JP4639002B2 - インク供給装置と記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット記録装置の記録ヘッドにインクを供給するインク供給装置と記録ヘッド及びインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置の記録ヘッド3は、図12(a)の平面断面図と(b)の側面断面図に示すように、ノズル12を有する加圧液室13を複数有し、圧力付与手段14により加圧液室13内のインクの圧力を変えて加圧液室13内のインクをノズル12から噴射させて記録紙等に印字する。この加圧液室12には共通液室15から流体抵抗路16を介してインクを充填する。共通液室15にはインクリザーバタンク2との間のインク供給流路18と連結する1個の接続孔19を設け、インクリザーバタンク2からインク供給流路18と接続孔19を通して共通液室15にインクを供給するようにしている。
【0003】
このインクリザーバタンク2を交換するときに、共通液室15を連結するインク供給流路18に気泡が混入すると、部分的に流体抵抗が大きくなり共通液室15に対するインクの供給が妨げられるとともにノズル12からのインク漏れの原因になるため、例えば特開平9−207354号公報に示すように、インク供給流路18を途中で分岐して気泡を外部に排出するインク排出路を設け、分岐部の切替部を切り替えてインク供給流路18内の気泡を除去してインクの流れを一定に保つようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この共通液室15に供給されたインクを複数の加圧液室13に充填するとき、各加圧液室13にインクを均等に充填することが望ましい。しかしながら、前記のように共通液室15にインクリザーバタンク2と接続する1個の接続孔19を設けてインクリザーバタンク2から共通液室15にインクを供給していると、接続孔19から共通液室15に流れ込んだインクが共通液室15から複数の加圧液室13に到達する時刻は一定にならず、接続孔19から離れた位置にある加圧液室13にインクが到達する時刻は接続孔19に近い加圧液室13にインクが到達する時刻より遅くなる。このインクの到達時間差は加圧液室13の数が多くなるほど大きくなり、各加圧液室13に対するインクの充填条件が異なるという短所がある。
【0005】
また、各流体抵抗路16と加圧液室13内でインクが飽和したあとも共通液室15に一定時間インクの供給を続け、加圧液室13に残留している気泡をノズル12から排出するようにしている。この加圧液室13に残留している気泡の排出工程において共通液室15内を流れるインクは接続孔19から離れるにしたがって流速が小さくなる。このため接続孔19から離れた加圧液室13に流れ込むインクの流速も小さくなり、加圧液室13における気泡の排出性能が低下してしまうという短所がある。
【0006】
近年は高密度記録と高速印字が要望され、これに対応するためにノズル12の数すなわち加圧液室13の数が増加する傾向にある。このように加圧液室13の数が増加すると、各加圧液室13にインクを充填する時間が長くなり、場合によってはインクを確実に充填できない加圧液室が生じる可能性があるとともに前記の短所が顕著になる。
【0007】
この発明は係る短所を改善し、ノズルの数が増えても各加圧液室に均等に、かつ安定してインクを充填することができるとともに充填時間を短縮することができるインク供給装置と、安定した噴射特性で各ノズルからインクを噴射することができる記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るインク供給装置は、複数の加圧液室と圧力付与手段と、流体抵抗路を介して加圧液室にインクを充填する共通液室とを有し、圧力付与手段により加圧液室内のインクに容積変化を与えて加圧液室内のインクをノズルから噴射させて記録紙等に印字する記録ヘッドの共通液室とインクを貯蔵したインクリザーバタンクとの間に設けられ、インクリザーバタンクから共通液室にインクを供給するインク供給装置であって、インクリザーバタンクと共通液室を連通するインク供給流路は、インクリザーバタンクに連結される親流路と、共通液室に連結される2M系統(M=1〜i)の子流路とを有し、2M系統(M=1〜i)の子流路は親流路の流路断面中心を結んで得られる軸線を含む面に対して鏡像対称な2系統の子流路に分岐することを繰り返して構成され、親流路の分岐部から共通液室に連結する先端部までの流路長は一定に形成されているインク供給装置において、インク供給流路の共通液室に対するインク流出口の形状をインクの流出する方向に広がった形状にし、この広がり角θは、加圧液室の数をN、共通液室に連結された子流路の数をM、1ビット相当の加圧液室のピッチをWとし、インク流出口から流体抵抗路が設けられた位置までの最短距離をLとしたときに、θ>tan -1 {((N*W/M)/2)/L}なる関係を満たすことを特徴とする。
【0009】
上記インク供給流路の親流路から分岐した2系統の子流路の断面積S2は、親流路の断面積S1に対して2・S2≦S1の関係を満たし、子流路から分岐した2系統の子流路の断面積Snは、分岐前の子流路の断面積S(n−1)に対して2・Sn≦S(n−1)の関係を満たすと良い。
【0010】
また、インク供給流路の各分岐部を滑らから曲面で形成することが望ましい。
【0012】
また、インク供給流路を感光性フィルムへの溝加工によって形成すると良い。
そして、親流路と順次分岐する子流路をそれぞれ異なる感光性フィルムへの溝加工によって形成し、溝加工した各感光性フィルムを積層して接合しインク供給流路を形成すると良い。
【0013】
また、親流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに親流路の一部を形成する溝を子流路を形成する溝に連通して設け、各子流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに前段の子流路の一部を形成する溝を分岐する子流路を形成する溝に連通して設けることが望ましい。
【0014】
さらに、積層する複数の感光性フイルムの間に1又は複数の高剛性部材からなる補強板を配置し、該補強板に上下の感光性フイルムの溝に連通する貫通孔を設けると良い。
【0015】
この発明に係る記録ヘッドは、上記インク供給装置により共通液室の壁面の一部を構成したことを特徴とする。
【0016】
この発明に係るインクジェット記録装置は、インク供給装置により共通液室の壁面の一部を構成した記録ヘッドと、インク供給装置に連結されたインクリザーバタンクとを有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のインクジェットプリンタの構成図である。図に示すように、インクジェットプリンタ1はシアンC,マゼンタM、イェロY,ブラックBkの各色のインクをそれぞれ収納した4個のインクリザーバタンク2と、複数のノズルを有し各インクリザーバタンク2からインクが供給される4個の記録ヘッド3と、インクリザーバタンク2と記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、記録紙を収納した給紙トレイ5a,5bと、給紙トレイ5a,5bや手差しテーブル6から記録紙を印字部7に搬送する搬送ローラ8と、印字した記録紙を排紙トレイ9に排出する排出ローラ10を有する。そしてホスト装置から送られる画像データを記録紙に印字するときは、キャリッジ4をキャリッジガイドローラ11に倣って走査しながら、搬送ローラ8により印字部7に送られた記録紙に記録ヘッド3のノズルから画像データに応じてインクを噴射して文字や画像を記録する。
【0018】
記録ヘッド3は、図2(a)の平面断面図と(b)の側面断面図に示すように、ノズル12を有する加圧液室13を複数有し、圧力付与手段14により加圧液室13内のインクの圧力を変えて加圧液室13内のインクをノズル12から噴射させて記録紙等に印字する。この加圧液室12には共通液室15から流体抵抗路16を介してインクを充填する。共通液室15にはインクリザーバタンク2との間のインク供給流路18と連結する2個又は4個等2M個(M=1〜i)の接続孔19が等間隔で設けられ、インクリザーバタンク2からインク供給流路18と接続孔19を通して共通液室15にインクを供給するようにしている。
【0019】
