JP4645209B2 - スープ類の供給装置 - Google Patents
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しかしながら、このようにレードルによるスープ類の小分け動作を1回毎に計数し、この計数値が予め設定された小分け動作回数に到達するとき、容器内のスープ類が無くなったと判定する方法においては、容器に補給されるスープ類の量が所定より少なかった場合や、予め設定される小分け動作回数が多く誤入力された場合には、容器内のスープ類が無くなったにも拘らずその状態が管理者等に通知されない問題が生じる。
しかしながら、この温度センサにより容器の温度の急激な上昇を検出する方法においては、容器内に収容されるスープ類の特性が流動性が低くまた比熱も小さい場合には、容器の加熱に対する容器温度の上昇の状態が、内部に収容されるスープ類の有無によってほとんど違わない場合があるため、その判定の精度が低くなる問題がある。
また、容器が高温に上昇したことを検出する方法においては、容器の温度がその高温に上昇するまでに容器が過熱され、その判定がされるまでにスープ類の焦付き等が発生してしまうことがある。また、スープ類の加熱により発生する湯気が結露して容器に付着し、この結露水がヒータ等の加熱手段で加熱されて高温となり、さらに容器の表面を伝わって温度センサの取付部に流れ着くと、容器が高温に上昇していないにも拘らず、容器が高温に上昇したものとして誤検知される問題もある。
本発明は、このような問題を解決するため、容器内にスープ類が無くなった場合に、その状態をなるべく正確に判定し、また容器の過熱やスープ類の焦付き等を防止して、信頼性、安全性の高いスープ類の供給装置を提供することを目的とするものである。
これによれば、前記スープ有無判別手段は、前記容器の加熱が中止されるとき、前記容器の温度が所定の値を超えて上昇する状態が加熱の中止に度に連続して繰返される場合に、前記容器内のスープ類が無いものと判定する。
図1は本発明の実施形態のスープ類の供給装置を示す外観斜視図、図2は本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す正面断面図、図3は本発明の実施形態のスープ類の供給装置の内部構造を示す側面断面図、図4は本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、本体部上部の開口を覆う上蓋部を上方に回動して開いた状態を示す斜視図である。
また、図5は、本発明の実施形態のスープ類の供給装置において、容器に収容されたスープ類を食器等に子分けする場合の、容器内のリンク機構部、ホッパー等の動作状態を順に示す側面断面図で、(a)は容器内のリンク機構部が、待機状態からレードルの開口(汲み口)方向の所定の位置まで回動した状態、(b)は容器内のリンク機構部がレードルの開口と反対方向の所定の位置まで回動した状態、(c)は容器内のリンク機構部が再びレードルの開口の方向に回動し、レードルがホッパーの広口に挿入される状態、(d)はレードルがホッパー内に挿入されて、容器の開口を越えて外側に回動し、レードル内のスープ類がホッパーの筒口から食器に吐出される状態、をそれぞれ示すものである。
本体部1は、スープ類を収容する容器5を保持する容器保持部21を2個所備え、容器保持部21の底部には、容器5に収容されるスープ類を加熱、保温するため誘導加熱コイル(加熱手段)61と、容器5の底部に接してその温度を計測する容器温度センサ(容器温度計測手段)62と、容器5において相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する加熱部温度センサ(容器加熱部温度計側手段)63等がそれぞれ設けられている。また、容器保持部21の前部には容器5を着脱するための切欠部21aがそれぞれ設けられている。そして、本体部1は、この切欠部21aを覆う前面カバー23を着脱自在に備えている。
スープ類を収容する容器5は、側視形状が略半円状に形成され、その円弧部に沿って底面部5bが形成され、その左右の両側には側面部5cが形成され、その弦部に開口5aが形成されている。(図5参照)
そして、容器5の底面部5bの上端部内側には開口5aを介して外側に回動するホッパ40が軸支されている。このホッパ40は、容器5に支軸41によって回動自在に軸支され、レードル11が挿入される後述の広口40aとレードル11が汲み上げたスープ類を食器16に吐出する筒口40bを備えている。(図5参照)
容器5内に配設されるリンク機構部8は、回転軸9と、この回転軸9に直交して設けられた一対の矩形片からなる回転アーム部材10と、この回転アーム部材10の先部に回動自在に軸支された遥動アーム部材12と、この遥動アーム部材12の端部に連結板37を介して回動自在に軸支されるレードル11等から構成されている。
レードル11は、図5の(a)に示すように、一方に開口(汲み口)11aを設けて袋状に形成され、その内部にスープ類を汲み上げるスープ収容部11bが設けられている。さらに、このスープ収容部11bには、それを開口11a側と奥側に仕切る仕切板38が備えられている。また、レードル11の底部には容器5の底面部5bに当接するスクレイパー39が備えられている。スクレイパー39は、その底部が容器5の底面部5bに沿うように形成され、リンク機構部8が容器5内を回動するとき、その底部が容器5の底面部5bと幅広く接して、この底面部5b上を摺動する。
