JP4639539B2 - フライホイール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン用フライホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン用フライホイールはエンジンのクランクシャフトに取り付けられ、エンジンの回転変動を減少させるための慣性マスとして機能する。従来、この種のフライホイールとしては単なる円板状のもの、即ちプレーンタイプが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らがV6エンジンにプレーンタイプのフライホイールとAT用トルクコンバータ(トルコン)とを組み付け、アイドリングで実機試験を行ったところ、所謂コンコン音が発生するという問題が生じた。
【0004】
即ち、図12に示すように、エンジンが運転されると、クランクシャフト51、フライホイール52、フレックスプレート53及びトルクコンバータ54からなるクランク系55が回転し、曲げ振動Bとこれに起因した軸方向振動Lとが生じる。このとき、クランクアーム56等が軸方向(スラスト方向)に振動し、クランクジャーナル57を支持するシリンダブロック側の軸受部58と衝突する。
この衝突の度にコンコンと音がして不快な騒音となってしまう。
【0005】
より詳しくは、図13に示すように、シリンダブロック側の軸受部58に軸受メタル59とスラストメタル60とが一体に固着される。クランクジャーナル57は軸受メタル59により回転自在に支持され、クランクアーム56はスラストメタル60によりスラスト方向に支持される。クランクアーム56とスラストメタル60との間に僅かな隙間が存在し、クランク系の軸方向振動に伴ってクランクアーム56が隙間の範囲内で振動し、スラストメタル60を叩いてコンコン音を発生させる。
【0006】
このコンコン音を防止するためには曲げ振動Bを抑え、これに起因した軸方向振動Lを抑える必要がある。そこで、フライホイールをスポーク形状とし、フライホイールを軽量化することが創案された。
【0007】
しかし、スポーク形状といっても様々な形態があり、単にスポーク形状とするだけでは最大限の効果が得られないばかりでなく、逆にコンコン音の悪化も引き起こす可能性がある。
【0008】
そこで、以上の問題に鑑みて本発明は創案され、その目的は、クランク系の軸方向振動を抑制し、コンコン音及び振動騒音の低減を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン後部に突出されたクランクシャフトに取り付けられ、後方にフレックスプレートが設けられるフライホイールにおいて、複数のスポークを有するスポーク形状とすると共に、中心部には中心ボス部が形成され、スポーク間の根元の叉部に上記中心ボス部の外周部と連続して形成され、後面が上記フレックスプレートの当たり面の一部をなすと共に、上記スポークの前後厚より薄い水掻き状の板部を設けたものである。
【0010】
記フレックスプレート当たり面が全体として円形とされ、全てのスポーク間に上記板部が設けられるのが好ましい。
【0011】
上記スポークの数が奇数であるのが好ましく、その数は7本であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の好適実施形態を説明する前に、本実施形態に係るフライホイールの開発経緯を説明する。
【0013】
本実施形態に係るフライホイールは、V6ディーゼルエンジン及びAT用トルクコンバータと組み合わされるべく開発された。そして軽量化のためスポーク形状とするものである。ここで、スポーク数が偶数だと半分の位置から対称に折れ曲がるような変形モードとなってしまい、片側の変形(振動)が反対側の変形(振動)を助長してしまって良くない。そこで、スポーク数は奇数とし、スポーク毎に独立した変形を許容してモードの分散化を図ることとした。この点については後述する。
【0014】
次に、フライホイールを実際に製作する前に行った事前検討の結果を図7に示す。このグラフは固有振動数(周波数)と評価との関係を表している。評価とは官能評価の結果をいい、10点満点で値が大きいほど良い評価である。一応7点を合格基準点とした。このグラフは全て解析結果に基づいて作成されている。
【0015】
○はフライホイール単体の固有振動数のデータ、△及び□はクランク系実稼動状態での固有振動数のデータである。特に△はクランク軸系の後端曲げ、□はクランク軸の曲げ捩りの連成の固有振動数である。一点鎖線a上の○は1次モードの固有振動数であり、二点鎖線b上の○は5次モードの固有振動数である。つまり振動モードが1次から5次へと上がるにつれ、フライホイール単体の固有振動数は一点鎖線aから二点鎖線bへと変化していく。
