JP4633965B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタ、ファックスなどに適用されるインクジェット式記録装置に搭載されるインクジェットヘッドにおいて、インク流路内のインクの充填状態を判別可能としたことを特徴とするインクジェットヘッド、及び該インクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のノズルからインクを吐出する記録ヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られている。かかるインクジェット式記録装置では、被記録媒体に対向する記録ヘッドはヘッドホルダに設けられ、ヘッドホルダはキャリッジに搭載されて被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に走査される。
【0003】
このような記録ヘッドの一例の分解概略を図8に、また、要部断面を図9に示す。図8及び図9に示すように、圧電セラミックプレート101には、複数の溝102が並設され、各溝102は、側壁103で分離されている。各溝102の長手方向一端部は圧電セラミックプレート101の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各溝102内の両側壁103の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印加用の電極105が形成されている。
【0004】
圧電セラミックプレート101の溝102の開口側には、カバープレート107が接着剤109を介して接合されている。カバープレート107には、各溝102の浅くなった他端部と連通する凹部となるインク室111と、このインク室111の底部から溝102とは反対方向に貫通するインク供給口112とを有する。
【0005】
また、圧電セラミックプレート101とカバープレート107との接合体の溝102が開口している端面には、ノズルプレート115が接合されており、ノズルプレート115の各溝102に対向する位置にはノズル開口117が形成されている。
【0006】
なお、圧電セラミックプレート101のノズルプレート115とは反対側でカバープレート107とは反対側の面には、配線基板120が固着されている。配線基板120には、各電極105とボンディングワイヤ121等で接続された配線122が形成され、この配線122を介して電極105に駆動電圧を印加できるようになっている。
【0007】
このように構成される記録ヘッドでは、インク供給口112から各溝102内にインクを充填し、所定の溝102の両側の側壁103に電極105を介して所定の駆動電界を作用させると、側壁103が変形して所定の溝102内の容積が変化し、これにより、溝102内のインクがノズル開口117から吐出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような記録ヘッドは、側壁に生じた振動エネルギーが流路内のインクに伝播することでインクの吐出が実現され、このためには流路内にインクが隙間無く十分に満たされている必要がある。しかしながら、例えば記録ヘッドに初めてインクを充填する際や、インクの交換を行う際などに、一部の流路にインクが充填されなかったり、流路内に気泡が発生する場合がある。
このような充填不良がある流路では、側壁に生じた振動エネルギーがインクへ十分に伝播せず、インクが吐出しないなどの印字不良が発生する。
【0009】
従来、このような印字不良を回避するため、予め紙等の記録媒体へ実際に印字を行い、全ノズルから正常にインクが吐出されているか否かを目視で判定し、不良であればインクの再充填を行うという処置が行われたが、確認用のインク及び記録媒体を消費する上、手間がかかるという問題があった。
【0010】
また、このような印字不良を予め自動的に検出する方法として、例えば吐出したインク滴を光学的方法を用いて検出し、インクが正常に充填されたか否かを判別する装置が考案されている。しかし、これもインクを消費することに変わり無く、インク滴の検出手段を別途設けなければならず、装置が複雑になるなどの問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、確認用のインクや記録媒体を消費することなく、印字ヘッドのインク充填状態を容易に判別する判別手段を備えるインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、圧電セラミックプレートに形成されたインク流路の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することにより当該インク流路内の容積を変化させてその内部に充填されたインクをノズル開口から吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