以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の無線タグ管理システムの全体構成を概略的に示す図である。この例では、本実施形態の無線タグ管理システム1を複数階のフロアを有するオフィスビル(建造物;以下単に「ビル」と略す)2全体に適用した場合を示しており、そのうち各フロアにある所定の複数の部屋(例えば、後述する事務室、給湯室、休憩室等を含んでいてもよい。図1では、図示の煩雑を避けるために部屋の種類・構造・部屋数等について特に明示せず、概念的に表している)と、そのビル2の外部との出口通路である出入口ドア(出口通路)3の近傍をそれぞれ独立した管理対象区域としているとともに、またそれらとは別に管理担当の操作者(図示せず、以下「管理者」という)が待機する監視室4がビル2の内部に設けられている。そしてこの例では、通常の場合は上記所定の部屋のいずれかに保管されるべき書類・備品・プロジェクトファイル等、管理対象の物品5と、たとえば当該ビル2を居所とする会社の社員、上記管理対象の物品5の外部持ち出しが許可されている来客者、等の所定の管理対象の人物6が、監視対象として設定されている。また、各管理対象の物品5には物品用無線タグTbが添付(又は同梱等、何らかの形で関連付けられていればよい)され、管理対象の人物6には人物用無線タグTtを所持させている。
そして、本実施形態の無線タグ管理システム1は、ビル2内の所定の部屋と出入口ドアの近傍に設置されたリーダ(無線タグ情報読み取り装置;なお書き込み機能を備えていてもよい)7と、監視室4内に設置されて上記各リーダ7と通信ネットワークNWを介して接続されている端末8、管理サーバ9、及びタグラベル作成装置(タグラベル作成手段)10とを有している。
リーダ7は、所定の各部屋においては、例えば天井の中央位置にそれぞれ一つずつ設置されている。また上記出入口においては、その出入口ドア3を挟んで例えばビル2の内側の天井と、ビル2の外側の天井(ひさしの下面など)にそれぞれ一つずつ設置されている(リーダ7a,7b)。どのリーダ7も同じ構成のものであり、各部屋の内部(または出入口ドア3近傍に存在する)各無線タグTb,Ttをサーチしてそれぞれの識別情報(タグID)を検出するようになっている(詳細については後述する)。
そのうち出入口ドア3近傍に設置した2つのリーダ7a,7bは、適宜の間隔で離間した配置で設置されており、無線タグTb,Ttが出入口ドア3を通過した際にはそれら2つのリーダ7a,7bによる無線タグTb、Ttの識別情報の検出するタイミングに時間差が生じるようになっており、これにより外側のリーダ7aが先に検出した場合には無線タグTb,Ttが外部からビル2内に入ったことを検知することができ、また内側のリーダ7bが先に検出した場合には無線タグTb,Ttがビル2内から外部へ出たことを検知することができる。なお、ビル2への出入りが入口側通路と出口側通路とに区別されている場合には、入口側通路にリーダ7aを設け、出口側通路にリーダ7bを設けるだけで足りる。以下適宜、出入検出用の上記リーダ7a,7b及び各部屋のリーダ7をすべて総称して単に「リーダ7」と称する。
また、管理サーバ9は、各無線タグTb,Ttの存在位置情報を記憶しているとともに、各リーダ7に各無線タグTb,Ttの識別情報の検出によるそれらの存在位置の監視を所定時間ごとに行わせ、その監視結果と記憶している存在位置情報とを比較した結果に応じて各種の動作モードの設定を行い、それに従った処理を実行するものである(詳しくは後述)。
図2は、本実施形態の無線タグ管理システム1の概略を表すシステム構成図である。なお、図示の煩雑を回避するためにタグラベル作成装置10のシステム構成のみ後述の図3に別途示す。
この図2において、この無線タグ管理システム1は、上述したように各無線タグTb,Ttとの無線通信によりそれぞれの識別情報の検出を行う上記リーダ7と、これらリーダ7に適宜の通信ネットワークNWでそれぞれ接続された上記端末8、管理サーバ9、及びタグラベル作成装置10とから構成されている。監視室4に常駐する管理者(操作者)が端末8を操作することにより、端末8は通信ネットワークNWを介して管理サーバ9と指示信号や管理情報の送受を行い、また入力された指示信号に応じて管理サーバ9から通信ネットワークNWを介し各リーダ7へ制御信号が出力され、リーダ7からの検出結果の信号が管理サーバ9へと出力される。
また、リーダ7からの検出結果が所定の条件を満たした際には、管理サーバ9から通信ネットワークNWを介してタグラベル作成装置10へ制御信号が出力され、タグラベル作成装置10が新たに無線タグラベルとしての物品用無線タグTb又は人物用無線タグTtを作成する。
リーダ7は、制御部11と、リーダアンテナ12とを有している。制御部11は、CPU(中央演算装置)13と、上記通信ネットワークNWを介して管理サーバ9との制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部14と、例えばRAMやROM等からなるメモリ15と、リーダアンテナ12を介し無線タグTb,Ttとの無線通信の制御を行うRF通信制御部16とを備えている(無線タグTb,Ttについては後に詳述)。
CPU13は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって管理サーバ9からの検出処理の実行命令の入力を受け付け、リーダアンテナ12を介した無線通信により無線タグTb,Ttの検出処理を行い、その検出結果を上記通信ネットワークNWを介して管理サーバ9へ出力するようになっている。
管理サーバ9は、CPU(中央演算装置)21と、上記と同様のメモリ22と、ハードディスク装置などの大容量記憶装置からなり各無線タグTb,Ttや各リーダ7などに関する各種情報を記憶するデータベース23と、上記通信ネットワークNWを介してリーダ7との制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部24とを備えている。なお、データベース23は、管理サーバ9内に設けるのに限らず、何らかの通信回線を介して情報を送受可能に接続した外部のデータベースを利用してもよい。
端末8は、CPU(中央演算装置)31と、上記と同様のメモリ32と、管理者からの指示や情報が入力される操作部33と、各種情報やメッセージを表示する表示部34と、上記通信ネットワークNWを介して管理サーバ9との制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部35と、管理対象の物品5の保安状態の異常が検知された際に管理者に音声報知するブザー36とを備えている。
なお、本実施形態では、通信ネットワークNWにケーブル等を使用した有線ネットワークを想定しているが、これに限らず、無線ネットワークを用いてもよく、またこの際、例えば上記RF通信制御部16と周波数帯及び送受信方式の異なるようにしてもよい。
