JP4645209B2 - スープ類の供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、容器内に収容されたシチュー、スープ、カレー、味噌汁等のスープ類を食器等に取り分けて顧客に提供するスープ類の供給装置であって、特に容器を加熱してそれに収容されるスープ類を加熱する加熱部を備えるものに関する。
従来のこのようなスープ類の供給装置としては、特許第3449554号公報に記載されたものが知られている。このスープ類の供給装置は、容器に略一定の温度で保温して収容された具入りスープ類を所定の量に小分けして食器に分配する装置であって、スープ類を収容する容器と、容器内のスープ類を保温する保温手段と、容器内のスープ類を汲み取って食器等に小分けするレードル(柄杓)と、このレードルの駆動手段と、レードルを所定の場所で傾斜させるレードル傾斜手段とを備え、駆動手段によってレードルが作動されることにより、その内部に容器内のスープ類が収容され、さらにレードルが所定の場所に到達するとレードル傾斜手段によって傾斜され、その内部のスープ類が食器に吐出され、容器内に保温されて収容されていたスープ類が顧客に所定量づつ提供されるものである。
特許第3449554号公報
ところで、この従来のスープ類の供給装置において、容器内のスープ類をレードルにより汲み取って食器に小分けする動作は、その動作を制御する制御部により、1回毎に計数され、この計数値が予め設定された小分け動作回数に到達すると、容器内のスープ類が無くなったものと判定される。そして、その判定が表示器等により管理者に通知され、スープ類の補給や装置の点検が促される。
しかしながら、このようにレードルによるスープ類の小分け動作を1回毎に計数し、この計数値が予め設定された小分け動作回数に到達するとき、容器内のスープ類が無くなったと判定する方法においては、容器に補給されるスープ類の量が所定より少なかった場合や、予め設定される小分け動作回数が多く誤入力された場合には、容器内のスープ類が無くなったにも拘らずその状態が管理者等に通知されない問題が生じる。
そこで、このような従来の装置においては、容器の温度を計測する温度センサを設け、容器の温度が急激に上昇した場合、あるいは容器が高温(例えば98℃)に上昇した場合には容器内のスープ類が無くなったと判別するような装置も開発されている。
しかしながら、この温度センサにより容器の温度の急激な上昇を検出する方法においては、容器内に収容されるスープ類の特性が流動性が低くまた比熱も小さい場合には、容器の加熱に対する容器温度の上昇の状態が、内部に収容されるスープ類の有無によってほとんど違わない場合があるため、その判定の精度が低くなる問題がある。
また、容器が高温に上昇したことを検出する方法においては、容器の温度がその高温に上昇するまでに容器が過熱され、その判定がされるまでにスープ類の焦付き等が発生してしまうことがある。また、スープ類の加熱により発生する湯気が結露して容器に付着し、この結露水がヒータ等の加熱手段で加熱されて高温となり、さらに容器の表面を伝わって温度センサの取付部に流れ着くと、容器が高温に上昇していないにも拘らず、容器が高温に上昇したものとして誤検知される問題もある。
また、これらの方法の他に、容器内のスープ類が無くなったことを検出する方法としては、容器の載置される載置部の底部にロードセル等の重量センサを配設し、それによって計測される容器の重量に基づいて容器内のスープ類が無くなったことを検出する方法があるが、この場合は、その扱いが難しく、例えば載置部に載置される容器が傾いたり、少しでも位置ずれしたりすると容器の重量が正確に測定できずに、容器内のスープが無くなったことが誤って検出される問題がある。
本発明は、このような問題を解決するため、容器内にスープ類が無くなった場合に、その状態をなるべく正確に判定し、また容器の過熱やスープ類の焦付き等を防止して、信頼性、安全性の高いスープ類の供給装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、スープ類を収容する容器と、前記容器内のスープ類を食器等に取り分ける取分け手段と、前記容器を加熱して収容されるスープ類を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を計測する容器温度計測手段と、前記加熱手段によるスープ類の加熱を制御する加熱制御手段とを備えたスープ類の供給装置において、前記加熱手段による前記容器の加熱が中止されるとき、前記容器の温度がその加熱の中止の当初から所定の値を超えて上昇する状態が、前記加熱の中止の度に連続して生じ、その連続が所定数続いたとき、前記容器内のスープ類が無いものと判定するスープ有無判別手段を備えたものである。