記インク流路の各側壁に設けられた電極に生じる圧電信号を処理する信号処理手段と、前記インク流路の各側壁に設けられた電極を駆動電圧、基準電圧、前記信号処理手段のいずれかに接続するスイッチ群からなる選択手段と、前記選択手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記選択手段を制御し、前記インク流路の隣接する側壁の一方を駆動し、他方の側壁に生じる圧電信号を検出することによって、前記インク流路内のインクの充填状態を判別する判別手段を備えたことを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0013】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様のインクジェットヘッドにおいて、前記インク流路の側壁を駆動する診断信号を発生する診断信号発生手段と、駆動電圧及び前記診断信号のいずれかを選択し、前記選択手段へ接続する信号切替手段とを設け、インクの充填状態を検出する際、前記信号切替手段は前記診断信号を前記選択手段に接続し、該選択手段が選択した隣接する側壁の一方に前記診断信号が印加されるようにしたことを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0014】
本発明の第3の態様は、前記第2の態様のインクジェットヘッドにおいて、前記駆動手段は、パルス発生回路からなるインクジェットヘッドにある。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記第2の態様のインクジェットヘッドにおいて、前記駆動手段は、正弦波発生回路からなるインクジェットヘッドにある。
【0016】
本発明の第5の態様は、前記第2の態様のインクジェットヘッドにおいて、前記駆動手段は、掃引信号発生回路からなるインクジェットヘッドにある。
【0017】
本発明の第6の態様は、圧電セラミックプレートに形成されたインク流路の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することにより当該インク流路内の容積を変化させてその内部に充填されたインクをノズル開口から吐出するインクジェットヘッドを具備するインクジェット式記録装置において、前記インクジェットヘッドの各側壁に設けられた電極に生じる圧電信号を処理する信号処理手段と、前記インク流路の各側壁に設けられた電極を駆動電圧、基準電圧、前記信号処理手段のいずれかに接続するスイッチ群からなる選択手段と、前記選択手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記選択手段を制御し、前記インク流路の隣接する側壁の一方を駆動し、他方の側壁に生じる圧電信号を検出することによって、前記インク流路内のインクの充填状態を判別する判別手段を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0018】
本発明の第7の態様は、前記第6の態様のインクジェット式記録装置において、前記インク流路の側壁を駆動する診断信号を発生する診断信号発生手段と、駆動電圧及び前記診断信号のいずれかを選択し、前記選択手段へ接続する信号切替手段とを設け、インクの充填状態を検出する際、前記信号切替手段は前記診断信号を前記選択手段に接続し、該選択手段が選択した隣接する側壁の一方に前記診断信号が印加されるようにしたことを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0019】
本発明の第8の態様は、前記第7の態様のインクジェット式記録装置において、前記駆動手段は、パルス発生回路からなるインクジェット式記録装置にある。
【0020】
本発明の第9の態様は、前記第7の態様のインクジェット式記録装置において、前記駆動手段は、正弦波発生回路からなる前記請求項6記載のインクジェット式記録装置にある。
【0021】
本発明の第10の態様は、前記第7の態様のインクジェット式記録装置において、前記駆動手段は、掃引信号発生回路からなるインクジェット式記録装置にある。
【0022】
かかる本発明では、確認用のインクや記録媒体を消費することなく、且つ印字ヘッドのインク充填状態を容易に判別することができ、印字コストの低減及び印字品質の向上に著しい効果が期待できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るヘッドチップの分解斜視図である。図1に示すように、圧電セラミックプレート11には、複数の溝12が並設され、各溝12は、側壁13で分離されている。各溝12の長手方向一端部は圧電セラミックプレート11の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各溝12内の両側壁13の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印加用の電極15が形成されている。
