JP4633286B2 - 熱収縮性ラベル用白色フィルム、それを用いた熱収縮性ラベル及び容器 - Google Patents

熱収縮性ラベル用白色フィルム、それを用いた熱収縮性ラベル及び容器 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は容器に熱収縮装着される熱収縮性ラベルを作製するためのフィルム、該フィルムから作製された熱収縮性ラベル、及び、該ラベルを熱収縮装着した容器に関するものであって、より詳しくは、可視光線を遮蔽して容器内に充填された飲料等の変質、変色等を防止する熱収縮性ラベルを作製するための白色フィルム、該白色フィルムから作製された熱収縮性ラベル、及び、該ラベルを熱収縮装着した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料等液状の商品は紙箱、金属缶、ペットボトル等のプラスチックボトルやガラス瓶に充填されて販売されるのが一般的である。しかしながら紙箱や金属缶は、例えば内容量が500ml以上の1回では飲みきれず、飲みさしを再封したいときに、再封手段を持たないため不便である。
一方、プラスチックボトルやガラス瓶はキャップという再封手段を有しているので、内容量の多い飲料等液状の商品の容器として便利である。
しかしながらプラスチックボトルやガラス瓶は紙箱や金属缶のような遮光性に欠けるため、例えば、清酒、ビール、緑茶等のように光によって変質や変色が起こりやすいものには、遮光性を付与するために着色されたプラスチックボトルやガラス瓶が使用されているが、これらの着色容器はリサイクルのときに問題となる場合が多い。
【0003】
そこで無色透明なプラスチックボトルやガラス瓶に、遮光性のある熱収縮性ラベル(以下単に、ラベルと称す)を用いてそのほぼ全面に熱収縮装着させれば、これらの問題が一挙に解決できる。
遮光性のあるラベルとしては、特開昭63−193822号公報や特開平5−111960号公報で開示されたものがある。
特開昭63−193822号公報では、相溶性に欠けるポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物からなる未延伸フィルムを延伸することによって得られた、又は、インフレーション法にて押出及び延伸製膜することによって得られた、内部に空洞を有する隠蔽度に優れたラベルが開示されている。
また、特開平5−111960号公報では、相溶性に欠けるポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物からなる未延伸フィルムを延伸することによって得られた、内部に空洞を有するクッション性に優れたラベルが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらのものは内部に空洞を有するラベル(フィルム)であるので、伸びやすく、硬さ(腰)も不足し、引き裂き強度も弱く、以下のような問題がある。即ち、▲1▼フィルムが伸びやすいため、印刷時にピッチズレが起こりやすく、半調印刷のような精巧な印刷が難しい。▲2▼硬さ(腰)が不足するため、自動機による容器への装着時に装着ミスが起こりやすい。▲3▼一般に、センターシール加工で筒状にして巻き取ったフィルムの外側端部は、次工程でガイドロールを通過する際微細なクラックが入りやすいが、微細なクラックがあると、引き裂き強度が弱いため熱収縮装着時、収縮応力によってラベルが破れやすい。
【0005】
本発明の課題は、プラスチックボトルやガラス瓶等の容器に熱収縮装着されるラベルであって、遮光性を有し、且つ、伸びにくく、硬さ(腰)があり、引き裂き強度も強いラベルを作製するためのフィルムを提供することにある。
また、該フィルムから作製されたラベルを提供することにあり、さらには、該ラベルを熱収縮装着した容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明は、直径0.2〜1.0μmの白色微粒子とスチレン系樹脂を含有する白色熱可塑性樹脂層を含む熱収縮性ラベル用白色フィルムであって、80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が15%以上であり、主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値が50%以下であり、且つ、フィルムの断面を顕微鏡写真に撮って観察し、70%以上の微粒子がその周辺に微粒子の断面積以上の空洞を実質的に含まない熱収縮性ラベル用白色フィルムであることを特徴とする。また、該白色フィルムから作製されたラベルであることを特徴とし、さらには、該ラベルが熱収縮装着した容器であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の白色微粒子とは特に限定するものではなく、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシュウム、炭酸マグネシュウム、タルク、カオリン、硫酸バリュウム、酸化亜鉛、酸化アルミニュウム、酸化マグネシュウム、シリカ等、又はこれらの混合物が例示できる。これらの中でも、二酸化チタンが、特にルチル型二酸化チタンが着色力(白色度)、耐候性、耐熱性、鮮明性等の点から好ましい。
【0008】
白色微粒子の直径(又は長径)は好ましくは5.0μm未満、より好ましくは1.0μm未満、さらに好ましくは0.5μm未満である。直径(又は長径)が5.0μm以上では、熱可塑性樹脂となじみやすくするために、例えば白色微粒子に表面処理を施したとしても、空洞がその周囲に発生しやすい傾向にある。
熱可塑性樹脂層中の白色微粒子の含有量はその遮光能力や熱可塑性樹脂層の厚さに依存するので一概に特定できないが、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値が50%以下となるように、適宜予備実験によって決めればよい。
【0009】