これによれば、前記スープ有無判別手段は、前記容器の加熱が中止されるとき、前記容器の温度が所定の値を超えて上昇する状態が加熱の中止に度に連続して繰返される場合に、前記容器内のスープ類が無いものと判定する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスープ類の供給装置において、前記容器にあって前記加熱手段により相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する容器加熱部温度計側手段を備え、前記容器加熱部温度計測手段により計測される温度が所定の温度以上のとき、前記加熱手段による前記容器の加熱を中止することにより、前記容器の過熱を防止して装置の焼損等を防止する。
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、スープ有無判別手段は、容器の加熱が中止されるとき、容器の温度が所定の値を超えて上昇する状態が加熱の中止の度に連続して繰返される場合に、容器内のスープ類が無いものと判定するから、その判定の精度を向上させることができる。例えば、容器の表面にスープ類の湯気が結露して付着し、それが加熱手段と接して高温となり、さらにそれが容器温度計測手段に到達して、その高温の結露水の温度が容器温度計測手段により検出されても、その結露水は加熱手段により容器が繰返し加熱される間に蒸発してしまうから、加熱の中断の度に連続してその高い温度が容器温度計測手段により検出されることはない。したがって、容器温度計測手段により検出される温度が、加熱中止の当初から所定の値を越えて大きく上昇する状況は連続して生じないから、このような場合にも容器内のスープ類がないと容易に判定されることはない。すなわち、その判定の精度を向上させることができる。
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の発明において、容器の過熱を防止して装置の焼損等を防止することができるから、装置の信頼性、安全性を向上させることができる。
本発明の実施形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態のスープ類の供給装置を示す外観斜視図、図2は本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す正面断面図、図3は本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す側面断面図、図4は本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、本体部上部の開口を覆う上蓋部を上方に回動して開いた状態を示す斜視図である。
また、図5は、本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、容器に収容されたスープ類を食器等に子分けする場合の、容器内のリンク機構部、ホッパー等の動作状態を順に示す側面断面図で、(a)は容器内のリンク機構部が、待機状態からレードルの開口(汲み口)方向の所定の位置まで回動した状態、(b)は容器内のリンク機構部がレードルの開口と反対方向の所定の位置まで回動した状態、(c)は容器内のリンク機構部が再びレードルの開口の方向に回動し、レードルがホッパーの広口に挿入される状態、(d)はレードルがホッパー内に挿入されて、容器の開口を越えて外側に回動し、レードル内のスープ類がホッパーの筒口から食器に吐出される状態、をそれぞれ示すものである。
図1ないし図4に示すように、このスープ類の供給装置は、スープ類を収容する容器5を保持する本体部1と、本体部1の上部を開閉自在に覆う上蓋部2と、本体部1の前方に配設され、スープ類を小分けする食器16を載置する食器置部3等を備えている。
本体部1は、スープ類を収容する容器5を保持する容器保持部21を2個所備え、容器保持部21の底部には、容器5に収容されるスープ類を加熱、保温するため誘導加熱コイル(加熱手段)61と、容器5の底部に接してその温度を計測する容器温度センサ(容器温度計測手段)62と、容器5において相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する加熱部温度センサ(容器加熱部温度計側手段)63等がそれぞれ設けられている。また、容器保持部21の前部には容器5を着脱するための切欠部21aがそれぞれ設けられている。そして、本体部1は、この切欠部21aを覆う前面カバー23を着脱自在に備えている。