図3は、タグラベル作成装置10の概略構成を表す概念的説明図である。この図3において、このタグラベル作成装置10は、後述する無線タグ回路素子Toを所定間隔で備えたタグテープ303をタグテープロール304に巻回してこのタグテープ303を連続的に供給するカートリッジ300を着脱可能なカートリッジホルダ308と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303(又はこのタグテープ303に貼り合わされる図示しない被印字媒体)のうち各無線タグ回路素子Toに対応した所定領域に所定の印字を行う印字ヘッド305と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うためのアンテナ306及び高周波回路301と、入出力インタフェース310を介して上記通信ネットワークNWに接続された制御回路302と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して上記無線タグTb,Ttとするカッタ307と、印字ヘッド305に対向して設けられ、制御回路302により制御されてタグテープ303を搬送する搬送装置309とを有する。
タグラベル作成装置10が備える高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、後述する上記リーダ7のRF通信制御部16及びCPU13とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子(物品用無線タグTbに備えられる物品用の無線タグ回路素子又は人物用無線タグTtに備えられる人物用の無線タグ回路素子)ToのIC回路部150へのアクセス情報(識別情報であるタグIDを含む)を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対して情報書き込み又は情報読み取りを行う。
図4は、上記リーダ7の検出対象である管理対象の物品5・管理対象の人物6等に添付・所持される無線タグTb,Ttに共通して備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図4において、無線タグ回路素子Toは、リーダ7のリーダアンテナ12と例えばUHF帯やマイクロ波等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
IC回路部150は、タグ側アンテナであるアンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記リーダ7のリーダアンテナ3からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、リーダアンテナ3より受信された搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
なお、例えばメモリ部155に記憶されている情報信号のうちの無線タグTb,Ttを個別に識別するためのタグ識別情報(タグID)については、管理対象の物品5に添付する物品用無線タグTbと管理対象の人物6に所持させる人物用無線タグTtとの間で区別できる情報となっている。またリーダ7はこれに対応して、物品用無線タグTbと人物用無線タグTtとを区別して検出できるようになっている(詳しくは後述する)。
図5は、上記リーダ7におけるCPU13、RF通信制御部16、及びリーダアンテナ12の詳細構成を表す機能ブロック図である。
図5において、リーダ7のRF通信制御部16は上記リーダアンテナ12を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む無線タグ情報)へアクセスするものであり、またリーダ7のCPU13は無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ7全体の動作を制御するものである。
RF通信制御部16は、リーダアンテナ12を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、リーダアンテナ12により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215A、CPU13の制御により所定の周波数の信号を発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU13から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU13からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU13からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯又はマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しリーダアンテナ12に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部213は、リーダアンテナ12で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記リーダアンテナ12で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU13に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU13に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のリーダ7では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
以上において、本実施形態の最も大きな特徴は、管理サーバ9のデータベース23に格納保持されている各無線タグTb,Ttの存在位置情報の保持状態に基づき、各種動作モードに沿って各無線タグTb,Ttに対応した管理対象の物品5又は管理対象の人物6の位置管理・移動管理等を自動的に行うようにしたことである。以下、その詳細を順を追って説明する。
まず、本実施形態の例においてデータベース23に格納保持される各テーブルについて説明する。
図6は、各管理対象区域の名前と場所コードとの対応を管理する場所テーブルを概念的に表す図である。この場所テーブルは、上記データベース23に格納保持される情報であり(以下、図7、図9、図10に示すテーブルも同様)、この例ではアルファベットと数字の組合せからなる場所コードと、場所名とが、予めそれぞれ対応づけられた相関情報の形で格納されている。場所コードは、この例では、ビル2の中と外とを区別するための1文字のアルファベット(Pはビル2の中、Gはビル2の外を表す)と、各管理対象区域を特定する3桁の識別番号との組合せからなっている。
なお、この例では、ビル2内のあらゆる場所が細分化されて、リーダ7が設置される管理対象区域以外の場所についても登録されているが、これらは必要に応じて後にリーダ7を増設する場合に利用できる。
図7は、主に各管理対象の物品5の物品コードと、名称と、存在位置と、タグIDとの対応を管理する物品テーブルを概念的に表す図である。この図7に示すように、物品テーブルは、この例ではアルファベットと数字の組合せからなる物品コードと、管理対象の物品5の名称(第1識別情報)と、最新更新日時と、前述の場所コードで示される存在位置と、タグID(第1タグ識別情報)とが、予めそれぞれ対応づけられた相関情報の形で格納されている。
