JP4634470B2 - インピーダンス測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の電子部品を環状接続して構成されたネットワーク素子におけるその電子部品各々の各インピーダンスを測定するインピーダンス測定装に関するものである。
図6に示すように複数の電子部品(一例として8個のコンデンサC1〜C8、以下、区別しないときには、「コンデンサC」ともいう)を環状接続して構成されたネットワーク素子NC2における各コンデンサCのインピーダンスを測定するインピーダンス測定方法として、以下に説明する測定方法が従来から一般的に用いられている。
この従来の測定方法では、LCR測定装置1−1(以下、後述するLCR測定装置1−2〜1−4を含めて、区別しないときには「測定装置1」ともいう)を一台使用して、コンデンサC1〜C8の容量を一つずつ順に測定する。具体的には、まず、測定装置1の出力端子に接続されたプローブPHと入力端子に接続されたプローブPLとを電子部品同士が相互接続された電極T1〜T8(以下、区別しないときには、「電極T」ともいう)のいずれか隣り合う2つに接続する。一例としてコンデンサC1を測定対象電子部品とするときには、コンデンサC1の一端に接続された電極T1と他端に接続された電極T2とにそれぞれ接続する。この場合、測定装置1の入力端子は基準電位(以下、一例としてグランド電位GLとする)に仮想接地されている。また、コンデンサC2〜C8間における電極T3〜T8のうちのいずれか一つの電極T(一例としてコンデンサC7,C8間の電極T8)をグランド電位GLに接続する。
次に、測定装置1を起動して、プローブPHから交流電圧の測定用信号を電極T1に出力し、このときに、電極T2を介してプローブPLに流れ込む電流IとコンデンサC1の両端電圧V(電極T1,T2間の電圧)とを測定する。この場合、測定装置1の入力端子(プローブPL)と、電極T8とが共に基準電位に維持されている。したがって、測定装置1のプローブPHから出力されてコンデンサC1通過する電流Iは、コンデンサC2〜C7には流れずに、コンデンサC1のみを流れる。したがって、測定装置1では、測定した両端電圧Vと電流Iとに基づいて、並列接続されたコンデンサC2〜C8の影響を受けずに、コンデンサC1のみの容量を算出することが可能となる。次いで、プローブPH,PLの接続を変えながら、同様にして他のコンデンサC2〜C8の容量を一つずつ順に測定することにより、すべてのコンデンサC1〜C8の容量を個別的に測定する。以上の測定処理により、環状に接続された他のコンデンサCの影響を受けることなく、すべてのコンデンサC1〜C8の容量が正確に測定される。
ところが、上記のインピーダンス測定方法には、1台の測定装置1を使用して、環状接続された複数のコンデンサCに対して一つずつその容量を順次測定しているため、すべてのコンデンサCの容量を測定するのに長時間を要するという問題点がある。
そこで、出願人は、ネットワーク素子内の各コンデンサCに対する容量測定に要する時間を短縮するために、以下に説明するインピーダンス測定方法を開発している。このインピーダンス測定方法は、6つ以上の電子部品を環状接続して構成されたネットワーク素子内の各電子部品のインピーダンスを測定する際に、複数の測定装置1を使用して、複数の電子部品の各インピーダンスを同時に測定することにより、インピーダンス測定に要する時間を短縮している。以下にその概要を説明する。
一例として、図7に示すように、9個のコンデンサC1〜C9を環状接続して構成されたネットワーク素子NC3内の各コンデンサCの容量を測定する例について説明する。このインピーダンス測定方法では、最初に、1回の測定において測定対象とする隣り合うコンデンサC,C間にその測定の際に測定対象としないコンデンサCが少なくとも2つ以上常に存在するように測定装置1−1,1−2を接続する。この例では、9個のコンデンサが環状接続されているため、コンデンサC1に測定装置1−1を接続し、2つのコンデンサC2,C3を挟んでコンデンサC4に測定装置1−2を接続し、コンデンサC5,C6を挟んでコンデンサC7に測定装置1−3を接続する。