また、上蓋部2は、本体部1の容器保持部21に保持された容器5の上方を覆うカバー部25と、カバー部25の上部に配設され、容器5内のスープ類を汲み出すレードル(取分け手段)11を駆動する駆動モータ28等からなる駆動装置26と、駆動装置26の手前に前方に向かって配置され、スープ類の小分け動作を開始させる小分開始スイッチ32やスープ類の保温温度等を設定する設定ボタン33等が設けられたコントロールパネル31等から構成されている。また、上蓋部2は、その後部に設けられた支軸35によって、上下方向に回動自在に本体部1と連結されている。そして、上蓋部2を上方に回動して、本体部1の上部を開き、容器保持部21の切欠部21aを覆う前面カバー23を取り外す(図4参照)ことにより、スープ類を収容する容器5を本体部1の前方から容器保持部21に容易に着脱することができる。尚、容器5は持ち運びのための把持部7を備える。
また、食器置部3は、食器16を載置する載置台17と、スープ類を食器16に小分けする場合にこぼれたスープ類を回収して溜めるスープ回収樋18を有している。そして、食器置部3は、フック部19により本体部1の前方に着脱自在に係止されている。
スープ類を収容する容器5は、側視形状が略半円状に形成され、その円弧部に沿って底面部5bが形成され、その左右の両側には側面部5cが形成され、その弦部に開口5aが形成されている。(図5参照)
そして、容器5の底面部5bの上端部内側には開口5aを介して外側に回動するホッパ40が軸支されている。このホッパ40は、容器5に支軸41によって回動自在に軸支され、レードル11が挿入される後述の広口40aとレードル11が汲み上げたスープ類を食器16に吐出する筒口40bを備えている。(図5参照)
容器5内に配設されるリンク機構部8は、回転軸9と、この回転軸9に直交して設けられた一対の矩形片からなる回転アーム部材10と、この回転アーム部材10の先部に回動自在に軸支された遥動アーム部材12と、この遥動アーム部材12の端部に連結板37を介して回動自在に軸支されるレードル11等から構成されている。
また、このリンク機構部8は、回転軸9の両端を容器5の側面部5cに設けられたU字状の溝部6に回転自在に、且つ着脱自在に支持され、容器5内を回動自在である。さらに、回転軸9の一端には、上蓋部2に配設される駆動装置26と連結されて、リンク機構部8を前後に回動するための平板状の連結板24が設けられている。そして、この連結板24は、後述する駆動装置26の駆動連結ピン30aと係合するための溝部24aを有している。
レードル11は、図5の(a)に示すように、一方に開口(汲み口)11aを設けて袋状に形成され、その内部にスープ類を汲み上げるスープ収容部11bが設けられている。さらに、このスープ収容部11bには、それを開口11a側と奥側に仕切る仕切板38が備えられている。また、レードル11の底部には容器5の底面部5bに当接するスクレイパー39が備えられている。スクレイパー39は、その底部が容器5の底面部5bに沿うように形成され、リンク機構部8が容器5内を回動するとき、その底部が容器5の底面部5bと幅広く接して、この底面部5b上を摺動する。
また、仕切板38は、スープ類に含まれる所定形状の具は通さず、スープ液のみを通す図示しないスリットが形成されている。このような仕切板38を有するレードル11は、容器5に設けられたホッパ40にその開口11aを向けて回動可能にリンク機構部8の先端に軸支される。そして、容器5内をホッパ40に向かって回動するとき、スープ収容部11bの仕切板38の開口11a側にスープ類に混在する具を収容し、その奥側にスープ液を収容して、スープ類の具とスープ液の比率を一定にしてスープ類を汲み上げる。
上蓋部2に設けられる駆動装置26は、駆動モータ28と、駆動モータ28の回転軸28aに固着された駆動アーム27と、駆動アーム27の先端に一端を回動自在に軸支された駆動リンク片30と、駆動リンク片30の長手方向に沿って設けられた長穴30bに係合する案内支軸29と、駆動リンク片30の他端に設けられリンク機構部8の連結板24に設けられる溝部24aと係合する駆動連結ピン30a等から構成されている。このように構成される駆動装置26は、駆動モータ28が通電されると、その回転軸28aとともに駆動アーム27が回転し、その先端に軸支された駆動リンク片30がその長穴30bに係合する案内支軸29に案内されながら遥動する。さらに、駆動リンク片30の他端に設けられた駆動連結ピン30aにより、これと係合するリンク機構部8の連結板24が回転軸9を回動して、リンク機構部8が回動する。このようにして、リンク機構部8は駆動モータ28の回転によって回動される。
また、図6の制御ブロック図に示すように、このスープ類の供給装置はその動作を制御する制御手段60を備えている。ここで、主制御部(スープ有無判別手段)65は、このスープ類の供給装置の制御を統括するものである。加熱制御部(加熱制御手段)66は、容器温度センサ62により計測される容器5の温度や、加熱部温度センサ63により計測される容器5の高温部の温度に基づいて誘導加熱コイル61の通電を制御する。また、後述するように、主制御部65は容器温度センサ62よって計測される容器5の加熱中断後の温度の状態により容器5内のスープ類の有無を判別する。
