JP4636239B2 - Led用蛍光組成物、led用蛍光部材及び半導体発光装置 - Google Patents

Led用蛍光組成物、led用蛍光部材及び半導体発光装置 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光組成物、蛍光部材及び半導体発光装置、特に、長時間安定した色調と強度で発光する蛍光組成物、蛍光部材及びこれらを用いた半導体発光装置に関する。
従来、街灯等の屋外照明や、室内照明として白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯等のフィラメント電球、水銀の励起光により蛍光物質を発光させるいわゆる蛍光灯などが用いられているが、いずれも電力消費が高く、特に屋外照明においては、大電力を消費するものになるため、省エネルギーの点からより消費電力の少ない照明具が望まれている。
一方、室内照明についても、例えば、浴室用の照明にはリラクゼーション機能を付加させた暖色系の照明が望まれたり、小売店等においては商品の色彩をより鮮やかにみせることができる照明が望まれたりしており、照明にアメニティー機能等の付加価値が求められている。そのため、より演色性の高い照明具が必要とされている。
近年、このような要求に応え得る照明具として、LED(発光ダイオード)素子を用いた発光装置が注目されている。このLED素子を用いた発光装置は1種のLED素子単独では、照明具の大半を占める白色光や、中間色を発光する発光装置にできないため、発光色が異なる複数種のLED素子を組合せることにより白色光や中間色を得ることがなされているが、この方法で色彩を調整するにはLED素子自体の発光色を変えたり、各々のLED素子に印加する電圧を個々に調整したりすることが必要であるため、色彩設定の自由度が劣る。
一方、LED素子と、このLED素子が発光する光により励起されて発光する蛍光物質を1種又は複数種とを組合せて白色光や中間色を得ることもなされている。この方法ではLED素子と組合せる蛍光物質の量や比率を調整することで、白色光や中間色を所望の色調となるように容易に調整することが可能である点で優れている。しかしながら、大気や励起光に起因する蛍光物質の劣化により輝度が低下して、全体の発光量が低下したり、色調が変化したりする問題があり、長時間色調を維持しつつ、輝度の低下も実用上問題とならない程度で使用可能な時間、即ち、輝度寿命が、従来の照明具に比べ未だ十分とは言えないのが現状である。
なお、この発明に関する先行技術文献情報としては以下のものがある。
特公平1−38680号公報 特開平5−190282号公報 特表平10−510313号公報 特開2000−212554号公報 特開2003−163376号公報 特開2003−292758号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、大気や励起光等に起因して蛍光物質が劣化することを可及的に防止し、長時間色調を維持しつつ、長い輝度寿命を与えることができる蛍光組成物、蛍光部材及びこれらを用いた半導体発光装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、LED素子から発光する励起光により発光する有機蛍光色素、特に、ペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上の有機蛍光色素と、チオベンジルニッケル錯体等のチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを含有する蛍光組成物を、或いはガラス、又はポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー等の高分子材料に、上記有機蛍光色素と、チオベンジルニッケル錯体等のチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを混合分散させて成形した蛍光部材を、それらに含有される有機蛍光色素をLED素子から発光した励起光により発光させるように構成して半導体発光装置に適用すれば、この半導体発光装置が長時間色調を維持しつつ、長い輝度寿命を与えるものになることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下のLED用蛍光組成物、LED用蛍光部材及び半導体発光装置を提供する。
[1]LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体とを含有することを特徴とするLED用蛍光組成物。
[2]LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、水素化フラーレン,水酸化フラーレン,マロン酸付加フラーレン及びマロン酸ジターシャリーブチル付加フラーレンの群から選ばれるフラーレン化合物とを含有することを特徴とするLED用蛍光組成物。
[3]上記チオベンジル遷移金属錯体がチオベンジルニッケル錯体であることを特徴とする[1]記載のLED用蛍光組成物。
[4]上記有機蛍光色素がペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載のLED用蛍光組成物。
[5]ガラス又は高分子材料に、LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体とを混合分散させて成形してなることを特徴とするLED用蛍光部材。
[6]ガラス又は高分子材料に、LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、水素化フラーレン,水酸化フラーレン,マロン酸付加フラーレン及びマロン酸ジターシャリーブチル付加フラーレンの群から選ばれるフラーレン化合物とを混合分散させて成形してなることを特徴とするLED用蛍光部材。
[7]上記チオベンジル遷移金属錯体がチオベンジルニッケル錯体であることを特徴とする[5]記載のLED用蛍光部材。
[8]上記高分子材料がポリカーボネート又はシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする[5]乃至[7]のいずれか1項記載のLED用蛍光部材。
[9]上記有機蛍光色素がペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[5]乃至[8]のいずれか1項記載のLED用蛍光部材。
[10]蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、[1]乃至[4]のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記封止材に混合分散されていることを特徴とする半導体発光装置。
[11]蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、[1]乃至[4]のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記励起光の光路上に位置するように、上記LED素子上又は上記封止材上に積層されていることを特徴とする半導体発光装置。
[12]蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、上記半LED素子から発光した励起光が照射されるように設けられた反射部材とを備える半導体発光装置であって、[1]乃至[4]のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記反射部材上に積層されていることを特徴とする半導体発光装置。
[13]蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、[5]乃至[9]のいずれか1項記載の蛍光部材が、上記励起光の光路上に位置するように配設されていることを特徴とする半導体発光装置。
本発明の蛍光組成物及び蛍光部材は、大気や励起光等に起因する蛍光物質の劣化が防止されており、これらを用いた半導体発光装置は、従来のものに比べ、長時間色調を維持しつつ、長い輝度寿命が得られる。
以下、本発明について更に詳述する。
本発明の蛍光組成物は、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを含有するものである。
本発明の蛍光組成物には有機蛍光色素が含まれる。この有機蛍光色素としては、特に限定されず、励起光により、青色、青緑色、緑色、黄色、橙色、赤色等の可視光領域の光を発光する従来公知の有機蛍光色素を用いることが可能である。また、蛍光を発光する一方、励起状態によってはりん光を発光するようなもの、例えば、イリジウム錯体、プラチナ錯体等の従来公知の金属錯体や五重項などの多重項から発光するようなもの、例えばテルビウム錯体等の希土類金属錯体を用いることができる。
本発明の蛍光組成物に含まれる有機蛍光色素としては、ペリレン化合物、クマリン化合物又はナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。ペリレン化合物としては、例えば、下記式(1)〜(7)で表されるペリレン化合物1〜7が挙げられる。
ペリレン化合物1
Figure 0004636239
