JP5140850B2 - シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法および同挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents

シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法および同挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法および同挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
半導体集積回路等のICデバイスを製造するためのウェーハとしては、主にチョクラルスキー法(以下CZ法という)により育成したシリコン単結晶をスライスし、その後研磨等を施して作製したシリコン単結晶ウェーハが用いられる。
ICデバイスの製造工程では、デバイスの構成に応じた多様なプロセスにおいて種々の熱処理が施される。これらの熱処理工程において、ウェーハが鉄Fe、Ni,Cuに代表される重金属に汚染されると、半導体シリコン基板の表面近傍に欠陥や電気的な準位が形成され、デバイスの特性が劣化する。
このため、デバイスの形成領域であるウェーハ表面近傍から汚染重金属をゲッタリング(捕獲)によって取り除いておく必要がある。ゲッタリングの方法としては、シリコンウェーハ内で重金属を捕獲するインターナルゲッタリング(Internal Gettering:IG)法と、シリコンウェーハの裏面側で重金属を捕獲するエクスターナルゲッタリング(External Gettering:EG)法が代表的な方法として知られている。 本発明は、インターナルゲッタリングを対象としている。
シリコンウェーハのインターナルゲッタリング能が、酸素析出物の析出量および析出状態と相関を持つことは、従来から知られていた。
すなわち、CZ法により育成されたシリコン単結晶は、引き上げ成長の段階で不可避的に酸素を含有している。酸素が含有されたシリコンウェーハを熱処理すると、含有酸素が析出され、ウェーハ内部には酸素析出物が形成される。形成された酸素析出物は、汚染重金属をゲッタリングする作用がある。一般に、酸素析出物の析出量が多いほど、重金属のインターナルゲッタリング能は高くなる。
しかし、析出量が過多となった状態では、シリコンウェーハの機械的強度が低下してしまい、デバイス製造工程においてスリップ等が発生し易くなる。このように酸素析出量は多いほど良いわけではなく、デバイスの汚染状況と熱処理プロ
セスに応じて必要量の酸素析出量が得られるように酸素析出を制御する必要がある。
汚染重金属のうち、NiとCuのシリコンウェーハ内の拡散速度は、非常に大きい。このため、ウェーハ内部に、ある程度の酸素析出物を析出させておけば、重金属を捕獲するための熱処理を特に行わなくても、通常の冷却過程の間に、重金属を十分効果的にゲッタリングすることができる。
なお、後掲する特許文献1には、Niのインターナルゲッタリング能を測定することに関する発明が記載されている。また、後掲する特許文献2には、Cuのインターナルゲッタリング能付与のための熱処理をシミュレーションに基づいて行うことに関する発明が記載されている。
しかし、汚染金属のうち、鉄Feのシリコンウェーハ内の拡散速度は、NiおよびCuに比べて比較的遅いため、最もゲッタリングし難い。なお、鉄Feは、デバイス製造工程において最も汚染の機会が多い重金属である。
Fe原子を酸素析出物によりゲッタリングさせるためには、インターナルゲッタリングを有効に作用させることを配慮した熱処理工程を設定するか、あるいは酸素析出物の析出量を十分に増大させておく必要がある。このため、鉄Feに対するインターナルゲッタリング能と酸素析出物の析出量および析出状態との関係を正確に把握しておくことが極めて重要である。
Gilles等は、後掲する非特許文献1において、以下に説明するモデル(Gillesモデルという)を用い、酸素析出物の析出状態と鉄Feへのインターナルゲッタリング能との関係を初めて定式化し、実験により彼等の方法が有効であることを証明した。
まず、彼等は、インターナルゲッタリング能を表す式をつぎのようにして導いた。
すなわち、シリコンウェーハ内の半径Rの球状の酸素析出物の表面に、過飽和なFe原子が析出すると仮定した。また、酸素析出物の表面の鉄Feの濃度は、鉄Feの溶解度であると仮定した。すると、一般的な数式展開によって、1個の酸素析出物へのFe原子の拡散流束J(atoms/s)は、(1)式で表すことができる。

J=4πRD(C(t)−Ceq) …(1)

ここで、Dは、鉄Feの拡散係数(cm/s)であり、D=1.3×10−3exp(−0.68eV/kT)で表わされる。C(t)は、時間tにおけるシリコンウェーハ内の鉄Fe濃度(atoms/cm)である。Ceqは、鉄Feの溶解度(atoms/cm)であり、Ceq=4.3×1022exp(−2.1eV/kT)で表わされる。なお、kは、ボルツマン定数で、k=8.6257×10−5(eV/K)で表される。Tは、絶対温度(K)である。
酸素析出物の密度をN(個/cm)とすると、ウェーハ内の鉄Fe濃度C(t)の時間変化∂C(t)/∂tは、下記(2)式で表される。

∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−Ceq)N …(2)

ここで、鉄Feの初期汚染濃度を、Cini(atoms/cm)として、無限時間後には、鉄Feの溶解度にまで減衰すると仮定した。このため、t=0にてC(t)=Ciniとなり、t=∞にて、C(t)=Ceqとなり、これら条件によって、(2)式の解は、以下の(3)、(4)式で表される。

(C(t)−Ceq)/(Cini−Ceq)=exp(−t/τ) …(3)

