JP4638549B2 - Igf−1レセプターと相互作用するタンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの使用 - Google Patents
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Description
a)配列番号:5に記載の核酸配列又はそれに相補的である核酸配列、
b)配列番号:6に記載のポリペプチドと相同性を示すポリペプチドをコードする、a)の核酸配列のうちの1つとストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸配列、又は
c)遺伝子コードの縮重により、a)又はb)の配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を有するIIP-10ポリペプチドをコードする配列
を含む群から選択される、IGF-1レセプターに結合するタンパク質をコードする核酸(IIP-10)に関する。
ハイブリダイゼーションは、好ましくは、5.0×SSC、5×Denhardt、7% SDS、0.5 Mリン酸緩衝液pH 7.0、10%デキストランスルフェート及び100μg/mlサケ精子DNA中で約50℃〜68℃で行われ、次に1×SSCで68℃での2回の洗浄ステップが行われる。
本発明は、また、本発明による核酸により形質転換された宿主細胞に関する。
本発明は、また、本発明による核酸によりコードされたIGF-1レセプターに結合する組換えポリペプチドに関する。
a)癌を患う被検体の体液、腫瘍細胞、又は該腫瘍細胞の細胞抽出物もしくは細胞培養物上清のサンプルをインキュベートするステップであって、該サンプルが、
(i)配列番号:1、3又は5に記載の核酸又はそれに相補的である核酸及び (ii)(i)からの核酸のうちの1つとハイブリダイズする核酸からなる群から選択される核酸プローブと一緒に核酸を含むステップと、
b)前記サンプルの核酸及び/又は前記核酸プローブの更なる結合パートナーによるハイブリダイゼーションを検出するステップと、
を含む方法に関する。
好ましくは、検出すべき核酸は検出前に増幅させる。
本発明は、更に、IGF-1RとIIP-10との間の相互作用を阻害する化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記IGF-1R及びIIPポリペプチドが複合体を形成することができるように、IGF-1R及びIIPポリペプチドを、候補の化合物を含む溶液に組み合わせるステップと、
b)前記化合物の欠如下における所定の結合のレベルに対する複合体の量を決定し、それから、前記化合物が、IGF-1RのIIPへの結合を阻害する能力を評価するステップと、
を含む方法に関する。
好ましくは、前記化合物は前記相互作用を阻害する。
a)配列番号:5に記載の核酸配列又はそれに相補的である核酸配列、
b)配列番号:6に記載のポリペプチドと少なくとも75%の相同性を示すポリペプチドをコードする、a)の核酸配列のうちの1つとストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸配列、又は
c)遺伝コードの縮重により、a)又はb)の配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を有するIIP-10ポリペプチドをコードする配列
を含む群から選択される、IGF-1レセプターに結合するタンパク質をコードする核酸(IIP-10)を含む。
用語“核酸”とは、例えば、DNA、RNA、又は誘導化した活性なDNA又はRNAであり得るポリペプチドをいう。しかしながら、DNA及びmRNA分子が好ましい。
本発明は、更に、本発明による核酸によりコードされ、及び好ましくは配列番号:5に記載のDNA配列によりコードされる合成及び組換えポリペプチド並びにそれらに基づくペプチド擬態物を含む。このようなペプチド擬態物は細胞膜について高いアフィニティーを有し、細胞により直ちに取り込まれる。ペプチド擬態物は、好ましくはペプチド及びタンパク質由来の化合物であり、非天然アミノ酸、コンホメーション制限、等配電子置換、環化等を用いる構造改変によって得られる。それらは好ましくは、24又はそれ未満、好ましくは20又はそれ未満のアミノ酸に基づくが、約12アミノ酸に基づくものが特に好ましい。
IIP-1
