JP5198289B2 - 前立腺癌の治療用アジュバントとしてのigf−irアンタゴニスト - Google Patents

前立腺癌の治療用アジュバントとしてのigf−irアンタゴニスト Download PDF

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Description

[連邦政府資金]
本発明は、国立衛生研究所からの認可番号CA85859および国防総省からの認可番号W81XWH−04−1−0912の下で米国政府支援を一部受けてなされた。従って、米国政府は本発明において一定の権利を有する。
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年2月3日に出願された米国出願第60/765,072号(全体として参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
[発明の分野]
本発明は、アンドロゲン枯渇療法およびインスリン様成長因子受容体(IGF−IR)アンタゴニストにより前立腺癌を治療する方法に関する。前記方法は、アンドロゲン依存性癌のアンドロゲン非依存性癌への移行を阻害するかまたは遅らせ、再発の危険性を著しく減少させ、治療成果を改善する。
前立腺癌は米国人において最も一般的な皮膚以外の癌であり、癌では2番目に死亡率が高い。ほとんどの前立腺癌は、初期はアンドロゲン依存性(AD)である。前立腺癌細胞は、初期は継続して増殖するためにアンドロゲンを必要とする。手術(睾丸摘出)または薬物療法(GnRH作用薬またはエストロゲン)のいずれかによるアンドロゲン枯渇療法(ADT)によるテストステロンの除去に対する反応により、感受性前立腺癌細胞のアポトーシスが迅速に誘発される。陽性反応速度は、前立腺特異抗原(PSA)における減少および腫瘍体積の固定化または減少に基づいて、約86%である。細胞死は一般に最初の数日間から1週間以内に起こる。しかしながら、陽性反応の次に成長停止期間があり、この期間内に残存する細胞は死なない傾向にある。ホルモン除去後18〜36ヶ月で、症例の90%で成長が再発する。生き残った癌細胞はアンドロゲン非依存性になるか、または無反応になり、その後にアンドロゲン非依存性(AI)腫瘍成長が起こる。ADTは、最初は非常に有効であるので、ADTの恩典の利点を利用し、その効果を延長または向上させる治療法は大きな利点である。
アンドロゲン非依存性は様々なメカニズムにより生じるようである。アンドロゲン受容体遺伝子における突然変異は診断時ではまれであるが、抗アンドロゲンフルタミドにさらされた後に増加する。しかしながら、これらの突然変異は、大部分の患者において起こらず、ホルモン抵抗性疾患のほとんどの症例を説明することができない。高レベルのbcl−2が、限局性疾患と比較して進行した疾患において高い頻度で観察される。従って、アポトーシスを誘発する能力は、疾患が進行するにつれ減少する。腫瘍抑制遺伝子p53の突然変異を有する細胞の増殖、TGF−β受容体の喪失、およびペプチド成長因子の発現は、ホルモン抵抗性状態の進行に関与する可能性が高い。しかしながら、これらのプロセスによっては、進行の速度および頻度を説明できない。
インスリン様成長因子受容体(IGF−IR)は、正常な胎児および出生後の成長および発育に必須であるユビキタス膜貫通チロシンキナーゼ受容体である。IGF−IRは細胞増殖、細胞分化、細胞のサイズにおける変化を刺激し、細胞をアポトーシスから保護することができる。これは細胞形質転換にある程度必須であると考えられてきた(Adams et al.,Cell.Mol.Life Sci.57:1050−93(2000);Baserga,Oncogene 19:5574−81(2000)に概説)。IGF−IRはほとんどの細胞型の細胞表面上に位置し、成長因子IGF−IおよびIGF−II(以下、まとめてIGFと称する)のシグナル伝達分子としての働きをする。IGF−IRは、IGFと結合するよりも1000倍低い親和力ではあるが、インスリンとも結合する。IGF−IRは、ジスルフィド結合により共有結合した2つのα鎖および2つのβ鎖を含有する、前駆形成されたヘテロ四量体である。受容体サブユニットは180kdの単一ポリペプチド鎖の一部として合成され、続くタンパク質分解により、α(130kd)およびβ(95kd)サブユニットにされる。α鎖は全て細胞外にあり、リガンド結合部位を含有する。β鎖は膜貫通ドメイン、チロシンキナーゼドメイン、ならびに細胞分化および形質転換に必要なC末端伸長を有するが、マイトジェンシグナル伝達およびアポトーシスからの保護に関して重要ではない。
IGF−IRは、インスリン受容体(IR)と、特にβ鎖配列において非常に類似している(70%相同性)。近年の研究は、これらの受容体が、この相同性により、1つのIR二量体および1つのIGF−IR二量体を含有するハイブリッドを形成できることを証明した(Pandini et al.,Clin.Canc.Res.5:1935−19(1999))。ハイブリッドの形成は、正常細胞および形質転換細胞の両方において起こり、ハイブリッド含有量は細胞内の2つのホモダイマー受容体(IRおよびIGF−IR)の濃度に依存する。39の乳癌試料を用いた一研究では、IRおよびIGF−IRはどちらも全ての腫瘍サンプルにおいて過剰発現されたが、ハイブリッド受容体含有量は一貫して両ホモ受容体のレベルを約3倍超過していた(Pandini et al.,Clin.Canc.Res.5:1935−44(1999))。ハイブリッド受容体はIRおよびIGF−IR対からなるが、ハイブリッドはIGF−IRの親和力と同等の親和力でIGFと選択的に結合し、インスリンとは弱くしか結合しない(SiddleおよびSoos,The IGF System.Humana Press.pp.199−225.1999)。従って、これらのハイブリッドはIGFと結合することができ、正常細胞および形質転換細胞の両方においてシグナルを変換することができる。
IGF−Iの内分泌発現は主に成長ホルモンにより制御され、肝臓において産生されるが、最新の証拠は、多くの他の組織タイプもIGF−Iを発現できることを示唆している。従って、このリガンドは、内分泌および傍分泌によって調節され、多くの種類の腫瘍細胞の場合においては自己分泌される(Yu,H.およびRohan,J.,J.Natl.Cancer Inst.92:1472−89(2000))。
アンドロゲン受容体(AR)は3つの機能的および構造的ドメイン:N末端(調節)ドメイン;標的DNA配列(リガンド反応性エレメント)との特異的結合を調節するDNA結合ドメイン(Interproアクセッション番号IPR001628);及びホルモン結合ドメインからなる。N末端ドメイン(NTD)はアンドロゲン受容体に特有であり、最初の約530残基に及び、高度に保存されたDNA結合ドメインはより小さく(65残基付近)、タンパク質の中心部分を占め、ホルモンリガンド結合ドメイン(LBD)は受容体C末端に位置する。リガンドの非存在下で、ステロイドホルモン受容体は核成分と弱く結合すると考えられ、ホルモン結合は受容体親和性を大きく増大させる。アンドロゲン受容体(AR)、アンドロゲン、および前立腺癌の相互作用は複雑である。核および細胞質間のARの分布は、アンドロゲンおよびアンドロゲン消失により影響を受ける。例えば、去勢していない雄マウスにおいて増殖させたLuCaP35細胞では核においてのみAR免疫活性が観察されるが、その後去勢された雄マウスにおいて増殖させたLuCaP35では細胞質および核において強力な免疫活性が観察された。
本発明は、アンドロゲン依存性腫瘍、例えば前立腺癌の治療に関する。前立腺腫瘍は典型的にはアンドロゲン、例えばテストステロンにより刺激され、アンドロゲン依存性(AD)成長を示す。従って、前立腺癌の治療は典型的には、前立腺癌細胞からアンドロゲンを奪う療法を含む。しかしながら、前立腺癌の大部分は最終的にはアンドロゲン非依存性(AI)へ移行する。IGF−IRアンタゴニストをアンドロゲン枯渇療法(ADT)と組み合わせて投与することにより、AD腫瘍のAI腫瘍への移行が阻害または予防されることが見出された。
従って、本発明は、アンドロゲン枯渇療法とIGR−IRアンタゴニストの投与によるアンドロゲン依存性癌の治療法を提供する。本発明の1つの実施形態において、アンドロゲン依存性癌は前立腺癌である。
本発明によると、IGF−IRアンタゴニストは細胞外アンタゴニストまたは細胞内アンタゴニストであり得、複数のアンタゴニストを用いることができる。さらに一般的には、本発明は、腫瘍細胞のADからAIへの移行を阻害するための、IFG−IRシグナル変換の阻害および経路の構成要素の調節に関する。細胞外アンタゴニストとしては、これに限定されないが、IGF−IRまたはそのリガンド(IGF)と結合するタンパク質または他の生体分子が挙げられる。本発明のある実施形態において、細胞外アンタゴニストはIGF−IRのIGFとの結合を阻害する。一つの実施形態において、結合タンパク質は抗体、例えば、IMC−A12などである。別の実施形態において、結合タンパク質はIGF−IRの可溶性リガンド結合フラグメントである。細胞内IGF−IRアンタゴニストは生体分子であり得るが、通常、小分子である。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストは、AGl024、NVP−AEW541、およびBMS−554417から選択される小分子である。
IGF−IRシグナル変換を阻害するための様々なアンタゴニストの有効性は、例えば、IGF−IRシグナル変換経路の構成要素の状態を分析することにより観察され得る。一つの実施形態において、IGF−IRの阻害は、Aktのリン酸化反応の減少として観察される。別の実施形態において、IGF−IRシグナル伝達の阻害は、サバイビンまたはチューブリンβ−ペプチド(TUBB)の発現の減少として観察される。
本発明のIGF−IRアンタゴニストは任意の形態のADTとともに使用される。本発明の一つの実施形態において、ADTは睾丸摘出を含む。本発明の別の実施形態において、ADTは黄体形成ホルモン放出ホルモン類似体の投与を含む。別の実施形態において、ADTは抗アンドロゲンの投与を含む。さらに別の実施形態において、副腎アンドロゲン阻害剤が投与される。本発明によると、ADTの複数の方法を組み合わせることができる。
