JP4639863B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットプリンタ、ディスプレー製造装置、電極形成装置、あるいは、バイオチップ製造装置など、液体を吐出して描画等を行う液体吐出装置に関する。
従来、液体吐出装置として、紙への印刷に適したインクジェットプリンタ等が知られており、一般的には、一定方向に往復動するキャリッジに、液体(インク)を微小なノズルから吐出する吐出ヘッドを搭載した構成である。そして、印刷用紙を一方向に送ると共に、印刷用紙の送り方向に垂直に吐出ヘッドを往復動(走査)させ、印刷用紙上にインク滴を吐出して画像を形成するものである。
このインクジェットプリンタを用いて、印刷用紙の縁部に余白を残すことなく印刷用紙の表面の全体に対して印刷(いわゆる縁無し印刷)を施す場合、印刷用紙およびキャリッジの位置ずれに対する余裕を考慮して、印刷用紙のサイズよりもやや広い領域に対して印刷を行うようにしている。すなわち、印刷用紙の前後縁(用紙送り方向に延在する縁)および左右の側縁(ヘッド走査方向に延在する縁)の部分に余白を残すことなく印刷を施すために、印刷用紙に対する吐出ヘッドの走査範囲をこれら前後縁、側縁の外側にまで広げてインク滴の吐出を行うものである。そして、印刷用紙から外れた領域に向けて吐出されたインク滴は、記録ヘッドに対向して印刷用紙の裏面側に配置されたインク吸収部材(スポンジ等)で吸収するようにしている。
ところが、インク吸収部材は印刷用紙の裏面側に離間して配置されており、ノズル開口からインク吸収部材の露出面までの距離は、ノズル開口から用紙面までの距離(以下、PGと呼ぶ)に比べて長い。このため、印刷用紙から外れた領域に向けてインク滴が吐出された場合、ノズル開口から吐出されたインク滴が空気抵抗を受けて減速し、インク吸収部材まで到達せずにミスト化してしまう場合があった。特に、画質を向上させるためにインク滴の体積(重量)を小さくすると、空気抵抗による減速の度合いが大きくなってインク滴がミスト化しやすくなる。そしてこのようなミスト化したインクは、機内の至るところに付着して、いわゆる機内汚れの原因となる。
上述の課題に鑑みて、ケース内に静電気力を発生させ、当該静電気力の作用でミスト化したインクを回収するインクジェットプリンタが提案されている(例えば、特許文献1)。すなわち、上述のインク吸収部材の露出面に電極を配置し、当該電極とノズル開口の形成面との間に電界を発生させることにより、帯電したインクを当該電極で捕捉するものである。
ところで、インクジェットプリンタの中には、多様な印刷用紙(普通紙や印刷面に表面処理を施した専用紙)に対応して、PGを可変に構成されたものもある。すなわち、腰の弱い普通紙を用いる場合にはPGを大きくしていわゆる紙擦れ(吐出ヘッドと用紙が接触すること)を防ぎ、高画質印刷に好適な専用紙を用いる場合には、PGを小さくしてインク滴の着弾精度を高め、画質の向上を図るものである。そして、このようなPGの可変するプリンタにおいては、PGによって変化するインク滴の吐出に係る諸条件にも考慮する必要がある。例えば、特許文献2では、双方向印刷におけるインク滴の吐出タイミングを、PGに応じて可変に構成したプリンタが提案されている。
特開2003−305840号公報 特開2004−314361号公報
ところが、上述のプリンタは、PGの変化に対するミスト化の影響の変化についてはなんら配慮がされていない。すなわち、PGが大きいときにはノズルから用紙面までの距離が長くなるので、いわゆる縁なし印刷をするか否かに関わらずミスト化したインクが発生しやすくなる。他方、PGが小さいときであってもいわゆる縁なし印刷をするときには、上述の理由によりミスト化したインクが発生しやすくなる。このように、ミスト化したインクの発生事情がPGおよび縁なし印刷の有無によって異なるわけである。
PGが大きいときには、特許文献1に係る手段を用いてもミスト化したインクを十分に捕集することは難しい。電極は、印刷用紙の縁の近傍に配置されているからである。
ところで、本願発明の発明者らは、吐出ヘッドの吐出制御によりインク滴の先端部の吐出速度(以下、Vmと呼ぶ)を小さくすることでも、ミスト化したインクの発生をある程度抑えられることを発見した。すなわち、Vmが大きくなるとインク滴が吐出方向に延び、用紙面に到達するまでにバラバラに分割される傾向が強くなってミスト化を招きやすくなることに鑑みたものである。しかし、Vmを小さくすることは着弾精度の低下による画質の劣化を招くものであり、専用紙を用いた印刷においては、ユーザが専用紙を用いてまで求める十分な画質を確保することが困難となる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、ミスト化した液体による機内汚染を低減すると共に、ユーザの要求に応じて好適な着弾精度で液体を吐出することができる液体吐出装置を提供することを目的としている。
本発明は、液体をノズルから液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと対向するように配設され、前記吐出対象物を支持する支持部材と、前記支持部材に隣接する位置において静電力を発生させる静電力発生手段と、前記吐出ヘッドが前記吐出対象物の縁の領域を含んで前記液滴を吐出するか否かによって、前記静電力の発生の有無を選択する静電力選択手段と、前記吐出対象物の種類に応じて、前記吐出対象物と前記ノズルとの距離(PG)を変化させるPG変化手段と、前記ノズル毎に生成された二値以上の階調データに応じた条件で前記ノズルから液滴を吐出させる吐出制御手段と、を備え、前記吐出制御手段は、前記PGが所定値以上である場合には前記階調データの一の値に対応して第1の条件で前記液滴を吐出させ、前記PGが所定値未満である場合には当該一の値に対応して第2の条件で前記液滴を吐出させ、前記第1の条件によって吐出された液滴は前記第2の条件によって吐出された液滴に比べて、当該液滴の先端部の速度が遅くなるように吐出制御することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、PGに応じて吐出制御手段が液滴の吐出条件を変化させることができる。すなわち、階調データの一の値に対して、PGが所定値より大きいときにはVmの遅い液滴を吐出していわゆるミスト化した液体の発生を抑え、PGが所定値より小さいときにはVmの速い液滴を吐出して高い着弾精度を担保する。また、いわゆる縁無し印刷を行うか否かにより、必要に応じて静電力を発生させてミスト化した液体の積極的な回収を図る。かくして、PGおよび縁無し印刷の有無によらずミスト化した液体による機内汚染が低減され、また、画質を優先するPGの小さいモードの場合においても、十分な着弾精度が確保される。
