JP4634601B2 - 排版収納装置及び孔版印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、版として用いた使用済みマスタを収納する排版収納装置及び孔版印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷機は、マスタを感熱穿孔製版して印刷ドラムの外周面に巻き付け、印圧部材で印刷ドラムに印圧を加えることでドラム内部からドラム外周面にインキを供給し、マスタの孔を通過したインキを印刷用紙に転移させて印刷用紙に画像を印刷する。印刷ドラムに巻き付けられたマスタは、印刷が終了した後に印刷ドラムから剥がされる。印刷ドラムから剥がされた使用済みマスタは、排版ボックスを有する排版収納装置に収納される。
【0003】
排版収納装置には、排版ボックスに対して圧縮板を直線的に往復動させて使用済みマスタを圧縮するタイプのものと、図8に示すタイプのものがある。図8に示す排版収納装置は、装置のコンパクト化のために、外周面の上部にマスタ搬入口156が形成された筒状圧縮収納部151Aを有する排版ボックス151と、圧縮収納部151A内に収納された使用済みマスタ123aを圧縮するための圧縮板152とを備えている。圧縮板152は、筒状圧縮収納部151Aの中心部に設けられた回転軸152aを中心として、回動するように構成されている。回転軸152aには、圧縮板152と一体的に回動するセンサフィラー155が設けられている。
【0004】
排版ボックス151には、満杯位置検知センサとして機能する圧縮位置センサ153と、圧縮ホームポジションセンサ(以下、圧縮HPセンサという)154とが設けられている。圧縮板152の回動中心には、図示しないギアなどの駆動伝達機構を介してDCモータからなる圧縮モータMが接続されている。圧縮板152は、圧縮モータMにより駆動され、センサフィラー155が圧縮HPセンサ154で検出されるホームポジションから図8の矢印方向に回動し、圧縮位置センサ153がセンサフィラー155を検知してオンする位置に至ると停止する。使用済みマスタ123aは、圧縮板152の往動(圧縮動作)によって圧縮されて排版ボックス151内へ収納される。
【0005】
圧縮動作が終了すると、駆動モータMが逆転し、圧縮板152は、図8の破線矢印方向に復動してセンサフィラー155が圧縮HPセンサ154で検知されてオンする位置(ホームポジション)で停止する。この種の排版収納装置では、排版ボックス151が使用済みマスタ123aで満杯になると、圧縮板152の圧縮方向への回動が妨げられるため、センサフィラー155が圧縮位置センサ153で検知されず、オンされなくなる。そして、ある一定の時間、圧縮位置センサ153がオンしない状態が続くと、排版ボックス151が使用済みマスタ123aで満杯であると判断し、満杯表示を行うようになっている。
【0006】
排版収納装置では、圧縮板152の回動範囲が、センサフィラー155が圧縮HPセンサ154で検知されるホームポジションから排版ボックス151の入口157付近までの一定の範囲とされている。このため、排版初期の数枚の使用済みマスタは、ほとんど圧縮されない状態で排版ボックス151に収納され、排版数が多くなるにしたがい除々に圧縮されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧縮方式の排版収納装置では、排版初期において使用済みマスタが圧縮されないことから本来収納できる容量以下となってしまう。排版収納装置を備えた孔版印刷機では、排版ボックスに廃棄された使用済みマスタを取り除くために、孔版印刷機の内部から装置外部まで排版ボックスを引き出せる構造となっている。