JP2004330446A - 液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004330446A
JP2004330446A JP2003125563A JP2003125563A JP2004330446A JP 2004330446 A JP2004330446 A JP 2004330446A JP 2003125563 A JP2003125563 A JP 2003125563A JP 2003125563 A JP2003125563 A JP 2003125563A JP 2004330446 A JP2004330446 A JP 2004330446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
airflow
head
head member
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003125563A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Kumagai
谷 利 雄 熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2003125563A priority Critical patent/JP2004330446A/ja
Publication of JP2004330446A publication Critical patent/JP2004330446A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】噴射される液体滴が着弾位置に正しく到達することを妨害することなく、液体ミストを十分に回収することができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の液体噴射装置は、ノズル面を有するヘッド部材4と、液体被噴射媒体12を保持する液体被噴射媒体保持手段と、ヘッド部材4のノズル面と液体被噴射媒体12との間の所定の間隔を維持しながらヘッド部材4を液体被噴射媒体12に対して相対的に移動させる走査手段と、ノズル開口部分の液体の圧力を変動させて液体を噴射させる圧力変動手段と、吐出データに基づいて圧力変動手段を駆動させる制御本体部と、を備える。ヘッド面に対して走査手段によるヘッド部材4の相対的移動方向の下流側に、走査手段によるヘッド部材の相対的移動に伴ってヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように、整流機構100が配置されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口から液体滴を吐出させるヘッド部材を備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置は、記録ヘッドからインク滴が吐出される際に、微小なインクミストをも発生させてしまう。このようなインクミストは、インクジェット式記録装置の記録ヘッド近傍の各部材を汚し得る。その場合、結果的に、液体被噴射媒体の一例である記録用紙が汚れてしまったりする。更には、インクミストが固化すると、記録用紙の搬送が阻害される場合もある。
【0003】
特開2002−307725は、インクミストを効果的に回収する技術として、ファンを用いて発生させた気流によってインクミストを回収する方法を開示している。
【0004】
しかしながら、ファンを用いる構成はコスト高を招く。更には、ファンによって発生される気流は、吐出インク滴の軌道に影響し、吐出インク滴が着弾位置に正しく到達することを妨害して、結果的に印字品質を低下させてしまう。
【0005】
特開平11−179930は、記録ヘッドに隣接してミスト回収部を設けて、気流の剥離作用により発生する乱流を利用してインクミストを回収する方法を開示している。この方法は、コスト高を招くこともない。
【0006】
しかしながら、本件発明者による実験の結果、特開平11−179930に開示された構成では、インクミストを十分に回収することができないことが知見された。
【0007】
特開2000−263814は、印字ヘッドの走査時に空気の粘性のために発生する気流を利用してインクミストを回収する方法を開示している。具体的には、インク吐出口(ノズル開口)近傍を通過した気流が印字ヘッドに沿って上昇するように、気流を案内する凸部が設けられている。
【0008】
しかしながら、本件発明者による実験の結果、特開2000−263814に開示された構成では、印字品質が低下してしまうことが知見された。
【0009】
本件発明者は、この印字品質低下の原因について、凸部の下端部がインク吐出口よりも記録紙に近い位置に配置されているために(特開2000−263814に開示された技術では、気流を上向きに確実に案内するために、当該位置関係が不可欠である)、インク吐出口近傍を気流が円滑に通過できないためであると考えた。つまり、特開2000−263814に開示された技術では、気流の通過経路についての考察のみがなされていて、気流の実際上の振る舞いについての考察(流体力学的考察)が十分になされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、吐出インク滴が着弾位置に正しく到達することを妨害することなく、インクミストを十分に回収することができるインクジェット式記録装置、広くは、噴射される液体滴が着弾位置に正しく到達することを妨害することなく、液体ミストを十分に回収することができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−307725号公報
【特許文献2】
特開平11−179930号公報
【特許文献3】
特開2000−263814号公報
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル開口が形成されたノズル面を有するヘッド部材と、ヘッド部材のノズル面から所定の間隔(距離)に平面状の液体被噴射媒体を保持する液体被噴射媒体保持手段と、ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔(距離)を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に所定方向に移動させる走査手段と、ノズル開口部分の液体の圧力を変動させて液体を噴射させる圧力変動手段と、吐出データに基づいて圧力変動手段を駆動させる制御本体部と、ヘッド面に対して走査手段によるヘッド部材の相対的移動方向の下流側に、走査手段によるヘッド部材の相対的移動に伴ってヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置された整流機構と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0013】
本発明によれば、整流機構が、ヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置されているため、整流機構が設けられていない場合と同様の液体噴射制御を実施することで正確な着弾位置に液体滴を噴射することができる一方、発生し得る液体ミストは気流に乗って偏向され、適宜の態様で回収乃至排出され得る。
【0014】
好ましくは、整流機構は、前記気流を液体被噴射媒体から離れる方向に円滑に偏向させる偏向面を有している。これにより、液体ミストが液体被噴射媒体から遠ざけられるため、液体被噴射媒体が液体によって汚れることが防止される。
【0015】
この場合、前記偏向面は、略円弧状の断面を有していることが好ましい。偏向面が略円弧状の断面を有する場合、極めて円滑に気流を案内することができる。
【0016】
特に、前記偏向面の略円弧状の断面が、前記偏向面の前記気流の上流側の端縁において液体被噴射媒体から所定の間隔の面に対して接している場合、気流が偏向面上に極めて円滑に推移できる。