本発明はさらにAktによるシグナル伝達の阻害を提供する。従って、本発明は、Aktを活性化するシグナル変換タンパク質のモジュレータの投与を含む。一つの実施形態において、このようなモジュレータはEGFRのアンタゴニストである。
本発明に従って、IGF−IRアンタゴニストがADTのアジュバントとして投与される。一つの実施形態において、ADTとIGF−IRアンタゴニストの投与は、ほぼ同時に開始される。別の実施形態において、ADTがまず開始され、IGF−IRアンタゴニストはアンドロゲン非依存性癌がアンドロゲン非依存性になる前に投与される。本発明はさらに、ADTおよびIGF−IRアンタゴニスト投与と合わせた抗腫瘍薬の使用を提供する。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストおよびADT剤は、前立腺癌の外科治療または放射線治療のネオアジュバントとして合わせて使用される。
本発明はまた、剤形中にIGF−IRアンタゴニストとADT剤とを含む組成物も提供する。
IGF−IRの阻害剤は前立腺癌の治療用治療薬として有用であることが見出されている。特に、IGF−IRアンタゴニストをアンドロゲン枯渇療法(ADT)と組み合わせて投与すると、ADT単独と比較して改善された治療結果をもたらす。
アンドロゲンはインスリン様成長因子I受容体発現を上方制御し、前立腺癌をIGF−Iの効果に対する感受性を高めることが観察された。同様に、前立腺癌細胞において観察されるアンドロゲン非依存性への移行は、低いレベルの循環アンドロゲンに対しても細胞が感受性になるようなARレベルの増加や非アンドロゲンステロイドによる活性化を可能にするAR突然変異といった、アンドロゲン受容体シグナル伝達を増大させる細胞の適応の結果として生じ得る。まさに、IGF−Iシグナル伝達が実際に腫瘍細胞の核へのAR移行に介在し、AR依存性遺伝子の上方制御に至ることが示されている。このようなやり方で、循環レベルのアンドロゲンの非存在下でARシグナル伝達を促進することによるホルモン除去療法後に、IGF−Iによってアンドロゲン依存性前立腺癌のアンドロゲン非依存性への変換が促進され得ることが提案されている。ヒトおよびヒト前立腺異種移植片からの最近のデータもまた、現在のアンドロゲン除去方法は、アンドロゲン受容体の活性化が起こらないレベルまで前立腺アンドロゲンを減少させることができないことを示す。前立腺は実際に、いくつかの前駆体ステロイドおよびおそらくはアセテートからもDHTを合成できる。
従って、ホルモン除去療法を伴うIGF−Iシグナル伝達の阻害は、前立腺癌のアンドロゲン非依存性疾患への変換を予防するか、または変換までの時間を延長することができ、著しく再発の開始を遅らせることになる。従って、IGF−IRのアンタゴニストは、新たに診断され、局所的に進行したかまたは転移性であるホルモン依存性前立腺癌を治療するためのアンドロゲン枯渇法に対して有効なアジュバント療法であり得る。
IGF−IRアンタゴニストをアンドロゲン消失とともに使用することも、IGFが介在するアポトーシスからの回復をブロックする可能性を有する。IGF−IRがアポトーシスを無効にできるメカニズムは、ras−raf−mapキナーゼ、mTORおよびフォークヘッドシグナル伝達を含むPI3キナーゼ、ならびに14−3−3の阻害を含む。IGF−IR阻害がアンドロゲン消失の効果を延長できることによる別のメカニズムは、初期アポトーシス後の細胞周期停止において腫瘍を維持することによる。
従来の研究は、IGF−IRアンタゴニストが、アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌の両方の異種移植片を治療するために使用される場合、プラスの効果を有し得ることを示してきた。異種移植片の増殖は、減速するが、停止または逆転しなかった。IGF−IRのアンタゴニストは、アンドロゲン枯渇療法(ADT)とともに投与された場合に、前立腺癌の治療に特に有用であることが見出されている。典型的には、前立腺腫瘍はアンドロゲン非依存性に移行し、ADTに非感受性になる。すでに観察されているように、このようなアンドロゲン非感受性腫瘍は、IGF−IRアンタゴニストに対して強力な反応を示さない傾向がある。しかしながら、本明細書において示されるように、前立腺腫瘍のADからAIへ進行する時間は、ADTをIGF−IRアンタゴニストの投与と組み合わせる療法により有意に延長される。この延長された期間中で、腫瘍はサイズが小さくなり、PSAレベルが減少する。併用療法は、ADT単独に関して見られる高い再発リスクを減少させ、転移性癌が発達するリスクを減少させる。IGF−IRアンタゴニストでの治療も、転移が潜在的に存在するか、または診断されているような進行した前立腺癌の治療に有利である。
前立腺癌細胞を移殖したモデルにおいて、細胞質から核へのAR移行は、アンドロゲン刺激によってだけでなく、それほどではないが、IGF−IR刺激によっても誘発されることが観察される。アンドロゲンの存在下でさえも、アンドロゲンおよびIGFの存在下でのAR移行は、IGF−IRアンタゴニストにより減少する。
前立腺において、去勢後に、低レベルのアンドロゲンが依然として検出可能である。AktシグナルによるIGF−IRの発現は、去勢に反応してまず減少するが、次に増加することも報告され、さらにAktの成長因子刺激は低レベルのアンドロゲンに対するARシグナル伝達を向上させることが報告されている。
本明細書において示されるように、IGF−IRアンタゴニストを用いた治療は去勢マウスにおける腫瘍の再発を著しく遅らせる。さらに、減少した核ARと減少した腫瘍体積の間には良好な相関関係がある。このことは、IGF−IRシグナル伝達の阻害はARによる腫瘍進行を抑制するのに大きな役割を果たすことを示唆する。本明細書において記載される実験において、IGF−IRシグナル伝達は、IGF−IRと結合するA12と表示される抗体を用いて阻害される。A12および類似の抗体に関する従来の実験は、ERKおよびMAPK、特にAktを含む様々なシグナル変換分子のリン酸化反応(即ち、活性化)が減少することを示す。IGF−IRの阻害効果は、Ml2前立腺腫瘍株(Wu,J.D.et al.,2005,Clin.Cancer Res.11:3065−74)およびMCF7乳癌細胞(Burtrum,D.et al.,2003,Cancer Res,63:8912−21)を含む様々な腫瘍細胞型において観察される。従って、当然のことながら、IGF−IRアンタゴニストに関して本明細書で観察されたのと同一または類似のアジュバント活性が、Akt活性化に対して同一または類似の影響を及ぼす薬剤に関しても観察される。
IGF−IRアンタゴニストでの治療の結果、核へのAR移行が阻害されることが観察される。阻害は、組織化学的または蛍光顕微鏡により、またAR誘発性遺伝子の発現レベルの減少により観察することができる。去勢に対する耐性に関連する2つの遺伝子と、サバイビンと、チューブリンβ−ペプチドは、Akt活性化を介してIGF−IRにより制御される。遺伝子の発現は、去勢のみのものよりも、IGF−IRアンタゴニストで治療された去勢マウスにおいて抑制される。AR移行およびAktによって活性化される遺伝子発現に対する同様の阻害効果が、Akt特異的な阻害物質またはAktを含む別のシグナル変換経路のアンタゴニストに反応して、有意な程度まで観察される。
様々なIGF−IRアンタゴニストを本発明に従って用いることができる。IGF−IRアンタゴニストは細胞外アンタゴニストまたは細胞内アンタゴニストであり得る。細胞外および細胞内IGF−IRアンタゴニストは、生体分子、小分子、あるいは、例えば受容体の細胞外結合領域との相互作用(即ち、細胞外アンタゴニスト)、IGF−IRの細胞内チロシンキナーゼドメインのリン酸化反応の阻害、またはIGF−IRシグナル伝達経路に含まれる任意の他の細胞成分の活性化との相互作用の阻害によりIGF−IRの活性化を阻害し、これにより最終的に遺伝子活性化または細胞増殖を阻害する、任意の他の物質であり得る。
本発明の一つの実施形態において、細胞外IGF−IRアンタゴニストは、アンタゴニストと受容体の細胞外結合領域との十分な物理的または化学的相互作用により、受容体の細胞外リガンド結合領域と相互作用し、その結果、IGF−IRおよびそのリガンド(IGF)の結合がブロックされ、受容体のチロシンキナーゼ活性が阻害される。当業者は、会合または結合を含むこのような化学的相互作用の例が、当分野において公知であり、アンタゴニストと細胞外結合領域間の共有結合、イオン結合、水素結合などを含むことを理解する。本発明の一つの実施形態において、細胞外IGF−IRアンタゴニストは生体分子である。生体分子としては、これに限定されないが、IGF−IRと結合する抗体または抗体フラグメントが挙げられる。別の実施形態において、IGF−IRアンタゴニストは、IGF−IRに対するリガンド結合をブロックする小分子であり得る。別の実施形態において、細胞外アンタゴニストは、IGF−IRリガンドを抑制または分解する物質である。一例は、IGFと結合するIGF−IRの可溶性細胞外フラグメントである。このような物質の別の例は、例えばIGF受容体活性化を制限するために、例えば、IGFBP−1、IGFBP−2、およびIGFBP−3などと結合できるIGF結合タンパク質(IGFBP)である。本発明の別の実施形態において、小分子阻害剤は、IGF−IRのリガンド結合ドメインと結合し、IGF−IRリガンドによる結合および受容体活性化を阻害する。
理論に拘束されることを望まないが、細胞外IGF−IRアンタゴニストは、IGF−IR活性化後のIGF−IRの細胞外領域における構造変化から始まる全てのシグナル変換カスケードを阻害すると考えられる。この阻害は、表面IGF−IRならびに細胞内に取り込まれたIGF−IRを含む。例えば、活性化受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、シグナル伝達活性を維持しつつ、クラスリン被覆ピットを通ってエンドソーム中へ内在化され得ると考えられる。内在化後、このような受容体は、細胞表面へ戻されるか、あるいはエンドソームまたはリソソームに分解するかのいずれかである。