次いで、測定対象としないコンデンサC2,C3間の電極T3、コンデンサC5,C6間の電極T6およびコンデンサC8,C9間の電極T9をそれぞれグランド電位GLに接続する。また、各測定装置1の基準電位をグランド電位GLに共通接続する。次いで、この状態で、各測定装置1のプローブPHから測定用信号を出力し、測定対象のコンデンサC1,C4,C7の各容量を同時に測定する。この場合も、上記した容量測定方法と同じ測定原理によって、測定対象のコンデンサC以外のコンデンサCの影響や、他の測定装置1が出力する測定用信号との周波数差などに起因する影響を受けることなく測定対象のコンデンサC1,C4,C7の各容量を正確に測定することができる。このようにして、1回の測定で、3つのコンデンサCの容量を同時に測定することができるため、この測定をさらに2回繰り返すことにより、すべてのコンデンサC1〜C9の各容量を正確に測定することができる。したがって、上記した従来の測定方法では、容量測定を9回行う必要があるのに対して、3回の測定ですべてのコンデンサC1〜C9の容量を測定することができる結果、容量測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
ところが、上記したインピーダンス測定方法には以下の改善すべき点がある。すなわち、この出願人の開発しているインピーダンス測定方法では、1回の測定に使用する測定装置1の数と同数の電極Tをグランド電位GLに接続する必要がある。したがって、その分、1回の測定に使用可能な測定装置1の数が少なくなる。このため、すべてのコンデンサCの容量を測定するために必要とされる測定回数が依然として多く、そのために測定時間がある程度長くなり、これを改善するのが好ましい。また、電極Tをグランド電位GLに接続する必要があるため、この接続作業にある程度の時間を要し、この点も改善するのが好ましい。
本発明は、かかる改善すべき点に鑑みてなされたものであり、環状接続された複数の電子部品各々のインピーダンスを短時間で測定し得るインピーダンス測定装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項記載のインピーダンス測定装置は、測定対象電子部品のインピーダンスを測定可能に構成されたインピーダンス測定装置であって、当該インピーダンス測定装置の内部または装置外部から出力された基準信号を分周して測定用信号を生成すると共にその出力部が前記測定対象電子部品の一端に接続されて当該測定対象電子部品に当該測定用信号を出力する信号出力部と、基準電位に仮想接地された入力部が前記測定対象電子部品の他端に接続されて当該測定対象電子部品に流れる電流を検出する電流検出部と、前記測定対象電子部品の両端電圧を検出する電圧検出部と、前記検出した電流および両端電圧に基づいて前記測定対象電子部品のインピーダンスを算出するインピーダンス算出部と、前記基準信号を生成して装置外部および前記信号出力部に出力可能に構成された基準信号生成部と、同期信号を生成して装置外部および前記信号出力部に出力可能に構成された同期信号生成部とを備え、当該インピーダンス測定装置を複数用いて複数の前記測定対象電子部品のインピーダンス測定を同時に行う際に、当該インピーダンス測定装置の前記基準信号生成部から出力された前記基準信号および前記同期信号生成部から出力された前記同期信号に基づいて前記測定用信号を生成して測定するときには、前記基準信号生成部が前記基準信号を装置外部および前記信号出力部に出力すると共に前記同期信号生成部が前記同期信号を装置外部および前記信号出力部に出力し、かつ前記信号出力部が、当該出力された同期信号に同期して当該出力された基準信号を分周することにより、他の前記インピーダンス測定装置の前記基準信号生成部から出力された前記基準信号および当該他のインピーダンス測定装置の前記同期信号生成部から出力された前記同期信号に基づいて前記測定用信号を生成して測定するときには、前記信号出力部が、当該出力された同期信号に同期して当該出力された基準信号を分周することにより、当該インピーダンス測定装置の前記信号出力部から出力される前記測定用信号を当該他のインピーダンス測定装置の前記信号出力部から出力される前記測定用信号の周波数および位相と互いに一致させた状態において前記測定対象電子部品のインピーダンスを測定可能に構成されている。なお、本発明において、「インピーダンス」には、容量、抵抗およびインダクタンスが含まれる