【0017】
また、整流機構は、液体被噴射媒体から所定の間隔に設けられた気流逃がし面を有しており、前記偏向面と前記気流逃がし面とは、互いに背中合わせに接していることが好ましい。このようにすれば、ヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えない構成を容易に実現することができる。
【0018】
更に、整流機構は、偏向面によって偏向された気流を更に偏向させる第2偏向面を有していることが好ましい。
【0019】
この場合、例えば、前記第2偏向面は、前記気流を液体被噴射媒体に向かう方向に円滑に偏向させるようになっている。
【0020】
また、前記第2偏向面も、略円弧状の断面を有していることが好ましい。この場合、第2偏向面は、極めて円滑に気流を案内することができる。
【0021】
偏向面及び第2偏向面が、それぞれ略円弧状の断面を有している場合、前記第2偏向面の前記気流の上流側の端縁の断面は、前記偏向面の断面の略円弧を補完して仮想できる円の中心の近傍に位置していることが好ましい。この場合、第2偏向面は、偏向面により偏向される気流を妨げること無く、かつ、偏向面により偏向される気流を円滑に受容することができる。ここで、偏向面及び第2偏向面は、それぞれ同一径の略円弧状の断面を有していることが好ましい。
【0022】
更に好ましくは、前記第2偏向面の前記気流の下流側の端縁は、前記気流を液体被噴射媒体に向かう方向に案内する案内面に接するように接続される。更に好ましくは、前記案内面に対向するように第2案内面が設けられて、案内面と第2案内面との間に気流通路が形成される。更に好ましくは、前記偏向面と前記第2案内面とは、互いに背中合わせに接する。
【0023】
ここで、走査手段が、ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に前記所定方向とは逆方向に移動させることが可能である場合、前記気流通路には、走査手段によるヘッド部材の前記逆方向への相対的移動中に当該気流通路を閉鎖する閉鎖機構が設けられていることが好ましい。この場合、気流通路内における逆方向の気流の発生が閉鎖機構によって防止されるため、走査手段によるヘッド部材の前記逆方向への相対的移動中に液体ミストがヘッド部材側へ逆送されることが防止される。
【0024】
また、走査手段が、ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に前記所定方向とは逆方向に移動させることが可能である場合、ヘッド面に対して走査手段によるヘッド部材の前記逆方向への相対的移動の下流側に、走査手段によるヘッド部材の当該逆方向への相対的移動に伴ってヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置された第2整流機構が設けられていることが好ましい。
【0025】
すなわち、ヘッド部材が双方向移動可能に構成されている場合には、各方向への相対的移動のそれぞれの下流側に、それぞれ整流機構が設けられていることが好ましい。これにより、双方向の各走査時に液体噴射する場合に、液体ミストを各整流機構によって回収乃至排出することができる。
【0026】
なお、液体被噴射媒体保持手段は、平面状の液体被噴射媒体を平面状態に保持するようになっていてもよいし、平面状の液体被噴射媒体を円筒面上で保持するようになっていてもよい。前者はシリアル方式と呼ばれる構成であり、後者はドラム方式と呼ばれる構成である。
【0027】
なお、液体ミストの効果的な回収のために、前記偏向面及び/または前記第2偏向面には、液体ミストを吸収する吸収材が設けられていることが好ましい。
【0028】
あるいは、ヘッド部材の一部が導電性材料で構成されており、当該ヘッド部材の一部が接地されている場合、前記偏向面及び/または前記第2偏向面には電極部材が設けられて、当該電極部材に所定の電位が印加されることが好ましい。この場合、静電的に液体ミストを回収することが可能である。この場合、電極部材には、1kV以上、好ましくは2kV以上の電位が印加されることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施の形態のインクジェット式記録装置(液体噴射装置の一例)は、インクジェット式プリンタ1であり、インクカートリッジ2(液体容器)を保持可能なカートリッジホルダ部4aを有する記録ヘッド4(ヘッド部材)が、キャリッジ5(キャリッジ部材)に支持されている。キャリッジ5は、ヘッド走査機構によって、主走査方向に沿って往復移動されるようになっている。
【0031】
ヘッド走査機構は、ハウジングの左右方向に架設されたガイド部材6と、ハウジングの一方側に設けられたパルスモータ7と、パルスモータ7の回転軸に接続されて回転駆動される駆動プーリー8と、ハウジングの他方側に取付けられた遊転プーリー9と、駆動プーリー8及び遊転プーリー9の間に掛け渡されると共にキャリッジ5に結合されたタイミングベルト10と、パルスモータ7の回転を制御する制御部11(図4参照)と、から構成されている。これにより、パルスモータ7を作動させることによって、キャリッジ5、即ち、記録ヘッド4を、記録紙12の幅方向である主走査方向に往復移動させることができる。
【0032】
また、プリンタ1は、記録紙12等の記録用媒体(液体被噴射媒体)を紙送り方向(副走査方向)に送り出す紙送り機構を有する。この紙送り機構は、紙送りモータ13及び紙送りローラ14等から構成される。記録紙12等の記録媒体は、記録動作に連動して、順次送り出される。
【0033】
本実施の形態のプリンタ1は、記録ヘッド4の往動時及び復動時の両方で記録動作を実行する(双方向記録を行う)ように構成されている。
【0034】
さて、本実施の形態の記録ヘッド4は、図2に示すように、保持機構110を介して、当該記録ヘッド4の往動時の移動方向の下流側、図2においては右側、に整流部材100を支持している(図1においては不図示)。また、保持機構210を介して、当該記録ヘッド4の復動時の移動方向の下流側、図2においては左側、に第2整流部材200を支持している(図1においては不図示)。
【0035】
ここで、整流部材100は、記録ヘッド4の往動の主走査(図2において左方向)に伴って記録ヘッド4の記録紙12側の面(後述するノズルプレート16の下面)上において発生する気流(空気の粘性のために発生する:図2において右方向)の速度に影響を与えないように設けられている。すなわち、記録ヘッド4の記録紙12側の面上の気流の状態が整流部材100の有無によって変化しないように、整流部材100の形状及び配置位置が調整されている。
【0036】
同様に、第2整流部材200は、記録ヘッド4の復動の主走査(図2において右方向)に伴って記録ヘッド4の記録紙12側の面上において発生する気流(図2において左方向)の速度に影響を与えないように設けられている。すなわち、記録ヘッド4の記録紙12側の面上の気流の状態が第2整流部材200の有無によって変化しないように、第2整流部材200の形状及び配置位置が調整されている。
【0037】
また、本実施の形態の各整流部材100、200は、気流の方向を急激に変えるのでは無く、気流を円滑に偏向させるように形成されている。
【0038】
まず、整流部材100について詳細に説明する。
【0039】
図2に示すように、整流部材100は、前記気流を記録紙12から離れる方向に円滑に偏向させる偏向面101を有している。本実施の形態の偏向面101は、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。
【0040】
一方、整流部材100は、記録紙12から所定の間隔に設けられた気流逃がし面102を有している。本実施の形態における当該所定の間隔とは、記録ヘッド4の記録紙12側の面と記録紙12との間の間隔である。本実施の形態では記録紙12は平面状態に保持されているため、気流逃がし面102は、記録ヘッド4の記録紙12側の面(ノズルプレート16の下面)と同一の面内に存在する平面である。
