JP4635450B2 - 含フッ素ポリマーの再利用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、使用済みの固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体(MEA)から含フッ素ポリマーを回収し、再利用する方法の発明である。特に、電解質膜、触媒中の電解質ソリューションとして膜−電極接合体(MEA)に用いられるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーから劣化度の低いものを選択し、それを再利用する方法に関する。
燃料電池は、電池内で水素やメタノール等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。特にプロトン交換膜を電解質として用いる固体高分子型燃料電池は、高出力密度が得られ、低温作動が可能なことから電気自動車用電源として期待されている。
このような固体高分子型燃料電池の基本構造は、電解質膜と、その両面に接合された一対の、触媒層を有するガス拡散電極とで構成され、さらにその両側に集電体を配する構造からなっている。そして、一方のガス拡散電極(アノード)に燃料である水素やメタノールを、もう一方のガス拡散電極(カソード)に酸化剤である酸素や空気をそれぞれ供給し、両方のガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより、燃料電池として作動する。このとき、アノードで生成したプロトンは電解質膜を通ってカソード側に移動し、カソードで酸素と反応して水を生成する。ここで電解質膜はプロトンの移動媒体、及び水素ガスや酸素ガスの隔膜として機能している。従って、電解質膜としては高いプロトン伝導性、強度、化学的安定性が要求され、現在のところ、このような機能を有する膜材料としては米国デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」や旭化成工業(株)製の「フレミオン(登録商標)」に代表されるパーフルオロスルホン酸ポリマー等のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーが使用されている。
一方、ガス拡散電極の触媒としては、一般に白金等の貴金属をカーボン等の電子伝導性を有する担体に担持したものが用いられている。このガス拡散電極に担持されている触媒上へのプロトン移動を媒介し、該触媒の利用効率を高める目的で、電極触媒結合剤としてやはりプロトン伝導性高分子電解質が用いられているが、この材料としてもイオン交換膜と同じパーフルオロスルホン酸ポリマー等のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを使用することができる。ここでは電極触媒結合剤であるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーはガス拡散電極の触媒のバインダーとして、あるいはイオン交換膜とガス拡散電極との密着性を向上させるための接合剤としての役割も担わせることもできる。
固体高分子型燃料電池の一般的構成を説明する。ここでは、簡単にするため固体高分子型燃料電池が単電池(セルが一つのもの)から構成されているものとする。図1は、単電池から構成される固体高分子型燃料電池10の構造図、図2は、その固体高分子型燃料電池10の分解斜視図である。これら図に示すように、固体高分子型燃料電池(以下、単に燃料電池と呼ぶ)10は、電解質膜11と、この電解質膜11を両側から挟んでサンドイッチ構造とするガス拡散電極としてのカソード12及びアノード13と、このサンドイッチ構造(以下、膜−電極接合体と呼ぶ)を両側から挟みつつカソード12及びアノード13とで材料ガス及び燃料ガスの流路を形成するセパレータ14,15と、セパレータ14,15の外側に配置されカソード12及びアノード13の集電極となる集電板16,17とにより構成されている。
電解質膜11は、高分子材料、例えば含フッ素樹脂により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気電導性を示す。カソード12及びアノード13は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されており、このカーボンクロスの表面には、触媒としての白金又は白金と他の金属からなる合金等を担持したカーボン粉が塗布されている。
こうした電解質膜11とカソード12及びアノード13とは次のようにして接合されている。カソード12の基材となるカーボンクロスの表面に、白金又は白金の合金を担持したカーボン粉を塗布し、電解質膜11とこのカーボンクロスの表面とを、プロトン導電性固体高分子溶液を用いて接合する。この結果、プロトン導電性固体高分子溶液が固化する過程で、いわば接着剤のような役目を果たしながら、前記カソード12は電解質膜11表面に固着される。なお、アノード13と電解質膜11との間も同様にして接合されている。
白金を担持したカーボン粉は次のような方法で作成されている。塩化白金酸水溶液とチオ硫酸ナトリウムを混合して、亜硫酸白金錯体の水溶液を得る。この水溶液を攪拌しながら、過酸化水素水を摘下して、水溶液中にコロイド状の白金粒子を析出させる。次に担体となるカーボンブラックを添加しながら、攪拌し、カーボンブラックの表面にコロイド状の白金粒子を付着させる。次に溶液を吸引濾過または加圧濾過して白金粒子が付着したカーボンブラックを分離した後、脱イオン水(純水)で繰り返し洗浄した後、室温で完全に乾燥させる。次に、凝集したカーボンブラックを粉砕器で粉砕した後、水素還元雰囲気中で、250℃〜350℃で2時間程度加熱することにより、カーボンブラック上の白金を還元するとともに、残留していた塩素を完全に除去して、白金を担持したカーボン粉が完成する。
セパレータ14,15は、ち密質のカーボンプレートにより形成されている。カソード12側のセパレータ14は、カソード12の表面とで材料ガスである酸素含有ガスの流路をなすとともにカソード12で生成する水の集水路をなす酸素含有ガス流路14Pを形成する。また、アノード13側のセパレータ15は、アノード13の表面とで燃料ガスである水素ガスと水蒸気との混合ガスの流路をなす水素ガス流路15Pを形成する。集電板16,17は、銅(Cu)により形成されている。