1/τ=4πRDN …(4)
ここで、τは、(3)式の左辺のような形で規格化された鉄Fe濃度が、ゲッタリングにより1/e(e=自然対数の底、2.718)となる時間であり、緩和時間と呼ばれる。 また、1/τは、ゲッタリング速度に対応する。
Gilles等は、Cini〜1015(atoms/cm)、インターナルゲッタリング中の温度を200〜300(℃)とした条件で実験を行い、(3)、(4)式のような形で酸素析出物の半径Rおよび密度Nが、ゲッタリング速度(1/τ)を支配していることを確認した。
Gillesモデルでは、(3)式の左辺のような形で規格化された鉄Fe濃度の時間変化が、初期濃度Ciniによらず同じであることを示している。これは拡散現象においてよく見られることである。
また、(3)、(4)式は、(2)式を温度一定の条件で解いた解であるが、温度変化を伴う実際の熱処理工程についても、(2)式を差分法によって直接解き、初期値からの変化を計算していくことで、解を求めることができる。
しかし、Gillesモデルによっては説明することができない事実が2つ報告されている。
1つは、後掲する特許文献3、4および非特許文献2において戸部等により報告されたものである。
彼等は、初期汚染濃度を8×1012(atoms/cm)から2×1014(atoms/cm)まで変化させた時、(3)式の左辺のように規格化した鉄Fe濃度の変化が、初期汚染濃度Ciniに依存して大きく変化するという実験結果を得た。すなわち、(3)式においてゲッタリング速度を表す1/τが、鉄Feの初期汚染濃度Ciniに依存して大きく変化するという結果を得た。Gillesモデルでは、緩和時間τは、鉄Feの初期濃度Ciniには依存しないため、戸部等が確認した現象を説明することは、困難である。
そこで、戸部等は、特許文献3、4において独自のモデル(以下戸部モデルという)を提案し、緩和時間τの初期汚染濃度依存性を説明している。すなわち、戸部モデルでは、シリコンウェーハ内の過飽和な鉄Fe原子の総数を酸素析出物の数で割ったところの鉄Fe原子数から構成される鉄シリサイド(汚染重金属シリサイド;FeSi)の球体を仮定し、この球体の半径を(4)式の酸素析出物の半径Rに代入することにより、(3)式の初期汚染濃度依存性が説明できるものとしている。このモデルの物理的な意味はあきらかではないが、この仮定によって実験結果をよく説明できることが報告されている。
しかしながら、戸部モデルでは、酸素析出物の半径Rがインターナルゲッタリング能に与える効果については全く考慮されていない。すなわち、酸素析出物の半径Rの代わりに鉄シリサイド単体の半径を代入して、酸素析出物の半径Rを消去したため、戸部モデルでは、酸素析出物の半径Rは、インターナルゲッタリングの挙動の予測結果に何らの関与もしないことになっている。
しかし、酸素析出物の密度Nと並んで酸素析出物のサイズ(半径R)が鉄のインターナルゲッタリング能に対して、強い影響をもつことはよく知られているところである。
戸部等は、後掲する特許文献5において、酸素析出物の半径Rとゲッタリングの熱処理後の鉄Fe濃度との関係を示す検量線を作成することにより、逆に、鉄Fe濃度の測定結果から、酸素析出物の半径Rを評価するという方法を提案している。この方法は、鉄Feのゲッタリングによる濃度変化が、酸素析出物の半径Rに対して敏感であることに着目してなされたものである。
これに対して特許文献3、4には、酸素析出物の半径Rがインターナルゲッタリング能に与える効果については何ら考慮されていない。このためインターナルゲッタリングの挙動の予測は、ある特定の条件でのみ成立するものと考えられる。しかし、その条件がどのような酸素析出物の半径Rの範囲であるかについては、特許文献3、4からは知ることはできない。
一方、特許文献5でも、鉄Feの初期汚染濃度が1013(atoms/cm)で、熱処理条件が600(℃)、20分であるという特定条件において、熱処理後の鉄Fe濃度と酸素析出物の密度Nと半径Rとの関係が実験的に示されただけである。この特許文献5からも、依然として、インターナルゲッタリング能と鉄Feと初期汚染濃度Ciniと酸素析出物の密度Nと半径Rとの関係は、明らかになっていない。
Gillesモデルによって説明することができないもう一つの事実の報告は、Hieslmair等によって後掲する非特許文献3によってなされている。
すなわち、Hieslmair等は、酸素析出物の密度Nとインターナルゲッタリングの熱処理温度とを種々に変化させた実験を行った。鉄Feの初期濃度範囲は2〜4×1013(atoms/cm)である。彼等は、ゲッタリングの熱処理時間と鉄Fe濃度との関係を求め、(3)式にフィッティングさせることにより、ゲッタリング反応における緩和時間τを求めた。そして、求めた緩和時間τから、(4)式を用いて実効ゲッタリングサイトの密度を求めた。その結果、酸素析出物の密度Nが10(個/cm)以下の場合は、温度に依存せずに、実効ゲッタリングサイト密度は、酸素析出物の密度Nとほぼ一致した。しかしながら、酸素析出物の密度Nが10(個/cm)以上の場合には、実効ゲッタリングサイト密度に対する酸素析出物の密度Nの比が、熱処理温度が高くなるほど著しく減少するという結果を示した。鉄Feへのゲッタリングが最も効果的に作用するとされる熱処理温度範囲は、600〜700(℃)である。また、一般に、インターナルゲッタリングに有効な酸素析出物の密度Nは、10(個/cm)以上とされている。Hieslmair等は、このような条件で実験を行うと、実効ゲッタリングサイト密度を酸素析出物の密度Nで割った比率は、1/100近くまで低下することを報告している。このことは、実用的なゲッタリング熱処理温度および酸素析出物の密度Nの範囲では、Gillesモデルの(3)、(4)式が全く成り立たないことを意味している。
以上のように従来にあっては、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を、一部の条件でのみほぼ正確に予測することができるが、実用的なゲッタリングの温度および酸素析出物の密度の条件では、正確に挙動を予測することができなかった。また、初期汚染濃度による挙動については予測する手段すらなかった。
特開2004−31845号公報。 特開2003−318181公報。 特開平11−283986号公報。 特開2003−282576号公報。 特開2003−257983号公報。 D.Gilles, E.R.Weber:Physical Review Letters, Vol.64, No.2(1990) p196 戸部、平野、速水:応用物理学会研究会 シリコンテクノロジー、No.5,1998,p44 H.Hieslmair,A.A.Istratov,S.A.McHugo,C.Flink and E.R.Weber:J.Electrochemical Society,Vol.145,No.12(1998)p4259
ゲッタリングの熱処理後の鉄Feの濃度は、酸素析出物の密度N、半径R、鉄Feの初期汚染濃度Ciniに依存している。また、ゲッタリングの熱処理後の鉄Feの濃度は、インターナルゲッタリングの熱処理温度および熱処理時間にも依存している。
しかしながら、従来のシミュレーションは、一部の条件においてのみ成立するものであり、実用的なゲッタリング熱処理温度および酸素析出物の密度において適用できるものではなかった。また、実際の予測において重要となる鉄Feの初期汚染濃度による挙動についても、シミュレーションによっては予測することができなかった。
このためシミュレーションに頼らずに、実際に熱処理後に汚染重金属(鉄)の濃度を測定することでインターナルゲッタリング能を評価する方法を取らざるを得なかった。すなわち、従来は、鉄Fe汚染に対するインターナルゲッタリング能を評価する適当な設計指標がなく、鉄Feのインターナルゲッタリング能を評価するためには、実際にシリコンウェーハをデバイスプロセスに投入して、残留鉄Feの濃度を測定する方法を取るしか方法がなかった。このため、インターナルゲッタリング能の評価に、多大な時間、工数、費用等を要するという問題があった。
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、実用的なゲッタリング熱処理温度および酸素析出物の密度範囲を含むあらゆる条件下で、インターナルゲッタリングの挙動を正確に、かつ実際の測定を行うことなく、予測できるようにし、インターナルゲッタリング能の評価を正確に、かつ短時間、低コストで行えるようにすることを解決課題とするものである。
第1発明は、
シリコン基板中の汚染重金属の初期汚染濃度と、酸素析出物の密度と、酸素析出物の半径と、インターナルゲッタリングの熱処理温度と、インターナルゲッタリングの熱処理時間と、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度との間に成立する演算式を用いて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法であって、
酸素析出物の表面において汚染重金属シリサイドの核が発生する過程と、表面に汚染重金属シリサイドの核が発生した酸素析出物によって汚染重金属をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法であることを特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度および/または酸素析出物の半径を求めることを特徴とする。
第3発明は、第1発明において、
熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度および/またはインターナルゲッタリングの熱処理時間を求めることを特徴とする。
第4発明は、第1発明において、
汚染重金属は、鉄であることを特徴とする。
第5発明は、
シリコン基板中の汚染重金属の初期汚染濃度と、酸素析出物の密度と、酸素析出物の半径と、インターナルゲッタリングの熱処理温度と、インターナルゲッタリングの熱処理時間と、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度との間に成立する演算式を用いて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体であって、