このため、排版初期の数枚の使用済みマスタが圧縮されていない状態であると、排版ボックスを引き抜く途中で使用済みマスタが排版ボックスのマスタ搬入口からはみ出てオぺレータの衣服や手を汚したり、使用済みマスタが排版ボックスの外壁158の内側に張りついて圧縮板による圧縮が万全でなくなるという問題点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる排版収納装置は、印刷に使用された使用済みマスタを排版収納する排版収納装置において、使用済みマスタを収納する排版ボックスと、排版ボックス内に収納された使用済みマスタを圧縮する圧縮板と、圧縮板を往復動させるステッピングモータと、ステッピングモータによる圧縮板の動作を前回の印刷終了時から次の排版開始までの放置時間に応じて制御する制御手段とを備え、放置時間が基準放置時間よりも短い場合にはステッピングモータの停止時間を長く、またはステッピングモータのパルス速度を遅くし、放置時間が基準放置時間よりも長い場合にはステッピングモータの停止時間を短くまたはパルス速度を速くするように制御手段で制御することで、排版ボックス内に最適な圧縮状態で使用済みマスタを収納するようにしたことを特徴としている。
【0009】
本発明にかかる排版収納装置は、印刷に使用された使用済みマスタを排版収納する排版収納装置において、使用済みマスタを収納する排版ボックスと、排版ボックス内に収納された使用済みマスタを圧縮する圧縮板と、圧縮板を往復動させるステッピングモータと、ステッピングモータによる圧縮板の動作を、画像面積によるインキの付着量に応じて制御する制御手段とを有し、画像面積が基準画像面積以下の場合には、ステッピングモータの停止時間を長く、またはステッピングモータのパルス速度を遅くし、画像面積が基準画像面積を超える場合には、ステッピングモータの停止時間を短く、またはステッピングモータのパルス速度を速くするように制御手段で制御することで、排版ボックス内に最適な圧縮状態で使用済みマスタを収納するようにしたことを特徴としている。本発明にかかる排版収納装置は、装置のコンパクト化を図るために、圧縮板の移動を回動式としている。
【0010】
本発明にかかる排版収納装置は、排版ボックスに設けられていて、排版ボックス内で圧縮板の移動により収納されたマスタの収納量を検出する満杯位置検知センサと、圧縮板の復動時から満杯位置検知センサがオンするまでのステッピングモータへのパルス数を検知する検知手段と、検知手段のパルス数に応じて排版量を表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
本発明にかかる孔版印刷機は、上記のうちのいずれか1つの排版収納装置を備えたことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を用いて本発明にかかる孔版印刷機の概略構成と、その動作について説明する。孔版印刷機の動作は排版動作より始まるが、説明の便宜上、排版動作と並行して進行する給版動作を説明する。同図において、印刷すべき原稿1は、スキャナ部4で読み取られる。読み取られた画像は、製版・給版部22でマスタ23に穿孔されて書き込まれて製版される。この製版されたマスタ23は、矢印方向に回転駆動される印刷ドラム2に設けられた原紙係止部28でくわえられて印刷ドラム2の外周面に巻き付けられる。
【0012】
給版動作が終わると、給紙部3に配設されている給紙トレイ33に載せられた印刷用紙34が、給紙トレイ33の上方に配置された給紙コロ35によって送り出され、一対の分離コロ36a,36bによって1枚に分離される。分離された印刷用紙34は、レジストローラ対37a,37bによって、印刷ドラム2と、これに対向配置されて接離動作する印圧部材として機能するプレスローラ70との間に形成される印刷部に送り込まれる。印刷部では、印刷ドラム2の内部に設けられた周知のインキ供給手段38からドラム内周面に供給されるインキが、プレスローラ70が印刷ドラム2に圧接することでマスタ23を介して印刷用紙34に転移し、製版画像に対応する印刷がなされる。
【0013】
