本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の正面図、図3(a)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の平面図、図3(b)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の平面図、図4(a)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の一部側断面図、図4(b)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の一部側断面図、図4(c)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の一部側断面図、図5は本発明の一実施の形態における基板支持装置の平面図及び一部拡大平面図、図6(a)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の動作説明図、図6(b)は本発明の一実施の形態における基板支持装置の動作説明図、図7(a)は本発明の一実施の形態におけるマスクと基板と認識手段の位置関係を示す平面図、図7(b)は本発明の一実施の形態におけるマスクと基板と認識手段の位置関係を示す平面図、図8(a)は本発明の一実施の形態における認識手段の平面図、図8(b)は本発明の一実施の形態におけるマスクと基板と認識手段の位置関係を示す側面図、図9は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の函体の側面図、図10(a)は本発明の一実施の形態におけるシャッタ機構の正面図、図10(b)は本発明の一実施の形態におけるシャッタ機構の平面図、図10(c)は本発明の一実施の形態におけるシャッタ機構の背面図、図11(a)は本発明の一実施の形態におけるシャッタ機構の動作説明図、図11(b)は本発明の一実施の形態におけるシャッタ機構の動作説明図、図12は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系の構成図、図13(a)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図13(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図14(a)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図14(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図15(a)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図15(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図、図16は本発明の一実施の形態における可動爪の動作を示すフロー
チャートである。
まず、スクリーン印刷装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2において、スクリーン印刷装置1は、所定のパターン孔2aが形成されたマスク2に位置合わせされた基板3の表面にペーストをパターン印刷する装置である。スクリーン印刷装置1は、基板3を保持する基板保持手段4と、この基板保持手段4をマスク2に対して相対的に移動させて基板3とマスク2の位置合わせを行う基板移動手段5と、マスク2と基板3の間で水平移動してマスク2を下方から認識するとともに基板3を上方から認識する認識手段6と、マスク2の表面に供給されたペーストを塗り拡げてパターン孔2aに滞留させて基板3の表面にパターン印刷するスキージユニット7を備えている。
基板保持手段4は、基板3をX方向に搬送する搬送レール8と、搬送レール8により搬送される基板3を対向する辺で挟持して保持するクランパ10により構成される。クランパ10は、一対の搬送レール8にそれぞれ備えられて対をなしており、クランパ移動手段11の駆動により互いに接離するようになっている。クランパ10を互いに隔離させた状態では、基板搬送時に基板3の移動を妨げることがなく、クランパ10を互いに近接させた状態では、基板3の対向する辺を挟持して基板3を所定の位置に保持するようになっている。