酸素析出物の表面において汚染重金属シリサイドの核が発生する過程と、表面に汚染重金属シリサイドの核が発生した酸素析出物によって汚染重金属をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体であることを特徴とする。
第6発明は、第5発明において、
熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度および/または酸素析出物の半径を求めることを特徴とする。
第7発明は、第5発明において、
熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度および/またはインターナルゲッタリングの熱処理時間を求めることを特徴とする。
第8発明は、第5発明において、
汚染重金属は、鉄であることを特徴とする。
本発明の知見について説明する。
前述のGillesモデルによれば、温度が低下して鉄Feの濃度が溶解度より過剰になると、過飽和なFe原子は酸素析出物の表面に鉄シリサイド(汚染重金属シリサイド;FeSi2)として析出する。ここで、鉄Fe原子は、酸素析出物の表面に拡散により到達する。鉄シリサイドの析出速度は、拡散速度によって律速されると仮定した。すなわち、酸素析出物の表面における鉄シリサイドの析出速度は十分に速いとし、溶解度よりも過剰な鉄Fe原子は速やかに酸素析出物の表面に析出し、その析出速度は、鉄Fe原子の拡散速度によって律速されるとした。そのため、酸素析出物の表面における鉄Fe濃度は、鉄Feの溶解度に保たれるとした。
このように従来のインターナルゲッタリングのモデルは、溶解度よりも過剰で過飽和な鉄Feが酸素析出物の表面に析出するが、その析出速度は鉄Fe原子の拡散速度によって律速されるというものである。
しかしながら、酸素析出物の表面に鉄シリサイドが析出するプロセスにおいては、核発生と成長という過程を伴うはずである。すなわち、まず鉄が過飽和になると酸素析出物の上で鉄のシリサイドの核が発生する。そして鉄のシリサイドの核が成長して、鉄シリサイドの析出のプロセスが起こる。表面に鉄シリサイドの核が発生している酸素析出物は、拡散律速での鉄Feのゲッタリングサイトとして機能して、鉄Feをゲッタリングする。しかし、表面に鉄シリサイドの核が未発生の酸素析出物は、有効なゲッタリングサイトして機能せず、鉄Feをゲッタリングすることはない。
仮に、鉄シリサイドの析出プロセスが、鉄Feの拡散プロセスよりも遅ければ、Gillesモデルは、成り立たなくなる。一方、鉄Feの拡散プロセスが、鉄シリサイドの析出プロセスよりも遅ければ、析出プロセスは、拡散プロセスに律速されることになり、Gilles等の提案した拡散律速モデルが成り立つと考えられる。
Gillesモデルが鉄Feの拡散速度が遅い低温領域で、ゲッタリングの実験データとほぼ一致しているのは、鉄Feの拡散プロセスが鉄シリサイドの析出プロセスよりも遅い温度領域であり、拡散律速条件が成立しているからであると推測される。
本発明は、上記知見の下になされたものであり、シリコン基板中の鉄の初期汚染濃度Ciniと、酸素析出物の密度Nと、酸素析出物の半径Rと、インターナルゲッタリングの熱処理温度Tと、インターナルゲッタリングの熱処理時間tと、熱処理後にシリコン基板中に残存する鉄Feの濃度C(t)との間に成立する演算式を用いて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するに際して、酸素析出物の表面において鉄シリサイドの核が発生する過程と、表面に鉄シリサイドの核が発生した酸素析出物によって鉄をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するものである。本発明は、鉄Fe以外の銅Cu、ニッケルNi等の汚染重金属をインターナルゲッタリングする場合にも適用することができる(第1発明、第5発明)。
第2発明、第6発明によれば、図4に示すように、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測して、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度(図4に示される各曲線)以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度N(図4の横軸)および/または酸素析出物の半径R(図4の縦軸)が求められる。
第3発明、第7発明によれば、図5に示すように、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測して、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度(図5に示される各曲線)以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度T(図5の縦軸)および/またはインターナルゲッタリングの熱処理時間(図5の横軸)が求められる。
第4発明、第8発明では、汚染重金属の中でもゲッタリングし難い鉄をインターナルゲッタリングするときの挙動を予測することができる。
本発明によれば、酸素析出物の表面において汚染重金属シリサイド(鉄シリサイド)の核が発生する過程と、表面に汚染重金属シリサイド(鉄シリサイド)の核が発生した酸素析出物によって、汚染重金属(鉄)をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するようにしたので、実用的なゲッタリング熱処理温度および酸素析出物の密度範囲を含むあらゆる条件下で、インターナルゲッタリングの挙動を正確に、かつ実際の測定を行うことなく予測できるようになる。このため、インターナルゲッタリング能の評価を正確に、かつ短時間、低コストで行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の知見について説明する。
Gilles等は、前述したように、酸素析出物によるインターナルゲッタリングの挙動(鉄Feの濃度変化)を(3)、(4)式により表した。(3)、(4)式が比較的低温(200〜300℃)の領域でよく成り立っていることは、Gilles等に続いて、Hieslmair等の報告によって再確認されている。
しかしながら、前述したように、Gilles等の提案したモデルでは、
1)ゲッタリングの緩和時間τが鉄Feの初期汚染濃度Ciniに依存して変化する。
2)鉄Feを有効にゲッタリングする温度である600〜700(℃)においてゲッタリング速度が大幅に低下する。
という2つの現象を説明できず、実用的に有効なゲッタリング挙動の予測ができない。
そこで、本発明者は、Gillesモデルを詳細に検討して、その結果、Gillesモデルで採用した仮定に問題があることを見いだすに至った。
すなわち、Gillesモデルによれば、温度が低下して鉄Feの濃度が溶解度より過剰になると、過飽和な鉄Fe原子は酸素析出物の表面に鉄シリサイド(汚染重金属シリサイド;FeSi2)として析出する。ここで、鉄Fe原子は、酸素析出物の表面に拡散により到達する。鉄シリサイドの析出速度は、拡散速度によって律速されると仮定した。すなわち、酸素析出物の表面における鉄シリサイドの析出速度は十分に速いとし、溶解度よりも過剰な鉄Fe原子は速やかに酸素析出物の表面に析出し、その析出速度は、鉄Fe原子の拡散速度によって律速されるとした。そのため、酸素析出物の表面における鉄Fe濃度は、鉄Feの溶解度に保たれるとした。
このように従来のインターナルゲッタリングのモデルは、溶解度よりも過剰で過飽和な鉄Feが酸素析出物の表面に析出するが、その析出速度は鉄Fe原子の拡散速度によって律速されるというものである。
しかしながら、酸素析出物の表面に鉄シリサイドが析出するプロセスにおいては、核発生と成長という過程を伴うはずである。すなわち、まず鉄が過飽和になると酸素析出物の上で鉄のシリサイドの核が発生する。そして鉄のシリサイドの核が成長して、鉄シリサイドの析出のプロセスが起こる。表面に鉄シリサイドの核が発生している酸素析出物は、拡散律速での鉄Feのゲッタリングサイトとして機能して、鉄Feをゲッタリングする。しかし、表面に鉄シリサイドの核が未発生の酸素析出物は、有効なゲッタリングサイトして機能せず、鉄Feをゲッタリングすることはない。
仮に、鉄シリサイドの析出プロセスが、鉄Feの拡散プロセスよりも遅ければ、Gillesモデルは、成り立たなくなる。一方、鉄Feの拡散プロセスが、鉄シリサイドの析出プロセスよりも遅ければ、析出プロセスは、拡散プロセスに律速されることになり、Gilles等の提案した拡散律速モデルが成り立つと考えられる。
Gillesモデルが鉄Feの拡散速度が遅い低温領域で、ゲッタリングの実験データとほぼ一致しているのは、鉄Feの拡散プロセスが鉄シリサイドの析出プロセスよりも遅い温度領域であり、律速条件が成立しているからであると推測される。
そこで、本発明者は、上記知見の下に、シリコン基板中の鉄の初期汚染濃度Ciniと、酸素析出物の密度Nと、酸素析出物の半径Rと、インターナルゲッタリングの熱処理温度Tと、インターナルゲッタリングの熱処理時間tと、熱処理後にシリコン基板中に残存する鉄Feの濃度C(t)との間に成立する演算式を用いて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するに際して、酸素析出物の表面において鉄シリサイドの核が発生する過程と、表面に鉄シリサイドの核が発生した酸素析出物によって鉄をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測した。
以下、挙動予測の計算モデル(核発生モデル)について説明する。なお、モデルを簡単化するために、酸素析出物は、シリコンウェーハの深さ方向に均一に分布しているものとする。
酸素析出物の表面に半径Rsの球状の鉄シリサイドが形成されたとすると、そのときの系の自由エネルギー変化ΔGは、(5)式で表すことができる。