好ましくは、前記液体吐出装置において、前記第1および第2の条件によって吐出される液滴の量は、ほぼ同量であることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、PGによって条件を違えて吐出された液滴の量はほぼ同量であるため、吐出対象物上に着弾した後の画像等の階調性にはあまり差を与えない。
好ましくは、前記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドは、電気パルスによって駆動されて前記ノズルの近傍において前記液体に圧力を発生させる圧力発生手段を備え、前記吐出制御手段は、前記第1の条件に対応する第1の前記電気パルスないし前記第2の条件に対応する第2の前記電気パルスのいずれか一方を選択して前記圧力発生手段に印加することを特徴とする。
さらに好ましくは、前記吐出制御手段は、前記第1の電気パルスと前記第2の電気パルスとが一周期内でタイミングを違えて結合された駆動信号を生成する駆動信号生成手段を備え、前記一の値に対応する吐出制御において、前記駆動信号から前記第1ないし第2の電気パルスのいずれか一方を選択して、前記圧力発生手段に印加することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、態様(形状や大きさなど)を違えた電気パルスの一方を選択して圧力発生手段に印加することにより、簡単な構成で第1ないし第2の条件で液滴を吐出させることができる。また、好ましくは、駆動信号からタイミング制御によって第1ないし第2の電気パルスを選択する構成とすれば、電気パルスごとの信号線を必要としないので、回路構成を簡単にできる。
好ましくは、前記駆動信号生成手段を備えた液体吐出装置において、前記吐出制御手段は、前記階調データの他の値に対応する吐出制御において、前記駆動信号における前記第1および第2の電気パルスの両方を選択して、前記圧力発生手段に印加することを特徴とする。
さらに好ましくは、前記駆動信号において、前記第2の電気パルスは前記第1の電気パルスよりも遅いタイミングとなっていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、第1および第2の電気パルスの両方を選択することで、それぞれ単独の電気パルスによって吐出される液滴よりも多量の液滴を吐出させ、これを階調データの他の値に対応する液滴の吐出とすることができる。すなわち、他の値に対応する独立の電気パルスを用意しておく必要がなく、簡単な構成で多階調が実現できる。また、好ましくは、第2の電気パルスを第1の電気パルスよりも遅いタイミングとしておけば、先に吐出される液滴に後からに吐出される液滴が追いついてゆく関係となるので、吐出対象物上に一体もしくは一体に近い状態で着弾させることができる。かくして、画質の向上が図れる。
好ましくは、前記液体吐出装置において、前記液体が顔料を含む着色インクであることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、粘度が高くミスト化した液体を発生しやすい顔料インクを用いつつも、機内汚染の低減を有効に図ることができる。
好ましくは、前記液体吐出装置において、前記一の値に対応する液滴の量が6ngないし8ngであるときに、前記第1の条件に係るVmが7.5m/sないし8.5m/sであることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記第2の条件に係るVmが9.5m/sないし10.5m/sであることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、ミスト化した液体による機内汚染の低減を有効に図ることができる。また、好ましくは、第2の条件に係るVmを9.5m/sないし10.5m/sとすることで、PGが小さいモードにおける着弾精度と液体のミスト化の程度とのバランスを好適にできる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、液体吐出装置の内部構造の一例を示す概略斜視図である。
図1において、液体吐出装置としてのプリンタ100は、吐出対象物としての用紙6の印刷面6aに液体としてのインクを吐出して画像等の描画(印刷)を行う装置である。このプリンタ100は、スチール製のフレーム基体9と、インクを吐出する吐出ヘッド12と、吐出ヘッド12を搭載するキャリッジ1と、キャリッジ1を一定の方向に往復動(主走査)させる走査手段を構成する主走査機構8と、用紙6を裏面側から支持するプラテン5とを備えている。ここで、フレーム基体9は、その剛性と重量によって機構全体の土台をなすと共に、電気的なアースとしての機能を果たしている。
吐出ヘッド12から吐出するインクには、例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のものが使用され、キャリッジ1上に搭載されたインクカートリッジ7に収容されている。このインクカートリッジ7の底部にはインクを導出する導出部(図示せず)が設けられており、吐出ヘッド12に設けられたインク導入部(図示せず)と結合して、吐出ヘッド12にインクを供給するようになっている。
