JP4638650B2 - シリコン基板の熱処理条件を設定する方法、およびシリコン基板を熱処理する方法、並びにシリコン基板の製造方法 - Google Patents

シリコン基板の熱処理条件を設定する方法、およびシリコン基板を熱処理する方法、並びにシリコン基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエーハ中の不純物をシリコン基板中の欠陥にゲッタリングする、いわゆるインターナルゲッタリングで不純物を除去する際に効果的な冷却速度を設定することにより、表面が清浄なシリコン基板でデバイスを作製する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般にICやLSI等の半導体装置を作製する半導体ウエーハとしては、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯溶融法(FZ法)によって成長させたシリコン単結晶を用いるが、デバイス作製のための熱処理中に、何らかの重金属汚染が発生した場合、完成したデバイス動作に多大な悪影響が及ぶ。そこで、重金属不純物がウエーハ中に混入した際、デバイス動作領域である表面から重金属不純物を除去し、ウエーハ内部や裏面に閉じ込める手法が発達した。
【0003】
これをゲッタリング技術という。このゲッタリング法は、重金属不純物を閉じ込めるウエーハの位置によって区別されており、ウエーハの内部に閉じ込める方法をインターナルゲッタリング(Internal Gettering:IG)、裏面に閉じ込める方法をエクスターナルゲッタリング(External Gettering:EG)と呼ぶ。
【0004】
前者の代表例はウエーハ内部に酸素析出物を形成し、それに重金属不純物を捕獲する方法で、後者では、裏面に機械的歪み層を形成するサンドブラスト法や多結晶シリコン膜を堆積するポリバックシール法(Poly-Si Back Seal:PBS)がある。
従来、これらのゲッタリング手法を単独または複合させ、シリコン単結晶ウエーハに付加し、重金属不純物をデバイス動作領域から除去できる特性を持つ、優れたシリコン単結晶ウエーハが作製されている。
【0005】
ところでIGで不純物を除去する場合、CZシリコン基板中に形成された酸素析出物を不純物の析出核とし、デバイス作製熱処理中に不純物を酸素析出物に拡散し、析出させることになる。その不純物が実際に捕獲される速度をゲッタリング速度と定義した場合、そのゲッタリング速度には温度依存性があることが知られている。
【0006】
つまり、高温ではシリコン基板中の不純物の拡散は速いが、不純物の固溶度も高いため、酸素析出物に捕獲できる量が少なくなり、また不純物の捕獲速度も比較的低く、低温では固溶度が低いため不純物析出の駆動力は高いが、拡散が遅いので、ゲッタリング速度としては低くなる。
【0007】
従って、適当な温度において最適なゲッタリングが行われるはずであるが、従来、適当な熱処理条件を設定する方法が存在しなかったため、熱処理条件は、経験的に得られた条件を用いるか、あるいはデバイス工程のデバイス作製上の都合により決められていた。そのため、所望の残留重金属不純物濃度のシリコン基板(ゲッタリングにより所望の残留重金属不純物濃度となったシリコン基板)を得るのに不要な時間を費やす場合が多かった。
【0008】
このような問題を解決するために本発明者によってなされた発明(特開平11−283986号公報参照)は、最適な熱処理温度と時間を設定できる画期的な方法である。シリコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の残留重金属不純物濃度から、図3に示すT−T−T線図(Time-Temperature-Transformation Diagram)と呼ばれる図面を作成することにより、容易にその最適熱処理条件を設定できる。この図は目的の濃度まで重金属不純物濃度を低減させる際の熱処理温度と時間の関係を示したもので、最適な熱処理条件はノーズと呼ばれる熱処理時間の最短部にて決定できる。またこの図から、他の事情により最適条件にて熱処理が実施できない場合にも、ある温度でどの程度の時間が必要かが一目瞭然でわかる。
【0009】