△G=−(4π/3Ω)RsTln(C(t)/Ceq)+4πRsσ
…(5)

ここで、Ωは、鉄シリサイド分子の鉄Fe1個あたりの体積であり、kは、ボルツマン定数であり、Tは、絶対温度(K)である。σは、鉄シリサイドとシリコンとの界面における表面エネルギーであり、後述するように、フィッティングにより決定することができる。
次に、酸素析出物の表面における鉄シリサイドの核発生速度Isを、下記(6)式により与えた。

Is=(4πRsDC(t))Z(T)ρexp(−△G/kT)
…(6)

ここで、Isの単位は、[l/sec・cm]である。Rsは、鉄シリサイドの臨界核半径であって、∂△G/∂Rs=0を与える半径であり、Rs=2σΩ/{kTln(C(t)/Ceq)}で表される。4πRsDC(t)は、臨界核に鉄Fe原子が拡散により接触する頻度である。Z(T)は、Zeldovich因子であり、後述するように、フィッティングにより決定することができる。ρは、酸素析出物の表面における原子サイトの密度である。ρexp(−△G/kT)は、臨界核の平衡密度である。
つぎに、鉄シリサイドが表面に核発生した酸素析出物は、拡散律速での鉄Feの有効なゲッタリングサイトとなり、鉄シリサイドが表面に核発生していない酸素析出物は、鉄Feのゲッタリングに寄与しないと仮定した。
時間区間△tの間において、鉄シリサイドが表面に核発生する酸素析出物の数ΔNsは、以下の(7)式で表すことができる。

△Ns(t)=Is(t)4πR(N−Ns)△t(個/cm
…(7)

ここで、Nは、酸素析出物の密度であり、Nsは、鉄シリサイドが既に核発生した酸素析出物の密度である。
従って、鉄シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度Nsは、時間区間△t毎の積算を行うことにより求められ、下記(8)式で表すことができる。

Ns(t)=∫Is(t)4πR(N−Ns(t))dt …(8)

