JP4640381B2 - 着色トレーサ異常検出装置および異常検出方法 - Google Patents
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Description
図8は、光ケーブル用スペーサの断面構成を概略的に示す図である。光ケーブル用スペーサ1は、抗張力体(テンションメンバともいう)2の周囲に樹脂層3が形成されている。また樹脂層3の外周には、複数本の螺旋状またはSZ状の溝4が形成される。この溝4の内部に光ファイバケーブルが収納される。
現状では、作業者が巻き取られた光ケーブル用スペーサ1を定期的に目視で確認し、異常な製品の流出を防止するようにしているが、この場合にも全長を確実に検査することができないという問題があった。
例えば、特許文献1の異物を検知する装置は、回転ダイスの出口に時間をかけて堆積した後、離脱するような異物を想定しているため、着色トレーサの異常には対応することができない。また各溝については、回転ダイス1回転につき1回しか検査することができず、カメラが撮像するタイミング以外での検査は行っていないため、光ケーブル用スペーサの全長検査を実現することはできない。
また仮に着色トレーサの異常を検出できたとしても、設定が煩雑で運用が困難となる。つまり特許文献2の技術の延長で着色トレーサの異常を検出するロジックを追加することができたとしても、スロット溝数、トレーサ本数、種類を品種毎に設定する必要があり、運用が非常に困難になる、という問題が生じる。
さらに着色トレーサの異常検出装置は、光ケーブル用スペーサを照明する光源と、光源から出射した照明光の反射光が直接前記撮影する手段に入らないようにするための偏光板及び偏光フィルタとを有している。
本例の光ケーブル用スペーサ1は、抗張力体(テンションメンバ)2の周囲に樹脂層3が成型され、その外周には複数本の螺旋状の溝4が形成される。図1に示すように、螺旋状の溝4は、所定の周期で反転された所謂SZ型の溝や、一方向に螺旋状となるS型またはZ型の溝である。二つの溝4の間にはリブ6が形成され、リブ6には着色トレーサ5が溝4に沿って筋状に設けられている。
また領域IIは、着色トレーサ5が正常に付与されている部分を代表して示している。さらに領域III、着色トレーサ5の異常検知を行うためのカメラの視野において、光ケーブル用スペーサ1とその背景との境界部分で溝4を通して背景部分が見える領域を示している。これらの領域I〜IIIにおける撮影画像の演算処理例は後述して具体的に説明する。
上記のような構成において、トレーサ用樹脂流路26の内部では、トレーサ用樹脂の熱劣化などによりヤケカスやブツなどが発生する。このようなヤケカスやブツは、光ケーブル用スペーサ1に連続して均一に付与すべき着色トレーサ5の切れ(不連続)やかすれを生じさせる。
本願の発明者らは、着色トレーサ5の異常に関して調査を進めた結果、着色トレーサ5の異常として次の2種類があることが分かった。つまり(1)着色トレーサ5が突然消失し、その後復帰する場合と、(2)着色トレーサ5が徐々にかすれたり切れたりする場合とがあることが分かった。また着色トレーサ5の異常が発生した場合には、発生原因であるトレーサ用樹脂のヤケカスやブツなどの異物が光ケーブル用スペーサ1のリブ6の上に必ず出現することを確認した。
さらに異常検出装置では、異形である光ケーブル用スペーサ1の溝4の部分に背景が写り込んで誤動作となることを防ぐために、光ケーブル用スペーサ1とその背景とを同色にして安定的に異物を検出できるようにしている。また撮影に用いる照明の反射光による極度の輝度変化を防止するために、撮影カメラには偏光フィルタを備えるようにする。
以下にこれらの構成を持つ異常検出装置の実施形態をさらに詳しく説明する。
撮影カメラ11としては、デジタル処理可能なCCDカメラもしくはCMOSカメラとレンズとをセットで使用する。また撮影カメラ11は、光ケーブル用スペーサ1の全周を検査するために、少なくとも2ヶ所以上に設置することが望ましい。また照明12aからの照明光の反射による極端な輝度変化を防止するために、各撮影カメラ11には、図示しない偏光フィルタを取り付けることが望ましい。
光ケーブル用スペーサ1は、その形状が異形であるため、撮影画像の背景と光ケーブル用スペーサの色とが異なると、背景と光ケーブル用スペーサ1との境界において、溝4の部分に背景が写り込んで誤動作となる(具体的には後述する)。このような誤動作を防ぐため、撮影カメラ11の撮影視野内に背景用反射板13を設け、撮影画像の背景と光ケーブル用スペーサ1の色とを同色にする。またこれにより、演算装置14で位置補正を実施しなくてもよくなる、というメリットが得られる。
モニター15は、撮影カメラ11で撮影した画像や、過去の異常画像などを表示するモニターである。