本発明の白色微粒子を含有する白色熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては特に限定するものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、高密度又は中密度ポリエチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が例示できる。これらの中でも、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及び環状オレフィン系樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂に白色微粒子を含有させる方法としては特に限定するものではなく、公知の如何なる方法を用いてもよい。好ましい方法として、熱可塑性樹脂と白色微粒子、必要に応じ分散剤、酸化防止剤等とを、ドラムタンブラーやヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし、2軸の混練押出機を用いて溶融混練し、ストランドダイスからストランドにブレンド物を押出し、空中又は水中でカッティングしてペレット化する方法が例示できる。該ペレットは高濃度の白色微粒子を含むマスターバッチとしてもよい。
なお、白色微粒子の水分含有率が高い場合には、押出の際に微発泡が起こる場合があるが、この場合には2軸の混練押出機において真空脱気することが望ましい。
また、色目の調整のために、ドライブレンド時にブルーイング剤等で色目の調整を行ってもよい。
【0010】
本発明のフィルムは白色熱可塑性樹脂層のみからなるものであってもよいが、白色熱可塑性樹脂層を中間層とし、それと同種の又は異種の熱可塑性樹脂からなる実質上透明な樹脂層を表裏層とする少なくとも3層構成のフィルムがより好ましい。
実質上透明な樹脂層を表裏層として設けることにより、表面光沢度が増すので、その上に印刷された印刷面の美麗感が増す。また、センターシール加工時に於いて安定的な加工ができる。さらには、表裏層がないと白色微粒子の欠落が起こりやすいが、表裏層を設けることによって白色微粒子の欠落を防止できる等の利点がある。
【0011】
本発明のフィルムのより好ましい形態として、中間層が、白色微粒子を含有する耐衝撃性ポリスチレン樹脂及び/又はグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂を主成分とし、表裏層がスチレン−共役ジエンブロック共重合体を主成分とする少なくとも3層構成のフィルムを挙げることができる。
【0012】
中間層を構成する耐衝撃性ポリスチレン樹脂とは、ポリスチレンとポリブタジエンやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物、または、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにスチレン系単量体をグラフト重合させたものをいう。
また、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリスチレンからなる連続相に、ポリスチレンを内部に包含し、且つ、ポリスチレンがポリブタジエン等ゴム成分にグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本としたものをいう。
【0013】
中間層にはさらに、耐衝撃性ポリスチレン樹脂及び/又はグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂100重量部に対して、スチレン−共役ジエンブロックエラストマー2〜50重量部及び/又はスチレン−共役ジエンブロックコポリマー5〜60重量部を含む層とすることがより望ましい。
スチレン−共役ジエンブロックエラストマーとは、スチレンブロックとブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロックとを含み、スチレン含有量5〜50重量%、共役ジエン含有量95〜50重量%のエラストマーをいう。
また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマーとは、スチレンブロックとブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロックとを含み、スチレン含有量55〜95重量%、共役ジエン含有量45〜5重量%のコポリマーをいう。なお、スチレン−共役ジエンブロックコポリマーに他の成分を含めた3元、4元コポリマーも本発明の中に入る。他の成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族カルボン酸やその誘導体が例示できる。さらには共役ジエンに基づく二重結合残基の一部を水添したものも例示できる。
また、中間層には、帯電防止剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や他の樹脂等公知のものを合目的的に添加してもよい。
【0014】
表裏層を構成するスチレン−共役ジエンブロック共重合体とは、スチレンブロックとブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロックとを含み、スチレン含有量55〜95重量%、共役ジエン含有量45〜5重量%の共重合体をいい、例えばS−J−SやJ−S−J、あるいは(S−J)−Sや(J−S)−J(Sはスチレンブロック、Jは共役ジエンブロック、nは2以上の整数を表す)が例示できる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体に他の成分を含めた3元、4元共重合体も本発明の中に入る。他の成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族カルボン酸やその誘導体が例示できる。
