輪郭部分以外の部分の画像信号をそのまま読み出す。
これにより、信号処理回路22は、輪郭部分については、間引き読み出しした画像信号に基づいて画像信号を生成し、それ以外の部分については、通常の読み出しにより読み出された画像信号に基づいて輝度を低下させた画像あるいは黒色の画像の画像信号を生成する。
一方、ステップ602で、現在設定されている表示モードが、輪郭画像の表示を含む表示モードではないと判断した場合には、ステップ608で、画像信号全体を間引かずに通常通りに読み出す。
図20は、輪郭部分については輝度情報のみ読み出す読み出し処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。ステップ700では、現在設定されている表示モードをチェックする。ステップ702で、現在設定されている表示モードが、輪郭画像の表示を含む表示モードであると判断した場合には、ステップ704に移行する。
ステップ704では、撮影装置10が再生モード状態であれば記録メディア52から、撮影モード状態であればメモリ26から、輪郭部分の画像信号から輝度情報のみを読み出す。ステップ706では、輪郭部分以外の部分の画像信号をそのまま読み出す。
これにより、輪郭部分については、輝度情報のみに基づいて画像信号を生成し、それ以外の部分については、通常の読み出しにより読み出された画像信号に基づいて輝度を低下させた画像あるいは黒色の画像の画像信号を生成する。
一方、ステップ702で、現在設定されている表示モードが、輪郭画像の表示を含む表示モードではないと判断した場合には、ステップ708で、画像信号全体を通常通りに読み出す。
このように読み出すことによって、読み出しを高速化できる。なお、上記図19及び図20で示した例では、輪郭部分以外の部分の画像信号はそのまま読み出すようにしたが、これも間引いて読み出してもよい。また、輪郭部分について、輝度情報のみを間引いて読み出すようにしてもよい。これによりさらに読み出しが高速化する。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、光を抑制するような画像信号を生成してLCD46に表示するようにしたが、LCD46に光を抑制するためのシートで覆うようにしてもよい。
図21(A)、(B)は、本実施の形態に係る撮影装置10aを背面方向から見た外観図である。図21(A)、(B)において、図1と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図21(A)に示すように、撮影装置10aには、撮影装置10a本体に引き出し可能に収納され、光をそのまま透過する光透過領域72、透過する光を減少させる光透過抑制領域74、及び取っ手部76を備えたシート70が設けられている。ユーザーは取っ手部76に指をかけて(或いはつまんで)、シート70を撮影装置10本体から引き出したり、撮影装置10本体に収納することができる。
シート70は、図21(B)に示すように、撮影装置10a本体から引き出された状態でLCD46の表示面を覆い、図21(A)に示すように、撮影装置10本体に収納された状態でLCD46の表示面を露出させる。
シート70が撮影装置10a本体から引き出された状態にあるときには、ほぼLCD46の中央部に形成されている光透過領域72を、LCD46から発する光がそのままの状態で透過してユーザの目に到達する。また、光透過抑制領域74では、LCD46からの透過光が減少する。このため、LCD46bの中央部に表示された被写体画像のみが通常表示された状態となり、それ以外の部分に表示された被写体画像は輝度が低下した状態とで視認される。
これにより、LCD46から発せされる光を抑制することができるため、雰囲気のある暗所であっても、周囲にはばかることなくLCD46に画像を表示することができると共に被写体画像の雰囲気や色味なども容易に確認することができる。
なお、シート70の光透過領域72の面積、位置は図21,22に図示した例に限定されず、適宜変更可能である。また、光透過抑制領域74の光の透過率も、LCD46やバックライト50の性能や機能などに応じて適宜設計し、該設計したシート70を撮影装置10に組み込むことができる。
なお、上記全ての実施の形態では、表示手段として、バックライトを使用する液晶ディスプレイを例に挙げて説明したが、バックライトを使用しない表示手段、例えば有機ELディスプレイであっても、本発明を適用できる。