但し、上記(8)式の積分領域は、t=0からt=tまでである。
時刻tにおける鉄Feの濃度C(t)の時間変化∂C(t)/∂tは、(2)式(∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−Ceq)N)における「酸素析出物密度N」に、「鉄シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度Ns(t)」を代入することにより求めることができる。
これらの計算は、差分法による数値計算によって行うことができる。
つまり、インターナルゲッタリングの熱処理中の有効ゲッタリングサイトの密度Ns(t)を、核発生モデルの演算式(8)式により求め、求められた密度Ns(t)を(2)式に代入して鉄Feの濃度の時間変化∂C(t)/∂tを計算する。このような計算を差分法によって繰り返し行うことにより、任意の時刻tにおける鉄Feの残留濃度C(t)を予測することができる。
上述した計算モデルを正確ならしめるために、計算モデルにおける不確定パラメータである表面エネルギーσおよびZ(T)をフィッティングパラメータとして、種々の実験のデータと対比した。その結果、σ=110(erg/cm)、Z(T)=3.43×10−16exp(1.63eV/kT)なる値を付与することで、本計算モデルによって鉄Feの濃度を精度よく予測できることを見い出した。
本計算モデルでは、計算を簡単にするために酸素析出物がシリコンウェーハの深さ方向に均一に分布していることを前提としている。この場合、鉄Fe原子のウェーハ深さ方向への拡散を考慮する必要はない。しかし、ウェーハの表層付近に酸素析出物がない表面無欠陥層(Denuded Zone)が形成されている場合には、表層ではゲッタリングは起こらず、ウェーハ内部でのみゲッタリングが起こるため、ウェーハ深さ方向への鉄Feの拡散を考慮した計算を行う必要がある。すなわち、ウェーハ内部の酸素析出物によるゲッタリングによって、ウェーハ内部の鉄Feの濃度が低下し、鉄Fe濃度の高い表層の鉄Fe原子がウェーハ内部に拡散していくプロセスを計算する必要がある。この場合、ウェーハ深さ方向に分割した要素毎に酸素析出物の密度Nと半径Rを設定し、上述した計算モデルを適用して各要素の鉄Feの濃度を求めるとともに、各要素間の拡散の計算を行えばよい。しかし、ウェーハ深さ方向に酸素析出物が均一に分布していると仮定して計算を行った場合と、シリコンウェーハの表層付近で表面無欠陥層が形成されていると仮定して計算を行った場合とでは、多くの場合、鉄Feの濃度変化の若干の遅れが計算結果に反映されるに過ぎず、計算結果に大きな差異は生じない。したがって、本発明としては、いずれを仮定してもかまわない。
また、上述した本計算モデルでは、計算の簡単のために、酸素析出物の半径Rを、鉄シリサイドの析出が起こった場合でも一定としている。このような仮定は、鉄Feの濃度が低い場合あるいは酸素析出物の半径Rが大きい場合には、鉄Feの析出による半径Rの変化が無視できるため、妥当な仮定である。これに対して、鉄シリサイドの析出による酸素析出物の半径の増加が無視できないような場合には、(2)式、(8)式における酸素析出物の半径Rを鉄シリサイドが析出した分だけ増加させる変更を行うことが、正確な結果を得る上で望ましい。差分法による計算では、この変更は極めて容易に行うことができる。しかしながら、実用上、酸素素析出物の半径Rの増加させる変更を行う必要は、ほとんどないと考えられる。
なお、エピタキシャル層が形成されたウェーハにおいても、表面無欠陥層がある場合と同様な考え方を適用して計算することができる。また、ドーパントによって拡散係数等のパラメータが変動する場合がある。この場合にはパラメータの変動を考慮して計算を行えばよい。
図1は、Hieslmair等による実験結果と本発明による計算結果とを比較した図である。横軸は、インターナルゲッタリングの熱処理温度であり、縦軸は、シリコンウェーハの熱処理後の有効ゲッタリングサイト密度である。
まず、Hieslmair等の行った実験およびその実験結果について説明する(非特許文献3参照)。
Hieslmair等は、酸素析出物の密度を4種類に調整したシリコンウェーハについてインターナルゲッタリングの熱処理の温度を種々に変化させた実験を行った。鉄Feの初期汚染濃度Ciniは、(2〜4)×1013(atoms/cm)である。次に、各温度でのゲッタリングの熱処理時間tと鉄Fe濃度C(t)との関係を測定して求め、その結果を(3)式にフィッティングさせることにより、ゲッタリングの緩和時間τを求めた。次に、緩和時間τを(4)式に代入することにより、実効ゲッタリングサイト密度Nsを求めた。彼等の実験結果を同図1にプロットした。熱処理温度Tが高くなるに伴い実効ゲッタリングサイト密度Nsが低下しているのがわかる。
Hieslmair等の実験と同条件で本発明の計算モデルによる計算を行った。すなわち、Hieslmair等と同条件で、ゲッタリング熱処理時間tと鉄Fe濃度C(t)との関係を計算によって求め、(3)式にフィッティングさせることにより、ゲッタリングの緩和時間τを求めた。次に、求めた緩和時間τを(4)式を代入することにより、実効ゲッタリングサイト密度Nsを求めた。図1に、4種類の酸素析出物の密度のシリコンウェーハにおける有効ゲッタリングサイト密度の計算結果を4個の曲線で示す。
同図1によれば、本発明の計算モデルにより得られた4個の曲線は、Hielsmair等の実験結果を示す各プロットに比較的よく一致していることがわかる。たとえば、酸素析出物の密度が最も高いウェーハの場合、インターナルゲッタリングの熱処理温度が約400(℃)まで有効ゲッタリングサイト密度Nsはフラットであり、その後熱処理温度Tの増加とともに略一定の傾斜で急激に低下する曲線となっており、Hieslmair等の得たデータとほぼ一致している。他の曲線も同様である。
図1のデータを比較検討した結果、酸素析出物の密度Nが高いとき、高温熱処理すると、実効ゲッタリングサイト密度Nsが酸素析出物の密度Nより著しく低下する理由は、次のように推測できることが分かった。
すなわち、酸素析出物の密度Nが高く、かつ、熱処理温度Tが高い場合、鉄Fe原子のゲッタリング速度が高くなるため、鉄Feの濃度は急激に低下する。その結果、酸素析出物の表面での核発生が短時間に抑制されてしまい、一部の酸素析出物のみが実効的なゲッタリングサイトとして働くと考えられる。
以上のように、本発明の計算モデル(核発生モデル)によれば、従来説明が困難であった現象を説明できるとともに、定量的に有効ゲッタリングサイト密度Nsを予測することができる。
上述したように、従来、鉄Feの初期汚染濃度Ciniに対するゲッタリングの緩和時間τの依存性については説明が困難であった。実施例2では、本発明の計算モデルを用いた計算法によれば、鉄Feの初期汚染濃度Ciniとゲッタリングの緩和時間τとの関係を予測することができ、この問題を解決することができる。
実施例2の条件は、以下のとおりである。
最初に、4個のシリコンウェーハを、鉄Feを含有するSC1(アンモニア過酸化水素混合液)洗浄液に浸漬し、鉄Fe汚染を起こした後、1000(℃)にて鉄Feの拡散処理を施した。次に、これらのウェーハを拡散処理温度から急冷した。急冷直後の鉄Feの初期汚染濃度はそれぞれ、3×1012、1×1013、3×1013、1×1014(atoms/cm)である。
次に、インターナルゲッタリングの熱処理温度Tを600(℃)に設定し、インターナルゲッタリングの熱処理時間tを種々変えて、シリコンウェーハの鉄Feの濃度の変化をDLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法により測定した。酸素析出物の密度Nは、3×1010(個/cm)であり、酸素析出物の半径Rは、30nmである。酸素析出物の半径Rは、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により測定した析出酸素量を酸素析出物の密度Nで割った値をもとにして求めた球体換算半径である。熱処理時間tは、0〜200(sec)の範囲である。図2に実験結果により得られた鉄Fe濃度を(3)式の形式にて規格化して、図中にプロットした。
比較のために、上記実験条件と同条件で、本発明の計算モデルによって、計算を行った。
図2における各曲線は計算結果を示し、実験結果のプロットと良く一致していることがわかる。図2に示すように、初期汚染濃度Ciniが高いほど、ゲッタリングの緩和時間τが短くなっていることがわかる。鉄Feの初期汚染濃度Ciniが高いほどゲッタリングの緩和時間τが短いのは、実効ゲッタリングサイトの密度Nsが高いためであり、酸素析出物の表面での鉄シリサイドの核発生速度が大きいことに起因している。
以上のように、本発明の計算モデルによれば、従来説明が困難であった現象を定量的に予測することができる。
実施例3は、シリコンウェーハの冷却速度と鉄Fe濃度との関係を予測するものである。実験結果と本発明の計算モデルによる計算結果を比較した。
以下、実験条件について説明する。
最初に、複数のシリコンウェーハを、鉄Feを含有するSC1(アンモニア過酸化水素混合液)洗浄液に浸漬し、鉄Fe汚染を起こした後、1000(℃)にて鉄Feの拡散処理を施した。鉄Fe初期汚染濃度Ciniは、2×1013(atoms/cm)とした。次に、これらのウェーハを種々の冷却速度で冷却し、冷却後の残存する鉄Fe濃度をDLTS法を用いて測定した。酸素析出物の密度Nは、3×10(個/cm)であり、酸素析出物の半径Rは、50nmである。酸素析出物の半径Rは、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により測定した析出酸素量を酸素析出物の密度で割った値をもとにして求めた球体換算半径である。
比較のために、上記実験条件と同条件にて、本発明の計算モデルによって冷却後のシリコンウェーハの鉄Fe濃度変化を計算した。
図3における曲線は計算結果を示しており、実験結果のプロットと良く一致していることがわかる。
以上のように、本発明の計算モデルによれば、シリコンウェーハの冷却後の鉄Fe濃度を定量的に予測することができる。