本発明に係るインピーダンス測定装置によれば、任意の1の測定対象電子部品を測定するインピーダンス測定装置における出力部と、任意の1の測定対象電子部品に対して1または複数の電子部品を介して隣り合う他の1の測定対象電子部品を測定するインピーダンス測定装置における出力部とが1または複数の電子部品のみで形成される経路を介して接続され、かつ任意の1の測定対象電子部品を測定するインピーダンス測定装置における入力部と、任意の1の測定対象電子部品に対して1または複数の電子部品を介して隣り合う他の1の測定対象電子部品を測定するインピーダンス測定装置における入力部とが1または複数の電子部品のみで形成される経路を介して接続されるように、インピーダンス測定装置を各測定対象電子部品にそれぞれ接続し、隣り合う一対のインピーダンス測定装置における各信号出力部から出力される各測定用信号の各周波数および各位相を互いに等しくした状態において、各インピーダンス測定装置で各測定対象電子部品のインピーダンスをそれぞれ測定することにより、各電子部品相互間の接続点を接地させる作業を行うことなく、1回の測定で複数の測定対象電子部品のインピーダンスを同時に測定することができるため、その測定時間を大幅に短縮することができると共に精度よく測定することができる。
また、このインピーダンス測定装置によれば、同期信号を生成して装置外部に出力可能に構成された同期信号生成部を備え、信号出力部が、同期信号生成部によって出力された同期信号、および装置外部から入力される同期信号のいずれか一方に同期して測定用信号の生成を開始することにより、各インピーダンス測定装置から出力される各測定用信号の各周波数および各位相を確実に互いに等しくさせることができるため、その測定の信頼性を高めることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るインピーダンス測定装置の実施の形態について説明する。
最初に、図1,2を参照して、本発明に係るインピーダンス測定装置に相当する測定装置1の構成を説明する。なお、測定対象のネットワーク素子における同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1に示すように、測定装置1−1,1−2は、後述する測定装置1−3,1−4も含めて互いに同一に構成されている。これらの測定装置1は、出力端子2、入力端子3、信号生成部4、電流検出部5、電圧検出部6、インピーダンス算出部7、基準クロック生成部(基準信号生成部)11およびスイッチ12,13を備えている。この場合、出力端子2および入力端子3には、測定用のプローブPH,PLがそれぞれ接続される。このプローブPH,PLは、測定対象としての電子部品の一端および他端に接続された一対の電極T,Tに接続される。
信号生成部4は、本発明における信号出力部に相当し、図2に示すように、測定用信号として所定周波数(例えば10KHz)の交流信号を生成する信号源4aと出力抵抗4bとを備えている。この場合、信号源4aは、DDS(Direct Digital Synthesizer)で構成され、図1に示すように、基準クロック生成部11によって生成された基準信号Sr、または他の測定装置1の基準クロック生成部11から出力される基準信号SrをN分周することにより、基準信号Srによって指定された所定周波数の測定用信号を生成する。この場合、信号源4aとして、予め設定された所定周波数の測定用信号を生成する構成を採用することもできる。また、信号源4aは、同図に示すように、演算制御部7cから出力される同期信号Ss、または他の測定装置1の演算制御部7cから出力される同期信号Ssに同期して測定用信号の生成を開始する。一方、出力抵抗4bは、図2に示すように、一端が信号源4aに接続され、他端が出力部4cを介して出力端子2に接続されている。