基板移動手段5は、基板保持手段4により保持された基板3を水平方向(X、Y、θ方向)に移動させるYテーブル20、Xテーブル21、θテーブル22と、鉛直方向(Z方向)に移動させるZテーブル23を積層して構成されており、Zテーブル23はθテーブル22の上部に取り付けられたプレート24の上方に配設されている。Zテーブル23は平面視して矩形状であり、送り方向が鉛直方向である4本のボールねじ25と4隅で螺合した状態で水平に支持されている(図1では側面の2本のボールねじを示しており、図2では正面の2本のボールねじを示している。)。プレート24には、ボールねじ25を回転させる駆動手段としてのモータ26が設けられている。ボールねじ25とモータ26にはそれぞれプーリ27、28が設けられており、プーリ27、28に調帯されたタイミングベルト29によりモータ26の回転駆動が4つのボールねじ25に伝達されるようになっている。これにより、4つのボールねじ25が同期して回転し、Zテーブル23は水平を保った状態で昇降する。このように構成されるYテーブル20及びXテーブル21、θテーブル22、Zテーブル23の駆動を制御して基板保持手段4をマスク2に対して相対的に移動させることにより基板3とマスク2の位置合わせがなされる。
基板保持手段4の下方には、基板3を昇降させて基板3の表面とクランパ10の上面を相対的にレベル合わせする基板昇降手段30が配設されている。基板昇降手段30は、平面視して矩形状の可動テーブル31を主体として構成されており、送り方向が鉛直方向である4本のボールねじ32と4隅で螺合した状態で水平に支持されている(図1では側面の2本のボールねじを示しており、図2では正面の2本のボールねじを示している。)。Zテーブル23には、ボールねじ32を回転させる駆動手段としてのモータ33が設けられている。ボールねじ32とモータ33にはそれぞれプーリ34、35が設けられており、プーリ34、35に調帯されたタイミングベルト36によりモータ33の回転駆動が4つのボールねじ32に伝達されるようになっている。これにより、4つのボールねじ32が同期して回転し、可動プレート31は水平を保った状態で昇降する。可動プレート31の上部には、基板3の鉛直下方となる位置にスペーサ37が設けられている。スペーサ37を基板3の裏面に当接させた状態で可動プレート31を昇降させることにより、基板3がクランパ10に対して昇降して基板3の表面とクランパ10の上面とを相対的にレベル合わせすることができる。
図2において、スクリーン印刷装置1は函体1aに覆われて遮蔽されており、函体1a
の側壁1bには、スクリーン印刷装置1に対して搬出入される基板3が通過する開口部40が形成されている。この開口部40を介して、側壁1bの外側に配置された搬入路41及び搬出路42と搬送レール8の間で基板3の受け渡しが行われる。搬送レール8は、側壁1bの近傍まで延伸されており、搬送レール8の端部には側壁1bとのクリアランスを調整する調整部9が設けられている。
次に、基板保持手段4について、図3乃至図6を参照して詳説する。図3(a)において、クランパ10は、一対の搬送レール8にそれぞれ備えられて対をなしており、基板3の対向する辺を挟持して基板3を保持している。クランパ10の上面には凹部12が形成されており、この凹部12に可動爪13が設けられている。図4(a)において、可動爪13は、厚さが0.1mm程度の可撓性を有する板状部材からなり、鉤状に屈曲させて段違いの平板部13a、13bを有する形状に形成されている。下段の平板部13aは、クランパ10の内部に設けられたアクチュエータ14の可動部14aに取り付けられている。上段の平板部13bは、その上面がクランパ10の上面と同レベルにされてクランパ10の上方に突出しないようになっている。アクチュエータ14は、磁力や圧力を用いた駆動部14bと、上述した可動部14aから構成されており、駆動部14bの駆動を制御することにより可動部14aがY方向に水平移動する。可動部14aの水平移動に伴って可動爪13が水平移動し、可動爪13の上段の平板部13bが基板3の上方に突出した位置(図4(a)の矢印a)と、基板3の上方から退避した位置(図4(b)の矢印b)に選択的に移動する。
可動爪13が基板3の上方に突出した位置(図4(a)の矢印a)にあるときは、基板3の上方への移動が拘束されるようになっている。印刷後の基板3は、クランパ10に保持された状態で下降させてマスク2から離隔させるので、マスク2の裏面に付着したペーストが基板3の表面に粘着してクランパ10から基板3が浮き上がって脱落するのを可動爪13により防止することができる。