【0041】
そして、偏向面101と気流逃がし面102とは、互いに背中合わせに接している。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。本件発明者の知見によれば、このような構成が採用される場合において、記録ヘッド4の記録紙12側の面上において発生する気流の状態を整流部材100の配置の有無に関わらず実質的に同一とすることが容易である。
【0042】
更に、本実施の形態の整流部材100は、偏向面101によって偏向された気流を更に偏向させる第2偏向面103を有している。本実施の形態の第2偏向面103は、前記気流を記録紙12に向かう方向に円滑に偏向させる、つまり、折り返させるようになっている。
【0043】
本実施の形態の第2偏向面103も、偏向面101と同様に、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。本実施の形態では、偏向面101及び第2偏向面103は、それぞれ同一径の略円弧状の断面を有している。
【0044】
なお、本実施の形態では、第2偏向面103の前記気流の上流側の端縁の断面103Aが、偏向面101の断面の略円弧を補完して仮想できる円(図2に点線で記載)の中心の近傍に位置している。本件発明者の知見によれば、このような位置関係が採用される場合において、第2偏向面103は、偏向面101により偏向される気流を妨げること無く、かつ、偏向面101により偏向される気流を円滑に受容することができる。
【0045】
一方、第2偏向面103の前記気流の下流側の端縁103Bは、前記気流を記録紙12に向かう方向に案内する平坦な案内面104に接するように接続されている。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0046】
また、平坦な案内面104に対向するように、平坦な第2案内面105が設けられている。本実施の形態では、案内面104と第2案内面105とは、略平行に配置されている。これにより、案内面104と第2案内面105との間に、気流通路Pが形成されている。そして、気流逃がし面102と第2案内面105とが、互いに背中合わせに接続されている。
【0047】
なお、インクミストの効果的な回収のために、偏向面101及び第2偏向面103には、インクミストを吸収する吸収材101s、103sが取り付けられている。
【0048】
次に、第2整流部材200について詳細に説明する。第2整流部材200は、記録ヘッド4を挟んで前述の整流部材100と鏡面対称の構造を有している。
【0049】
すなわち、図2に示すように、第2整流部材200は、記録ヘッド4の復動の主走査に伴って発生する気流を記録紙12から離れる方向に円滑に偏向させる偏向面201を有している。本実施の形態の偏向面201は、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。
【0050】
一方、第2整流部材200は、記録紙12から所定の間隔に設けられた気流逃がし面202を有している。本実施の形態における当該所定の間隔とは、記録ヘッド4の記録紙12側の面と記録紙12との間の間隔である。本実施の形態では記録紙12は平面状態に保持されているため、気流逃がし面202は、記録ヘッド4の記録紙12側の面(ノズルプレート16の下面)と同一の面内に存在する平面である。
【0051】
そして、偏向面201と気流逃がし面202とは、互いに背中合わせに接している。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0052】
更に、本実施の形態の第2整流部材200は、偏向面201によって偏向された気流を更に偏向させる第2偏向面203を有している。本実施の形態の第2偏向面203は、前記気流を記録紙12に向かう方向に円滑に偏向させる、つまり、折り返させるようになっている。
【0053】
第2整流部材200の第2偏向面203も、偏向面201と同様に、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。本実施の形態では、偏向面201及び第2偏向面203は、それぞれ、整流部材100の偏向面101及び第2偏向面103と同一径の略円弧状の断面を有している。
【0054】
そして、本実施の形態では、第2偏向面203の前記気流の上流側の端縁の断面203Aが、偏向面201の断面の略円弧を補完して仮想できる円の中心の近傍に位置している。
【0055】
一方、第2偏向面203の前記気流の下流側の端縁203Bは、前記気流を記録紙12に向かう方向に案内する平坦な案内面204に接するように接続されている。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0056】
また、平坦な案内面204に対向するように、平坦な第2案内面205が設けられている。本実施の形態では、案内面204と第2案内面205とは、略平行に配置されている。これにより、案内面204と第2案内面205との間に、気流通路Pが形成されている。そして、気流逃がし面202と第2案内面205とが、互いに背中合わせに接続されている。
【0057】
そして、インクミストの効果的な回収のために、偏向面201及び第2偏向面203には、インクミストを吸収する吸収材201s、203sが取り付けられている。
【0058】
なお、図2は、副走査方向に垂直な面での記録ヘッド4等の断面を示しているが、各整流部材100、200の各構成要素は、副走査方向においては当該副走査方向に平行に延在し、その副走査方向の長さは記録ヘッド4のそれに略一致している。
【0059】
次に、記録ヘッド4の内部機構について説明する。記録ヘッド4は、ブラックインクを吐出可能なブラックヘッドユニットと、シアンインクを吐出可能なシアンヘッドユニットと、マゼンタインクを吐出可能なマゼンタヘッドユニットと、イエローインクを吐出可能なイエローヘッドユニットと、ライトシアンインクを吐出可能なライトシアンヘッドユニットと、ライトマゼンタインクを吐出可能なライトマゼンタヘッドユニットと、を有する。また、各ヘッドユニットの底面には、副走査方向に沿って、複数のノズル開口17が形成されている。各ヘッドユニット毎のノズル開口17は、同数であって、互いに1対1に対応して主走査方向に整列している。
【0060】
次に、各ヘッドユニットについて、図3を用いて説明する。各ヘッドユニットは、共通の構造を有しており、図3に示すように、例えばプラスチックからなる箱体状のケース71の収納室72内に、櫛歯状の圧電振動子21が一方の開口から挿入されて櫛歯状先端部21aが他方の開口に臨んでいる。その他方の開口側のケース71の表面(下面)には流路ユニット74が接合され、櫛歯状先端部21aは、それぞれ流路ユニット74の所定部位に当接固定されている。
【0061】
圧電振動子21は、圧電体21bを挟んで共通内部電極21cと個別内部電極21dとを交互に積層した板状の振動子板を、ドット形成密度に対応させて櫛歯状に切断して構成してある。そして、共通内部電極21cと個別内部電極21dとの間に電位差を与えることにより、各圧電振動子21は、積層方向と直交する振動子長手方向に伸縮する。
【0062】
流路ユニット74は、流路形成板75を間に挟んでノズルプレート16と弾性板77を両側に積層することにより構成されている。
【0063】
流路形成板75は、ノズルプレート16に複数開設したノズル開口17とそれぞれ連通して圧力発生室隔壁を隔てて列設された複数の圧力発生室22と、各圧力発生室22の少なくとも一端に連通する複数の供給部82と、全供給部82が連通する細長い共通室83と、が形成された板材である。例えば、シリコンウエハーをエッチング加工することにより、細長い共通室83が形成され、共通室83の長手方向に沿って圧力発生室22がノズル開口17のピッチに合わせて形成され、各圧力発生室22と共通室83との間に溝状の供給部82が形成され得る。なお、この場合、圧力発生室22の一端に供給部82が接続し、この供給部82とは反対側の端部近傍でノズル開口17が位置するように配置されている。また、共通室83は、インクカートリッジ2に貯留されたインクを圧力発生室22に供給するための室であり、その長手方向のほぼ中央に供給管84が連通している。