以上説明したのが固体高分子型燃料電池10の一例の基本的な構成である。次に、実際に用いられる固体高分子型燃料電池10について説明する。図3は、固体高分子型燃料電池10の実際の概略構造の一例を示した構造図である。なお、図3中、図1,図2と同じ構成の部品に対しては図1,図2と同一の符号を付した。
図3に示すように、固体高分子型燃料電池10は、図1,図2で示した電解質膜11、カソード12及びアノード13からなる膜・電極接合体20をセパレータ21で挟んで複数積層したものである。このセパレータ21は、図1,図2で示した単電池のセパレータ14,15と同じ材料からなり、一方側の接合体20のカソード12の表面とで酸素含有ガス流路14Pを形成し、他方側の接合体20のアノード13側の表面とで水素ガス流路15Pを形成する。なお、図中、最も右側に位置する接合体20Rの外側には、酸素含有ガス流路14Pだけを形成するセパレータ14が配置され、最も左側に位置する接合体20Lの外側には、水素ガス流路15Pだけを形成するセパレータ15が配置されている。
さらに、固体高分子型燃料電池10は、これらセパレータ14,15の外側に配置される冷却水流路22,23と、冷却水流路22,23のさらに外側に配置される集電板16,17と、これら全体を両側から絶縁板24,25を介して挟むエンドプレート26,27とを備え、さらにエンドプレート26,27を外側から締め付ける締め付けボルト28とを備える。
このように、燃料電池にはガス拡散電極の触媒として、一般に白金等の高価な貴金属類が用いられている上に、電解質膜としてあるいは電極触媒被覆剤として用いられているパーフルオロスルホン酸ポリマー等のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーもまた極めて高価な材料である。このうち、貴金属等の触媒金属については燃料電池実用化の前提としてリサイクル利用が想定されているが、実際に回収処理を行うためには、触媒表面を覆っている電極触媒結合剤としての含フッ素ポリマーを完全に除去する必要がある。また、イオン交換膜とガス拡散電極との接合体の大半は含フッ素ポリマーやカーボン等で占められている。これを燃焼により除去しようとすれば、含フッ素ポリマーは極めて燃焼しにくい上に、燃焼した場合でも含フッ素ポリマーから発生する腐食性のフッ酸が廃ガス中に多量に含まれるためにフッ酸除去のための特別な廃ガス処理設備が必要となる。
また、例えば膜/電極接合体から直接、触媒金属を王水等に溶かし出して回収しようとすれば、触媒を被覆している含フッ素ポリマーが障害となって完全な溶出は困難なものとなっていた。その上、たとえ溶出できたとしても触媒金属に比して大量に含まれる含フッ素ポリマーのため、大量の王水を必要とすることになる。このように、白金等の触媒金属の回収は決して容易なものではなかった。
そこで、下記特許文献1には、燃料電池の電極廃材を粉砕し、炭酸アルカリ粉末と混合し、混合物を炭酸アルカリの溶融温度未満の焼成温度で焼成することによって、電極廃材から発生するフッ素含有ガスをフッ化アルカリとして固定する貴金属回収方法が提案されている。しかし、この回収方法では、高価な電解質成分を分別することは考えておらず、低コスト化には不十分であった。
そこで、固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いられる、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーについては、下記特許文献2に膜のまま回収、再利用する方法が記載されている。しかし、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーは、燃料電池として使用されている間に、ポリマー側鎖及びポリマー主鎖の分解反応が発生し、分子量が低下すると言う問題があった。又、電解質膜自体も穴があくなどの物理的破損が生じることがあった。このため、含フッ素ポリマーを膜のまま回収して、再利用するにはおのずと限界があった。
従って、該含フッ素ポリマーを回収する実用的な方法はなく、特殊な廃ガス処理装置を備えた設備で焼却処理を行うか、触媒金属を回収することなく埋め立てによる廃棄処分を行うしかなかった。このような方法は、廃棄処理コストを引き上げ、あるいは環境への負荷を増大させるものであった。
特公平8−6152号公報 特開平8−171922号公報 特表平8−512358号公報 特公昭48−13333号公報 特開平6−260179号公報 特開平11−246668号公報 特開平11−246669号公報
本発明は、使用済み固体高分子型燃料電池から、高価で有用な材料であるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを劣化度の少ないものを選別して回収し、固体高分子型燃料電池の高価な主要材料である含フッ素ポリマーの効率的な再利用を可能とするものである。
本発明者が得た知見によれば、含フッ素ポリマーの側鎖の減少と電池性能の劣化とは比例関係があり、含フッ素ポリマーの低分子量化と電池性能の劣化とは比例関係ではないものの強い相関関係がある。本発明者は、係る知見を応用し、含フッ素ポリマーの劣化度を知るために特定の指標を採用することによって、膜−電極接合体(MEA)から劣化の少ない良質のスルホン酸基を有するフッ素ポリマーを選別できることを見出し本発明に至った。
第1に、本発明は、使用済みの固体高分子型燃料電池から含フッ素ポリマーを回収し、再利用する方法の発明である。即ち、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなる電解質膜(a)と、該電解質膜に接合され、触媒金属を担持した導電性担体とプロトン伝導性ポリマーからなる電極触媒を主要構成材料とするガス拡散電極(b)とで構成される膜−電極接合体(MEA)から、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを回収し、再利用する方法において、
(1)該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒中で該膜−電極接合体の溶解処理を行い、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液と電極構成物との混合物にする工程と、
(2)前記工程で得られた混合物中の、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを含有する溶液(電解質成分)と、触媒金属を担持した導電性担体を含む不溶物部分(貴金属成分)とに固液分離する工程、