IGF−IR介在シグナル変換を阻害する別の方法は、IGF−IR発現を下方制御することによる。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストは受容体と結合し、受容体内在化および分解を促進する。別の実施形態において、IGF−IRアンタゴニストは受容体の発現を減少させる。
生体分子は、本発明の文脈においては、すべてのアミノ酸、ヌクレオチド、脂質および一般に650Dより大きな分子量を有する単糖類のポリマーを含む。従って、生体分子は、例えば、オリゴペプチド、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、例えば、DNAおよびRNA、ならびにオリゴ糖および多糖類を含む。生体分子はさらに、前記の分子のいずれかの誘導体も含む。例えば、生体分子の誘導体は、脂質およびグリコシル化誘導体またはオリゴペプチド、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質を含む。生体分子の誘導体はさらに、オリゴ糖および多糖類、例えば、リポ多糖類の脂質誘導体を含む。最も典型的には、生体分子は抗体またはその機能的誘導体である。
小分子は、有機化合物、例えば、複素環、ペプチド、糖、ステロイドなど、有機金属化合物、有機化合物および有機金属化合物の塩、ならびに無機化合物を含む。小分子中の原子は共有結合およびイオン結合により結合し、前者は小分子有機化合物、例えば、小分子チロシンキナーゼ阻害剤に典型的であり、後者は小分子無機化合物に典型的である。小分子有機化合物における原子の配列は、鎖、例えば、炭素−炭素鎖または炭素−複素原子鎖を表わしてもよいか、または炭素原子を含有する環、例えばベンゼンまたは多環系、あるいは炭素および複素原子の組み合わせ、即ち、複素環、例えば、ピリミジンまたはキナゾリンを表わしてもよい。小分子は任意の分子量を有し得るが、これらは一般に、その分子量が650Dより大きくないことを除き、それ以外の点では生体分子と見なされる分子を含む。小分子は、本来見出される化合物、例えば、ホルモン、神経伝達物質、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、脂質、およびその誘導体ならびに伝統的な有機合成、生合成、またはその組み合わせのいずれかにより合成される化合物の両方を含む。例えば、Ganesan,Drug Discov.Today 7(1):47−55(Jan.2002);Lou,Drug Discov.Today,6(24):1288−1294(Dec.2001)参照。化合物は、有効性、安定性、医薬適合性などを向上させるために修飾され得る。
細胞内IGFIRアンタゴニストは生体分子、例えば、突然変異受容体サブユニット、細胞内結合タンパク質(例えば、細胞内で発現された抗体のフラグメント)などであり得る。好ましい実施形態において、細胞内アンタゴニストは小分子である。小分子阻害剤は、これに限定されないが、ATP結合ドメイン、基質結合領域、またはIGF−IRのキナーゼドメインを修飾またはブロックする小分子を含む。小分子阻害剤はまた、これに限定されないが、ras−マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路、およびホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)−Akt経路を含むIGF−IRシグナル変換経路の他の成分の阻害剤である物質を含む。
アンタゴニストを同定するために、生化学、酵素、または細胞ベースのハイスループットなアッセイを用いて、小分子ライブラリーを阻害活性についてスクリーニングすることができる。試験化合物の、IGF−IRとIGF−IRリガンドもしくは基質IRS−1との結合を阻害する能力またはIGF−IR二量体からの機能的受容体形成を阻害する能力を検出するためにアッセイを策定することができる。細胞内IGF−IRアンタゴニストは、キナーゼドメインを有する細胞内領域と結合するか、または細胞内領域の活性化を阻害するか、IGF−IRのシグナル伝達経路に関与する任意の細胞内タンパク質と結合するか、または任意の細胞内タンパク質の活性化を阻害することにより、IGF−IRのチロシンキナーゼ活性を阻害することができる。IGF−IRの小分子アンタゴニストは、例えば、インスリン様成長因子I受容体選択的キナーゼ阻害剤NVP−AEW541(Garcia−Echeverria,C.et al.,2004、Cancer Cell 5:231−9)およびNVP−ADW742(Mitsiades,C.et al.,2004,Cancer Cell 5:221−30)、IGF−IRおよびHER2を選択的に阻害するINSM−18(Insmed Incorporated)、および基質結合をブロックすることによりリン酸化反応を阻害し、IRリン酸化よりもIFG−IRリン酸化反応の阻害について著しく低いIC50を有するチロシンキナーゼ阻害剤トリホスチン(tryphostins)AG1024およびAG1034(Parrizas、M.et al.,1997、Endocrinology 138:1427−33)を含む。その他、シクロリグナン誘導体ピクロポドフィリン(PPP)は、IR活性を妨害することなくIGF−IRリン酸化反応を阻害するIGF−IRアンタゴニストである(Girnita,A.et al.,2004,Cancer Res.64:236−42)。他の小分子IGF−IRアンタゴニストは、ベンゾイミダゾール誘導体BMS−536924(Wittman,M.et al.,2005,J.Med.Chem.48:5639−43)およびBMS−554417(Haluska P.et al.,2006,Cancer Res.66:362−71)を含み、これはIGF−IRおよびIRをほぼ等しく阻害する。IGF−IRに加えて受容体を阻害する化合物について、直接結合アッセイによってインビトロで測定されたIC50値は、エクスビボまたはインビボ(即ち、インタクトな細胞または生物)で測定されたIC50値を反映しないかもしれないことに注目すべきである。例えば、IRの阻害を回避しようとする場合、インビトロでIRを阻害する化合物を、IGF−IRを有効に阻害する濃度でインビボにおいて用いても、受容体の活性に著しく影響を及ぼさないかもしれない。
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、アンチセンスRNAおよび低分子干渉RNA(siRNA)は標的mRNAの分解をもたらし、その結果としてタンパク質の翻訳を防止する。従って、受容体チロシンキナーゼおよびIGFシグナル伝達に重要な他のタンパク質の発現を阻害することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を抑制する能力は、25年以上も前に見出されている(ZamecnikおよびStephenson,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.75:280−84)。アンチセンスオリゴヌクレオチドはmRNAおよびプレmRNAと塩基対を形成し、スプライシング、ポリアデニル化、エクスポート、安定性、およびタンパク質翻訳を含むRNAプロセッシングおよびメッセージ翻訳のいくつかの段階を潜在的に妨害し得る(SazaniおよびKole,2003,J.Clin.Invest.112:481−86)。しかしながら、2つの最も強力で広く用いられるアンチセンス法は、RNaseHによるmRNAまたはプレmRNAの分解、および異常なスプライス部位を標的とすることによるスプライシングの変更である。RNaseHは、DNA/RNAヘテロ二本鎖を認識し、DNAオリゴヌクレオチドの5’〜3’末端間の中程でRNAを切断する。アンチセンスオリゴヌクレオチドによるIGF−IRの阻害は、Wraight,Nat.Biotechnol.18:521−6において例示されている。
RNA介在性のメカニズムは元来、mRNA安定性、メッセージ翻訳、およびクロマチン構成を調節できる(MelloおよびConte,2004,Nature,431:338−42)。さらに、外部から導入された長い二本鎖RNA(dsRNA)は、様々な下等生物における遺伝子サイレンシングのための有効なツールである。しかしながら、哺乳動物において、長いdsRNAは、ウイルス感染およびインターフェロン産生の効果に関連する毒性の高い反応を惹起する(Williams,1997,Biochem.Soc.Trans.25:509−13)。これを回避するために、Elbashirら(Elbashir et al.,2001,Nature.411:494−98)は、5’リン酸および2塩基3’オーバーハングを各鎖上に備え、細胞中へ導入されると、標的とされるmRNAを選択的に分解する19merの二本鎖からなるsiRNAの使用を開始した。
哺乳動物における干渉dsRNAの作用は、通常、2つの酵素段階を含む。第一に、ダイサー(RNase III型酵素)は、dsRNAを21〜23merのsiRNAセグメントに開裂させる。次に、RNA誘発性サイレンシング複合体(RISC)はRNA二本鎖を解き、1つの鎖を同族mRNAにおける相補領域と対合させ、siRNA鎖の5’末端の10ヌクレオチド上流の部位での開裂を開始する(Hannon,2002,Nature.418:244−51)。19〜22merの範囲の短い、化学的に合成されたsiRNAはダイサー段階を必要とせず、RISC機構に直接入ることができる。RNA二本鎖のいずれかの鎖は潜在的にRISC複合体上にロードすることができるが、オリゴヌクレオチドの組成は、鎖の選択に影響を及ぼし得ることに注意すべきである。従って、特定のmRNA標的の選択的分解を達成するためには、二本鎖は、その5’末端で比較的弱い塩基対合を有することにより、アンチセンス鎖成分のローディングに有利であろう(Khvorova,2003,Cell 115:209−16)。外因性siRNAは、合成オリゴヌクレオチドとして提供でき、あるいはプラスミドまたはウイルスベクターから発現させることができる(PaddisonおよびHannon,2003,Curr.Opin.Mol.Ther.5:217−24)。後者の場合、前駆体分子は通常、4〜8ヌクレオチドのループおよび19〜30ヌクレオチドの幹部を含有する短いヘアピンRNA(shRNA)として発現され、これらは次にダイサーにより開裂されて、機能的siRNAを形成する。
