JP4637716B2 - ボイルオフガスを利用した廃熱回収システム - Google Patents

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Description

本発明はボイルオフガスを利用した廃熱回収システムに関し、特に液化ガスを燃料に用いたガスエンジンを駆動する際の廃熱を利用すると共に、液化ガスの貯留タンク内に発生するボイルオフガスを有効利用する場合に適用して有用なものである。
オフィスビルや商業施設等の比較的小規模な施設においては、ガスや石油等を燃料とする駆動源により発電機を駆動し、それら施設で使用する電力を自給するシステムを用いることがある。そのような電力自給システムには、発電機を駆動する際に駆動源から発生する廃熱を利用して同施設内での給湯や空調を行う廃熱回収システムが併設されることが多い。
上記のような電力自給システムにおいて、燃料にLNG(液化天然ガス)などの液化ガスを用いる場合には、液化ガスを貯留するためのタンクである液化ガスコンテナを設置し、その液化ガスコンテナから液化ガスを取出して気化した上で、ガスエンジンに供給する構成をとるのが一般的である。
かかる液化ガスの供給過程において、液化ガスコンテナ内で液化ガスが気化器によらず僅かずつながら気化し、ボイルオフガスと呼ばれるガスが発生する。このボイルオフガスを放置したままにすると液化ガスコンテナや配管内の圧力を上昇させる要因となり、施設保護の観点から望ましい状態ではない。そのような圧力が上昇した状態を解消するためには、単純にボイルオフガスを大気中に排出することが考えられるが、燃料を無駄に捨てることになるため、特に経済的な観点から得策とはいえない。
このため、上述のような電力自給システムにおいては、液化ガスコンテナ内のボイルオフガスを取出し、気化器によって気化された液化ガスと混ぜ合わせてガスエンジンに供給するように構成することで、ボイルオフガスが液化ガスコンテナ内に溜まらないようにしている。
しかしながら、上述のごとく構成された電力自給システムは、ガスエンジンが稼働していることを前提にしたものであるため、ガスエンジンの停止中にはボイルオフガスが消費されず、結局液化ガスコンテナ内で溜まることとなり大気中に排出するなどして処理しなければならない。
一方、かかる問題を回避してボイルオフガスの処理を可能とするボイルオフガスの再液化装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示される再液化装置は発生したボイルオフガスを冷却し再び液化して、液化ガスコンテナへ貯留することで、ボイルオフガスを捨てることなく且つ供給先のボイルオフガスの使用状況に関わらず液化ガスコンテナ内の圧力の上昇を回避することが可能となっている。
特開平7−157782号公報
しかしながら、特許文献1に示されるボイルオフガスを再液化する装置は一般的に高価であるため、経済的な事情で再液化装置を設置できない場合がある。
さらに、例えば週末はガスエンジンを停止するような間歇的な稼働をするような場合、停止中は廃熱回収システムの加熱熱源がなくなるため貯湯槽の水を加熱することができず、電気温水器など他の手段を用いて水を加熱し給湯する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑み、再液化処理装置のような高価な装置を要さず、ガスエンジンが停止中においてもボイルオフガスを有効利用できるボイルオフガスを利用した廃熱回収システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、液化ガスの貯留タンクである液化ガスコンテナに貯留された液化ガスを気化器で気化して燃料とするガスエンジンと、
前記ガスエンジンの廃熱を加熱熱源として貯湯槽に蓄えられた水を加熱し需要者に給湯する給湯手段と、
前記液化ガスコンテナ内で前記液化ガスが気化することにより発生したボイルオフガスを一時的に貯留するバッファタンクと、
前記ガスエンジンの停止に伴い前記貯湯槽内の水温が一定温度以下に低下したことを検知した時点で前記バッファタンク内に貯留された前記ボイルオフガスを燃焼して前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段とを備えることを特徴とするボイルオフガスを利用した廃熱回収システムにある。