(3)前記分離工程で得られたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液を、スペクトル測定し、該含フッ素ポリマーの側鎖に起因するスペクトルを指標として劣化度を判断し、劣化度の低い含フッ素ポリマーを選択する工程、
を含む。
ここで、前記スペクトル測定は、含フッ素ポリマーの劣化度を知る指標となるものであり、特に含フッ素ポリマーの側鎖に起因するスペクトルを測定する。スペクトル測定手段は、含フッ素ポリマーの側鎖の化学的構造の状態が分るものであれば限定されず、赤外線(IR)分光、紫外線(UV)分光、核磁気共鳴(NMR)、X線回折等の公知の高分子分析手段、XPS等を採用することが出来る。例えば、赤外線(IR)分析によるスペクトル測定は、試料測定及び結果分析が容易であることから、本発明の含フッ素ポリマーのスペクトル測定に好適である。以下、主として赤外線(IR)分析によるスペクトル測定を例にして、本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、公知の高分子分析方法を広く用いることができる。
赤外線(IR)分析によるスペクトル測定を用いる場合、含フッ素ポリマー(電解質)の劣化度は、エーテル結合、スルホン酸基、C−S結合の側鎖成分の残存比率、スルホン酸基の変性成分である劣化成分の生成比率、又はこれら側鎖成分の残存比率と劣化成分の生成比率の組合せから選択される1種以上を指標として判断することができる。具体的には、
(1)エーテル結合ピーク強度(982cm-1)の減少率(減少しているほど劣化度大であり、再利用に適さない)
(2)スルホン酸基ピーク(1060cm-1)の減少率(減少しているほど劣化度大)
(3)C−S結合ピーク(635cm-1)の減少率(減少しているほど劣化度大)
(4)スルホン酸基変性ピーク(1400cm-1)の生成率(生成しているほど劣化度大)
が好ましく例示される。
又、これらの残存率又は生成率は、主鎖のピークとの比で求めることが実用的で好ましい。例えば、エーテル結合ピーク強度である982cm-1での吸収強度、対、主鎖に起因するCF2ピーク強度である1230cm-1での吸収強度の比を、劣化指標として採用できる。
本発明の、溶解工程で用いられるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒としてはスルホン酸基を有するフッ素ポリマーの溶媒として公知のものを広く用いることが出来、何ら制限は無い。この中で、アルコール類が好ましく、特に加熱したメタノール又はメタノール−水混合溶媒及びエタノールが溶解性の点で優れていることに加えて、後の工程のスペクトル測定の際の溶解液を兼ねることも出来、好ましい。
本発明においては、前記電解質膜(a)だけでなく、ガス拡散電極(b)を構成するプロトン伝導性ポリマーについても、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなることが、膜−電極接合体(MEA)全体から、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを回収し、再利用することができ、本発明の方法を実施するに当たっては効率的であり、都合が良い。
劣化度の低い含フッ素ポリマーを選択する工程のスペクトル測定に先立って、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液に塩を添加して該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーのスルホン酸基をアルカリ塩又はアルカリ土類塩とするとともに、クロマトグラムにて分子の大きさに選別し、分子量の大きなものを再利用の対象とすることができる。予め、劣化が少ないと期待される比較的高分子量の含フッ素ポリマーを選択しておくことにより、スペクトル測定による含フッ素ポリマーの選択を効率的にすることができる。
前記クロマトグラムとしてはゲルパークロマトグラフィー(GPC)や液体クロマトグラフィーを用いることが出来る。この中で、ゲルパークロマトグラフィー(GPC)が分子量の異なる(劣化度の異なる可能性が高い)電解質を高精度で効率良く分離・回収することが出来るので好ましい。この際、含フッ素ポリマーの側鎖末端部(スルホン酸基)がカラムに吸着し、分離するのを防止するために、リチウム塩又はナトリウム塩等のアルカリ塩又はアルカリ土類塩を添加し、側鎖末端部(スルホン酸基)を中和することが好ましい。
前記固液分離工程としては、遠心分離、フィルター分離、これらの併用が好ましく適用出来る。特に、遠心分離は短時間でほぼ完全に溶液相と固体相に分離することが出来るので好ましい。
本発明では、含フッ素ポリマーを回収して再利用するだけでなく、同様に膜−電極接合体(MEA)を構成する高価な材料である貴金属を回収することも、燃料電池の低コスト化に有効である。触媒金属を回収する工程としては、前記固液分離工程で分離された固体相にはスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーは存在せず、カーボン粉等の導電性担体と触媒金属からなるので、従来の金属回収方法、例えば燃焼法、王水溶解法、アルカリ溶融法、硫酸溶解法等を適用することが出来る。その中で、触媒金属を担持した導電性担体を含む不溶物部分を燃焼させるか、又は該不溶物部分に王水処理を施すことにより触媒金属を回収する方法が実用的であり、好ましい。
第2に、本発明は、上記の方法で回収された劣化の少ない含フッ素ポリマーを電解質膜、及び/又はガス拡散電極のプロトン伝導性ポリマーとして再利用した固体高分子型燃料電池である。これにより、燃料電池の主材料である含フッ素ポリマーのリサイクルが達成される。
第3に、本発明は、上記の方法で回収された劣化の少ないスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの溶液からキャスト法で膜を製造し、その後に該膜を50〜200℃で加熱処理して固体高分子電解質膜を製造することを特徴とする、固体高分子電解質膜の製造方法である。これにより、高価な材料であるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー膜を安価に製造することが出来、上述した燃料電池用材料としての他、水電解用、あるいは食塩電解用の固体高分子電解質膜、ハロゲン化水素酸電解用の固体高分子電解質膜としても用いられ、さらにはプロトン伝導性を利用して、湿度センサ、ガスセンサ、酸素濃縮器等にも広く用いることが出来る。