【0064】
弾性板77は、ノズルプレート16とは反対側の流路形成板75の面に積層され、ステンレス板87の下面側にPPS等の高分子体フィルムを弾性体膜88としてラミネート加工した二重構造である。そして、圧力発生室22に対応した部分のステンレス板87をエッチング加工して、圧電振動子21を当接固定するためのアイランド部89が形成されている。
【0065】
上記の構成を有する各ヘッドユニットでは、圧電振動子21を振動子長手方向に伸長させることにより、アイランド部89がノズルプレート16側に押圧され、アイランド部89周辺の弾性体膜88が変形して圧力発生室22が収縮する。また、圧力発生室22の収縮状態から圧電振動子21を長手方向に収縮させると、弾性体膜88の弾性により圧力発生室22が膨張する。圧力発生室22を一旦膨張させてから収縮させることにより、圧力発生室22内のインクの圧力が高まって、ノズル開口17からインク滴が吐出される。
【0066】
すなわち、各ヘッドユニットにおいては、圧電振動子21に対する充放電に伴って、対応する圧力室22の容量が変化する。このような圧力室22の圧力変動を利用して、ノズル開口17からインク滴を吐出させたり、メニスカス(ノズル開口17で露出しているインクの自由表面)を微振動させたりすることができる。
【0067】
なお、上記の縦振動振動モードの圧電振動子21に代えて、いわゆるたわみ振動モードの圧電振動子を用いることも可能である。たわみ振動モードの圧電振動子は、充電による変形で圧力室を収縮させ、放電による変形で圧力室を膨張させる圧電振動子である。
【0068】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、このインクジェット式プリンタ1は、プリンタコントローラ30とプリントエンジン31とを備えている。
【0069】
プリンタコントローラ30は、外部インターフェース(外部I/F)32と、各種データを一時的に記憶するRAM33と、制御プログラム等を記憶したROM34と、CPU等を含んで構成された制御部11と、クロック信号を発生する発振回路35と、記録ヘッド4の各ヘッドユニットへ供給するための駆動信号等を発生する駆動信号発生回路36と、駆動信号や、印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン31に送信する内部インターフェース(内部I/F)37と、を備えている。
【0070】
外部I/F32は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信する。また、ビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F32を通じて、ホストコンピュータ等に対して出力される。
【0071】
RAM33は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)を有している。そして、受信バッファは、外部I/F32を介して受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファは、制御部11により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファは、ドットパターンデータを記憶する。ここで、ドットパターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印字データである。
【0072】
ROM34には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。さらにROM34は、メンテナンス情報保持手段として、メンテナンス動作用の設定データをも記憶している。
【0073】
制御部11は、ROM34に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行う。例えば、受信バッファ内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファに記憶させる。また、制御部11は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM34に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、ドットパターンデータに展開(デコード)する。そして、制御部11は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファに記憶させる。
【0074】
記録ヘッド4の1回の主走査により記録可能な1行分のドットパターンデータが得られたならば、当該1行分のドットパターンデータが、出力バッファから内部I/F37を通じて順次記録ヘッド4の各インクヘッドユニットの電気駆動系39に出力され、キャリッジ5が走査されて1行分の印刷が行われる。出力バッファから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
【0075】
さらに、制御部11は、記録ヘッド4による記録動作とは別途に実施されるメンテナンス動作(回復動作)をも制御するようになっている。
【0076】
プリントエンジン31は、紙送り機構としての紙送りモータ13と、ヘッド走査機構としてのパルスモータ7と、記録ヘッド4の電気駆動系39と、を含んで構成してある。
【0077】
次に、記録ヘッド4の電気駆動系39について説明する。電気駆動系39は、図4に示すように、順に電気的に接続されたシフトレジスタ回路40、ラッチ回路41、レベルシフタ回路42、スイッチ回路43及び圧電振動子21を備えている。これらのシフトレジスタ回路40、ラッチ回路41、レベルシフタ回路42、スイッチ回路43及び圧電振動子21は、それぞれ、記録ヘッド4の各ヘッドユニットの各ノズル開口17毎に設けられている。
【0078】
この電気駆動系39では、スイッチ回路43に加わる選択データが「1」の場合、スイッチ回路43は接続状態となって駆動信号が圧電振動子21に直接印加され、各圧電振動子21は駆動信号の信号波形に応じて変形する。一方、スイッチ回路43に加わる選択データが「0」の場合、スイッチ回路43は非接続状態となって圧電振動子21への駆動信号の供給が遮断される。
【0079】
このように、選択データに基づいて、各圧電振動子21に対して駆動信号を選択的に供給できる。このため、与えられる選択データ次第で、ノズル開口17からインク滴を吐出させたり、メニスカスを微振動させたりすることができる。
【0080】
次に、プリンタ1の動作について説明する。
【0081】
電源が投入されると、まず必要な初期化動作が行われる。その後、記録ヘッド4は待機ポジションで待機する。1行分の印字データがRAM33の出力バッファから出力されると、記録ヘッド4は、記録動作に先だって、メンテナンス動作(回復動作)を実施する。
【0082】
このメンテナンス動作は、記録ヘッド4のインク滴の吐出能力を維持するために行われるもので、例えばインク吸引動作とフラッシング動作と微振動動作とがあり、適宜に選択されて実施される。
【0083】
そして、メンテナンス動作がなされた後に、印字データに基づく記録動作が行われる。具体的には、記録ヘッド4の主走査方向の移動中に、ノズル開口17から適宜のタイミングでインク滴が吐出され得る。
【0084】
本実施の形態では、記録ヘッド4の左右に整流部材100及び第2整流部材200が設けられているが、各整流部材100、200は、記録ヘッド4の主走査に伴って記録ヘッド4の記録紙12側の面(ノズルプレート16の下面)上において発生する気流の速度に影響を与えないように設けられている。従って、インク滴の吐出軌道に対する前記気流の影響が各整流部材100、200の存在によって変わらないため、各整流部材100、200が設けられていない状態でのインク滴吐出制御に変更を加える必要無く、高精度なインク滴吐出が実現され得る。