しかし実際のデバイス作製プロセスにおいて、重金属汚染低減のために等温保持の低温熱処理工程を施すことはコスト的に不利であり、あまり行われていない。従って、実際には高温熱処理からウエーハを取り出す際の連続冷却工程において重金属除去の効果を得ているのが現状である。しかるにT−T−T線図は本来、等温保持による重金属濃度の減少の様子を表したもので、定性的な概算としては冷却時に応用できるものの、厳密な取り扱いはできない。そのため冷却工程をゲッタリングプロセスととらえた場合には、厳密な意味での最適冷却時間設定法が存在していなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法は前記のごとく、連続冷却工程にて不純物を除去するという観点から見た場合、定性的な条件設定法であり、必ずしも最適条件ではない場合があった。本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、シリコン基板の初期重金属汚染量、酸素析出物密度に応じて、より効果的にIG能力を発揮できる冷却条件を見出す方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、シリコン基板にインターナルゲッタリングを行う場合のシリコン基板の熱処理条件を設定する方法において、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度C0と、酸素析出物密度nと、所望の残留重金属不純物濃度CEとから、下記(1)式、(2)式および(3)式より連続冷却の場合の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を算出し、算出された熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を示すC−C−T線図を作成し、前記作成されたC−C−T線図の温度軸上で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の重金属の固溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T線図の曲線と最大の傾きになるように接する接線を引き、該接線の傾きにより最適冷却速度を決定することを特徴とするシリコン基板の熱処理条件を設定する方法である。
1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1)
t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)] …(2)
T=T0-Rct …(3)
(ここで、C0:初期重金属汚染濃度(原子/cm3)、
CE:所望の残留重金属不純物濃度(原子/cm3)、
Ceq:シリコン中の重金属の固溶度(原子/cm3)、
k:ボルツマン定数、T:熱処理温度(K)、t:熱処理時間(s)、
1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、
D:重金属の拡散係数(cm2/s)、
Cp:析出物中の重金属濃度、n:酸素析出物密度(内部微小欠陥密度,個/cm3
T0:初期重金属汚染濃度が固溶度となる温度、Rc:冷却速度。)
【0012】
このように、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の残留重金属不純物濃度とから、前記(1)式、(2)式および(3)式より算出された連続冷却中の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係から、C−C−T(Continuas-Cooling-Transformation Diagram)線図を作成し、前記作成されたC−C−T線図の温度軸上で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の重金属の固溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T線図の曲線と最大の傾きになるように接する接線を引き、該接線の傾きにより最適冷却速度を決定することによって、熱処理条件を設定すれば、実際に熱処理をした場合との誤差が少なく、きわめて精度よく冷却中にゲッタリングが起こり、所望重金属濃度に低減できる冷却条件を設定することができる。
【0013】
この場合、前記(1)式、(2)式および(3)式による連続冷却の場合の熱処理温度と熱処理時間の関係の算出は、差分法により行なうことが好ましい。
このように、上記式の解析を差分法を用いて行なうことにより、比較的簡便に解析を行ない、C−C−T線図を作成することができる。
【0014】
また本発明は、本発明の方法により設定された熱処理条件によってシリコン基板の熱処理を行なうことを特徴とするシリコン基板を熱処理する方法である。
この方法によって熱処理を行えば、不純物を除去するのに適した冷却条件によって熱処理を行うことができるため、効率よくシリコン基板から不純物を除去することができる。
【0015】
また本発明は、少なくとも本発明の熱処理する工程を有することを特徴とするシリコン基板の製造方法である。
このようなシリコン基板の製造方法は、ゲッタリングにより所望の残留重金属不純物濃度となったシリコン基板を確実に製造することができる製造方法である。そのためデバイス歩留りの向上を確実に図ることができる。
【0016】
また、本発明はコンピュータにシリコン基板の熱処理条件を設定させるためのプログラムであって、該プログラムはコンピュータに、前記本発明の熱処理条件を設定する方法によって前記熱処理条件を設定させるものであることを特徴とするコンピュータにシリコン基板の熱処理条件を設定させるためのプログラムである。