電流検出部5は、同図に示すように、一例としてオペアンプ5aとフィードバック用の抵抗5bとを備えて構成されている。この場合、抵抗5bは、その抵抗値Rが既知であって、オペアンプ5aの出力端子と反転入力端子との間に接続されている。また、オペアンプ5aの反転入力端子は、出力部5cを介して入力端子3に接続され、オペアンプ5aの非反転入力端子は基準電位(一例としてグランド電位GL)に接地されている。この場合、オペアンプ5aの反転入力端子と非反転入力端子とは仮想的に短絡状態となるため、入力部5cは基準電位としてのグランド電位GLに仮想接地される。この構成により、電流検出部5は、プローブPHを介して電子部品に測定用信号が印加された際に、測定対象電子部品としてのコンデンサCおよびプローブPLを流れる電流Iを電圧(R×I)に変換して出力する。
電圧検出部6は、図2に示すように、出力端子2と入力端子3との間の電位差、つまりプローブPH,PLが接続された電子部品の両端電圧Vを検出する。インピーダンス算出部7は、一対のA/D変換器7a,7b、および演算制御部7cを備えている。この場合、A/D変換器7aは、電圧検出部6によって検出された両端電圧Vを基準信号Srに同期してサンプリングすることによってディジタルデータに変換して電圧データDvとして出力する。また、A/D変換器7bは、電流検出部5によって検出された電圧(R×I)を基準信号Srに同期してサンプリングすることによってディジタルデータに変換して電流データDiとして出力する。演算制御部7cは、例えばCPUで構成され、概念的には、A/D変換器7bから出力される電流データDiに基づく電値を抵抗5bの抵抗値Rで除算することによって電子部品に流れる電流Iの値を求め、求めた電流値で電圧データDvに基づく電圧値を除算することにより、電子部品の抵抗、容量(キャパシタンス)およびインダクタンスなどのインピーダンスを算出する。より具体的には、容量やインダクタンスを求めるときには、電圧検出部6によって検出される両端電圧Vの位相と、電流検出部5によって検出される電流の位相との位相差にも基づいて、そのインピーダンスを算出する。また、演算制御部7cは、本発明における同期信号生成部に相当し、図1に示すように、同期信号Ssを生成して、スイッチ13を介して、信号生成部4内の信号源4aに出力すると共に装置外部にも出力する。また、演算制御部7cは、演算した容量値をインピーダンスデータとして図示しない表示部に表示させると共に装置外部に測定データとして出力する。
基準クロック生成部11は、図1に示すように、基準信号Srを生成して、スイッチ12を介して、信号生成部4内の信号源4aに出力すると共に装置外部にも出力する。スイッチ12は、装置内部の基準クロック生成部11によって生成された基準信号Srに基づく周波数の測定用信号を生成する際には、オン状態に制御され、他の測定装置1の基準クロック生成部11によって生成された基準信号Srに基づく周波数の測定用信号を生成する際には、オフ状態に制御される。この場合、複数の測定装置1で同時にインピーダンス測定を行う際には、いずれか任意の1台の測定装置1のスイッチ12がオン状態に制御され、かつ他の測定装置1のスイッチ12がオフ状態に制御される。この際には、その任意の測定装置1内部の基準クロック生成部11によって生成された基準信号Srがすべての測定装置1内部の信号源4aに出力されるため、各信号源4aは、同一周波数の測定用信号を生成する。また、同様にして、いずれか任意の1台の測定装置1のスイッチ13がオン状態に制御され、かつ他の測定装置1のスイッチ13がオフ状態に制御されることで、各測定装置1の信号源4aは、その任意の1台の測定装置1の演算制御部7cから出力された同期信号Ssに同期して測定用信号の生成を開始し、かつ出力する。したがって、各測定装置1は、スイッチ12,13のオン/オフを制御することで、互いに同一周波数で、しかもその位相が互いに同期する測定用信号を各測定対象電子部品に出力可能となる。
次に、ネットワーク素子内の各電子部品各々のインピーダンスを測定するインピーダンス測定方法の測定原理について、図1〜3を参照して説明する。なお、一例として4個のコンデンサC1〜C4を環状接続して構成されたネットワーク素子NC1を測定する例について説明する。