【0085】
一方、インク滴吐出動作に伴って発生し得るインクミストは、前記気流に乗って移動する。インクミストは、主として、インク滴が記録紙12に着弾した際に跳ね散って生じるため、記録紙12から遠ざかる方向(図2の上方向)の速度成分を有している場合が多い。従って、インクミストは、記録紙12と気流逃がし面102、202との間を通る気流ではなく、偏向面101、201に案内される気流の方に多く含まれる傾向にある。そして、偏向面101、201、更には、偏向面101、201を通過した気流を案内する第2偏向面103、203において、インクミストを吸収する吸収材101s、103s、201s、203sが設けられているため、インクミストは偏向面による強い遠心力の作用により、これら吸収材101s、103s、201s、203sによって効果的に吸収される。これにより、インクミストが記録ヘッド4近傍を含め装置内の各部材を汚すことが防止され得る。
【0086】
本実施の形態では、断面円弧状の偏向面101、201が、前記気流を記録紙12から離れる方向に極めて円滑に偏向させるため、インクミストが記録紙12から極めて円滑に遠ざけられる。これにより、記録紙12がインクミストによって汚れることが効果的に防止され得る。
【0087】
特に、偏向面101、201と気流逃がし面102、202とが、互いに背中合わせに「接して」いるため、インクミストを含む気流は、極めて円滑に偏向面101、202上に案内される。
【0088】
また、第2偏向面103、203も略円弧状の断面を有しているために、極めて円滑に気流が案内され得る。
【0089】
更には、第2偏向面103、203の前記気流の下流側の端縁103B、203Bが、前記気流を記録紙12に向かう方向に案内する案内面104,204に接するように接続されているため、気流の流れが極めて円滑に保たれ得る。
【0090】
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5に示す実施の形態では、前述の第1の実施の形態における整流部材100及び第2整流部材200が更に改良されている。
【0091】
すなわち、図5に示す整流部材100’は、第2案内面105’が完全に平坦では無くて、気流逃がし面102の側において断面円弧状となっている。そして、第2偏向面105’と気流逃がし面102とが、互いに背中合わせに「接して」いる。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0092】
更に、案内面104’が、案内面104と比較して短縮され、代わりにシャッタ部材106’(閉鎖機構の一例)が設けられている。シャッタ部材106’は、案内面104’に略連続に設けられ、案内面104’の延長方向に延びる開放位置と、第2案内面105’に略接触する閉鎖位置と、の間で可動に設けられている。
【0093】
そして、シャッタ部材106’は、整流部材100’が記録ヘッド4に対して走査方向の上流側となる場合に、第2案内面105’に略接触する閉鎖位置に制御され、気流通路Pを遮断するようになっている。
【0094】
また、偏向面101及び第2偏向面103には、それぞれ吸収材101s、103sの代わりに、電極部材101e、103eが設けられている。そして、当該電極部材101e、103eには、所定の電位が印加されている。なお、この場合、記録ヘッド4の少なくとも一部は、導電性材料で構成されて、接地されている。前記所定の電位とは、この場合、1kV以上の電位、好ましくは2kV以上の電位である。
【0095】
整流部材100’のその他の構成は、整流部材100と同一である。同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0096】
同様に、図5に示す第2整流部材200’は、第2案内面205’が完全に平坦では無くて、気流逃がし面202の側において断面円弧状となっている。そして、第2偏向面205’と気流逃がし面202とが、互いに背中合わせに「接して」いる。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0097】
更に、案内面204’が、案内面204と比較して短縮され、代わりにシャッタ部材206’が設けられている。シャッタ部材206’は、案内面204’に略連続に設けられ、案内面204’の延長方向に延びる開放位置と、第2案内面205’に略接触する閉鎖位置と、の間で可動に設けられている。
【0098】
そして、シャッタ部材206’は、第2整流部材200’が記録ヘッド4に対して走査方向の上流側となる場合に、第2案内面205’に略接触する閉鎖位置に制御され、気流通路Pを遮断するようになっている。
【0099】
また、偏向面201及び第2偏向面203には、それぞれ吸収材201s、203sの代わりに、電極部材201e、203eが設けられている。そして、当該電極部材201e、203eには、所定の電位が印加されている。前記所定の電位とは、この場合、1kV以上の電位、好ましくは2kV以上の電位である。
【0100】
第2整流部材200’のその他の構成は、第2整流部材200と同一である。同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0101】
本実施の形態によれば、各整流部材100’、200’が記録ヘッド4の走査方向に対して上流側となる場合において、各シャッタ部材106’、206’が閉鎖位置に制御されることにより、気流通路P内を記録ヘッド4側に逆流する気流の発生が効果的に防止される。これにより、記録ヘッド4の主走査移動中にインクミストが記録ヘッド4側へ逆送されることが極めて有効に防止される。
【0102】
また、本実施の形態によれば、第2案内面105’、205’と気流逃がし面102、202とが互いに背中合わせに「接して」いるため、各整流部材100’、200’が記録ヘッド4の走査方向に対して上流側となる場合において、気流逃がし面102、202上の気流の状態がより安定している。
【0103】
更に、記録ヘッド4の一部が導電性材料で構成されて、当該記録ヘッドの一部が接地されており、偏向面101、201及び第2偏向面103、203にはそれぞれ電極部材101e、201e、103e、203eが設けられて、当該電極部材101e、201e、103e、203eに所定の電位が印加されていることにより、インクミストが静電的に回収され得る。
【0104】
次に、図6乃至図8を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6乃至図8に示す実施の形態は、ドラム方式のインクジェット記録装置である。前述の実施の形態は、記録紙12が平面状態に保持されるシリアル方式のインクジェット記録装置であったが、本実施の形態では、記録紙12はドラム300の円筒面上に保持される。
【0105】
図6及び図7に示すように、ドラム300は、回転軸300a回りに回転するようになっている。記録紙12は、ドラム300の円筒面上に、用紙押さえ部材301、302を介して、固定されるようになっている。
【0106】
ドラム300の上方には、回転軸300aと平行に、記録ヘッド304が配置されている。記録ヘッド304のドラム300側の面は、複数のノズル開口が設けられたノズル面として構成されている。本実施の形態では、当該ノズル面は水平面である。ドラム300の回転に伴って、空気の粘性のために、当該ノズル面上において気流が発生する。
【0107】
図7及び図8に示すように、記録ヘッド304に対して前記気流の上流側に、ヘッド前方整流部材310が設けられている。ヘッド前方整流部材310は、記録ヘッド304に隣接して設けられており、前記ノズル面と記録紙12との間の距離に略等しい間隔だけ記録紙12から離れた気流案内面310aを有している。気流案内面310aは、ドラム300の回転軸300aを中心にした円弧状断面を有している。