【0017】
このように、本発明を実行するためのプログラムは、コンピュータに本発明の方法によって前記熱処理条件を算出させるものであるから、これによりコンピュータに熱処理条件を設定させれば、きわめて精度よく冷却中にゲッタリングが起こり、所望重金属濃度に低減することができるウエーハの熱処理条件を簡単かつ容易に設定することができる。
【0018】
さらに本発明は、本発明のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体である。
このように、本発明のプログラムを記録媒体に記録しておけば、必要時に必要な場所において、各コンピュータに入力して使用することができるので、極めて便利である。
【0019】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明者は、従来は、種々の初期重金属汚染濃度、酸素析出物密度をもったシリコン基板を、種々の熱処理条件で実際に多量のシリコン基板に長時間の熱処理を施すことによって適正な熱処理条件を経験的に模索していたのを、もっと簡単に数値計算により割り出すことができないか、種々検討した結果、既出の発明(特開平11−283986号公報参照)を開発した。しかしこの既出の方法で有効なのは等温保持の場合であり、定性的に連続冷却の場合の傾向をつかむことはできても、実際の厳密な場合における連続冷却時の不純物減少の様子を把握することはできなかった。
【0020】
そこで本発明者は厳密な冷却時の取り扱いをするために、この既出の方法に、冷却中に刻々と変わる温度変化を考慮に入れた方法を開発した。これにより、連続冷却時を不純物低減工程(ゲッタリングプロセス)とした場合において、初期重金属汚染濃度、酸素析出物密度および所望の残留重金属不純物濃度を決定するだけで、数値計算によって、短時間にかつ高精度でより効果的な冷却速度を知ることを可能とした。
【0021】
特に、本発明では、前記(1)式、(2)式および(3)式よりC−C−T線図を作成し、作成したC−C−T線図上で、冷却速度を決定することにより、熱処理条件設定の精度を格段に向上させている点に特徴を有する。
【0022】
そして、上記のような方法によって設定された熱処理条件により、シリコン基板の熱処理を行い、シリコン基板を製造すれば、従来のような場当たり的で、経験的に決定されたものではなく、精度が良い熱処理条件を設定できるため、簡単かつ確実に所望の残留重金属不純物濃度のシリコン基板を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的な計算をするモデルの内容を例示して説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
図2は熱処理温度280℃における酸素析出物密度が8×109個/cm3で、初期汚染量が8×1012原子/cm3ないし2×1014原子/cm3である場合のFeのゲッタリング速度、すなわち酸素析出物へFeが析出することによる固溶Fe濃度減衰の様子を示したものである。このように、シリコン基板中に過飽和に固溶した不純物のFe原子の濃度は、時間の指数関数に従い減少する(戸部他;応用物理学会研究会、シリコンテクノロジーNo. 5, 9th November1998, p.44-49参照)。その様子は以下の(4)式で示されている。
C=C eq +(C0-Ceq)exp(-t/τ) 1/τ=4πDnr …(4)
(ここで、C:固溶Fe濃度(原子/cm3)、C0:初期汚染濃度(原子/cm3)、
Ceq:シリコン中のFeの固溶度(=4.3×1022exp(-2.1eV/kT),原子/cm3)
(M.Aoki et al;J.Appl.Phys. 72(3)(1992)895-898参照)、
k:ボルツマン定数、T:絶対温度(K)、t:熱処理時間(s)、
1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、
D:Feの拡散係数(=1.3×10-3exp(-0.68eV/kT), cm2/s)
(E.R.Weber; Appl.Phys.A30(1983)1.参照)
n:酸素析出物密度(内部微小欠陥(BMD)密度,個/cm3
r:不純物の析出物半径(=[3/(4πn)] 1/3 ×[(C o -C eq )/(C p -C eq )] 1/3 ))。
【0024】
以下、この1/τをゲッタリング速度と呼ぶ。ゲッタリング進行の様子は図2からこの(4)式で的確に表現できることがよくわかる。しかし、実際の不純物析出過程ではFe等の不純物の半径は一定ではなく、不純物が析出するにつれて大きくなるため、この(4)式よりゲッタリング速度を導出すると実際の場合と合わないことがある。そこで本発明者は、前述の特開平11−283986号において、不純物半径の変化も考慮に入れた下記の(1)式を提案した。この(1)式によると、実際の場合にあったゲッタリング速度を数値計算により導出することができる。