物品コードは、管理対象の物品5を表す1文字のアルファベット(この例では「B」)と、管理対象の物品5を特定する5桁の識別番号との組合せからなっている。
最新更新日時は、その物品コードに対応する存在位置の項目の内容が最も新しく更新された日時が格納されている。
存在位置は、その物品コードに対応するタグIDの物品用無線タグTb(及びそれを添付した管理対象の物品5)が最も新しく検出された管理対象区域の場所コードが格納されている。
タグIDは、その物品コードに対応する物品用無線タグTbのIC回路部150に記憶されている識別情報であり、図中では16進数で表記されている。
ここで、この例におけるタグIDの構成について説明する。図8は、タグIDの構成を説明する図であり、図8(a)はタグIDのビット列内におけるコードの配置を示す図、図8(b)は各コードの内容を示す図である。
まず、図8(a)に示すように、この例のタグIDは64ビットのビット列からなる二値情報列であり、先頭の0ビット目から1ビット目までの2ビットが図8(b)に示すようにヘッダコードとして機能する。そして次の15ビットが製造者コードとして機能し、その次の13ビットが種別コードとして機能し、最後の34ビットがシリアルコードとして機能する。
そして上記種別コードの内容によって、管理対象物に添付(または同梱等)される物品用無線タグTbと管理対象の人物6が所持する人物用無線タグTtとに区別される。この例では、種別コードが1である場合、つまり16進表記のタグIDにおいて先頭から8番目の文字が4である場合に、物品用無線タグTbのタグIDとして認識される。また、種別コードが2である場合、つまり16進表記のタグIDにおいて先頭から8番目の文字が8である場合(後述の図9参照)に、人物用無線タグTtのタグIDとして認識される(以上、シリアルコードの先頭2ビットが0であることが前提)。このようにして、この例のタグIDは無線タグTb,Ttを一意に特定できるとともに、物品用無線タグTbと人物用無線タグTtの識別が可能となっている。
次に、図9は、各管理対象の人物6の人物コードと氏名と存在位置とタグIDとの対応を管理する人物テーブルを概念的に表す図である。この図9に示すように、人物テーブルは、この例ではアルファベットと数字の組合せからなる人物コードと、管理対象の人物6の氏名(第2識別情報)と、上記場所コードで示される存在位置と、タグID(第2タグ識別情報)とが、予めそれぞれ対応づけられた相関情報の形で格納されている。
人物コードは、社員と来客とを区別するための1文字のアルファベット(この例では「S」は社員、「C」は来客を表す)と、各管理対象の人物6を特定する5桁の識別番号との組合せからなっている。
存在位置としては、その人物コードに対応するタグIDの人物用無線タグTt(及びそれを所持した管理対象の人物6)が最も新しく検出された管理対象区域の場所コードが格納されている。
タグIDは、その人物コードに対応する上記無線タグTtのIC回路部150に記憶されている識別情報であり、図中では16進数で表記されている。
図10は、各リーダ7の名称とIPアドレスと設置場所との対応を管理するリーダテーブルを概念的に表す図である。この図10に示すように、リーダテーブルは、この例ではアルファベットと数字の組合せからなる人物コードと、管理対象の人物6の氏名と、上記場所コードで示される存在位置と、タグIDとが、予めそれぞれ対応づけられた相関情報の形で格納されている。
リーダコードは、リーダ7を表す1文字のアルファベット(この例では「R」)と、リーダ7を特定する2桁の識別番号との組合せからなっている。
IPアドレスは、この例では上記通信ネットワークNWがインターネットプロトコル(IP)の方式に準拠するものであり、各リーダ7に割り当てられたプライベートアドレスが格納されている。
設置場所は、そのリーダコードに対応するリーダ7が設置されている管理対象区域の場所コードが格納されている。
以上、図6、図7、図9、図10に示した各テーブルが、データベース23に格納保持され、管理対象の物品5又は管理対象の人物6の存在位置情報及びそれに関連する情報として利用される。
図11は、前述したような各管理対象区域の監視を行うために、管理サーバ9のCPU21が行う無線タグTb,Ttの監視動作に係わる制御手順を表すフローチャートである。
図11において、例えば端末8の操作部33において監視開始の指示入力(例えばキー操作)されると、このフローが開始される。
まずステップS5において、監視処理ループ回数Lと棚卸しモードフラグFtの設定を行う。これは、この監視処理が管理対象の物品5の監視と管理対象の人物6の監視を個別に切り換えて行うものであり、監視処理を行う際の時間的条件などに応じてそれぞれの監視を繰り返し行う頻度割合を設定する手順である。
ここで、このステップS5の設定手順について説明する前に、このフローチャートによる監視処理の全体の流れについて説明する。この監視処理は、複数の管理対象の物品5を順次一通り監視する物品監視ループ(図中ステップS30〜ステップS45;第1手順)と、複数の管理対象の人物6を順次一通り監視する人物監視ループ(図中ステップS50〜ステップS70;第2手順)のいずれか一方を切り換えて行い、それら監視ループを合わせて監視処理ループ回数Lの回数だけ繰り返し行う単位ループ(図中ステップS100〜ステップS80)を一つの処理単位とする。そして、さらにその単位ループを端末8で終了操作が行われたと判定されるまで(後述のステップS85)繰り返すようになっている。
そして、その一回の単位ループでL回繰り返し行われる監視ループのうち、最初の1回目だけ人物監視ループを行い、その他の回の監視ループを物品監視ループとする。このような条件で、監視処理ループ回数Lの数値、すなわち一つの単位ループ中で行われる監視ループの回数を大きくするほど、一つの単位ループ中で物品監視ループを繰り返し行う頻度割合が増えることになる。
また、棚卸しモードフラグFtについては、その内容を1に設定しておくことで物品監視ループと人物監視ループの分岐判定(図中ステップS20)を行うことなく強制的に物品監視ループを行う。すなわち、棚卸しモードフラグFtを1に設定している間は、人物監視ループは行わずに物品監視ループだけを繰り返し行うことになる。
そして、ステップS5の設定手順においては、ビル2内に社員等の管理対象の人物6が比較的少ない早朝や夜などの業務時間の前後の時間帯で監視処理ループ回数Lを大きく(例えば6回)設定することで、単位ループ中において人物監視ループを行う頻度割合を低くし、その分物品監視ループを繰り返し行う頻度割合を高くすることができる(L=6の場合、物品監視ループは人物監視ループの5倍の繰り返し頻度割合で行われることになる)。また、管理対象の人物6が多くビル2内に存在する昼の業務時間中で監視処理ループ回数Lを小さく(例えば4回)設定することで、人物監視ループを繰り返し行う頻度割合を比較的高くすることができる(L=4の場合、物品監視ループは人物監視ループの3倍の繰り返し頻度で行われることになる)。
