JP4645104B2 - 反射型スクリーンおよびディスプレイ装置 - Google Patents

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本発明は、ビデオプロジェクターの画像鑑賞の時などに用いられる、反射型のスクリーンに関するものであり、特に、照明光が点灯している明るい部屋の中でも、それなりにコントラストのある投影画像を鑑賞できるようにするための技術に関するものである。
従来の反射型スクリーンの一例として、あらゆる方向にほぼ均等な強度の光が反射されるようにしてあるマット型のスクリーンが知られている。このようなスクリーンは、例えば、白い紙や布などをそのまま平らにして用いたり、平らな板の上に貼るなどの方法で得ることができる。また、エンボス加工などにより表面をマット状にした平板を作製し、その表面に蒸着などで反射層を作製する方法でも得ることができる。このような反射型のスクリーンに、ビデオプロジェクターから画像を投影して用いた場合、スクリーンで反射された光は全ての方向にほぼ均等な強度で反射される。このため、観察者がどの位置から観察しても、全面が均一な明るさの画像を観察することができるので、暗室内で用いる場合には、良好な投影画像を観察することができる。また、構造が簡単で、価格も安価になるという利点ももっている。
しかし、近年、ホームシアターなどの形で家庭内でビデオプロジェクターなどを用いる場合が多くなってきているが、家庭で普通にTVやVTRの像などを見る場合には部屋の電灯をつけた状態で用いる場合が多い。
このような従来のスクリーンを明るい部屋で観察した場合には、図1に示すように、反射型スクリーン1にはプロジェクター2からの光3以外に、部屋の照明光源4からスクリーンに入る照明光5が入射し、反射されることになるため、観察者6には照明光がスクリーンで反射された光がノイズ光として観察されることになる。このため、画像のコントラストが大幅に低下し、良好な画像を得ることができないという問題点があった。
このような問題点に対応し、明室下でも比較的良好な画像が得られるスクリーンとして、ビーズスクリーンと呼ばれるスクリーンが知られている。
このスクリーンは図2に示すように、小さなビーズを一面に並べたような構成となっている。このスクリーンに光が入射すると、図3に示すように入射光7がビーズ8の表面で屈折された光9が、ビーズ8の裏面で反射されて、この反射光10が再びビーズ表面で屈折されて、入射方向とほぼ同じ方向に返る光11となって射出される。このため、このスクリーンでは光の入射方向とほぼ同じ方向に強く光を返す、再帰特性をもっている。
このようなスクリーンを明るい部屋で用いた場合には、図4に示すように、プロジェクター12から入射した光13は、スクリーン14により反射されて、プロジェクターに近い方向に光15として返るため、観察者16がプロジェクターに近い位置から観察すると明るい投影画像を観察することができる。一方照明光源17からスクリーン14に入射した光18は、照明光源に近い方向に反射される光19として射出されるため、観察者16の目にはほとんど入らなくなる。このため、観察者16は、明るい部屋でも比較的コントラストの高い画像を観察することができる。
しかし、このスクリーンの場合には光が狭い方向に強く反射されるため、見る位置がかなり限定されてしまい、良好な画像が観察できるのが一人か、せいぜい二人程度に絞られ、家族数人でTVを見る場合などのように多人数で見るのに適さないという問題点があっ
た。また、ビーズをきれいに敷き詰める必要があるため、製造が難しく価格が高くなるという問題点もあった。
上述したように、従来の反射型スクリーンでは、マット型のスクリーンの場合、電灯のついた明るい部屋で観察する場合に照明によるノイズ光が多く、コントラストの悪い画像しか得られないという欠点があり、ビーズ型のスクリーンの場合、良好な像が観察できる範囲が狭く、複数の観察者で用いることができないという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、電灯のついた明るい部屋でも、複数の観察者が良好な投影画像を観察できるようにすることを目的にしている。
上記のような課題を解決するために、請求項1の発明では、