このインクリザーバタンク2と記録ヘッド3の共通液室15を連結するインク供給流路18は、図3に示すように、インクリザーバタンク2に接続された親流路20と、親流路20から分岐して共通液室15に接続された子流路21を有する。子流路21は共通液室15に設けられた接続孔19の数に応じて、図3(a)に示すように、親流路20を1回分岐した2系統の子流路21a、または(b)に示すように.分岐した2系統の子流路21aをさらに2系統に分岐した4系統の子流路21b等の2M系統(M=1〜i)の子流路が設けられている。この2系統又は4系統の子流路182は、親流路20の流路断面中心を結んで得られる軸線を含む面に対して鏡像対称に設けられ、親流路20の分岐部から共通液室15の接続孔19に連結する先端部までの流路長は一定に形成されている。また、図4に示すように、親流路20を1回分岐した2系統の子流路21aの断面積S2は、親流路20の断面積S1に対して、2・S2≦S1の関係にある。また、分岐した2系統の子流路21aを2系統に分岐した4系統の子流路21bの断面積S3は、子流路21の断面積S2に対して、2・S3≦S2の関係にある。
【0020】
このように各子流路21a,21bを親流路20に対して対称に設け、親流路20の分岐部から共通液室15の接続孔19に連結する先端部までの流路長を一定にするとともに各子流路21a,21bの断面積を一定にすることにより、各子流路21a,21bの流体抵抗を一定にすることができ、インク供給流路18から共通液室15の各接続孔19に流入するインクの流速と流量を一定にすることができ、共通液室15に一定流速で一定流量のインクを分散して供給することができる。
【0021】
また、例えば、図5に示すように、親流路20を3系統の子流路21に分岐して、各子流路21aの流体抵抗を一定にするためには、いずれかの子流路21aの分岐部から共通液室15の接続孔19に連結する先端部までの流路長又は断面積を変える必要があり、インク供給流路18の構造が複雑になるが、各子流路21a,21bを親流路20に対して対称に設けることにより、簡単な構造で各子流路21a,21bの流体抵抗を一定にすることができる。
【0022】
また、親流路20を1回分岐した2系統の子流路21aの断面積S2を、親流路20の断面積S1に対して、2・S2≦S1の関係とし、分岐した2系統の子流路21aを2系統に分岐した4系統の子流路21bの断面積S3を、子流路21の断面積S2に対して、2・S3≦S2の関係にすることにより、各子流路21a,21bで親流路20を流れるインクの流速を低下することなしにインクを流すことができ、共通液室15に親流路20を流れる初期流速とほぼ同じ流速でインクを供給することができ、共通液室15に対するインクの供給効率を向上することができる。
【0023】
さらに、共通液室15には一定間隔で設けた接続孔19からそれぞれ一定流速で一定流量のインクが供給されるから、高密度記録と高速印字のために多ビット化して加圧液室13の数が多くなっても、接続孔19から各加圧液室13までの距離に大きな差が生じなく、共通液室15に供給されて各加圧液室13に到達するインクの流量や流入圧力及び到達時間をほぼ一定にすることができ、各加圧液室13に充填するインク量をほぼ均一にして、加圧液室13の充填ムラを低減することができる。
【0024】
また、供給液室15に対するインクの供給効率をより高めるために、親流路20と各子流路21a,21bの内壁に撥水処理を施すことにより、インク供給流路18の流体抵抗をより低減することができる。また、図6に示すように、インク供給流路18の各分岐部を滑らから曲面で形成することにより、インク供給流路18に流れるインクの流線の密度を均一にしてインクの流れによどみや渦が生じることを防ぐことができるとともに、各分岐部に気泡が滞留して流体抵抗が増大することを抑制することができ、インク供給流路18から共通液室15に安定してインクを供給することができる。
【0025】
このようにインク供給流路18から共通液室15に分散して供給されたインクを各加圧液室13に対してほぼ均一に配分して充填するためには、共通液室15の各接続孔19に連結された各子流路21のインク流出口の形状を適切に定めることが必要である。そこで加圧液室13の数をNとし、共通液室15に連結された子流路21の数をMとしたときに、共通液室15に連結された子流路21の数Mを加圧液室13の数Nより少なくし、図7に示すように、各子流路21のインク流出口22の形状をインクの流出する方向に広がった形状にし、1ビット相当の加圧液室13のピッチをWとし、インク流出口22から流体抵抗路16が設けられた位置までの最短距離をLとしたときに、インク流出口22の広がり角θが、