また、管理対象の人物6が多くビル2内に存在しない深夜の時間帯や、決算期等の特定の時期に管理対象の物品5の棚卸しを行う際に、棚卸しモードフラグFtを1に設定することで、人物監視ループを全く行わずに管理対象の物品5だけを監視し続けるようにする(=「棚卸しモード」の実行に相当)ことができる。
そして、このステップS5の設定手順の後にステップS10へ移り、単位ループのカウンタ変数Cを1に初期設定する。
次に、ステップS100へ移り、管理対象の物品5が1階出入口を通じてビル2から外部へ持ち出されたかを監視する持ち出し監視処理を行う(後述の図12参照)。
次に、ステップS15へ移り、棚卸しモードフラグFtが1に設定されているか否か、すなわち棚卸しモードとなって人物監視ループを行わず強制的に物品監視ループだけを行うよう設定されているか否かを判定する。棚卸しモードフラグFtが1に設定されている場合は、判定が満たされ、そのまま物品監視ループの準備手順であるステップS25へ移る。一方、棚卸しモードフラグFtが0に設定されている場合は、判定が満たされず、物品監視ループと人物監視ループの分岐判定を行う次のステップS20へ移る。
ステップS20では、単位ループのカウンタ変数Cが1であるか否か、すなわち単位ループ中における最初の監視ループであって人物監視ループを行うか否かを判定する。カウンタ変数Cが1以外である場合、判定が満たされず、物品監視ループの準備手順であるステップS25へ移る。
ステップS25では、物品監視ループのカウンタ変数Mを1に初期設定し、次のステップS30へ移ってそれ以降の物品監視ループを行う。なお、このカウンタ変数Mは、管理サーバ9のデータベース23に格納保持されている物品テーブル(図7参照)において先頭から順次配列されている複数の管理対象の物品5の物品情報のうちの一つを特定する(=テーブルのうちM番目に記載されているものを特定する)ための番号である(これは、後述する人物監視ループでの人物テーブルにおける情報の特定についても同様)。
そして、ステップS30では、物品テーブルにおいて先頭からM番目の管理対象の物品5に対応する存在位置(場所コード)の情報を取得し、その存在位置情報が空欄(未登録)である(例えばM番目の物品5に添付されている物品用無線タグTbが新規に作成されたばかりでまだデータベース23の物品テーブルにその存在位置が登録されていない等)か否かを判定する。存在位置情報がすでに登録されている場合、判定が満たされず、次のステップS200へ移る。
ステップS200では、物品テーブルに登録されているM番目の物品5の存在位置(=前回までの物品監視ループでM番目の物品5が検出された存在位置)に設置されているリーダ7により、同じM番目の物品5がまだ存在するか否かを検出する前回存在位置検出処理を行う(詳細は後述の図13参照)。
次にステップS35へ移り、上記ステップS200でのリーダ7による検出結果に基づいて、M番目の物品5のタグIDが前回の存在位置と同じ位置で検出されたか否かを判定する。M番目の物品5が前回の存在位置に存在している場合、判定が満たされ、すなわちM番目の物品5の移動がないものとみなされて次のステップS40へ移る。
また一方、上記ステップS30の判定において、M番目の物品5の存在位置情報が登録されておらず空欄となっている場合、判定が満たされ(例えばM番目の物品5に添付されている物品用無線タグTbが新規に作成されたばかりでまだその存在位置が登録されていないとみなされ)、ステップS300の登録モード処理(登録モード;詳細は後述の図14参照)でM番目の物品5の存在位置を探索するとともにその存在位置情報をデータベース23へ書き込んで登録し、その後ステップS40へ移る。
また一方、上記ステップS35の判定において、上記ステップS200におけるリーダ7の検出結果に基づき、M番目の物品5のタグIDが同じ位置で検出されなかった場合、判定が満たされず(すなわちM番目の物品5が前回の存在位置から移動されたものとみなされて)、ステップS400の探索モード処理(探索モード;詳細は後述の図15参照)でM番目の物品5の新たな存在位置を探索し、その後ステップS40へ移る。
そしてステップS40では、物品テーブルにおいて登録されている全ての管理対象の物品5に対して上記の監視処理を行ったか否か、つまりカウンタ変数Mが最大値になっているか否かを判定する。まだ管理対象の物品5を全て監視していない(カウンタ変数Mが最大値となっていない)場合、判定が満たされず、すなわちその回の物品監視ループを継続するものとしてステップS45でカウンタ変数Mに1を加算してからステップS30に戻り同様の物品監視ループの手順を繰り返す。一方、全ての管理対象の物品5を一通り監視した場合、判定が満たされ、すなわちその回の物品監視ループが終了したとみなされて次のステップS75へ移る。
また一方、上記ステップS20の判定において、単位ループのカウンタ変数Cが1である場合、判定が満たされ、すなわちその回の監視ループが単位ループ中において最初に行われる人物監視ループであるとみなされてステップS50へ移る。
ステップS50では、人物監視ループのカウンタ変数Mを1に初期設定した後、次のステップS55へ移ってそれ以降の人物監視ループを行う。このステップS55からステップS70までの手順で行われる人物監視ループは、上記物品監視ループと概略的な手順の流れが同じであり、そのうちステップS55において人物テーブル(図9参照)のM番目の管理対象の人物6に対応する存在位置の情報を取得してその空欄の判定を行うことと、ステップS60において人物テーブルのM番目の管理対象の人物6に対応するタグIDが前回の存在位置で検出されたか否かの判定を行うこととが、上記物品監視ループの手順と異なっている。
そしてステップS65の判定で、カウンタ変数Mが最大値となっている場合、判定が満たされ、すなわちその回の人物監視ループが終了したとみなされて次のステップS75へ移る。
そして上記物品監視ループ又は上記人物監視ループを終えた後に移るステップS75においては、単位ループのカウンタ変数Cが監視処理ループ回数Lと同じ値になったかどうかを判定する。カウンタ変数Cが監視処理ループ回数Lと異なる値である場合、判定が満たされず、すなわちその回の単位ループを継続するものとしてステップS80でカウンタ変数Cに1を加算した後、ステップS100に戻り同様の単位ループの手順を繰り返す。一方、カウンタ変数Cが監視処理ループ回数Lと同じ値になった場合、判定が満たされ、すなわちその回の単位ループが終了したとみなされて次のステップS85へ移る。
ステップS85では、端末8の操作部33においてこのフローを終了させる操作がなされたか否かを判定する。終了操作がなされていない場合、判定が満たされず、ステップS5に戻りこのフローを最初から繰り返す。一方、終了操作がなされていた場合、判定が満たされ、このフローを終了する。
図12は、管理サーバ9のCPU21が上記ステップS100において実行する持ち出し監視処理の詳細手順を表すフローチャートである。この図12において、まずステップS103において、データベース23(図中ではDBと略記、以下同様)のリーダテーブル(図10参照)から1階出入口の2つのリーダ7a,7b(R11,R12)にそれぞれ対応するIPアドレスを取得する。