駆動モータ制御部67は、容器5内をレードル11によって攪拌する場合や、容器5内のスープ類をレードル11によって小分けして食器等に取り分ける場合に、レードル11を駆動する駆動モータ28を制御する。
入出力制御部68は、小分け開始スイッチ32や設定ボタン33によって入力されるデータを主制御部65に伝送し、主制御部65はこれに基づいて駆動モータ制御部67を介して容器5内のスープ類をレードル11により食器16に小分けする動作を開始し、あるいは加熱制御部66を介して容器5内に収容されるスープ類の保温温度を設定して加熱を開始する。また、装置の故障や、容器5内のスープ類が無くなった場合は表示器34にその内容を表示するなどして、管理者に点検等を促すように構成されている。
また、RAM71は、設定ボタン33により入力されたスープ類の保温温度やその種類等の他に小分け回数などの揮発性データを記憶し、ROM72は、スープ類の取り分け動作や容器5内の攪拌動作を実行するための適宜なプログラム等の不揮発性データが記憶されている。
このように構成されるスープ類の供給装置において、容器5内に収容されたスープ類を食器16に小分けする場合の各部の作用および動作について説明する。
先ず、レードル11を装着したリンク機構部8を容器5内に入れる。そして、容器5にスープ類を注いで収容する。続いて、図4のように本体部1の上部の開口を閉塞する上蓋部2を上方に回動して開く。さらに本体部1に備えられた前面カバー23を取り外し、容器5を容器保持部21に装着する。そして、前面カバー23を本体部1に再び装着し、上蓋部2を下方に回動して本体部1の上部を閉塞する。このとき、上蓋部2に備えられた駆動装置26の駆動連結ピン30aをリンク機構部8の連結板24に設けられた溝部24aに係合させる。そして、コントロールパネル31の設定ボタン33によりスープ類の保存温度等を設定する。この状態で、容器5内に収容されるスープ類が加熱される。
ところで、本実施の形態の容器5は金属素材からなり、誘導加熱コイル61に高周波電流が供給されて、その素材内に誘導電流が流れることによりジュール熱が発生し、容器5に収容されたスープ類が加熱される構造である。また、容器5は隣接する2箇所の容器保持部21にそれぞれ載置されるが、これに対応して配置されるそれぞれの誘導加熱コイル61に、同時に高周波電流を供給するとこれらが共鳴してうなりを発生する場合がある。そこで、本実施例の場合は、隣接する2つの容器5内のスープ類を加熱する場合は、それぞれの誘導加熱コイル61に同時に高周波電流が供給されないように、例えば交互に高周波電流を供給しながら容器5内のスープ類を徐々に加熱している。そして、それぞれの誘導加熱コイル61に供給される高周波電流の供給時間やその割合等は容器5内に収容されるスープ類の種類に基づいて決定され、ROM72に記憶された適宜な加熱プログラムによりその加熱が実行される。
ここで、一方の誘導加熱コイル61への電流が中断されると、加熱制御部66は容器温度センサ62によって、その電流中断後の容器5の温度を計測する。そして、主制御部65は、その容器5の温度の計測結果に基づいてその容器5内のスープ類の有無の判定を行う。この場合の容器5の温度の計測方法および判定の手法を、図7に示されるフローチャートを一例に説明する。
先ず、誘導加熱コイル61の通電が中断がされると、ステップ1(S1)で計測開始変数Pがクリア(P=0)される。ステップ2(S2)で容器温度センサ62によって容器温度Tが計測される。また、同時に容器温度Tを計測する間隔を計時するタイマーAが起動される。ステップ3(S3)で計測された容器温度Tが、誘導加熱コイル61の通電が中断された直後の温度(P=0の場合)かどうか判別される。計測された容器温度Tが、誘導加熱コイル61の電流が中断された直後の温度であれば、ステップ4(S4)で、その温度の値が基準温度Tとして記録され、計測開始変数Pに1が記録される。そして、ステップ5(S5)で容器温度Tの計測間隔を計時するタイマーが起動中かどうか確認され、所定の計測間隔が経過したか否か判別される。計測間隔が経過すると、さらにステップ7(S6)で誘導加熱コイル61の通電が中断状態であるか否か(すなわち、容器5の加熱が再開されていないか否か)が確認され、電流が中断した状態にあればステップ2(S2)に戻り、容器温度Tが再び計測される。
容器温度Tの測定が2回目以後の場合(P=0でない場合)は、ステップ8(S8)で、その温度Tと基準温度T(誘導加熱コイルの通電が中断された直後の容器の温度)との温度差が所定値(本実施形態の場合は4°)以上であるか否かが判別される。そして、温度差が所定値(4°)以上の場合は、ステップ9(S9)で昇温検知累計カウンタCがカウントアップされ、ステップ10(S10)で昇温検知累計カウンタCが所定数(本実施形態の場合は4)以上であるか否かが判別され、昇温検知累計カウンタCが所定数(4)以上であれば、ステップ11で、表示器34に容器5内のスープが無い旨の表示がされ、誘導加熱コイル61の電源が遮断されて管理者当に点検等が促される。なお、この場合、ステップ7(S7)で昇温検知累計カウンタCがクリアされ初期化される。