まず、測定装置1−1,1−2のプローブPH,PLを測定対象のコンデンサCの両端に形成されている電極T,Tにそれぞれ接続する。この場合、各測定装置1−1,1−2の接続条件として、任意の1の測定対象のコンデンサCを測定する測定装置1における出力端子2(つまり信号生成部4の出力部4c)と、そのコンデンサCに対して1または複数のコンデンサCを介して隣り合う他の1の測定対象のコンデンサCを測定する測定装置1における出力端子2(つまり信号生成部4の出力部4c)とが1または複数のコンデンサCのみで形成される経路を介して接続され、かつ任意の1の測定対象のコンデンサCを測定する測定装置1における入力端子3(つまり電流検出部5の入力部5c)と、そのコンデンサCに対して1または複数のコンデンサCを介して隣り合う他の1の測定対象のコンデンサCを測定する測定装置1における入力端子3(つまり電流検出部5の入力部5c)とが1または複数のコンデンサCのみで形成される経路を介して接続されるようにそれぞれ接続する。この場合、「1または複数のコンデンサCのみで形成される経路を介して接続される」とは、「1または複数のコンデンサCのみで形成される経路を少なくとも介して接続される」との意味であり、他の経路を介して接続されてもよいことを意味する。また、他の接続条件として、両測定装置1−1,1−2の基準電位をグランド電位GLに共通接続する。
したがって、この例では、例えば、図3に示すように、測定装置1−1のプローブPH,PLをコンデンサC1の両端に形成されている電極T1,T2にそれぞれ接続し、測定装置1−2のプローブPH,PLをコンデンサC3の両端に形成されている電極T4,T3にそれぞれ接続する。この際の両測定装置1−1,1−2の接続状態を図2に示す。この接続状態では、測定装置1−1の出力部4cと測定装置1−2の出力部4cとが1の電子部品としてのコンデンサC4のみからなる経路を介して接続されている。また、測定装置1−1の入力部5cと測定装置1−2の入力部5cとが1の電子部品としてのコンデンサC2のみからなる経路を介して接続されている。この場合、測定装置1−1から出力される測定用信号の周波数および位相と測定装置1−2から出力される測定用信号の周波数(正確には位相も)が一致しているときには、互いの測定用信号同士の干渉が生じないが、その周波数や位相が一致していないときには、互いの測定用信号同士が干渉を引き起こし、それに起因してインピーダンス測定に誤差が生じる。一方、このインピーダンス測定方法では、いずれか一方の測定装置1から他方の測定装置1に基準信号Srおよび同期信号Ssが出力されているため、両測定用信号の周波数および位相が互いに一致している。この場合、両測定装置1,1の各測定用信号同士の電圧は、互いに等しいのが好ましいが、必ずしも等しくする必要はなく、一定の電圧差であればよい。また、両測定装置1の入力部5c,5c同士がコンデンサC2を介して互いに接続され、かつその入力部5c,5cが共に仮想接地されている。このため、一方の測定装置1から出力される測定用信号が他方の測定装置1に回り込んで互いに干渉し合うことに起因する弊害が防止される。したがって、このインピーダンス測定方法によれば、精度よくインピーダンスを測定することができる。
次に、図4を参照して、ネットワーク素子NC2内の電子部品各々のインピーダンスを測定するインピーダンス測定方法について説明する。
最初に、上記した2つの接続条件を満たすように偶数台の測定装置1を測定対象のコンデンサCに接続する。具体的には、任意の1の測定対象電子部品(同図ではコンデンサC1とする)に形成された電極T1に、プローブPHを介して測定装置1−1における信号生成部4の出力部4cを接続し、そのコンデンサC1に対して1または複数の電子部品(同図では1つのコンデンサC8とする)を介して隣り合う他の1の測定対象電子部品(同図ではコンデンサC7とする)に形成された電極T8に、プローブPHを介して測定装置1−4における信号生成部4の出力部4cを接続する。