そして次のステップS105へ移り、上記取得した2つのIPアドレスによって通信ネットワークNWを介し1階出入口の2つのリーダ7a,7bを操作してそれぞれ「Ping」信号を送信させ、次のステップS110へ移る。
ステップS110では、1階出入口の2つのリーダ7a,7bにより上記「Ping」信号に対応して受信したリプライ信号により(必要に応じてさらに「ScrollID」信号等を階層的に用いてそのリプライ信号により)タグIDを特定し、当該特定したタグIDをさらに管理サーバ9が通信ネットワークNWを介し取得する。
次のステップS115では、上記ステップS110の検出結果に基づいて1階出入口内側(P102)のリーダ7b(R12)から1階出入口外側(P101)のリーダ7a(R11)の順で同一のタグID信号を検出したか、すなわちビル2の内側から外側に向かって出入口ドア3を通過した同一のタグIDが一つでも存在したか否かを判定する。なお、条件を満たすタグIDは同時に複数存在することもありうる。そして外側に向かう方向で通過したタグIDが一つでも検出された場合、判定が満たされ、次のステップS120へ移る。
ステップS120では、上記ステップS115で通過が検出されたタグIDに人物用無線タグTtのタグIDが含まれているか否かを判定する。通過が検出されたタグIDに人物用無線タグTtのタグIDが一つでも含まれている場合、判定が満たされ、すなわち管理対象の人物6の少なくとも一人がビル2の外部へ出たとみなされ次のステップS125へ移る。
ステップS125では、通過が検出された人物用無線タグTtのタグIDに対応する管理対象の人物6をデータベース23の人物テーブルで検索し、その管理対象の人物6に対応する存在位置の項目を社外(G001)に更新する。
そして次のステップS130では、上記ステップS115で通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDも含まれているか否かを判定する。通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDも含まれている場合、判定が満たされ、すなわち上記外出した管理対象の人物6により正当に管理対象の物品5がビル2の外部へ持ち出されたとみなされて次のステップS135へ移る。
ステップS135では、通過が検出された物品用無線タグTbのタグIDに対応する管理対象の物品5をデータベース23の物品テーブルで検索し、その管理対象の物品5に対応する存在位置の項目を社外(G001)に更新した後、このフローを終了する。
一方、上記ステップS130の判定において、通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDが一つも含まれていない場合、判定が満たされず、すなわち管理対象の人物6のみが出入口ドア3を通過して外出したとみなされ、そのままこのフローを終了する。
また一方で、上記ステップS120の判定において、通過が検出されたタグIDに人物用無線タグTtのタグIDが一つも含まれていない場合、判定が満たされず、ステップS140へ移る。
次のステップS140では、上記ステップS115で通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDが含まれているか否かを判定する。ここで、通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDが含まれている場合、判定が満たされ、ステップS150へ移る。これはすなわち、上記ステップS120の判定と合わせて、通過が検出されたタグIDが人物用無線タグTtのタグIDを伴わずに物品用無線タグTbのタグIDだけで通過したことになり、つまり管理対象の人物6以外の不審者により管理対象の物品5がビル2の外部へ不当に持ち出されたとみなされる。
このため、ステップS150では、端末8に制御信号を出力してブザー36を鳴動させるとともに表示部34に適宜の報知表示を行わせ、管理者に対し管理対象の物品5の保安状態の異常を報知する。なおこの際に、検出したタグIDに対応する管理対象の物品5の名称をデータベース23の物品テーブルから検索し、不当に持ち出された管理対象の物品5の名称として端末8の表示部34に表示させてもよい。そしてこのステップS150の報知手順の後にこのフローを終了する。
また一方、上記ステップS140の判定において、通過が検出されたタグIDに物品用無線タグTbのタグIDも含まれていない場合、判定が満たされず、すなわち上記ステップS115でタグIDの通過が検出されたもののそれらには人物用無線タグTbのタグIDと物品用無線タグTbのタグIDのどちらも含まれていないことになり、次のステップ145で端末8の表示部34に適宜の検出エラーの表示を行わせてこのフローを終了する。
また一方、上記ステップS115の判定で、ビル2の内側から外側に向かって出入口ドア3を通過した同一のタグIDが一つでも検出されなかった場合、判定が満たされず、そのままこのフローを終了する。これは、1階出入口付近で内側と外側のどちらにもタグIDが検出されなかった場合と併せ、逆にビル2の外側から内側に向かって出入口ドア3を通過した(ビル2内に入った)同一のタグIDが検出された場合も含むものである。なお、このようにビル2内に入ったタグIDについては、前述した監視ループにおける前回存在位置検出処理でその存在位置が検出されることになる。
以上のフローにより、ビル2の内部から外部へ管理対象の人物6又は管理対象の物品5が出て行く際に、適切な存在位置情報の管理と不当な持ち出しに対する検出・報知を自動的に行うことができる。
図13は、管理サーバ9のCPU21が上記ステップS200において実行する前回存在位置検出処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、この図13に示すフローチャートは、図11中の物品監視ループと人物監視ループのそれぞれにおいて実行される前回存在位置検出処理の両方に共通して適用されるものである。
この図13において、まずステップS205において、単位ループのカウンタ変数Cが1であるか否か、すなわちその時点で行われている監視ループが物品監視ループと人物監視ループのいずれかであるかを判定する。カウンタ変数Cが1以外である場合、判定が満たされず、ステップS210へ移る。
ステップS210では、データベース23の物品テーブルにおいて先頭からM番目の物品5(この処理における検出対象の管理対象の物品5)に対応する存在位置情報と物品用無線タグTbのタグIDを取得し、次のステップS220へ移る。
一方、上記ステップS205の判定で、カウンタ変数Cが1である場合、判定が満たされ、ステップS215へ移る。そしてステップS215では、データベース23の人物テーブルにおいて先頭からM番目の人物6(この処理における検出対象の管理対象の人物6)に対応する存在位置情報と人物用無線タグTtのタグIDとを取得し、次のステップS220へ移る。