θ>tan -1 {((N*W/M)/2)/L}
なる関係を満たすことようにすると良い。
【0026】
すなわち、共通液室15に連結された子流路21の数Mを加圧液室13の数Nと同じか多くして各加圧液室13に1つ以上のインク流出口22を対応するようにしても、インク分散供給効果は飽和し、構成が複雑になるが、この弊害を防ぐために、共通液室15に連結された子流路21の数Mを加圧液室13の数Nより少なくすると良い。また、インク流出口22の広がり角θを上記のように規制することにより、インクをインク流出口22から放射状に流出させて各加圧液室13に連結された流体抵抗路16の入口にインクを均等に送ることができる。
【0027】
さらに、インク供給流路18に気泡が入り込むことを防止するため、インク供給流路18のインクリザーバタンク2にフィルターを設けたり、親流路20に大気開放用の分岐路を設けても良い。
【0028】
次に、この親流路20から分岐した4系統の子流路21bを有するインク供給流路18を有するインク供給装置の作製方法について説明する。
【0029】
このインク供給装置23は、例えば図8に示すように、天板30と3枚の流路板31,32,33と底板34を有する。天板30にはインクリザーバタンク2に連結する連結孔35が貫通して設けられ、流路板31には天板30の連結孔35に連通する直線上の親流路溝36が貫通してけられている。流路板32には中心部が親流路溝36に連通するU字状の第1の分岐溝37が貫通して設けられ、流路板33には中心部がそれぞれ第1の分岐溝37の先端部に連通する2つの第2の分岐溝38が貫通して設けられ、底板34には第2の分岐溝38の先端部に連通し、共通液室15に連結する4個の連結孔39が等間隔で設けられている。
【0030】
通常、記録ヘッド3の加圧液室13と共通液室15は単結晶のシリコン基板をエッチングして形成される。このシリコン基板のエッチングによって得られる面の向きは結晶面方位によって規定される。この単結晶のシリコン基板を天板30と流路板31,32,33と底板34に使用してエッチングにより連結孔35と分岐溝37,38及び連結孔39を形成すると、全ての内壁面を連続した滑らかな面で形成することは困難である。そこで天板30と流路板31,32,33と底板34には感光性フィルムを使用し、孔加工や溝加工を行うことにより、連結孔35と分岐溝37,38及び連結孔39の内壁を滑らかにする。また、感光性フイルムを使用して孔加工や溝加工により連結孔35等を形成することにより、連結孔35等を容易に加工することができる。
【0031】
この天板30と流路板31,32,33と底板34を積層して接合することにより、親流路溝36で親流路20を構成し、第1の分岐溝37で子流路21aを構成し、第2の分岐溝38で子流路21bを構成してインク供給流路18を立体的に形成することができる。また、感光性フイルムはシリコンとの接合性がよいので、インク供給装置23の底板40を記録ヘッド3の共通液室15を有する基板に容易に接合することができる。
【0032】
前記説明では各流路板31,32,33を1枚の感光性フイルムで形成した場合について説明したが、親流路20と子流路21a,21の断面積に応じて複数枚の感光性フイルムを貼り合わせて各流路板31,32,33を形成すると良い。
【0033】
また、流路板31に形成した親流路溝36の溝幅より流路板32に形成した第1の分岐溝37の溝幅を小さくし、流路板32に形成した第1の分岐溝37の溝幅より流路板33に形成した第2の分岐溝38の溝幅を小さくすることにより、2系統の子流路21aの断面積S2を、親流路20の断面積S1に対して、2・S2≦S1の関係とし、分岐した2系統の子流路21aを2系統に分岐した4系統の子流路21bの断面積S3を、子流路21の断面積S2に対して、2・S3≦S2の関係にすることができるとともに、流路板31,32,33を積層したときに、感光性フイルムの伸縮により、親流路溝36に対する第1の分岐溝37の位置がずれたり、第1の分岐溝37に対する第2の分岐溝38の位置がずれても各連通部の断面積を変化させないで済む。
【0034】
さらに、親流路20から分岐した2系統の子流路21aが設けられたインク供給流路18を有するインク供給装置23も同様にして作製することができる。