本発明に従って使用される抗IGF−IR抗体は、以下の性質の1つ以上を示す。
1)抗体はIGF−IRの外部ドメインと結合し、IGF−IまたはIGF−IIのIGF−IRに対する結合を阻害する。阻害は、例えば、精製または膜結合受容体を用いた直接結合アッセイにより決定できる。この実施形態において、本発明の抗体またはそのフラグメントは、好ましくは、IGF−IRと、IGF−IR(IGF−IおよびIGF−II)の天然のリガンドと少なくとも同程度の強さで結合する。
2)抗体はIGF−IRを中和する。リガンド、例えば、IGF−IまたはIGF−IIの、IGF−IRの外部細胞外ドメインに対する結合は、βサブユニットの自己リン酸化反応およびMAPK、Akt、およびIRS−1を含むIFG−IR基質のリン酸化反応を刺激する。
IGF−IRの中和は、通常、シグナル変換と関連する1つ以上の活動の阻害、縮小、不活性化および/または途絶を含む。中和は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで、例えば、組織、培養された細胞、または精製された細胞成分を用いて決定され得る。中和は、IGF−IR/IRヘテロ二量体ならびにIGF−IRホモ二量体の阻害を含む。従って、中和IGF−IRは、成長(増殖および分化)、血管形成(血管補充、侵入、および転移)、および細胞運動および転移(細胞接着および侵襲性)の阻害、縮小、不活性化および/または途絶を含む様々な効果を有する。
IGF−IR中和の一つの指標は、受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害である。チロシンキナーゼ阻害は、周知の方法を用いて、例えば、組換えキナーゼ受容体の自己リン酸化反応レベル、および/または天然または合成基質のリン酸化反応を測定することにより決定され得る。従って、リン酸化反応アッセイは、本発明の文脈において中和抗体の決定に有用である。リン酸化反応は、例えば、ELISAアッセイまたはウェスタンブロットでホスホチロシンに特異的な抗体を用いて検出できる。チロシンキナーゼ活性についてのいくつかのアッセイは、Panek et al.,1997,J.Pharmacol.Exp.Thera.283:1433−44およびBatley et al.,1998,Life Sci.62:143−50において記載されている。本発明の抗体は、リガンドに対して反応する細胞において、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも約90%のIGF−IRのチロシンリン酸化反応の減少を引き起こす。
IGF−IR中和の別の指標は、IGF−IRの下流基質のリン酸化反応の阻害である。従って、MAPK、Akt、またはIRS−1のリン酸化反応のレベルを測定できる。基質リン酸化反応の減少は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約65%、さらに好ましくは少なくとも約80%である。
加えて、タンパク質発現の検出法は、IGF−IR中和を決定するために用いることができ、測定されるタンパク質はIGF−IRチロシンキナーゼ活性により調節される。癌進行および薬剤耐性に関連するこのようなタンパク質の一例はサバイビンであり、これはアポトーシス阻害剤(IAP)ファミリーのメンバーである。サバイビン調節は複雑で、複数の経路が仲介するが、Aktが介在し、IGF−Iにより増加する調節が示されている。例えば、Zhang et al.,2005,Oncogene,24:2474−82参照。遺伝子発現を分析する方法としては、タンパク質発現の検出のための免疫組織学(IHC)、遺伝子増幅の検出のための蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、競合性放射性リガンド結合アッセイ、固体マトリックスブロッティング技術、例えば、ノザンおよびサザンブロット、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)およびELISAが挙げられる。例えば、Grandis et al.,1996,Cancer,78:1284−92;Shimizu et al.,1994,Japan J.Cancer Res.,85:567−71;Sauter et al.,1996,Am.J.Path.,148:1047−53;Collins,1995,Glia 15:289−96;Radinsky et al.,1995,Clin,Cancer Res.1:19−31;Petrides et al.,1990,Cancer Res.50:3934−39;Hoffmann et al.,1997,Anticancer Res.17:4419−26;Wikstrand et al.,1995,Cancer Res.55:3140−48参照。
エクスビボアッセイもIGF−IR中和を決定するために利用できる。例えば、受容体チロシンキナーゼ阻害は、阻害剤の存在下および非存在下で受容体リガンドによって刺激された細胞系を用いたマイトジェンアッセイにより観察され得る。MCF7乳癌株(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC),Rockville,MD)は、IGF−IRを発現し、IGF−IまたはIGF−IIにより刺激される細胞系である。別の方法は、IGF−IR発現腫瘍細胞またはIGF−IRを発現するようにトランスフェクトされた細胞の成長阻害に関しての試験を含む。阻害は、腫瘍モデル、例えば、マウス中に注入されたヒト腫瘍細胞を用いて観察することもできる。
本発明の抗体はIGF−IR中和の任意の特定のメカニズムに限定されない。本発明の抗IGF−IR抗体は、IGF−IR細胞表面受容体に外面的に結合でき、リガンド(例えば、IGF−IまたはIGF−II)の結合および受容体に関連するチロシンキナーゼが仲介するその後のシグナル変換をブロックでき、シグナル変換カスケードにおけるIGF−IRおよび他の下流タンパク質のリン酸化反応を防止できる。
3)抗体はIGF−IRを下方制御する。細胞表面に存在するIGF−IRの量は、受容体タンパク質産生、内在化、および分解に依存する。細胞表面に存在するIGF−IRの量は、受容体または受容体と結合する分子の内在化を検出することにより間接的に測定できる。例えば、受容体内在化は、IGF−IRを発現する細胞を標識抗体と接触させることにより測定できる。膜に結合した抗体は剥離され、集めてカウントされる。内在化抗体は、細胞を溶解させ、溶解物中の標識を検出することにより決定される。
別の方法は、例えば、IGF−IRの表面発現のために染色された細胞の蛍光励起細胞分取分析により、抗IGF−IR抗体または他の物質での処理後に細胞上に存在する受容体の量を直接測定することである。染色された細胞は、37℃でインキュベートされ、蛍光強度を長時間にわたって測定する。対照として、染色された集団の一部は4℃(受容体内在化が停止される条件下)でインキュベートされ得る。
IGF−IRに特異的であり、試験される抗体の結合をブロックしないかまたは競合しない異なる抗体を用いて、細胞表面IGF−IRを検出し、測定できる。(Burtrum et al.,2003,Cancer Res.63:8912−21)IGF−IR発現細胞の、本発明の抗体での処理の結果、細胞表面IGF−IRが減少する。好ましい実施形態において、減少は、本発明の抗体での処理に反応して、少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおいっそう好ましくは少なくとも約90%である。著しい減少は、早ければ4時間で観察できる。
下方調節の別の指標は、細胞中に存在する全受容体タンパク質の減少であり、内部受容体の分解を反映する。従って、細胞(特に癌細胞)の本発明の抗体での処理の結果、全細胞IGF−IRが減少する。好ましい実施形態において、減少は、少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおいっそう好ましくは少なくとも約90%である。
ヒト被験者の治療に関して、抗体は好ましくはヒト抗体であるが、ヒト化またはキメラ抗体であってもよい。IGF−IRと結合する一つの好ましいヒト抗体は、A12である(WO2005016970参照)。別の好ましいヒト抗体は2F8である(WO2005016970参照)。有用な抗体はさらに、IGF−IRに対する結合についてIMC−A12またはIMC−2F8と競合する抗IGF−IR抗体、ならびに他のエピトープと結合する抗体(即ち、他のエピトープと結合し、すでに記載された特性、例えば、リガンドブロッキング、受容体内在化などを示すが、IMC−A12またはIMC−2F8と競合しない抗体)を含む。本発明の有用な中和抗IGF−IR抗体の他の非制限的例は、Wang et al,(WO2003/1000008;US2004/0018191)およびSingh et al,(WO2003/106621;US2003/0235582)により記載されている。本明細書において記載されるいくつかの抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を表1に記載する。
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本発明に従って使用できる抗体は、天然の免疫グロブリン、免疫グロブリンの抗原結合フラグメント、ならびに免疫グロブリンの抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質を含む。免疫グロブリンの抗原結合フラグメントは、例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)を含む。結合特異性を保持するが、例えば、二重特異性、多価(2より多い結合部位)、小型(例えば、結合ドメイン単独)を含む望ましい他の特性を有する他の抗体フォーマットが開発されている。