そして、ステップS220では、取得した存在位置情報(設置場所)に対応するリーダ7をデータベース23のリーダテーブルから検索し、そのリーダ7に対応するIPアドレスを取得する。
次にステップS225で、上記取得したIPアドレスに対応するリーダ7(つまり、検出対象の物品5又は人物6が前回の監視ループで検出された存在位置に設置されているリーダ7)に対し、通信ネットワークNWを介して制御信号を出力し、上記取得したタグIDを用いた「Scroll ID」信号を無線通信により送信させる。
そして、次のステップS230で、上記リーダ7において、上記「Scroll ID」信号に対応したリプライ信号から検出されたタグIDを、通信ネットワークNWを介し取得する。そしてこのフローを終了する。
なお、以上のようにこの前回存在位置検出処理を物品監視ループと人物監視ループで共通に行わせるため、各監視ループのカウンタ変数Mはメモリ内の同じ記憶領域で記憶させる(共通化させる)必要がある。また、これに限られずに、各監視ループにそれぞれ専用に存在位置検出処理のプログラムを設けてもよい。これらのことは、後述する登録モード処理及び探索モード処理においても同様である。
図14は、管理サーバ9のCPU21が上記ステップS300において実行する登録モード処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、この図14に示すフローチャートは、図11中の物品監視ループと人物監視ループのそれぞれにおいて実行される登録モード処理の両方に共通して適用されるものである。
この図14において、まずステップS305において、単位ループのカウンタ変数Cが1であるか否か、すなわちその時点で行われている監視ループが物品監視ループと人物監視ループのいずれかであるかを判定する。カウンタ変数Cが1以外である場合、判定が満たされず、ステップS310へ移る。
ステップS310では、データベース23の物品テーブルにおいて先頭からM番目の物品5(この処理における登録対象の管理対象の物品5)に対応する物品用無線タグTbのタグIDを取得し、次のステップS320へ移る。
一方、上記ステップS305の判定で、カウンタ変数Cが1である場合、判定が満たされ、ステップS315へ移る。そしてステップS315では、データベース23の人物テーブルにおいて先頭からM番目の人物6(この処理における登録対象の管理対象の人物6)に対応する人物用無線タグTtのタグIDを取得し、次のステップS320へ移る。
ステップS320では、次のステップS325からステップS350までに行われる探索ループのカウンタ変数Nを1に初期設定してからステップS325へ移る。なお、このカウンタ変数Nは、データベース23のリーダテーブル(図10参照)において先頭から順次配列されている複数のリーダ7の情報のうちの一つを特定する(=リーダテーブルのうちN番目に記載されているものを特定する)ための番号である(これは、後述の図15の探索モード処理においても同様)。
ステップS325では、リーダテーブルにおいて先頭からN番目のリーダ7に対応するIPアドレスを取得してステップS330へ移る。
ステップS330では、上記取得したIPアドレスに対応するリーダ7(つまり、リーダテーブルにおけるN番目のリーダ7)に対し、通信ネットワークNWを介して制御信号を出力し、上記取得したタグIDを用いた「Scroll ID」信号を無線通信により送信させる。
そして、次のステップS335で、上記リーダ7において、上記「Scroll ID」信号に対応したリプライ信号から検出されたタグIDを、通信ネットワークNWを介し取得する。
次にステップS340へ移り、上記ステップS335でのN番目のリーダ7による検出結果に基づいて、M番目の物品5又は人物6の無線タグTb,TtのタグIDが検出されたか否かを判定する。M番目の物品5又は人物6がN番目のリーダ7に対応する存在位置(リーダ7の検出範囲)に存在していない場合、判定が満たされず、次のステップS345へ移る。
ステップS345では、リーダテーブルにおいて登録されている全てのリーダ7により上記の探索処理を行ったか否か、つまりカウンタ変数Nが最大値になっているか否かを判定する。まだ全てのリーダ7により探索処理を行っていない(カウンタ変数Nが最大値となっていない)場合、判定が満たされず、すなわち探索ループを継続するものとしてステップS350でカウンタ変数Nに1を加算してからステップS325に戻り、同様の探索ループの手順を繰り返す。一方、全てのリーダ7による探索処理を一通り行った場合は判定が満たされ、すなわち物品テーブル又は人物テーブルに管理対象の物品5又は管理対象の人物6が登録されているものの、それに対応する無線タグTb,Ttが実際にはどこにも見つからない(紛失又は故障した、あるいは、まだ作成されていない)ものとみなして、次のステップS355へ移り、端末8の表示部34に無線タグの未作成エラーを表示させる。
そして次のステップS360で、タグラベル作成装置10に制御信号を出力し、上記ステップS310又は上記ステップS315で取得したタグIDで無線タグTb,Ttを作成させ、このフローを終了する。
また一方で、上記ステップS340の判定において、M番目の物品5又は人物6がN番目のリーダ7と同じ存在位置に存在していた場合、判定が満たされ、すなわち新規に作成された後、M番目の物品5又は人物6に添付、所持されている無線タグTb,TtはN番目のリーダ7の設置場所に配置されたものとみなしてステップS365へ移る。
ステップS365では、データベース23のリーダテーブルにおいてN番目のリーダ7に対応する設置場所情報(場所コード)を取得し、次のステップS370へ移る。
ステップS370では、単位ループのカウンタ変数Cが1であるか否か、すなわちその時点で行われている監視ループが物品監視ループと人物監視ループのいずれかであるかを判定する。カウンタ変数Cが1以外である場合、判定が満たされず、ステップS375へ移り、データベース23の物品テーブルでM番目の物品5に対応する存在位置(それまで空欄状態)に上記ステップS365で取得したリーダ7の設置場所情報を登録し、このフローを終了する。
一方、カウンタ変数Cが1である場合、判定が満たされ、ステップS375へ移り、データベース23の人物テーブルでM番目の人物6に対応する存在位置(それまで空欄状態)に上記ステップS365で取得したリーダ7の設置場所情報を登録し、このフローを終了する。
以上のフローにより、新規に作成した無線タグTb,Ttについて管理者が手動でその存在位置を登録せずとも自動的にその存在位置を探索してデータベース23に登録することができる。
図15は、管理サーバ9のCPU21が上記ステップS400において実行する探索モード処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、この図15に示すフローチャートは、図11中の物品監視ループと人物監視ループのそれぞれにおいて実行される探索モード処理の両方に共通して適用されるものである。