本発明により、使用済み燃料電池から高価で有用な材料であるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを劣化度の少ないものを選別して回収できる。このように、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを再利用出来るだけでなく、焼却すると有害ガスが発生する含フッ素ポリマー廃棄物を大幅に削減できる。
また、本発明に貴金属回収工程を付加することにより、有用・高価な材料である貴金属と含フッ素ポリマーの両者を効率良く回収することができる。
本発明で言うスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーとは、フルオロカーボン骨格あるいはヒドロフルオロカーボン骨格に置換基としてスルホン酸電解質基が導入されているポリマーであって、分子内にエーテル基や塩素やカルボン酸基やリン酸基や芳香環を有していてもよい。一般的にはパーフルオロカーボンを主鎖骨格とし、パーフルオロエーテルや芳香環等のスペーサーを介してスルホン酸基を有するポリマーが用いられる。具体例としては下記(1)式や(2)式で表される構造のポリマーを例示することができる。
Figure 0004635450
(式中、x=0〜2の整数、y=2〜3の整数、n/m=1〜10である。)
Figure 0004635450
(式中、n/m=0.1〜2である。)
(1)式のポリマーとしては、デュポン社製の「ナフィオン(Nafion;登録商標)」や旭化成工業(株)製の「フレミオン(登録商標)」等が知られており、(2)式のポリマーは上記特許文献3に燃料電池としての使用が記載されている。これらの中で、(1)式のようなパーフルオロポリマーが、燃料電池として用いたときの安定性に優れていることから、本発明を適用する対象の材料として好ましい。
また、このようなスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解して溶液にするには、公知の溶媒を用いることが出来る。
上記特許文献4には、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒として、一般に極性の高い有機溶媒又は含フッ素化合物を単独で、あるいは極性の高い有機溶媒と水や含フッ素化合物との混合溶媒等が用いられることが開示されている。前者の極性の高い有機溶媒としては、アルコール類、アミド類、ケトン類、エーテル類、ニトリル化合物類、含硫黄化合物類等が用いられる。具体的には、アルコール類としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノールの各種異性体、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられ、アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、ケトン類としてはアセトン、2−ブタノン等が挙げられ、エーテル類としてはエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、ニトリル化合物類としてはアセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、マロノニトリル、アジポニトリル等が挙げられ、含硫黄化合物類としてはジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。これらは混合物として用いることもできる。
上記極性の高い有機溶媒を水と混合して用いる場合には極性の高い有機溶媒の単独又は2種以上の混合物20〜100重量%と、水0〜80重量%からなる混合溶媒として用いられる。また極性の高い有機溶媒と含フッ素化合物とを混合して用いる場合には任意の割合での使用が可能である。これらの溶媒の中で、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーが上記式1で表されるポリマーである場合には、特に水とアルコール類の混合溶媒、アルコール類等の含酸素化合物と含フッ素化合物との混合溶媒、ニトリル化合物類と含フッ素化合物との混合溶媒、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール等の長鎖のフルオロアルコール類が溶解性が高く好ましい。
その他、本発明では、フッ素化合物として、具体的にはCFC113等のCFC類、HCFC225ca、HCFC225cb、HCFC123等のHCFC類、HFC236ea、HFC338pcc、HFC43−10mee、HFC53−12myee等のHFC類、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルウーテル等のヒドロフルオロエーテル類、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール等のフルオロアルコール類等を用いることが出来る。これらもまた混合物として用いることも出来る。
また、上記特許文献5には、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの溶媒として、アルコール類、グリコール類、及びアミン類が開示されている。具体的には、アルコール類であれば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等が好ましく、グリコール類であれば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が好ましく、アミン類であれば、ジエタノールアミン、テトラエタノールアミン等が好ましく用いられる。これらの有機溶媒は、水との混合液や、前記の溶媒の混合液であっても良い。加熱温度としては、50℃以上220℃以下の温度で行うことが好ましく、さらに望ましくは150℃以上200℃以下の温度範囲が一層好ましい。120℃未満の温度では、充分な溶解効果が得られず、220℃より高い温度では、膜の強度が保たれなかったり、あるいは変形や破損の可能性が有る。