上蓋部2に設けられる駆動装置26は、駆動モータ28と、駆動モータ28の回転軸28aに固着された駆動アーム27と、駆動アーム27の先端に一端を回動自在に軸支された駆動リンク片30と、駆動リンク片30の長手方向に沿って設けられた長穴30bに係合する案内支軸29と、駆動リンク片30の他端に設けられリンク機構部8の連結板24に設けられる溝部24aと係合する駆動連結ピン30a等から構成されている。このように構成される駆動装置26は、駆動モータ28が通電されると、その回転軸28aとともに駆動アーム27が回転し、その先端に軸支された駆動リンク片30がその長穴30bに係合する案内支軸29に案内されながら遥動する。さらに、駆動リンク片30の他端に設けられた駆動連結ピン30aにより、これと係合するリンク機構部8の連結板24が回転軸9を回動して、リンク機構部8が回動する。このようにして、リンク機構部8は駆動モータ28の回転によって回動される。
駆動モータ制御部67は、容器5内をレードル11によって攪拌する場合や、容器5内のスープ類をレードル11によって小分けして食器等に取り分ける場合に、レードル11を駆動する駆動モータ28を制御する。
また、RAM71は、設定ボタン33により入力されたスープ類の保温温度やその種類等の他に小分け回数などの揮発性データを記憶し、ROM72は、スープ類の取り分け動作や容器5内の攪拌動作を実行するための適宜なプログラム等の不揮発性データが記憶されている。
先ず、レードル11を装着したリンク機構部8を容器5内に入れる。そして、容器5にスープ類を注いで収容する。続いて、図4のように本体部1の上部の開口を閉塞する上蓋部2を上方に回動して開く。さらに本体部1に備えられた前面カバー23を取り外し、容器5を容器保持部21に装着する。そして、前面カバー23を本体部1に再び装着し、上蓋部2を下方に回動して本体部1の上部を閉塞する。このとき、上蓋部2に備えられた駆動装置26の駆動連結ピン30aをリンク機構部8の連結板24に設けられた溝部24aに係合させる。そして、コントロールパネル31の設定ボタン33によりスープ類の保存温度等を設定する。この状態で、容器5内に収容されるスープ類が加熱される。
先ず、誘導加熱コイル61の通電が中断がされると、ステップ1(S1)で計測開始変数Pがクリア(P=0)される。ステップ2(S2)で容器温度センサ62によって容器温度Tが計測される。また、同時に容器温度Tを計測する間隔を計時するタイマーAが起動される。ステップ3(S3)で計測された容器温度Tが、誘導加熱コイル61の通電が中断された直後の温度(P=0の場合)かどうか判別される。計測された容器温度Tが、誘導加熱コイル61の電流が中断された直後の温度であれば、ステップ4(S4)で、その温度の値が基準温度T0として記録され、計測開始変数Pに1が記録される。そして、ステップ5(S5)で容器温度Tの計測間隔を計時するタイマーが起動中かどうか確認され、所定の計測間隔が経過したか否か判別される。計測間隔が経過すると、さらにステップ7(S6)で誘導加熱コイル61の通電が中断状態であるか否か(すなわち、容器5の加熱が再開されていないか否か)が確認され、電流が中断した状態にあればステップ2(S2)に戻り、容器温度Tが再び計測される。
また、ステップ10(S10)で昇温検知累計カウンタCが4未満の場合は、カウントアップされた昇温検知累計カウンタCの値が、そのまま、次に誘導加熱コイル61の通電が中断されるまで持ち越される。
例えば、容器5の表面にスープ類の湯気が結露して付着し、それが表面を伝わって流下し誘導加熱コイル61と接触して高温に加熱され、さらにそれが容器温度センサ62の感温部に到達して、電磁誘導コイル61の通電遮断中にその高温の結露水の温度が容器温度センサ62により検出される場合であっても、その結露水は電磁誘導コイル61により容器5が繰返し加熱される間に蒸発してしまうから、誘導加熱コイル61による加熱の中断の度に、連続してその高温の結露水の温度が容器温度センサ61により検出されることはない。したがって、容器温度センサ61により検出される温度Tと基準温度T0(誘導加熱コイルの通電が中断された直後の容器の温度)との温度差が所定値(4°)以上である状況は連続して生じないから、これにより容器5内のスープ類がないと判別されることはない。すなわち、このようして判別の精度を向上させることができる。
ところで、容器保持部21に載置される2つの容器5のいずれか一方の容器5内のスープ類のみを加熱する場合は、その容器5を目標とする保温温度(本実施の形態の場合は約75℃)まで略連続的に加熱することが効率的であるが、本実施の形態においては、その加熱途中で容器5の温度が一定の温度まで上昇すると、誘導加熱コイル61への電流が一旦中断され、加熱が一時的に中断されながら段階的に目標とする保温温度まで加熱されるように、ROM72に記憶された適宜な加熱プログラムにより制御される。そして、このように誘導加熱コイル61への電流が中断されるとき、加熱制御部66は容器温度センサ62によって、その電流中断後の容器5の温度を計測し、主制御部65は、その計測結果に基づいてその容器5内のスープ類の有無の判定を前述と同様に行う。