(式中、R1とR2はそれぞれ水素原子、アルコキシ基、フェノキシ基又はアルキルフェノキシ基のいずれかであり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。X1とX2はそれぞれCN,F,Cl又はBrのいずれか、好ましくはCNであり、X1とX2は同一であっても異なっていてもよい。R3は炭素数5以上、好ましくは6以上のアルキル基である。)
また、上記R3のアルキル基としては、分岐アルキル基、特に2級分岐アルキル基が好ましい。上記式(1)で表されるペリレン化合物としては、特に、R1とR2が水素原子であり、X1とX2がCNであり、R3がシクロヘキシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、1−エチルブチル基、1,1−ジ(n−プロピル)メチル基、2−メチルプロピル基又は1,1−ジシクロヘキシルメチル基であるものが好ましい。
1〜R3、及びX1,X2の好ましい組合せとしては、下記表1に示される組合せが挙げられる。
Figure 0004636239
このペリレン化合物1としては、例えば、BASF社製Lumogen F Yellow 083等を用いることができる。
ペリレン化合物2
Figure 0004636239
(式中、R4とR5はそれぞれアルコキシ基、フェノキシ基又はアルキルフェノキシ基のいずれかであり、R4とR5は同一であっても異なっていてもよい。R6はアルキルフェニル基、好ましくはイソプロピルフェニル基である。)
上記式(2)で表されるペリレン化合物としては、特に、R4とR5がエトキシ基、フェノキシ基又はイソプロピルフェノキシ基であり、R6がイソプロピルフェニル基であるものが好ましい。
4〜R6の好ましい組合せとしては、下記表2に示される組合せが挙げられる。
Figure 0004636239

ペリレン化合物3
Figure 0004636239
(式中、R7とR8はそれぞれアルコキシ基、フェノキシ基又はアルキルフェノキシ基のいずれかであり、R7とR8は同一であっても異なっていてもよい。R9とR10はそれぞれアルキル基、フェニル基又はアルキルフェニル基のいずれかであり、R9とR10は同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(3)で表されるペリレン化合物としては、特に、R7とR8がフェノキシ基であり、R9とR10がメチル基、イソプロピルフェニル基又は2,6−ジイソプロピルフェニル基であるものが好ましい。
7〜R10の好ましい組合せとしては、下記表3に示される組合せが挙げられる。
Figure 0004636239
このペリレン化合物3としては、例えば、BASF社製Lumogen F Red 300等を用いることができる。
ペリレン化合物4
Figure 0004636239
(式中、R11とR12はそれぞれ炭素数4以上の分岐アルキル基、炭素数5以上の直鎖アルキル基、フェニル基又はアルキルフェニル基のいずれかであり、R11とR12は同一であっても異なっていてもよい。)
また、上記R11又はR12の分岐アルキル基としては、2級又は3級の分岐アルキル基のいずれでもよい。上記式(4)で表されるペリレン化合物としては、特に、R11とR12がメチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−オクチル基、イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基又は2−エチル−n−ヘキシル基であるものが好ましい。
このペリレン化合物4としては、例えば、BASF社製Lumogen F Orange 240、有本化学工業(株)製Plast Orange 8160等を用いることができる。
ペリレン化合物5
Figure 0004636239
(式中、R13とR14はそれぞれアルコキシ基、フェノキシ基又はアルキルフェノキシ基のいずれかであり、R13とR14は同一であっても異なっていてもよい。R15はアルキル基、フェニル基又はアルキルフェニル基のいずれかである。)
上記式(5)で表されるペリレン化合物としては、特に、R13とR14がエトキシ基又はフェノキシ基であり、R15がメチル基であるものが好ましい。
13〜R15の好ましい組合せとしては、下記表4に示される組合せが挙げられる。
Figure 0004636239

ペリレン化合物6
Figure 0004636239
(式中、R16は炭素数6以上、好ましくは炭素数8以上のアルキル基、フェニル基又はアルキルフェニル基のいずれかである。)
上記式(6)で表されるペリレン化合物としては、特に、R16がメチル基、n−ブチル基、イソプロピルフェニル基又はn−オクチル基であるものが好ましい。
ペリレン化合物7
Figure 0004636239
(式中、R17とR18はそれぞれ水素原子、アルコキシ基、フェノキシ基又はアルキルフェノキシ基のいずれかであり、R17とR18は同一であっても異なっていてもよい。R19は炭素数2以上、好ましくは炭素数4以上のアルキル基、フェニル基又はアルキルフェニル基のいずれかである。Aはシクロアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はピリジレン基のいずれかである。)
上記式(7)で表されるペリレン化合物としては、特に、R17とR18がエトキシ基又はフェノキシ基であり、R19がイソプロピルフェニル基であり、Aがフェニレン基、又は1,8−ナフチレン基等のナフチレン基であるものが好ましい。
17〜R19の好ましい組合せとしては、下記表5に示される組合せが挙げられる。
Figure 0004636239
また、クマリン化合物としては、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]−クマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−メチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−シアノ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボ−t−ブトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボエトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンズイミダゾリル)クマリン、7−ジメチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−アセチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、3−(2−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−(トリフルオロメチル)−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、7−アミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリンなどが挙げられる。
このクマリン化合物としては、例えば、Bayer社製MACROLEX Fluorescent Yellow 10GN等を用いることができる。
一方、ナフタルイミド化合物としては、ナフタルイミド、4−アミノナフタルイミド、N−メチル−4−アミノナフタルイミド、N−エチル−4−アミノナフタルイミド、N−プロピル−4−アミノナフタルイミド、N−n−ブチル−4−アミノナフタルイミド、4−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−エチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−プロピル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−n−ブチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル−4−メトキシナフタルイミド、N−エチル−4−メトキシナフタルイミド、N−プロピル−4−メトキシナフタルイミド、N−n−ブチル−4−メトキシナフタルイミド、N−メチル−4−エトキシナフタルイミド、N−エチル−4−エトキシナフタルイミド、N−プロピル−4−エトキシナフタルイミド、N−n−ブチル−4−エトキシナフタルイミドなど、また、下記式(8)
Figure 0004636239

で示されるナフタルイミドが挙げられる。
このナフタルイミド化合物としては、例えば、クラリアント社製Hostasol Yellow 3G等を用いることができる。
また、本発明の蛍光組成物には、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物が含まれる。本発明の蛍光組成物は、チオベンジル遷移金属錯体のみ又はフラーレン化合物のみが含まれるものでも、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物の両方が含まれるものでもよい。
この蛍光組成物にはチオベンジル遷移金属錯体、フラーレン化合物と共に、有機蛍光色素が含まれるが、これは光照射により一重項酸素などの活性酸素を生成する物質であるため、有機蛍光色素から発生した一重項酸素などの活性酸素は、別の有機蛍光色素、又は一重項酸素などの活性酸素を生成した有機蛍光色素と反応して、有機蛍光色素自体を劣化させる。また、本発明の蛍光組成物は、後述するとおり、LED等の半導体発光装置用として好適であり、半導体発光装置には、一般に半導体素子の封止用に高分子材料が用いられるが、高分子材料を用いた場合、この高分子材料も一重項酸素などの活性酸素により劣化することになる。