なお、基板3の表面とクランパ10の上面のレベル合わせは、スペーサ37を基板3の裏面に当接させた状態で可動プレート31を昇降させることにより基板3の高さ位置を調整することにより行われる。従って、可動爪13の上段の平板部13bが基板3の上方に突出した位置(図4(a)の矢印a)にあるときは、基板3の表面が可動爪13の上段の平板部13bの裏面に接触する程度に基板3の高さが調整される。基板3の厚さに応じてこの高さ調整量は変更されるが、基板の厚みデータの入力ミス等に起因して、図4(c)に示すように基板3が上昇し過ぎた場合であっても、可撓性を有する可動爪13は上方に湾曲して可動爪13自体や基板3の破損を防ぐようになっている。また、基板3が高い印刷精度を要求しない基板である場合には、基板3の表面がクランパ10の上面とほぼ同一の高さとなるように基板3の高さを調整しても、可動爪13の厚みが薄いので、マスク2と基板3の間の可動爪13の周辺に生じる隙間によって印刷品質を悪化させることはない。
一方、可動爪13が基板3の上方から退避した位置(図4(b)の矢印b)にあるときは、基板3の上方への移動が拘束されず、基板3の表面とクランパ10の上面が同レベルとなるまで基板3を上昇させることができる。これにより、印刷時に基板3をマスクに面接させた際に、マスク2と基板3の間に可動爪13の厚さに相当するクリアランスが生じることがなく、マスク2の裏面と基板3の表面を隙間なく面接させることができる。この状態で印刷を行うと、パターン孔2aに滞留するペーストが他の部分にはみ出すことがない。基板3がファインピッチ基板である場合には、可動爪13を基板3の上方から退避した位置(図4(b)の矢印b)に位置させて印刷を行うことにより印刷精度を向上させることができる。また、スクリーン印刷装置1のメンテナンス作業時においても、可動爪13を基板3の上方から退避した位置(図4(b)の矢印b)に位置させることにより、ク
ランパ10から突出した可動爪13にオペレータが接触して負傷する等の事故を未然に防止してメンテナンス作業時の安全性を高めることができる。
可動爪13が基板3の上方から退避した位置(図4(b)の矢印b)にある状態で印刷を行う場合には、基板3の上方への移動を拘束するものがなくなるので、基板3をスペーサ37側に吸引することでクランパ10からの浮き上がりによる脱落を防止する。
なお、図3(b)に示すように、複数の可動爪13をクランパ10に設けるようにしてもよい。複数の可動爪13のうち基板3のX方向における幅に対応する可動爪13(図3(b)においては両端の可動爪を除く3つの可動爪)を選択して基板3の上方に突出させることにより、基板3の脱落を確実に防止することができる。
このように、基板3を保持するクランパ10に可動爪13を設けて基板の上方に突出した位置と基板の上方から退避した位置とに選択的に移動可能にしているので、メンテナンス時には可動爪13を退避させることにより作業の安全性が確保される。また、可動爪13を退避させて基板3の表面とクランパ10の上面のレベルを合わせることにより基板3の表面とマスク2の裏面を隙間なく面接させることができるので、高度な印刷品質が期待できる。
図5において、一対の搬送レール8の上面には溝状の搬送路8aが形成されており、この搬送路8aに基板3の側部を保持させて搬送姿勢を安定させている。搬送レール8の両端部に設けられた調整部9と側壁1bの間にはクリアランスc1が形成されている(拡大図を参照)。このクリアランスc1は、基板3とマスク2の位置合わせの際に基板移動手段5の駆動によりマスク2に対して相対的に移動する基板保持手段4のX方向及びθ方向における移動代となっている。このクリアランスc1により、搬送レール8のX方向及びθ方向における移動スペースが確保され、クランパ10に保持された基板3をX方向及びθ方向に移動させることができるようになっている。
調整部9は、搬送レール8の端部に取り付けられた支持部8bに挿通された棒状体8cの一端部に取り付けられている。棒状体8cは支持部8bに挿通されて基板3の搬送方向に移動可能であり、これにより調整部9は搬送レール8の端部に対して接離自在となっている。支持部8bと調整部9の間には、付勢手段であるバネ8dが棒状体8cの外周に設けられており、調整部9を搬送レール8の端部から離反する方向(矢印a)に付勢している。棒状体8cの他端部にはストッパ8eが設けられており、バネ8dにより付勢されている調整部9と搬送レール8の端部との最大の離反距離をクリアランスc2に規制している。調整部9の上面は、搬送レール8の上面に形成された搬送路8aと同様の断面形状を有する搬送路9eが形成されており、搬送路8aと一体となって搬送路8aと共に基板3の搬送路を形成している。