(カメラ撮像視野)÷(通過速度)未満
の演算処理能力を有することが望ましい。
例えば、撮影カメラ11の撮影視野を幅60mmとし、異常検出装置における光ケーブル用スペーサ1の通過速度を10m/minとした場合、
60mm/(10m/min×1000÷60)=0.36sec
となり、0.36sec未満の演算能力を有することが望ましい。
(1)正常部の処理
図5は、着色トレーサの異常検出処理の一例を説明するための図で、着色トレーサ5が正常に付与されている部分を演算したときの例を示すものである。ここで図5の検出領域は、図2に示す領域IIの正常領域であるものとする。
図5において、図5(A)は、撮影カメラ11から取り込んだ画像データを示す図、図5(B)はその画像データをサーチウィンドウでスキャンしたときの濃淡データを示す図、図5(C)はその濃淡データを微分処理したデータを示す図、図5(D)は微分処理データを二値化したデータを示す図である。下記の図6及び図7についても同様のデータを示すものとする。
図6(A)に示すような画像データをサーチウィンドウWにより走査したとき、図6(A)のラインLにおける画像データの濃淡は図6(B)のようになる。そしてこれを微分処理すると、図6(C)のような処理データになる。
このような誤作動を防ぐために、本発明に係る実施形態では、光ケーブル用スペーサ1の撮影部分の背景を、光ケーブル用スペーサ1と同色(例えば白色)にすることにより、撮影データの濃淡変化がなくなって安定検出を可能とすることができる。
着色トレーサ5の異常部では、上述のように着色トレーサ5に不連続部が生じたり、着色トレーサ5の樹脂のヤケカスやブツ等の異物が付着している。このときの画像データは、例えば図7(A)のようになっている。そしてこのような画像データをサーチウィンドウWで走査したとき、図7(A)のラインLにおける画像データの濃淡は図7(B)のようになる。濃淡データでは、着色トレーサ5の不連続部や異物などの異常部分により、濃淡の急激な変化が現れる。その異常部分と正常部分の境界部P4,P5では、濃淡の曲線がほぼ垂直に切り立った状態となる。
この場合、例えば図7(D)の二値化データにより着色トレーサ5の異常が検出された場合、二つのピーク値P8,P9の距離に基づいて、所定の幅より大きい異物が検出された場合に警報を発生させるようにすることができる。この場合、異物の検知幅は、サーチウィンドWの走査方向X、つまり光ケーブル用スペーサ1の進行方向の幅である。
警報の方式については特に限定されるものではなく、所定の音声や映像によって警報を出力することができ、また所定の外部機器に警報信号を送出する動作を行ってもよい。
Claims (5)
- 光ケーブル用スペーサに付与される着色トレーサの異常を検出するための着色トレーサ異常検出装置であって、
一方向に進行する前記光ケーブル用スペーサの表面の画像を撮影する手段と、
前記光ケーブル用スペーサが進行する方向に、撮影した画像データの微分処理を行う手段と、
微分処理後のデータを所定のしきい値を用いて二値化処理する手段と、
二値化処理後のデータに従って、前記光ケーブル用スペーサ表面の着色トレーサの異常を検出する手段とを有することを特徴とする着色トレーサ異常検出装置。 - 前記二値化処理により二値化されたデータが示す異常値の間隔に基づいて、前記光ケーブル用スペーサの進行方向における異常部分の幅を検出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の着色トレーサ異常検出装置。
- 前記撮影する手段の撮影視野内に、前記光ケーブル用スペーサの色と背景の色とを同色とするための背景用反射板を有することを特徴とする請求項1に記載の着色トレーサの異常検出装置。
- 前記光ケーブル用スペーサを照明する光源と、
前記光源から出射した照明光の反射光が直接前記撮影する手段に入らないようにするための偏光板及び偏光フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の着色トレーサの異常検出装置。 - 光ケーブル用スペーサに付与される着色トレーサの異常を検出するための着色トレーサ異常検出方法であって、
一方向に進行する前記光ケーブル用スペーサの表面の画像を撮影するステップと、
前記光ケーブル用スペーサが進行する方向に、前記撮影した画像データの微分処理を行うステップと、
微分処理後のデータを所定のしきい値を用いて二値化処理するステップと、
二値化処理後のデータに従って、前記光ケーブル用スペーサ表面の着色トレーサの異常を検出するステップとを有することを特徴とする着色トレーサ異常検出方法。
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