【0035】
また、前記作製方法では流路板31に親流路20を構成する親流路溝36を形成し、流路板32に子流路21aを構成する第1の分岐溝37を形成した場合について説明したが、図9に示すように、流路板32に流路板31の親流路溝36に連通する第2の親流路溝40と、第2の親流路溝40より溝幅が小さい第1の分岐溝37を形成しても良い。このように流路板32に第2の親流路溝40と第1の分岐溝37を形成することにより、天板30と流路板31,32及び底板34を積層してインク供給装置を形成したときに、親流路20と子流路21aの分岐部に位置ずれが生じることを防ぐことができ、2系統の子流路31aに流れるインクの流量特性を均一にすることができる。
【0036】
さらに、図10に示すように、親流路溝36を有する流路板31と、第2の親流路溝40と第1の分岐溝37を有する流路板32の間に、親流路溝36と第2の親流路溝40とを連通する連通孔41を有する補強板42を設けても良い。このように補強板42を設けることにより、インク供給装置23の剛性を高めて外力による変形等を防止し、安定した流量特性でインクを供給することができる。
また、補強板42の連通孔41の流路断面積を親流路溝36と第2の親流路溝40の連通部の流路断面積より大きくすることにより、流路板31と補強板41と流路板32を積層したときの位置ずれの影響を無くすことができ、親流路20の流量特性を安定にすることができる。
【0037】
上記インクジェットプリンタ1ではインク供給装置23を記録ヘッド3とは別に作製して記録ヘッド3の共通液室15にインク供給装置23を連結した場合について説明したが、図11の(a)〜(c)に示すように、記録ヘッド3の共通液室15の内壁面の1面をインク供給装置23で構成しても良い。このように共通液室15の内壁面の1面を剛性が小さい感光性フイルムで作製したインク供給装置23で構成することにより、インク供給装置23をダンパーとして機能させることができ、ノズル12からインクを噴射するときに加圧液室13から共通液室15に伝搬される圧力変動を吸収して各加圧液室13間の相互干渉を抑制することができる。
【0038】
また、共通液室15の内壁面の1面を構成するインク供給装置23の子流路21の数が増えるとインク供給装置23の厚さも厚くなり、インク供給装置23の剛性が強くなる。このような場合、図11(b),(c)に示すように、インク供給装置23のインク供給流路18が設けられていない領域24の厚さを薄くすることにより、ダンパー機能を確実に発揮することができる。
【0039】
さらに、共通液室15の天板をインク供給装置23で構成した場合は、図11(c)に示すように、インク供給経路18のインク流出口22と対向する共通液室15の面をインク供給装置23に対して一定角度傾いた傾斜面25で形成し、インク流出口22から流出したインクの流出方向を傾斜面25で流体抵抗路16側に変えるようにすると、加圧液室13に効率良くインクを充填することができる。この場合、共通液室15を形成するシリコン基板を(100)面の結晶方位に切り出し、異方性エッチングを施して共通液室15を形成することにより、傾斜面25を簡単に形成することができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、インクリザーバタンクと共通液室を連通するインク供給流路を、インクリザーバタンクに連結される親流路と、共通液室に連結される2M系統(M=1〜i)の子流路とで構成し、2M系統(M=1〜i)の子流路は親流路の流路断面中心を結んで得られる軸線を含む面に対して鏡像対称な2系統の子流路に分岐することを繰り返して構成し、親流路の分岐部から共通液室に連結する先端部までの流路長は一定に形成する。また、インク供給流路の共通液室に対するインク流出口の形状をインクの流出する方向に広がった形状にし、この広がり角θは、加圧液室の数をN、共通液室に連結された子流路の数をM、1ビット相当の加圧液室のピッチをWとし、インク流出口から流体抵抗路が設けられた位置までの最短距離をLとしたときに、θ>tan -1 {((N*W/M)/2)/L}なる関係を満たすようにする。よって、インク供給流路から共通液室にインクを分散して供給することができる。
【0041】