このように構成される調整部9を搬送レール8の端部に対して接離させることにより、基板3の搬送路のX方向における延長を調整することができ、また、搬送路と側壁1bのクリアランスを調整することができる。調整部9をバネ8dによる付勢力に抗して搬送レール8側(矢印b)に移動させると、クリアランスc2が減少した分だけクリアランスc1が拡大し、最大クリアランスc3(c3=c1+c2)まで拡大されるようになっている。従って、基板3とマスク2の位置合わせのための基板保持手段4のX方向及びθ方向への移動代がクリアランスc1を超えて必要な場合には、調整部9を搬送レール8側に移動させることによりクリアランスを最大c3まで拡大させることができる。これにより、搬送レール8のX方向及びθ方向における移動スペースが増大して、クランパ10に保持された基板3をX方向及びθ方向に大きく移動させることができる。
なお、調整部9の搬送レール8側(矢印b)への移動は、位置合わせ時に搬送レール8がX方向及びθ方向にクリアランスc1を超えて移動する際に、調整部9が側壁1bに当接することにより行われる。例えば、図6(a)に示すように、位置合わせのために必要なX方向への移動代がクリアランスc1により確保されるスペースより大きい場合には、調整部9a、9bが側壁1bに当接して搬送レール8側に移動することにより、最大でクリアランスc3に相当するスペースがX方向における移動代として確保されるようになる。また、図6(b)に示すように、位置合わせのために必要なθ方向への移動代がクリアランスc1により確保されるスペースより大きい場合には、調整部9b、9cが側壁1bに当接して搬送レール8側に移動することにより、最大でクリアランスc3に相当するスペースがθ方向への移動スペースとして確保されるようになる。
このように、搬送レール8の端部に対して接離する調整部9を設け、搬送路の基板搬送方向における長さを調整可能にしているので、基板受け渡し時における基板3の搬送姿勢の安定と、基板位置合わせ時における基板保持手段4の移動代の確保を両立して実現することができる。すなわち、基板受け渡し時には、搬送レール8の搬送路8aと調整部9の搬送路9eが離反した状態で一体となって基板3の搬送路を長くすることにより、搬送路と搬出路41(搬入路42)とのクリアランスが小さくなって基板3搬送姿勢を安定させることができる。また、基板3とマスク2の位置合わせの際には、搬送レール8の搬送路8aと調整部9の搬送路9eが近接して基板3の搬送路を短くすることにより、基板保持手段4の移動代となるクリアランスc3を大きく確保することができる。
なお、図2において、Zテーブル23の駆動により昇降する搬送レール8の高さ位置が何れの位置にある場合であっても、開口部40から調整部9が突出することがないように、調整部9は鉛直方向(Z方向)に長尺に形成されている。支持部8bについても調整部9の長さに対応した長さに形成されており、適当な距離を置いて棒状体8c、バネ8d、ストッパ8eが複数設けられている。
次に、認識手段6について、図2及び図7、図8を参照して詳説する。図2及び図7(b)において、認識手段6はX方向に延伸されたXビーム50に設けられてX方向に移動自在となっている。Xビーム50はマスク2のX方向における長さを超えて延伸されており、認識手段6がマスク2と基板3の間に進退できるようになっている。認識手段6は、認識時にはマスク2と基板3の間に進出してマスク2と基板3の位置を認識し、印刷時にはマスク2と基板3の間から退避してマスク2と位置合わせされる基板3の上昇を妨げないようにしている。Xビーム50はY方向に延伸するYビーム51に設けられて、Y方向に移動自在になっている。Xビーム50及びYビーム51の駆動を制御することにより、認識手段6を基板3とマスク2の間に進退させるとともにマスク2と基板3の間で任意の位置に移動させることができる。
図7(a)、(b)において、基板3の表面及びマスク2の裏面には、位置合わせの基準となる第1の被認識部3m及び第2の被認識部2mがそれぞれ設けられている。第1の被認識部3mと第2の被認識部2mを重ね合わせることにより基板3とマスク2が位置合わせされるようになっている。