【0025】
ここで、圧電セラミックプレート11に形成される各溝12は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状を利用して形成される。また、各溝12内に形成される電極15は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。
【0026】
このような圧電セラミックプレート11の溝12の開口側には、カバープレート17が接合されている。カバープレート17には、各溝12の浅くなった他端部と連通する凹部となるインク室21と、このインク室21の底部から溝12とは反対方向に貫通するインク供給口22とを有する。
【0027】
ここで、本実施形態では、各溝12は、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の各色のインクに対応したグループに分かれており、インク室21及びインク供給口22は、それぞれ4つずつ設けられている。
【0028】
なお、カバープレート17は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレート11との接合後の変形等を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いるのが好ましい。
【0029】
また、圧電セラミックプレート11とカバープレート17との接合体の溝12が開口している端面には、ノズルプレート25が接合されており、ノズルプレート25の各溝12に対向する位置にはノズル開口27が形成されている。
【0030】
本実施形態では、ノズルプレート25は、圧電セラミックプレート11とカバープレート17との接合体の溝12が開口している端面の大きさより大きくなっている。また、ノズルプレート25は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口27を形成したものである。
【0031】
なお、本実施形態では、圧電セラミックプレート11とカバープレート17との接合体の溝12が開口している端部の周囲には、ノズル支持プレート28が配置されている。このノズル支持プレート28は、ノズルプレートの接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート25を安定して保持するためのものである。
勿論、このノズル支持プレート28は設けなくてもよい。
【0032】
また、このようなヘッドチップ30を駆動するための配線等の設け方も特に限定されないが、以下に、その一例を示す。
【0033】
図2及び図3には、上述したヘッドチップ30を用いたインクジェットヘッド40の製造工程の一例を示す。
【0034】
図2に示すように、圧電セラミックプレート11のノズル開口側とは反対側の端部には電極15に接続される図示しない配線パターンが形成されており、この配線パターンには異方性導電膜31を介してフレキシブルケーブル32が接合される。また、圧電セラミックプレート11とカバープレート17との接合体のノズル支持プレート28の後端側には、圧電セラミックプレート11側のアルミニウム製のベースプレート33と、カバープレート17側のヘッドカバー34とが組み付けられる。ベースプレート33とヘッドカバー34とは、ベースプレート33の係止孔33aにヘッドカバー34の係止シャフト34aを係合することにより固定され、両者で圧電セラミックプレート11とカバープレート17との接合体を挟持する。ヘッドカバー34には、カバープレート17のインク供給口22のそれぞれに連通するインク導入路35が設けられている。
【0035】
次に、図3(a)に示すように、圧電セラミックプレート11の後端側に突出したベースプレート33上には配線基板36が固着され、配線基板36上の回路が異方性導電膜38を介してフレキシブルケーブル32と接続される。これにより、図3(b)のインクジェットヘッド40が完成する。
【0036】
また、本実施形態では配線基板36上にヘッドチップを駆動するための選択手段37及び周辺回路が搭載され、本発明の特徴であるインクの充填状態を判別する判別手段を構成している。以下、その詳細を図4及び図5に基づき説明する。
【0037】
図4において、200はヘッドチップであり、インク流路軸から見た圧電セラミックプレートの断面を斜線部で示している。断面にはインク流路A〜F、側壁ab〜ef、流路に沿って設けられた電極a1〜f2が構成され、同じ流路内の電極例えばa1とa2は圧電セラミックプレートの端部で接続され、配線200a〜200fとして引き出される。
【0038】
選択手段300は例えばCMOS集積回路などで構成されたアナログスイッチ群である。