IIP-1と呼ぶIGF-1レセプターに相互作用するタンパク質をコードするcDNA(配列番号:1)を単離した。そのIIP-1のcDNAは35,727の計算した分子量で333aaの新しいタンパク質をコードする。IIP-1はグリシンが豊富なタンパク質である(13%)。IIP-1は、いくつかのN−ミリストイル化部位、PKC及びCK2リン酸化部位:並びに2つの推定上の核局在化シグナルを含む。第2の異型、26,071の計算した分子量の236aaの長さのIIP-1(p26)を同定した。それは、最も確からしくは、交互のスプライシングによって作られる(図3)。両方の異型はIGF-1レセプターに結合する。
IIP-2は、ヒトAPS(EMBLアクセス番号:HSAB520)に対応するIGF-1レセプターの細胞質部分の新しい結合体として同定された。APSは、以前に、食餌としてオンコジーンc−kitキナーゼを用いるイースト2−ハイブリッドスクリーンにおいて単離されている(Yokouchi, M ら、Oncogene 15 (1998) 7-15)。IIP-2はキナーゼ依存様式でIGF-1レセプターと相互作用する。IIP-2の結合は、インスリンレセプターファミリーの他の膜(インスリンレセプター、Ros)に対して観察されたが、関連しないレセプターチロシンキナーゼ(Met)に対しては観察されなかった。IGF-1レセプターと相互作用することが見出されたIIP-2の領域はAPSのSH2ドメイン(nt 1249〜1545)を含むヒトAPS(nt 1126〜1674、EMBL Acc No.AB000520)に対応する。
IIP-3は、新しいIGF-1レセプターに相互作用するタンパク質として単離され、それはPSM(GenBankアクセス番号:AF020526)と同一である。PSMは、活性化インスリンレセプターに結合するシグナル伝達タンパク質を含むPH及びSH2ドメインとして知られる(Riedel, H ら、J. Biochem. 122 (1997) 1105-1113) 。PSMの変異体は公開されている(Riedel, H ら、J. Biochem. 122 (1997) 1105-1113) 。IIP-3のIGF-1レセプターへの結合はレセプターのチロシルリン酸化に依存する。
IIP-4は、IGF-1レセプターの細胞質ドメインの新しい相互作用タンパク質として単離された。IIP-4はp59fyn,src様チロシンキナーゼ(EMBLアクセス番号:MMU70324及びヒトfynEM-HUM1:HS66H14)(Cooke, M.P.,及びPerlmutter, R.M., New Biol. 1 (1989) 66-74) 。IIP-4はキナーゼ依存様式でIGF-1レセプターに、及びインスリンレセプター及びMetのようないくつかの他のレセプターチロシンキナーゼに結合する。IGF−1レセプターと相互作用するIIP-4の領域(nt 665〜1044)はp59fynのSH2ドメイン(EMBL Acc No.V70324)を含む。
IIP-5は、新しいIGF-1レセプターと相互作用するタンパク質として単離された。IIP-5は、ジンクフィンガータンパク質Zfp38(EMBLアクセス番号:MMZFPTA)と高い相同性を示し、対応するヒト遺伝子と少なくとも80%の相同性を有する。Zfp-38は転写因子として知られている(Chowdhury, Kら、Mech. Der. 39 (1992) 129-142) 。IIP-5は活性化及びリン酸化IGF-1レセプターと排他的に相互作用するが、キナーゼ不活性変異体とは相互作用しない。IIP-5のIGF-1レセプターへの結合に加えて、IIP-5の、インスリンレセプターファミリーのレセプターチロシンキナーゼ(インスリンレセプター、Ros)との相互作用が観察された。IIP-5はより遠くで関連したチロシンキナーゼMetに結合しない。
Zfp38(EMBL Acc No.MMZFPIA)のnt 756〜1194をコードし、第1のジンクフィンガー(nt 1075〜1158)を含むIGF-1レセプターに結合する1つのcDNAクローンを単離した。このドメインは活性化IGF-1レセプターへの結合のために十分である。
IIP-6は、新しいIGF-1レセプターと相互作用するタンパク質として同定された。IIP-6は、Zfp29(EMBLアクセス番号:MMZEP29)のジンクフィンガードメインと小さな類似性を示す。Zfp29はN末端の転写活性化ドメイン及び14のC末端Cys2 HiS2 ジンクフィンガーからなる(Denny, P.,及びAshworth, A., Gene 106 (1991) 221-227)。IIP-6のIGF-1レセプターへの結合はIGF-1レセプターキナーゼのリン酸化に依存する。IIP-6はインスリンレセプターとも結合するがMetとは相互作用しない。IGF-1レセプターと相互作用することが見い出されたIIP-6の領域(配列番号:3、配列番号:4)はCys2 His2 型の2つのジンクフィンガードメインを含む。