主走査機構8は、キャリッジ1に動力を伝達するタイミングベルト3と、キャリッジ1を支持すると共にその移動方向を規定するガイドロッド4とを備えている。そして、このタイミングベルト3は、DCモータ等の主走査用モータ2により駆動される。かくして、主走査用モータ2を回転駆動すると、キャリッジ1に搭載された吐出ヘッド12は、プリンタ100に架設されたガイドロッド4に案内されてガイドロッド4の伸長方向に往復動(主走査)する。
ガイドロッド4は、フレーム基体9の側面に設けられたPG変化手段15によって、伸長方向を保ったまま図の上下方向に移動するようになっており、当該移動により、吐出ヘッド12のノズル形成面12aと印刷面6aとの距離PG(図4参照)を変化させることが可能である。ガイドロッドの移動は、図示しない機構および駆動モータにより行われる。
用紙6は、プラテン5を含む走査手段を構成する搬送機構16(図3参照)により、主走査方向に直交する方向に搬送(副走査)されるようになっている。用紙6の搬送は、副走査用モータ14を駆動することで行われる。
上述の構成において、吐出ヘッド12を用紙6に対して相対移動させつつ、吐出ヘッド12のノズル79(図2参照)からインクを液滴(インク滴)として吐出することにより、印刷面6aにおける所望の位置にインク滴が着弾して画像等が形成される。
プリンタ100の非記録領域であるホームポジションには、吸引手段としてのメンテナンス機構10が配設されている。
メンテナンス機構10は、図の上方側が開放された箱型の弾性部材であるキャップ部材13を備えている。キャップ部材13は、吐出ヘッド12のノズル形成面12aに密着してノズル79の開口を封止する(キャッピング)ことで(図2参照)、未使用状態における当該ノズル79の保全を図るものである。また、キャッピングの状態から、キャップ部材13の内底部の連通口(図示せず)と通じる吸引ポンプ(図示せず)を動作させることにより、封止された空間を減圧してノズル79(図2参照)からインクを強制的に吸引することができる。
キャップ部材13の印刷領域側の近傍には、板状に成型された弾性部材を備えたワイピング手段11が吐出ヘッド12の移動軌跡に対して例えば水平方向に進退できるように配置されている。ワイピング手段11は、キャリッジ1がキャップ部材13側に往復移動するに際して、必要に応じて吐出ヘッド12のノズル形成面12a(図2参照)を払拭することができるように構成されている。
図2は、吐出ヘッドの内部構造の一例を示す要部断面図である。
図2に示すように、吐出ヘッド12は、樹脂等で成形された箱体状のケース71と、ケース71の収納室72に収容された櫛歯状の圧電振動子21と、ケース71と接合された流路ユニット74と、を備えている。
圧電振動子21の図の上方における端部側は、金属製の基板73を介して収納室72の内壁に固定され、図の下方側における可動端部21aは、流路ユニット74のアイランド部89に接合されている。また、流路ユニット74は、流路形成板75を間に挟んでノズルプレート80と弾性板77を両側に積層することにより構成されている。
圧電振動子21は、圧電体21bを挟んで共通内部電極21cと個別内部電極21dとを交互に積層した板状の振動子板を、ドット形成密度に対応させて櫛歯状に切断して構成してある。そして、共通内部電極21cと個別内部電極21dとの間に電位差を与えることにより、各圧電振動子21は、積層方向と直交する振動子長手方向に伸縮する。
流路形成板75は、複数の圧力発生室81と、各圧力発生室81の少なくとも一端に連通する複数のインク供給部82と、各インク供給部82と連通する共通の液室である共通インク室83と、が形成された板状部材である。この流路形成板75は、例えば、シリコンウエハーをエッチング加工することにより製造される。共通インク室83へのインクの供給は、インクカートリッジ7(図1参照)の各色インクに対応する導出口(図示せず)から、ケース71に形成されたインク供給管84を通じて行われる。
ノズルプレート80は、SUS等の金属で形成された板状部材であり、複数の圧力発生室81に対応してノズル79が形成され、ノズル形成面12aをなしている。ノズルプレート80は、仮想線で示す導線を介してフレーム基体9(図1参照)と電気的に接続されて、アースされた状態となっている。これは、吐出ヘッド12に電荷が帯電してノズルプレート80を介した放電が起こると、圧電振動子21を駆動するための駆動回路33(図5参照)を破壊してしまう場合があるため、このような事故を防止するための措置である。
弾性板77は、ノズルプレート80とは反対側の流路形成板75の面に積層され、ステンレス板87の下面側にPPS等の高分子体フィルムを弾性体膜88としてラミネート加工した二重構造である。そして、圧力発生室81に対応した部分のステンレス板87をエッチング加工して、圧電振動子21を当接固定するためのアイランド部89が形成されている。
上記の構成を有する吐出ヘッド12では、圧電振動子21を振動子長手方向に伸長させることにより、アイランド部89がノズルプレート80側に押圧され、アイランド部89周辺の弾性体膜88が変形して圧力発生室81が収縮する。また、圧力発生室81の収縮状態から圧電振動子21を長手方向に収縮させると、弾性体膜88の弾性により圧力発生室81が膨張する。
このような圧電振動子21の駆動は、共通内部電極21cと個別内部電極21dとの間に印加する電気パルス(図6参照)によって行われる。そして、この電気パルスの印加によって圧力発生室81内のインクに圧力変動が発生し、ノズル79からインク滴が吐出される。すなわち、圧電振動子21および圧力発生室81は、圧力発生手段を構成している。
インク滴の吐出の条件は、圧電振動子21に印加する電気パルスの態様(形状、成分の傾き等)によって制御することが可能であり、これにより、量、速度等の特性の異なる複数種のインク滴を必要に応じて使い分けることができる。このための具体的な制御については、後で詳しく説明する。
図3は、プラテン周辺の一部を拡大して示した平面図である。図4は、図3のA−A断面図である。