特に、半導体発光装置においては、半導体素子から発光する励起光が常時照射されるため、一重項酸素などの活性酸素の発生頻度が高く、更には、半導体素子が青色光や紫外線のような比較的高エネルギーの光を発生するものである場合、一重項酸素などの活性酸素の発生確率が格段に高くなる。本発明のチオベンジル遷移金属錯体及びフラーレン化合物は、このような苛酷な環境下においても、一重項酸素などの活性酸素を効率的に消去することが可能であると考えられる。
本発明の蛍光組成物において、チオベンジル遷移金属錯体としては、チオベンジルニッケル錯体、チオベンジルコバルト錯体、チオベンジル銅錯体、チオベンジルパラジウム錯体、チオベンジル白金錯体が好ましく挙げられ、チオベンジルニッケル錯体が特に好ましい。このようなチオベンジル遷移金属錯体としては、下記式(9)
Figure 0004636239

(式中、Mは遷移金属原子、好ましくはNi、Co、Cu、Pd又はPt、特に好ましくはNiを表す。R20とR21はそれぞれ水素原子、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、又は好ましくは炭素数2〜3のアルコキシアルコキシ基のいずれかであり、R20とR21は同一であっても異なっていてもよい。X3はそれぞれ水素原子、F,Cl,Br等のハロゲン原子、又はジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基のいずれかである。)
で表されるようなビス(1,2−ジフェニル−1,2−ジチオレン)系や、下記式(10)
Figure 0004636239

(式中、Mは遷移金属原子、好ましくはNi、Co、Cu、Pd又はPt、特に好ましくはNiを表す。R22とR23はそれぞれ水素原子、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、好ましくは炭素数2〜3のアルコキシアルコキシ基、F,Cl,Br等のハロゲン原子、又はジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基のいずれかであり、R22とR23は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるようなビス(1,2−ジチオベンゼン)系のチオベンジル遷移金属錯体が挙げられ、特に、下記式(11)〜(13)で表されるチオベンジルニッケル錯体が好適である。
Figure 0004636239
Figure 0004636239
Figure 0004636239
上記式(11)〜(13)で表されるチオベンジルニッケル錯体としては、(株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX1199(ビス[2’−クロロ−3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)ジチオベンジル]ニッケル)、同NKX113(ビス(ジチオベンジル)ニッケル)、NKX114(ビス[4−(ジメチルアミノ)ジチオベンジル]ニッケル)等の市販品を用いることができる。
チオベンジル遷移金属錯体を用いる場合、これと共に、有機蛍光色素の劣化抑制剤として、例えばニトロソ化合物やアミニウム化合物などを含有させてもよい。ニトロソ化合物を用いる場合、チオベンジル遷移金属錯体100質量部に対してニトロソ化合物を5〜30質量部の割合で含有させることが好ましい。ニトロソ化合物としては、下記式(14)で表されるニトロソ化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0004636239
上記式(14)で表されるニトロソ化合物としては、(株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX1549(ニトロソ−4’−(ジメチルアミノ)−ジフェニルアミン)等の市販品を用いることができる。
また、アミニウム化合物としては、日本化薬株式会社製KAYASORB IRG−002、KAYASORB IRG−140等が好ましく挙げられる。
一方、フラーレン化合物としては、C60フラーレン、C70フラーレン等の非置換フラーレン、C60n(n=30以上)、例えばC6036フラーレン、C7036フラーレン等の水素化フラーレン、C60(OH)m(m=6〜12)、例えばC60(OH)10等の水酸化フラーレン、C60−マロン酸多付加体、例えばC60(COOH)2x(x=3〜6)等のマロン酸付加フラーレン、C60−マロン酸ジターシャリーブチル多付加体、例えばC60[COOC(CH332y(y=3〜5)等のジターシャリーブチル付加フラーレンが好適である。また、C60フラーレン、C70フラーレン等の非置換フラーレン骨格の、1又は2以上、好ましくは1の二重結合に、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、シリル基、又は非置換若しくは置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基若しくはアシル基などが付加した構造の置換フラーレンも挙げられる。
本発明の蛍光組成物においては、蛍光組成物中、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを、有機蛍光色素100質量部に対してチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物が500質量部以下、特に200質量部以下となる量で含有させることが好ましい。これらの量が500質量部を超えると有機蛍光色素の量が相対的に少なくなってしまい、十分な蛍光発光が得られなくなるおそれがある。なお、有機蛍光色素に対するチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物の量の下限は、その効果が得られる量であれば、特に制限されないが、通常、有機蛍光色素100質量部に対して10質量部以上、特に50質量部以上が望ましい。なお、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物とを併用する場合は、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物との総量が、有機蛍光色素100質量部に対して上記範囲であることが好ましい。
なお、本発明の蛍光組成物においては、本発明の効果を妨げない範囲で、例えば、紫外線吸収剤やフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、光を拡散させるための炭酸カルシウムなどの拡散剤、顔料、顔料分散剤、アミン系等のシランカップリング剤、アミニウム化合物、酸化カルシウムや酸化バリウムなどの乾燥剤、ヒンダードアミンなどの光安定剤、ヒンダードフェノールなどの熱ラジカル捕捉剤(熱安定剤)、更には、無機蛍光物質を添加してもよい。この無機蛍光物質としては、Y22S:Eu、La22S:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、LiEuW28、Ca0.5EuW28、LiEuxSm(1-x)28(式中、xは0.8≦x<1を満たす正数、好ましくは0.9≦x<1を満たす正数、特に好ましくはx=0.96である。)、LixNa(1-x)EuW28(式中、xは0.7≦x<1を満たす正数、好ましくはx=0.8である。)等の赤色発光蛍光体、BaMg2Al1627:Eu,Mn、Zn2GeO4:Mn、LiTbxLn(1-x)28(式中、LnはYを含む希土類元素(Tbを除く)から選ばれる少なくとも1種、好ましくはY又はDyである。xは0.8≦x≦1を満たす正数である。)等の緑色発光蛍光体、BaMg2Al1627:Eu、(Sr,Ca,Ba)5(PO43Cl:Eu等の青色発光蛍光体、YAG:Ceなどに代表されるYAG系等の黄色発光蛍光体などが挙げられる。
次に、本発明の蛍光部材について説明する。
本発明の蛍光部材は、ガラス又は高分子材料に、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを混合分散させて成形してなるものである。
本発明の蛍光部材には有機蛍光色素が含まれる。この有機蛍光色素としては、特に限定されず、励起光により、青色、青緑色、緑色、黄色、橙色、赤色等の可視光領域の光を発光する従来公知の有機蛍光色素を用いることが可能である。また、蛍光を発光する一方、励起状態によってはりん光を発光するようなもの、例えば、イリジウム錯体、プラチナ錯体等の従来公知の金属錯体や五重項などの多重項から発光するようなもの、例えばテルビウム錯体等の希土類金属錯体を用いることができる。
本発明の蛍光部材に含まれる有機蛍光色素としては、ペリレン化合物、クマリン化合物又はナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。これらペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物として具体的には、上述した本発明の蛍光組成物の有機蛍光色素のペリレン化合物、クマリン化合物又はナフタルイミド化合物として例示したものと同様のものが挙げられる。