また、各子流路を親流路に対して対称に設け、親流路の分岐部から共通液室に連結する先端部までの流路長を一定にすることにより、各子流路の流体抵抗を一定にすることができ、インク供給流路から共通液室に流入するインクの流速と流量を一定にすることができ、共通液室に一定流速で一定流量のインクを分散して供給することができる。
【0042】
また、共通液室には一定間隔でインクを分散し、それぞれ一定流速で一定流量のインクが供給されるから、高密度記録と高速印字のために多ビット化して加圧液室の数が多くなっても、共通液室に供給されて各加圧液室に到達するインクの流量や流入圧力及び到達時間をほぼ一定にすることができ、各加圧液室に充填するインク量をほぼ均一にして、加圧液室の充填ムラを低減することができる。
【0043】
さらに、インク供給流路の親流路から分岐した2系統の子流路の断面積S2は、親流路の断面積S1に対して2・S2≦S1の関係を満たし、子流路から分岐した2系統の子流路の断面積Snは、分岐前の子流路の断面積S(n−1)に対して2・Sn≦S(n−1)の関係を満たすようにして、各子流路で親流路を流れるインクの流速を低下することなしにインクを流すことができ、共通液室に親流路を流れる初期流速とほぼ同じ流速でインクを供給して共通液室に対するインクの供給効率を向上することができる。
【0044】
また、インク供給流路の各分岐部を滑らから曲面で形成することにより、インク供給流路の流体抵抗をより低減することができるとともにインク供給流路に流れるインクの流れによどみや渦が生じることを防ぐことができ、かつ、各分岐部に気泡が滞留して流体抵抗が増大することを抑制するから、インク供給流路から共通液室に安定してインクを供給することができる
【0046】
また、インク供給流路を感光性フィルムへの溝加工によって形成することにより、簡単な構成でインク供給流路の流体抵抗を低減することができる。
【0047】
さらに、親流路と順次分岐する子流路をそれぞれ異なる感光性フィルムへの溝加工によって形成し、溝加工した各感光性フィルムを積層して接合しインク供給流路を形成することにより、インク供給流路を簡単に立体的に形成することができる。
【0048】
また、親流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに親流路の一部を形成する溝を子流路を形成する溝に連通して設け、各子流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに前段の子流路の一部を形成する溝を分岐する子流路を形成する溝に連通して設けることにより、感光性フィルムを積層して接合したときのインク供給流路のずれを防ぐことができ、安定してインクを供給できる。
【0049】
さらに、積層する複数の感光性フイルムの間に1又は複数の高剛性部材からなる補強板を配置し、該補強板に上下の感光性フイルムの溝に連通する貫通孔を設けることにより、インク供給装置の剛性を高めて外力による変形等を防止し、安定した流量特性でインクを供給することができる。
【0050】
また、このインク供給装置により記録ヘッドの共通液室の壁面の一部を構成することにより、インク供給装置をダンパーとして機能させることができ、ノズルからインクを噴射するときに加圧液室から共通液室に伝搬される圧力変動を吸収して各加圧液室間の相互干渉を抑制することができ、安定した噴射特性でインクを噴射することができる。
【0051】
また、インクジェット記録装置に、インク供給装置により共通液室の壁面の一部を構成した記録ヘッドと、インク供給装置に連結されたインクリザーバタンクとを有することにより、高密度記録と高速印字のために多ビット化して加圧液室の数が多くなっても安定した噴射特性でインクを噴射して良質な記録を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインクジェットプリンタの構成図である。
【図2】記録ヘッドの構成図である。
【図3】インク供給流路の配置図である。
【図4】インク供給流路の断面積を示す斜視図である。
【図5】他のインク供給流路の配置図である。
【図6】インク供給流路の分岐部の形状を示す配置図である。
【図7】インク供給流路のインク流出口の形状を示す説明図である。
【図8】インク供給装置の構成を示す分解斜視図である。