各々のスイッチ301〜306は駆動電圧Vdd(接点V)、基準電位GND(接点G)、圧電信号(接点S)300sを適宜選択し、配線200a〜200fを通じてヘッドチップ200の各電極a1〜f2に接続する。
【0039】
信号処理手段400は例えばオペアンプ回路等によって構成され、選択手段300によって選択された圧電信号300sを増幅、整流及び積分し検出信号400aとして出力する。
【0040】
制御手段500は例えばA/Dコンバータを備えた一般的なワンチップマイクロコントローラなどで構成され、制御信号500aによって選択手段300を制御するとともに、検出信号400aを基にインクの充填状態を判別する。
【0041】
例えば、流路Dのインクの充填状態を判別する際、制御手段500はスイッチ304を基準電位GND(接点G)へ、またスイッチ305及びスイッチ306を検出コモン300s(接点S)へ接続固定とした後、スイッチ301〜303を同期して駆動電圧Vdd(接点V)及び基準電位GND(接点G)に反復接続する。これにより、側壁cdを挟む電極c2−d1間に図5波形aに示す駆動電圧が印加され、側壁cdが駆動される。側壁cdに生じた振動エネルギーは流路Dに満たされたインクを介して側壁deへ伝播し、側壁deを挟む電極d2−e1間に図5波形bに示す圧電信号が発生する。この圧電信号は配線200e及びスイッチ305及び検出コモン300sを介して信号処理手段400に接続され、増幅、整流、積分が行われ、図5波形cに示す検出信号400aとして制御手段500へ出力される。
【0042】
ここで、側壁deに発生する圧電信号には流路Dのインクの充填状態によって振幅に差が生じる。例えば流路内に気泡が入り込んでいる場合、側壁cdに発生した振動エネルギーはインク中の気泡によってその伝播が阻害され、対向する側壁deに発生する圧電信号も例えば図5波形dに示すように減衰する。またこれに従って検出信号400aも図5波形eのごとく低下する。
【0043】
制御手段500は、こうして得られる検出信号400aの電圧値と、所定の閾値とを比較し、閾値より電圧が大きい場合には流路D内にインクが正常に充填されていると判別し、閾値より電圧が小さい場合には流路D内に気泡等の充填不良が存在すると判別することが可能となる。
さらに制御手段500は接続手段300を制御し、この判別動作を他の流路に対しても同様に行い、全ての流路が正常と判別されれば、実際の印字動作すなわちインクの吐出を行ってよいと判断する。
【0044】
インク吐出の動作は詳述しないが、概略を述べると、
例えば流路Dのインクを吐出させる場合には、制御手段500はスイッチ304を基準電位GND(接点G)に固定接続し、他の全てのスイッチを同期して且つ所定のタイミングで駆動電圧Vdd(接点V)及び基準電位GND(接点G)に反復接続する。これにより、電極c2−d1間及び電極d2−e1間すなわち側壁cd及び側壁deに駆動電圧Vddが印加され、側壁の電歪によって流路Dの体積が変化し、図示しないノズルからインクが吐出される。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態を図6に基づき説明する。
(実施形態2)
本実施形態では、前述の実施形態1の構成に加え、診断信号600aを発生する診断信号発生手段600、及び信号切替手段700を設けている。
前述の実施形態1では、充填状態を判別する際、選択手段300の切替動作によって対向する側壁の一方を駆動したが、実施形態2においては、この駆動を診断信号発生手段600から出力される診断信号600aによって行うようにした。診断信号発生手段600は例えばCMOSインバータ回路等で構成した矩形波発振回路であり、出力される診断信号600aは図5波形aに示すような矩形波信号である。
以下、本実施形態の動作について説明する。
【0046】
例えば、流路Dのインクの充填状態を判別する際、制御手段500は接続手段300を制御し、スイッチ304を基準電位GND(接点G)へ、スイッチ305及びスイッチ306を検出コモン300s(接点S)へ、スイッチ301〜303を駆動電圧Vdd(接点V)に接続固定とする。また、制御手段500は制御信号500bにより信号切替手段700を接点Bへ接続し、診断信号600aを選択手段300へ接続する。これにより、側壁cdを挟む電極c2−d1間に診断信号600aが印加され、側壁cdが駆動される。側壁cdに生じた振動エネルギーは流路Dに満たされたインクを介して側壁deへ伝播し、側壁deを挟む電極d2−e1間に図5波形bに示す圧電信号が発生する。この圧電信号は配線200e及びスイッチ305及び検出コモン300sを介して信号処理手段400に接続され、増幅、整流、積分が行われ、図5波形cに示す検出信号400aとして制御手段500へ出力される。
【0047】
以下、実施形態1と同様に、制御手段500によって検出信号400aの電圧値と所定の閾値とが比較され、流路D内に充填不良が存在するか否かが判別可能となる。
【0048】