【0108】
また、ヘッド前方整流部材310には、気流案内面310aに「接する」ように、気流を上方側に逃がす円滑な気流逃がし面310bも形成されている。ここで、両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0109】
一方、記録ヘッド304に対して前記気流の下流側に、ヘッド後方整流部材400が設けられている。ヘッド後方整流部材400は、記録ヘッド304に隣接して設けられており、前記ノズル面と記録紙12との間の距離に略等しい間隔だけ記録紙12から離れた気流案内面400aを有している。気流案内面400aは、ドラム300の回転軸300aを中心にした円弧状断面を有している。
【0110】
また、ヘッド後方整流部材400には、気流案内面400aの延長方向に、空洞部400sを挟んで、前記ノズル面と記録紙12との間の距離に略等しい間隔だけ記録紙12から離れた気流逃がし面402を有している。
【0111】
一方、ヘッド後方整流部材400の空洞部400sには、前記気流を記録紙12から離れる方向に円滑に偏向させる偏向面401が形成されている。本実施の形態の偏向面401は、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。
【0112】
そして、偏向面401と気流逃がし面402とは、互いに背中合わせに接している。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0113】
更に、ヘッド後方整流部材400の空洞部400sには、偏向面401によって偏向された気流を案内する天井面404と、前記気流を更に偏向させる第2偏向面403と、が形成されている。本実施の形態の第2偏向面403は、前記気流を記録紙12に向かう方向に円滑に偏向させる、つまり、折り返させるようになっている。
【0114】
本実施の形態の第2偏向面403も、偏向面401と同様に、極めて円滑に気流を案内するべく、略円弧状の断面を有している。本実施の形態では、偏向面401及び第2偏向面403は、それぞれ同一径の略円弧状の断面を有している。
【0115】
そして、第2偏向面403と気流案内面400aとは、互いに背中合わせに接している。ここで両面が「接する」とは、両面の実質的な接点における両面の法線方向が一致していることを意味する。
【0116】
本件発明者の知見によれば、以上のような構成が採用される場合において、記録ヘッド304の記録紙12側のノズル面上において発生する気流の状態を、ヘッド前方整流部材310及びヘッド後方整流部材400の配置の有無に関わらず実質的に同一とすることが容易である。
【0117】
そして、本実施の形態では記録ヘッド304の左右に整流部材310、400が隣接して設けられているが、各整流部材310、400は、記録ヘッド304の相対的な走査移動(実際にはドラム300の回転移動)に伴って記録ヘッド304の記録紙12側の面上において発生する気流の速度に影響を与えないように設けられている。
【0118】
なお、インクミストの効果的な回収のために、偏向面401、天井面404及び第2偏向面403には、インクミストを吸収する吸収材401s、404s、403sが設けられている。
【0119】
本実施の形態によれば、インク滴の吐出軌道に対する前記気流の影響が各整流部材310、400の存在によって変わらない。このため、各整流部材310、400が設けられていない状態でのインク滴吐出制御に変更を加える必要無く、高精度なインク滴吐出が実現され得る。
【0120】
一方、インク滴吐出動作に伴って発生し得るインクミストは、前記気流に乗って移動する。そして、インクミストは、ドラム300近傍において遠心力の作用を受けるため、記録紙12と気流逃がし面402との間を通る気流ではなく、偏向面401に案内される気流の方に多く含まれる傾向にある。そして、偏向面401、更には、偏向面401を通過した気流を案内する天井面404及び第2偏向面403において、インクミストを吸収する吸収材401s、404s、403sが設けられているため、インクミストはこれら吸収材401s、404s、403sによって効果的に吸収される。これにより、インクミストが記録ヘッド304近傍を含め装置内部の各部材を汚すことが防止され得る。
【0121】
本実施の形態では、断面円弧状の偏向面401が、前記気流を記録紙12から離れる方向に極めて円滑に偏向させるため、インクミストが記録紙12から極めて円滑に遠ざけられる。これにより、記録紙12がインクミストによって汚れることが効果的に防止され得る。
【0122】
特に、偏向面401と気流逃がし面402とが、互いに背中合わせに「接して」いるため、インクミストを含む気流は、極めて円滑に偏向面401上に案内される。偏向面では強い遠心力が作用することにより、インクミストは効率的に吸収材に吸収される。
【0123】
なお、以上の説明はインクジェット記録装置についてなされているが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものである。液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア、導電性液体(液体金属)等が用いられ得る。更に、本発明は、液晶等の表示体におけるカラーフィルタの製造用装置にも適用され得る。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、整流機構が、ヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置されているため、整流機構が設けられていない場合と同様の液体噴射制御を実施することで正確な着弾位置に液体滴を噴射することができる一方、発生し得る液体ミストは気流に乗って偏向され、適宜の態様で回収乃至排出され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【図2】本実施の形態の記録ヘッド及び各整流部材を示す概略断面図である。
【図3】本実施の形態の記録ヘッドのヘッドユニットの構成を説明する図である。
【図4】本実施の形態の記録ヘッドの電気的構成を示す概略ブロック図である。
【図5】記録ヘッド及び各整流部材の他の実施の形態を示す概略断面図である。
【図6】ドラム方式のインクジェット式記録装置の要部を示す概略斜視図である。
【図7】図6の概略断面図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式プリンタ
2 インクカートリッジ
4 記録ヘッド
5 キャリッジ
6 ガイド部材
7 パルスモータ
8 駆動プーリー
9 遊転プーリー
10 タイミングベルト
11 制御部
12 記録紙
13 紙送りモータ
14 紙送りローラ
16 ノズルプレート
17 ノズル開口
21 圧電振動子
21a 櫛歯状先端部
21b 圧電体
21c 共通内部電極
21d 個別内部電極
22 圧力発生室
30 プリンタコントローラ
31 プリントエンジン
32 外部インターフェース
33 RAM
34 ROM
35 発振回路
36 駆動信号発生回路
37 内部インターフェイス
39 記録ヘッドの電気駆動系
40 シフトレジスタ回路
41 ラッチ回路
42 レベルシフタ回路
43 スイッチ回路
71 ケース
72 収納室
74 流路ユニット
75 流路形成板
77 弾性板
80 ノズル開口
82 供給部
83 共通室
84 供給管
87 ステンレス板
88 弾性体膜
89 アイランド部
100、100’ 整流部材
101 偏向面
102 気流逃がし面
103 第2偏向面
104、104’ 案内面
105、105’ 第2案内面
106’ シャッタ部材
110 保持機構
200、200’ 第2整流部材
201 偏向面
202 気流逃がし面
203 第2偏向面
204、204’ 案内面
205、205’ 第2案内面
206’ シャッタ部材
210 保持機構
101s、103s、201s、301s 吸収材