図8(a)、(b)において、認識手段6はブラケット52を介してXビーム50に取り付けられている。認識手段6は、CCDカメラ等の撮像手段からなる第1の認識手段53と第2の認識手段54から構成され、第1の認識手段53と第2の認識手段54はY方向にオフセット(オフセット量c)された状態で並列されている。図8(b)において、第1の認識手段53は受光部53aを鉛直下方に向けて配置されており、基板3に設けられた第1の被認識部3mを認識するようなっている。一方、第2の認識手段54は受光部54aを鉛直上方に向けて配置されており、マスク2に設けられた第2の被認識部2mを
認識するようなっている。基板3及びマスク2の認識時には、基板3をマスク2に対してY方向にオフセット(オフセット量c)し、第1の被認識部3mと第2の被認識部2mをY方向にオフセット(オフセット量c)させる。これにより、第1の被認識部3mの上方に位置に第1の認識手段53を位置させるとともに第2の被認識部2mの下方に第2の認識手段54を位置させることができ、同時認識が可能となって効率的である。
このように構成される認識手段6は、移動手段であるXビーム50及びYビーム51の駆動を制御することにより、基板3とマスク2の間に進退するとともに第1の被認識部3m及び第2の被認識部2mを含む範囲で水平移動して第1の認識手段53と第2の認識手段54により第1の被認識部3m及び第2の被認識部2mを撮像する。撮像された画像データは、制御部60(図12参照)で解析され、基板3とマスク2の位置ずれ量が検出される。検出された位置ずれ量に基づいてYテーブル20及びXテーブル21、θテーブル22の駆動を制御することにより基板3の位置補正を行い、基板3とマスク2のX、Y、θ方向(水平方向)における位置合わせが行われる。なお、この位置合わせにおいては、第1の認識手段43と第2の認識手段44のオフセット量cを考慮してYテーブル20の駆動を制御するようにしてもよいし、オフセットされた状態で基板3の位置補正を行い、その後オフセット量cだけ基板3を移動させるようにしてもよい。
基板3とマスク2の水平方向における位置合わせが終了すると、次にZ方向(鉛直方向)における位置合わせが行われる。鉛直方向における位置合わせは、Zテーブル23を上昇させて基板3の上面をマスク2の裏面に面接させることにより行われる。
ところで、Zテーブル23は、ボールねじ25により鉛直方向に送られて昇降するように構成されているので、ボールねじ25の加工精度に起因する誤差やボールねじ25の取り付けの際に生じる施工誤差等により、昇降の過程でX、Y、θ方向における位置にずれが生じることがある。Zテーブル23のX、Y、θ方向における位置精度は、ボールねじ25による送り量に比例して低下する。これにより、認識手段6を移動させるためにマスク2とクリアランスを確保した状態でX、Y、θ方向における位置合わせされた基板3を上昇させてマスクの裏面に面接させる場合、Zテーブル23の上昇により基板3のX、Y、θ方向に位置ずれが生じ、基板3とマスク2の位置合わせ精度が低下する。
そのため、本実施の形態においては、図8(b)に示すように、第1の認識手段43と第2の認識手段44を水平方向(Y方向)にオフセットして並列させることにより認識手段6の高さを抑えているので、認識の際に必要なクリアランスdを小さく抑えることができる。これにより、Z方向における位置合わせの際のZテーブル23の上昇ストロークを短くすることができるので、基板3とマスク2の位置合わせ精度の低下を抑制することができ、印刷品質の信頼性を向上させることができる。
次に、開口部40に設けられたシャッタ機構について、図9乃至図11を参照して詳説する。図9において、函体1aの側壁1bには基板受け渡しの際の基板3の通路となる開口部40が形成されている。函体1a内で開口部40の近傍にはシャッタ機構45が設けられている。
図10(a)において、シャッタ機構45は、基板3が通過できる程度に開口部40の上部及び下部を狭める上シャッタ43及び下シャッタ44と、上シャッタ43及び下シャッタ44をそれぞれ上下動可能に保持するシャッタ保持部46を備えている。シャッタ保持部46は、開口部40の両側方に立設されている。
シャッタ保持部46には上下方向に延びる長孔46a、46bが上下に形成されている。上シャッタ43は上の長孔46aにビス46cにより取り付けられており、長孔46に
沿って上下方向に移動できるようになっている。下シャッタ44は下の長孔46bにビス46cにより取り付けられており、長孔46bに沿って上下方向に移動できるようになっている。上シャッタ43は長孔46aの下部に係止された状態において、基板3が通過できる程度に開口部40の上部を狭めており、下シャッタ44は長孔46bの上部に係止された状態において、基板3が通過できる程度に開口部40の下部を狭めている。