また、ステップ10(S10)で昇温検知累計カウンタCが4未満の場合は、カウントアップされた昇温検知累計カウンタCの値が、そのまま、次に誘導加熱コイル61の通電が中断されるまで持ち越される。
また、誘導加熱コイル61の通電が中断された間に、ステップ8(S8)で判別される温度差(T−T)が一度も所定の値(4°)以上にならない場合は、昇温検知累計カウンタCがステップ7(S7)でクリアされ初期化される。すなわち、誘導加熱コイル61の通電が中断され、その間に温度差(T−T)が所定の値(4°)以上になる状態が連続して発生しない場合は、容器5のスープ類がないと判別されない。本実施の形態の場合は、誘導加熱コイル61の通電が中断され、その間に温度差(T−T)が所定の値(4°)以上になる状態が所定数(4)連続して発生する場合にのみ、容器5のスープ類がないものと判別される。
例えば、容器5の表面にスープ類の湯気が結露して付着し、それが表面を伝わって流下し誘導加熱コイル61と接触して高温に加熱され、さらにそれが容器温度センサ62の感温部に到達して、電磁誘導コイル61の通電遮断中にその高温の結露水の温度が容器温度センサ62により検出される場合であっても、その結露水は電磁誘導コイル61により容器5が繰返し加熱される間に蒸発してしまうから、誘導加熱コイル61による加熱の中断の度に、連続してその高温の結露水の温度が容器温度センサ61により検出されることはない。したがって、容器温度センサ61により検出される温度Tと基準温度T(誘導加熱コイルの通電が中断された直後の容器の温度)との温度差が所定値(4°)以上である状況は連続して生じないから、これにより容器5内のスープ類がないと判別されることはない。すなわち、このようして判別の精度を向上させることができる。
ここで、図8は本実施の形態の容器5内にスープ類が収容されている(スープ有)状態と、容器5内のスープ類が空である(スープ無)状態との各々において、容器5を誘導加熱コイル61によって加熱したのち、容器5の温度が所定の値に到達したとき誘導加熱コイル61の電流を中断して加熱を停止した場合の容器の温度の経過時間に対する変化をそれぞれ示した容器温度の特性比較図である。図に示すように、容器5内にスープ類が無い場合は、スープ類が有る場合に比べて見かけ上その比熱が小さくなるので、温度変化の状態が急になる。また、誘導加熱コイル61の電流を中断して加熱を停止した場合は、その直後に誘導加熱コイル61等から成る加熱装置22の余熱により容器5の温度が上昇するが、この場合も、容器5内にスープ類が無い場合は、スープ類が有る場合に比べて見かけ上の比熱が小さいので温度上昇の度合いが大きくなる。
本実施の形態のスープ類の供給装置は、この特性を利用して、誘導加熱コイル61による加熱を中止した後に、容器5の温度が加熱を中止したときから所定の値(本実施の形態の場合は4°)を超えて上昇し、さらにこの状態が所定数(4)続いた場合に、容器5内のスープ類が無いものと判定する。したがって、この判定を精度良く行うことができる。なお、この温度差の所定の値、および連続の所定数は、スープ類の種類や保温の温度等を考慮して、容器5内のスープ類の有無が確実に判別できて、なお且つスープ類の焦付き等が発生しないように適宜変更することが望ましい。
ところで、容器保持部21に載置される2つの容器5のいずれか一方の容器5内のスープ類のみを加熱する場合は、その容器5を目標とする保温温度(本実施の形態の場合は約75℃)まで略連続的に加熱することが効率的であるが、本実施の形態においては、その加熱途中で容器5の温度が一定の温度まで上昇すると、誘導加熱コイル61への電流が一旦中断され、加熱が一時的に中断されながら段階的に目標とする保温温度まで加熱されるように、ROM72に記憶された適宜な加熱プログラムにより制御される。そして、このように誘導加熱コイル61への電流が中断されるとき、加熱制御部66は容器温度センサ62によって、その電流中断後の容器5の温度を計測し、主制御部65は、その計測結果に基づいてその容器5内のスープ類の有無の判定を前述と同様に行う。
さらに、容器5内のスープ類が目標とする保温温度まで加熱されると、その容器5を加熱する誘導加熱コイル61への電流が断続的に供給されて、容器5内のスープ類が略その保温温度の状態に保たれるように、その加熱が制御される。そして、この場合も誘導加熱コイル61への電流が中断されるとき、容器温度センサ62によって、その電流中断後の容器5の温度が計測され、その計測結果に基づいてその容器5内のスープ類の有無の判定が同様に行なわれる。尚、容器5内に収容されるスープ類の温度が所定の温度に上昇すると、容器5内のスープ類はリンク機構部8のレードル11によって攪拌される。