【図9】インク供給装置の第2の構成を示す分解斜視図である。
【図10】インク供給装置の第3の構成を示す分解斜視図である。
【図11】インク供給装置を有する記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図12】従来例の記録ヘッドの構成図である。
【符号の説明】
1;インクジェットプリンタ、2;インクリザーバタンク、3;記録ヘッド、
12;ノズル、13;加圧液室、14;圧力付与手段、15;共通液室、
16;流体抵抗路、18;インク供給流路、19;接続孔、
20;親流路、21;子流路。
Claims (10)
- 複数の加圧液室と圧力付与手段と、流体抵抗路を介して加圧液室にインクを充填する共通液室とを有し、圧力付与手段により加圧液室内のインクに容積変化を与えて加圧液室内のインクをノズルから噴射させて記録紙等に印字する記録ヘッドの共通液室とインクを貯蔵したインクリザーバタンクとの間に設けられ、インクリザーバタンクから共通液室にインクを供給するインク供給装置であって、インクリザーバタンクと共通液室を連通するインク供給流路は、インクリザーバタンクに連結される親流路と、共通液室に連結される2M系統(M=1〜i)の子流路とを有し、2M系統(M=1〜i)の子流路は親流路の流路断面中心を結んで得られる軸線を含む面に対して鏡像対称な2系統の子流路に分岐することを繰り返して構成され、親流路の分岐部から共通液室に連結する先端部までの流路長は一定に形成されているインク供給装置において、
上記インク供給流路の共通液室に対するインク流出口の形状をインクの流出する方向に広がった形状にし、この広がり角θは、加圧液室の数をN、共通液室に連結された子流路の数をM、1ビット相当の加圧液室のピッチをWとし、インク流出口から流体抵抗路が設けられた位置までの最短距離をLとしたときに、θ>tan -1 {((N*W/M)/2)/L}なる関係を満たすことを特徴とするインク供給装置。 - 上記インク供給流路の親流路から分岐した2系統の子流路の断面積S2は親流路の断面積S1に対して2・S2≦S1の関係を満たし、子流路から分岐した2系統の子流路の断面積Snは分岐前の子流路の断面積S(n−1)に対して2・Sn≦S(n−1)の関係を満たす請求項1記載のインク供給装置。
- 上記インク供給流路の各分岐部を滑らから曲面で形成した請求項1又は2記載のインク供給装置。
- 上記インク供給流路を感光性フィルムへの溝加工によって形成した請求項1乃至3のいずれかに記載のインク供給装置。
- 上記親流路と順次分岐する子流路をそれぞれ異なる感光性フィルムへの溝加工によって形成し、溝加工した各感光性フィルムを積層して接合しインク供給流路を形成した請求項4記載のインク供給装置。
- 上記親流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに親流路の一部を形成する溝を子流路を形成する溝に連通して設け、各子流路から分岐する子流路を形成する溝を有する感光性フィルムに前段の子流路の一部を形成する溝を分岐する子流路を形成する溝に連通して設けた請求項5記載のインク供給装置。
- 上記積層する複数の感光性フィルムの間に1又は複数の高剛性部材からなる補強板を配置し、該補強板に上下の感光性フィルムの溝に連通する貫通孔を設けた請求項4乃至6のいずれかに記載のインク供給装置。
- 複数の加圧液室と圧力付与手段と、流体抵抗路を介して加圧液室にインクを充填する共通液室とを有し、圧力付与手段により加圧液室内のインクに容積変化を与えて加圧液室内のインクをノズルから噴射させて記録紙等に印字する記録ヘッドにおいて、
請求項4乃至7のいずれかに記載のインク供給装置により共通液室の壁面の一部を構成したことを特徴とする記録ヘッド。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載のインク供給装置を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項8記載の記録ヘッドと、インク供給装置に連結されたインクリザーバタンクとを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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