印刷された印刷用紙34は、印刷部よりも用紙搬送方向下流側に配置された剥離爪39によって印刷ドラム2の外周面から剥がされ、排紙部61へ搬送される。排紙部61では、印刷用紙34を、一対のローラ間に掛け渡されて矢印方向に回転される搬送ベルト41上に、搬送ベルト41の下方に配置された吸引ファン42によって発生させられる吸引力で吸着し、排紙トレイ40へ排出する。
【0014】
本発明にかかる孔版印刷機は、使用済みマスタ23aを廃棄するための排版収納装置48を備えている。排版収納装置48は、互いに圧接して回転することで、印刷ドラム2から使用済みマスタ23aを剥がすとともに、排版ボックス51に送り込む周知の排版コロ50a,50b,50cが、印刷ドラム2の外周面近傍に配置されている。排版コロ50bは、図4に示す排版コロモータ70で回転駆動される。
【0015】
排版収納装置48は、図2、図3に示すように、使用済みマスタ23aを収納する排版ボックス51、排版ボックス51に設けた筒状圧縮収納部80の中心部位を中心に回動し、使用済みマスタ23aを筒状圧縮収納部80内で圧縮する圧縮板52、センサフィラー55、センサフィラー55によってオン/オフされる満杯位置検知センサとしての圧縮位置センサ53及び圧縮HPセンサ54、圧縮板52を回動する駆動源となる圧縮モータ56、圧縮板52を支持する回転軸58へ圧縮モータ56からの駆動力を伝達する駆動伝達機構としてのギア57a,57b,57cを備えている。
【0016】
筒状圧縮収納部80は、排版ボックス51の入口57よりも上方に位置する周面の一部を開口されていて、マスタ導入口56とされている。入口57よりも上方に位置する筒状圧縮収納部80の部位は、使用済みマスタ23aを排版ボックス51へ案内するための外壁59とされている。
【0017】
圧縮板52は、排版ボックス51に支持された回転軸58に設けられることにより筒状圧縮収納部80内に配置され、筒状圧縮収納部80内で回動自在とされている。ギア57bは、回転軸58の端部に固定されている。圧縮板52は、圧縮モータ56からの駆動力が、圧縮モータ56の出力軸に固定されたギア57cからギア57a,57bを介して回転軸58に伝達されることで、往復回動駆動される。圧縮モータ56及び排版コロモータ70は、図4に示す制御手段74によって制御される。圧縮モータ56には、ステッピングモータが採用される。
【0018】
センサフィラー55は、回転軸58に圧縮板52と一定の角度をもって配置されていて、圧縮板52と一体となって回動するように構成されている。圧縮位置センサ53は、図3に示すように、筒状圧縮収納部80の外側面80aに装着されていて、排版ボックス51内が使用済みマスタ23aで満杯になったことを検知するものである。圧縮位置センサ53は、センサフィラー55により検知面が遮断されることによりオンする光学的なセンサであって、排版ボックス51が、すなわち筒状圧縮収納部80内が使用済みマスタ23aで満杯になった信号を制御手段74に出力する。
【0019】
圧縮HPセンサ54は、排版ボックス51に配設されていて、センサフィラー55により遮断されることによりオンする光学的センサであり、圧縮板52がホームポジションに至ったことを検知して、図4に示す制御手段74に圧縮板52がホームポジションに復帰した信号を出力する。
【0020】
制御手段74は、CPU71、メモリ73を備えた周知のコンピュータである。CPU71には、圧縮板52の復動時から圧縮位置センサ53がオンするまでの圧縮モータ52の戻りパルス数を検知する検知手段として機能するモータ制御IC72と、メモリ73とが接続されている。モータ制御IC72には、圧縮モータ56が接続している。
【0021】
制御手段74には、孔版印刷機の操作部75、印刷ドラム2やプレスローラ70等のドラム部76、給紙部3、製版・給版部22、排紙部61の各駆動源が接続されている。これら各駆動源は制御手段74によってその動作が制御される。操作部75には、排版量を表示する表示手段としての液晶ディスプレイ78と環境設定手段としての設定キー79とが配置されている。表示手段としては排版量に応じてLEDなどの発光部材を点灯させるものでもよい。