上下方向にレンズ作用を持つリニアフレネル凹面形状の、レンズ作用に寄与する面(以下主面とよぶ)の上に、微小な凸凹が形成されており、その上に反射層が設けられた構成であり、前記フレネル凹面形状が、そのレンズ作用に寄与しない面(以下側面とよぶ)の中で、上側に向いている面が鋭角な面となっており、前記微小な凸凹は、上下方向よりも水平方向のほうが小さいピッチになっており、この上に設けられた、前記反射層により反射される可視光の拡散特性が、水平方向に関しては半値幅で±45度以上であり、上下方向に関しては半値幅で±7度以上±20度以下となっていることを特徴とするプロジェクター用の反射型スクリーンを提案している。
請求項2の発明では、この請求項1のスクリーンで、照明光源からの光が、フレネル面の側面で反射されることによるノイズを減少させるために、請求項1の反射型スクリーンで、特にリニアフレネル凹面形状を形成している、基材が黒色であることを特徴とするプロジェクター用の反射型スクリーンを提案している。
請求項3の発明では、請求項1のスクリーンで、照明光源からの光が、フレネル面の側面で反射されることによるノイズを減少させるための別の形として、
請求項1の反射型スクリーンで、特にリニアフレネル凹面形状を形成している、基材に透明な材料を用いており、その裏面に黒色の層が設けられていることを特徴とするプロジェクター用の反射型スクリーンを提案している。
請求項4の発明では、請求項1の反射型スクリーンで、特にリニアフレネル凹面形状側面のうち鋭角な面となる上側面の角度として、スクリーン全体の垂直面に対して、0°〜25°の間の角度となるようにしている。
請求項5の発明では、請求項1のスクリーンを用いており、スクリーン中心よりも上位置に照明光源が設置されている部屋の中で、スクリーン中心よりも下位置に設置されたプロジェクターからの投影像を観察する形で用いられることをを特徴とするようなディスプレイ装置を提案している。
本発明のスクリーンでは、照明光源から直接スクリーンに届く直接照明光の影響を減らすこと、および、プロジェクターからの光をより有効に利用できるようにすることによって、投影画像のコントラストを上げ、明室下でも良好な画像が観察できる。
以下本発明の方法について、図面を用いて詳細に説明を行う。図5は、本発明のスクリーンの一実施例を示す概要図である。この図で、上下方向にレンズ作用を持つリニアフレネル凹面形状の主面20の上に、微小な凸凹21が形成されており、その上に反射層22が設けられた構成となっている。また、リニアフレネル凹面形状の上側に向いている側面23は、鋭角な角度になるように設定されている。そして、微小な凸凹21は、図6に概略的に示すように、水平方向と上下方向とでピッチの異なるような構成となっている。
このような構成のスクリーンは例えば次のような方法によって作成される。
まず、図7のような光学系を用いて、マスクを作製する。この図で、図示しないレーザー光源からのレーザー光24は、レンズ25によって広げられて、拡散板26を照明する。拡散板26からの拡散光27は、マスク28の長方形の開口部29を通って、銀塩乾板30に届く。この時に乾板30上に届いた光はスペックルパターンを形成する。スペックルパターンでのスペックルサイズは、拡散板上での光の長さが長い場合には細かく、短い場合には粗いサイズになるので、銀塩乾板30上には、長方形の開口部29の長い方向に対しては細かいピッチの、短い方向に関しては粗いピッチの光の強弱が濃淡パターンとして記録される事になる。
次に、側面部分が鋭角になっているリニアフレネル凹面の板の上に、スピンコーターななどを用いてフォトレジストを塗工する。このようにすると、図8に示すように、ウェットな状態ではリニアフレネル凹面板31の溝がフォトレジスト32で埋まったような状態になるが、乾燥するとフォトレジスト32の体積が縮むので、リニアフレネル凹面板31の表面にその形状でフォトレジスト32が塗工されたような乾板33ができる。
このようにして作製したマスク30と、乾板33を用いて、例えば図9のような系で、UV光34を照射する。この時に、マスク30撮影時の開口部29の長さが短い方向と、リニアフレネルのレンズ作用を持つ軸の方向が同じになるようにする。
このようにするとマスク30からの透過光35により、乾板33のリニアフレネル凹面の主面部分36に、マスク30の濃淡に対応したパターンが記録されるので、この乾板33を現像すると、そのリニアフレネル凹面の主面部分36に、レンズ作用を持つ軸方向には粗いピッチの、それと垂直な方向に対しては細かいピッチの、凸凹が記録されたものが得られることになる。