なお、本実施形態では診断信号発生手段600を矩形波発振回路、診断信号600aを矩形波信号としたが、診断信号として印加可能な波形はこれに限定されるものではなく、例えば単周期のパルス波形、正弦波、矩形波及び正弦波の断続波であってもよい。これらは使用するインクの種類や流路構造によって左右される振動伝播特性を鑑みて、インクの充填状態が発生する圧電信号に顕著に反映される波形を選択すればよい。
【0049】
また、診断信号発生手段600を掃引信号発生回路とし、周波数あるいは振幅などが時間的に変化する診断信号を側壁に印加する方法も考えられ、これによってインクの充填状態をより詳細に判別することも可能である。
【0050】
以上述べたように、本実施形態によれば、特別な検出装置等を必要とせず、一般的な電子回路によってインクの充填状態を判別可能なインクジェットヘッドが提供可能である。
【0051】
なお、このようなインクジェットヘッドは、例えば、インクカートリッジを着脱自在に保持するタンクホルダに組み付けられ、その後、インクジェット式記録装置のキャリッジに搭載されて使用される。この使用態様の一例の概略を図7に示す。
【0052】
図7に示すように、キャリッジ61は、一対のガイドレール62a及び62b上に軸方向に移動自在に搭載されており、カイドレール62の一端側に設けられてキャリッジ駆動モータ63に連結されたプーリ64aと、他端側に設けられたプーリ64bとに掛け渡されたタイミングベルト65を介して搬送される。キャリッジ61の搬送方向と直交する方向の両側には、ガイドレール62a及び62bに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ66及び67が設けられている。これらの搬送ローラ66及び67は、キャリッジ61の下方に当該キャリッジ61の搬送方向とは直交する方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0053】
このようなインクジェット式記録装置では、被記録媒体Sを送りつつキャリッジ61をその送り方向とは直交方向に走査することにより、インクジェットヘッドによって被記録媒体S上に文字及び画像を記録する。
【0054】
(その他の実施形態)
以上述べた二つの実施形態ではインクの充填状態を判別する判別手段をインクジェットヘッドの内部に搭載するようにしたが、インクジェットヘッドとは別途に形成し、例えばインクジェット式記録装置の制御回路が収納される回路基板上に搭載してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、特別な検出装置等を必要とせず、一般的な電子回路によって流路内のインクの充填状態が正常か否かを確認用のインクや記録媒体を消費することなく予め判別可能であり、印字コストの低減及び印字品質の向上に著しい効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るヘッドチップの分解斜視図及び断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るのインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの組立工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの要部を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る各部の電圧波形及び検出波形の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッドの要部を示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの使用態様を示す斜視図である。
【図8】従来技術に係る記録ヘッドの概要を示す分解斜視図である。
【図9】従来技術に係る記録ヘッドの概要を示す断面図である。
【符号の説明】
200 ヘッドチップ
300 選択手段
400 信号処理手段
400a 検出信号
500 制御手段
600 診断信号発生手段
600a 診断信号
700 信号切替手段
Claims (10)
- 圧電セラミックプレートに形成されたインク流路の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することによりインク流路内の容積を変化させてその内部に充填されたインクをノズル開口から吐出するとともに、前記インク流路を前記圧電セラミックプレートに複数設け、隣り合う前記インク流路が互いに前記側壁を共有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インク流路の各側壁に設けられた電極に生じる圧電信号を処理する信号処理手段と、
前記インク流路の各側壁に設けられた電極を駆動電圧、基準電圧、前記信号処理手段のいずれかに接続するスイッチ群からなる選択手段と、
