JP4642268B2 - 化学めっき液の成分補充方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,使用により劣化した化学めっき液にその成分を補充して品質を再生させる化学めっき液の成分補充方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学めっき(無電解めっきともいう)の場合,アノードから金属イオンが補充される電気めっきの場合と異なり,使用とともに金属イオンはめっき液から持ち出される一方である。このため,適宜の頻度で,必要な金属イオンを高濃度に含む補充液を投入するようにしている。また,錯化剤その他の添加剤も,使用とともにその機能が低下するので,補充する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来の技術のように不足してきた成分を単に補充するだけでは,めっき液の劣化が避けられない。劣化しためっき液でめっきすると,めっき被膜のふくれ不良が発生しやすいのである。これは,次のように考えられる。すなわち,劣化しためっき液には,金属イオン以外の他の成分が蓄積している。これらがめっき皮膜中に取り込まれるので,めっき皮膜に圧縮応力が生じ,ふくれの発生につながるのである。このため,めっき液をある程度使用したら,全建浴ないしは半建浴を行う必要がある。
【0004】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,化学めっき液中への他の成分の蓄積による劣化を防止し,全建浴や半建浴の実行頻度を著しく低減できる化学めっき液の成分補充方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決を目的としてなされた本発明に係わる化学めっき液の成分補充方法では,オーバーフロー口を有するめっき槽を用い,使用により劣化した化学めっき液にその成分を補充して品質を再生させるにあたり,めっき液中の各成分の濃度を測定し,成分ごとにその不足分に応じた量の補充液を補充し,成分を補充する際に,各成分の補充量に対して過剰な量の水を投入し,余分なめっき液をオーバーフロー口から排出させる。これにより,めっき液における各成分の濃度の上昇が緩和される。このため,めっき液の劣化が抑制される。よって,適宜の頻度で各成分の補充および水の投入を行うことにより,長期間にわたってめっき被膜の品質低下なくめっき液を使用できるものである。
【0006】
ここにおいて,水の投入量は,化学めっき液の比重の増加が飽和するように決定すればよい。各成分の補充時における水の投入量が足りないと,使用とともに徐々にではあるがやはり各成分の濃度が上昇していくこととなる。しかし,各成分の補充時における水の投入量が所定量以上あれば,濃度上昇はある程度のところで飽和してそれ以上にはならないのである。その所定量は,めっき槽の容積や操業条件等により違ってくるが,種々の投入量を試行して,濃度上昇がある程度のところで飽和するような投入量を決定すればよい。
【0007】
ここにおいて,水の投入時間を本来の投入時間より延長することにより,過剰な量の水を投入するとよい。このようにすると,既存の設備をそのまま使えるからである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,プリント配線板の製造工程で使用する化学銅めっき浴の維持管理に,本発明を適用したものである。
【0009】
まず,本実施の形態で対象とする,プリント配線板への化学銅めっきについて簡単に説明する。化学銅めっきは図1に示すように,めっき槽1にめっき液2を満たした状態で,処理対象物であるプリント配線板3をめっき液2に浸漬させて行う。なお,めっき槽1にはオーバーフロー口4が設けられている。
【0010】
めっき液2は,水の他,成分として,銅イオンの供給源である硫酸銅(CuSO4 ),液中の銅イオンを錯体化するための錯化剤,pH調整のための水酸化ナトリウム(NaOH),還元剤としてのホルムアルデヒド(HCHO),めっき皮膜の品質調整のための添加剤,を含んでいる。これらの各成分については,化学銅めっきの補充用にあらかじめ水溶液とされたものが市販されている。図1中,各成分の右の括弧内に示す数字は,当該成分の補充液の比重(g/cm3)である。
【0011】
めっきを実施すると,めっき液2中の銅イオンがホルムアルデヒドの還元作用により金属銅としてプリント配線板3の表面に析出する。このためめっきの実施により,めっき液2中から銅イオンが持ち出され,銅イオン濃度が低下していく。また,ホルムアルデヒド自身は酸化され,蟻酸イオン(HCOO- )となる。このためホルムアルデヒド濃度も低下していく。一方,発生した蟻酸イオンは,めっき液2中に残留し,めっきの実施とともにその濃度は上昇していく。このようにめっきの実施によりめっき液2の組成が変化し,特に,銅イオン濃度が低下していく。また,錯化剤等の他の成分についても,その働きは低下していく。このため,適宜の頻度で前述の各補充液および水(正確にはイオン交換水,以下同じ)が投入される。必要な成分の濃度を適正な範囲内に維持するためである。
【0012】
この,補充液の投入タイミングは,次のようにして決定される。すなわち本実施の形態では,めっき液2中の銅イオン濃度,水酸化ナトリウム濃度,ホルムアルデヒド濃度を20分間隔で自動測定している。そして,それぞれの成分の濃度が所定の下限値を下回っていた場合には,不足分に応じた適正量の補充液が補充されるのである。補充量は不足の程度に応じて自動的に算出されるようになっている。実際には送液ポンプの稼働時間による。水酸化ナトリウム濃度が不足していた場合には,水酸化ナトリウムの補充液が補充される。ホルムアルデヒド濃度が不足していた場合には,ホルムアルデヒドの補充液が補充される。