【0016】
最も右下の○(添字p1)は、従来のプレーンタイプのデータで、固有振動数は高く、評価も低い。最も左下の○(添字p2)は、プレーンタイプでありながら薄肉にして軽量化したものである。固有振動数が低くなり、評価も上がったが、まだ十分ではない。左から二番目の○(添字7s1)は、7本のスポーク形状として軽量化したものであり、薄肉プレーンタイプより固有振動数が若干高くなりさらに評価が良くなった。最も上にある○(添字7s2)は、さらに改良した7本のスポーク形状であり、さらに固有振動数が高くなり評価が向上した。その右下の○(添字6s)は、スポーク数を6本としたスポーク形状で、7本スポークタイプより固有振動数が上がり、評価は大いに悪化した。
【0017】
このように各種フライホイールの評価が分かれた原因を調べてみたところ、クランク系実稼動時の固有振動数と大きな関係があることが分かった。即ち、フライホイールの1次から5次までの固有振動数の範囲ないし幅が、クランク軸系の後端曲げの低い方の固有振動数エリアcと、クランク軸の曲げ捩りの連成の固有振動数エリアdとに引っ掛からないときが評価が良いというのが分かった。これを数値的に表現すると、フライホイールの1次から5次までの固有振動数が、白抜き矢印eで示す最適振動数範囲480〜650Hzに入れば良いことになる。こうすれば、互いの固有振動数が合致せず、共振及びクランク系の連成振動が防止され、車載時のコンコン音が防止される。
【0018】
グラフに示されるように、薄肉プレーンタイプp2と初期形7本スポークタイプ7s1とは1次が低い方のエリアcに引っ掛かっており、6本スポークタイプ6sは5次が高い方のエリアdに引っ掛かっており、いずれも好結果とはいえない。これに対し、改良形7本スポークタイプ7s2は、1次から5次までが最適振動数範囲480〜650Hzに入っており、好結果を得ている。
【0019】
以上の検討結果から、7本スポークタイプとして開発を進め、本実施形態のフライホイールを製作するに至った。
【0020】
図1に本実施形態のフライホイールを示し、図2に図1(a)の下半分を拡大して示す。ここではフライホイール1の外周にリングギヤ2が取り付けられたフライホイールアッセンブリの形で示されている。フライホイール1は鋳造の一体品で、所々機械切削加工が施されている。図1及び図2の散点模様と図2の細かいギザギザ模様とは機械切削加工を行ってない鋳肌面を現す。このフライホイールは、エンジンの後端部から突出されたクランクシャフトに取り付けられるものであり、Ftはエンジン側となる前、Rrは後である。エンジンはV6ディーゼルエンジンである。
【0021】
図3に示すように、エンジンEの後端部からクランクシャフトが突出され、そのクランクシャフトの外周部にフランジ20が取り付けられる。フランジ20の後面部には、前方から順にフライホイールアッセンブリとフレックスプレート15とがワッシャ21を介して複数のボルト22により合わせ止めされる。そしてこれらの後方にはトルクコンバータ(図示せず)が軸方向に相対移動可能に取り付けられる。
【0022】
図1及び図2に戻って、フライホイール1は、その中心部に形成された中心ボス部3と、最も径方向外側に位置される外輪部4と、中心ボス部3及び外輪部4を連結する複数(7本)のスポーク5とを一体に備えて主に構成される。中心ボス部3はクランクシャフトへの取付部となるもので、クランクシャフトを挿通させるための段付の中心穴6を有すると共に、上記締結ボルト22を挿通させるための複数(8個)のボルト穴7を周方向等間隔で有している。
【0023】
外輪部4には、周方向等間隔で複数(6個)のトルコン取付工具穴8が設けられ、トルコン取付工具穴8はフレックスプレート15にトルクコンバータを取り付けるボルトを挿通させるものである。外輪部4の前面部4a全体が、機械切削加工により平面に仕上げられると共に、スポーク5の前面部に対し寸法Bだけ前方に突出される。外輪部4の後面部4bは、径方向外側の一部4cのみが機械切削加工により平面に仕上げられ、且つその部分4cが他の部分より後方に突出され、当該他の部分はスポーク5の後面部と面一の鋳肌面とされる。外輪部4の最外周部にはリングギヤ2を圧入されるための圧入面9と、リングギヤ2を軸方向に位置決めするためのバックプレート10とが形成される。圧入面9とバックプレート10の前面即ち当たり面とが機械切削加工により平滑に仕上げられる。なお外輪部4の周方向一ヶ所に回転バランス調整穴11が前面部4aから所定深さドリル加工される。
【0024】