さらには共役ジエンに基づく二重結合残基の一部を水添したものも例示できる。
【0015】
スチレン−共役ジエンブロック共重合体はビカット軟化点が70℃以上であることが好ましい。より好ましくは80〜100℃である。70℃未満だとフィルムが温かいときにブロッキングし易い傾向にある。100℃を超えると低温域での収縮速度に悪影響を及ぼす傾向にある。
スチレン−共役ジエンブロック共重合体はビカット軟化点や分子量等が違う2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
表裏層にはスチレン−共役ジエンブロック共重合体に加えて、ポリスチレン(GPPS)をさらに配合することが望ましい。ポリスチレンを配合すると、自然収縮率のさらなる低減化、フィルムのブロッキング防止性のさらなる向上等に有効であるからである。
また、表裏層には、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や他の樹脂等公知のものを合目的的に添加してもよい。
【0017】
ポリスチレンの配合量は、スチレン−共役ジエンブロック共重合体100重量部に対して好ましくは5〜70重量部、より好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは20〜30重量部である。5重量部未満では前記の効果が小さく、70重量部を超えると延伸性が悪くなる傾向にあり、また、低温収縮性も悪くなる傾向にある。
表層と裏層とで配合量を変えてもよいが、カール等の点からは同じ配合量であるのが望ましい。
【0018】
中間層として、前記耐衝撃性ポリスチレン及び/又はグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンに代えて、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及び/又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体であってもよい。
スチレン−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体とは、スチレン系単量体とアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合体をいう。
スチレン系単量体とはスチレンやα−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体をいう。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとは、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸と少なくとも1種の炭素数が1〜14の脂肪族アルコールとのエステル、より好ましくは少なくとも1種の炭素数が2〜10の脂肪族アルコールとのエステルである。さらに好ましくはアクリル酸ブチルである。
【0019】
スチレン−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体はビカット軟化点が80℃以下であることが好ましい。より好ましくは75〜55℃である。80℃を超えると低温域での熱収縮速度が低下し、一方、55℃未満だと夏場に樹脂がブロッキングする恐れがある。
スチレン−アクリル酸エステル共重合体及び/又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体はビカット軟化点や分子量等が違う2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
中間層にはスチレン−アクリル酸エステル共重合体及び/又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体に加えて、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン等の各種ポリスチレン系樹脂をさらに配合してもよい。とりわけスチレン−共役ジエンブロック共重合体を配合することがより望ましい。何故ならば、スチレン−共役ジエンブロック共重合体を配合することによって、フィルムのもろさ、伸度、耐衝撃強度等が改善されるからである。
スチレン−共役ジエンブロック共重合体とは前記したものである。
【0021】
スチレン−共役ジエンブロック共重合体の配合量は、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及び/又はスチレン−メタクリル酸エステル共重合体100重量部に対して好ましくは5〜95重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。5重量部未満では前記の効果が小さく、95重量部を超えると自然収縮率が大きくなる傾向にある。
スチレン−共役ジエンブロック共重合体はスチレン含有量や分子量等が違う2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
フィルムのトータル厚さは特に限定するものではないが、通常20〜150μm、好ましくは30〜80μmである。
中間層と表裏層との厚さの比率は、フィルムの熱収縮特性、耐ブロッキング性、自然収縮率等を考慮して決めればよい。好ましくは表層/中間層/裏層=1/2/1〜1/20/1、より好ましくは表層/中間層/裏層=1/5/1〜1/12/1である。中間層の厚さが1/2/1より小さい場合には低温域での熱収縮特性が充分でなくなる傾向にあり、1/20/1を超える場合には耐衝撃強度、耐ブロッキング性、自然収縮率に対して好ましくなくなる傾向にある。
積層方法はドライラミ、押出しラミ等公知のいかなる方法でもよいが、共押出しによる方法が簡便でより好ましい。
【0023】