【0013】
銅イオン濃度が不足していた場合には,硫酸銅の補充液が補充されることはもちろんである。そしてそれ以外に,錯化剤の補充液,添加剤の補充液,および水も補充される。図2に示すように,これら4液のうち,硫酸銅の補充液,錯化剤の補充液,添加剤の補充液の3液が同じ時間にわたり補充され,水はさらに長い時間にわたり補充される。図2中の上3液については,必要量が互いに比例関係にある。そのため,同じ時間補充することにより,適正な比率で補充されるようにそれぞれの送液流量が設定されているのである。
【0014】
図2中最も下の水については,本来は,プリント配線板3の引き上げ時の持ち出しによる減少分(厳密には蒸発による減少も含む)を補うものである。このため,図2中の上3液の補充時間と同じ時間補充すればよいように送水ポンプの流量が設定されている。それを本実施の形態では,送水流量はそのままにして,補充時間を図2中の上3液より長くしているのである。これにより,水が従来より過剰に補充されるようにしたのである。このため,めっき槽1における液面レベルは上がり気味となるが,余分なめっき液はオーバーフロー口4から排出される。排出される廃液には当然,めっき液2中の各種成分が含まれている。このため,前述の蟻酸イオンなどについて,めっきの実施や補充液の投入による濃度上昇が抑えられるのである。
【0015】
このため本実施の形態では,めっき液2の比重は,建浴後の操業日数とともに図3に示すように推移する。すなわち,建浴直後のめっき液2の比重が1.04程度であるところ,操業とともに次第に比重が上昇する。これは,めっき液2中の各種成分の濃度が上昇していることを示す。しかし,操業5日目に比重約1.075に達すると,それ以上に比重が上昇することはなく安定する。この程度の比重の上昇であれば,めっき皮膜の品質に問題が生じることはない。これは,硫酸銅の補充液等を補充するときにおける水の補充量を過剰にしていることの効果である。
【0016】
これに対し従来の方法(図2中,水の補充時間も他の3液の補充時間と同じであった)では,図4に示すように,操業日数の増加とともに際限なくめっき液2の比重が上昇していたのである。このため,建浴後6日目には比重が1.09近くにまで達した。これではめっき皮膜に膨れ不良が多発するので,半建浴を行ってめっき液2の品質を再生させなければならなかったのである。以後ほぼ3日ごとに半建浴の必要があった。
【0017】
以上詳細に説明したように本実施の形態では,化学銅めっきの操業において,めっき液2の銅イオン濃度が所定の下限値を下回ったときに行われる硫酸銅の補充液等の補充の際,水の補充を,本来の補充量より過剰に行うこととしている。これにより,操業によるめっき液2中への種々の成分の蓄積を抑制し,めっき液2の劣化を防いでいる。これにより,半建浴や全建浴の必要なく長期間にわたってめっき液を良好な状態に維持し,高品質なめっき皮膜を形成し続けることができる化学めっき液の成分補充方法が実現されている。なお,本発明者は,この方法により,従来に比して少なくとも6倍以上の建浴寿命が得られることを確認している。
【0018】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,銅以外の他の金属(ニッケル,コバルト,金等)の化学めっきにも適用可能である。また,水の補充量の増量は,補充時間の延長の他に送水流量の増量によってもよい。また,補充のタイミングは,他の方法で決定してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,化学めっき液中への他の成分の蓄積による劣化を防止し,全建浴や半建浴の実行頻度を著しく低減できる化学めっき液の成分補充方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学銅めっきの概要を示す図である。
【図2】液の補充の状況を示すタイミングチャートである。
【図3】めっき液の比重の変遷(本発明)を示すグラフである。
【図4】めっき液の比重の変遷(従来)を示すグラフである。
【符号の説明】
2 めっき液
Claims (2)
- 使用により劣化した化学めっき液にその成分を補充して品質を再生させる化学めっき液の成分補充方法において,
オーバーフロー口を有するめっき槽を用い,
めっき液中の各成分の濃度を測定し,成分ごとにその不足分に応じた量の補充液を補充し,
成分を補充する際に,各成分の補充量に対して過剰な量の水を投入し,余分なめっき液をオーバーフロー口から排出させることを特徴とする化学めっき液の成分補充方法。 - 請求項1に記載する化学めっき液の成分補充方法において,
水の投入時間を本来の投入時間より延長することにより,過剰な量の水を投入することを特徴とする化学めっき液の成分補充方法。
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- 2001-05-16 JP JP2001146812A patent/JP4642268B2/ja not_active Expired - Fee Related
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