かかる第1の態様では、ガスエンジン停止中においても、バッファタンク内のボイルオフガスを燃焼することで、貯湯槽の水を加熱し給湯を行うことができる。また、高価な再液化処理装置を設置することなく、ボイルオフガスによる液化ガスコンテナ内の圧力上昇を避けることができる。
本発明の第2の態様は、前記液化ガスにLNGを用いたことを特徴とする第1の態様記載のボイルオフガスを利用した廃熱回収システムにある。
かかる第2の態様では、液化ガスとしてLNGを用いることで、比較的低公害な廃熱回収システムを実現することができる。
本発明によれば、ガスエンジンが停止している時においても、ガスエンジンの廃熱の代わりに貯留したボイルオフガスを加熱熱源とすることで、貯湯槽の水を加熱し給湯することができるという効果を奏する。また、液化ガスコンテナ内に溜まるボイルオフガスを、大気中に排出したり高価な再液化処理装置を設置したりすることなく、液化ガスコンテナ内の圧力上昇を避けることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態1に係るボイルオフガスを利用した廃熱回収システムを示すシステム構成図であり、LNGガスを燃料として発電を行う場合の例示である。
図示するように、廃熱回収システム1は主な構成要素として、LNGを充填した液化ガスコンテナであるLNGガスコンテナ11と、配管66を介してLNGガスコンテナ11からLNGの供給を受けるガスエンジン10と、需要者22に給湯するために温水を蓄える貯湯槽21と、ガスエンジン10の廃熱を加熱熱源として貯湯槽21の水を加熱する熱交換器20と、LNGガスコンテナ11とガスエンジン10との間に設けられた分岐点50から分岐して設けられるバッファタンク30とを備えている。
さらに、加熱手段として貯湯槽21に取付けられた温度センサー32と、バッファタンク30内のボイルオフガスを燃料とし且つ温度センサー32の計測値に基づいて点火・消化を制御されるガスバーナー31とを備えている。
LNGガスコンテナ11からガスエンジン10へLNGを供給する部分について詳説すると次のとおりである。
加圧蒸発器12はLNGガスコンテナ11からLNGを取出して蒸発させる一方、その一端にLNGガスコンテナ11から送られるLNGの送給路である配管62が設けられていると共に、その他端に蒸発させたLNGをLNGガスコンテナ11へ送る送給路である配管63,64が設けられている。これにより、LNGガスコンテナ11から液体のLNGが加圧蒸発器12に供給され、加圧蒸発器12で蒸発したLNGが再びLNGガスコンテナ11へ戻される。蒸発したLNGはその圧力をもってLNGガスコンテナ11内の液体のLNGを押し出すために用いられる。
また、配管62の途中にはガスコンテナ出口遮断弁70が設けられており、ガスコンテナ出口遮断弁70を開閉することにより、加圧蒸発器12にLNGを供給する量が調整されるようになっている。
さらに、配管63の途中には圧力調整弁72が設けられており、圧力調整弁72を開閉することにより蒸発したLNGの圧力が調整されるようになっている。
また、蒸発したLNGの圧力によってLNGガスコンテナ11から押出された液体のLNGを気化する水冷気化器13が備わっており、水冷気化器13の一端にLNGガスコンテナ11から送られる液体のLNGの送給路である配管60が設けられていると共に、水冷気化器13の他端が気化したLNGをガスエンジン10に送る送給路である配管66が設けられている。これにより、蒸発したLNGの圧力でLNGガスコンテナ11内の液体のLNGを取出し、ガスエンジン10の燃料となる気化したLNGを供給することが可能となる。
また、配管60の途中にはガスコンテナ出口遮断弁71が設けられており、ガスコンテナ出口遮断弁71を開閉することにより、水冷気化器13に供給されるLNGの量が調整されるようになっている。
加温器14はLNGガスコンテナ11内で発生したボイルオフガスを加温する一方、その一端にLNGガスコンテナ11から送られるボイルオフガスの送給路である配管65,64が設けられていると共に、その他端に配管66へ集合接続される配管68が設けられている。これにより、ガスエンジン10の運転時において、水冷気化器13で気化されたLNGと共にボイルオフガスをガスエンジン10に供給することで、LNGガスコンテナ11内にボイルオフガスを溜めることなく処理している。