本発明のフィルムのより好ましい他の形態として、中間層が白色微粒子を含有するポリエステル系樹脂を主成分とし、表裏層がポリエステル系樹脂を主成分とする少なくとも3層構成のフィルムを挙げることができる。
ポリエステル系樹脂としては、好ましくは一般に共重合ポリエステル樹脂と呼ばれる樹脂を主成分とするものである。共重合ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては公知のものでよく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4’−ジカルボン酸ジフェニール等のジカルボキシビフェニール類、5−t−ブチルイソフタル酸等の置換フタル酸類、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の置換ジカルボキシルビフェニル類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸及びその置換体等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメル酸、スぺリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タブシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその置換体、4,4’−ジカルボキシシクロヘキサン等の脂環族ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられる。そしてジオール成分としては公知のものでよく、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコール等の芳香族系のジオール類、あるいはジエチレングリコール等が挙げられる。
共重合ポリエステル樹脂は1種類でもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。また、少量のポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等を混合してもよい。
中間層と表裏層を構成する共重合ポリエステル樹脂は同種のものであってもよいし、それぞれ異種のものであってもよい。
表層、中間層、裏層の厚さの比率及びフィルムのトータル厚さは、前記したポリスチレン系多層フィルムと同様である。
また各層には、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や他の樹脂等公知のものを合目的的に添加してもよい。
【0024】
本発明のフィルムのより好ましい他の形態として、中間層が、白色微粒子を含有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を主成分とし、表裏層が環状オレフィン系樹脂100重量部に直鎖状低密度ポリエチレン40〜150重量部を含む樹脂組成物を主成分とする少なくとも3層構成のフィルムを挙げることができる。
【0025】
環状オレフィン系樹脂とは一般的な総称であり、具体的には、(a)環状オレフィンの開環(共)重合体を必要に応じ水素添加した重合体、(b)環状オレフィンの付加(共)重合体、(c)環状オレフィンとエチレン、プロピレン等α−オレフィンとのランダム共重合体、(d)前記(a)〜(c)を不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体等が例示できる。環状オレフィンとしては特に限定するものではなく、例えばノルボルネンやテトラシクロドデセン、あるいはそれらの誘導体が例示できる。
【0026】
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、好ましくは50〜100゜C、より好ましくは60〜90゜Cである。50゜C未満では、自然収縮率が大きくなりすぎる傾向にあり、100゜Cを超えると、低温域における主収縮方向の熱収縮率が小さくなりすぎる傾向にある。
【0027】
表裏層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.910〜0.935g/cm、より好ましくは0.912〜0.930g/cm、さらに好ましくは0.915〜0.925g/cmである。密度が0、910g/cm未満の場合には、フィルム表面の耐熱性が低下し、熱がかかると表面が粘着するようになり、ラベルとして使用する場合、装着ライン上で容器同士がブロッキングする現象が発生しやすい傾向にある。一方、密度が0.935g/cmを超える場合には耐熱性が向上する反面、延伸の際高温でないと延伸できなくなり、フィルム全体が白っぽくなりヘイズの悪いフィルムとなる傾向にある。
【0028】
また、直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N)は、好ましくは0.2〜30g/10min、より好ましくは0.5〜25g/10min、さらに好ましくは1.0〜20g/10minである。MFRが0.2g/10min未満の場合には環状オレフィン系樹脂との混練分散が悪くなり、表面状態の悪いフィルムとなる傾向にある。一方、MFRが30g/10minを超える場合には粘度の低下が大きく、ダイスからの引き落とし時ネッキングが大きくなるので、所定の原反幅がとれなくなる場合があり、また、フィルム強度的にも低下する傾向にある。
【0029】
直鎖状低密度ポリエチレンのエチレンと共重合されるα−オレフィンとしては炭素数4〜12からなるものが好ましく、これらの中でも1−ブテンもしくは1−ヘキセンとの2元共重合体、又は1−ブテンと1−ヘキセンとの3元共重合体がより好ましい。これらの中でも、さらに好ましくは1−ブテンとの2元共重合体である。
【0030】