図3に示すように、搬送機構16は、プラテン5と、用紙6をプラテン5へ搬送する搬送ローラ19a、19bとを備えている。搬送ローラ19a、19bは互いに対向するように配置されており、用紙6を挟み込んで矢印Fの向きに搬送する。また、搬送ローラ19aは従動ローラであり、搬送ローラ19bは駆動ローラである。
図3、図4において、プラテン5は吐出ヘッド12と対向して配設されており、インク滴の吐出がなされる位置において用紙6を支持し、ノズル形成面12aと印刷面6aとの距離PGを規定するものである。プラテン5は、プラスチック等で形成された支持部材17と、スポンジ等で形成された吸液性部材18とを備えており、図示するように、用紙6の裏面6bと当接する支持部5aと、吸液性部材18が露出したダミー部5b,5c,5d,5eとが形成されている。吸液性部材18の露出面は、支持部材17が用紙6を支持する面よりも低くなっているため、用紙6と接することはない。
図3、図4において、ダミー部5b,5c,5d,5eは、用紙6の縁部に余白を残すことなく印刷する、いわゆる縁無し印刷を行う際に利用される。すなわち、図示する用紙6の位置において、ダミー部5dまで印刷領域を拡張して印刷を行うことで、用紙6の側縁部6cには余白を残すことなく印刷がなされ、ダミー部5dに対して吐出されたインク滴22m,22sは吸液性部材18で吸収される。このため、支持部5aをインクで汚すことがなく、また、支持部5aの汚れが次の用紙6に転写されることもない。
同様に、ダミー部5bは用紙6の上縁部6dを印刷する際に、ダミー部5cは、用紙6の下端部(上縁部6dに対向する端部)を印刷する際に利用される。また、用紙6の側縁部6cに対向する縁部についても同様の方法で縁なし印刷が行われる。また、ダミー部5eは、多様なサイズの用紙6に対応するためにダミー部5dと同じ目的で設けられている。
プラテン5はまた、ダミー部5b,5c,5d,5eにおける露出した吸液性部材18上に配置された電極20(便宜上、図3においてハッチングで図示)を備えている。電極20は、金属線などで形成されており、その表面には、腐食を防ぐための被膜が形成されている。
電極20は、仮想線で示す導線によって高圧電源50と電気的に接続され、必要に応じて高電圧が印加されるようになっている。高圧電源50が電極20に電圧を印加すると、アース電位に維持された吐出ヘッド12のノズル形成面12aと電極20との間には電界(静電力)が発生する。すなわち、電極20および高圧電源50は、静電力発生手段を構成している。
図4において、吐出ヘッド12から吐出されるインク滴22m,22sは、それぞれメインドット、サテライトドットと呼ばれる。メインドット22mとサテライトドット22sはもともと一体として吐出されるものであるが、インク滴内で生じる速度の不均等により、吐出方向の先端部と後端部とに分裂したものである。このため、メインドット22mの速度Vmは比較的速く、サテライトドット22sの速度Vsは比較的遅くなっている。
一般的にサテライトドット22sの量はメインドット22mの量より小さくなっており、空気抵抗による減速の影響が大きい。このため、サテライトドット22sは速度を失って空中に浮遊した、いわゆるミスト化した状態となりやすいものである。このようなミスト化したインクは、機内汚れ、用紙汚れの原因となる。
メインドット22mとサテライトドット22sの量、速度のバランスは、圧電振動子21(図2参照)に印加する電気パルス(図6参照)によって変化するものであるが、本願発明の発明者らは、特に、メインドット22mの速度Vmとこのバランスに強い相関があることを発見した。すなわち、Vmが速くなるような条件で吐出を行うと、サテライトドット22sの速度Vsが小さくなり、サテライトドット22sがミスト化する傾向が強くなるのである。また、このようにVmが速くなるような条件で吐出を行った場合には、サテライトドット22sがさらに細分化されて複数のインク滴となる場合もある。このような傾向は、粘度の高い顔料インクを用いた場合により顕著であり、すなわち、顔料インクはミスト化したインクを発生させやすいといえる。
この説明からわかるように、Vmが小さくなるような条件で吐出を行うことで、ミスト化したインクの発生を低減することが可能である。しかし、Vmは、メインドット22mの着弾精度、ひいては画質にも影響するものである。すなわち、Vmが小さくなるとメインドット22mの着弾精度が低下し、画質は低下する傾向にある。
ミスト化したインクの発生の程度は、ノズル形成面12aと印刷面6aとの距離PGによっても変化する。距離PGが大きい場合には、吐出されたサテライトドット22sが印刷面6aに到達するまでの距離が長くなるので、速度を失って印刷面6aに届かないサテライトドット22sの割合が増えるからである。
一方、距離PGは用紙6の選択とも密接な関係がある。すなわち、腰の弱い紙を用いるときは、吐出ヘッドの12と用紙6との接触(いわゆる紙擦れ)を予防するためにPGの比較的大きい状態(PG大状態)とし、腰の強い厚手の専用紙を用いるときは、メインドット22mの着弾精度を優先してPGの比較的小さい状態(PG小状態)とするようになっている。
また、ミスト化したインクの発生の程度は、いわゆる縁なし印刷を行うか否かによっても変化する。縁無し印刷では、ノズル形成面12aからの距離の長い吸液性部材18の露出面に向けてインク滴22m,22sを吐出することになるため、速度を失って吸液性部材18に届かないサテライトドット22sの割合が増えるからである。
図3,図4において、吸液性部材18上に配置された電極20は、縁なし印刷においてダミー部5b,5c,5d,5eの近傍で発生したミスト化したインクを誘引する機能を果たすものである。
用紙6は搬送過程において搬送機構16の各部材と擦れ合うなどして正極に帯電するため、用紙6とノズル形成面12aとの間に形成される電界により、吐出されるインク滴22m,22sは負極に帯電されている。このため、電極20に正極の高電圧電位を印加することにより、このような帯電されたインク滴22m,22sを静電力によって積極的に誘引し、吸液性部材18での回収を図ることができる。