101e、103e、201e、301e 電極部材
300 ドラム
300a 回転軸
301、302 用紙押さえ部材
304 記録ヘッド
310 ヘッド前方整流部材
310a 気流案内面
400 ヘッド前方整流部材
400a 気流案内面
401 偏向面
402 気流逃がし面
403 第2偏向面
404 天井面
401s、403s、404s 吸収材

Claims (19)

  1. ノズル開口が形成されたノズル面を有するヘッド部材と、
    ヘッド部材のノズル面から所定の間隔に平面状の液体被噴射媒体を保持する液体被噴射媒体保持手段と、
    ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に所定方向に移動させる走査手段と、
    ノズル開口部分の液体の圧力を変動させて液体を噴射させる圧力変動手段と、
    吐出データに基づいて圧力変動手段を駆動させる制御本体部と、
    ヘッド面に対して走査手段によるヘッド部材の相対的移動方向の下流側に、走査手段によるヘッド部材の相対的移動に伴ってヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置された整流機構と、
    を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 整流機構は、前記気流を液体被噴射媒体から離れる方向に円滑に偏向させる偏向面を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記偏向面は、略円弧状の断面を有している
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記偏向面の略円弧状の断面が、前記偏向面の前記気流の上流側の端縁において液体被噴射媒体から所定の間隔の面に対して接している
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
  5. 整流機構は、液体被噴射媒体から所定の間隔に設けられた気流逃がし面を有しており、
    前記偏向面と前記気流逃がし面とは、互いに背中合わせに接している
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の液体噴射装置。
  6. 整流機構は、偏向面によって偏向された気流を更に偏向させる第2偏向面を有している
    ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の液体噴射装置。
  7. 前記第2偏向面は、前記気流を液体被噴射媒体に向かう方向に円滑に偏向させるようになっている
    ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
  8. 前記第2偏向面は、略円弧状の断面を有している
    ことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
  9. 前記偏向面は、略円弧状の断面を有しており、
    前記第2偏向面の前記気流の上流側の端縁の断面は、前記偏向面の断面の略円弧を補完して仮想できる円の中心の近傍に位置している
    ことを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置。
  10. 前記第2偏向面の前記気流の下流側の端縁は、前記気流を液体被噴射媒体に向かう方向に案内する案内面に接するように接続されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の液体噴射装置。
  11. 前記案内面に対向するように第2案内面が設けられて、案内面と第2案内面との間に気流通路が形成されている
    ことを特徴とする請求項10に記載の液体噴射装置。
  12. 前記偏向面と前記第2案内面とは、互いに背中合わせに接している
    ことを特徴とする請求項11に記載の液体噴射装置。
  13. 走査手段は、ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に前記所定方向とは逆方向に移動させることが可能であり、
    前記気流通路には、走査手段によるヘッド部材の前記逆方向への相対的移動中に当該気流通路を閉鎖する閉鎖機構が設けられている
    ことを特徴とする請求項11または12に記載の液体噴射装置。
  14. 走査手段は、ヘッド部材のノズル面と平面状の液体被噴射媒体との間の所定の間隔を維持しながら、ヘッド部材を液体被噴射媒体に対して相対的に前記所定方向とは逆方向に移動させることが可能であり、
    ヘッド面に対して走査手段によるヘッド部材の前記逆方向への相対的移動の下流側に、走査手段によるヘッド部材の当該逆方向への相対的移動に伴ってヘッド面上に発生する気流の速度に影響を与えないように、かつ、前記気流を円滑に偏向させるように配置された第2整流機構が設けられている
    ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の液体噴射装置。
  15. 液体被噴射媒体保持手段は、平面状の液体被噴射媒体を平面状態に保持するようになっている
    ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の液体噴射装置。
  16. 液体被噴射媒体保持手段は、平面状の液体被噴射媒体を円筒面上で保持するようになっている
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液体噴射装置。
  17. 前記偏向面には、液体ミストを吸収する吸収材が設けられている
    ことを特徴とする請求項2乃至13のいずれかに記載の液体噴射装置。
  18. ヘッド部材の一部は、導電性材料で構成されており、
    前記偏向面には、電極部材が設けられており、
    前記ヘッド部材の一部は接地されており、
    前記電極部材には、所定の電位が印加されている
    ことを特徴とする請求項2乃至13のいずれかに記載の液体噴射装置。
  19. 前記電極部材には、2kV以上の電位が印加されている
    ことを特徴とする請求項18に記載の液体噴射装置。
JP2003125563A 2003-04-30 2003-04-30 液体噴射装置 Withdrawn JP2004330446A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003125563A JP2004330446A (ja) 2003-04-30 2003-04-30 液体噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003125563A JP2004330446A (ja) 2003-04-30 2003-04-30 液体噴射装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004330446A true JP2004330446A (ja) 2004-11-25

Family

ID=33502789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003125563A Withdrawn JP2004330446A (ja) 2003-04-30 2003-04-30 液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004330446A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7497551B2 (en) * 2005-08-23 2009-03-03 Fujifilm Corporation Ink-jet recording device with mist adsorbing capability