また、容器5において高温に加熱される部分の温度を計測する加熱部温度センサ63は、誘導加熱コイル61が通電されて容器5が加熱される場合は、常時その温度を計測する。そして、これにより計測される温度が所定の温度(本実施の形態の場合は137℃)以上であるとき、加熱制御部66は誘導加熱コイル61の電源を遮断して容器5の加熱を中止する。例えば、スープ類が収容されていない空の容器5を、誤って加熱する場合には、容器5の表面各部の温度が大きくバラつく。そして、容器温度センサ62が配置された部分の温度は比較的低いが、加熱部温度センサ63の配置された誘導加熱コイル61の近傍は高温になる場合がある。そうすると、容器5において誘導加熱コイル61の近傍の高温部が過熱状態となっても、容器温度センサ62は容器5が所定の温度に到達したことを検知しないで加熱が継続される。このような場合、本実施の形態の加熱部温度センサ63は容器5の高温部の温度を検出するから、それが所定の温度以上のとき、誘導加熱コイル61の電源が遮断されて容器5の加熱が中止される。これにより、容器5の過熱状態を防止して、装置の焼損等を確実に防止することができる。
次に、食器置部3に食器16が置かれ、コントロールパネル31の小分開始スイッチ32が操作されると、スープ類の小分け動作が開始される。具体的には、駆動装置26の駆動モータ28が通電され、駆動リンク片30を介してリンク機構部8が、図3に示す待機状態からレードル11の開口11aの方向に回転する。そして、図6の(a)に示すように例えば前方側に約30度傾いた所定の位置まで回動すると、今度は、リンク機構部8がレードル11の開口11aと反対方向に回動する。この場合、レードル11は開口11aを斜め上方に向けながら移動するので、スープ類が開口11aからスープ収容部11bに侵入する。そして、そのスープ液は仕切板38のスリットを介してその奥側のスープ収容部11bに収容される。
そして、図6の(b)に示すように例えば後方側に約30度傾いた所定の位置まで回動すると、今度は、再びリンク機構部8がレードル11の開口11aの方向に回動する。このとき、レードル11は、開口11aから仕切板38の手前のスープ収容部11bにスープ液中に拡散した具を集積しながら回動する。
さらに、回転が進むと、図6の(c)に示すように、レードル11は、容器5の円弧状の底面部5bから、それに続くように形成されたホッパー40の広口40aに挿入される。このとき、スープ収容部11bの仕切板38の開口11a側には具が、仕切板38の奥側にはスープ液がそれぞれ分離されて収容される。また、これにより、具とスープ液が常に所定の比率でレードル11内に収容される。
そして、さらにリンク機構8が回動すると、レードル11は、ホッパー40内に挿入されて、これと一体となって、ホッパー40を軸支する支軸41を中心に容器5の開口5aを越えてその外側に図6の(d)に示すように回動し、レードル11内のスープ類がホッパー40を介してその筒口40bから略一定の吐出状態で食器16に吐出される。そして、スープ収容部11bのスープ類が全て食器16に小分けされると、リンク機構部8が逆方向に回転され、再びレードル11が容器内に戻される。このような動作により、所定の量のスープ類が容器5から食器16に小分けされる。
尚、容器5の開口5aは、常時は容器カバー20によって覆われて閉塞されている。そして、容器カバー20は、レードル11がホッパー40内に挿入され、これと一体となって容器5の開口5aを超えてその外側に回動する場合に、これに押されて開かれる吐出口扉20aを備えている。
以上のように、本実施の形態のスープ類の供給装置においては、主制御部65は、容器5の加熱が中止されるとき、容器5の温度がその加熱中止の当初から所定の値を超えて上昇する状態が、加熱の中止の度に連続して繰返される場合に、容器5内のスープ類が無いものと判定するから、その判定の精度を向上させることができる。例えば、容器5の表面にスープ類の湯気が結露して付着し、それが誘導加熱コイル61と接して高温となり、さらにそれが容器温度計センサ62に流着して、その高温の結露水の温度が容器温度センサ62により検出されても、その結露水は容器5が繰返し加熱される間に蒸発してしまうから、加熱の中断の度に連続してその高い温度が容器温度センサ62により検出されることはない。したがって、容器温度センサ62により検出される温度が、加熱中止の当初から所定の値を越えて大きく上昇する状況は連続して生じないから、このような場合にも容器5内のスープ類がないと容易に判定されることはない。