また、容器5において高温に加熱される部分の温度を計測する加熱部温度センサ63は、誘導加熱コイル61が通電されて容器5が加熱される場合は、常時その温度を計測する。そして、これにより計測される温度が所定の温度(本実施の形態の場合は137℃)以上であるとき、加熱制御部66は誘導加熱コイル61の電源を遮断して容器5の加熱を中止する。例えば、スープ類が収容されていない空の容器5を、誤って加熱する場合には、容器5の表面各部の温度が大きくバラつく。そして、容器温度センサ62が配置された部分の温度は比較的低いが、加熱部温度センサ63の配置された誘導加熱コイル61の近傍は高温になる場合がある。そうすると、容器5において誘導加熱コイル61の近傍の高温部が過熱状態となっても、容器温度センサ62は容器5が所定の温度に到達したことを検知しないで加熱が継続される。このような場合、本実施の形態の加熱部温度センサ63は容器5の高温部の温度を検出するから、それが所定の温度以上のとき、誘導加熱コイル61の電源が遮断されて容器5の加熱が中止される。これにより、容器5の過熱状態を防止して、装置の焼損等を確実に防止することができる。
そして、図6の(b)に示すように例えば後方側に約30度傾いた所定の位置まで回動すると、今度は、再びリンク機構部8がレードル11の開口11aの方向に回動する。このとき、レードル11は、開口11aから仕切板38の手前のスープ収容部11bにスープ液中に拡散した具を集積しながら回動する。
そして、さらにリンク機構8が回動すると、レードル11は、ホッパー40内に挿入されて、これと一体となって、ホッパー40を軸支する支軸41を中心に容器5の開口5aを越えてその外側に図6の(d)に示すように回動し、レードル11内のスープ類がホッパー40を介してその筒口40bから略一定の吐出状態で食器16に吐出される。そして、スープ収容部11bのスープ類が全て食器16に小分けされると、リンク機構部8が逆方向に回転され、再びレードル11が容器内に戻される。このような動作により、所定の量のスープ類が容器5から食器16に小分けされる。
以上のように、本実施の形態のスープ類の供給装置においては、主制御部65は、容器5の加熱が中止されるとき、容器5の温度がその加熱中止の当初から所定の値を超えて上昇する状態が、加熱の中止の度に連続して繰返される場合に、容器5内のスープ類が無いものと判定するから、その判定の精度を向上させることができる。例えば、容器5の表面にスープ類の湯気が結露して付着し、それが誘導加熱コイル61と接して高温となり、さらにそれが容器温度計センサ62に流着して、その高温の結露水の温度が容器温度センサ62により検出されても、その結露水は容器5が繰返し加熱される間に蒸発してしまうから、加熱の中断の度に連続してその高い温度が容器温度センサ62により検出されることはない。したがって、容器温度センサ62により検出される温度が、加熱中止の当初から所定の値を越えて大きく上昇する状況は連続して生じないから、このような場合にも容器5内のスープ類がないと容易に判定されることはない。
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態の示す装置のみに限定されず、本発明の趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、容器の温度がその加熱の中止の当初から超える所定の値(本実施の形態の場合は4°)や、加熱の中止の度に連続する連続数(本実施の形態の場合は4)は、当然に適宜変更可能である。また、スープ類が収容されていない空の容器を加熱する場合に、その容器の各部の温度が大きくバラつかないような装置であれば、容器温度センサと加熱部温度センサとを一つにしてその機能を統合することが可能である。
2 上蓋部
3 食器置部
5 容器
8 リンク機構部
11 レードル(取分け手段)
16 食器
31 コントロールパネル
32 小分け開始スイッチ
33 設定ボタン
34 表示器
61 誘導加熱コイル(加熱手段)
62 容器温度センサ(容器温度計測手段)
63 加熱部温度センサ(容器加熱部温度計側手段)
65 主制御部(スープ有無判別手段)
66 加熱制御部(加熱制御手段)
Claims (2)
- スープ類を収容する容器と、前記容器内のスープ類を食器等に取り分ける取分け手段と、前記容器を加熱して収容されるスープ類を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を計測する容器温度計測手段と、前記加熱手段によるスープ類の加熱を制御する加熱制御手段とを備えたスープ類の供給装置において、
前記加熱手段による前記容器の加熱が中止されるとき、前記容器の温度がその加熱の中止の当初から所定の値を超えて上昇する状態が、前記加熱の中止の度に連続して生じ、その連続が所定数続いたとき、前記容器内のスープ類が無いものと判定するスープ有無判別手段を備えたことを特徴とするスープ類の供給装置。 - 前記容器にあって前記加熱手段により相対的に高温に加熱される部分の温度を計測する容器加熱部温度計側手段を備え、前記容器加熱部温度計測手段により計測される温度が所定の温度以上のとき、前記加熱手段による前記容器の加熱を中止することを特徴とする請求項1に記載のスープ類の供給装置。
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