環状オレフィン系樹脂に配合される直鎖状低密度ポリエチレンの量は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは60〜120重量部、より好ましくは70〜90重量部である。40重量部未満ではコロナ放電処理を施す場合に滑性の維持が難しくなる傾向にある。一方、150重量部を超えると透明性や光沢に劣り、また、センターシールをする場合には有機溶剤で安定して行うことができない。
表層と裏層の樹脂組成、即ち、環状オレフィン系樹脂や直鎖状低密度ポリエチレンの種類(MFRの差違も含む)は同じものであっても異なるものであってもよい。また、それらを2種類以上含むものであってもよい。
また、樹脂組成比も同じものであっても異なるものであってもよい。
【0031】
環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとの樹脂組成物からなる表裏層には、さらに炭化水素樹脂類を添加することが望ましい。炭化水素樹脂類を添加することにより、フィルム表面の光沢度が向上するという効果が得られる。
炭化水素樹脂類の添加量は、環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとの樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部である。添加量が2重量部未満の場合には添加による効果が小さく、20重量部を超える場合には、フィルムが硬く脆く、裂けやすいフィルムとなり、また、フィルム表面がベタツキ、ブロッキングの原因となる傾向にある。
【0032】
炭化水素樹脂類とは脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、又はそれらの水素添加物等一般に石油樹脂と呼称されるもの、あるいはロジン、ロジンエステル、テルペン樹脂等をいい、特に、これらの水素添加物がより好ましい。
【0033】
表裏層には本発明の本質を損なわない範囲内で、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤、あるいは他の樹脂等公知のものを合目的的に添加してもよい。
【0034】
中間層に用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とはプロピレンを主成分とするもので、α−オレフィンとしては炭素数2〜12(3は除く)からなるものが好ましく、共重合体は2種類以上のα−オレフィンを含むものであってもよい。また、異なる種類(MFRの差違も含む)のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の混合物であってもよい。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、より好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体である。さらに好ましくはエチレン含有量が2〜7モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。
【0035】
中間層にはさらに炭化水素樹脂類を添加することが望ましい。炭化水素樹脂類を添加することにより、熱収縮率を大きくするという効果が得られる。
炭化水素樹脂類の添加量は、プロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して好ましくは5〜70重量部、より好ましくは35〜55重量部である。5重量部未満の場合には添加による効果が小さく、70重量部を超える場合には硬く脆くなり、強度の小さいフィルムとなり、また、フィルム製造時に樹脂が押出機のスクリューに巻き付きやすく、吐出変動を起こしやすい傾向にある。
炭化水素樹脂類とは前記したものである。
【0036】
中間層にはさらに直鎖状低密度ポリエチレンを添加することが望ましい。直鎖状低密度ポリエチレンを添加することにより、フィルムの耐衝撃性が向上し、またフィルムが3層構成の場合、表裏層の直鎖状低密度ポリエチレンと相まって層間剥離強度が向上するという効果が得られる。
直鎖状低密度ポリエチレンの添加量は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体と炭化水素樹脂類との樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部である。添加量が2重量部未満の場合には添加による効果が小さく、30重量部を超える場合にはフィルムの透明性が低下し、また、フィルムが柔らかくなり、ラベルとして使用した場合、自動装着機でのトラブルが起こりやすい傾向にある。
直鎖状低密度ポリエチレンとは前記したものである。
【0037】
中間層にはさらにゴム成分を添加することが望ましい。ゴム成分を添加することにより、フィルムの耐衝撃性が向上するという効果が得られる。
ゴム成分の添加量は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体と炭化水素樹脂類との樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部である。添加量が2重量部未満の場合には添加による効果が小さく、30重量部を超える場合にはフィルムの透明性が低下する傾向にある。
ゴム成分としては特に限定するものではなく、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム等が例示できる。これらの中でもエチレン−プロピレンゴムがより好ましい。
【0038】
中間層には本発明の本質を損なわない範囲内で、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤、あるいは他の樹脂等公知のものを合目的的に添加してもよい。
表層、中間層、裏層の厚さの比率及びフィルムのトータル厚さは、前記したポリスチレン系多層フィルムと同様である。
【0039】