また、本発明の蛍光部材には、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物が含まれる。本発明の蛍光部材は、チオベンジル遷移金属錯体のみ又はフラーレン化合物のみが含まれるものでも、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物の両方が含まれるものでもよい。
この蛍光部材にはこれらチオベンジル遷移金属錯体、フラーレン化合物と共に、有機蛍光色素が含まれるが、これは光照射により一重項酸素などの活性酸素を生成する物質であるため、有機蛍光色素から発生した一重項酸素などの活性酸素は、別の有機蛍光色素、又は一重項酸素などの活性酸素を生成した有機蛍光色素と反応して、有機蛍光色素自体を劣化させる。また、本発明の蛍光部材は、後述するとおり、LED等の半導体発光装置用として好適であり、一般に半導体素子の封止用に高分子材料が用いられるが、この場合、また、蛍光部材が高分子材料に、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを分散させる材料として高分子材料を用いた場合、これらの高分子材料も一重項酸素などの活性酸素により劣化する。
特に、半導体発光装置においては、半導体素子から発光する励起光が常時照射されるため、一重項酸素などの活性酸素の発生頻度が高く、更には、半導体素子が青色光や紫外線のような比較的高エネルギーの光を発生するものである場合、一重項酸素などの活性酸素の発生確率が格段に高くなる。本発明のチオベンジル遷移金属錯体及びフラーレン化合物は、このような苛酷な環境下においても、一重項酸素などの活性酸素を効率的に消去することが可能である。
本発明の蛍光部材において、チオベンジル遷移金属錯体及びフラーレン化合物としては、上述した本発明の蛍光組成物のチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物として各々例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の蛍光部材においては、蛍光部材中、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを、有機蛍光色素100質量部に対してチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物が500質量部以下、特に200質量部以下となる量で混合分散させることが好ましい。これらの量が500質量部を超えると有機蛍光色素の量が相対的に少なくなってしまい、十分な蛍光発光が得られなくなるおそれがある。なお、有機蛍光色素に対するチオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物の量の下限は、その効果が得られる量であれば、特に制限されないが、通常、有機蛍光色素100質量部に対して10質量部以上、特に50質量部以上が望ましい。なお、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物とを併用する場合は、チオベンジル遷移金属錯体とフラーレン化合物との総量が、有機蛍光色素100質量部に対して上記範囲であることが好ましい。
一方、本発明の蛍光部材は、ガラス又は高分子材料に、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを混合分散させて成形したものであるが、ガラスに分散させる場合は、例えば、ゾル−ゲル法等によりガラス化する際に、ガラス原料に、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを添加してこれらを混合分散させて成形することにより蛍光部材とすることが可能である。
また、高分子材料としては、樹脂、特に熱可塑性樹脂や、ゴム、エラストマーなどを好ましく用いることができ、これら樹脂、ゴム、エラストマーとしては、透明なもの、半透明なものいずれも使用可能であるが、本発明の蛍光部材は有機蛍光色素を用いていることから、透明な樹脂、ゴム又はエラストマーを用いれば、透明性の高い蛍光部材を得ることができる。そのため、特にポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマーが好適である。
このポリカーボネートとしては、市販されているものを使用すればよく、例えば、住友ダウ(株)製カリバーや、帝人化成(株)製パンライト、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロンなどを好適に使用できる。ポリカーボネートの分子量(数平均分子量Mn)は、特に限定されないが、5,000〜100,000、特に10,000〜30,000であることが好ましい。また、シクロオレフィン系ポリマーも、市販されているものを使用可能であり、例えば、日本ゼオン(株)製ゼオノアなどを好適に使用できる。
有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを高分子材料に混合分散して成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物と、高分子材料とを、ロール等の加熱できる混練機を用いて溶融混練してこれを圧縮成形する方法、射出成形機又は押出成形機などを用いて溶融混練と成形を連続的に行う方法などが採用できる。この際、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物とを高分子材料に溶融混練してマスターバッチとし、このマスターバッチを更に高分子材料に添加して溶融混練して成形する方法を採用してもよい。なお、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物と、高分子材料とを混合分散させたものを一旦ペレット化して用いることも可能である。ペレット化してから成形することにより、有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体又はフラーレン化合物との高分子材料への分散性が向上し、また、耐光性も向上することから、発光色が安定化するため特に好ましい。
溶融混練の温度は、成形方法によって適宜選定できるが、射出成形する場合の溶融混練の温度は270℃以上、特に300℃以上で、340℃以下、特に320℃以下であることが望ましい。また、溶融混練する時間は、当該温度範囲で数秒から1時間とすることが好ましい。一方、ロール等の加熱できる混練機を用いて溶融混練してこれを圧縮成形する場合の溶融混練温度は120℃以上、特に150℃以上、とりわけ190℃以上で、340℃以下、特に320℃以下であることが好ましい。なお、本発明の蛍光部材は、その用途に応じて適宜シート状、キャップ状などに成形することができる。
本発明の蛍光部材においては、ガラス又は高分子材料100質量部に対して有機蛍光色素が0.001質量部以上、特に0.01質量部以上で、1質量部以下、特に0.1質量部以下となるように混合分散させることが好ましい。0.001質量部未満であると、有機蛍光色素の絶対量が少ないために、十分な発光色や輝度を得ることが難しくなるおそれがあり、1質量部を超えると、有機蛍光色素の量が多くなりすぎて、有機蛍光色素のブリードアウトなどが促進されて、発光色のばらつきの原因となるおそれがある。
なお、本発明の蛍光部材においては、本発明の効果を妨げない範囲で、例えば、紫外線吸収剤やフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、光を拡散させるための炭酸カルシウムなどの拡散剤、顔料、顔料分散剤、アミン系等のシランカップリング剤、アミニウム化合物、酸化カルシウムや酸化バリウムなどの乾燥剤、ヒンダードアミンなどの光安定剤、ヒンダードフェノールなどの熱ラジカル捕捉剤(熱安定剤)、更には、無機蛍光物質を添加してもよい。この無機蛍光物質としては、Y22S:Eu、La22S:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、LiEuW28、Ca0.5EuW28、LiEuxSm(1-x)28(式中、xは0.8≦x<1を満たす正数、好ましくは0.9≦x<1を満たす正数、特に好ましくはx=0.96である。)、LixNa(1-x)EuW28(式中、xは0.7≦x<1を満たす正数、好ましくはx=0.8である。)等の赤色発光蛍光体、BaMg2Al1627:Eu,Mn、Zn2GeO4:Mn、LiTbxLn(1-x)28(式中、LnはYを含む希土類元素(Tbを除く)から選ばれる少なくとも1種、好ましくはY又はDyである。xは0.8≦x≦1を満たす正数である。)等の緑色発光蛍光体、BaMg2Al1627:Eu、(Sr,Ca,Ba)5(PO43Cl:Eu等の青色発光蛍光体、YAG:Ceなどに代表されるYAG系等の黄色発光蛍光体などが挙げられる。
また、この蛍光部材には、有機修飾セラミックスを添加することも可能である。この有機修飾セラミックスとは、有機蛍光色素と、高分子材料との界面接着強度を高めるもので、有機蛍光色素のブリードアウト等を抑制することができるものであれば限定されず、例えば、テトラエトキシシラン、オルガノトリエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドなどの加水分解により得られるものなどが挙げられる。