スポーク5の本数は奇数、本実施形態では7本である。これらスポーク5は中心ボス部3から放射状に径方向外側に延出され、周方向等角度間隔で配置されると共に、断面が周方向に長い長方形とされる。各スポーク5の長手方向中間部には雌ねじを有したアダプタ取付穴12が設けられる。これは、生産ラインでエンジン単体の性能試験を行うときにアダプタを取り付けるのに使用される。アダプタが後方から取り付けられるので、アダプタ取付穴12の後端周囲は僅かに隆起され、機械切削加工による取付座13が形成されている。
【0025】
ここで、中心ボス部3の後面部3bは前面部3aより大径とされ、後面部3bの全体に円形のフレックスプレート当たり面14が形成される。フレックスプレート当たり面14はフレックスプレート15(図3参照)を当接ないし着座させるためのもので、当然機械切削加工により平滑に仕上げられる。なお前面部3aもクランクシャフト側のフランジ20(図3参照)が当たるため機械切削加工により平面に仕上げられる。フレックスプレート15は、フライホイール1とトルクコンバータT/Cとの間に介在され、トルクコンバータT/Cが軸方向に振動したときにフライホイール1への直接衝突を防止し、衝撃を吸収するものである。フレックスプレート当たり面14の外周部が寸法を有するアール面とされ、これに沿ってフレックスプレート15が湾曲・復元することにより所定のバネ効果とダンピング効果とが得られる。またアール面とすることでフレックスプレート15のきつい曲がりが防止され、フレックスプレート15の亀裂、損傷等が防止できる。フレックスプレート当たり面14の外径はDである。
【0026】
このようなフレックスプレート当たり面14を形成するため、全てのスポーク5間の根元の叉部には水掻き状の板部16が設けられる。板部16は、両隣のスポーク5と中心ボス部3の外周部とに連続され、後面16aがフレックスプレート当たり面14の一部をなしている。そして中心ボス部3の約半分の前後厚を有し、中心ボス部3の後半部に位置付けられる。スポーク5から見れば、スポーク5のほぼ前後中心の位置から後にのみ板部16が存在し、スポーク5の前後厚t全てに亘っては存在しない。
【0027】
さて、このフライホイール1の特徴を述べると、まずスポーク5の数が奇数なので振動モードを理想的に分割ないし分散できる点が挙げられる。即ち、図8はフライホイール1の各次数における変形モードを示す。normalが変形無しの様子、Mode1,Mode2・・・がそれぞれ1次モード、2次モード・・・の変形の様子である。付記した値は各次モードの固有振動数で、これに示されるように1次〜5次モードの固有振動数は507.3〜628.2Hzで前述の最適振動数範囲480〜650Hzに入っている。
【0028】
例えば、3次モードにおいて、s1のスポークとs2のスポークとで変形の仕方が異なる。このようにスポーク毎に、或いは異なる周方向位置で異なる変形をさせ、振動をスポーク毎に別個独立とするのが振動モードの分割の意味である。これに対し、偶数のスポークだと半分の位置から対称に折れ曲がるような変形となり、一方の変形が他方の変形をも招いて互いの振動が助長されてしまう。この結果フライホイール全体としても振幅が大きくなり、クランクシャフトの軸方向振動を増大させてしまう。なお、図9に示すように、従来のプレーンタイプだとフライホイール中心に対称な御椀形の変形となり、益々悪化方向である。こういった意味で奇数本のスポークを備えたフライホイールが望ましい訳である。
【0029】
本実施形態では7本の例であるが、スポーク本数はこれに限定されるわけではない。
【0030】
次に、フライホイール1の取付方法を説明する。図4において、下段はV6エンジンEに取り付けられたフライホイール1を示し、エンジンEを後方から見たときの図である。上段は各気筒#1,#2・・・#6のクランクピンの位置とエンジン回転方向とを示す。図5はエンジンを上方から見たときの模式図で、各気筒#1,#2・・・#6の配列が示される。エンジンのバンク角2θ=66°である。
【0031】
フライホイール1を取り付けるにあたり、開発初期のうちは、一旦取り付けて試験を行い再度脱着して試験を行うと、良好だった結果が悪化するという事態が生じた。そこでこの原因を調べたところ、フライホイール1を取り付ける最適位相があることが判明した。これはエンジンの燃焼(爆発)周期と同期してクランク系の振動が発生していることにも関連する。試行錯誤の結果、図4のように取り付けるのが最適だということが分かった。
【0032】
即ち、エンジンEの#5及び#6気筒のピストンが膨張(燃焼)行程開始時期の上死点TDCにあるときに、クランク中心Cを境とする#5及び#6気筒の反対側に、いずれか一本のスポーク5が位置されることである。図4(a)は#5気筒の例、図4(b)は#6気筒の例である。
【0033】