次に、このようにして得られたピッチの異なる凸凹パターンから、シリコンなどで成型用の型を作製し、ウレタン樹脂やUV樹脂などを用いてプラスチック板やフィルムなどの上に形状を転写する。この上に蒸着などを行うと、リニアフレネル面の側面部は鋭角になっているので影になって蒸着されないで、凸凹パターンが記録されている主面の上にのみ反射層が形成される。このため、本発明のような反射型スクリーンを得ることができる。
このようなスクリーンを用いてプロジェクター画像を観察する場合の一例を図10に示す。この図で、プロジェクター37から発した光38は、本発明の反射型スクリーン39に入射する。この光は、スクリーン39のリニアフレネル凹面の主面40に対応した部分が細かな凸凹が記録された反射層となっているので、この面40に対する正反射方向を中心とした拡散光41として反射される。この際に水平方向は細かいピッチの上下方向は粗いピッチの凸凹になっているので、水平方向に大きく、上下方向には小さく拡散される。拡散の範囲が十分に大きいと、方向によらずほぼ一定強度の反射光が得られるので、水平方向の拡散範囲が十分に広くなるようにしておけば、水平方向に関しては、見る位置によらず均一な明るさの画像が得られる。ほぼ均一な明るさになるようにするには、経験的に
半値幅で±45度程度以上にはなるようにしておくほうが良い。
一方、上下方向に関しては、拡散性が小さいものの、レンズ作用を持つフレネル凹面であるため、反射光は凹面鏡の集光作用によってある点の近傍に集まるような拡散光として射出する。このため、観察者42の位置の近傍に集まるように設計しておけば、観察者には、スクリーン上で上下方向に関して均一な明るさの画像が得られる。このため、観察者42にはスクリーン上で水平上下の両方向に関して均一な明るさの良好なプロジェクター投影画像を観察することができる。また、このスクリーンでは、水平方向に関しては見る位置であまり明るさが変わらないので、複数の観察者が同時に像を観察することもできる。
なお、観察者によって目の高さなどが違うため、上下方向にもある程度広い範囲で観察できるようにしておく必要がある。大人と子供での背丈の違いなどを考えると、上下方向の観察範囲として50cm程度は必要なので、投影像を観察するときに2m前後離れた位置から観察すると考えて上下方向の拡散光の半値幅は7度程度以上になるようにしておくほうが良い。
次に、このようなスクリーンを明るい部屋で用いた場合の一例を図11に示す。この図で、図11で説明したと同様に、プロジェクター43からの光44に対する反射型スクリーン45上の投影画像は、観察者46に良好な画像として観察される。
一方、照明光源47から発した光のうちでスクリーンの主面部分に入射する光48は、上下方向に関しプロジェクターからの光44と大きく異なる角度で反射型スクリーン45に入射する。反射型スクリーン45の上下方向の拡散性は小さいため、この光はプロジェクターの光に対する反射光49とは、異なる角度で狭い範囲に拡散する光50として反射されることになる。このため、プロジェクター光の反射光49が観察者50に届く位置で、照明光源からの光に対する反射光50は、ほとんど観察者の目に届かない。
ところで、上下方向の拡散範囲が広いと照明光の主面部での反射光のうち観察者の目に届く量が多くなってしまう。照明光源からの光がスクリーンに入射する角度は普通30〜45度くらいになるが、正面に近い方向から見た時に拡散光が十分に弱くなるようにするためには、上下方向の拡散の半値幅はこの半分程度より小さいほうが良いので、上下方向の半値幅は±20度以下にしておくほうが良い。
一方、図12に示すようにリニアフレネル面の側面部51に入射した照明光52は反射されて、反射光53が、リニアフレネル面主面部の反射層54に入射し、ここで再び反射されて、反射光55として射出される。この時に、側面部51が鋭角な角度であるため、反射光55は側面部51で遮られるので、観察者の方向にはほとんど光が届かない。このため、観察者は照明光源の点灯した明るい部屋でも、照明光によるノイズ光の少ない、ククリアな画像を観察することができる。