上述の説明からわかるように、ミスト化したインクの発生には、吐出条件(印加する電気パルス)、距離PG、縁無し印刷の有無、電極20による静電力の発生の有無などの要素が絡み合っており、また、これらの要素は、用紙6の種類や着弾精度(画質)とも関わっている。このため、本実施形態のプリンタ100(図1参照)は、用紙6の種類(距離PG)や縁無し印刷の有無に対応して動作条件が変化するようになっており、ミスト化したインクの発生を低減すると共に、ユーザの要求に応じて好適な印刷を行うことができる。詳しくは後述する。
次に、図5、図6を参照してプリンタの電気的構成について説明する。図5は、プリンタの電気的構成を示すブロック図である。図6は、制御信号の一例を示すタイミング図である。
図5に示すように、プリンタ100は、吐出制御手段を構成するプリントコントローラ23および駆動回路33と、圧力発生手段を構成する圧電振動子21と、走査手段(主走査機構8、搬送機構16)を駆動する主走査用モータ2および副走査用モータ14と、PG変化手段15を駆動するPG変化用モータ51と、静電力発生手段を構成する高圧電源50および電極20と、を備えている。ここで、プリントコントローラ23は、フレーム基体9(図1参照)の裏側に設けられた制御ボックス内に収容されており、駆動回路33は、吐出ヘッド12に搭載されている。
プリントコントローラ23は、外部インターフェース(外部I/F)25と、RAM26と、ROM27と、制御部28と、クロック信号(CK)を生成する発振回路29と、駆動信号(COM)を生成する駆動信号生成手段としての駆動信号生成回路30と、内部インターフェース(内部I/F)31と、を備えている。
外部I/F25は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、ホストコンピュータ(PC)32から受信する。また、ビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F25を通じて、ホストコンピュータ32に対して出力される。
RAM26は、外部I/F25を介して受信された印刷データを一時的に記憶したり、制御部28により印刷データをデコード(翻訳)して生成した階調データを一時的に記憶したりする。また、制御部28のワークメモリとしても機能する。
ROM27には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。
駆動信号生成回路30で生成される駆動信号(COM)は、圧電振動子21に印加してこれを駆動するための電気信号である。駆動信号(COM)は、図6に示すように、期間T1に配置された電気パルスPS1と、期間T2に配置された電気パルスPS3と、期間T3に配置された電気パルスPS2と、が同一の中間電位で結合されて一周期をなしている。各電気パルスPS1〜PS3は、それぞれ形状や成分の傾き等を違えた態様を備えており、圧電振動子21に印加されることでそれぞれ異なる特性のインク滴が吐出されるように設計されている。駆動信号(COM)の周期Tは、主走査機構8による吐出ヘッド12(図1参照)の主走査のタイミングと同期しており、各周期毎にインク滴の吐出を行うことで、用紙6(図1参照)に対して一定の解像度で印刷を行うことができる。
再び図5に戻って、制御部28は、ROM27に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行う。例えば、印刷データを解析して用紙の種類を判断し、用紙ごとに規定された距離PG(図4参照)の認識を行う。そして、必要に応じてPG変化用モータ51を駆動し、「PG大状態」ないし「PG小状態」にする。
また、制御部28は、印刷データを解析していわゆる縁無し印刷を行うか否かを判別し、縁無し印刷を行う場合には高圧電源50の内部スイッチの切り替えを行い、電極20に高電圧を供給する。また、縁無し印刷を行わない場合には電極20への高電圧の供給は行わない。すなわち、制御部28は静電力選択手段として機能している。
制御部28はさらに、吐出制御を行うための各種制御信号を生成し、内部I/F31を通じて駆動回路33に供給する。例えば、制御部28は、印刷データをデコード(翻訳)して周期T(図6参照)毎のノズル毎の階調データ(2ビット)を生成し、ノズル群(ノズル列)ごとに当該階調データを結合してデータ信号(SI)を生成する。
また、制御部28は、PG大状態/小状態に応じて割り当て信号(SP)を生成する。ここで、割り当て信号(SP)とは、階調データの値に対応した駆動信号(COM)中の電気パルスPS1〜PS3(図6参照)の割り当てを規定したものである。
また、制御部28は、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を生成する。ここで、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)は、駆動信号(COM)を構成する電気パルスPS1〜PS3(図6参照)の圧電振動子21への印加タイミングを規定するものである(図6参照)。
吐出ヘッド12の駆動回路33は、図5に示すように、第1シフトレジスタ36及び第2シフトレジスタ37からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路39及び第2ラッチ回路40からなるラッチ回路と、デコーダ42と、制御ロジック43と、レベルシフタ44と、スイッチ回路45とを備えている。
これらのシフトレジスタ36,37、ラッチ回路39,40、デコーダ42、スイッチ回路45は、吐出ヘッド12の各ノズル79(図2参照)毎に配設された圧電振動子21ごとに設けられている。そして、クロック信号(CK)に同期して、各ノズル毎に設けられた第1シフトレジスタ36および第2シフトレジスタ37に、データ信号(SI)の下位ビットおよび上位ビットの階調データがそれぞれシリアル伝送される。