同様にして、任意の1の測定対象電子部品(同図ではコンデンサC7とする)に形成された電極T7に、プローブPLを介して測定装置1−4における電流検出部5の入力部5cを接続し、そのコンデンサC7に対して1または複数の電子部品(同図では1つのコンデンサC6とする)を介して隣り合う他の1の測定対象電子部品(同図ではコンデンサC5とする)に形成された電極T6に、プローブPLを介して測定装置1−3における電流検出部5の入力部5cを接続する。さらに、同様にして、コンデンサC3に形成された電極T4にプローブPHを介して測定装置1−2における信号生成部4の出力部4cを接続し、コンデンサC5に形成された電極T5にプローブPHを介して測定装置1−3における信号生成部4の出力部4cを接続し、コンデンサC1に形成された電極T2にプローブPLを介して測定装置1−1における電流検出部5の入力部5cを接続し、コンデンサC3に形成された電極T3にプローブPLを介して測定装置1−2における電流検出部5の入力部5cを接続する。次いで、各測定装置1−1〜1−4の基準電位を共にグランド電位GLに共通接続する。
この接続状態では、測定装置1−1,1−4における両測定用信号の周波数およびその位相を一致させ、かつ測定装置1−2,1−3における両測定用信号の周波数およびその位相を一致させる限り、すべての測定装置1−1〜1−4は、他の測定装置1の測定用信号による干渉等の影響を受けることなく、精度よく容量(インピーダンス)を測定することができる。
このように、このインピーダンス測定方法によれば、上記の接続条件に従って各測定装置1を測定対象電子部品としての各コンデンサCに接続し、その状態において各測定装置1を用いて各コンデンサCの容量をそれぞれ測定することにより、いずれかの電極Tをガード電極としてグランド電位GLに接地することなく、1回の測定で複数のコンデンサCの容量を同時に測定することができるため、複数のコンデンサCの容量を測定するのに要する測定時間を大幅に短縮することができると共に精度よく測定することができる。また、上記の接続条件において、任意の1の測定対象のコンデンサCに対して1のコンデンサCを介して隣り合う他の1のコンデンサCを測定対象とすることにより、最も少ない測定回数でネットワーク素子内のすべての電子部品のインピーダンスを測定することができる。
次に、複数の測定装置1を使用して、ネットワーク素子内の各電子部品各々のインピーダンスを測定するインピーダンス測定システムSYS1(以下、「測定システムSYS1」ともいう)について、図5を参照して説明する。なお、一例として、4個のコンデンサC1〜C4を環状接続して構成されたネットワーク素子NC1を2台の測定装置1−1,1−2を使用して測定するのに適したシステム例について説明する。
図5に示すように、この測定システムSYS1は、2台の測定装置1−1,1−2と、選択接続装置に相当するスキャナ装置21と、制御装置22と、複数の接触型のプローブP1〜P4(以下、区別しないときには、「プローブP」ともいう)とを備えて構成されている。
スキャナ装置21は、制御装置22から出力される制御信号Scに従ってネットワーク素子の各電極T1〜TN(Nは2以上の自然数)に接続されたプローブP1〜PNのうちのいずれか4つを選択すると共に、選択した各プローブPと各測定装置1の各プローブPH,PL,PGとを接続可能に構成されている。この例では、スキャナ装置21は、制御信号Scに従ってネットワーク素子NC1の各電極T1〜T4に接続されたプローブP1〜P4のすべてを選択して、各プローブPと各測定装置1の各プローブPH,PLとを接続可能に構成されている。具体的には、一例として、スキャナ装置21は、連動して切り替えが可能に構成された4つのスイッチS1〜S4(以下、区別しないときには、「スイッチS」ともいう)を備えている。この場合、スイッチS1のa接点およびスイッチS2のb接点が互いに共通接続されて接続端子11aに接続され、スイッチS2のa接点およびスイッチS4のb接点が互いに共通接続されて接続端子11bに接続され、スイッチS3のa接点およびスイッチS1のb接点が互いに共通接続されて接続端子11cに接続され、スイッチS3のb接点およびスイッチS4のa接点が互いに共通接続されて接続端子11dに接続されている。さらに、各スイッチS1〜S4の各c接点は、それぞれプローブP1〜P4に接続され、各プローブP1〜P4は、図外のプローブ自動接続機構によってネットワーク素子NC1の電極T1〜T4に接続される。