本発明のフィルムは、80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が15%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上のものである。15%未満では、本発明のフィルムから作製されたラベルを容器にタイトに熱収縮装着することができない。ここでいう主収縮方向とは、フィルムの縦方向と横方向とで収縮率が大きい方をいう。
主収縮方向と直交する方向の前記条件下での熱収縮率は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明において熱収縮率の測定を、熱風によらずに温水中としたのは、熱風よりも温水中の方が測定値のバラツキが小さいためである。
【0040】
また、本発明のフィルムは、主収縮方向に5%収縮させたときの、波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値が50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下のものである。50%を超えると、遮光性に劣るので中味商品の変質や変色を防止する能力が小さくなり、好ましくない。また、後記するように裏面に銀や墨のベタ印刷を施すと表側から銀や墨の色が透けて見えるようになり、好ましくない。
なお、主収縮方向に5%収縮させるのは、容器の径に対して余裕率が5%前後のラベルを使用するのが一般的だからである。
主収縮方向に5%収縮させたときの、波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値が50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下の本発明のフィルムは、波長が200〜400nmの紫外領域での最大透過率が15%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下となるので、紫外線によって変質や変色が起こりやすい商品であっても保護できるという利点もある。
【0041】
また、本発明のフィルムは白色のものである。他商品との差別化、商品の視認性の向上、注意書き等の目的で、通常、フィルム表面には多色印刷が施される。もしも着色によって遮光性を付与したフィルムであれば、その着色を見えなくするために白ベタ印刷を分厚くしなければならないが、本発明のフィルムは白色のものであるから、そのような必要がない。場合によっては白ベタ印刷を省略することもできる。
また、さらなる遮光性を付与するために、場合によっては、フィルムの裏面に白、銀、墨等のベタ印刷を行ってもよい。
【0042】
さらに、本発明のフィルムは空洞を実質的に含まないフィルムである。本発明でいう空洞を実質的に含まないフィルムとは、フィルムの断面を(電子)顕微鏡写真に撮って観察して、ほとんどの微粒子(70%以上の微粒子)がその周囲に微粒子の断面積以上の空洞を含まないもの、好ましくはほとんどの微粒子(70%以上の微粒子)がその周囲に微粒子の断面積の半分以上の空洞を含まないもの、より好ましくは空洞が殆ど認められないものをいう。(電子)顕微鏡写真の倍率は白色微粒子の直径(又は長径)によって適宜選定すればよい。通常は 500〜200000倍程度が望ましい。
また、フィルムが白色熱可塑性樹脂層のみからなるものであれば、後記する測定法によって得られるフィルムの見掛け比重をAとし、フィルムの原料配合から計算によって得られるフィルム原料の真比重をBとして、下記式1から導かれるX値が0.88以上、好ましくは0.91以上、より好ましくは0.94以上、さらに好ましくは0.96以上のものとしても規定できる。
X=A/B (式1)
また、フィルムが白色熱可塑性樹脂層を中間層とし、それと同種の又は異種の熱可塑性樹脂からなる実質上透明な樹脂層を表裏層とする少なくとも3層構成の多層フィルムである場合には、該多層フィルムと同じ厚さで同じ製造条件でもって白色熱可塑性樹脂層のみからなるフィルムを製造してそのX値を求めてもよい。
X値が0.88未満のフィルムでは実質的に空洞を含むので、伸びやすく、硬さ(腰)も不足し、引き裂き強度も弱く前記したような問題が起こりやすくなり、好ましくない。
【0043】
本発明のフィルムはフラット法、チューブラー法等公知の方法によって製造することができる。例えばフラット法の場合では、(複数の)押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイスから(共)押出し、引き取りロールで引き取り、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、印刷を施す面に必要ならコロナ放電処理をして、巻き取り機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。延伸倍率は主延伸方向(主収縮方向)に相当する方向が2〜12倍、好ましくは3〜8倍、それと直交する方向が1〜3倍(1倍とは延伸していないという意味)、好ましくは1〜2倍の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定するのが望ましい。何故ならば、通常の二軸延伸の倍率比で得られるフィルムは主延伸方向(主収縮方向)と直交する方向の熱収縮率も大きくなるので、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルム(ラベル)が熱収縮いわゆる縦引け現象が起こり、好ましくないからである。
【0044】
かくして得たフィルムから収縮ラベルを作製する方法を例示する。前記の実質的に一軸延伸の範疇にある倍率比で製造したフィルムの表面にグラビア印刷等適宜の方法によって印刷を施す。このときシール代となるフィルムの端部は非印刷部となるような印刷図柄とするのが一般的である。
【0045】