プリントコントローラ23からの階調データは、上記したように2ビットのデータであり、非記録、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調について、非記録が(00)、小ドットが(01)、中ドットが(10)、大ドットが(11)で表されている。この階調データは、ノズル毎に独立した値を有し、各ノズルごとに以下のように吐出制御が行われる。
図5に示すように、第1シフトレジスタ36には、第1ラッチ回路39が電気的に接続されている。同様に、第2シフトレジスタ37には、第2ラッチ回路40が電気的に接続されている。そして、プリントコントローラ23からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路39,40に入力されると、第1ラッチ回路39は階調データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路40は階調データの上位ビットをラッチする。
このように、第1シフトレジスタ36及び第1ラッチ回路39からなる回路ユニットと、第2シフトレジスタ37及び第2ラッチ回路40からなる回路ユニットは、それぞれが記憶回路として機能する。すなわち、これらの回路ユニットは、デコーダ42に入力される前の階調データを一時的に記憶する。
各ラッチ回路39、40でラッチされた階調データは、デコーダ42に入力される。デコーダ42は、割り当て信号(SP)を参照して階調データをデコード(翻訳)し、パルス選択データを生成する。このパルス選択データは、例えば3ビットで構成されており、各ビットデータは、後述するタイミング信号(図6参照)のタイミングにおける駆動信号(COM)の印加/非印加(ON/OFF)を表す情報である。
一方、デコーダ42には、制御ロジック43からのタイミング信号も入力される。このタイミング信号は、制御ロジック43により、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいて生成されるものである(図6参照)。
デコーダ42によって翻訳されたパルス選択データは、上位ビット側から順に、タイミング信号によって規定されるタイミング(図6参照)が到来する毎に、レベルシフタ44に入力される。すなわち、記録周期における最初のタイミングではパルス選択データの最上位ビットのデータがレベルシフタ44に入力され、2番目のタイミングでは2番目のビットのデータが、3番目のタイミングでは最下位ビットのデータがレベルシフタ44にそれぞれ入力される。
レベルシフタ44は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データのビットデータが、例えば「1」の場合には、スイッチ回路45を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の駆動電圧をスイッチ回路45に供給する。一方、パルス選択データのビットデータが、例えば「0」の場合には、このような駆動電圧はスイッチ回路45に供給されない。
かくして、レベルシフタ44で昇圧された電圧がスイッチ回路45に供給されている間は、圧電振動子21に駆動信号(COM)が印加される。すなわち、図6において、選択データの最上位ビットが例えば「1」の場合には期間T1の電気パルスPS1が、選択データの2番目のビットが例えば「1」の場合には期間T2の電気パルスPS3が、選択データの3番目のビットが例えば「1」の場合には期間T3の電気パルスPS2が、それぞれ圧電振動子21に印加され、各電気パルスPS1〜PS3に応じたインク滴がノズル79(図2参照)から吐出される。
上述のように、本実施形態におけるプリンタ100は、駆動信号(COM)の印加タイミングの制御によって異なる特性のインク滴に対応する電気パルスPS1〜PS3を選択する電気的構成となっているため、各電気パルスごとの信号線を必要とせず、回路構成が簡単である。
次に、図7のフローチャートに沿って、図5を参照しながら、プリンタの印刷動作について説明する。図7は、プリンタの印刷動作に係る制御フローを示すフローチャートである。
図5において、印刷動作は、プリンタ100に接続されたホストコンピュータ(PC)32からの命令によって実行される。ユーザは、印刷命令にあたって、ホストコンピュータ32上のユーザインターフェースを通じて、「用紙の種類」、「解像度」、「縁無し印刷を行うか否か」等の条件を入力するようになっており、これらの条件に関する情報やこれらの条件に従って生成された画像データが、印刷データとしてプリントコントローラ23に送られる(図7のステップS0)。そして、プリントコントローラ23に送られた印刷データは、制御部28によって解析される。
制御部28は、まず印刷データに含まれる解像度に係る情報を基に、駆動信号(COM)の設定を行う(図7のステップS1)。制御部28は、選択された印刷モードに対応する駆動信号(COM)の生成情報を読み出して、当該情報を駆動信号生成回路30に送る。
制御部28は、次に、印刷データに含まれる用紙の種類に係る情報を基に、設定すべき距離PG(図4参照)の認識を行う(図7のステップS2)。例えば、用紙が腰の弱い普通紙などである場合には、PG大状態で印刷を行うと認識される。また、用紙が厚手の専用紙である場合には、PG小状態で印刷を行うと認識される。
制御部28は、次に、ステップS2での認識に基づいて、必要に応じてPG変化用モータ51を駆動し、PG大状態ないしPG小状態に設定する(図7のステップS3)。尚、本実施形態においては、PG大状態における距離PG(図4参照)は1.5mm、PG小状態における距離PG(図4参照)は1.2mmである。
制御部28は、次に、ステップS2での認識に基づいて、割り当て信号(SP)の設定を行う(図7のステップS4)。割り当て信号(SP)は、上述のように、階調データに対する電気パルスPS1〜PS3(図6参照)の選択の割り当てを規定する情報であり、プリントコントローラ23から送られた階調データをデコーダ42で選択データにデコードする際に参照される。割り当て信号(SP)は、ステップS2において認識された距離PGによって異なる内容となっており、つまり、PG大状態のときとPG小状態のときとでは、同じ階調データに対して異なる電気パルスが選択されることがある。詳しくは後述する。