制御装置22は、スキャナ装置21および各測定装置1−1,1−2の測定を制御する装置であって、制御信号Scを出力して各スイッチS1〜S4の切替を制御すると共にスタート信号Stを出力して各測定装置1の測定を開始させる。一方、測定装置1−1のプローブPL,PHは、スキャナ装置21の接続端子11a,11bにそれぞれ接続され、測定装置1−2のプローブPL,PHは、スキャナ装置21の接続端子11c,11dにそれぞれ接続される。
この測定システムSYS1では、インピーダンス(容量)測定の際に、プローブ自動接続機構が、図外の搬送機構によって測定位置まで搬送された測定対象のネットワーク素子NC1における各電極T1〜T4にスキャナ装置21の各プローブP1〜P4をそれぞれ自動接続する。次いで、制御装置22が、制御信号Scを出力することにより、各スイッチSを切り替え制御してc接点とa接点とを接続する。この際には、プローブP1が測定装置1−1のプローブPHに接続されると共にプローブP2が測定装置1−1のプローブPLに接続され、かつプローブP3が測定装置1−2のプローブPHに接続されると共にプローブP4が測定装置1−2のプローブPLに接続される。したがって、コンデンサC1,C3が測定対象電子部品として自動選択され、上記した接続条件が満たされる。次いで、制御装置22は、スタート信号Stを両測定装置1−1,1−2に出力する。これにより、両測定装置1−1,1−2は、容量測定を開始し、容量測定を終了した時点で、制御装置22に対して測定終了信号Seを出力する。
続いて、制御装置22は、制御信号Scを出力することにより、各スイッチSを切り替え制御してc接点とb接点とを接続する。この際には、プローブP2が測定装置1−1のプローブPHに接続されると共にプローブP4が測定装置1−1のプローブPLに接続され、かつプローブP1が測定装置1−2のプローブPHに接続されると共にプローブP3が測定装置1−2のプローブPLに接続される。したがって、コンデンサC2,C4が測定対象電子部品として自動選択され、上記した接続条件が満たされる。次いで、上記の処理と同様にして、両測定装置1−1,1−2によって容量測定が開始され、その後に測定が終了する。
このように、この測定システムSYS1によれば、スキャナ装置21が制御装置22によって制御されることによって測定装置1のプローブPH,PLとネットワーク素子NC1の各電極Tとを上記の接続条件を満たすように自動接続することにより、1回の測定時間内で複数のコンデンサCの容量を同時に測定することができるため、ネットワーク素子NC1内の複数のコンデンサCの容量を測定するのに要する測定時間を大幅に短縮することができる。したがって、数多くのネットワーク素子NC1内の各コンデンサCの容量を測定する際には、その測定時間を格段に短縮することができる。また、ネットワーク素子NC1の各電極Tと各プローブPとを自動接続し、かつ各測定装置1が制御装置22の制御に従って容量を自動測定することにより、人件費が不要となる結果、ネットワーク素子NC1に対する測定コストを格段に低減することができる。
なお、上記した実施の形態に示した構成に限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、測定システムSYS1では、4個のコンデンサC1〜C4を環状接続して構成されたネットワーク素子NC1を2台の測定装置1−1,1−2を使用して測定するのに適した構成が採用されているが、測定システムの構成は、これに限らない。例えば、5個以上の電子部品を環状接続して構成されたネットワーク素子を2台以上の測定装置1を使用して測定する際には、上記の接続条件を満たすようにスキャナ装置内のスイッチSの数やプローブPの数、およびこれらの接続関係を変更するなど、各構成要素を適宜変更して構成することができる。また、ネットワーク素子内の各電子部品を測定する順序を問わないのは勿論である。