1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1)
(ここで、Cp:Fe析出物中(FeSiを仮定)のFe濃度(=25.6×1021原子/cm3))。
【0025】
次に、上記の(1)式を用いて、T−T−T線図を求める方法を示す。例えば、(1)式で各温度におけるゲッタリング速度1/τが計算できるが、ゲッタリング終了後、ウエーハ内に残存していても構わないとする所望の残留重金属不純物濃度をCEとする。この場合、(4)式におけるCがCEに等しいとして、(4)式からその時の時間を計算する。その時間tは以下の(2)式で示される。
t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)] …(2)
【0026】
この(2)式でτとCeqは温度の関数である。従って、(2)式で表される残存Fe濃度がCEになる時間tも温度の関数となる。ある温度に対して(1)式を用いて得られたτを(2)式に代入し、時間tを得た後、温度に対して時間tをプロットしたものが、T−T−T線図であり、その例は既に示した図3である。この例では、酸素析出物密度が1×109個/cm3、初期汚染濃度が1×1013原子/cm3、および所望の残留重金属不純物濃度CE原子/cm3の場合を計算している。図3において残留Fe濃度が到達目標濃度CEになる最短の温度と時間は図3中の曲線Aのノーズ(鼻)を形成しているa点であることがわかる。つまりゲッタリングのための最適熱処理は610℃、110minの等温熱処理であり、その後任意に冷却しても所望の残留Fe濃度のシリコンウエーハを得ることができる。
【0027】
上記のような等温熱処理でなく、ある速度での冷却で所望の濃度までゲッタリングを進行させたい場合は、図3の時間0における初期汚染濃度が固溶度に一致する温度であるb点からa点を結ぶ直線を引く。この直線の傾きが最適冷却速度であり、図3の例では-2.4℃/分である。
【0028】
あるいは図3の曲線Bに示すように、(2)式のCE=1×1012原子/cm3までゲッタリングを進行させたい場合も示してある。このようにして、各条件のT−T−T線図を作成し、ゲッタリングに最適な等温熱処理温度とそれに必要な最低時間が得られ、または最適冷却温度を求めることができる。
【0029】
しかし、上記のT−T−T線図の作成手順を見ればわかるように、T−T−T線図は基本的に等温保持を想定した熱処理温度と時間の関係図である。従って、これを冷却過程に応用する場合は一定の目安にしかならない。そこで、本発明では厳密な冷却時の取り扱いをするため、(1)式中の因子のうち、温度に依存する因子であるCeq:シリコン中の重金属の固溶度とD:重金属の拡散係数を一定値とせず、冷却中に刻々と変わる温度を時間の関数としてとらえ直した。すなわち現在の温度Tは下記の(3)式のように表わせる。
T=T0-Rct …(3)
【0030】
ここでT0は初期汚染濃度と固溶度が一致する温度であり、冷却の開始温度に相当する。Rcは冷却速度、tは時間である。こう考えると(2)式の左辺である時間は単純な温度の関数とはならず、いわゆる陰伏した方程式になるため、解析的に解くことは不可能となる。
【0031】
そこで数値解法が必要となる。本発明の実施態様としては、例えば、比較的簡便で扱いやすい差分法を用いることが好ましい。この差分法による解法で、連続冷却中におけるFe濃度が目的濃度まで減衰する温度と時間を示したものをC−C−T線図として図1に示す。図3のT−T−T線図と同様な図になるが、目的濃度までの低減達成曲線が長時間側に後退している様子がわかる。これは連続冷却であるので冷却開始時点では、Feの過飽和度が十分でないため、ある程度低温まで冷却が進まないとゲッタリング挙動が進行しないことに起因する。つまり等温保持の場合より、時間は必要な方向にシフトする。この図はその様子をよく示している。
【0032】
このC−C−T線図から、最適冷却速度を得るには、温度軸上の初期汚染濃度が固溶度と一致する温度とC−C−T線図の曲線に向けて最大の傾きになるよう接線を引き、その傾きが最適冷却速度となる。図1の例では1013原子/cm3の初期汚染、BMD密度が109個/cm3の条件で、低減目標濃度が1012原子/cm3であれば-6℃/分、低減目標濃度が1011原子/cm3であれば-1℃/分が最大の冷却速度と定まる。こうして定まった最適冷却速度より徐冷であれば、任意の冷却速度を用いても低減目標値までFe濃度を減衰させることが可能となる。
【0033】
C−C−T線図は連続冷却時におけるゲッタリングの目標濃度までの低減時間を温度に対して示したものである。したがって、このC−C−T線図を用いて、等温保持の場合を考えることはできない。等温保持の場合は先に示したT−T−T線図の方が厳密である。しかし、前述したように実際のデバイス作製工程においては、等温保持の低温熱処理はあまり行われないため、ほとんどの場合において本発明のC−C−T線図を用いた方法が有利である。