制御部28は、次に、印刷データに含まれる縁無し印刷を行うか否かの情報を基に、静電力の発生の有無を選択する(図7のステップS5)。すなわち、縁無し印刷を行う場合には高圧電源50の内部スイッチの切り替えを行い、電極20に高電圧を供給する。これにより、ダミー部5b,5c,5d,5e近傍におけるサテライトドット22s(図3,4参照)のミスト化の低減が図られる。
一方、縁無し印刷を行わない場合には電極20への高電圧の供給は行わない。電極20が誘引できるのは、ダミー部5b,5c,5d,5e近傍におけるインク滴22m,22s(図3,4参照)なので、縁無し印刷を行わないときにはほとんど効果が無いからである。これにより、余分な電力消費を抑えることができる。
ステップS1〜S5までの処理が終了したら、プリントコントローラ23は、印刷動作の各種制御を行う(図7のステップS6)。具体的には、印刷データのデコードによる階調データの生成、主走査用モータ2の駆動による主走査制御、副走査用モータ14の駆動による副走査制御、先に説明した吐出制御などによって行われる。かくして、ユーザの設定した条件での印刷が完了する。
図8は、階調データと選択データおよび印加される電気パルスとの関係を示す図であって、(a)はPG大状態に係る図、(b)はPG小状態に係る図である。
上述のステップS3において設定された割り当て信号(SP)による階調データのデコードや、生成された選択パルスによる電気パルスの印加は、具体的には図8に示す関係で行われる。以下で、具体的に説明する。
図8に示すように、小ドットを表す階調データ(01)は、PG大状態/PG小状態に関わらず選択データ(010)にデコードされ、電気パルスPS3が圧電振動子21(図2参照)に印加される。これにより、ノズル79(図2参照)からは比較的少量(例えば、2ng程度)のインク滴が小ドットとして吐出される。
中ドットを表す一の値としての階調データ(10)は、PG大状態の場合においては図8(a)に示すように、選択データ(100)にデコードされ、電気パルスPS1が圧電振動子21(図2参照)に印加される。これにより、ノズル79(図2参照)からは中程度の量(例えば、6ng〜8ng)のインク滴が第1の条件に係る中ドットとして吐出される。また、PG小状態の場合においては図8(b)に示すように、選択データ(001)にデコードされ、電気パルスPS2が圧電振動子21に印加される。これにより、ノズル79(図2参照)からは中程度の量(例えば、6ng〜8ng)のインク滴が第2の条件に係る中ドットとして吐出される。
ここで、電気パルスPS1によって吐出される中ドット(第1の条件)と、電気パルスPS2によって吐出される中ドット(第2の条件)とでは、印加する電気パルスの態様の違いにより、メインドット22m(図4参照)の速度Vmが異なっている。すなわち、PG大状態(第1の条件)に係るVmは、PG小状態(第2の条件)に係るVmよりも遅くなっている。
これは、インク滴がミスト化しやすいPG大状態においては、Vmを比較的遅くすることでインク滴の特性の観点からミスト化の低減を図っていることによるものである。一方、PG小状態においては、インク滴のミスト化が起こりにくいことから、Vmを速くしてインク滴の着弾精度、ひいては画質の向上を図っているものである。PG小状態による印刷は、厚手の専用紙を用いる場合など、ユーザが高い画質を要求する場合に行われるものであるが、このような場合においてもユーザが求める高い水準の画質を提供することが可能である。
尚、第1の条件に係る中ドットと第2の条件に係る中ドットとは、その吐出量についてほぼ同量となっており、画像等が形成された際の階調性についてはほとんど影響を及ぼさない。
大ドットを表す他の値としての階調データ(11)は、図8に示すように、PG大状態/PG小状態に関わらず選択データ(101)にデコードされ、電気パルスPS1およびPS2が圧電振動子21(図2参照)に印加される。これにより、ノズル79(図2参照)からは第1および第2の条件に係る中ドットが両方吐出され、合わせて大ドットとして用紙6(図1参照)に着弾する。
このように、中ドットに係る電気パルスPS1,PS2を用いて大ドットを吐出することができるので、大ドットを吐出するための独立した電気パルスを用意する必要がない。このため、共通パルス(COM)の構成を簡単にでき、特に周期T(図6参照)を短くできるため、印刷速度の向上を図ることができる。
また、電気パルスPS1より遅いタイミングで電気パルスPS2を配置してあるので、Vmの比較的遅い第1の条件に係る中ドットにVmの比較的速い第2の条件に係る中ドットが追いつく関係となり、用紙6の印刷面6a(図4参照)上に一体もしくは一体に近い状態で大ドットを着弾させることができる。これにより画質の向上を図ることができる。
上述の実施形態において、中ドットの吐出量が6ngないし8ngであるときには、PG大状態(第1の条件)に係る中ドットのVmは7.5m/sないし8.5m/sであることが好ましい。このときサテライトドット22s(図4参照)のミスト化が好適に低減される。
また、PG小状態(第2の条件)に係る中ドットのVmは9.5m/sないし10.5m/sであることが好ましい。このとき、サテライトドット22s(図4参照)のミスト化が適度に抑えられつつも、好適な着弾精度を確保することができる。
また、上述した実施形態におけるミスト化の低減の効果は、粘度が高く、サテライトドット22s(図4参照)のミスト化を生じやすい顔料インクを用いるプリンタの場合に、より顕著なものとなる。
本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、プラテン5の吸液性部材18として、ポリエチレンやポリウレタンにカーボン等の導電性材料を混入させて発泡形成し、導電性を付与したものを用い、これを静電力発生手段の電極として構成してもよい。このようにすれば、電極自体の吸液性によるミストの捕捉能力と相まって、ミストの回収能力が向上する。