一本鎖抗体は、元の完全な抗体のいくつかまたは全ての定常ドメインを欠失した2つの可変ドメインを含む。従って、これらは完全な抗体の使用と関連した問題のいくつかを克服できる。例えば、一本鎖抗体は、重鎖定常領域および他の生体分子間の、特定の望ましくない相互作用がない傾向がある。さらに、一本鎖抗体は完全な抗体よりも相当小さく、完全な抗体よりも高い浸透性を有すことができ、一本鎖抗体が局在化し、標的抗原結合部位とより有効に結合することが可能になる。さらに、一本鎖抗体の相対的に小さなサイズのために、完全な抗体よりも受容者において望ましくない免疫応答を誘発しにくくなる。
複数の一本鎖抗体は、各単鎖が第一ペプチドリンカーにより共有結合する1つのVおよび1つのVドメインを有するが、少なくとも1以上のペプチドリンカーにより共有結合でき、単一特異的または多特異的であり得る多価一本鎖抗体を形成する。多価一本鎖抗体の各鎖は、可変軽鎖フラグメントおよび可変重鎖フラグメントを含み、少なくとも1つの他の鎖とペプチドリンカーにより結合する。ペプチドリンカーは、少なくとも15のアミノ酸残基からなる。アミノ酸残基の最大数は約100である。
2つの一本鎖抗体を組み合わせて、二重抗体(diabody)(二価二量体とも知られる)を形成できる。二重抗体は2つの鎖および2つの結合部位を有し、単一特異性または二重特異性であり得る。二重抗体の各鎖は、Vドメインと結合したVドメインを含む。ドメインは同じ鎖上のドメイン間の対合を防止するのに十分な短いリンカーで結合され、従って異なる鎖上の相補性ドメイン間の対合が行われ、2つの抗原結合部位が再形成される。同様に、3つの一本鎖抗体を組み合わせて、三重抗体(triabody)(三価三量体とも知られる)を形成することができる。三重抗体は、VまたはVドメインのカルボキシル末端と直接(即ち、リンカー配列なしで)融合したVまたはVドメインのアミノ酸末端を有するように構築される。三重抗体は、単一特異性、二重特異性または三重特異性であり得る。各抗原結合部位に関して二価である二重特異性抗体も開発されている。例えば、Zhu(WO01/90192)は、他の方法では天然に存在する抗体のエフェクター機能の構造を有し、エフェクター機能を保持する、4つの結合部位を備える抗体を記載している。Zhu(WO2006/020258)は、2つの二重抗体およびIg定常領域を組み入れた二重特異性抗体を開示している。
従って、本発明の抗体およびそのフラグメントは、これに限定されないが、天然に存在する抗体、二価フラグメント、例えば、(Fab’)、一価フラグメント、例えば、Fab、一本鎖抗体、単鎖Fv(scFv)、単一ドメイン抗体、多価一本鎖抗体、二重抗体、三重抗体など、抗原と特異的に結合するものを含む。
IGF−IRアンタゴニストは、本明細書においては、IMC−A12(IGFの細胞外ドメインと結合し、IGFの結合をブロックするヒトモノクローナル抗体)により例示される。IMC−A12の特性および類似のヒト抗体は国際公開WO2005/016970において提供される。
本発明のIGF−IRアンタゴニストのアンドロゲン依存性前立腺癌細胞に対する効果は、以下の1以上を含む。1)IGFは、アンドロゲンの非存在下でのAR活性化または移行を仲介できる。本発明のIGF−IRアンタゴニストはIGFが仲介する移行をブロックする。2)IGF−IRアンタゴニストは細胞死の促進または腫瘍細胞増殖の阻害を仲介する。3)AR誘導性アンドロゲン受容体遺伝子発現の活性化が減少する。AR誘導性発現を示す遺伝子は、例えば、PSAおよびTMPRSS2(膜貫通セリンプロテアーゼ)を含む。
本発明に従って、IGF−IRアンタゴニストは、前立腺癌を有する患者に、アンドロゲン枯渇療法(ADT;ホルモン療法とも呼ばれる)とあわせて投与される。ADTの目標は、体内の男性ホルモン(アンドロゲン、例えば、テストステロン)のレベルを下げることである。睾丸において主に産生されるアンドロゲンは、前立腺癌細胞が成長するのを実際に刺激できる。アンドロゲンレベルを下げることは、通常、前立腺癌を縮小させるか、またはよりゆっくりと成長するようにできる。
ADTはいくつかの状況(手術または放射線照射が不可能な患者、あるいは癌がすでに前立腺を超えて広がっているので、これらの治療により回復できない患者についての第一選択(初期)治療法として;癌が依然としてあるか、または再発した場合に、初期治療、例えば、手術または放射線療法の後;放射線療法に加えて、癌再発の危険性が高い人のある群における初期治療として(アジュバント療法);および手術または放射線前に、癌を縮小させ、他の治療法をより有効にする試み(ネオアジュバント療法))において使用される。本発明に従って、IGF−IRアンタゴニストをADTと組み合わせて、ADTが用いられる任意の状況において投与する。IGF−IRアンタゴニストはADTの効果を向上および/または延長するアジュバントである。
ADTに使用されるいくつかの方法がある。睾丸摘出は、アンドロゲン、主にテストステロンの90%より多くが産生される睾丸の除去を含む。この原発巣を切除すると、ほとんどの前立腺癌は縮小する。恒久的で、一般に、体内のホルモンのレベルの変化に関連する様々な望ましくない副作用をもたらすが、睾丸摘出はおそらくは、アンドロゲン産生を減少させ、容易に外来処置として行うことができる最も安価で、簡単な方法である。
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体(LHRH作用物質とも呼ばれる)は、睾丸により産生されるアンドロゲン、主にテストステロンを減少させることにより、テストステロンレベルを睾丸摘出と同程度に有効に低下させる。LHRH類似体を注射するか、または小さなインプラントとして皮膚下に設置し、毎月あるいは3、4、6、または12ヶ月ごとに投与する。LHRH類似体の例としては、ロイプロリド、ゴセレリン、およびトリプトレリンが挙げられる。LHRH類似体の可能な副作用は、睾丸摘出の副作用と類似し、主にホルモンレベルの変化による。
抗アンドロゲンは身体が任意のアンドロゲンを使用する能力をブロックする。睾丸摘出後またはLHRH類似体での治療中でさえも、少量のアンドロゲンが依然として副腎により産生される。この種類の薬剤としては、フルタミド、ビカルタミド、およびニルタミドが挙げられる。これらの薬剤は通常、錠剤として毎日摂取される。
抗アンドロゲン治療はしばしば睾丸摘出またはLHRH類似体と組み合わせられる。この組み合わせは、複合アンドロゲン遮断(CAB)と呼ばれる。さらに、抗アンドロゲンは睾丸摘出またはLHRH類似体を用いた治療がもはやそれ自体では作用しなくなった場合に加えることができる。いくつかの最新の研究は、抗アンドロゲン単独の有効性をLHRH作用物質の有効性と比較している。生存率における違いはほとんど見いだされなかったが、いくつかは、抗アンドロゲンの効果が若干低いことを見出した。
睾丸摘出またはLHRH作用物質によりすでに治療された患者における抗アンドロゲンの副作用は、通常深刻ではない。下痢が主な副作用であるが、嘔気、肝臓障害、および疲労感も起こり得る。LHRH作用物質との主な違いは、抗アンドロゲンが性機能への副作用が少なく、単独で使用されるならば、性欲および性的能力の維持を可能にすることである。
副腎により産生される低レベルのアンドロゲンは、持続した刺激を提供するために十分であり得るので、副腎アンドロゲン阻害剤を投与することができる。アンドロゲン除去後、前立腺癌細胞の一部はアンドロゲンに対して過敏になり、副腎からは末梢テストステロンの5〜10%が供給される。副腎アンドロゲン産生を阻害するために最も一般的に使用される2つの薬剤は、アミノグルテチミドおよびケトコナゾールである。
アンドロゲン抑制剤の他の例としては、ジエチルスチルベストロール(DES)、酢酸メゲステロール、酢酸シプロテロン、およびプレドニゾンが挙げられる。エストロゲンは、以前は進行した前立腺癌の男性における睾丸摘出に対する主な代替案であったが、血液凝固および胸部肥大を含む副作用が起こり得るために、エストロゲンは主にLHRH類似体および抗アンドロゲンへ代替されてきている。
本発明に従って、IGF−IRアンタゴニストを用いた一連の治療を、ADTの開始前、開始時、または開始後から施す。IGF−IRアンタゴニストの一連の投与は、ADTと同時にするべきであるが、完全に一致する必要はない。例えば、IGF−IRアンタゴニストをアンドロゲン消失に起因する寛解期の任意の時点で投与できる。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストは、原発性または転移性腫瘍の治療のために、アンドロゲン消失の24ヶ月以内に投与される。別の実施形態において、IGF−IRアンタゴニストはアンドロゲン消失の18ヶ月以内に投与される。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストはADT治療に際して観察される細胞死期間中または前記期間の終わり付近で投与され、AI細胞のその後の増生をさらに予防するかまたは遅らせる。本発明の一つの実施形態において、IGF−IRアンタゴニストの投与は、アンドロゲン消失の2週間以内に開始される。別の実施形態において、投与はアンドロゲン消失の1週間以内に開始される。
本発明のIGF−IRアンタゴニストは、腫瘍成長に関与する他の受容体を中和するアンタゴニストとともに投与できる。特に、Aktを含むシグナル変換経路に関与する受容体を対象とする。例えば、EGFRまたはHER2(erbB2)によるシグナル変換は、Akt活性化が関与すると考えられる。従って、本発明のIGF−IRアンタゴニストはEGFRまたはHER2の細胞内または細胞外アンタゴニストと組み合わせることができる。