また、上記特許文献6には、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの溶媒として、含フッ素アルコールが開示されている。含フッ素アルコールの具体例としては、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、6−(パーフルオロ−3−メチルブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エタノール、6−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エタノール、6−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ドデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−テトラデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘキサデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタデカノール等が挙げられている。
また、上記特許文献7には、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの溶媒として、ニトリル基含有炭化水素と含フッ素有機化合物の混合溶媒が開示されている。ニトリル基含有炭化水素としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、イソブチロニトリル等のアルカンニトリル類、マロノニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル等のアルカンジニトリル類、ベンゾニトリル等のアリールニトリル類があげられている。含フッ素有機化合物とは、炭化水素等の有機化合物の水素の一部又は全部がフッ素で置換されたものであり、分子内に酸素、窒素、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素等を含んでいても良い。具体例を例示すれば、HCFC−141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC−123(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエタン)、HCFC−225(ジクロロペンタフルオロプロパン)等のハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC類)、HFC−236ea(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−338pcc(1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロプロパン)、HFC−43−10mee(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン)、HFC−53−12myee(1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン)、HFC−53−12mecce(1,1,1,2,3,3,3,4,4,5,6,6,6−ドデカフルオロヘキサン)、HFC−53−13mccy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン)等のハイドロフルオロカーボン類(HFC類)、FCC−51−12mym(1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2−ジ(トリフルオロメチル)シクロブタン)、R−71−18(パーフルオロオクタン)、R−61−16(パーフルオロヘプタン)、R−51−14(パーフルオロヘキサン)等のパーフルオロカーボン類、HFE−347(1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル)、HFE−356mec(メチル−1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロピルエーテル)、HFE−7100(パーフルオロブチルメチルエーテル)、HFE−7200(パーフルオロブチルエチルエーテル)等のハイドロフルオロエーテル類(HFE類)、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、2−フルオロエタノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール等の含フッ素アルコール類から選ばれる少なくとも1種のものを使用することができるとしている。これらの中で含フッ素有機化合物としては、塩素を含まない化合物がオゾン層を破壊しないので好ましく、分子中のカーボン数と同数以上のフッ素を有する化合物がさらに好ましい。
本発明において溶解処理の対象となる膜/電極接合体は基本的には電解質膜とガス拡散電極からなり、この他にカーボンペーパー等からなる集電体が含まれることがある。固体高分子型燃料電池の一般的な構成として、イオン交換膜は前記のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなり、その厚さとしては、通常は30〜200μm程度のものが用いられる。さらにポリテトラフルオロエチレン等の織布からなる芯材を含むこともある。さらにはポリテトラフルオロエチレン等の多孔膜にスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーをドープしたものが用いられることもある。
また、燃料電池に使用されるガス拡散電極は、触媒金属の微粒子を担持した導電性担体と、プロトン伝導性ポリマーからなる電極触媒被覆剤を主要構成材料とするものであり、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水剤が含まれることもある。触媒金属としては、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム等の貴金属類、又はそれらの合金が使用可能である。多くの場合、触媒金属としては白金が用いられている。導電性の担体としては、一般にカーボンブラック、活性炭、黒鉛等の各種炭素材料が用いられる。なお、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水剤は集電体中にも含まれることがある。電極触媒結合剤としては、プロトン伝導性を有する材料であればよいが、化学的に安定な材料が好ましいことから、膜材料と同種類のスルホン酸を有する含フッ素ポリマーが用いられることが多い。本発明の方法は、電極触媒結合剤にも含フッ素ポリマーが用いられる場合に特に有用性が高い。