【0022】
制御手段74には、圧縮位置センサ53、圧縮HPセンサ54、排版コロモータ70とともに、排版センサ77、液晶ディスプレイ78、設定キー79が接続されている。排版センサ77は、使用済みマスタ23aが排版ボックス51(筒状圧縮収納部80)内に収納されたか否か、つまり、排版動作が終了したか否かを検知するものである。排版センサ77には、排版コロモータ70の回転を検知するロータリエンコーダが用いられる。排版動作の終了は、排版センサ77によって、排版コロモータ70の回転角相当のパルス数がマスタ長さに相当するだけ回転したことが検知された時点とする。排版センサ77としては、排版ボックス51(筒状圧縮収納部80)内に収納される使用済みマスタ23aの通過を検知する通過センサであってもよい。
【0023】
メモリ73には、圧縮板52の最大移動距離に相当する圧縮モータ56の設定パルス数、環境条件となる環境パラメータに応じた圧縮モータ56の基準パルス速度、圧縮モータ56の基準停止時間、圧縮板52の復動時における圧縮モータ56の基準パルス数(以下「基準値」と記す)、マスタサイズに対応する排版コロモータ70のパルス数、孔版印刷機全体の制御にかかる各種情報が記憶されている。
【0024】
本発明にかかる排版収納装置48の排版/圧縮動作を、図5、図6に示す排版/圧縮制御を示すフローチャートに沿って説明する。
図5のステップS1において、操作部75に設けられた設定キー79を操作して環境パラメータを設定する。制御手段74では、設定キー79の操作によって環境パラメータに対応する圧縮モータ56の基準パルス速度、マスタサイズに対応する排版コロモータ70のステップ数などが設定される。ステップS2において図示しない製版スタートキーが押されてオンすると、印刷ドラム2にマスタ23が巻き付けられている場合には、ステップS3において排版動作が実行される。排版動作では、原紙係止部28が印刷ドラム2の所定の排版位置で開き、マスタ23の先端が解放される。つぎに排版コロモータ70によって排版コロ50bが回転駆動され、マスタ23の先端が、排紙コロ50a,50b,50cの協働によって印刷ドラム2より剥がされる。ステップS4において、排版コロモータ70が所定のパルス数(回転角)になったことが排版センサ77で検知されると、マスタ23が印刷ドラム2から剥がされ、筒状圧縮収納部80内に収納されたものとしてステップS5に進む。
【0025】
ステップS5では、図3に示す圧縮モータ56が駆動され、ギア57c,57a,57bを介して圧縮板52が図2に仮想線で示すホームポジションから反時計方向に回動(往動開始)して、使用済みマスタ23aが排版ボックス51内に押し込まれる。
【0026】
圧縮モータ56が駆動すると、ステップS6において、圧縮モータ56に設けられているエンコーダからのパルスをカウントしてそのカウント値を設定パルス数と比較し、カウント値が設定パルス数に達したかどうかが判断される。設定パルス数は、圧縮板52の最大移動距離分相当であるので、使用済みマスタ23が多くなってくると、圧縮板52の移動量(回動量)が制限され、設定パルス数に到達する前に圧縮板52が停止して圧縮モータ56の負荷となる。
【0027】
ステップS6において圧縮モータ56のパルスが設定パルス数に達し、設定パルスのカウントが終了すると、ステップS7に進んで圧縮モータ56が停止してステップS8に進む。ステップS8では、圧縮モータ56の停止時間が図示しないタイマーによって計測されつつ、その経過時間が判断され、所定停止時間となるまで圧縮モータ56は停止状態におかれる。圧縮板52は、これらステップS7,S8によってステッピングモータで構成された圧縮モータ56が停止されることにより、使用済みマスタ23aを加圧した状態で保持されるので、使用済みマスタ23aを確実に圧縮することができる。使用済みマスタ23aが圧縮状態に保持されるので、圧縮板52が戻った後における排版ボックス51内で膨張も抑えることができる。
【0028】