図4(a)においては、#5気筒のピストンが膨張(燃焼)行程開始時期の上死点TDCにある。これは上段の図において#5気筒のクランクピンCP5が右バンク中心線上にあることで理解される。そしてこのとき、下段の図に示されるように、クランク中心Cを境とする#5気筒の反対側に一本のスポーク5aが位置されている。スポーク5aは右バンクないし#5気筒の中心線上にほぼ沿っており、#5気筒のピストンの燃焼ないし爆発ストローク方向(白抜き矢印で示す)にほぼ沿っている。同様のことが図4(b)に示す#6気筒に対してもいえる。このように、最後方の左右の2気筒を基準として上記のような取り付け方をすることで、振動騒音の低減及びコンコン音の防止に効果があることが確認された。
【0034】
本実施形態のフライホイールはスポーク形状なので、ある曲げ方向の入力振動に対するフライホイールの応答振動はフライホイールの取付位相により違いが生じる。上記のような取り付け方をすることで、実際のエンジンにおいて発生する曲げ振動に対しフライホイールの応答振動が最適となり、フライホイールの振動振幅の最小化を図れ、クランク軸方向の振動の低減を図れる。
【0035】
次に、板部16について説明する。本実施形態のフライホイール1では、後部にフレックスプレート当たり面14が形成される。相手方のフレックスプレート15が決まっているため、フレックスプレート当たり面14の形状及び諸寸法(外径Dやアール寸法等)を変更することができない。一方、スポーク5の諸寸法(長さ、前後厚及び幅等)は、振動特性をメインに決められているため変更できない。
【0036】
本実施形態のフライホイール1では、フレックスプレート当たり面14の外径Dに対し、スポーク5の根元径即ち中心ボス部3の外径D0が小さい。この場合、スポーク5の根元形状を優先して板部16を完全に除いてしまうと、フレックスプレート当たり面14が一様な円形とならず切欠き形状となってしまい、フレックスプレート15の当たり具合が悪化し、フレックスプレート15の疲労強度低下を招いてしまう。一方、フレックスプレート当たり面14を優先して全前後幅に板部16を設けてしまうと、スポーク5の長さが実質的に短くなり振動特性に影響を及ぼしてしまう。即ち、剛性が上がってしまうため固有振動数も上がり、図7の最適振動数範囲に入らなくなる。そして剛性を下げるためにスポーク5の厚さtを薄くするとバースト強度が確保できなくなってしまう。なおバースト強度とは、フライホイールが何回転の高回転まで破壊せず耐え得るかという強度上の尺度で、本実施形態では10000rpmである。
【0037】
そこで、折衷案として上記のような板部16を設けた。板部16により理想的なフレックスプレート当たり面14が確保できると共に、板部16がスポーク5の前後厚tより薄いので、スポーク5の根元部に追加しても大きく振動特性を損なうことがない。なお、板部16を設けたフライホイールで解析を行ってみたが好適な結果を得ることができた。
【0038】
板部は、フライホイールの振動特性に影響を与えず且つスポーク根元部の補強部材ともなるものであるから、あらゆるスポーク形状のフライホイールに好適である。
【0039】
次に、外輪部4について説明する。本実施形態のフライホイール1は基本的に鋳造で、スポーク5の部分は鋳造のまま残され、その表面が鋳肌面である。この場合、スポーク5の前後厚tに±1mm程度の製造上のバラツキが生じ、このバラツキによりフライホイール1の1次〜5次モードの固有振動数範囲がバラつくのが分かった。調査の結果では、前後厚1mmの変動に対する振動数範囲の変動は約40Hzであった。振動数範囲があまりに大きく変動し、図7の最適振動数範囲に入らなくなると製品として出荷できない。一方、これを見分けるため管理を厳しくすると管理コストが上昇し、工法を変えて寸法バラツキを抑えようとすると部品コストが上昇する。
【0040】
そこで、前後厚tのバラツキに対する固有振動数範囲の変動の幅(範囲)を小さくする、言い換えればスポークの前後厚バラツキに対する固有振動数のバラツキ感度を鈍くする、というテーマが生じ、試行錯誤を繰り返すこととなった。
【0041】
ここで、外輪部4の諸寸法を変えて解析を行ってみたところ、前面部4aの突出量Bが固有振動数のバラツキ感度に大きく影響するのが分かった。即ち、図6に示すように、前面部4aの突出量Bと、後面部4bの機械加工部分4cの径方向の幅Cと、その機械加工面からバックプレート10の前面までの幅Dとをいろいろ変化させて解析を行ってみたところ、C寸法及びD寸法はバラツキ感度にあまり影響はなく、これに対してB寸法はバラツキ感度に大きく影響を及ぼすのが分かった。従って、前面部4aの切削量を変え、B寸法を変えることにより、スポーク前後厚tのバラツキに対する固有振動数範囲の変動幅を変更することができる。
【0042】