EGFRまたはHER2のアンタゴニストは、EGFRまたはHER2の細胞外ドメインと結合し、1以上のリガンドの結合をブロックし、および/またはリガンド誘発性の活性化を中和する抗原結合タンパク質を含む。アンタゴニストはまた、EGFRのリガンドと結合し、EGFRとリガンドとの結合を阻害する抗体または他の結合タンパク質も含む。EGFRのリガンドとしては、例えば、EGF、TGF−α、アンフィレギュリン、ヘパリン結合EGF(HB−EGF)およびベータセルリンが挙げられる。EGFおよびTGF−αはEGFRを介する刺激をもたらす主な内在性リガンドであると考えられるが、血管形成の促進により有効であることが示されている。EGFRアンタゴニストはまた、他のEGFR受容体サブユニットとのEGFR二量化(即ち、EGFRホモ二量体)または他の成長因子受容体(例えば、HER2)とのヘテロ二量化を阻害する物質も含む。EGFRアンタゴニストはさらに、生体分子および小分子、例えば、EGFRを介するシグナル変換を阻害するためにEGFRの細胞質ドメインに直接作用する合成キナーゼ阻害剤を含む。Erbitux(登録商標)(セツキシマブ;C225)は、EGFRと結合し、リガンド結合をブロックするEGFRアンタゴニスト抗体の一例である。Erbitux(登録商標)は、M225のマウス可変ドメイン(例えば、WO96/40210参照)およびヒト定常ドメインを有するキメラIgGl抗体である。11F8と命名されるヒト抗EGFR抗体は、Zhuにより開示されている(WO2005/090407)。他の抗EGFR抗体としては、EMD72000(マツズマブ)、Vectibix(商標)(パニツムマブ;ABX−EGF)、TheraCIM(ニモツズマブ)、およびHu−Max−EGFR(ザルツズマブ)が挙げられる。小分子EGFRアンタゴニストの一例は、IRESSA(商標)(ZD1939)であり、これはEGFRを阻害するためにATP類似物質として機能するキノザリン誘導体である。米国特許第5,616,582号(Zeneca Limited)参照。小分子EGFRアンタゴニストの別の例は、TARCEVA(商標)(OSI−774)であり、これは4−(置換フェニルアミノ)キノザリン誘導体[6,7−ビス(2−メトキシ−エトキシ)−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニル−フェニル)アミン塩酸塩]EGFR阻害剤である。WO96/30347(Pfizer Inc.);Moyer et al.,Cancer Res.,57:4838−48(1997);Pollack et al.,J.Pharmacol.,291:739−48(1999)参照。TARCEVA(商標)は、EGFRおよびその下流PI3/Aktのリン酸化反応およびMAP(マイトジェン活性化タンパク質)キナーゼシグナル変換経路を阻害することにより機能でき、その結果、p27が介在する細胞周期の停止がもたらされる。Hidalgo et al.,ASCOの第37回年次総会(カリフォルニア州サンフランシスコ、2001年5月12〜15日)で提示されたアブストラクト281参照。
アンタゴニストは別々に投与することができるが、ある例においては、2つのアンタゴニストの機能を1つの分子、例えば、二重特異性抗体または二重阻害剤中に組み合わせることが望ましい。二重特異性抗体は、IGF−IR特異性と異なるRTKまたは他の細胞表面分子の特異性とを組み合わせるように設計される。IGF−IR特異性のEGFR特異性またはHER2特異性との組み合わせは、特に重要である。IGF−IRおよびEGFRと結合する二重特異性抗体の一例は、Zhuにより記載されている(WO2006/020258)。同様に、IGF−IRおよび第二の細胞成分を阻害する小分子は入手可能であるか、またはスクリーニングできる。例えば、前述のように、INSM−18(Insmed/University of California San Franscisco)はIGF−IRおよびHER2/neuを阻害する。
本発明の別の態様は、本発明のアンタゴニストまたはその医薬的に許容される塩、水和物またはプロドラッグを、医薬的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物に関する。このような組成物は、IGF−IRアンタゴニストとADT剤の独立した組成物または両方を含有する1つの組成物であり得る。
本発明の組成物は、固体または液体形態、溶液または懸濁液であってよい。投与経路としては、例えば、経口、非経口(静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内)、局所、経皮および吸入によるものが挙げられる。
経口投与に関して、IGF−IRアンタゴニストは、例えば不活性希釈剤または融合可能な担体とともに投与できるか、または固体投与形態中に組み入れることができる。経口液体および固体投与形態の例としては、例えば、溶液、懸濁液、シロップ、エマルジョン、錠剤、ロゼンジ、カプセル(ソフトゼラチンカプセルを含む)などが挙げられる。経口投与形態は、持続放出型製品として、例えば、崩壊を遅らせるか、または活性化合物の拡散を制御するためのコーティングを用いて処方することができる。必要ならば、組成物は可溶化剤も含むことができる。
注射可能な投与形態の例としては、無菌注射液、例えば、溶液、エマルジョンおよび懸濁液が挙げられる。注射可能な投与形態はさらに固体、例えば、無菌粉末であって、注射前に液体中に復元、溶解または懸濁されるものが挙げられる。無菌注射溶液は、EGF−IRアンタゴニストおよび/またはADT剤を、必要とされる量において、適切な溶媒中、前記の様々な他の成分とともに配合し、必要ならば、続いて濾過滅菌することにより調製される。担体は典型的には、例えば、無菌水、生理食塩水、注射可能な有機エステル、ピーナッツ油、植物性油などを含む。緩衝剤、保存料などを投与可能な形態中に含めることができる。無菌製剤は、加熱、照射、精密濾過、および/または様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの添加により調製できる。
局所投与に関して、本発明のIGF−IRアンタゴニストおよびADT剤は、別々にまたは一緒に、例えば、ゲル、クリーム、または軟膏、またはペイントの形態において投与できる。このような用途に典型的な担体としては、疎水性または親水性基剤、油性またはアルコール性液体、および乾燥粉末が挙げられる。IGF−IRアンタゴニストおよびADT剤はまた、貼付剤において用いられるゲルまたはマトリックス基質中に配合することができ、任意に、経皮バリアを介した化合物の制御放出をもたらす。IGF−IRアンタゴニストおよびADT剤はまた、直腸投与のための公知の方法により処方できる。
吸入による投与に関して、本発明のIGF−IRアンタゴニストおよびADT剤は、ネブライザー、エアゾル、または乾燥粉末吸入器に用いられる好適な担体中に溶解してもよいし、前記担体中に懸濁してもよいし、あるいは前記担体上に吸着させてもよい。
好適な投与量は、医師または免許のある医療従事者が、例えば、治療される病気の性質、投与経路、治療期間、および患者の状態などの因子に応じて決定できる。IGF−IRアンタゴニストおよびADT剤は、所望の治療効果を得るために必要に応じて頻繁に投与できる。投与頻度が、例えば、使用される投与形態の性質に依存する。当業者は、投与量および治療頻度は、個々の患者の耐性および使用されるブロッキングまたは阻害剤の薬理学的および薬物速度論的特性に依存することを理解する。理想的には、使用される薬剤は可飽和の薬物動態が達成されることが望ましい。抗IGF−IR抗体の負荷用量は、例えば、約10から約1000mg/m、好ましくは約200から約400mg/mに及び得る。これに続いて、例えば、1日あたりまたは1週あたり約200から約400mg/mの範囲で、数回追加投与する。IGF−IR抗体の投与量の一例は、400mg/m(負荷)および250mg/m(毎週注入)である。(ヒトおよび他の哺乳動物についてのmg/kgおよびmg/m間の換算については、Freireich、E.J.et al.,1966,Cancer Chemother.Rep.50:219−44参照。)患者を副作用についてモニターし、このような副作用が重くなると、治療を停止する。ADT剤の有効な投与量は、当分野において周知である。
当業者には、有効な用量を決定するために、どのようにして治療の進行をモニターするかも周知である。前立腺癌に関して、このような方法の一つは、PSAレベルをモニターすることである。別の方法は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)をモニターすることである。前立腺癌をモニターする他の方法は、超音波、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)などを含む。組織サンプルはARの発現および細胞分布、ならびにサバイビンおよび/またはTUBBの発現についても調べることができる。
本発明のある実施形態において、IGF−IRアンタゴニストの投与をADTと組み合わせた治療を、1以上の抗腫瘍薬とともに用いることができる。例えば、前述のように、ADTはしばしば前立腺腫瘍の放射線治療のネオアジュバントとして用いられる。抗腫瘍因子が放射線である場合、放射線源は、治療される患者に対して外部(外照射療法−EBRT)または内部(小線源療法−BT)のいずれかであり得る。
抗腫瘍薬はアルキル化剤または代謝アンタゴニストであり得る。アルキル化剤の例としては、これに限定されないが、シスプラチン、シクロホスファミド、メルファラン、およびダカルバジンが挙げられる。代謝アンタゴニストの例としては、これに限定されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、およびパクリタキセル、ゲムシタビンが挙げられる。
有用な抗腫瘍薬は、分裂抑制剤、例えば、タキサン、ドセタキセルおよびパクリタキセルも含む。トポイソメラーゼ阻害剤は、本発明の抗体との組み合わせにおいて使用できる別の種類の抗腫瘍薬である。これらとしては、トポイソメラーゼIまたはトポイソメラーゼIIの阻害剤が挙げられる。トポイソメラーゼI阻害剤としては、イリノテカン(CPT−11)、アミノカンプトテシン、カンプトテシン、DX−8951f、トポテカンが挙げられる。トポイソメラーゼII阻害剤としては、エトポシド(VP−16)、およびテニポシド(VM−26)が挙げられる。他の物質は現在、トポイソメラーゼ阻害活性および抗腫瘍薬としての有効性に関して評価中である。好ましい実施形態において、トポイソメラーゼ阻害剤はイリノテカン(CPT−11)である。