そして、この探索モード処理と図14に示した登録モード処理とは、登録対象の物品5(又は人物6)を探索対象として扱うという差異がある以外、ほとんど同じ処理手順で実行できるものであり、探索ループで全てのリーダ7により探索処理を行ってもタグIDが検出できなかった場合の手順のみ相違するものである。つまり、図中のステップS445において、リーダテーブルに登録されている全てのリーダ7により探索処理を行ったか否かを判定し、全てのリーダ7による探索処理をすでに一通り行って判定が満たされた場合に、すなわちM番目の物品5又は人物6がどこにも見つからなかったとみなされて次のステップS455へ移る。
ステップS455では、端末8の表示部34に無線タグの紛失エラーを表示させて管理者に対し無線タグTb,Ttの管理状態の異常を報知する。なおこの際に、検出できなかったM番目の物品5(又は人物6)のタグIDに対応する物品5の名称(又は人物6)の氏名を、データベース23の物品テーブル(又は人物テーブル)から検索し、端末8の表示部34に表示させてもよい。
そして次のステップS460で、タグラベル作成装置10に制御信号を出力し、上記ステップS410又は上記ステップS415で取得したタグIDで無線タグTb,Ttを作成させ、このフローを終了する。
また、図14の上記登録モード処理におけるステップS375とステップS380では、空欄だった存在位置の項目に新たに登録を行っていたが、探索モード処理でのそれぞれに相当するステップS475及びステップS480においては、前回検出された存在位置の項目を書き換えるよう更新することになる。
以上のフローにより、存在位置が変動(物品5又は人物6が移動)した無線タグTb,Ttについて自動的にその存在位置を探索してデータベース23に更新することができる。
以上において、図11に示す管理サーバ9のCPU21が実行する制御手順が、データベース23にアクセスし、そのアクセス結果に基づき、複数の動作モードを設定可能なモード設定手段として機能する。
また、各リーダ7(但しリーダ7a,7bを除く)が有する高周波回路及びリーダアンテナ12が、図11に示すフローチャートの制御手順で設定された動作モードに応じて、無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行い、無線タグ回路素子ToのタグIDを取得するための少なくとも1つの第1無線通信手段を構成する。
また、図11において物品監視ループと人物監視ループでそれぞれ行うステップS200の前回存在位置検出処理と、ステップS35及びステップS60の手順が、データベース23に管理対象の存在位置情報が保持された状態において、当該存在位置情報に対応するリーダ7により情報の送受信を行い、その無線タグ回路素子ToのタグIDを取得するための通常モードとして機能する。
また、1階出入口の2つのリーダ7a,7b(R11,R12)が有するRF通信制御部16及びリーダアンテナ12が、各リーダ7の設置されたビル2の1階出入口ドア3近傍に配置され、物品用無線タグ回路素子及び人物用無線タグ回路素子とそれぞれ無線通信により情報の送受信を行い、物品用無線タグTb及び人物用無線タグTtのそれぞれのタグIDを取得するための第2無線通信手段を構成する。
また、図12におけるステップS150が、1階出入口の2つのリーダ7a,7b(R11,R12)が有するRF通信制御部16及びリーダアンテナ12が物品用無線タグTbのタグIDを取得した際、対応する人物用無線タグTtのタグIDを取得できなかった場合に、管理者に対し対応する報知処理を行うための報知制御手段として機能する。
また、図14に示すステップS360が、ステップS325からステップS350の登録ループにおいてすべてのリーダ7によりタグIDの取得を試行しても取得ができなかった場合、そのタグIDを用いて新たに無線タグラベルを作成するよう、タグラベル作成装置10を制御するラベル作成制御手段として機能する。
以上のように構成した本実施形態においては、管理対象の物品5又は管理対象の人物6の存在位置情報と対応する無線タグ回路素子ToのタグIDとをデータベース23に格納保持しておき、複数の動作モードを設定可能な制御手順がデータベース23へのアクセス結果に基づき各種の動作モードを設定し、その設定された動作モードに応じてビル2内の複数箇所に設置された各リーダ7が無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行い、タグIDを取得する。このように、データベース23の状態に応じて各リーダ7の動作モードが設定されタグIDを取得する構成とすることにより、管理対象の物品5又は管理対象の人物6に対しビル2内のリーダ7が設置された複数の箇所における存在位置やその変動の管理を自動的に行うことができる。この結果、管理のために手動操作によるデータ読み取り/書き込み指示等が必要な従来技術と異なり、完全自動化した管理を実施することができ、効率化を図ることができる。
また、この実施形態では特に、図11において物品監視ループと人物監視ループでそれぞれ行うステップS200の前回存在位置検出処理と、ステップS35及びステップS60の手順が、無線タグ回路素子Toに対応する管理対象の物品5又は管理対象の人物6の存在位置情報に基づき、その存在位置情報に対応するリーダ7が情報の送受信を行い、その無線タグ回路素子ToのタグIDを取得する。これにより、管理対象の物品5又は管理対象の人物6に対し自動的にその存在位置の確認を行うことができる。また、タグIDの取得ができなかった場合には、そのことによって存在位置が変動したことを確認することができ、対応する処理を行うことが可能となる。
また、この実施形態では特に、上記監視処理ループ回数Lを適宜の値に設定することにより、物品監視ループと人物監視ループとを、それぞれ所定の繰り返し頻度割合で実行可能であるので、人物6と物品5の両方を管理対象として管理することができるとともに、それらの管理の度合い(どちらをどの程度の重み付けで頻繁に管理するか)を適宜設定することも可能となる。このとき、本実施形態では特に、物品監視ループが人物監視ループの3倍以上5倍以下の頻度割合で実行するよう設定することにより、主として物品5を頻繁に管理することが可能となる。
また、この実施形態では特に、所定の時間的条件に応じ、物品監視ループと人物監視ループのそれぞれの繰り返し頻度割合を上記の繰り返し頻度割合(物品監視ループが人物監視ループの3倍以上5倍以下)よりも物品監視ループの繰り返し頻度割合を増大させるように変化させて実行する棚卸しモードを備えている。すなわち、会社オフィス、倉庫等においては、日中は人の出入りがあるが、夜間は無人となるか人の出入りが皆無となる場合が多い。物品5についても同様である。本実施形態では、これを利用して、物品用無線タグTbのタグIDを読み取る物品監視ループの割合をさらに高めた棚卸しモードを設定していることにより、物品5の出入りのない状態において、確実に棚卸しによる数量管理を自動的に実行することができる。
なお、上記棚卸しモードは、例えば、一日における特定の時間帯(深夜時間帯等)、若しくは、一年における所定の繁忙期(期末等)となった際に棚卸しモードに設定するようにすれば、管理者のニーズに応じ、例えば深夜時間帯等の特定の時間帯や、決算期等の特定の時期に、棚卸しを自動的に実行することができる。