かくして得た印刷済みのフラット状熱収縮性フィルムからチューブ状のラベルを得るための1実施例として、有機溶剤によるセンターシールについて図1に基づいて説明する。図1は代表的なセンターシール加工方法を表す簡略図であり、1は表面印刷面が外側にくるようにして両端部を封筒状にして折り畳んだフラット状フィルム、2はセンターシールしてなるチューブ状フィルム、3はセンターシール部、4はシール代、5は有機溶剤を塗布するノズル、6はニップロールを示す。
フィルムは図1の矢印方向に走行し、ノズル5からシール代4に有機溶剤が塗布され、ニップロール6にて圧着することにより、チューブ状フィルムを作製する。次いで、これを適宜の長さにカットしてラベルが得られる。
なお、センターシールの速度は通常80〜170m/分、好ましくは120〜150m/分である。
用いる有機溶剤は、フィルムの表裏層を溶解又は膨潤させるものであれば特に限定するものではない。
【0046】
本発明でいう容器とは、本発明のフィルム(ラベル)が効果的に機能する無色透明な容器をいい、例えば、無色のペットボトル等のプラスチックボトルや無色のガラス瓶が例示できる。
また、中味商品としては特に限定するものではないが、可視光線や紫外線によって変質や変色の起こりやすい飲料等において本発明のフィルム(ラベル)が最も効果的に機能する。
【0047】
【実施例】
次に本発明の代表的な実施例を挙げて説明する。
【0048】
フィルムを80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向(主延伸方向)の熱収縮率の測定は以下の方法による。即ち、フィルムから縦×横=100.0mm×100.0mmのサンプル10枚を正確に切り取る。そしてこのサンプルの1枚を80℃の温水中に10秒間浸漬させ、すぐに冷水にて冷却した後、縦方向または横方向(主収縮方向、即ち、主延伸方向に相当する方向)の長さL(mm)を測定する。そして100−Lを算出する。同様のことを残りの9枚のサンプルで繰り返し、計10枚の平均値を80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率とした。
【0049】
フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値は以下の方法による。即ち、フィルムから主収縮方向×直角方向=150.0mm×100.0mmのサンプルを切り取る。次いで、主収縮方向の長さが判るように100.0mm間隔の標線をサンプルに正確に入れる。次いで、間隔が95.0mmの治具の両端部に標線がくるようにして(即ち、主収縮方向にサンプルを5%たるませて)セットし、80℃温水中に治具ごと10秒間浸漬させ、すぐに冷水にて冷却した後、治具からサンプルを取り外す。次いで、5%収縮させた部分を切り取り、メタノールで表裏面を洗浄し、風乾する。このようにして得られたサンプルを分光光度計(日立製作所製 U−3410 spectro photometer)にセットして、400nmから700nmまで連続的に測定した全光線透過率の平均値を求めた(JIS K−7105に準拠)。同様にして計10回測定を繰り返し、全光線透過率の平均値の平均値を、主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値とした。併せて、200nmから400nmまでの紫外線透過率も測定した。
【0050】
フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの表面及び裏面の光沢度の測定は以下の方法による。即ち、前記と同様にして得られたサンプルの表面及び裏面を光沢度測定機(日本電色工業株式会社製 Gloss Meter VG2000)にセットして、表面及び裏面の光沢度を測定した(JIS Z−8741に準拠)。
同様して計10回測定を繰り返し、その平均値を、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの表面及び裏面の光沢度とした。
【0051】
フィルム断面の電子顕微鏡写真による評価は以下の方法による。即ち、OsO染色超薄切片法にて調製したフィルムの断面を、透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200EX)を用いて倍率50000倍にて写真に撮り、空洞の有無を観察した。
【0052】
X値の求め方は以下の方法による。即ち、フィルムから縦×横=100.0mm×100.0mmのサンプルを正確に切り取る。次いでその厚さを100点測定して厚さの平均値α(μm)を求める。次いで、その重さβ(mg)を測定する。そして、(β×10−3)/(10×10×α×10―4)を計算によって求め、サンプルの見掛け比重A’とする。同様にして計10回繰り返して得られた各サンプルの見掛け比重A’の平均値をフィルムの見掛け比重Aとする。一方、フィルムの原料配合から計算によって得られるフィルム原料の真比重をBとする。そして下記式1からX値を求めた。
X=A/B (式1)
【0053】
(実施例1)
中間層(B)としてグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン(A&Mスチレン株式会社製 SS−700)100重量部とスチレン−ブタジエンブロックエラストマー(旭化成工業株式会社製 タフプレン126)8重量部と二酸化チタンマスターバッチ(ベース樹脂:A&Mスチレン株式会社製 SS−700 40重量%、ルチル型二酸化チタン(平均粒子径220nm)60重量%)20重量部との混合物を押出機を用いて溶融混練し、更にもう2台の押出機を用いて、表裏層(A)(C)としてポリスチレン(GPPS)20重量%を含むスチレン−ブタジエンブロック共重合体(電気化学工業株式会社製 クリアレン200ZH)100重量部と帯電防止剤マスターバッチ(花王株式会社製 エレストマスターSB−10)1.4重量部とアンチブロッキング剤マスターバッチ(ベース樹脂:電気化学工業株式会社製 クリアレン200ZH 90重量%、有機系アンチブロッキング剤:東振化学株式会社製 アートパールF−5P 10重量%)0.8重量部との混合物を溶融混練し、(A)/(B)/(C)の順になるように190℃のTダイス内で融着積層して押出し、45℃の引き取りロールを用いて引き取り、温度90℃で縦方向に1.4倍ロール延伸し、115℃で14秒間予熱した後、90℃で横方向に5.0倍テンター延伸し、テンター出口近辺で温度85℃、時間17秒かけて3.7%横方向に弛緩させながらアニールし、40℃の冷却ロールを用いて冷却して、熱収縮性ラベル用白色フィルムを得た。フィルムの平均厚さは表層(A)、裏層(C)が共に5μm、中間層(B)が40μm、トータル50.0μmであった。