なお、本発明の蛍光組成物及び蛍光部材は、半導体発光素子などと組合せ、蛍光物質(有機蛍光色素)を発光させる励起光を発光する半導体発光素子から発光する励起光により蛍光物質(有機蛍光色素)を発光させて用いる半導体発光装置として好適であるが、半導体発光素子としては、例えばGa:ZnO、GaAsP系等の赤色LED、GaP:N等の緑色LED、GaAsP系、InGaAlP系等の橙色・黄色LED、GaAlAs系、GaN系、InGaN系、ZnSe系、ZnO系、II−VI族等の青色LEDなどの半導体発光素子を用いることができる。特に、エネルギーの高いLEDを用いる場合、本発明の効果が大きく発揮されることから青色LED、緑色LEDが好ましい。またGaN系、ZnO系、InGaN系、AlGaN系等の紫外LEDも好適である。
また、本発明の蛍光組成物及び蛍光部材は、上述したような半導体発光素子と、蛍光物質とを組合せて用いることにより、半導体発光素子からの光を変色させるように構成された半導体発光装置、例えば、青色LEDとYAG系蛍光体とを用いた白色を発光する発光装置と組合せて用いることも可能である。
次に、本発明の半導体発光装置について説明する。
まず、本発明の半導体発光装置の第1の態様について説明する。この第1の態様の半導体発光装置は、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であり、上述した本発明の蛍光組成物が上記封止材に混合分散されているものである。
具体的には、図1に示されるような、リード1,2、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3、半導体発光素子3とリード2とを電気的に接続するリード細線4を、封止材5で砲弾型に封止した構造の、いわゆる砲弾タイプの発光ダイオードや、図2に示されるような、上面が開口した箱形の発光素子収容部材6の内底から一対のリード1,2を発光素子収容部材6の外部へ延出し、この発光素子収容部材6の内部に蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3やリード細線4,4を収容し、これらを接続して発光素子収容部材6内部を封止材5で封止した構造の、いわゆるチップ型の発光ダイオードなどの封止材5中に、本発明の蛍光組成物を混合分散させたものが挙げられる。また、図3に示されるような、リード1,2、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3、半導体発光素子3とリード2とを電気的に接続するリード細線4を、反射部材9と共に、封止材5で発光方向前面中央部をレンズ部51として凸レンズ状に、その外周部を反射部52として平面になるように封止し、図中矢印でしめされるように、半導体発光素子3からの励起光の一部はレンズ部51を直接透過し、励起光の残部は反射部材9上に直接又は反射部52を経由して反射部材9に照射されて、反射部材9により反射されるように構成した、透過光と反射光とを利用する複合型の半導体発光装置の封止材5中に、本発明の蛍光組成物を混合分散させたものも好適である。
このような半導体発光装置は、半導体発光素子等を封止する際に、樹脂、特に熱可塑性樹脂や、ゴム、エラストマーなど従来公知の封止材材料に本発明の蛍光組成物を混合して封止することにより製造することができる。
次に、本発明の半導体発光装置の第2の態様について説明する。この第2の態様の半導体発光装置は、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であり、上述した本発明の蛍光組成物が、上記励起光の光路上に位置するように、上記半導体発光素子上又は上記封止材上に積層されているものである。
具体的には、図4に示されるような、リード1,2、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3、半導体発光素子3とリード2とを電気的に接続するリード細線4を、封止材5で砲弾型に封止した構造の、いわゆる砲弾タイプの発光ダイオードにおいて、半導体発光素子3上に蛍光組成物を積層して蛍光層7とし、これを半導体発光素子3等と共に封止したもの、図5に示されるような上面が開口した箱形の発光素子収容部材6の内底から一対のリード1,2を発光素子収容部材6の外部へ延出し、この発光素子収容部材6の内部に蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3やリード細線4,4を収容し、これらを接続して、発光素子収容部材6内部を封止材5で封止した構造の、いわゆるチップ型の発光ダイオードにおいて、半導体発光素子3上に蛍光組成物を積層して蛍光層7とし、これを半導体発光素子3等と共に封止したものが挙げられる。
この場合、蛍光組成物は、蛍光組成物のみで、又は蛍光組成物を樹脂、ゴム、エラストマーなどのバインダーと混合して、塗布等の方法により積層することが可能である。また、砲弾タイプの発光ダイオードの封止材上に蛍光組成物を、蛍光組成物のみで、又は蛍光組成物を樹脂、ゴム、エラストマーなどのバインダーと混合して積層したもの、チップ型の発光ダイオードの封止材上に蛍光組成物を、蛍光組成物のみで、又は蛍光組成物と樹脂、ゴム、エラストマーなどのバインダーと混合して積層したものも好適である。この場合、蛍光層を封止材上に更に封止することも可能である。
次に、本発明の半導体発光装置の第3の態様について説明する。この第3の態様の半導体発光装置は、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子と、上記半導体発光素子から発光した励起光が照射されるように設けられた反射部材とを備える半導体発光装置であり、上述した本発明の蛍光組成物が、上記反射部材上に積層されているものである。
具体的には、図6に示されるような、発光ダイオード8の内部に設けられた半導体発光素子(図示せず)から発光した励起光が反射部材9上に照射されるように、発光ダイオード8と反射部材9とを対向させ、この反射部材9上に本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層7としたいわゆる反射型の発光装置が挙げられる。また、図7に示されるような、リード1,2、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3、半導体発光素子3とリード2とを電気的に接続するリード細線4を各々接続し、半導体発光素子3から発光した励起光が、図中矢印のように反射部材9上に照射されて、反射部材9により反射するように、半導体発光素子3と反射部材9とを対向させ、この反射部材9上に本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層7とした半導体発光装置も好適である。
この場合、蛍光組成物は、蛍光組成物のみで、又は蛍光組成物を樹脂、ゴム、エラストマーなどのバインダーと混合して、塗布等の方法により積層することが可能である。
次に、本発明の半導体発光装置の第4の態様について説明する。この第4の態様の半導体発光装置は、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であり、上述した本発明の蛍光部材が、上記励起光の光路上に位置するように配設されているものである。
具体的には、図8に示されるような、リード1,2、蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3、半導体発光素子3とリード2とを電気的に接続するリード細線4を、封止材5で砲弾型に封止した構造の、いわゆる砲弾タイプの発光ダイオードの封止材5上に蛍光部材10を載置したものや、図9に示されるような、上面が開口した箱形の発光素子収容部材6の内底から一対のリード1,2を発光素子収容部材6の外部へ延出し、この発光素子収容部材6の内部に蛍光物質を発光させる励起光を発光する半導体発光素子3やリード細線4,4を収容し、これらを接続して発光素子収容部材6内部を封止材5で封止した構造の、いわゆるチップ型の発光ダイオードの封止材5上に蛍光部材10を載置したものが挙げられる。また、図10に示されるような、基材11上に発光ダイオード8を複数配設すると共に、これらからの発光光の光路上に本発明の蛍光部材10を配設した半導体発光装置も好適である。
なお、上述した第1乃至第4の態様として説明した半導体発光装置に用いられる半導体発光素子としては、例えばGa:ZnO、GaAsP系等の赤色LED、GaP:N等の緑色LED、GaAsP系、InGaAlP系等の橙色・黄色LED、GaAlAs系、GaN系、InGaN系、ZnSe系、ZnO系、II−VI族等の青色LEDなどの半導体発光素子を用いることができる。特に、エネルギーの高いLEDを用いる場合、本発明の効果が大きく発揮されることから青色LED、緑色LEDが好ましい。またGaN系、ZnO系、InGaN系、AlGaN系等の紫外LEDも好適である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240)0.04質量部、及び下記式(9)で示されるチオベンジルニッケル錯体((株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX1199:ビス[2’−クロロ−3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)ジチオベンジル]ニッケル)
Figure 0004636239