実施例4は、図4に示すように、熱処理後にシリコン基板中に残存する鉄Feの濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度Nおよび酸素析出物の半径Rを計算によって求めるというものである。
本実施例では、インターナルゲッタリングの温度Tを600(℃)とし、熱処理時間tを30分とした。鉄Fe初期汚染濃度Ciniは、2×1013(atoms/cm)とした。
図4の横軸は、酸素析出物の密度Nであり、縦軸は、酸素析出物の半径Rである。図中の各曲線は、インターナルゲッタリングの熱処理後に残存する各鉄Fe濃度1011、3×1011、1012、3×1012、1013(atoms/cm)に対応する等高線である。
図4によれば、たとえば、鉄Feの初期汚染濃度Ciniが2×1013(atoms/cm)、インターナルゲッタリングの熱処理条件が600(℃)、30分の場合に、各鉄Feの濃度の等高線(各曲線)から、所望の鉄Fe濃度まで鉄Fe濃度を低下させるためには、酸素析出物の密度Nと半径Rをどのように設定すればよいかを容易に決定することができる。なお、図4から酸素析出物の密度Nと半径Rが求められたならば、そのような密度Nと半径Rが得られるように、シリコン結晶中の酸素濃度等を制御すればよい。
鉄Feの初期汚染濃度Cini、インターナルゲッタリングの熱処理条件を変えた場合にも、図4と同様な各鉄Feの濃度毎の等高線(各曲線)を作成することで、所望の鉄Fe濃度まで鉄Fe濃度を低下させるためには、酸素析出物の密度Nと半径Rをどのように設定すればよいかを容易に決定することができる。
なお、図4では、インターナルゲッタリングの熱処理温度Tが一定(600℃)である場合を想定しているが、温度一定の場合のみならず、種々のパターンで熱処理温度を変化させた場合も、図4と同様な各鉄Feの濃度毎の等高線(各曲線)を作成することができ、これにより、所望の鉄Fe濃度まで鉄Fe濃度を低下させるためには、酸素析出物の密度Nと半径Rをどのように設定すればよいかを容易に決定することができる。
なお、酸素析出物の密度Nの値を与えて、酸素析出物の半径Rを求める実施も可能であり、酸素析出物の半径Rの値を与えて、酸素析出物の密度Nを求める実施も可能である。
実施例5は、図5に示すように、熱処理後にシリコン基板中に残存する鉄Feの濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度Tおよびインターナルゲッタリングの熱処理時間tを求めるというものである。
本実施例では、酸素析出物の密度Nを2×10(個/cm)とし、酸素析出物の半径Rを50nmとした。鉄Fe初期汚染濃度Ciniを2×1013(atoms/cm)とした。
図5の横軸は、インターナルゲッタリングの熱処理時間tであり、縦軸は、インターナルゲッタリングの熱処理温度Tである。図中の各曲線は、インターナルゲッタリングの熱処理後に残存する各鉄Fe濃度3×1010、1011、3×1011、1012、3×1012、1013(atoms/cm)に対応する等高線である。
図5によれば、たとえば、鉄Feの初期汚染濃度Ciniが2×1013(atoms/cm)であり、酸素析出物の密度Nが2×10(個/cm)であり、酸素析出物の半径Rが50nmである場合に、各鉄Feの濃度の等高線(各曲線)から、所望の鉄Fe濃度まで鉄Fe濃度を低下させるには、インターナルゲッタリング熱処理温度Tおよびインターナルゲッタリング熱処理時間tをどのように設定すればよいか容易に決定することができる。なお、図5からインターナルゲッタリング熱処理温度Tとインターナルゲッタリング熱処理時間tが求められたならば、そのような温度Tと時間tが得られる熱処理条件で、インターナルゲッタリングの熱処理を行えばよい。
鉄Feの初期汚染濃度Cini、酸素析出物の密度N、酸素析出物の半径Rを変えた場合にも、図5と同様な各鉄Feの濃度毎の等高線(各曲線)を作成することで、所望の鉄Fe濃度まで鉄Fe濃度を低下させるためには、インターナルゲッタリング熱処理温度Tおよびインターナルゲッタリング熱処理時間tをどのように設定すればよいかを容易に決定することができる。
なお、インターナルゲッタリング熱処理温度Tの値を与えてインターナルゲッタリング熱処理時間tを求める実施も可能であり、インターナルゲッタリング熱処理時間tを与えてインターナルゲッタリング熱処理温度Tを求める実施も可能である。
上述した各実施例1〜5に示される計算は、記憶媒体に記憶されたプログラムによって行うことができる。
図6は、記憶媒体に記憶されたプログラムの一例を示し、各時刻tにおける鉄Feの濃度C(t)を予測演算する処理をフローチャートで示している。
以下、図6のフローチャートの流れに沿ってプログラムの内容について説明する。
最初に、酸素析出物の密度Nとその半径Rと、シリコンウェーハの鉄Feの初期汚染濃度Ciniと、インターナルゲッタリングの温度の時間変化パターン、つまりインターナルゲッタリングの熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を読み込む(ステップS10)。
次に、計算に用いられる時刻変数を初期化して(ステップS11)、時間進行ループに移行する(ステップS12)。時刻変数の更新が行われ(ステップS13)、時刻に対応して温度が設定され(ステップS14)、物理定数が設定される(ステップS15)。
次に、現在演算されているシリコンウェーハの鉄Fe濃度C(t)が溶解度より高いか否かが判断される(ステップS16)。鉄Feの濃度C(t)が溶解度より高い場合は、過飽和な鉄Feの原子が酸素析出物の表面に鉄シリサイドとして析出する場合であり(ステップS16の判断YES)、鉄シリサイドが表面に発生した酸素析出物の密度Nsを計算するために、つぎのステップS17に移行する。
ステップS17では、(6)〜(8)式を用いて、鉄シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度Ns(t)を計算する(ステップS17)。
つぎに、(2)式の「酸素析出物密度N」に、ステップS17で計算された「鉄シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度Ns(t)」を代入することにより、時刻tにおける鉄Feの濃度C(t)の時間変化∂C(t)/∂tを計算する(ステップS18)。
つぎに、ステップS18で計算された時刻tにおける鉄Feの濃度C(t)の時間変化∂C(t)/∂tに基づいて、時刻tにおける鉄Feの残留濃度C(t)を計算する(ステップS19)。
つぎに時間進行ループが終了したか否かが判定される(ステップS20)。
一方、ステップS16で、鉄Feの濃度C(t)が溶解度以下である場合は、
鉄シリサイドの発生および析出(インターナルゲッタリング)は起こらない場合であり(ステップS16の判断NO)、鉄シリサイドが表面に発生した酸素析出物の密度Nsの計算(ステップS17)を行うことなく、ステップS20に移行されて、時間進行ループが終了したか否かが判定される(ステップS20)。
熱処理時間tの最終時刻に達していないならば(ステップS20の判断NO)、ステップS12に戻り、以下再度同様の処理が繰り返し行われる。
熱処理時間tの最終時刻に達すると(ステップS20の判断YES)、各時刻t毎の鉄Feの残留濃度C(t)を計算結果を外部に出力する(ステップS21)。
このフローチャートは実施例1〜5に示されるような、高温で汚染されたウェーハを、汚染温度より低いゲッタリング温度で熱処理した場合のゲッタリングの計算手順を示したものである。これは一般的なゲッタリングのプロセスに対応する。
一方、もし一度ゲッタリングが進行したウェーハを再び高温に加熱するという複雑な熱処理プロセスについて計算する必要がある場合は、酸素析出物にゲッタリングされた鉄Feの再放出というプロセスを計算に加えなくてはならない。
その場合、ここではステップS16の判断NOの場合に、ステップS20にスキップさせていたのを、再放出の計算処理に移行させることになる。それは、ゲッタリングされて酸素析出物に蓄積された鉄Feが全て放出されるまでの間、ステップS17をスキップして、ステップS16からステップS18に移行することを意味する。そして、酸素析出物に蓄積された鉄Feが全て放出された後は、ステップS16からステップS20にスキップするフローとなる。そのため、酸素析出物に蓄積された鉄Feの量を計算する処理を加えておく必要がある。以上のようなフローとすれば、どのような複雑なプロセスにも対応できるが、一般的には本実施例6のフローによる評価で十分である。
以上の各実施例では、シリコンウェーハの汚染重金属が鉄Feである場合について説明したが、本発明は、シリコンウェーハの汚染重金属を鉄Feのみに限定するものではなく、銅Cu、ニッケルNi等の各種の汚染重金属に対して適用することができる。
以上のように本実施例によれば、酸素析出物の表面において汚染重金属シリサイド(鉄シリサイド)の核が発生する過程と、表面に汚染重金属シリサイド(鉄シリサイド)の核が発生した酸素析出物によって、汚染重金属(鉄)をゲッタリングする過程を考慮した演算式を加えて、シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するようにしたので、実用的なゲッタリング熱処理温度および酸素析出物の密度範囲を含むあらゆる条件下で、インターナルゲッタリングの挙動を正確に、かつ実際の測定を行うことなく予測できるようになる。このため、インターナルゲッタリング能の評価を正確に、かつ短時間、低コストで行うことができる。
図1は、酸素析出物の各密度毎に、インターナルゲッタリングの温度と有効ゲッタリングサイト密度との関係を示した図である。 図2は、各初期汚染濃度毎に、インターナルゲッタリングの熱処理時間と規格化された鉄Fe濃度との関係を示した図である。 図3は、冷却速度と残存する鉄Feの濃度との関係を示した図である。 図4は、鉄の各所望濃度毎に、酸素析出物密度と酸素析出物半径との関係を示した図である。 図5は、鉄の各所望濃度毎に、インターナルゲッタリングの熱処理時間とインターナルゲッタリングの熱処理温度との関係を示した図である。 図6は、インターナルゲッタリング挙動予測を行うプログラムの一例を示すフローチャートである。