IIP-7は、Pax-3(EMBLアクセス番号:MMPAX3R及びヒトPax3EM-HUM2:S69369)に対応する新しいIGF-1レセプターと相互作用するタンパク質として単離された。Pax-3は、初期の胚形成の間に発現されるDNA結合タンパク質として知られている(Goulding, M.D.ら、EMBO J. 10 (1991) 1135-1147)。IIP-7はリン酸化依存様式でIGF-1レセプターに結合する。IIP-7はインスリンレセプター及びMetとも相互作用する。部分的なIIP-7cDNAクローンはPax3のIGF-1レセプタードメイン(nt 815〜1199、EMBL Acc No.MMPAX3R)をコードすることが判明した。この領域はPax−3の対になったドメインオクタペプチド(nt 853〜876)及び対の型のモメオドメイン(nt 952〜1134)を含む。
IIP-8はGrb7(EMBLアクセス番号:MMGRB7P、ヒトGrb7 EM-HUM1:AB008789)の全長のcDNAをコードする。Grb7、PHドメイン及びSH3ドメイン含有シグナル伝達タンパク質はEGFレセプター結合タンパク質(Margolis, B.L.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 8894-8898) として最初に公開された。IIP-8はIGF-1レセプターのキナーゼ不活性変異体と相互作用しない。IIP-8の、いくつかの他のレセプターチロシンキナーゼ(例えばインスリンレセプター、Ros及びMet)への結合も観察された。
IIP-9は新しいIGF-1レセプター相互作用タンパク質として同定された。IIP-9はnck-β(EMBL Acc No.AF043260)と同一である。NckはSH2及びSH3ドメインからなる細胞質シグナル伝達タンパク質である(Lehmann, J. M ら、Nucleic Acids Res. 18 (1990) 1048)。IIP-9はリン酸化依存様式でIGF-1レセプターと相互作用する。nckはIGF-1レセプターの膜近傍領域に結合する。IIP-9のIGF-1レセプターへの結合の他に、インスリンレセプターとの相互作用が見られたが、Ros又はMetとの相互作用は見られなかった。
本発明は、抗原性である本発明によるポリペプチドのフラグメントを特徴とする。本明細書に用いる用語“抗原性”は、特定の免疫原応答、例えば本発明によるタンパク質に特異的に結合する抗体を生産する免疫原応答を誘導することができる。そのフラグメントは、好ましくは少なくとも8アミノ酸、そして好ましくは25アミノ酸までの長さである。1つの好ましい実施形態において、そのフラグメントは、IGF-1レセプターへのIIPの結合の原因であるドメイン(即ちIIP-1のPDZドメイン)を含む。“ドメイン”とは、その結合パートナーとの相互作用に直接関連したタンパク質中のアミノ酸の領域を意味する。PDZドメインは、イオン- 、チャンネル及びレセプタークラスター化並びにエフェクター酵素へのレセプターの連結に関連するいくつかのタンパク質において見出される約90残基の反復である。このようなPDZは、一般に、Cabral, J.H.ら、Nature 382 (1996) 649-652 に記載される。
そのタンパク質は、細胞又は培養上清から単離し、クロマトグラフィー手段により、好ましくはイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー及び/又は逆相HPLCにより精製することができる。
IIP-10は、周知のタンパク質精製技術、例えば免疫沈降法、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点電気泳動、選択的沈降法、電気泳動等を用いてアフィニティークロマトグラフィーにより組換え生産後に精製することができる。
本発明は、更に、IIP−遺伝子をコードする核酸分子を検出するための方法であって、サンプル(例えば体液、例えば血液、細胞ライゼート)を本発明による核酸分子と共にインキュベートし、そして前記IIP遺伝子である核酸分子の存在を決定するために標的核酸分子への前記核酸分子のストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションを決定することを含む方法並びに、それゆえ、哺乳動物細胞又は体液内でのIGF-1R活性化又は阻害の同定のための方法を含む。
a)癌を患う被検体の体液のサンプル、癌細胞のサンプル、又は該癌細胞の細胞抽出物もしくは細胞培養物上清のサンプルをインキュベートするステップであって、前記サンプルは、
(i)配列番号:1,3もしくは5に記載の核酸又はそれに相補的である核酸、並びに
(ii)(i)からの核酸のうちの1つとストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸
からなる群から選択された核酸プローブと共に核酸を含むステップと、
b)前記サンプルの核酸の更なる結合パートナー及び/又は核酸プローブにより又はX線ラジオグラフィーによりハイブリダイゼーションを検出するステップと、
を含む方法も包含する。
− 固定化された完全な細胞と、固定化された組織スミアと、及び単離された中期染色体とのイン・シトゥハイブリダイゼーション
− コロニーハイブリダイゼーション(細胞)及びプラークハイブリダイゼーション(ファージ及びウイルス)、
− サザンハイブリダイゼーション(DNA検出)
− ナーザンハイブリダイゼーション(RNA検出)
− 血清分析(例えばスロット・ブロット分析による血清中の細胞の細胞型分析)
− 増幅後(例えばPCR技術)
好ましくは、核酸プローブは、サンプルの核酸とインキュベートされ、ハイブリダイゼーションは、任意に、サンプルの核酸のための更なる結合パートナー及び/又は核酸プローブにより検出される。
本発明によれば、IIP-10のアンタゴニスト又はIIPの発現のためのインヒビター(例えばアンチセンス核酸)は、腫瘍進行を阻害し、好ましくは体の遺伝子療法により、生体内での腫瘍細胞の大量のアポトーシスを引きおこすのに用いることができる。
a)IGF-1R及びIIP-1又はIIP-10ポリペプチドを、候補化合物を含む溶液に、該IGF-1R及びIIP-1又はIIP-10ポリペプチドが複合体を形成することができるように組み合わせ、
b)前記候補化合物の欠如下の所定の結合のレベルに対する複合体の量を決定し、それから、前記候補化合物がIGF-1RのIIP-1又はIIP-10ポリペプチドへの結合を阻害する能力を評価することを含む方法である。
本発明の更なる実施形態は、患者における癌腫の治療のための治療剤の生産のための方法であって、生化学及び/又は細胞アッセイにおいてIGF-1RとIIPとの間の相互作用を少なくとも50%の程度まで阻害する治療に有効な量の化合物を組み合わせることを含む方法である。生化学アッセイは、好ましくはELISAベースのアッセイ又はホモジニアスアッセイである。ELISAシステムの場合、2つの結合パートナーに特異的な抗体が複合体の検出のために用いられる。ホモジニアスアッセイの場合、少なくとも1の結合パートナーは、複合体の分析を許容する蛍光体で標識される。細胞アッセイは、好ましくは、腫瘍細胞又はIGF-1R及び各々の結合タンパク質の発現構成物がトランスフェクトされた細胞が薬剤あり又はなしで処理され、次に2つの構成物間の複合体形成が標準細胞アッセイを用いて分析されるアッセイである。
抗体は、ヒト、マウス、又はラットポリペプチドから作った。IIP-1又はIIP-10を特異的に認識する抗体は本発明に含まれる。このような抗体は標準的免疫学的技術を用いて生ずる。抗体は、ポリクローナルでもモノクローナルでもよく、又はヒトに適合させた抗体のように組換えにより生産することができる。IIP-1又はIIP-10と相互作用する能力を保持する抗体フラグメントも供される。このようなフラグメントは、全長の抗体のタンパク質による開裂によって生産することができ、又は組換えDNA法によって生産することができる。本発明の抗体は診断的及び治療的適用に役立つ。それらは、生物サンプル、特に組織サンプル及び体液中でIIP-1又はIIP-10を検出し及び定量するために用いられる。それらは、アゴニスト又はアンタゴニストとして機能することにより、IIP-1又はIIP-10の活性を調節するのにも用いられる。
図面及び配列の記載
図1は、IGF-1レセプターの細胞質結合タンパク質のためのcDNAライブラリーをスクリーニングするために用いられるイースト2−ハイブリッドベイト(baits)のドメイン構造を示す。LexA DNA結合ドメインを野生型IGF-1レセプター(a)又はキナーゼ不活性変異体(aa1003でのK/A変異)(b)(Ullrich, Aら、EMBO J. ら(1986) 2503-2512 ; Weidner, M. ら、Nature 384 (1996) 173-176)の細胞質(cp)ドメイン(nt 2923〜4154)に融合した。LexA DNA結合ドメインとレセプタードメインとの間に挿入された2つの異なるリンカーのヌクレオチド及びアミノ酸配列を以下に示す。I1(wt IGF-1レセプター)及びK1(キナーゼ不活性変異体IGF-1レセプター)構成物は、I2及びK2構成物に比べて更なるプロリン及びグリシンを含む。
配列番号:1は、IIP-1のヌクレオチド配列(cDNA)である。
配列番号:3は、IIP-6部分cDNAクローンのヌクレオチド配列である。