US7604332B2 (en) 2006-03-29 2009-10-20 Fujifilm Corporation Liquid ejection head and image forming apparatus comprising same
US7828411B2 (en) 2006-02-27 2010-11-09 Fujifilm Corporation Liquid ejection method, liquid ejection apparatus, double-side printing method and image recording apparatus for double-side printing
JP2011093281A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Riso Kagaku Corp 液滴吐出装置
JP2014213562A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 キヤノンファインテック株式会社 インクジェット記録装置
JP2015083372A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 キヤノン株式会社 液体吐出装置、ミスト回収機構及びミスト回収方法
JP2016175238A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 キヤノン株式会社 液体吐出装置および液体吐出ヘッド
JP2016182762A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
JP2016182760A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
CN106256557A (zh) * 2015-06-16 2016-12-28 精工爱普生株式会社 液体喷出装置
JP2020185697A (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 セイコーエプソン株式会社 印刷装置

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7497551B2 (en) * 2005-08-23 2009-03-03 Fujifilm Corporation Ink-jet recording device with mist adsorbing capability
US7828411B2 (en) 2006-02-27 2010-11-09 Fujifilm Corporation Liquid ejection method, liquid ejection apparatus, double-side printing method and image recording apparatus for double-side printing
US7604332B2 (en) 2006-03-29 2009-10-20 Fujifilm Corporation Liquid ejection head and image forming apparatus comprising same
JP2011093281A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Riso Kagaku Corp 液滴吐出装置
JP2014213562A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 キヤノンファインテック株式会社 インクジェット記録装置
JP2015083372A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 キヤノン株式会社 液体吐出装置、ミスト回収機構及びミスト回収方法
US9579896B2 (en) 2015-03-19 2017-02-28 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting head
JP2016175238A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 キヤノン株式会社 液体吐出装置および液体吐出ヘッド
EP3081382A1 (en) * 2015-03-19 2016-10-19 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting head
JP2016182762A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
JP2016182760A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
CN106256557A (zh) * 2015-06-16 2016-12-28 精工爱普生株式会社 液体喷出装置
US9724943B2 (en) 2015-06-16 2017-08-08 Seiko Epson Corporation Liquid discharge apparatus
CN106256557B (zh) * 2015-06-16 2020-03-27 精工爱普生株式会社 液体喷出装置
JP2020185697A (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 セイコーエプソン株式会社 印刷装置
JP7287101B2 (ja) 2019-05-13 2023-06-06 セイコーエプソン株式会社 印刷装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4613625B2 (ja) 液体噴射装置
JP3659494B2 (ja) 液体噴射装置
JP2004330446A (ja) 液体噴射装置
JP2006175744A (ja) 記録装置、及び記録方法
JP2005246975A (ja) 液体噴射装置
JP5257025B2 (ja) 液体噴射装置
JP2005186290A (ja) 液体噴射装置及び液体噴射方法
JP2014058095A (ja) 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2004216887A (ja) 液体噴射装置及び液体噴射方法
JP4639863B2 (ja) 液体吐出装置
JP2021138043A (ja) 画像形成装置
JP2014058091A (ja) 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2021030520A (ja) インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
JP2000108383A (ja) 吐出回復装置および吐出回復方法
JP2008036947A (ja) 液体吐出装置および液体吐出方法
JP4956901B2 (ja) 液体噴射装置
JP4506427B2 (ja) 液体噴射装置
JP2006272754A (ja) 液体噴射装置
JP2002205415A (ja) インクジェット式記録装置、及び、これに用いるインクカートリッジ
JP2003266670A (ja) 液体噴射装置
JP4307938B2 (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ及び画像形成装置
US7775623B2 (en) Image forming apparatus
JP2005193393A (ja) 画像記録装置
JP2004167701A (ja) 液体噴射装置
JP2005186531A (ja) 液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060704