本出願全体にわたって、様々な刊行物、引用文書、テキスト、技術マニュアル、特許、および特許出願が言及されている。これらの刊行物、特許、特許出願および他の文書の教示および開示はその全体において、本発明が関連する従来の技術をより十分に説明するために参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書において開示される本発明の原理内での変更は、当業者が加えることができると理解され、予想されるべきであり、このような修正は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
次の実施例は本発明をさらに説明するが、本発明の範囲を何ら制限するものと解釈すべきではない。従来の方法、例えば、ベクターおよびプラスミドの構築、ならびに抗体および抗体フラグメントの発現において用いられる方法の詳細な説明は、多くの刊行物(Sambrook、J et al.,(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Coligan,J.et al.,(1994)Current Protocols in Immunology,Wiley & Sons,Incorporated;Enna,S.J.et al.,(1991) Current Protocols in Pharmacology、Wiley & Sons,Bonifacino、J.S.et al.,(1999) Current Protocols in Cell Biology,Wiley & Sonsを含む)から得ることができる。本明細書において記載される全ての文献はその全体として組み込まれる。
<IGF−IRの拮抗作用はADT後の腫瘍再生を阻害する>
ヒトモノクローナルIGF−IR抗体(IMC−A12)と去勢を用いて、去勢後の前立腺癌の再発に関するIGF−IRシグナル伝達の阻害の有効性を試験するために、前臨床モデルを開発した。研究のために、LuCaP35(アンドロゲン反応性ヒト前立腺癌細胞系)の異種移植片を雄SCIDマウスの側腹部中に皮下移植した。LuCaP35はアンドロゲン非依存性状態に移行することができ、このプロセスに関連する分子変化を評価するために使用できる。最初に、PSAレベルが降下し、腫瘍体積が減少するが、60〜120日後、腫瘍の再発が観察される。LuCaP35は転移可能性を有し、その結果、混合骨病変が生じる。無傷雄マウスにおいて成長したLuCaP35はアンドロゲン感受性であり、アンドロゲン消失に対して患者において通常見られる様式で反応する。
LuCaP35細胞を雄SCIDマウスの側腹部に皮下移植した。腫瘍が約400mmの体積に達すると、マウスを去勢し、20匹の動物3群にそれぞれ分けた。グループ1対照は去勢のみを受け、グループ2は去勢およびIMC−A12を1週間に3回、去勢後7日に始めて14日間腹腔内投与され、グループ3は去勢後14日に始めて14日間IMC−A12を投与された。IMC−A12の14日後、さらなる治療は行わなかった。去勢後1週間または2週間のいずれかで始める2週間のA12投与のタイミングは、去勢により誘発されるアポトーシスのピークは去勢の4日以内に起こることを示す、LuCaP35細胞系に関する公開されたデータに基づいた(Corey,E.et al.,2003,Prostate 99:392−401)。IGF−IRシグナル伝達の阻害は細胞周期停止を引き起こし、細胞のアポトーシスを防止するので、A12の投与は、去勢後のアポトーシスが「完全」になった時に開始することに決定した(Coreyら,2003;Tennant,M.et al.,2003,Prostate,56:115−22)。
血液サンプルを眼窩洞から毎週採取した。血清を分離し、IMx Total PSA Assay(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)を用いてPSAレベルを決定した。腫瘍を毎週2回測定し、腫瘍体積を式:体積=LXW2/2により推定した。腫瘍が1000mmに達したとき、あるいは動物の体重減少が初期体重の20%を超えたとき、マウスを屠殺した。インビボ腫瘍細胞増殖速度を決定するために動物を屠殺する1時間前に、マウスにBrdUを腹腔内注射した。
去勢により、腫瘍成長は当初は全てのマウスにおいて停止した(図1)。IMC−A12で処置されたマウスにおいて、腫瘍体積は実験の間減少し、腫瘍特異的な死は無かった。未処理同齢集団において、平均腫瘍体積の増加は5週までに明らかであり、腫瘍特異的な死(犠牲)は4週で始まり、実験の間中、継続した。大きな腫瘍は平均される腫瘍集合から死亡により排除されるので、IMC−A12を投与されなかったマウスについての平均腫瘍体積のプロットは、人為的に減少することに注意のこと。
PSAレベルをLuCaP35異種移植片マウスにおいてモニターした。全てのマウスは当初はホルモン除去に反応し、PSAレベルにおいて同様の降下が去勢後の最初の週において観察された(図2)。去勢単独により処置されたマウスにおいて、初期降下後、PSAレベルは次に実験の間、ほぼ第2週から始まって増加した。対照的に、IMC−A12で処置された去勢マウスにおけるPSAレベルは上昇せず、ベースライン付近に留まった。
この実験は、IGF−IRシグナル伝達および去勢後のIGF−IR抗体、IMC−A12による発現阻害の結果、去勢単独よりも腫瘍体積が有意に大きく減少し(p<0.00l)、腫瘍体積およびPSAにおける増加により決定されるAI腫瘍の再発までの時間を有意に延長すること(p<0.001)を示す。
去勢単独により処置された対照動物において、腫瘍成長は約4週間停止したが、その後増加した。去勢単独により処置された動物のうち、半分より多くは去勢後9週間までに腫瘍成長のために死亡し、ほとんどの動物を16週の最後までに死亡した。対照的に、IMC−A12を投与された動物は全て16週後も生存していた。
提示されたインビボ結果は、IGF−IRシグナル変換の阻害の有効性を示す。特に、IGF−IRアンタゴニストを14日にわたって投与し、その後停止した。A12を同様の様式で投与した別の実験において、いくつかの腫瘍再発がA12の投与後の実験の後半で観察された。40匹のグループ2および3の動物のうち2匹が、実験の最後までに腫瘍体積のために死亡した。IGF−IRアンタゴニストの維持量は腫瘍再発までの時間を無制限に延長する。
A12処置された腫瘍における腫瘍体積の減少とAR移行の間に関係があるかどうかを調査するために、図5において示すように、3群のそれぞれからの腫瘍に対してAR免疫組織化学的検査を行った。核AR染色スコアを各腫瘍からの100個の核に対して割り当てた。核を2人で無分別に採点し、2つの得点の平均を前記組織の得点としてカウントした。腫瘍体積と核AR強度の間には顕著な正の相関関係がある(r=0.66、p≦0.01)。
<IGF−IRの拮抗作用はAR移行を阻害する>
IGF−IRの刺激および拮抗作用のアンドロゲン受容体局在化に対する影響を評価した。LuCaP35細胞を、IGF−1刺激の有無に関わらず、IMC−A12の存在下または非存在下で培養した(図3)。細胞質および核抽出物を処理細胞から調製し、PAGEにより評価した。ERKのレベルを用いてレーンのローディングを同等化した。IGF−1で刺激された細胞において、IMC−A12は核において観察されるアンドロゲン受容体の割合を減少させた。
アンドロゲン受容体移行も免疫組織化学的検査により評価した。(図4)。LuCaP35(AD)異種移植片腫瘍を去勢していない雄において成長させ、LuCaP35V(AI)異種移植片腫瘍を去勢されたマウスにおいて成長させた。試験マウスをIMC−A12で処置した。腫瘍の連続切片を調製し、AR特異性抗体で染色した。去勢していない対照マウスにおいて、アンドロゲン依存性LuCaP35組織におけるARは主に核中に局在していた。IMC−A12で処置された試験動物からの組織において、AR染色は細胞質において観察された。去勢された対照マウスにおいて、アンドロゲン非依存性LuCaP35v細胞におけるARは、核および細胞質間に分布していた。IMC−A12で処置された試験動物からの組織において、AR染色は主に細胞質中にあった。
同様の実験において、ARの局在化を組織培養において蛍光顕微鏡により調査した。10−8M DHTでの処理の結果、細胞質から核へのARの顕著な再分布がもたらされた。IGF−1単独での処置の結果、ARから核への部分的再分布が起こり、IMC−A12は前記効果を完全に逆転させた。
<IGF−IRの拮抗作用はAR依存性遺伝子発現を阻害する>
アポトーシスの阻害物質であるサバイビンは、いくつかのヒト前立腺癌細胞系において強力に発現される。インタクトなアンドロゲン受容体を備える細胞系において、DHTでのアンドロゲン刺激はサバイビン発現を増加させる。IGF誘発性AKTシグナル伝達はAR陰性細胞系においてさえもサバイビン発現を増加させるので、サバイビン発現はAKTにより媒介されることも観察される。サバイビンの異なる発現を検出するための遺伝子チップ実験は、サバイビン発現がIMC−A12での処置により減少することを示す。
カスタムcDNAマクロアレイをすでに記載されたように[参考文献]、前立腺発現データベース(PEDB)由来のクローン、一般に市販されているヒト前立腺発現配列タグ(EST)データの配列レポジトリーを用いて構築した。(Nelson,P.S.et al.,2002,Nucl.Acids Res.30:218−20)。Cy3およびCy5蛍光色素で標識する方法、マイクロアレイスライドへのハイブリダイゼーション、およびアレイプロセッシングは記載されているとおりであった(Tusher,V.et al.,2001,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:5116−21)。