ステップS8において、所定停止時間が経過すると、ステップS9に進んで圧縮位置センサ53のオン/オフが判断される。センサフィラー55によって圧縮位置センサ53がオンしなければ、満杯まで余裕があるものとして図6に示すステップS10に進み、圧縮モータ56が逆転駆動して、圧縮板52が図2においてホームポジションに向って時計回り方向に回動する。この圧縮板52の時計回りへの回動は、ステップS11において圧縮位置センサ53がセンサフィラー55を検知してオンされるまで続く。ステップS11において、圧縮位置センサ53がセンサフィラー55によってオンされると、ステップS12に進んで排版容量処理が行われる。
【0029】
この処理は、図7に示すように、基準値と圧縮モータ56が逆転してから圧縮位置センサ53がオンするまでの戻りパルス数とを比較することで行われる。ステップT1において、戻りパルス数が基準値よりも大きい場合には、圧縮位置から圧縮位置センサ53までの移動量が多いことになるので、筒状圧縮収納部80内の余剰空間が大きいものとしてステップT2に進み、排版量が少ないことを図1に示す液晶ディスプレイ78に表示して図6のフローに戻る。
【0030】
ステップT1で戻りパルス数が基準値よりも大きくなければ、圧縮位置から圧縮位置センサ53までの移動量が少ないことになるので、筒状圧縮収納部80内の余剰空間が小さいものとしてステップT3に進み、排版量が多いこと液晶ディスプレイ78に表示して図6のフローに戻る。このように圧縮動作後において、圧縮モータ56の戻り時のパルス数を検知し、そのパルス数に基づいて排版量を表示するので、正確な排版量表示を行える。
【0031】
図6に示すステップS12が終了すると、ステップS13において排版量の確認がなされる。ここで、ステップT1での結果から排版量が少ないと判断した場合には、ステップS14において圧縮モータ56のパルス速度の変更を行う。具体的にはパルス速度を速める。パルス速度を速めることで、圧縮板52のホームポジションへの復帰が速められ、排版量が少ないときには圧縮工程を素早く終了することができるようになる。
【0032】
ステップS14でその移動を速められた圧縮板52の移動が進み、ステップS15においてセンサフィラー55によって圧縮HPセンサ54がオンすると、圧縮板52が図2に仮想線で示すホームポジションに戻ったものとしてステップS16に進んで圧縮モータ53の駆動を停止し、この制御を終了する。
【0033】
図5のステップS9においてセンサフィラー55で圧縮位置センサ53がオンされた場合には、既に使用済みマスタ23aによって筒状圧縮収納部80内が満杯状態であるものとして、図6のステップS17に進んで、満杯警告表示を図1の液晶ディスプレイ78に行いステップS18に進む。ステップS18では、圧縮モータ56を逆転駆動して、圧縮板52を図2においてホームポジションに向って時計回り方向に回動してステップS15に進む。ステップS15では、センサフィラー55で圧縮HPセンサ54がオンすると、圧縮板52が図2に仮想線で示すホームポジションに戻ったものとしてステップS16に進んで圧縮モータ56の駆動を停止し、この制御を終了する。
【0034】
このように圧縮板52を所定時間停止させて効率的な圧縮を行った後に、圧縮位置センサ53によって圧縮板52の位置を検知するので、実収納量を正確に表示でき、ユーザーが把握することができる。排版や圧縮に際して、環境パラメータを予め設定し、設定したパラメータに応じて圧縮モータ56のパルス数が設定されるので、環境に適応した圧縮板52の動さが実現でき、最適な収納力を得られる。
【0035】
本形態では、環境パラメータを設定した後に製版スタートキーをオンさせることで、排版/圧縮動作が開始される構成を採るが、製版スタートキーとは個別に排版圧縮キーなる操作手段を操作部75上に設け、このキーがオンされることで排版/圧縮動作を開始する形態としてもよい。このような形態とした場合には、排版/圧縮動作の終了後に製版スタートキーをオンして製版/給版動作を実行すればよい。