0.04質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを、3インチ試験ロールにて、215±10℃で加熱してポリカーボネートを溶融させて約5分間溶融混練した後、キャップ状に圧縮成形して、図8の蛍光部材10で示されるような形状のキャップ状蛍光部材を得た(実施例1)。一方、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)の量を0.02質量部とし、チオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、キャップ状蛍光部材を得た(比較例1)。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて温度85℃の環境下、順方向電流20mAで連続点灯試験を行い、その発光色及び輝度の経時変化を測定した。発光色及び輝度は、分光放射輝度計PR−704(Photo Research社製)を用い、積分球内にキャップ状蛍光部材を固定した状態で測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.381〜0.406、y=0.342〜0.367であった。色差△Exyの経時変化を図11に示す。
ここで、色差△Exyとは、連続点灯試験において、経過時間t1におけるxy色度座標を(x1,y1)、経過時間t2(=t1+△t)におけるxy色度座標を(x2,y2)としたときに、{(x1−x22+(y1−y22}の平方根で表されるものである(以下同じ)。
図11から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にチオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて、色差△Exyが大幅に低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例1が連続点灯2340時間で67%となったのに対し、実施例1では2472時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例2]
下記式(15)で示されるペリレン系蛍光物質(有本化学工業(株)製Plast Orange 8160)
Figure 0004636239

0.04質量部、及びチオベンジルニッケル錯体(NKX1199:実施例1に同じ)0.053質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例1と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.392〜0.417、y=0.352〜0.377であった。色差△Exyの経時変化を図12に示す。
図12から、ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160)にチオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を共存させたときの色差△Exyが、連続点灯882時間で0.012と小さいことがわかる。
[実施例3、比較例2]
下記式(8)で示されるナフタルイミド系蛍光物質(クラリアント社製Hostasol Yellow 3G)
Figure 0004636239

0.02質量部、及びチオベンジルニッケル錯体(NKX1199:実施例1に同じ)0.03質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例1と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た(実施例3)。一方、チオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を用いなかった以外は実施例3と同様にして、キャップ状蛍光部材を得た(比較例2)。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色及び輝度の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.190〜0.205、y=0.291〜0.345であった。色差△Exyの経時変化を図13に示す。
図13から、ナフタルイミド系蛍光物質(Hostasol Yellow 3G)にチオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を共存させることにより、ナフタルイミド系蛍光物質単独の場合に比べて、色差△Exyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例2が連続点灯685時間で82%となったのに対し、実施例3では連続点灯1332時間でも94%程度と高い値を示していた。
[実施例4]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.04質量部、及び水酸化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.04質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例1と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.362〜0.394、y=0.307〜0.340であった。色差△Exyの経時変化を図14に示す。
図14から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)に水酸化フラーレンを共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて、色差△Exyが大幅に低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例1が1600時間で77%となったのに対し、実施例4では連続点灯1947時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例5]
ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160:実施例2に同じ)0.04質量部、及び水素化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.049質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例1と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.439〜0.466、y=0.385〜0.409であった。色差△Exyの経時変化を図15に示す。
図15から、ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160)に水素化フラーレンを共存させたときの色差△Exyが、連続点灯882時間で0.021と小さいことがわかる。
[実施例6]
ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160:実施例2に同じ)0.04質量部、及び水酸化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.058質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例1と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製 NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期色度(xy色度座標)は、x=0.418〜0.449、y=0.368〜0.396であった。色差△Exyの経時変化を図16に示す。
図16から、ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160)に水酸化フラーレンを共存させたときの色差△Exyが、連続点灯882時間で0.009と小さいことがわかる。
[実施例7、比較例3]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及びチオベンジルニッケル錯体(NKX1199:実施例1に同じ)0.074質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とをドライブレンドした後、日精樹脂工業株式会社製小型射出成型機HM−7を用い、スクリュー中間部温度280℃、ノズル温度275℃、射出時間2.0秒、射出2次圧切替時間0.20秒、金型温度80℃、冷却時間12.0秒の成形条件にて図8の蛍光部材10で示されるような形状のキャップ状蛍光部材を得た(実施例7)。一方、ペリレン系蛍光物質0.032質量部とポリカーボネート100質量部とをドライブレンドした後、実施例7と同じ小型射出成型機を用い、実施例7と同じ条件で成形を行いキャップ状蛍光部材を得た(比較例3)。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.323〜0.327、y=0.277〜0.281であった。色差ΔExyの経時変化を図17に示す。