また、例えば、ネットワーク素子内の素子の種類はコンデンサCに限らず、抵抗やインダクタなどであってもよい。また、コンデンサ、抵抗およびインダクタが混在しているネットワーク素子であってもよいのは勿論である。また、本発明におけるインピーダンス測定装置はLCR測定装置1に限らず、ネットワーク素子内の電子部品を測定するのに適した各種測定装置を用いることができる。例えば、ネットワーク素子として、複数の抵抗を環状接続したタイプのものであれば、インピーダンス測定装置として、抵抗計を使用することができる。
本発明の実施の形態に係る測定装置1−1,1−2の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るインピーダンス測定方法の測定原理を説明するための回路図である。 本発明の実施の形態に係るインピーダンス測定方法の測定原理を説明するための接続例を示す接続図である。 ネットワーク素子NC2内の各コンデンサCの容量を測定する際の測定系を示す回路図である。 測定システムSYS1の構成を示す構成図である。 ネットワーク素子NC2内の各コンデンサCの容量を測定する際の従来の測定系を示す回路図である。 ネットワーク素子NC3内の各コンデンサCの容量を測定する際の出願人が既に開発している測定系を示す回路図である。
符号の説明
1,1−1〜1−4 LCR測定装置
2 出力端子
3 入力端子
4 信号生成部
4c 出力部
5 電流検出部
5c 入力部
6 電圧検出部
7 インピーダンス算出部
7c 演算制御部
11 基準クロック生成部
21 スキャナ装置
22 制御装置
C1〜C8 コンデンサ
GL グランド電位
I 電流
NC1,NC2 ネットワーク素子
PH,PL,P1〜P4 プローブ
SYS1 測定システム
T1〜T8 電極
V 両端電圧

Claims (1)

  1. 測定対象電子部品のインピーダンスを測定可能に構成されたインピーダンス測定装置であって、
    当該インピーダンス測定装置の内部または装置外部から出力された基準信号を分周して測定用信号を生成すると共にその出力部が前記測定対象電子部品の一端に接続されて当該測定対象電子部品に当該測定用信号を出力する信号出力部と、基準電位に仮想接地された入力部が前記測定対象電子部品の他端に接続されて当該測定対象電子部品に流れる電流を検出する電流検出部と、前記測定対象電子部品の両端電圧を検出する電圧検出部と、前記検出した電流および両端電圧に基づいて前記測定対象電子部品のインピーダンスを算出するインピーダンス算出部と、前記基準信号を生成して装置外部および前記信号出力部に出力可能に構成された基準信号生成部と、同期信号を生成して装置外部および前記信号出力部に出力可能に構成された同期信号生成部とを備え、
    当該インピーダンス測定装置を複数用いて複数の前記測定対象電子部品のインピーダンス測定を同時に行う際に、
    当該インピーダンス測定装置の前記基準信号生成部から出力された前記基準信号および前記同期信号生成部から出力された前記同期信号に基づいて前記測定用信号を生成して測定するときには、前記基準信号生成部が前記基準信号を装置外部および前記信号出力部に出力すると共に前記同期信号生成部が前記同期信号を装置外部および前記信号出力部に出力し、かつ前記信号出力部が、当該出力された同期信号に同期して当該出力された基準信号を分周することにより、他の前記インピーダンス測定装置の前記基準信号生成部から出力された前記基準信号および当該他のインピーダンス測定装置の前記同期信号生成部から出力された前記同期信号に基づいて前記測定用信号を生成して測定するときには、前記信号出力部が、当該出力された同期信号に同期して当該出力された基準信号を分周することにより、当該インピーダンス測定装置の前記信号出力部から出力される前記測定用信号を当該他のインピーダンス測定装置の前記信号出力部から出力される前記測定用信号の周波数および位相と互いに一致させた状態において前記測定対象電子部品のインピーダンスを測定可能に構成されているインピーダンス測定装置。
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