Claims (10)

  1. シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法であって、
    汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物は、インターナルゲッタリングの熱処理中に汚染重金属の有効なゲッタリングサイトとなり、汚染重金属シリサイドが表面に核発生していない酸素析出物は、インターナルゲッタリングの熱処理中に汚染重金属のゲッタリングに寄与しないという仮定の下に、
    インターナルゲッタリングの熱処理中の有効ゲッタリングサイトの密度として、汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度を求め、
    インターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化は、「酸素析出物の密度」に比例するという演算式に、当該「酸素析出物の密度」に代えて前記求められた汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度を代入してインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化を求めて、
    シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測する方法。
  2. 請求項1において求められたインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化に基づいて、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を求め、当該熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度および/または酸素析出物の半径を求めることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 請求項1において求められたインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化に基づいて、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を求め、当該熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度および/またはインターナルゲッタリングの熱処理時間を求めることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 汚染重金属は、鉄であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体であって、
    汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物は、インターナルゲッタリングの熱処理中に汚染重金属の有効なゲッタリングサイトとなり、汚染重金属シリサイドが表面に核発生していない酸素析出物は、インターナルゲッタリングの熱処理中に汚染重金属のゲッタリングに寄与しないという仮定の下に、
    インターナルゲッタリングの熱処理中の有効ゲッタリングサイトの密度として、汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度を求め、
    インターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化は、「酸素析出物の密度」に比例するという演算式に、当該「酸素析出物の密度」に代えて前記求められた汚染重金属シリサイドが表面に核発生した酸素析出物の密度を代入してインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化を求めて、
    シリコン基板におけるインターナルゲッタリングの挙動を予測するプログラムを記憶した記憶媒体。
  6. 請求項5において求められたインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化に基づいて、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を求め、当該熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要な酸素析出物の密度および/または酸素析出物の半径を求めることを特徴とする請求項5記載の記憶媒体。
  7. 請求項5において求められたインターナルゲッタリングの熱処理中にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度の時間変化に基づいて、熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を求め、当該熱処理後にシリコン基板中に残存する汚染重金属の濃度を、所望の濃度以下に低下させるために必要なインターナルゲッタリングの熱処理温度および/またはインターナルゲッタリングの熱処理時間を求めることを特徴とする請求項5記載の記憶媒体。
  8. 汚染重金属は、鉄であることを特徴とする請求項5記載の記憶媒体。
  9. 酸素析出物の表面における汚染重金属シリサイドの核発生速度Isを下記演算式で求め、