【0036】
本形態では、圧縮モータ56は、設定パルスがカウントされるまで駆動されるが、満杯状態に近い状態では圧縮モータ56にかかる負荷が大きくなる。このため、圧縮板52による圧縮力(負荷)が圧縮モータ56の脱出トルクを超えると、圧縮モータ56は通電状態であるが圧縮板52は停止される。したがって、圧縮モータ56にステッピングモータを使用する場合には、図3に示す回転軸58からギア57cまでの間に、脱出トルクよりも小さなトルクで空転するトルクリミッタを介装してもよい。圧縮モータ56にDCモータを使用する場合には、回転軸58からギア57cまでの間に、脱出トルクを超えると空転するトルクリミッタを改装してもよい。このような過負荷防止手段を設けることで、圧縮モータ56や駆動伝達系や圧縮板52の耐久性を向上することができる。
【0037】
本形態では、図7に示すように、圧縮板52が圧縮動作終了後に戻る際の圧縮モータ56をパルス数と基準値とを比較することで排版量を検知して表示するが、ここで得られた情報を、次回の圧縮動作時の圧縮モータ56のパルス数にフィードバックしてもよい。
【0038】
例えば、満杯検知までのパルス数が通常に比べて少なかった場合、印字率の高くマスタ23、すなわち、インキがより多く付着していて1版の容量が大きい使用済みマスタ23aであると見做し、圧縮パルス数や停止時間を少なくし、使用済みマスタ23aに対する圧縮力や圧縮時間を低減し、排版ボックス51からのインキ漏れを防止するように制御する。さらに温度や湿度の関係も検知し、低温低湿の場合には、インキがより多く付着していて1版の容量が大きい使用済みマスタ23aであっても、圧縮パルス数や停止時間を多くするように制御する。低温低湿の場合、インキは流動性が弱く硬くなるので、このような制御により圧縮力や圧縮時間を増加させることになり、使用済みマスタ23aを効率良く圧縮することができようになる。
【0039】
本形態では、使用済みマスタ23aの収納量が少なく、圧縮板52がホームポジションに向って復動する際に、圧縮モータ56へのパルス速度を速くして圧縮板52の移動速度を速めているが、使用済みマスタ23aの収納量が少ない場合には、圧縮板52の往動及び復動の両方において、圧縮モータ56へのパルス速度を速くすることで、より圧縮工程の時間短縮を図ることができる。但し、パルス速度を速くすると、圧縮モータ56の脱出トルクが小さくなるので、収納された使用済みマスタ23aを充分に圧縮できるトルクが得られる範囲でパルス速度の変更するのが好ましい。
【0040】
圧縮モータ56へのパルス速度を変えると、圧縮モータ56のトルクが可変されるので、排版収納力を変化させることができる。このため、収納される使用済みマスク23aの種類、すなわち、使用されるマスタ23に応じた最適な圧縮力を得られるパルス速度を試験的に求めてメモリ73に記憶し、環境パラメータでマスタ23の種類を選択することで、対応するパルス速度が設定されるようにすることで、圧縮ミスを回避することもできる。
【0041】
圧縮モータ56の脱出トルクを変化させる方法としては、モータ制御IC72に印加する電圧を可変とし、各相に流れる電流を変化させることによっても行える。例えばモータ制御IC72内の電流制御用抵抗の端子と幾つかのポートに抵抗をつなぎ、接地しておく。各ポートをオン/オフすることによって電流制御用抵抗にかかる電圧が可変するため、相電流が変化する。このようにしてモータ制御IC72に印加する電圧を可変させてもよい。
【0042】
本発明が適用される対象としては、排版ボックスに対して圧縮板を直線的にステッピングモータで往復動させて使用済みマスタを圧縮するタイプの排版収納装置であっても無論構わない。
【0043】
本形態における環境パラメータとしては、マスタのサイズ(長さ)や材質の違い、温度の変化、湿度の変化、印刷工程の違い、印刷間隔によるマスタの放置時間の違い、画像面積によるインキの付着量の違いなどの少なくとも1つが挙げられる。
【0044】