また、距離PGの設定については、上述の実施形態のように印刷データに基づいて自動調整される態様に限定されるものではなく、ユーザが手動で行うようになっていてもよい。さらにこのような場合において、液体吐出装置はPGの状態を検知するセンサを備えており、当該センサの検知結果によって、制御部28が割り当て信号(SP)を切り替えるようになっていてもよい。
また、距離PGの設定については、上述の実施形態のようにPG大状態とPG小状態の二段階に切り替えられる態様に限定されるものではなく、連続的に値を変化する態様となっていてもよい。このような場合において、割り当て信号(SP)の設定の切り替えは、距離PGが所定値以上か否かによって行うことができる。
また、上述の実施形態の階調データは2ビット(4値)であるが、本願発明は、1ビットないし3ビット以上の階調データで処理される液体吐出装置についても適用できる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
液体吐出装置の内部構造の一例を示す概略斜視図。 吐出ヘッドの内部構造の一例を示す要部断面図。 プラテン周辺の一部を拡大して示した平面図。 図3のA−A断面図。 プリンタの電気的構成を示すブロック図。 制御信号の一例を示すタイミング図。 プリンタの印刷動作に係る制御フローを示すフローチャート (a)は、PG大状態における階調データと選択データおよび印加される電気パルスとの関係を示す図。(b)は、PG小状態における階調データと選択データおよび印加される電気パルスとの関係を示す図。
符号の説明
1…キャリッジ、2…主走査用モータ、3…タイミングベルト、4…ガイドロッド、5…プラテン、5a…支持部、5b〜5e…ダミー部、6…用紙、6a…印刷面、6b…裏面、6c…側縁部、6d…上縁部、8…走査手段を構成する主走査機構、9…フレーム基体、12…吐出ヘッド、12a…ノズル形成面、14…副走査用モータ、15…PG変化手段、16…走査手段を構成する搬送機構、17…支持部材、18…吸液性部材、19a,19b…搬送ローラ、20…静電力発生手段を構成する電極、21…圧力発生手段を構成する圧電振動子、21a…可動端部、21b…圧電体、21c…共通内部電極、21d…個別内部電極、22m…液滴としてのメインドット(インク滴)、22s…液滴としてのサテライトドット(インク滴)、23…吐出制御手段を構成するプリントコントローラ、25…外部I/F、26…RAM、27…ROM、28…静電力選択手段として機能する制御部、29…発振回路、30…駆動信号生成手段としての駆動信号生成回路、31…内部I/F、32…ホストコンピュータ、33…吐出制御手段を構成する駆動回路、36…第1シフトレジスタ、37…第2シフトレジスタ、39…第1ラッチ回路、40…第2ラッチ回路、42…デコーダ、43…制御ロジック、44…レベルシフタ、45…スイッチ回路、50…静電力発生手段を構成する高圧電源、51…PG変化用モータ、79…ノズル、81…圧力発生手段を構成する圧力発生室、100…液体吐出装置としてのプリンタ。

Claims (4)

  1. 液体をノズルから液滴として吐出する吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドと対向するように配設され、前記吐出対象物を支持する支持部材と、 前記支持部材に隣接する位置において静電力を発生させる静電力発生手段と、
    前記吐出ヘッドが前記吐出対象物の縁の領域を含んで前記液滴を吐出するか否かによって、前記静電力の発生の有無を選択する静電力選択手段と、
    前記吐出対象物の種類に応じて、前記吐出対象物と前記ノズルとの距離(PG)を変化させるPG変化手段と、
    前記ノズル毎に生成された二値以上の階調データに応じた条件で前記ノズルから液滴を吐出させる吐出制御手段と、を備え、
    前記吐出制御手段は、前記PGが所定値以上である場合には吐出される液滴の速度が遅いものとなる第1の電気パルスを用いて前記液滴を吐出し、前記PGが所定値未満である場合には吐出される液滴の速度が速いものとなる第2の電気パルスを用いて前記液滴を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 液体をノズルから液滴として吐出する吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドと対向するように配設され、前記吐出対象物を支持する支持部材と、 前記支持部材に隣接する位置において静電力を発生させる静電力発生手段と、
    前記吐出ヘッドが前記吐出対象物の縁の領域を含んで前記液滴を吐出するか否かによって、前記静電力の発生の有無を選択する静電力選択手段と、
    前記吐出対象物の種類に応じて、前記吐出ヘッドを高さ方向に変化させて前記吐出対象物と前記ノズルとの距離(PG)を変化させるPG変化手段と、
    前記ノズル毎に生成された二値以上の階調データに応じた条件で前記ノズルから液滴を吐出させる吐出制御手段と、を備え、
    前記吐出制御手段は、前記PGが所定値以上である場合には吐出される液滴の速度が遅いものとなる第1の電気パルスを用いて前記液滴を吐出し、前記PGが所定値未満である場合には吐出される液滴の速度が速いものとなる第2の電気パルスを用いて前記液滴を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
  3. 前記第1の電気パルス及び前記第2の電気パルスによって吐出される液滴の量は、ほぼ同量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記吐出制御手段は、前記第1の電気パルスと前記第2の電気パルスとが一周期内でタイミングを違えて結合された駆動信号を生成する駆動信号生成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置。
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