図10(b)において、上シャッタ43と下シャッタ44の両端は平面視して鉤型に形成されており、図10(c)に示すように、上シャッタ43から下方に延出する鉤部43aと下シャッタ44から上方に延出する鉤部44aとが重なり合う部分を有している。鉤部43aと鉤部44aの重なり合う部分にはセンサ孔43b、44bが形成されており、上シャッタ43及び下シャッタ44が、それぞれ長孔46aの下部及び長孔46bの上部に係止された状態において、センサ孔43b、44bが重なり合うようになっている。鉤部44aの上部には、シャッタ保持部46に設けられたマグネット47と磁着する金属部分が設けられており、金属部分がマグネット47に磁着することにより下シャッタ44が長孔46bの上部で一時係止されるようになっている。下シャッタ44にオペレータの手や指、若しくは異物等が接触すると、磁着による一時係止状態が解除され、落下して下方に移動するようになっている。
図10(b)、(c)において、シャッタ保持部46には透過型のセンサ48が設けられており、上シャッタ43及び下シャッタ44がそれぞれ長孔46aの下部及び長孔46bの上部に係止されてセンサ孔43b、44bが重なり合った状態において、センサ光48aが投受光されるようになっている。センサ48は、センサ孔43b、44bの相対位置がずれてセンサ光48aが遮光されたことを検出することにより、上シャッタ43と下シャッタ44のうち少なくとも何れか一方のシャッタがそれぞれ上下方向に移動したことを検知する。例えば、図11(a)に示すように、上シャッタ43が上方に移動すると、センサ孔43bも上方に移動してセンサ孔44bとの相対位置がずれるので、センサ光48aが鉤部43aにより遮光される。また、図11(b)に示すように、下シャッタ44が下方に移動すると、センサ孔44bも下方に移動してセンサ孔43bとの相対位置がずれるので、センサ光48aが鉤部44aにより遮光される。このようにセンサ光48aが遮光されたことを検出することにより、上シャッタ43と下シャッタ44のうち少なくとも何れか一方のシャッタがそれぞれ上下方向に移動したことを検知するようになっている。
センサ48は制御部60(図12参照)に検出信号を送信し、制御部60が検出信号を受信すると、スクリーン印刷装置1の各種の駆動系を停止させるようになっている。これにより、オペレータの手や指、若しくは異物が開口部40に接近し、センサ光48aと交差して遮光するか、センサ光48aには交差せずとも上シャッタ43や下シャッタ44に接触してこれらを上下方向に移動させることにより、スクリーン印刷装置1の各種の駆動系が停止してオペレータの安全を確保するようになっている。図10(c)に示すように、上シャッタ43と下シャッタ44は開口部40の上部及び下部を基板3が通過できる程度に狭める距離sで近接しており、センサ光48aは上シャッタ43と下シャッタ44の離間距離sの略中央部を走査しているので、開口部40内に進入するオペレータの手や指は、センサ光48a又は上シャッタ43若しくは下シャッタ44により確実に検出されるようになっている。また、上シャッタ43と下シャッタ44の移動を利用して一つのセンサ48により開口部40全体を検出可能エリアとしているので、複数のセンサを設ける必要がなく経済的で簡素な構造のものにすることができる。
このように、基板3が通過できる程度に開口部40を狭める上下一組のシャッタ43、44を設け、開口部40に接近したオペレータの手や指等がシャッタ43,44に接触してこれを移動させるとスクリーン印刷装置1の駆動系を停止するように構成されているの
で、安全対策のための特別な作業を必要とせず、生産効率を低下させることなくオペレータの安全を確保することができる。
次に、スクリーン印刷装置1の制御系の構成について、図12を参照して説明する。制御部60は、上述したスキージユニット7、搬送レール8、クランパ駆動手段11、アクチュエータ14、Yテーブル20、Xテーブル21、θテーブル22、モータ26、33、センサ48、Xビーム50、Yビーム51、第1の認識手段53、第2の認識手段54と接続されており、シーケンスデータ60aに基づいて上記各動作を制御する。制御部60は記憶領域を含んでおり、シーケンスデータ60a、基板データ60b、各種の制御パラメータ60c等を記憶している。操作・入力部61は、シーケンスデータ60aや基板データ60b、制御パラメータ60cの入力や、上記各動作のマニュアル操作等を行うためのドライビームやキーボード等の操作・入力手段により構成されている。表示部62は、制御部50による制御状態や入力事項の案内等を可視表示するCRTや液晶パネル等の表示手段により構成されている。