図17から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にチオベンジルニッケル錯体(NKX1199)を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例7は連続点灯1,123時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例8]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及び下記式(12)で示されるチオベンジルニッケル錯体((株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX113:ビス(ジチオベンジル)ニッケル)
Figure 0004636239
0.049質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例7と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.333〜0.337、y=0.289〜0.294であった。色差ΔExyの経時変化を図18に示す。
図18から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にチオベンジルニッケル錯体(NKX113)を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例8では連続点灯1,123時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例9]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及び下記式(13)で示されるチオベンジルニッケル錯体((株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX114:ビス[4−(ジメチルアミノ)ジチオベンジル]ニッケル
Figure 0004636239
0.057質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例7と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.338〜0.342、y=0.303〜0.306であった。色差ΔExyの経時変化を図19に示す。
図19から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にチオベンジルニッケル錯体(NKX114)を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例9では連続点灯1,123時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例10]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及び水素化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.068質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを、3インチ試験ロールにて215±10℃で加熱してポリカーボネートを溶融させて約5分間溶融混練した後、日精樹脂工業株式会社製小型射出成型機HM−7を用い、スクリュー中間部温度280℃、ノズル温度275℃、射出時間2.0秒、射出2次圧切替時間0.20秒、金型温度80℃、冷却時間12.0秒の成形条件にて図8の蛍光部材10で示されるような形状のキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.405〜0.407、y=0.350〜0.351であった。色差ΔExyの経時変化を図20に示す。
図20から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)に水素化フラーレンを共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例10では連続点灯1196時間でも93%程度と高い値を示していた。
[実施例11]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及び水酸化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.080質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例10と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.360〜0.361、y=0.312〜0.313であった。色差ΔExyの経時変化を図21に示す。
図21から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)に水酸化フラーレンを共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが大きく低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例11では連続点灯1196時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例12、比較例4]
ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160:実施例2に同じ)0.064質量部、及び水酸化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.092質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例10と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た(実施例12)。一方、ペリレン系蛍光物質0.032質量部とポリカーボネート100質量部とをドライブレンドした後、実施例10と同じ小型射出成型機を用い、実施例10と同じ条件で成形を行いキャップ状蛍光部材を得た(比較例4)。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.364、y=0.312であった。色差ΔExyの経時変化を図22に示す。
図22から、ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160)に水酸化フラーレンを共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが大きく低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例4が1196時間で85%となったのに対し、実施例12は連続点灯1196時間でも輝度の低下はなかった。
[実施例13]
ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160:実施例2に同じ)0.064質量部、水酸化フラーレン(フロンティアカーボン(株)製)0.092質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN234)を含む複合安定剤HP234(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.400質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例10と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.364〜0.366、y=0.311〜0.313であった。色差ΔExyの経時変化を図23に示す。
図23から、ペリレン系蛍光物質(Plast Orange 8160)に水酸化フラーレンおよび複合安定剤HP234を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例4が1196時間で85%となったのに対し、実施例13は連続点灯1196時間でも輝度の低下はなく、点灯時間に対する輝度変化の小さいものであった。
[実施例14]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及びC60−マロン酸多付加体(C60(COOH)2x(x=3〜6) フロンティアカーボン(株)製)0.105質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例10と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.401〜0.403、y=0.350〜0.351であった。色差ΔExyの経時変化を図24に示す。
図24から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にC60−マロン酸多付加体を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
一方、輝度維持率は、比較例3が1075時間で77%となったのに対し、実施例14では連続点灯1028時間でも92%程度と高い値を示していた。
[実施例15]