    Is=(4πRs*DC(t) )Z(T ) ρexp(-ΔG*/kbT)

    [Rs*:汚染重金属シリサイドの臨界核半径、D:汚染重金属の拡散係数、C(t):時間tにおけるシリコンウェーハ内の汚染重金属の濃度、4πRs*DC(t):臨界核に汚染重金属原子が拡散により接触する頻度、Z(T ):Zeldovich因子、ρ:酸素析出物の表面における原子サイトの密度、ΔG*:酸素析出物の表面に汚染重金属シリサイドが形成されたときの系の自由エネルギー変化、kb:ボルツマン定数、T:絶対温度、ρexp(-ΔG*/kbT):臨界核の平衡密度]

    インターナルゲッタリングの熱処理中の有効ゲッタリングサイトの密度Ns(t)を下記演算式で求め

    Ns(t)=∫Is(t) 4πR (N−Ns(t))dt

    [Is(t):核発生速度、R:酸素析出物の半径、N:酸素析出物の密度]

    求めた密度Ns(t)を下記演算式、

    ∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−C eq )N

    における「N」に代入して、下記演算算式、

    ∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−C eq )Ns(t)

    [R:酸素析出物の半径、D:汚染重金属の拡散係数、C(t):時間tにおけるシリコン基板内の汚染重金属の濃度、C eq :汚染重金属の溶解度]

    により、汚染重金属の濃度の時間変化∂C(t)/∂tを演算し、
    前記各演算を差分法によって繰り返し行うことにより、任意の時刻tにおける汚染重金属の残留濃度C(t)を予測する請求項1記載の方法。
  10. 酸素析出物の表面における汚染重金属シリサイドの核発生速度Isを下記演算式で求め、

    Is=(4πRs*DC(t) )Z(T ) ρexp(-ΔG*/kbT)

    [Rs*:汚染重金属シリサイドの臨界核半径、D:汚染重金属の拡散係数、C(t):時間tにおけるシリコンウェーハ内の汚染重金属の濃度、4πRs*DC(t):臨界核に汚染重金属原子が拡散により接触する頻度、Z(T ):Zeldovich因子、ρ:酸素析出物の表面における原子サイトの密度、ΔG*:酸素析出物の表面に汚染重金属シリサイドが形成されたときの系の自由エネルギー変化、kb:ボルツマン定数、T:絶対温度、ρexp(-ΔG*/kbT):臨界核の平衡密度]

    インターナルゲッタリングの熱処理中の有効ゲッタリングサイトの密度Ns(t)を下記演算式で求め

    Ns(t)=∫Is(t) 4πR (N−Ns(t))dt

    [Is(t):核発生速度、R:酸素析出物の半径、N:酸素析出物の密度]

    求めた密度Ns(t)を下記演算式、

    ∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−C eq )N

    における「N」に代入して、下記演算算式、

    ∂C(t)/∂t=−4πRD(C(t)−C eq )Ns(t)

    [R:酸素析出物の半径、D:汚染重金属の拡散係数、C(t):時間tにおけるシリコン基板内の汚染重金属の濃度、C eq :汚染重金属の溶解度]

    により、汚染重金属の濃度の時間変化∂C(t)/∂tを演算し、
    前記各演算を差分法によって繰り返し行うことにより、任意の時刻tにおける汚染重金属の残留濃度C(t)を予測する請求項5記載の記憶媒体。
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