本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1は以上のように構成されており、以下、スクリーン印刷装置1におけるスクリーン印刷動作について、図13乃至図15を参照して説明する。
図13(a)において、搬送レール8により所定の位置に搬入された基板3を可動テーブル31により上昇させてクランパ10により保持する。
図13(b)において、基板移動手段5の駆動により、基板3をマスク2に対してオフセット(矢印e)させる。
図14(a)において、認識手段6を移動させ、第1の被認識部3mと第2の被認識部2mを認識する。基板3とマスク2はオフセットされているので、第1の認識手段53、第2の認識手段54により第1の被認識部3mと第2の被認識部2mを同時に認識することができる。認識結果は制御部60において解析されて基板3とマスク2の位置ずれ量が検出される。
図14(b)において、制御部60で検出された位置ずれ量に基づいて基板移動手段5の駆動を制御し、基板3の位置補正を行って基板3とマスク2の位置合わせを行う。これにより、基板3の表面がマスク2の裏面に当接する(矢印f)。上述したように、この位置合わせは基板3のオフセットを考慮して行われ、オフセット方向(矢印e)と反対方向(矢印g)に基板3を移動する動作を含んでいる。認識手段6は、基板3とマスク2の間から退避して基板3の上昇動作を妨げないようにしている。
図15(a)において、スキージユニット7のスキージ7cをマスク2の表面に当接させた状態で摺動させることにより、マスク2の表面に供給されたペーストを塗り拡げてパターン孔2aに滞留させて基板3の表面にパターン印刷する。なお、スキージユニット7は、図1及び図2に示すように、フレーム7aに支持されてマスク2の上方をY方向に水平移動できるようになっており、昇降手段7bによりスキージ7cを下降させてマスク2の表面に当接させる。
図15(b)において、ペーストがパターン印刷された基板3を下降させてマスク2から離隔する。
上述したスクリーン印刷動作においては、クランパ10に設けられた可動爪13が、基板3の上方に突出した位置(図4(a)の矢印a)と基板3の上方から退避した位置(図
4(b)の矢印b)に選択的に移動するようになっている。以下、可動爪13の移動について図16に示すフローチャートを参照して説明する。
スクリーン印刷が開始すると、まずスクリーン印刷の対象となる基板3が、可動爪13を基板の上方から退避した位置に位置させる必要がある基板であるかどうかを判断する(ST1)。この判断は、オペレータが基板3を視認して判断してもよく、また、認識手段6により基板3の品種を認識して基板データ60bと照合することにより判断してもよい。基板3がファインピッチ基板等の特に印刷精度が求められる基板である場合には、可動爪13を基板3の上方から退避した位置に位置させる必要がある基板であると判断され、可動爪13を基板3の上方から退避させる(ST2)。その後、基板3の表面をクランパ10の上面と略同レベルにレベル合わせする。これにより、マスク2の裏面と基板3の表面を隙間なく面接させることができ、パターン孔2aに滞留するペーストが基板3の表面の印刷部位以外の部分にはみ出すことがなくなる。
印刷対象の基板3が、ファインピッチ基板ではない通常の基板である場合には、可動爪13が基板3の上方に突出する(ST3)。これにより、基板3の上方への移動が拘束されるため、印刷動作(ST4)において基板3がマスク2の裏面に付着したペーストに粘着してクランパ10から脱落することが防止される。
印刷動作(ST4)を行う過程においては、可動爪13を基板3の上方から退避させる必要があるかどうかが判断される(ST5)。例えば、メンテナンス時において、オペレータがスクリーン印刷装置1に設けられた安全カバー等を開いた場合には、可動爪13を基板3の上方から退避させる必要があると判断され、可動爪13を基板3の上方から退避させる(ST6)。可動爪13を基板3の上方から退避させると、基板3の取り出しがスムーズになるとともにメンテナンス時のオペレータの安全性を高めることができる。
基板3へのスクリーン印刷が終了すると、次の基板3への段取り替えの必要性が判断され(ST7)、段取り替えが必要である場合には、次の基板3の搬入に備えて可動爪13を基板3の上方から退避させる(ST8)。
なお、以上記載した構成、動作等は、本発明の一実施の形態であって、本発明を上記の構成、動作等に限定するものではない。