これらの膜−電極接合体を構成する材料の中で、イオン交換膜中の芯材や電極等に含まれる撥水剤としてのポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系材料は不溶性、不燃性、且つ燃焼時にフッ化水素ガスの発生源となる点で本発明の方法における妨害物質となりうるものである。しかしながら、芯材は、イオン交換膜の溶解後は容易に濾別することができ、撥水剤は用いられていたとしてもその量は極めて微量なので本発明の方法に大きな影響を及ぼすことはない。
次に本発明における固体高分子型燃料電池用材料の回収手順について具体的に説明する。使用済み、あるいは欠陥等の理由でリサイクルに供される燃料電池は、図1〜3において、固体高分子型燃料電池10から、締め付けボルト28を引き抜いて、セパレータ14,15,21、冷却水流路22,23、集電板16,17、絶縁板24,25、及びエンドプレート26,27を取り外した後の、残った電解質膜11、カソード12及びアノード13からなる膜−電極接合体20からスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー及び触媒貴金属を回収する。
図4に、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを回収し、再利用するフローの一例を示す。スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなる電解質膜(a)と、この電解質膜に接合される、白金等の触媒金属を担持したカーボン等の導電性担体とプロトン伝導性ポリマー(例えばスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー)からなる電極触媒を主要構成材料とするガス拡散電極(b)とで構成される膜−電極接合体(MEA)を、加熱メタノール等のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒中で上溶解処理を行う((1)溶解工程)。用いる溶媒の量は該含フッ素ポリマーを完全に溶かすだけの量があればよいが、一般には過剰量が用いられ、溶解処理を行う膜−電極接合体の重量に対して5〜10000倍、好ましくは10〜1000倍程度の量が用いられる。また溶解温度は、該含フッ素ポリマーが溶ける温度であればよいが、その温度が溶媒の常圧での沸点を超えていれば、加圧下で溶解処理を行ってもよい。一般には室温〜270℃の範囲で溶解処理が行われる。溶解処理を行う時間は、完全な溶解に必要な時間であればよく、通常は数分〜数十時間程度である。溶解を速めるために攪拌や超音波照射を行ってもよい。
次に、前記溶解工程で得られた混合物から、遠心分離等の手段を用いて、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを含有する溶液部分と、白金及びカーボンを含む不溶物部分とに固液分離する((2)固液分離工程)。該固液分離の前工程として、芯材やカーボンペーパー等の大きな材料は網状のフィルターで除去しておくことが好ましい。触媒金属を担持した触媒は微粒子なので、芯材やカーボンペーパー等の大きな材料は網状のフィルターで容易に除去することができる。これにより、後の分離操作を容易にすることが出来る。遠心分離の場合、触媒粒子の比重は金属の担持量に依るので条件は一概には決められないが、効率よく短時間で触媒粒子を沈降させるために、遠心力は1000G以上が好ましく、2000G以上がより好ましく、5000G以上がさらに好ましい。
スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液と、触媒金属を含む不溶物部分とに分離する手段としては、上記遠心分離の他に、フィルターによる濾過や自然沈降等であっても良く、これらを併用しても良い。フィルター分離の場合、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液は高濃度では粘稠なので、適度な粘度となるように希釈等の方法で濃度を調製しておくことが望ましい。希釈する場合は、溶媒は溶解時の溶媒と異なっていてもよい。濾過は2〜10kg/cm2 程度の加圧濾過が好ましく、粘度を下げるために溶液を50〜200℃程度に加熱しておくことが好ましい。濾材としては広範な種類のものが使用できるが、後で担体カーボンと共に燃焼処理する方法を採用する場合には濾紙や可燃性ポリマー材料からなるフィルターが好ましい。触媒粒子を保持しやすくするために、濾紙粉末や珪藻土等の濾過助剤を使用してもよい。濾過後は適当な溶媒で濾材を洗浄する。
自然沈降の場合は、濾過の場合よりもさらに希釈する方が好ましく、0.01〜1重量%程度の濃度が好ましい。少なくとも1時間以上、好ましくは1日以上静置した後に上層部を分離する。下層部はさらに希釈して同様の操作を繰り返す。溶解していたポリマーの90%以上、好ましくは99%以上が分離された後、下層部の溶媒を濾過又は蒸留で除き、主として触媒粒子からなる不溶物部分を得る。
前記分離工程で得られたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液を赤外線(IR)分光分析を行う。新品の含フッ素ポリマーのIRスペクトルと耐久品のIRスペクトルを対比し、含フッ素ポリマーの側鎖の劣化度の指標とする。具体的には、エーテル結合ピーク強度である982cm-1での吸収強度、対、主鎖に起因するCF2ピーク強度である1230cm-1での吸収強度の比から、エーテル結合比を取り、劣化指標とする。所定の劣化度の範囲内のものを選別・回収し、含フッ素ポリマーとして再利用する((3)スペクトル測定及び含フッ素ポリマー選別工程)。
図5は、本発明を含フッ素ポリマーのフローに限定して示したものである。IRスペクトル測定で、エーテル結合が所定の基準を満たさない含フッ素ポリマーは劣化度が大きいものであるから、再利用することができず廃棄される。
前記含フッ素ポリマーの再利用とは別に、前記分離工程で得られた白金及びカーボンを含む不溶物部分を含む不溶物部分から燃焼等により、触媒金属である白金を回収する(触媒金属回収工程)。焼却する場合、白金等の触媒金属以外の不溶物成分が、主としてカーボン系の材料からなっていることから、これを焼却処理を行うことにより、カーボン材料を効果的に除去することができる。残った灰分はより高濃度に金属成分を含み、効率よく回収することができる。また焼却処理において、主たるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーが既に除去されているので、廃ガス中に腐食性のフッ酸が含まれることがほとんどなく、フッ酸除去のための特別な廃ガス処理設備を必要としない。焼却以外に触媒金属を含む不溶物部分から貴金属等の有用金属を回収する方法としては、溶出を妨害する触媒金属周辺のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーがもはや存在しないので直接王水で白金などの貴金属成分を溶かし出す方法がある。