また、この実施形態では特に、ビル2の出入口ドア3近傍に配置された2つのリーダ7a,7b(R11,R12)が、物品用無線タグTb及び人物用無線タグTtとそれぞれ無線通信により情報の送受信を行い、それぞれのタグIDを取得することにより、管理対象の物品5の持ち出し管理及び管理対象の人物6の外出管理を自動的に行うことができる。このとき特に、ビル2の出入口ドア3近傍に配置された2つのリーダ7a,7b(R11,R12)が、物品用無線タグTbのタグIDを読み取ったときに人物用無線タグTtのタグIDを読み取れなかった場合には、認識不可能な人物、すなわち部外者や不法侵入者により当該物品5が持ち出された可能性が高いとして図12のステップS150で自動的に報知処理を実行することで、管理担当の操作者にその旨を報知することができる。
また、この実施形態では特に、図11において物品監視ループと人物監視ループでそれぞれ行うステップS200の前回存在位置検出処理と、ステップS35及びステップS60の手順が、特定の存在位置情報に対応するリーダ7により無線タグ回路素子ToのタグIDを取得できなかった場合に探索モード処理を行い、他のリーダ7(又は同一のリーダ7)により、その無線タグ回路素子ToのタグIDの取得が試行される。これにより、管理対象の物品5又は管理対象の人物6が他のリーダ7の通信範囲に移動したこと(又は上記特定の存在位置情報に対応するリーダ7の検出ミス等であり管理対象の物品5又は管理対象の人物6は移動していないこと)を自動的に確認することができる。
また、この実施形態では特に、図11においてステップS200、ステップS35及びステップS60の手順と探索モード処理ですべてのリーダ7で試行してもタグIDが取得できなかった場合、対応する無線タグ回路素子Toが故障したかあるいは紛失された可能性が高く、このような場合には図14のステップS360でタグラベル作成装置10に新たに無線タグラベルを作成(=再発行)させる。これにより、故障や紛失等のアクシデントによる管理不能状態を最小限にとどめて自動的にもとの状態に復帰でき、万全な管理を実現することができる。
また、この実施形態では特に、データベース23へアクセスして、存在位置情報と対応づけられないタグIDがみつかった場合、登録モード処理を行うことにより、各リーダ7によりその無線タグ回路素子ToのタグIDが取得され、そのリーダ7に対応した存在位置情報がそのタグIDと関連付けられデータベース23に格納される。これにより、この後は、その無線タグ回路素子Toに対応する管理対象の物品5又は管理対象の人物6の存在位置確認処理を(探索モード処理を備えている場合には移動検知処理も)自動的に行うことができる。なお、上記のように存在位置情報と対応づけられないタグIDがみつかった場合に限られず、新規情報登録があった場合にはすべて上記登録モード処理を行うようにしてもよい。すなわち、新規情報登録があって実際には存在位置情報とタグIDが正しく対応付けられた場合でも、その新規情報登録直後に、当該正しい対応付けを念のために確認する意味で、登録モード処理を実行するようにしてもよい(後述の変形例(1)も参照)。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)新規作成の無線タグに対応してあらかじめ仮の存在位置情報を登録しておく場合
上記実施形態では、新たに無線タグTb,Ttを作成してもデータベース23の物品テーブル又は人物テーブルにその新規の無線タグTb,Ttに対応する存在位置情報を登録しないままビル2内に配置し、そのような無管理状態の無線タグTb、Ttを見つけてから登録モード処理によりその新規の無線タグの存在位置を探索してデータベース23に登録していたが、本発明はこれに限られない。すなわち、例えば新規に無線タグTb,Ttを作成した際に物品テーブル又は人物テーブルにそのような新規作成状態であることを示す情報を登録しておくとともに、管理者があらかじめその新規の無線タグTb,Ttの仮の存在位置情報をデータベース23に登録しておき、それを登録モード処理により正しい存在位置情報に更新するようにしてもよい。
本変形例のハードウェア構成は、上記実施形態のものと全く同一であり、データベース23の物品テーブル及び人物テーブルと、管理サーバ9のCPU21が実行する制御手順が少し異なるだけである。
図16は、本変形例で使用する物品テーブルを概念的に表す図であり、上記実施形態における図7に相当する図である。この図16において、物品テーブルは、物品コード、名称、最新更新日時、存在位置、及びタグIDとともに経歴が予めそれぞれ対応づけられた相関情報の形で格納されている。
そして新たに物品用無線タグTbが作成された際には、特に図示しない新規登録手順により管理者がその新規の物品用無線タグTbに対応づけて物品コード、名称、最新更新日時、及びタグIDの相関情報を登録し(図中の例では最下段に登録)、さらに経歴の項目には新規作成状態でまだリーダ7による存在位置の検出が1度もなされていないことを示す「1」を登録し(すでにリーダ7により検出ずみである他の無線タグの場合は「0」となっている)、また存在位置の項目にはその物品用無線タグTbを添付する管理対象の物品5の配置予定の場所コード(図の例ではP201)を管理者が仮の存在位置として予め登録しておく。なお、人物用無線タグラベルを新規作成した場合でも、特に図示しないが、上記実施形態の図9の人物テーブルに経歴の項目を追加した人物テーブルを用い、同様に新規の人物用無線タグTtに対応付けて経歴の項目に「1」を登録し、仮の存在位置情報を予め登録しておけばよい。
そして本変形例において管理サーバ9のCPU21が実行する制御手順としては、上記実施形態の図11に示す制御手順とほぼ同じであり、そのうちステップS30とステップS55の判定でそれぞれ物品テーブル又は人物テーブルの経歴の項目が1であるか否かを判定し、経歴の項目が1である場合に判定を満たしてそれぞれステップS300の登録モード処理を行えばよい。
また、本変形例において実行する登録モード処理としては、上記実施形態の図14に示す制御手順とほぼ同じであり、そのうちステップS375とステップS380の登録手順において各テーブルの対応する経歴の項目を0に更新する手順を行えばよい。なお、この際に仮登録されていた存在位置と実際に存在した存在位置との比較結果を端末8の表示部34に表示させて管理者に確認させてもよい。
以上のように構成した本変形例においては、データベース23へアクセスして、新規に登録されたタグ識別情報がみつかった場合、登録モード処理を行うことにより、各リーダ7によりその無線タグ回路素子ToのタグIDが取得され、そのリーダ7に対応した存在位置情報とタグIDとが関連付けられて予め仮登録されている存在位置情報とを比較する。これにより、予め管理者により仮登録されている存在位置情報の正否が確認できるとともに、異なっている場合には取得した正しい存在位置情報に更新することができ、この後は、その無線タグ回路素子Toに対応する管理対象の物品5又は管理対象の人物6の存在位置確認処理を(探索モードを備えている場合には移動検知処理も)自動的に行うことができる。
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。