環境パラメータとして材質の異なるマスタ23を用いる場合について説明する。材質の違いは、設定キー79によって設定する。マスタ23にコシの強い材質を用いる場合には、圧縮板52で圧縮しても復元性が強いので、圧縮時間に相当する圧縮モータ56の所定停止時間を長めに設定し圧縮時間を長くしたり、パルス速度を遅くして圧縮モータ56のトルクを増大させるようにする。
【0045】
環境パラメータとして温度や湿度を用いる場合について説明する。温度や湿度が低いほどマスタ23の剛性が高くなる。このため、温度や湿度が低い場合には、圧縮モータ56の所定停止時間を長めに設定して圧縮時間を長くしたり、パルス速度を遅くして圧縮モータ56のトルクを増大させるようにする。温度や湿度の情報は、温度センサや湿度センサで検知してもよいし、設定キー79を用いて装置使用時における温度や湿度情報を入力してもよい。
【0046】
環境パラメータとして印刷工程を用いる場合について説明する。印刷工程(印刷時間)が短い場合には、印刷枚数は少なく、マスタ23に対する負荷も低いため、マスタの剛性低下は少ないが、印刷工程(印刷時間)が長い場合には、印刷枚数は多く、マスタ23に対する負荷が高いため、マスタの剛性低下が大きくなる。このため、印刷基準枚数を設定し、この枚数となるまでは、圧縮モータ56の所定停止時間を長めにして圧縮時間を長くしたりパルス速度を遅くして圧縮モータ56のトルクを増大させ、印刷基準枚数を超えると圧縮モータ56の所定停止時間を短くて圧縮時間を短くしたり、パルス速度を速くして圧縮モータ56のトルクを低減させるようにする。印刷枚数は、通常孔版印刷機ではカウンターでカウントしているので、このカウント情報を用いればよい。
【0047】
環境パラメータとして画像面積を用いる場合について説明する。画像面積が少ない場合には、排版時におけるマスタ23に付着しているインキ量が少なくマスタの剛性があるが、画像面積が多い場合には、排版時におけるマスタ23に付着しているインキ量が多いのでマスタの剛性は低下する。このため、基準画像面積を設定し、この面積以下では、圧縮モータ56の所定停止時間を長めにして圧縮時間を長くしたりパルス速度を遅くして圧縮モータ56のトルクを増大させ、基準画像面積を超えると圧縮モータ56の所定停止時間を短くて圧縮時間を短くしたり、パルス速度を速くして圧縮モータ56のトルクを低減させるようにする。画像面積は、例えば、原稿読み取り時に周知の画像センサを用いて測定することができるので、この画像センサからの出力を用いればよい。あるいは、マスタ23に対する製版は、通常サーマルヘッドで行われるので、このときの発熱量から画像面積の大きさを判断してもよい。一般に、画像面積が大きい場合には発熱量が高く、画像面積が少ない場合には発熱量が低いので、基準発熱量を設定し、この基準発熱量と検出した発熱量とを比較することで画像面積の大小を検出することができる。
【0048】
環境パラメータとして印刷間隔を用いる場合について説明する。印刷間隔となる、前回の印刷終了時から次の排版開始までの放置時間が短い場合にはマスタの剛性はあるが、放置時間が長い場合にはマスタの剛性は低下する。このため、基準放置時間を設定し、この放置時間以下では、圧縮モータ56の所定停止時間を長めにして圧縮時間を長くしたりパルス速度を遅くして圧縮モータ56のトルクを増大させ、基準放置時間を超えると圧縮モータ56の所定停止時間を短くて圧縮時間を短くしたり、パルス速度を速くして圧縮モータ56のトルクを低減させるようにする。放置時間は、印刷終了時からつぎに製版スタートキー、あるいは排版圧縮キーが押されるまでの時間をタイマーで測定することで計測することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、環境条件となるに前回の印刷終了時から次の排版開始までの放置時間に応じて、または、画像面積によるインキの付着量に応じて圧縮板の動作を制御し、排版ボックス内に最適な圧縮状態で使用済みマスタを収納するようにしたので、最適な圧縮効率を実現することができる。