この際に、角度が十分に鋭角になっていないと、反射光が側面部で遮られずに、観察者の目に入る光が大きくなる。リニアフレネル面主面部の反射層54にあたった光は水平か下方向に反射されるので、側面部で光が遮られるようにするには、側面部51からの反射光が水平方向かそれより下に反射されるようにすればよい。観察時の条件によって違うが、通常、スクリーンに入射する照明光の角度は、その垂線に対して10°〜50°くらいであるため、側面部の角度は5°〜25°くらいにするのが良い。
また、この時にフレネル面を形成した素材が、内部に反射を持っていた場合に、側面部からのこれらの反射光がノイズ光となるため、形成素材を黒色にするか、あるいは図13
で示すように透明素材で作製しておいて背面に、黒の光吸収層を設けるなどの方法を用いたほうがクリアーな画像が得られる。
本発明の反射型スクリーンは、液晶プロジェクターなどの画像を、明るい部屋でも複数の観察者に良好な画像が観察できるようにしたものである。このため、ホームシアターなどを実現させるためのスクリーンとして利用できる可能性がある。
従来のマット型スクリーンを明るい部屋で用いて、プロジェクター画像を観察する場合の概要図 従来のビーズスクリーンの一例を示す概要図である。 ビーズスクリーンでの光の再帰特性を説明するための概要図である。 従来のビーズ型スクリーンを明るい部屋で用いて、プロジェクター画像を観察する場合の概要図である。 本発明請求項1の反射型スクリーンの一例を示す概要図である。 本発明の反射型スクリーン表面の微小な凸凹構造の一例を示す概要図である。 本発明の反射型スクリーンに用いる異方性反射板の作製方法で、マスク撮影に用いる光学系の一例を示す概要図である。 本発明の反射型スクリーンに用いるリニアフレネル面の主面上への凸凹形状を作製するために用いる、フォトレジスト乾板作製説明のための概要図である。 本発明の反射型スクリーンに用いるリニアフレネル面の主面上への凸凹形状を作製するために用いる、密着露光の光学系の一例を示す概要図である。 本発明の反射型スクリーンを用いて、プロジェクター画像を観察する場合の概要図である。 本発明の反射型スクリーンを明るい部屋で用いて、プロジェクター画像を観察する場合の概要図である。 本発明の反射型スクリーンで、リニアフレネル形状の側面部にあたる照明光を説明するための概要図である。 本発明請求項3の反射型スクリーンの一例を示す概要図である。
符号の説明
1、14、39、45・・・反射型スクリーン
2、12、37、43・・・プロジェクター
3、13、38、44、46・・・投影光
4、17、47・・・照明光源
5、18、48、52・・・照明光
6、16、42・・・観察者
7・・・入射光
8・・・ビーズ
9・・・屈折された光
10・・・反射光
11・・・出射光
15、41・・・投影光の反射光
19、50・・・照明光の反射光
20、36、40・・・リニアフレネル凹面の主面
21・・・微小な凹凸
22、54・・・反射層
23・・・リニアフレネル凹面の側面
24・・・レーザー光
25・・・レンズ
26・・・拡散板
27・・・拡散光
28・・・マスク
29・・・長方形の開口部
30・・・銀塩乾板
31・・・リニアフレネル凹面板
32・・・フォトレジスト
33・・・フォトレジスト乾板
34・・・光
35・・・透過光
51・・・リニアフレネル面の側面
53・・・側面からの反射光
55・・・反射層からの反射光

Claims (1)

  1. 上下方向にレンズ作用に寄与する面(以下主面とよぶ)とレンズ作用に寄与しない面(以下側面とよぶ)とからなるリニアフレネル形状からなる反射型スクリーンであって、
    前記主面の表面は微小な凸凹が形成され、かつ前記微細な凹凸の上には反射層が設けられており、
    前記微小な凸凹は、上下方向よりも水平方向のほうが小さいピッチになっており、前記反射層により反射される可視光の拡散特性が、水平方向に関しては半値幅で±45度以上であり、上下方向に関しては半値幅で±7度以上±20度以下であり、
    前記側面の中で、上側に向いている面の角度が、前記反射型スクリーン全体の垂直面に対して、上方向に5°〜25°の間の角度であり、
    前記主面と前記側面を構成する基材は透明な材料からなり、かつその裏面には黒色の層が設けられていることを特徴とするプロジェクター用の反射型スクリーン。
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