配列番号:4は、IIP-6部分cDNAクローンの予想されるアミノ酸配列である。2つのCys2 His2 ジンク・フィンガードメインのシステイン及びヒスチジン残基はアミノ酸72,75,88,92,160,103,116、及び120である。
配列番号:6は、IIP-10の予想されるアミノ酸配列である。
配列番号:7は、プライマーTIP2c-sである。
配列番号:8は、プライマーTIP2b-rである。
配列番号:9は、プライマーHcthy-sである。
配列番号:10は、プライマーHcthy-rである。
IGF-1R結合タンパク質の単離及びキャラクタリゼーション
イースト2−ハイブリッドシステム(Fields, S.及びSong, O., Nature 340 (1989) 245-246)を未知のサイトソルIGF-1レセプター結合タンパク質を単離するのに用いた。スクリーニングのために、イースト内のレセプターの鎖間チロシルリン酸化を許容するイースト2−ハイブリッドシステムの改良型を用いた。
アッセイシステム
A)インビトロ/生化学アッセイ
ELISAベースのアッセイ/ホモジニアスアッセイ
IGF-1R及びその結合タンパク質(IIP)を、大腸菌及び真核細胞内でTaq−酵素あり又はなしで発現させ、均一になるまで精製する。IGF-1R及び各々の結合タンパク質の相互作用を薬剤の存在又は欠如下で分析する。IGF-1R及び各々の結合タンパク質の結合を阻害し又は促進する化合物を選択する。ELISAシステムの場合、2つの結合パートナーに特異的な抗体を、複合体の検出のために用いる。ホモジニアスアッセイの場合、少くとも1の結合パートナーを、複合体の分析を許容する蛍光染料で標識する。あるいは、抗Taq抗体の相互作用をモニターするために用いる。
腫瘍細胞又はIGF−1R及び各々の結合タンパク質の発現構成物をトランスフェクトした細胞を薬剤あり又はなしで処理し、次に2つの構成物間の複合体を標準アッセイを用いて分析する。
IIP-1及びIIP-10のcDNAクローニング(及びRT-PCRアッセイ)
全長のIIP-1のヌクレオチド配列を、データベース情報(EST)及びIIP-1の部分cDNAクローン(IIP-1a,IIP-1b)の配列を用いてアラインした。全長のIIP-1のcDNAクローニングを、MCF7 ADR乳細胞系から単離した全RNAでのRT PCRにより行った。2つのオリゴヌクレオチドプライマー:TIP2c-s(配列番号:7)及びTIP2b-r(配列番号:8)でのRT PCRにより1.0kb(IIP-1)及び0.7kb(IIP-1(p26))の2つのDNAフラグメントを増幅した。
cDNA及び予想されるタンパク質配列の比較を、Advanced Blast Search (Altschul, S.F. ら、J. Mol. Biol. 215 (1990) 403-410 ; Altschul, S.Fら、Nucleic Acids Res. 25 (1997) 3389-3402) を用いて行った。
IIP-1及びIIP-10のウエスタンブロット分析
全細胞ライゼートを、50mM Tris pH8.0, 150mM NaCl ,1% NP40,0.5%デオキシコール酸、0.1% SDS、及び1mM EDTAを含む緩衝液中に調製し、4℃で15分、遠心することにより透明にした。その上清のタンパク質濃度を、製造元のマニュアルに従って、Micro BCA Protein Assayキット(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を用いて測定した。IGF-1レセプターを、抗IGF-1レセプター抗体(Santa Cruz)を用いて免疫沈降させた。タンパク質をSDS-PAGEにより分画し、ニトロセルロースフィルターに電気泳動により移した。ニトロセルロースフィルターを20mM Tris pH7.5 ,150mM NaCl, 0.2% Tween-20中10%脱脂粉乳と共にプレインキュベートした。フラッグエピトープに対するマウスモノクローナル抗体の結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウスIgG抗血清(Biorad, Munich, DE)により検出し、増強化学発光検出システムECLTM(Amersham, Braunschweig, DE)を用いて視覚化した。
リポソーム媒介トランスフェクションによる哺乳動物細胞内でのIIP-1へIIP-10の過剰発現