本発明によれば、圧縮板の往復動が回動であるので、直線的に往復動するタイプのものに比べてコンパクトな装置となる。
本発明によれば、圧縮板の復動時から、排版ボックス内で圧縮板の移動により収納されたマスタの収納量を検出する満杯位置検知センサがオンするまでの、ステッピングモータへのパルス数を検知手段で検知し、検知手段のパルス数に応じた排版量が表示手段に表示されるので、排版時の排版容量を正確に知ることができる。
本発明によれば、最適な圧縮効率を実現し、排版時の排版容量を知ることができる排版収納装置を備えた孔版印刷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を孔版印刷機の概略構成全体図である。
【図2】本発明にかかる排版収納装置の概略構成と、圧縮板の往復動作を示す拡大断面図である。
【図3】圧縮板を往復動させるステッピングモータとその近傍の構成を示す拡大図である。
【図4】制御手段の構成と、制御手段につながる要部構成のブロック図である。
【図5】排版/圧縮制御の一形態を示すフローチャートである。
【図6】図5の端子▲1▼,▲2▼につながるフローチャートである。
【図7】排版容量表示処理の一形態を示すフローチャートである。
【図8】従来の排版収納装置の概略構成図である。
【符号の説明】
23a 使用済みマスタ
48 排版収納装置
51 排版ボックス
52 圧縮板
56 ステッピングモータ(圧縮モータ)
74 制御手段
53 満杯位置検知センサ(圧縮位置センサ)
72 検知手段(モータ制御IC)
78 表示手段
Claims (5)
- 印刷に使用された使用済みマスタを排版収納する排版収納装置において、
上記使用済みマスタを収納する排版ボックスと、
上記排版ボックス内に収納された使用済みマスタを圧縮する圧縮板と、
上記圧縮板を往復動させるステッピングモータと、
上記ステッピングモータによる上記圧縮板の動作を、前回の印刷終了時から次の排版開始までの放置時間に応じて制御するする制御手段とを有し、
上記制御手段は、上記放置時間が基準放置時間よりも短い場合には上記ステッピングモータの停止時間を長く、または上記ステッピングモータのパルス速度を遅くし、上記放置時間が上記基準放置時間よりも長い場合には上記ステッピングモータの停止時間を短くまたはパルス速度を速くするように制御する排版収納装置。 - 印刷に使用された使用済みマスタを排版収納する排版収納装置において、
上記使用済みマスタを収納する排版ボックスと、
上記排版ボックス内に収納された使用済みマスタを圧縮する圧縮板と、
上記圧縮板を往復動させるステッピングモータと、
上記ステッピングモータによる上記圧縮板の動作を、画像面積によるインキの付着量に応じて制御する制御手段とを有し、
上記制御手段は、上記画像面積が基準画像面積以下の場合には、上記ステッピングモータの停止時間を長く、または上記ステッピングモータのパルス速度を遅くし、上記画像面積が上記基準画像面積を超える場合には、上記ステッピングモータの停止時間を短く、または上記ステッピングモータのパルス速度を速くするように制御する排版収納装置。 - 請求項1又は2記載の排版収納装置において、
上記圧縮板の移動が回動である排版収納装置。 - 請求項1、2又は3記載の排版収納装置において、
上記排版ボックスに設けられていて、上記排版ボックス内で上記圧縮板の移動により収納された上記マスタの収納量を検出する満杯位置検知センサと、
上記圧縮板の復動時から上記満杯位置検知センサがオンするまでの上記ステッピングモータへのパルス数を検知する検知手段と、
上記検知手段のパルス数に応じて排版量を表示する表示手段とを備えた排版収納装置。 - 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排版収納装置を備えた孔版印刷機。
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