前記選択手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記選択手段を制御信号によって制御し、
複数の前記インク流路のうち1つのインク流路を検査流路とし、前記検査流路の一方の側壁を電圧印加側壁とし、前記検査流路の他方の側壁を信号検出側壁とし、前記検査流路の前記電圧印加側壁と前記信号検出側壁にそれぞれ設けた前記電極を基準電極として前記基準電圧へ接続し、
前記電圧印加側壁において前記基準電極に対し反対側に設けた電極と前記電圧印加側壁よりも一方側に位置するすべての側壁に設けた電極を電圧印加電極として前記駆動電圧及び前記基準電圧へ反復接続し、
前記信号検出側壁において前記基準電極に対し反対側に設けた電極と前記信号検出側壁よりも他方側に位置するすべての側壁に設けた電極を信号検出電極として前記信号処理手段へ接続し、
前記電圧印加側壁を駆動し、前記信号検出側壁に生じる圧電信号を検出することによって、前記インク流路内のインクの充填状態を判別する判別手段を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記インク流路の側壁を駆動する診断信号を発生する診断信号発生手段と、
前記駆動電圧及び前記診断信号のいずれかを選択し、前記選択手段へ接続する信号切替手段とを設け、
インクの充填状態を検出する際、前記信号切替手段は前記診断信号を前記選択手段に接続し、前記電圧印加電極に前記診断信号が印加されるようにしたことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項2記載のインクジェットヘッドにおいて、前記診断信号発生手段は、パルス発生回路からなるインクジェットヘッド。
- 請求項2記載のインクジェットヘッドにおいて、前記診断信号発生手段は、正弦波発生回路からなるインクジェットヘッド。
- 請求項2記載のインクジェットヘッドにおいて、前記診断信号発生手段は、掃引信号発生回路からなるインクジェットヘッド。
- 圧電セラミックプレートに形成されたインク流路の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することによりインク流路内の容積を変化させてその内部に充填されたインクをノズル開口から吐出するとともに、前記インク流路を前記圧電セラミックプレートに複数設け、隣り合う前記インク流路が互いに前記側壁を共有するインクジェットヘッドを具備するインクジェット式記録装置において、
前記インクジェットヘッドの各側壁に設けられた電極に生じる圧電信号を処理する信号処理手段と、
前記インク流路の各側壁に設けられた電極を駆動電圧、基準電圧、前記信号処理手段のいずれかに接続するスイッチ群からなる選択手段と、
前記選択手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記選択手段を制御信号によって制御し、
複数の前記インク流路のうち1つのインク流路を検査流路とし、前記検査流路の一方の側壁を電圧印加側壁とし、前記検査流路の他方の側壁を信号検出側壁とし、前記検査流路の前記電圧印加側壁と前記信号検出側壁にそれぞれ設けた前記電極を基準電極として前記基準電圧へ接続し、
前記電圧印加側壁において前記基準電極に対し反対側に設けた電極と前記電圧印加側壁よりも一方側に位置するすべての側壁に設けた電極を電圧印加電極として前記駆動電圧及び前記基準電圧へ反復接続し、
前記信号検出側壁において前記基準電極に対し反対側に設けた電極と前記信号検出側壁よりも他方側に位置するすべての側壁に設けた電極を信号検出電極として前記信号処理手段へ接続し、
前記電圧印加側壁を駆動し、前記信号検出側壁に生じる圧電信号を検出することによって、前記インク流路内のインクの充填状態を判別する判別手段を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項6記載のインクジェット式記録装置において、
前記インク流路の側壁を駆動する診断信号を発生する診断信号発生手段と、
前記駆動電圧及び前記診断信号のいずれかを選択し、前記選択手段へ接続する信号切替手段とを設け、
インクの充填状態を検出する際、前記信号切替手段は前記診断信号を前記選択手段に接続し、前記電圧印加電極に前記診断信号が印加されるようにしたことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項7記載のインクジェット式記録装置において、前記診断信号発生手段は、パルス発生回路からなるインクジェット式記録装置。
- 請求項7記載のインクジェット式記録装置において、前記診断信号発生手段は、正弦波発生回路からなるインクジェット式記録装置。
- 請求項7記載のインクジェット式記録装置において、前記診断信号発生手段は、掃引信号発生回路からなるインクジェット式記録装置。
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