ペリレン系蛍光物質(BASF社製Lumogen F Orange 240:実施例1に同じ)0.064質量部、及びC60−マロン酸ジターシャリーブチル多付加体(C60[COOC(CH332y(y=3〜5) フロンティアカーボン(株)製)0.138質量部と、ポリカーボネート(住友ダウ(株)製カリバー301−22)100質量部とを用いて、実施例10と同様の方法でキャップ状蛍光部材を得た。
得られたキャップ状蛍光部材を、青色LED(日亜化学工業(株)製NSPB310A)に装着して半導体発光装置を得、これを用いて実施例1と同様の方法で発光色の経時変化を測定した。なお、この半導体発光装置の初期輝度(xy色度座標)は、x=0.366〜0.367、y=0.311〜0.313であった。色差ΔExyの経時変化を図25に示す。
図25から、ペリレン系蛍光物質(Lumogen F Orange 240)にC60−マロン酸ジターシャリーブチル多付加体を共存させることにより、ペリレン系蛍光物質単独の場合に比べて色差ΔExyが低減することがわかる。
本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、砲弾型の発光ダイオードの封止材に本発明の蛍光組成物を混合分散させた半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、チップ型の発光ダイオードの封止材に本発明の蛍光組成物を分散させた半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であって、透過光と反射光とを利用する複合型の半導体発光装置の封止材に本発明の蛍光組成物を混合分散させた半導体発光装置を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のX−X’に沿った断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、砲弾型の発光ダイオードの半導体発光素子上に本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層を設けた半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、チップ型の発光ダイオードの半導体発光素子上に本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層を設けた半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、半導体発光素子と、上記半導体発光素子から発光した励起光が照射されるように設けられた反射部材とを備える半導体発光装置の反射部材上に、本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層を設けた反射型の半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であって、半導体発光素子と、上記半導体発光素子から発光した励起光が照射されるように設けられた反射部材とを備える半導体発光装置の反射部材上に、本発明の蛍光組成物を積層して蛍光層を設けた反射型の半導体発光装置の別の例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のY−Y’に沿った断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、砲弾型の発光ダイオードの封止材上に本発明の蛍光部材を載置した半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、チップ型の発光ダイオードの封止材上に本発明の蛍光部材を載置した半導体発光装置を示す断面図である。 本発明の半導体発光装置の一例を示す図であり、基材上に発光ダイオードを複数配設すると共に、これらからの発光光の光路上に本発明の蛍光部材を配設した半導体発光装置を示す断面図である。 実施例1及び比較例1の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例2の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例3及び比較例2の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例4及び比較例1の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例5の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例6の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例7及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例8及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例9及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例10及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例11及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例12及び比較例4の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例13及び比較例4の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例14及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。 実施例15及び比較例3の半導体発光装置の色差の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1,2 リード
3 半導体発光素子
4 リード細線
5 封止材
6 発光素子収容部材
7 蛍光層
8 発光ダイオード
9 反射部材
10 蛍光部材
11 基材
51 レンズ部
52 反射部

Claims (13)

  1. LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体とを含有することを特徴とするLED用蛍光組成物。
  2. LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、水素化フラーレン,水酸化フラーレン,マロン酸付加フラーレン及びマロン酸ジターシャリーブチル付加フラーレンの群から選ばれるフラーレン化合物とを含有することを特徴とするLED用蛍光組成物。
  3. 上記チオベンジル遷移金属錯体がチオベンジルニッケル錯体であることを特徴とする請求項1記載のLED用蛍光組成物。
  4. 上記有機蛍光色素がペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のLED用蛍光組成物。
  5. ガラス又は高分子材料に、LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、チオベンジル遷移金属錯体とを混合分散させて成形してなることを特徴とするLED用蛍光部材。
  6. ガラス又は高分子材料に、LED素子からの励起光により発光する有機蛍光色素と、水素化フラーレン,水酸化フラーレン,マロン酸付加フラーレン及びマロン酸ジターシャリーブチル付加フラーレンの群から選ばれるフラーレン化合物とを混合分散させて成形してなることを特徴とするLED用蛍光部材。
  7. 上記チオベンジル遷移金属錯体がチオベンジルニッケル錯体であることを特徴とする請求項5記載のLED用蛍光部材。
  8. 上記高分子材料がポリカーボネート又はシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載のLED用蛍光部材。
  9. 上記有機蛍光色素がペリレン化合物、クマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項記載のLED用蛍光部材。
  10. 蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記封止材に混合分散されていることを特徴とする半導体発光装置。
  11. 蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記励起光の光路上に位置するように、上記LED素子上又は上記封止材上に積層されていることを特徴とする半導体発光装置。
  12. 蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、上記半LED素子から発光した励起光が照射されるように設けられた反射部材とを備える半導体発光装置であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載の蛍光組成物が、上記反射部材上に積層されていることを特徴とする半導体発光装置。
  13. 蛍光物質を発光させる励起光を発光するLED素子と、これを封止する封止材とを備える半導体発光装置であって、請求項5乃至9のいずれか1項記載の蛍光部材が、上記励起光の光路上に位置するように配設されていることを特徴とする半導体発光装置。
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