図6は、GPCカラムによる電解質分離における、スルホン基の中和反応を示す模式図である。当初のスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーのスルホン酸基は−SO3-基の極性が高いため、GPCカラムを構成するイオン交換基と結合・吸着してしまい、分子量に応じて分離することが出来ない。そこで、LiClのような強電解質の塩をほぼ当量添加することにより、−SO3-基が中和されて−SO3Liとなり、GPCカラム中を吸着されることなく分子量に応じた速度で通過して分離することが出来る。即ち、分子量の低い中和されたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーはカラム中で吸着され易く、通過速度が遅いのに対して、分子量の高い中和されたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーはカラム中で吸着され難く、通過速度が速い。これにより、分子量の異なる(劣化度の異なる)スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを効率良く選別して回収することが出来る。
以上のようにして、固体高分子型燃料電池から主要な構成材料であり、高価な触媒金属とスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの両者を回収する。
回収された、含フッ素ポリマー溶液の内、分子量低下の比較的少ない、即ち劣化の少ない含フッ素ポリマーは、電解質膜や電極触媒結合剤等として再び燃料電池に利用することができる。スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液は希釈された状態で回収されるので適当な濃度に濃縮する必要がある。通常は3重量%〜20重量%のものが用いられる。また必要により、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーの溶液として用いられる上記の各溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、あるいはこれらと水との混合溶媒等の溶液として用いられる。
本発明の方法で選別・回収した劣化度の低いスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを電解質膜として再生する方法としては、従来公知の方法を用いることが出来る。例えば、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液を必要により濃縮や溶媒置換を行った後、キャスト法による製膜、貧溶媒の凝固浴に浸漬して製膜する湿式製膜、末端基を適当な官能基に変換した後、溶融製膜する方法等が挙げられる。キャスト法による製膜や湿式製膜を行った場合には加熱処理により強度等の膜性能を調整することができる。この場合、加熱処理する温度は50〜200℃が適当で、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜200℃である。また、溶融製膜する方法としては、スルホン酸基を各種の方法で酸フルオライドに変換した後、製膜する方法などが挙げられる。
なお、本発明の方法で回収したスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーは、上記のように燃料電池用に用いる他、含フッ素ポリマーの公知の用途に用いることも出来る。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
Nafion(商標名)からなる電解質膜と、該電解質膜に接合される、触媒金属として白金を担持したカーボンとNafionからなる電極触媒を主要構成材料とするガス拡散電極とで構成される膜−電極接合体(MEA)から、Nafionを溶解するエタノール溶媒中で膜−電極接合体の溶解処理を行い、得られた混合物を、Nafionを含有する溶液部分と、白金を担持したカーボン担体を含む不溶物部分とに、16,000rpmで遠心分離した。
遠心分離で得られたNafionを含有する溶液を赤外分光器で測定し、FT−IRスペクトルを得た。図7に、新品のNafionのFT−IRスペクトルと対比して、本実施例で得られた耐久後のNafionのFT−IRスペクトルを示す。図7に示されるように、耐久後のNafionでは、側鎖に起因する吸収が減少するとともに、スルホン酸基の変性に起因する吸収が現れる。本発明はこれらスペクトルの変化を含フッ素ポリマーの劣化度を知るための指標とするものである。
又、図8に、新品のNafion及び耐久後のNafionの劣化度の異なるものについて、エーテル結合ピーク強度である982cm-1での吸収強度、対、主鎖に起因するCF2ピーク強度である1230cm-1での吸収強度の比から、側鎖結合比としてエーテル結合比を取って、その発電性能を評価した。ここで、新品の主鎖(CF2結合)に対するエーテル結合比を1とする。図8に示されるように、エーテル結合比が減少するにつれて、即ち含フッ素ポリマーの劣化が進むにつれて、発電性能が減少することが分る。
このように、耐久後の含フッ素ポリマー電解質は、エーテル結合比が減少し、電池性能が低下している。そこで、図4及び図5のフローチャートに示す手順で、含フッ素ポリマー電解質の劣化度を判断し、性能低下していない含フッ素ポリマー電解質のみ再利用することができる。例えば、クロマトグラムにて分子量のみを劣化度の指標としてを選別した場合は,ゲルパークロマト(GPC)等の測定をするため、測定工数が増加し、また分子量は低下しなかったものの、側鎖が変質し、性能が低下した含フッ素ポリマー電解質を取り除くことができなかった問題も解決できた。
本発明により、従来困難であった使用済み燃料電池から高価で有用な材料であるスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを劣化度の少ないものを選別・回収して再利用できる。従って、燃料電池の低コスト化に寄与し、その普及に大きく貢献する。