【0034】
なお、本発明における最適冷却速度という熱処理条件は、あくまでも所定の濃度までFeをIGで除去するのに最適、最短である条件という意味であり、実際にシリコン基板を製造するにあたっては、デバイス工程等の都合により、上記最適熱処理条件以外の条件で実施してもかまわない。
【0035】
すなわち、例えば冷却速度を設定するにあたっては、必ずしも最大の傾きである接線の条件に限定されるわけでなく、最大の傾きをとる接線より徐冷条件で実施すれば、十分に本発明の効果を得ることができ、本発明が実施される条件に応じて適当に熱処理条件を変更、修正して実施することが可能である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
本発明によるシリコン基板の熱処理条件を設定する方法により、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とから、連続冷却の場合の熱処理温度および熱処理時間の関係を算出することによって、C−C−T線図を作成し、該C−C−T線図より最適冷却速度を決定した。次に、上記の計算により求めた結果を検証するために、実際にシリコン基板に熱処理を行う実験を行い、上記計算予測と比較した。
【0037】
まず、本実施例において実際に熱処理を行うシリコン基板の初期重金属汚染濃度と酸素析出物密度を測定した。測定の結果は、初期重金属汚染濃度が1×1013原子/cm3、酸素析出物密度が1×109個/cm3であった。それらに従って、上記熱処理条件の設定においても初期重金属汚染濃度C0=1×1013原子/cm3、酸素析出物密度n=1×109個/cm3として熱処理条件を設定した。また所望の不純物濃度CEは、CE=1011原子/cm3とし、この場合についての最適冷却速度を設定した。
【0038】
前記(1)式、(2)式および(3)式より連続冷却の場合の熱処理温度と熱処理時間の関係を算出し、図1に示すようなC−C−T線図を作成した。なお、この場合における熱処理温度と熱処理時間の関係の算出は差分法を用いて行なった。そして図1に示すように、作成されたC−C−T線図の温度軸上で初期重金属汚染濃度がシリコン中の重金属の固溶度となる温度(この場合では824℃)の点を通り、所望の不純物濃度CE=1011原子/cm3についての曲線と最大の傾きになるように接する接線を引いた。この結果、最適冷却速度-1℃/分を得た。
【0039】
次に、上記の計算により求めた結果を検証するために、前述のシリコン基板に、初期汚染濃度が固溶度となる温度824℃から、計算で求めた冷却速度-1℃/分で冷却する熱処理を行ない重金属不純物を除去する実験を行った。その結果、冷却後のシリコン基板の不純物濃度は、CE=0.9×1011原子/cm3となっており、目標値を達成できるものであった。したがって、本発明による計算の正しさが実証されていることがわかる。
【0040】
(比較例)
シリコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とから、熱処理温度および熱処理時間の関係を算出することによって、T−T−T線図を作成し、該T−T−T線図より最適冷却速度を決定した。次に、上記の計算により求めた結果を検証するために、実際にシリコン基板に熱処理を行う実験を行い、上記計算予測と比較した。
【0041】
実施例と同様に、初期重金属汚染濃度C0=1×1013原子/cm3、酸素析出物密度n=1×109個/cm3、所望の不純物濃度CE=1011原子/cm3とし、この場合についての最適冷却速度を設定した。ただし、この比較例では、上記値から(1)式および(2)式より、図3に示すようなT−T−T線図を作成した。そして、作成されたT−T−T線図の温度軸上で初期重金属汚染濃度がシリコン中の重金属の固溶度となる温度(この場合では824℃)のb点と、所望の不純物濃度CE=1011原子/cm3についての曲線Aのノーズの点であるa点とを結ぶ線を引いた。そして、この線の傾きから最適冷却速度-2.4℃/分を得た。
【0042】
次に、上記の計算により求めた結果を検証するために、実施例と同じ初期重金属汚染濃度及び酸素析出物密度のシリコン基板に、初期汚染濃度が固溶度となる温度824℃から、計算で求めた冷却速度-2.4℃/分で冷却する熱処理を行ない重金属不純物を除去する実験を行った。その結果、冷却後のシリコン基板の不純物濃度は、CE=4.9×1011原子/cm3となっており、目標値を達成できないものであった。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
例えば、本発明で言う熱処理条件とは、シリコン単結晶インゴットをウエーハに加工する工程、デバイス作製工程等で加わる全ての熱処理のことを示しており、従って設定されるシリコン基板の熱処理条件とは、単に特定デバイス工程後の場合に限られるものではなく、ウエーハ加工後、デバイス工程中、デバイス工程後等いずれの場合であっても、シリコン基板に熱処理を加える場合であれば、本発明を適用して熱処理条件を設定することができる。