IIP-1〜-10についてのcDNAをpBATflag又はpcDNA3flag(Weidner, Mら、Nature 384 (1996) 173-176 ; Behrens, Jら、Nature 382 (1996) 638-642 ; Behrens, J. ら、Science 280 (1998) 596-599) のNatI部位にクローン化した。NIH3T3細胞又は他の受容細胞に、トランスフェクション剤としてFu GENE6(Roche Biochemicals)を用いて、pcDNAflag IIP-1〜-10又はpBATflag IIP-1〜-10をトランスフェクトした。細胞を、0.4mg/mlのG418において選択した。単一のコロニーをとり、IIP-1〜-10の発現について分析し、増殖に関して機能的にキャラクタライズした。
ヒト及びネズミmRNA多重組織ノーザン・ブロットを、Clonetech(Palo Alto, CA, US)から購入した。そのコーディング領域のIIP-10 nt 343〜nt 676を貫くcDNAプローブをPCR DIG Labeling Mix(Roche Piaghostics GmbH, DE)を用いてDIG-dUTPで標識した。ジゴキシゲニン標識化アクチンRNAプローブをRoche Diagnostics GmbH, DEから購入した。DIG EasyHybハイブリダイゼーション溶液(Roche Diagnostics GmbH, DE)を用いてハイブリダイゼーションを行った。IIP-10 mRNAを、アルカリホスファターゼにコンジュゲートしたDIG特異的抗体及びCSPD基質(Roche Diagnostics. GmbH, DE)で検出した。
癌細胞におけるmRNAの検出
配列番号:1もしくは配列番号:5又はその相補配列とハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質が癌細胞内で発現されるか否か、及び結果としてmRNAが存在するか否かを検出するために、一方で、核酸ハイブリダイゼーションの確立された方法、例えばノーザンハイブリダイゼーション、イン・シトゥハイブリダイゼーション、ドット又はスロットハイブリダイゼーション及びその由来の診断技術を行うことが可能である(Sambrook et al., Molecular Cloning ; A laboratory manual (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, USA ; Hames, B.D., Higgins, S.G., Nucleic acid hybridisation - a practical approach (1985) IRL Press, Oxford, England; WO89/06698; EP-A 0200362; EP-A 0063879; EP-A 0173251; EP-A 0128018)。他方、特定のプライマーを用いる増幅の多様なレパートリーからの方法を用いることが可能である(PRC Protocols - A Guide to Methods and Applications (1990), publ. M.A. Innis, D.H. Gelfand, J.J. Sninsky, T.J. White, Academic Press Inc. ; PCR - A Practical Approach (1991), publ. M.J. McPherson, P. Quirke, G.R. Taylor, IRL Press) 。
本発明によるタンパク質の活性のモジュレーターの同定のための手順
実施例5の発現ベクター(IIP-1又はIIP-10のいずれかについて、10μg/106 細胞)を、当該技術で周知の標準的な方法(Sambrookら)によりNIH3T3細胞に移す。ベクターを摂取した細胞は、選択の存在下又は選択条件(0.4mg/ml G418)下で増殖する能力によって同定される。IIPをコードするDNAを発現する細胞は、実施例5に記載されるように、ノーザン・ブロット分析によって検出される。あるいは、そのタンパク質を発現する細胞は、実施例4に記載される抗体を用いるウエスタン・ブロット分析によるタンパク質の同定によって同定される。発現ベクターからタンパク質を発現する細胞は、変化した形態及び/又は増強された成長特性を示すであろう。
あるいは、モジュレーターと予想されるものは、腫瘍細胞の培養物に添加され、その細胞は、変化した形態を示し、及び/又は減少した又は増加した成長特性を示す。モジュレーター化合物と予想されるものは、IIPタンパク質あり及びなしで細胞に添加され、細胞応答は、細胞の形態特性の直接観察により測定され、及び/又は細胞はそれらの成長特性についてモニターされる。モジュレーター化合物は、IIPタンパク質に対する細胞応答を増加又は減少させるであろうし、各々IGF-1レセプター活性のアクティベーター又はインヒビターであろう。
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