80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向(横方向)の熱収縮率、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値、及び、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの表面と裏面の光沢度を表1に示す。また、このフィルムの断面を電子顕微鏡写真に撮って確認したところ、空洞は認められなかった。
なお、主収縮方向と直交する方向(縦方向)の80℃温水中10秒間浸漬したときの熱収縮率は−1%、波長が200〜400nmの紫外領域での最大透過率は3%(400nmの所)であった(図2参照)。
【0054】
(実施例2)
このフィルムの裏面(C)にグラビア印刷機で5色印刷をした。印刷図柄はフィルムの幅方向に3丁取りで、それぞれの端部は非印刷部となるものを使用した。次いで、スリッター機で3丁にスリットした。
次いで、有機溶剤としてn−ヘキサン/テトラヒドロフラン=100/20(重量比)の混合溶剤を用い、印刷面が外にくるようにして、図1に示す装置で加工速度130m/分でセンターシールした。なお、折り径は113mm、シール代は4mm幅であった。 次いで、このチューブを183mm長にカットしてラベルとし、内容量が500mlのペットボトルに被せ、湿熱方式の収縮トンネル(長さ5m、温度80℃−85℃−93℃の3ゾーン)を用いて8秒で熱収縮装着させた。ラベルはタイトにボトルに装着しており、シワ、アバタ等のない美麗なものであった。
【0055】
(実施例3)
グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン(A&Mスチレン株式会社製 SS−700 真比重:1.08)100重量部とスチレン−ブタジエンブロックエラストマー(旭化成工業株式会社製 タフプレン126 真比重:0.95)8重量部と二酸化チタンマスターバッチ(ベース樹脂:A&Mスチレン株式会社製 SS−700 40重量%、ルチル型二酸化チタン(平均粒子径220nm、真比重4.10)60重量%)20重量部との混合物を押出機を用いて溶融混練し、実施例1と同様にして厚さ50.0μmの単層のフィルムを得た。
80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向(横方向)の熱収縮率、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値、及び、フィルムを主収縮方向に5%収縮させたときの表面と裏面の光沢度を表1に示す。また、このフィルムのX値は0.972であった。
なお、主収縮方向と直交する方向(縦方向)の80℃温水中10秒間浸漬したときの熱収縮率は−2%、波長が200〜400nmの紫外領域での最大透過率は2%(400nmの所)であった(図3参照)。
次いでこのフィルムを用いて実施例2と同様にしてラベルを作製し、ペットボトルに熱収縮装着させた。ラベルはタイトにボトルに装着しており、シワ、アバタ等のない美麗なものであった。
【0056】
Figure 0004633286
【0057】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成からなるので、以下の効果を奏す。
【0058】
本発明のフィルムは空洞を含むフィルムに比し、伸びにくく、硬さ(腰)があり、引き裂き強度に優れるので、優れたラベルを作製することができる。
また、遮光性に優れるため、本発明のフィルムから作製されたラベルを熱収縮装着した無色透明な容器は、可視光線や紫外線で変質や変色が起こりやすい中味商品を保護する機能を有している。
また、白色であるため、本発明のフィルムから作製されたラベルを熱収縮装着した無色透明な容器は清潔感に富む。
さらに、容器は無色透明なものであるので、リサイクル時に問題がない。
2
【図面の簡単な説明】
【図1】有機溶剤によるセンターシール加工方法を示す簡略図である。
【図2】実施例1で得たフィルムの波長が200〜800nmにおける光線透過率の測定チャート図である。
【図3】実施例3で得たフィルムの波長が200〜800nmにおける光線透過率の測定チャート図である。
【符号の説明】
1 フラット状フィルム
2 チューブ状フィルム
3 センターシール部
4 シール代
5 有機溶剤を塗布するノズル
6 ニップロール

Claims (3)

  1. 直径0.2〜1.0μmの白色微粒子とスチレン系樹脂を含有する白色熱可塑性樹脂層を含む熱収縮性ラベル用白色フィルムであって、80℃温水中10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が15%以上であり、主収縮方向に5%収縮させたときの波長が400〜700nmにおける全光線透過率の平均値が50%以下であり、且つ、フィルムの断面を顕微鏡写真に撮って観察し、70%以上の微粒子がその周辺に微粒子の断面積以上の空洞を含まない熱収縮性ラベル用白色フィルム。
  2. 請求項1記載の熱収縮性ラベル用白色フィルムから作製された熱収縮性ラベル。
  3. 請求項2記載の熱収縮性ラベルを熱収縮装着した容器。
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