【0045】
また上記では、重金属不純物として、Feをゲッタリング除去する場合につき例を挙げて説明したが、本発明は、これには限定されず、Cu、Ni、Co等他の重金属汚染の除去においても、当然適用でき、効果を奏するものである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリコン基板にインターナルゲッタリングを行う場合のシリコン基板の熱処理条件を設定する方法において、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とから、きわめて短時間で、簡単かつ正確に、熱処理の冷却速度を算出することができ、それによって適正な熱処理条件を設定することができる。特に本発明は、実際のデバイス作製プロセスにおける連続冷却工程をゲッタリングプロセスとしてとらえた場合の冷却条件を正確に設定できるものであり、従来の方法よりも実際の製造工程に適用しやすいものである。
【0047】
従って、初期重金属汚染濃度や酸素析出物密度の異なる多量のウエーハを用いて、実際に長時間の熱処理をして条件を見出すというようなことが必要なくなり、きわめて迅速かつ低コストで適正な熱処理条件を決定することができる。
そして、従来のように場当たり的で、経験的に決定されたものではなく、精度が良い熱処理条件なため、実際にシリコン基板の製造工程に基板を流してみた場合に、デバイス歩留まりの向上を確実に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】C−C−T線図の一例を示した図である。
【図2】固溶Fe濃度と熱処理時間の関係を示した図である。
【図3】T−T−T線図の一例を示した図である。

Claims (5)

  1. シリコン基板にインターナルゲッタリングを行う場合のシリコン基板の熱処理条件を設定する方法において、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度C0と、酸素析出物密度nと、所望の残留重金属不純物濃度CEとから、下記(1)式、(2)式および(3)式より連続冷却の場合の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を差分法により算出し、算出された熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を示すC−C−T線図を作成し、前記作成されたC−C−T線図の温度軸上で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の重金属の固溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T線図の曲線と最大の傾きになるように接する接線を引き、該接線の傾きにより最適冷却速度を決定することを特徴とするシリコン基板の熱処理条件を設定する方法。
    1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1)
    t=-τln[(C E -C eq )/(C 0 -C eq )] …(2)
    T=T 0 -R c t …(3)
    (ここで、C:固溶Fe濃度(原子/cm3)、
    C E :所望の残留重金属不純物濃度(原子/cm 3 )、
    Ceq(T):シリコン中の重金属の固溶度(原子/cm3)、
    k:ボルツマン定数、T(t):熱処理温度(K)、t:熱処理時間(s)、
    1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、
    D(T):重金属の拡散係数(cm2/s)、
    Cp:析出物中の重金属濃度、n:酸素析出物密度(内部微小欠陥密度,個/cm3
    T0:初期重金属汚染濃度が固溶度となる温度、Rc:冷却速度。)
  2. 請求項1に記載の方法により設定された熱処理条件によってシリコン基板の熱処理を行なうことを特徴とするシリコン基板を熱処理する方法。
  3. 少なくとも請求項2に記載の熱処理する工程を有することを特徴とするシリコン基板の製造方法。
  4. コンピュータにシリコン基板の熱処理条件を設定させるためのプログラムであって、該プログラムはコンピュータに、請求項1に記載の方法によって前記熱処理条件を設定させるものであることを特徴とするコンピュータにシリコン基板の熱処理条件を設定させるためのプログラム。
  5. 請求項4に記載のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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