また、配管65の途中には圧力調整弁74が設けられており、圧力調整弁74を開閉することにより、加温器14に供給されるボイルオフガスの圧力が調整されるようになっている。
さらに、配管68の途中には圧力調整弁75が設けられており、圧力調整弁75を開閉することにより加温したボイルオフガスの圧力が調整されるようになっている。
なお、LNGガスコンテナ11は1台に限定されず、例えばLNGガスコンテナ11を複数台用意し、それらのLNGを順次取出し、ガスエンジン10に供給するような実施形態を採ってもよい。
次に、需要者に給湯するための給湯手段について詳説する。熱交換器20にはガスエンジン10との間に環状に配設され且つガスエンジン10を冷却するための冷却水が環流する冷却水管80が設けられると共に、需要者22に給湯する温水を蓄える貯湯槽21との間に環状に配設され且つ貯湯槽21内の水を加熱するための熱媒が環流する伝熱管81が設けられている。これにより、熱交換器20において、冷却水によって回収されたガスエンジン10の廃熱が伝熱管81内の熱媒に伝えられ、その熱媒を介して貯湯槽21内の水が加熱される。
また、貯湯槽21には、貯湯槽21と需要者22との間に環状に配設された給湯路82が設けられており、これにより温水を需要者22に供給する。
次に、ボイルオフガスを燃料とする加熱手段について詳説する。バッファタンク30はボイルオフガスを貯留する一方、その一端に分岐点50に接続されるよう配管40が設けられると共に、その他端にボイルオフガスを燃料とするガスバーナー31と接続する配管41が設けられている。これによって、ガスエンジン10の停止時において、LNGガスコンテナ11内で発生したボイルオフガスは配管64、加温器14及び配管40を経由してバッファタンク30に一時的に貯留され、ガスバーナー31の燃料として用いられる。
さらに、貯湯槽21に水温を計測する温度センサー32が設けられると共に、温度センサー32の計測値に基づいてガスバーナー31の点火・消化を制御するよう構成されている。これによって、貯湯槽21内の水温が一定温度を下回ったことを温度センサー32が検出した場合に、バッファタンク30内のボイルオフガスを燃焼して、貯湯槽21内の水を加熱する。
なお、LNGガスコンテナ11から配管61を介して接続されるベントスタック76は、LNGガスコンテナ11内のボイルオフガスが溜まったときに大気中に排出するために用いられるものである。原則としてLNGガスコンテナ11内のボイルオフガスはバッファタンク30に貯留されるものであるが、万が一、バッファタンク30の貯留できる量を超えてボイルオフガスが発生する場合を考慮して、安全弁吹出しラインとして設置されるものである。具体的にはバッファタンク30に安全弁33を設けると共に、配管の一端を安全弁33に接続し、他端を配管67に集合接続するよう配管を接続する。これによってバッファタンク30内の過剰なボイルオフガスがベントスタック76を経由して大気中に排出される。
次に、上述のような構成からなる廃熱回収システム1の動作について説明する。本発明の実施形態1については、ガスエンジン10が運転しているか否かによって動作形態が異なるため、運転時及び停止時の2つに分けて説明をする。
ガスエンジン10の運転時において、LNGをガスエンジン10に供給する動作について詳説すると次のとおりである。まず、ガスコンテナ出口遮断弁70を開放することで、LNGガスコンテナ11内の液体のLNGが加圧蒸発器12へ供給されると共に、加圧蒸発器12によって蒸発させられたLNGが配管63,64を経由して再びLNGガスコンテナ11へ戻される。これにより、蒸発させられたLNGの圧力によって、LNGガスコンテナ11内の液体のLNGが水冷気化器13へ押出される。
次に、ガスコンテナ出口遮断弁71を開放すると、先の蒸発したLNGの圧力によって液体のLNGが水冷気化器13に送られる。水冷気化器13はそのLNGを気化し、配管66を経由させてガスエンジン10へ気化したLNGを供給する。一方、LNGガスコンテナ11内に発生したボイルオフガス及び加圧蒸発器12によって気化されたLNGの量が過剰となりLNGガスコンテナ11内に収まりきらない場合、過剰となった分は加温器14にて加温された後、水冷気化器13で気化されたLNGと合流点51で合流した上でガスエンジン10に供給される。このことにより、ボイルオフガスと気化されたLNGがLNGガスコンテナ11や各配管に溜まって圧力上昇するのを抑えつつ、ガスエンジン10に燃料を供給する。