3つの腫瘍を各実験群においてプールした。cDNAマイクロアレイ上で使用する標準試料RNAを提供するために、等量の全RNAを、10%ウシ胎仔血清(FBS;Life Technologies,Rockville,sMD)で補足された無色素RPMI−1640培地中、対数期で増殖するLNCaP、DU145、PC3、およびCWR22rV1細胞系(American Type Culture Collection,Manassas,VA)から単離しプールした。プールされた腫瘍および細胞系からTrizol(Invitrogen,San Diego,CA)を用いて全RNAを単離した。Ambion MessageAmp(商標)II Amplification Kit(Ambion Inc,Austin,TX)を用いてmRNAを1ラウンド増幅させ、およびサンプル品質および量をアガロースゲル電気泳動およびA260での吸光度により評価した。ハイブリダイゼーションプローブを標識し、アレイ実験の品質管理をすでに記載されているようにして行った(Tusher,V.et al.,2001)。治療群に関連する遺伝子発現における差は、SAM法(Chu,G.,Narasimhan,B.,Tibshirani,R.&Tusher,V.,2002,Significance analysis of microarrays(sam) software,Stanford University)を用いて偽発見率(FDR)≦10%を有意と見なして決定した(37)。サンプル間の類似性を、Cluster 3.0ソフトウェア(de Hoon et al.,2004,Bioinformatics 20:1453−4)を用いて遺伝子およびサンプルの監視されていない階層クラスター化により評価し、TreeView(Page,R.D.,1996,Comput.Appl.Biosci.12:357−8)により視察した。
サバイビンおよびTUBBも、プライマーおよびすでに記載されている方法(Wu、J.et al.,2006,Clin.Cancer Res.12:6153−60)を用いてPCRによりアッセイした。標的cDNAの標準的PCRフラグメントを精製した。標準の10ng/μlから10−3pg/μlへの標準の一連の希釈をリアルタイムRT−PCRに使用して、標準曲線を作製した。プールされた腫瘍の各群からの1μgの全RNAを、Superscript First Strand Synthesis System(Invitrogen)を用いて第一鎖cDNA合成に使用した。リアルタイムRT−PCRを、1μlのcDNAの第一鎖、特異性プライマーセットからなる20μlの反応混合物中で行い、Lightcycler FastStart DNA Master Plus SYBR Greenを、Roche Lightcyclerを用い、製造業者のプロトコル(Roche,Nutley,NJ)に従って行った。RT−PCR生成物をLightcyclerソフトウェアv3.5に関する融解曲線分析に付した。単位複製配列サイズをアガロース電気泳動により確認した。各サンプルを2回アッセイした。
IGF−IRアンタゴニストと組み合わせた去勢は、腫瘍の再発までのAR遺伝子発現における減少と関連する。表2に記載される時間枠で各群において採取された腫瘍からのRNAサンプルをcDNAマイクロアレイ上で分析した。SAMにおいて2つのサンプルt試験により試験される場合、グループ1(去勢単独)についての時間の間で有意な変更が検出された遺伝子はなかった(q値≧100%)。加えて、特に監視していないが、公知のアンドロゲン調節遺伝子の階層クラスタリングは2つの時間枠で差がなかった。この群における動物の多くはPSA再発を有し、グループ2および3と比べて40日までに核ARスコアが増大するので、これは意外ではない。対照的に、A12処置腫瘍の2つの期間の間に有意な遺伝子発現の変化があった。早期と比較して腫瘍が再発し始めた後期において、試験するために十分なデータを有するアレイ上の3170の独立した遺伝子のうち、21が上方制御され(多くのアンドロゲン制御を含む)、41が下方制御された(q値≦10%)(図6)。さらに、監視されていない公知のアンドロゲン調節遺伝子の階層クラスタリングにより、明らかにA12処置された2つの期間は2つの独立したクラスターに分類された。これらのデータは、核AR発現がAR転写活性およびAR活性化による前立腺癌進行と関連することを示す。
Figure 0005198289
サバイビンおよびβチューブリンの発現はIGF−IRアンタゴニストにより有意に減少する。マイクロアレイ研究は、サバイビン発現がA12抗体で処置された腫瘍において減少したと断定した。図7Aにおいて示すように、腫瘍から抽出されたRNAに関するQt−RT PCRは、サバイビンコピー数および腫瘍体積間の顕著な正の相関関係を示す(r=0.66、p≦0.0l)。最近、IGF−IR誘発性腫瘍形成に関係する第二の遺伝子としてβ−チューブリン、TUBBが見出されている(O’Connor,R.,2003,Horm.Metab.Res.35:771−7;Geller,J.et al.,1984,J.Urol.132:693−700)。TUBBはマイクロアレイにおいて減少することが示され、図7Bにおいて示されるように、腫瘍試料において腫瘍体積と正に相関することが示され(r=0.59、p≦0.01)、グループ1と比較して、グループ2および3において有意に減少することが示された。グループ1においてマイクロアレイ上で長時間にわたり異ならないが、グループ2および3動物において2つの早期において減少する第三遺伝子はPSAであった。PSA発現における変化は、血清PSAレベルにおける類似のパターンにより確認された。
<増殖およびアポトーシス>
アポトーシスは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ仲介性ニックエンド標識(TUNEL)アッセイおよびプロピジウム(PI)染色によりすでに記載されているようにApop−Directキット(BD BioScience)を用いて(Wu,J.D.et al.,2005,Clin.Cancer Res.,11:3065−74)決定された。簡潔には、1×10個の単細胞懸濁液からの細胞を10%中性緩衝液ホルマリン(NBF)、続いて70%エタノールアルコールにより−20℃で30分間固定した。数回洗浄後、細胞を0.1%Triton X−100で透過化し、FITC共役dUTPおよび末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ酵素(TdT)とともに37℃で1時間インキュベートし、続いてPI/RNase緩衝液(100μg/mlのPI、50μg/ml RNase)とともに室温で60分間インキュベートした。サンプルを、BD FACscanを用いてフローサイトメトリーにより分析した。データをCellQuestPROソフトウェアで分析した。アポトーシスも、Apop−Tagキット(Millipore Co,MA)を製造業者の推奨に従って用いてホルマリン固定組織に関するTUNELアッセイにより決定した。アポトーシス細胞は組織スライドあたり300個の細胞によって決定した。
表3に示すように、増殖はグループ1腫瘍においてグループ2および3と比較して有意に大きかった(p≦0.01)。対照的に、TUNEL染色により決定されるアポトーシスはグループ2および3と比較してグループ1においてより高かった(表3)。
Figure 0005198289
SCIDマウスにおけるLuCap35皮下異種移植片を観察した研究を示す。全てのマウスは、平均腫瘍サイズが400mmに達すると去勢した。対照群のマウスは去勢だけを施した。2つの他の群において、去勢後1週間または2週間で始めて、1週につき3回IMC−A12を投与した。 去勢後1週間(早期)または2週間(後期)から始めて、IMC−A12で処置された去勢対照マウスおよび去勢マウスにおけるPSAのレベルを示す。 IGF−IRのIGFでの刺激および/またはIGF−IRのIMC−A12との拮抗作用に反応したアンドロゲン受容体(AR)の分布を示す。細胞質および核ARのレベルをウェスタンブロットにより評価した。 去勢していないマウスにおけるLuCaP35細胞のアンドロゲン依存性異種移植片腫瘍(左列)および去勢マウスにおけるLuCaP35V細胞のアンドロゲン非依存性異種移植片腫瘍(右列)におけるアンドロゲン受容体(AR)の分布に対するIGF−IRアンタゴニスト(IMC−A12)の影響を示す。 ARスコアと腫瘍体積間の相関関係を示す。R=0.66、p<0.01。去勢のみの値は白丸であり、去勢+A12早期および後期の値は黒丸である。値は、腫瘍ごとに採点された100の核についての平均値である。 皮下A12処理された腫瘍に関して2つの期間での遺伝子発現の変化を示す。腫瘍が早期と比較して再発し始めた後期において、試験するために十分なデータを有するアレイ上の3170の独自の遺伝子のうち、21が上方制御され(多くのアンドロゲン制御された「」で表されるものを含む)41が下方制御され、q値は≦10%であった。 図7Aは、サバイビンコピー数スコアと腫瘍体積間の相関関係を示す(r=0.66、p≦0.0l)。図7Bは、チューブリンβペプチド3コピー数スコアと腫瘍体積間の相関関係を示す(r=0.59、p≦0.0l)。去勢のみの値は白丸であり、去勢+A12早期および後期値は黒丸である。各値は3回のPCR実施の平均値である。

Claims (6)

  1. アンドロゲン枯渇療法を受けている患者においてアンドロゲン依存性前立腺癌を治療するための、IGF−IR抗体を含有する医薬組成物であって、前記抗IGF−IR抗体が、
    a)配列番号2に記載のアミノ酸配列の3つの相補性決定領域(CDRs)を含む重鎖可変ドメイン(V );および
    b)配列番号10に記載のアミノ酸配列の3つのCDRsを含む軽鎖可変ドメイン(V
    を含むものである、医薬組成物
  2. 配列番号2に記載のアミノ酸配列の3つのCDRsが、配列番号14、配列番号16および配列番号18に記載のものであり、配列番号10に記載のアミノ酸配列の3つのCDRsが、配列番号26、配列番号28および配列番号30に記載のものである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 前記抗体が、ヒトモノクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. アンドロゲン枯渇療法が睾丸摘出である、請求項1〜4いずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物、および
    ロイプロリド、ゴセレリンまたはトリプトレリンを含有する医薬組成物
    を含、アンドロゲン依存性癌治療用キット。
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