固体高分子型燃料電池の単一セルの構造図。 固体高分子型燃料電池の単一セルの分解斜視図。 固体高分子型燃料電池の実際の概略構造を示した構造図。 燃料電池からの材料回収方法の一例を示すフローチャート。 燃料電池から含フッ素ポリマーの回収方法の一例を示すフローチャート。 GPCカラムによる電解質分離における、スルホン基の中和反応を示す模式図。 新品のNafionと耐久後のNafionのFT−IRスペクトル。 新品のNafion及び耐久後のNafionのエーテル結合比と発電性能を評価したグラフ。
符号の説明
10…固体高分子型燃料電池、11…電解質膜、12…カソード、13…アノード、14,15…セパレータ、14P…酸素含有ガス流路、15P…水素ガス流路、16,17…集電板、20…接合体、21…セパレータ、22,23…冷却水流路、24,25…絶縁板、26,27…エンドプレート、28…締め付けボルト。

Claims (12)

  1. スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなる電解質膜(a)と、該電解質膜に接合され、触媒金属を担持した導電性担体とプロトン伝導性ポリマーからなる電極触媒を主要構成材料とするガス拡散電極(b)とで構成される膜−電極接合体(MEA)から、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを回収し、再利用する方法において、
    (1)該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒中で該膜−電極接合体の溶解処理を行い、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液と電極構成物との混合物にする工程と、
    (2)前記工程で得られた混合物中の、該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを含有する溶液部分(電解質部分)と、触媒金属を担持した導電性担体を含む不溶物部分とに固液分離する工程、
    (3)前記分離工程で得られたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液を、スペクトル測定し、該含フッ素ポリマーの側鎖に起因するスペクトルを指標として劣化度を判断し、劣化度の低い含フッ素ポリマーを選択する工程、
    を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用含フッ素ポリマーの再利用方法。
  2. 前記スペクトル測定が赤外線(IR)分析によるスペクトル測定であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  3. 電解質の劣化度を、前記赤外線(IR)分析でのエーテル結合、スルホン酸基、C−S結合の側鎖成分の残存比率、スルホン酸基の変性成分である劣化成分の生成比率、又はこれら側鎖成分の残存比率と劣化成分の生成比率の組合せから選択される1種以上を指標として判断することを特徴とする請求項2に記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  4. 前記側鎖成分の残存比率が、エーテル結合ピーク強度である982cm-1での吸収強度、対、主鎖に起因するCF2ピーク強度である1230cm-1での吸収強度の比から求めることを特徴とする請求項3に記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  5. 前記スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解する溶媒が、加熱されたメタノール又は加熱されたメタノール−水混合溶媒であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  6. 前記ガス拡散電極を構成するプロトン伝導性ポリマーが、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  7. 前記劣化度の低い含フッ素ポリマーを選択する工程において、スペクトル測定に先立って、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマー溶液に塩を添加して該スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーのスルホン酸基をアルカリ塩又はアルカリ土類塩とするとともに、クロマトグラムにて分子の大きさに選別し、分子量の大きなものを再利用の対象とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに含フッ素ポリマーの再利用方法。
  8. 前記含フッ素ポリマーをクロマトグラムにて分子の大きさに選別する工程において、添加する塩がリチウム塩又はナトリウム塩であり、前記クロマトグラムがゲルパークロマトグラフィー(GPC)であることを特徴とする請求項7に記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  9. 前記固液分離工程が、遠心分離及び/又はフィルター分離であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  10. 前記分離工程で得られた触媒金属を担持した導電性担体を含む不溶物部分から貴金属を回収する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  11. 前記貴金属を回収する工程が、触媒金属を担持した導電性担体を含む不溶物部分を燃焼させるか、又は該不溶物部分に王水処理を施すことにより貴金属を回収するものであることを特徴とする請求項9に記載の含フッ素ポリマーの再利用方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の回収方法で回収されたスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーからキャスト法で膜を製造し、その後に該膜を50〜200℃で加熱処理して固体高分子電解質膜を製造することを特徴とする、固体高分子電解質膜の製造方法。
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