かかる供給過程で供給されたLNGを燃料としてガスエンジン10は運転を行い、発電機15を稼働させて需要者22に給電する。この際にガスエンジン10による廃熱を用いて貯湯槽21の水を加熱し需要者22へ給湯が行われる。具体的には、冷却水管80を環流する冷却水が、ガスエンジン10の廃熱を回収し、その回収した熱を熱交換器20で伝熱管81内の熱媒に与える。次に熱を与えられた伝熱管81内の熱媒は貯湯槽21内の水を加熱する。これによってガスエンジン10の廃熱を利用して需要者22に給湯を行う。
以上のような廃熱回収システム1の動作により、ガスエンジン10が運転時には、気化されたLNG及びボイルオフガスをガスエンジン10の燃料に供し、ガスエンジン10の廃熱で貯湯槽21の水を加熱して、需要者22に給湯する。
次に、ガスエンジン10の停止時における廃熱回収システム1の動作について詳説する。ガスエンジン10の停止中は、ガスコンテナ出口遮断弁70、ガスコンテナ出口遮断弁71は閉鎖されている。したがってLNGガスコンテナ11内のLNGはガスエンジン10に供給されていない。一方LNGガスコンテナ11内では温度上昇によってボイルオフが発生しており、そのボイルオフガスは配管64,65を介して加温器14で加温された後に、配管40を介してバッファタンク30に貯留される。このことにより、後に燃焼するために一定量のボイルオフガスを貯留すると共に、再液化処理装置を設けずとも、LNGガスコンテナ11内及び各配管内にボイルオフガスが充満することによる圧力の上昇を回避する。
なお、発生したボイルオフガスがバッファタンク30の容量を超えた場合、ボイルオフガスはベントスタック76で大気中に排出されることになる。このことにより、バッファタンク30の容量を超えてボイルオフガスが発生しても、LNGガスコンテナ11内の圧力が上昇し続ける事態を回避する。
温度センサー32は貯湯槽21内の水温を計測しており、計測した温度が一定値を下回った場合、ガスバーナー31を点火し、貯湯槽21内の水を加熱する。このことにより、ガスエンジン10の停止中において、貯湯槽21内の水を加熱する熱源としてボイルオフガスを代わりに用い、需要者22に温水を給湯する。
以上のような動作によって、廃熱回収システム1はガスエンジン10の停止中において発生するボイルオフガスを貯湯槽21の加熱熱源に代用し、需要者22に給湯を行うことができる。
なお、本発明は本実施形態1のようにLNGを適用した場合のみに限定されず、LPGなど他の液化ガスにも適用可能である。
本発明は液化ガスを燃料として機関を稼働させ、機関の廃熱によって給湯を行う場合に関連する産業分野で利用することができる。
本発明の実施形態1に係る廃熱回収システムを示すシステム構成図である。
符号の説明
1 廃熱回収システム
10 ガスエンジン
11 LNGガスコンテナ
12 加圧蒸発器
13 水冷気化器
14 加温器
15 発電機
20 熱交換器
21 貯湯槽
22 需要者
30 バッファタンク
31 ガスバーナー
32 温度センサー
70、71 ガスコンテナ出口遮断弁
72〜75 圧力調整弁

Claims (2)

  1. 液化ガスの貯留タンクである液化ガスコンテナに貯留された液化ガスを気化器で気化して燃料とするガスエンジンと、
    前記ガスエンジンの廃熱を加熱熱源として貯湯槽に蓄えられた水を加熱し需要者に給湯する給湯手段と、
    前記液化ガスコンテナ内で前記液化ガスが気化することにより発生したボイルオフガスを一時的に貯留するバッファタンクと、
    前記ガスエンジンの停止に伴い前記貯湯槽内の水温が一定温度以下に低下したことを検知した時点で前記バッファタンク内に貯留された前記ボイルオフガスを燃焼して前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段とを備えることを特徴とするボイルオフガスを利用した廃熱回収システム。
  2. 前記液化ガスにLNGを用いたことを特徴とする請求項1記載のボイルオフガスを利用した廃熱回収システム。
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