そして、変動幅を小さくするにはB寸法をできるだけ小さくした方がよいことも分かった。例えば、スポーク5の前後厚tが±1mmバラついた場合に、B寸法=2.0mmのときは、フライホイール1の1次〜5次モードの固有振動数範囲は470〜643Hzでその変動幅が173Hzであるのに対し、B寸法=0mmのときは、フライホイール1の1次〜5次モードの固有振動数範囲は475.8〜629.7Hzでその変動幅が153.9Hzと、B寸法=2.0mmのときに比べて減少される。従って、B寸法=0mm、即ち前面部4aの突出量Bはゼロとするのが最良である。
【0043】
もっとも、本実施形態ではそのようになっていない。図1及び図2に示すように本実施形態ではB=2mmである。これをゼロにすればさらなる改良が図れることになる。ちなみに本実施形態では図6のD寸法が3.6mmで、C寸法が6.5mmである。
【0044】
次に、実際の騒音試験の結果を図10及び図11に示す。この試験ではエンジンにフライホイールとトルクコンバータとを実際に組み付け、エンジンを運転させて騒音を測定したものである。図中の黒い模様が音圧レベルを表し、この模様が大きくなるほど、音圧レベル大である。
【0045】
図10は本実施形態のフライホイール1((a)図)と従来のプレーンタイプ((b)図)とを比較したものである。(b)図に囲い線Jで示されるように、芋のような模様が周期的に表れており、これがコンコン音である。一方、(a)図に示されるように、本実施形態のフライホイール1ではコンコン音は発生していない。これによって本実施形態のフライホイール1が優れたものであることが分かる。
【0046】
図11は、本実施形態のフライホイール1をエンジンEに、図4の如く最適位相で取り付けた場合((a)図)と、位相違いで取り付けた場合((b)図)とを比較したものである。これから分かるように、(b)図に比べ(a)図の方が黒模様が少なく、全体として音圧レベルが下がっているのが分かる。これによって、本実施形態のフライホイール取付方法が優れたものであることが分かる。
【0047】
なお、本発明の実施の形態は上述のものに限られず、他にも様々なものが考えられる。例えばエンジンはV6ディーゼルに限らずどのような型式のものでも構わない(L4、V8、ガソリン等)。これに合わせてスポーク数を変更することも可能である。例えばV8エンジンに9本スポークの如きである。上記V6エンジンでは#5,#6気筒を基準にしてフライホイール取付位相を決定したが、他の気筒を基準にした方が良い場合はそのようにしても構わない。
【0048】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次の如き優れた効果が発揮される。
【0049】
(1)フライホイールの最適なスポーク形状化が図れる。
【0050】
(2)クランク系の軸方向振動を抑制し、コンコン音を防止すると共に、振動騒音の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のフライホイールを示し、(a)が縦断側面図、(b)が背面図である。
【図2】図1(a)の下半分を示す拡大図である。
【図3】フライホイールの取付状態を示す側面図である。
【図4】同背面図である。
【図5】気筒の配列を示す概略平面図である。
【図6】外輪部の各寸法を示す概略側面図である。
【図7】各フライホイール形状の事前検討結果である。
【図8】本実施形態のフライホイールの各次変形モードを示す斜視図である。
【図9】従来のプレーンタイプの変形モードを示す斜視図である。
【図10】本実施形態と従来のプレーンタイプとを比較した騒音試験結果である。
【図11】本実施形態の取付方法と位相違いの取付方法とを比較した騒音試験結果である。
【図12】クランク系の変形モードを示す図である。
【図13】クランクシャフト支持部の断面図である。
【符号の説明】
1 フライホイール
5 スポーク
14 フレックスプレート当たり面
16 板部
16a 後面
51 クランクシャフト
E エンジン
t スポークの前後厚

Claims (4)

  1. エンジン後部に突出されたクランクシャフトに取り付けられ、後方にフレックスプレートが設けられるフライホイールにおいて、複数のスポークを有するスポーク形状とすると共に、中心部には中心ボス部が形成され、スポーク間の根元の叉部に上記中心ボス部の外周部と連続して形成され、後面が上記フレックスプレートの当たり面の一部をなすと共に、上記スポークの前後厚より薄い水掻き状の板部を設けたことを特徴とするフライホイール。
  2. 上記フレックスプレート当たり面が全体として円形とされ、全てのスポーク間に上記板部が設けられる請求項1記載のフライホイール。
  3. 上記スポークの数が奇数である請求項1又は2記載のフライホイール。
  4. 上記スポークの数が7本である請求項3記載のフライホイール。
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