また、容器5において相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する加熱部温度センサ63により計測される温度が、所定の温度(137℃)以上であるとき、加熱制御部66は誘導加熱コイル61の電源を遮断して容器5の加熱を中止するから、容器5の過熱状態を防止して、装置の焼損等を確実に防止することができる。すなわち、装置の信頼性、安全性を向上させることができる。
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態の示す装置のみに限定されず、本発明の趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、容器の温度がその加熱の中止の当初から超える所定の値(本実施の形態の場合は4°)や、加熱の中止の度に連続する連続数(本実施の形態の場合は4)は、当然に適宜変更可能である。また、スープ類が収容されていない空の容器を加熱する場合に、その容器の各部の温度が大きくバラつかないような装置であれば、容器温度センサと加熱部温度センサとを一つにしてその機能を統合することが可能である。
本発明の実施形態のスープ類の供給装置を示す外観斜視図である。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す正面断面図である。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す側面断面図である。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、本体部上部の開口を覆う上蓋部を上方に回動して開いた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、容器に収容されたスープ類を食器等に子分けする場合の、容器内のリンク機構部、ホッパー等の動作状態を順に示す側面断面図で、(a)は容器内のリンク機構部が、待機状態からレードルの開口(汲み口)方向の所定の位置まで回動した状態、(b)は容器内のリンク機構部がレードルの開口と反対方向の所定の位置まで回動した状態、(c)は容器内のリンク機構部が再びレードルの開口の方向に回動し、レードルがホッパーの広口に挿入される状態、(d)はレードルがホッパー内に挿入されて、容器の開口を越えて外側に回動し、レードル内のスープ類がホッパーの筒口から食器に吐出される状態、をそれぞれ示すものである。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置の制御構成を示す制御ブロック図である。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、容器内のスープ類の有無を判別する処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態のスープ類の供給装置の容器内にスープ類が有る場合と、スープ類が無い場合おいて、容器の加熱を中断した場合の容器温度と経過時間との関係を示す図である。
符号の説明
1 本体部
2 上蓋部
3 食器置部
5 容器
8 リンク機構部
11 レードル(取分け手段)
16 食器
31 コントロールパネル
32 小分け開始スイッチ
33 設定ボタン
34 表示器
61 誘導加熱コイル(加熱手段)
62 容器温度センサ(容器温度計測手段)
63 加熱部温度センサ(容器加熱部温度計側手段)
65 主制御部(スープ有無判別手段)
66 加熱制御部(加熱制御手段)

Claims (2)

  1. スープ類を収容する容器と、前記容器内のスープ類を食器等に取り分ける取分け手段と、前記容器を加熱して収容されるスープ類を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を計測する容器温度計測手段と、前記加熱手段によるスープ類の加熱を制御する加熱制御手段とを備えたスープ類の供給装置において、
    前記加熱手段による前記容器の加熱が中止されるとき、前記容器の温度がその加熱の中止の当初から所定の値を超えて上昇する状態が、前記加熱の中止の度に連続して生じ、その連続が所定数続いたとき、前記容器内のスープ類が無いものと判定するスープ有無判別手段を備えたことを特徴とするスープ類の供給装置。
  2. 前記容器にあって前記加熱手段により相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する容器加熱部温度計側手段を備え、前記容器加熱部温度計測手段により計測される温度が所定の温度以上のとき、前記加熱手段による前記容器の加熱を中止することを特徴とする請求項1に記載のスープ類の供給装置。
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